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「198通りの非暴力行動(抵抗と説得)手法」著者ジーン・シャープ博士と現在の日本の権力と社会運動

この連休中はもっぱら原稿書きにおわれ、その合間合間でツイットしてきたことを、とりあえず貼り付けておきます。今の日本の市民運動の皆さんの疑問、迷いや悩みに、沢山ヒントとなることがあるように思います。もう少し丁寧に実際のケースとあわせて紹介した方が分かりやすいのですが、今(いつもですみません)その余裕がなく、投げっぱなしになります。
 なお、シャープ博士は、日本でまったく知られていないのですが、今年度のノーベル平和賞の最有力候補だそうで、取れても取れなくても(ビルマの民主化との関係でかなりアリかと思いますが)、おそらくそれなりにメディアによって紹介されるかと思います(が、村上春樹が文学賞取ると、おそらくそれもなくなりそうですが・・・・)。ぜひ、これを機会に、シャープ博士の著書も読んでみてください。

アインシュタイン研究所 Albert Einstein Institution 
創設者・上級研究員 ジーン・シャープ博士Gene Sharp

http://www.aeinstein.org/organizations9173.html
・オハイヨ州立大学(学士・修士)
・オクスフォード大学(政治理論 博士)
・マサチューセッツ・ダートマス大学 名誉教授(政治学)
・ハーバード大学国際関係研究所 研究員
【日本語で読める著書】
『独裁体制から民主主義へー権力に対抗するための教科書』(ちくま学芸文庫)
*巻末に「非暴力行動の198の方法」も
【著書】
The Politics of Nonviolent Action (1973), Gandhi as a Political Strategist (1979), Social Power and Political Freedom (1980), Making Europe Unconquerable (1985), Civilian-Based Defense (1990), From Dictatorship to Democracy (1993, 2002, and 2003), and Waging Nonviolent Struggle: Twentieth Century Practice and Twenty-First Century Potential.
なんと、日本語訳本が出ている最も有名な『独裁体制から民主主義へ』は、ダウンロード可能!英語ですが。http://www.aeinstein.org/organizations98ce.html。

<非暴力行動について>
http://www.aeinstein.org/organizations00fa.html
以上研究所のサイトに詳しいのですが、一番読まれているのが、冒頭にも紹介した「198通りの非暴力行動手法(198 Methods of Nonviolent Action)」で、1973年本に入っているもの。タイトルは、「非暴力の抵抗と説得の方法」です。
 どうしても日本語のニュアンスから「説得」が抜けてしまうのですが、これは非常に大事です。単に抵抗するだけでは平行線。権力者を説得し、変える・・・ことが重要だからです。といっても、ツイッとした通り、ただ「権力者個人」を変えても仕方ないのです。権力構造の源泉である「人びと」がどう変わるか・・・が構造転換に不可欠だからです。

<ビルマの民主化、アラブの春を始めとする運動とシャープ博士の理論>
この番組が分かりやすいです。が、日本語のものもツイッターで紹介した通り。
●Gene Sharp - How to Start a Revolution Teaser
http://www.youtube.com/watch?v=Vk1XbyFv51k
●日本語の雑誌記事(ダイヤモンド Online 2011/3/28)
「中東・北アフリカに広がる民主化運動の理論的支柱 ジーン・シャープ博士 特別インタビュー「武器を取ったリビア反政府運動に見る暴力の限界 戦略的非暴力で独裁政権は打倒できる」
http://diamond.jp/articles/-/11584

<この週末ツイットしたこと>
反原発のための運動、オスプレイへの抗議、大阪での瓦礫問題での警察とのやり取り・・・をみながら書いたことです。いつものごとく、140文字に入れようとしているので説明不足、誤字脱字ありかと思いますが悪しからず。

「どんな独裁政権も自分で思っているほど強くないし、どんな人民も自分で思っているほど弱くはない」
●シャープ博士の198通りの非暴力行動『独裁体制から民主主義へー権力に対抗するための教科書』。要点:どんな独裁政権も統治される側の協力と服従が必要という理解に基づき人びとの権力への支えを減らせば良い。この理論は私の授業「アフリカ平和・紛争論」の根幹でもある。
●権力を支える(独裁や戦争を可能にする)のも、権力を終わらせるのも「人びと」。「人びと」が権力の源泉なのです。博士「どんな独裁政権も自分で思っているほど強くないし、どんな人民も自分で思っているほど弱くはない」

政権を倒せばそれで済むか?・変わるべきは私たち?
●これは野田政権、民主党政権が倒れればそれで変わると思っている人に是非考えてほしい点です。菅政権の次が野田政権だったように。民主党政権の次に来るのは誰か?私たち自身、私たちの社会が、強権を支える柱の一本一本を壊すのでなければ、次の政権も同じ事を繰り返すでしょう。
●つまり、強権・独裁を支えるのは人びとなんです。人びとの簡単な答えを求める傾向、強い者への依存、自由にモノを言い異議申し立てすることへの不安、表面的な変化があれば後は大丈夫だと思いたい惰性です。そのような自らの問題を乗り越えないのであれば、歴史は繰り返すということです。
●自らの自由・権利、それを守るための抵抗力、そのための忍耐…が残念ながら日本の我々に極めて希薄であること、だから戦後一貫してこんな政権ばかりで、自身や子どもたちを危険に晒してしまう現実を、まずは自覚すべし。変わらなきゃいけないのは、政府ばかりでなく我々なんです。

警察・公安の闇、報道しないメディアについて
●例えば、この間反原発運動の参加者の不当逮捕を続ける警察、公安警察の問題について。証拠が残っている大阪での不当逮捕については、IWJ大阪のアーカイブを。
●アワープラTVの次の番組が分かりやすい→麻生邸ツアー逮捕事件を解剖(麻生政権時)http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/230  公安がわざと転び公務執行妨害で逮捕。専門家によると、「典型転び公防がビデオに写ってるの珍しい」そうです。
●この番組には、共同通信の公安担当記者だった青木理さんが出演し、解説中。『日本の公安警察』 (講談社現代新書)の著者。政府や警察の横暴やカラクリ、市民の頑張り…をしっかり報道。でも、共同通信に公安担当がいたのであれば、他のメディアもいるはず。なぜ、公安の闇が報道されないのか?それについても、青木さんは「情報をもらうため」と述べています。公安の闇をばらしたら「出入り禁止」で、実際青木さんはその後そうなったそうです。なので、記者クラブに所属しない独立系メディアが重要なんです。アワープラネットTVみたいに(http://www.ourplanet-tv.org/)
●日本の公安も米軍と同じで、冷戦期の肥大化した遺物。本来仕事がない。米国は「対テロ戦争」を創出し、世界を危なくし軍事産業・兵士を維持(勘定は日本等)。一方日本の公安は、「対テロ戦」も北東アジアの緊張でも、国際的でないから活躍できず。組織キープのため仕事を創出→反原発運動の取締りへ。
●結局警察が守ってるのは「為政者のメンツ」。今日は橋下市長が住民に論破やブーイングされないよう。官邸前では野田首相と原発政策がどれ程嫌われているか一目で見えないよう鉄柵を設置し分断。「為政者の裸の王様」とばれないようにするのが仕事となっている。
●大阪市民不当逮捕への抗議:歩道をわざと警察が列を成して占拠して、市民の抗議の人たちを押して、「歩行者が困っている」「歩道を開けろ」「車道歩くな」といってます。
●なるほど。警察が「警察の顔」を降ろし、「人間の顔」になりつつある。市民に野次ってる。→http://www.ustream.tv/channel/iwj-osaka3#utm_campaign=t.co&utm_source=9092745&utm_medium=social … ドイツのホロコーストの時も、役人・警察・市民が粛々と「自分の役割」を果たした。ナチスだけが悪かったんじゃない。警察が「人としての自分」に気づくの重要。
●昨日紹介したシャープ博士の話でも、非暴力で抗議する市民を抑圧した警察か軍が、まず子どもに「かっこ悪ー」と言われ、次に妻に「恥ずかしー」と言われ加わらなくなったそう。匿名性に守られ、責任がないかの如く振る舞う警察・官僚。「一人の人としてどうか」を問われるべき。

市民運動はどうすればいいのか?
●。今夜紹介したアインシュタイン研究所シャープ博士の非暴力行動198の方法にも「ドラマと音楽」ある。でも番組でもいってたけど「計画性と諦めない」は凄く重要。
●今まで市民運動が続かず成果が出なかった原因に「計画性と諦めない」の軽視がありました。やる以上はプロとして。効果を周到に計画。でも簡単に変わると楽観せず、間口を広げ図太く続ける。そのため「遊び」も不可欠。
●遊び」はplay以上に「余裕space」のこと。闘うべきは権力(正確には権力構造)なのに、日本の言論空間みてると「小さき者」同士のいがみ合いで権力を利している。感情レベル(好き嫌い)に振り回されず、大局(闘うべき相手は誰か)を見据え、「権力には不寛容」でも「仲間には寛容」を。
●運動が進み、仲間が増え、注目も集まると、感情面や手法(リーダーシップ)で必ず分裂が始まる。これを乗越えられるかどうが決定的。簡単な「統一」を目指さず、「多様性の尊重に根差した丁寧な合意形成」を面倒でも。市民の多様性こそが、権力に抗し、自由を守るための最後の砦であることを忘れずに。
●今、急速にネット・メディア空間で「反原発運動は…」「福島/の人は…」と主体の一面化がされてるけど、これこそ我々が最も抗せねばならない言説。何十万、百万、千万の多様な人を「あるイメージ」に押込め、それに従って扇動し、市民間を分断することこそ、権力が望むことです。歴史繰り返してます。
●なお、市民運動や権力構造について私が呟いているのは、日本に限らず、古今東西の権力と民衆の相克(その多くが結果的に、権力と民衆が結託する戦争に回収されてしまった)についての研究と、自分の20年間の市民活動の中でのトライヤル&エラー(試行錯誤)に基づくものです。
●【教訓1】2年前の政権交代でこの国も変わると早合点したこと←プレーヤーが変わったところで構造は変わらず。あの時山は動いた。でも本当は、関心を持ち続け、監視し、働きかけ続けなければならなかった。私たちは政治家に文句言う前に、自らの「他人任せの政治」を変えなければ、同じことは繰返す。
●具体的には、①まずは社会へのビジョンを持つ。②自分と社会の位置(現状・構造)を分析・把握する。③自分の持ち場(生活、地域、学校、職場、選挙区、県、国、世界)でのビジョンに近づく小さなアクションを積み重ねる=>つまり「主体(当事者)」になる。続ける+仲間が必要。
●【教訓2】「目覚めた人びと」は、常に問題を構造(権力関係)で捉え、社会・運動内の多様性をリスペクトし、それを維持することに尽力すること。世界の多くの運動と同様、安保闘争も内部抗争で終わった。また覚醒が、ナショナリズムに回収され、植民地支配や戦争の動員を容易にした事を肝に銘じよう。
●具体的には、①自らも過ちを冒す存在であることを認め、②自分と他者を赦すこと、③つながり方について多種多様な手法を持ち見極めるつこと。仲間だけじゃない。今権力側にいる人たちを憎んで終わりでなく、権力は構造だと理解し、彼らの人としての可能性まで否定しない。愛は力。

なお、彼がもしノーベル賞を取れないとしたら、二つの理由。一点目は彼があえて自分の研究が「平和研究」に分類されることに抵抗してきたこと(そのことの意味を「平和研究」は考えなくてはならない。冷徹な暴力・権力研究があって始めて平和研究が可能…は私の信念でもある)。二点目は、彼や彼の研究が誤解されがちな点(これも自覚をもって私も経験してきたので)。 
 理想だけを掲げても世界は変わらない。理想(ビジョン)は高く、でも現状(構造)分析は冷徹に。アクションは計画性をもって、効果を計算して・・・いずれも私の目指しているところです。が、なかなか難しい。Warm heart, Cool head, Hot inspiration and passion...といったところでしょうか?
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by africa_class | 2012-10-08 17:15 | 【考】民主主義、社会運動と民衆
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