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プルトニウム検出から考える3号機(プルサーマル)の危険性

福島第一原発の中でも、世界の多くの人が最も心配しているのが3号機。
3号機だけプルサーマルで、MOX燃料を使っているからです。

それってどういうこと???という方には、是非以下の情報を。
前者は京大の原子炉実験室の小山裕章先生。
後者は「「憂慮する科学者同盟(UCS)」エドウィン・ライマン博士の講演。
いずれも、2004年と1999年と前のもの。もっと早くに皆(自分も含め)
が真剣に考えていたら・・・と思わずにいられません。なお、小山先生た
ちの「原子力安全研究グループ」のサイトでも色々な情報が掲載中。
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/
最後におまけで、プルトニウムの危険についての「連れ」の意見を。
(学生がこのブログで時々出てくる「連れ」が誰か分からない・・・といって
ましたけど、分かるよね?)ちなみに彼が自分で書いた日本語のままな
んで、「非難」は「避難」の間違いです。

1.プルサーマルの危険性
とても分かりやすく書かれている報告書ですので、是非ご一
読してみてください。そして、次の一文だけは抜粋しておきます。
「プルトニウムは100 万分の1 グラムの微粒子を吸い込んだだけで
肺がんを誘発するという超危険物であり、数kg あれば原爆が作れる。
そのため、1985 年にノーベル平和賞を受賞した核戦争防止国際医
師会議(IPPNW)はプルトニウムを「核時代の死の黄金」と名づけた
のであった」
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http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/kouen/kanazawa.pdf
プルサーマル導入-その狙いと危険性
京都大学原子炉実験所 小出 裕章
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Ⅰ.プルトニウムは長崎原爆の材料
Ⅱ.破綻したプルトニウムサイクル
Ⅲ.苦し紛れのプルサーマル
Ⅳ.原子力を進める本当の理由
 出だしを読んで、広島原爆の日に生まれて、平和の仕事をしたいと願っ
て生きてきた私が、今に至るまでいかに勉強不足だったのか・・・を痛感し
ました。プルトニウムサイクルやプルサーマルが、いかに経済的に割にあ
わないだけでなく、安全性の面で大きな問題があるのか、なのに何故進め
られるのか、非常に分かりやすく説明されています。
*小山先生の3月18日のゼミのPPTもご覧ください。
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No110/20110318koide.pdf 

2.NGO核情報に掲載されているプルサーマルの危険についての講演会
議事録(1999年にすでに書かれているのに・・・)
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(1)日本の原子力発電所で重大事故が起きる可能性にMOX燃料の使
用が与える影響
http://kakujoho.net/mox/mox99Lyman.html
(2)概要:プルサーマルの危険性を警告する
http://kakujoho.net/mox/mox99l_s.html
エドウィン・S・ライマン (PhD)核管理研究所(NCI)科学部長
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MOXの使用に伴って増大する危険の大きさからいって、県や国の規制当局はどうしてこの計画を正当化できるのだろうかと問わざるを得ない。その答えは、原子力産業会議が発行しているAtoms in Japanという雑誌の中に見いだすことができる。『通産省と科学技術庁、福島でのMOX使用を説明』という記事はつぎのように述べている。

「MOX使用に関する公の会合に出席した市民が、『MOXを燃やす炉での事故は、通常の炉での事故の4倍悪いものになるというのは本当ですか』と聞いた。返答は、事故が大規模の被害を招くのは、燃料が発電所の外に放出された場合だけだ、というものだった。MOXのペレットは焼結されているから、粉状になってサイトの外に運ばれていくというのは、実質的にあり得ない。だから、事故の際のMOX燃料の安全性は、ウラン燃料の場合と同じと考えられる。」

 この返答こそが、MOXの使用を計画している電力会社は、プルトニウムのサイト外への放出に至る事故の影響について評価する必要はないと判断した原子力安全委員会の間違った論理を要約しているといえる。この論理を使えば、日本の当局にとって都合のいいことに、MOX装荷の炉心にある通常の炉心よりずっと多量のアクチニドに関連した深刻な安全性問題を、無視することができるのである。上述の通り、MOX燃料は、低濃縮ウラン燃料と同じく、炉心損傷を伴う重大事故の際には、細かなエアゾールの形で拡散しうるのである。米国で研究されているメカニズムの一つは、高圧溶融噴出(HPME)で、これは、炉心溶融発生の後、原子炉容器が高圧で破損するというものである。このような事態となると、炉心が破片の形で格納容器の内部に噴出し、その結果、格納容器の温度が急激に上がり、封じ込め機能が失われ、放射性物質の放出が生じる可能性がある。

 MOXの使用はまた、重大事故の発生の確率を大きくする可能性もある。たとえば、冷却材喪失事故や発電所停電などの事象がある。これらは、米国の加圧水炉では、初期段階での封じ込め機能の損失のリスクをもたらす最大の要因と考えられている。これらの事象が炉の損傷にまで発展する確率は、炉心の緊急冷却が始まるまでに燃料棒の被覆管がどれだけ損傷しているかによるところが大きい。MOX燃料の熱電導率は、低濃縮ウランの場合よりも約10%小さくなっている。一方、MOX燃料の中心線の温度は、50%高くなっている。このため、MOX燃料の燃料棒に蓄えられている熱は、低濃縮燃料の場合よりも大きい。MOX燃料の中央線の温度と蓄えられたエネルギーとが低濃縮ウラン燃料よりも大きいため、冷却材喪失事故の初期段階における燃料棒の被覆管の温度の上昇と、被覆管の酸化率が、低濃縮ウラン燃料よりも大きくなる可能性があり(4)、冷却材喪失事故の影響の緩和のためにNRCが設けている規定を満足させることはMOX炉心の方が難しくなるかもしれない。

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おまけで、連れのクラーセンからのメールです。

今のところ言えるのは、現在の測定値を云々するよりも、プルトニウムは半減期が2万4千年、そして現時点において絶えず24時間放出され続けてい ることです。つまり、一旦外に出たら、ほぼ永遠になくならず、しかも現に増えているということです。この状態を一日も早く止める必要があります。 方法はひとつしかにありません。分厚いコンクリート等で全面的に負い、封鎖することです。なぜ日本政府はこれを進めていないのか。推測ですが、 Chernobylと同じコンクリートの塊を残せば、これは本当に第二のChernobylだという印象になり、また原子力は人間、特に日本の技 術者がコントロールできない技術であるという印象を残すことになるからです。こうなれば、原子力はFINISHEDとなります。日本製の原発を世 界中に売りたいこの政府、国内でもどんどん作りたい政府と行政は、この重大な事故でも、コントロールできるよというメッセージを国民と世界に送り たいと思います。これは致命的な判断ミスです。福島は暴走原発です、コントロール不可能です。今すぐ、抜本的なことをしない限り、汚染がどんどん 広がります。今、今日にでも、コンクリート等による封鎖作戦を開始し、半径50キロの地域を緊急に、しかも強制的に非難させる必要があります。今 の対策は間違っているだけではなく、これは国民に対する責任の放棄、犯罪です。
by africa_class | 2011-03-30 09:45 | 【311】原発事故と問題
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