人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

Lifestyle&平和&アフリカ&教育&Others

afriqclass.exblog.jp

【速報】国会福島原発事故調査委員会にみる当事者の声、委員の応答、日本の未来の可能性について

昨日から国会の事故調が福島県内で開催されています。
第10回委員会+タウンミーティング+記者会見を視聴しながら、この
委員会が、福島原発後をどうするのか、再稼働や原発政策をどうして
いくのかという論点に留まらず、以下の点で非常に画期となるものを
含んでいると感じています。ちょっとレベルがそろっていないのですが、
4点書いておきます。(今助成申請や論文で忙しいのでまた改めて
書き直すので、これはメモだと思ってください)
 なお、私がこの問題に深くコミットしているのは、前にブログで投稿
したように、この問題が暴力と平和の問題につながっていると考えて
いるからです。と同時に、アフリカや世界の暴力紛争後の社会がど
うやってその亀裂を乗り越えていくか・・・という問いが、私の研究の
最大の問いだからです。
 そのために、紛争原因(真相究明)が非常に重要かつ自分の仕事
と考えてきました。と同時に、では原因を把握した上で、どう未来を
構想するのか(再び同じ過ちを繰り返さない)という問いもまた、今と
りくんでいるテーマでもあります。私の中で、「アフリカ」と「日本」とい
う垣根はありません。人が暮らす社会では、暴力と平和は永遠のテ
ーマであり、過ちを犯し続けている人類ではありますが、だからとい
って諦めるわけもいかないと思っています。お互いから学び、お互い
を支え合いたい・・・そう願っています。
 いつか、アフリカの研究者にも、この原発事故とその後のバッドガ
バナンス、人びとの権利の剥奪と抑圧、政官財の癒着構造につい
て研究する人が現れてくるでしょう。私たち、単に東電や日本の政
府ばかりでなく、私たち日本の市民もまた、その一挙一動が世界に
注視されているのです。

(1)憲法に書かれた「主権在民」の原則を、日々、そしてどのような
  イシューにおいてもどう実現していくのか?
(2)「日本型民主主義」の限界、例えば国民の命・声を優先しない
  政権、官僚、国会と国民の間の乖離をどう乗り越えていくのか
(3)プロセス、情報開示における透明性の確保
(4)人びとの側の声ではなく、政府発表や公的発表ばかりをピック
  アップして垂れ流す既存のメディアの問題
(5)被害の当事者を意思決定のプロセス・機関に含めている
(6)世界を視野に入れて議論している

■国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会とは?
http://www.naiic.jp/
【速報】国会福島原発事故調査委員会にみる当事者の声、委員の応答、日本の未来の可能性について_a0133563_11303910.gif

委員会メンバー(国会議員ではありません。独立した民間の
委員から構成されています)
http://www.naiic.jp/wp-content/uploads/2012/01/iinkaimeibo.pdf

■政府の事故調査委員会や民間の委員会と何が違うか?
この点は重要で、かつ委員長のウェブ上の挨拶文、あるいは
昨日の冒頭の委員長あいさつに非常に分かりやすく提示されて
います。
①委員長あいさつ
http://www.naiic.jp/about/
「私は、本委員会のキーワードは、3つであると考えています。それは、
「国民」「未来」「世界」です。すなわち、本委員会の使命は、第1に、
「国民による事故調査」、第2に、「未来に向けた提言」、そして、第3に、
「世界の中の日本という視点(日本の世界への責任)」であると考えて
います。(中略) そして、国民の代表の国会による設置であることを
原点に、「国民自身による調査」、「国民目線での事故調査」、「国民と
共にある事故調査」という基本的な姿勢を忘れずに、真摯に調査を行
っております。
 第2に、本委員会は、「未来に向けた提言」をしていくことを、その使
命と考えております。
 今回の原発事故は、いかなる対応をとろうとも、今後数十年にわた
って、日本そして世界に影響を与えていくでしょう。そのような現実を
踏まえた上で、未来に向け、今後、2度とこのような原発事故が起こ
らないように、責任の所在を明らかにしつつ、真相究明を行うことが
重要です。」
②第10回事故調in二本松での委員長あいさつ
*後日正式な議事録が出るのでそれをご参照を。以下はメモです。
「初めに、政府の事故調査委員会と何が違うか。この委員会は、民
間の独立した委員会。国会内に、民間の委員会が設置されるのは
日本の憲政史上初めての事。本委員会は昨年の11月に発足。
真相究明と事故の再発防止、未来に向けた提案を行うのが目的。
調査活動を進めている。
 私たちが最も大事にしなければならないのは、今回の原発
事故によって被災された方々の側に立つということ。

 第一回は、福島市で開催。タウンミーティングも避難者のいる埼玉
で行った。今回、明日は、福島県内で開催。」

■第10回委員会後のタウンミーティングでのやり取り
これは本当に心を動かされたやり取りでした。事故調査委員会
そのもの以上に重要なやり取りでした。でも、住民の声を中心に
報じたのは、河北新報だけでした。東京から来た記者さんたちの
頭の中には「政策」ばかりがあって、住民の声に真摯に耳を傾け
る姿勢がないということでしょうか。マスコミが危険を報道しなか
ったから被曝したということの自覚がないのでしょうか・・・。
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/04/20120422t61003.htm
以下、私のメモです。議事録が出るのでそちらをご参照いただき、
またリアルなやり取りを是非ご視聴ください。
http://www.ustream.tv/recorded/22004751
①最初の浪江町出身の男性 
持って来たいわき市、南相馬市の土を出してガイガーカウンター
を近づけるとピーピー鳴り続ける。二本松、ここまでくるまでの
間アラームなり続けた。
「法律はo.6/1時間以上、18才以下お断り。法律はそういっ
ています。ここは管理区域ですよ。こういうところに子供たちを
住ませて安全なんですか?崎山先生はチェルノブイリの報告
書で、子供は3-7倍影響があるといっている。それは山下教
授と出した報告書。その件を今でも国は隠すのか。SPEEDI
を隠しただけでなく」
←崎山委員「もちろん放射線被ばくしない方がいいので、でき
るのであれば低い所に行った方がいいのが原則」
②浪江町出身の女性
「今確実性はない。大人に取って一番大事、宝物は何かという
と子供です。福島県知事が18歳未満は無料という申し立てを
していますが、国は認めなかった。県知事が18歳未満という
区切りを作ったこと自体問題。外部被ばく・内部被ばくは今現
在わかっていない。私たち大人は子供たちがこれから生きて
いくうえで、医療が自由にアクセスできることをやるのが義務。
県や国が18才で区切るのは問題。
 私たちは子供たちがいるからこそ生きていけるわけであって、
子供たちが一番重要。子どもたちが今後もしガンが発症した
ときに、被曝したから発症したのか、生まれもったものか、どこ
を境に区別するのか。今、大人たちがしなければならないのは、
被曝をしている人にはそれだけの医療が無償で確保されるこ
と。町を先頭に、国や県にこの言葉を届けなければならない」
←崎山委員「ガンにならないうちに、予防的に線量を下げてい
く、将来の健康を守る意味で大切。それが出来ない場合は、
生活の記録をきちっとつける。将来そういうことになった場合、
因果関係を証明していく。国や県が健康管理手帳を作って、
ずっと責任をもって健康を見守っていくという制度を創って
いくのがいいと個人的に思っている」
③浪江町の男性
「40年も貢献したのに避難道路すらつくってもらえなかっ
た。このような事故は最後でない。必ず繰り返すだろう。
(中略)サリン事件で詐欺罪で問われるのに、国・県・官僚
・東電、誰も責任取っていない。オカシクナイのか?私たち
の犠牲は私たちで済ませてほしい。他の地域の人をこれ
以上犠牲してほしたくない。
 原発で働いている労働者がいっていたこと。放射能が高く
て作業が出来ないときは、海側のシャッター開けて、山側の
シャッターを開けてきたそうだ。名目で住民を守っているとい
われているが、私たちは国の発展の人柱にされてきた。
 皆さんは承知なのか?責任のある方にはお願いしたい。
これから子どもたちのためにこのような事故が起きてはなら
ない、決して起こしてはならない。決して、この地球を汚して
はならない。責任は誰にあるのかとことん追求すべき。負の
財産を残すような原発でいいのか。電気は私たちは使うが、
子供たちはこの危険なものを管理していかなければならな
い。そのお金は誰が持ってくるのか。そういう自分勝手なこ
とばかりでいいのか。原発に関しては、責任のある行政が
不可欠。
 ここにいる避難民をどう救うか。避難民を食い物にしてい
る社会構造状況。大手ゼネコンが除染で儲けたり。私たち
のことを最初にちゃんと知ってからしてください」
→野村委員:原子力行政に携わってきた人たちに色々な
疑問点をぶつけてきた。私たちも無責任だと思うことをいく
つか発見している。しっかり報告書に反映させたい。こうい
う形でここに来させて頂いて、被災者の皆さんの力強いご
発言、今まさに被災された方々の本当の心の中から出
てきている疑問や怒りをここで感じさせてもらって、単に頭
の中で考えるのではなく、皆さまのお気持ちを踏まえて、
調査を続けて、最終報告書に反映させたい。
④浪江町の男性
「事後調査委員会ご苦労さま。調査するのは分かるが、
国の命令で避難している。未来を創る委員会を作ってほし
い。過去はすべて失った。専業農家しているが、浪江でも
のは作れない。ものを作れない場所で暮らせない。双葉郡
で国会をしてほしい。仮設から通ってほしい。
 あなたたちが国会を双葉郡でやって安全だというのであ
れば、私たちも帰る。あなたたちは安全な所で考えている
だけ。私たちがどれほど精神的に参っているかわかって
ほしい。私たちの未来を、国会で考えてください」
→蜂須賀委員:大熊町の避難民です。私も仮設に入って
います。つらいです。気持ち分かります。私たち国会議員
ではありません。私はどうしてこの場にいるのかと思って
きたが、おっしゃる通り皆さんの気持ちわかる。未来を考
えてほしいというご意見、その通りだと思います。どっかに
入れてほしいと考えている。先生たちに毎日伝えている。
気持ち十分にわかっている」
⑤浪江町80才の女性
「孫も一緒に。線量の高い所に避難した。これから生まれ
てくる子供、育つ子供。本当に心配。これから医療関係
などしっかりやってほしい」
⑥浪江町男性
「規制側と推進側が一体になって原発推進してきた。
今でもそれは変わらない。
 国民の命とか生命とかまったく考えていなかった。事故
調査委員会の報告に盛り込んでほしい。未来の提言とい
う点で、土地を追われ、歴史を奪われ、民族芸能文化す
べて奪われた。その喪失感、空しさ・・・生活しててもはり
あいがない。そういう精神的な苦痛をしっかりと見据えて、
防ぐために今後どうしたらいいのか、国民の生命や生活
を守るための報告書にしてほしい。
 また原発を再開するという政府の方針が出ているよう
ですが、国民の命を無視した行動。この事故調査委員会
の結論すら待てない。中途半端な政策をして大丈夫と
いっている。こんな政府世界のどこを探してもないはず。
委員会として報告書としてしっかり書いてほしい」
←黒川委員長「ホームページでも書きましたが、国民目
線。この委員会は政府の事故調と違う。国会の定めた
委員会で、議事録はすべて観れるようになっており、ホ
ームページで日本語英語ですべて読めるようになって
いる。皆さんのご意見も出てくる。後でもいつでも見れる」
←大島委員「市民目線にたって、批判を恐れずやって
いく」
⑦浪江町の男性
「緊急避難区域は一時立ち入りの際に防護服。計画的
避難区域は以前は通行書が必要だったのに、今自由に
入れる。しかし、線量は緊急避難区域より高いところも
多い。自宅に何泊もした人も。明らかに高線量地域。国
は知っていながら何も伝えず。帰ってくる車の中でアラ
ームが鳴りっぱなし。靴についてるから。
 国民が行政を信頼できない国なんてありえない。国民
の信頼に足る政府であってほしいという一言を入れてほ
しい」
→桜井委員:国民と国家の信頼はその通り。この委員会
はそのことを目指す。

■記者会見
http://www.ustream.tv/recorded/22006556
黒川委員長と被災当事者である蜂須賀委員が並んで会
見。この二人がやるということにこの委員会の姿勢がみ
えるでしょう。
①黒川委員長「(前略)ご意見として、避難の指示、実態
については、指示・方向など、最初の大事な時に、国ある
いは東電から何も情報がないまま避難せねばならなかっ
た。(以下、住民の声の委員長まとめ)
 被爆者への医療、被曝した子供たちのために国が責
任をもって管理すべき。原子力災害、放射線被ばくや免
疫低下だけでなく、精神ストレスなども大きい。将来につ
いて、地震・津波によって避難した人を対象としたものだ
けでなく、原子力災害によって被災した人を対象とした
法制度が不可欠。国民の生命を蔑している。原子力立地
の皆さんに同じような経験をさせたくない。
 事故が起こった時の防災・避難など住民の安全確保の
視点がなければ、原子力の安全はないということを我々
に突き付けている。
 1年間の政府の対応について、国民がどう思っているか
伝わってきた。現在の規制当局の在り方をめぐる議論に
は、国民の生命を守る、同じ体験を繰り返してほしくない
という被災者の願いがすっかり、すっぽり抜かれている。
あれほどの事故をおこし、1年経っても、何も変わらない
ことを示している。

 また、国民が信頼に足る国家でほしいという強いご意見
を直接窺い、改めて官邸・霞が関と国民との距離がまだ
まだ遠いことを確認した。我々はこの距離をなんとか縮め
たいと感じ、それをミッションとしたい」
*下線は筆者による

■暫定的な感想
 驚くべきことに、「自分の権利の主張」ではなく、「子供
たちの」「他の原発立地の人たちの」将来の権利を主張
した人がほとんどだったという点です。
 このように崇高で、的を得た発言の数々に、正面から
受け止め、返事ができる人は、今どれぐらい現在の政権
関係者、官僚、電力会社、国会の中にいるでしょうか?
 これだけの被害を起こしてなお、自分の利己的な利益
ばかり追求し続けている人たちに、怒りと絶望を感じます。

「普通の人びとの良識」に打ちのめされた視聴でした。
是非皆さんの目で、耳で、心で、身体で、接してください。
http://www.ustream.tv/channel/jikocho
by africa_class | 2012-04-22 12:44 | 【311】原発事故と問題
<< ルワンダの企業(OSR)でイン... 『ニジェール暮らし」上映とトー... >>