ブログトップ

Lifestyle&平和&アフリカ&教育&Others

afriqclass.exblog.jp

記録「農業大国ブラジルの光と影:遺伝子組み換え大豆を例に」(11月8日)

こちらは、ブログでも紹介させてもらったブラジルのセラード開発の課題についての報告会の記録です。セラード開発は、モザンビークで現在進められているプロサバンナの「モデル」とされる事例です。「セラード開発は大成功」だからアフリカ・モザンビークへ・・・の論理展開の大元である、「セラード開発の成功」についての問いが投げかけられています。

 同報告会の詳細については→http://afriqclass.exblog.jp/16649570/
 
完全な議事録ではなく、この報告会に参加しながら私がPCでとった記録です。打ち込むのは非常に速いのですが、正式な議事録ではないので、その点ご容赦くださいませ。
 主催者に問い合わせたら、年度末に印刷物として公開するらしいのですが、年度末&紙媒体。あまりにもったいない!ので、一参加者のメモとしてお読みいただければと思います!
 なお、報告者の印鑰さんに連絡が取れ、確認は頂き、メッセージもいただいています。また、当日のパワポや動画の場所もあわせて教えてもらったので、ぜひあわせてみてください。

==============================
明治学院大学国際平和研究所(PRIME) 「平和学を考える」
AJF・JVC・HFW・明治学院大学国際平和研究所(PRIME)共催
連続公開セミナー「食べものの危機を考える」2012年度 第4回
11月8日(木)18時半~20時
「農業大国ブラジルの光と影:遺伝子組み換え大豆を例に」
講師:オルタトレードジャパン 印鑰智哉さん
==============================

●当日のパワーポイント→http://www.slideshare.net/tomonada/ss-15085242
●当日見せてもらったブラジル公共放送TV Brasil番組(ポルトガル語25分)→https://www.youtube.com/watch?v=1WG-VT_Je40
●以上番組の短縮バージョン&印鑰さんの日本語字幕→https://vimeo.com/53087502

■印鑰 智哉(いんやくともや)さんの報告
1.大豆の問題、1973年ニクソンショック大豆禁輸→南米、インドネシア、アフリカでの大豆生産模索、しかしアフリカ・インドネシアでは無理だった。残るは南米。
2.1974年8月JICAの設置は、タンパク資源確保を米国以外から求めることから始まる。
3.日本の「食料主権」が日米安保、外交、国際協力に通じる問題。
4.セラード開発、「ブラジルの緑の革命」「不毛の大地を穀倉地に変えた奇跡」「人類史上初めて熱帯圏で近代的大規模畑作農業を実現」
5.セラードとは?ブラジル中央部のサバンナ地域、アマゾンのすぐ下、全土の24%を占め、日本の約5.5倍に及ぶ地域、南米大陸の水源。
6.ビデオ:セラードの環境破壊と危機、3500万年かけて形成されてきた生態系が数十年の人間の活動でほとんど回復不能なぐらい破壊され、20%しか残っていない。環境に適した植生の破壊(森林破壊)により、地域水を蓄えることができなくなり、
7.PRODECERの特徴:モデル拠点開発:ブラジル南部の農民組合の組織的入植(地域住民ではない)。機材供与と研修、企業的農業経営、伝統的住民(先住民やキロンボ、小農)は除外
8.セラード開発農業の特徴:石灰や化学肥料の大量投入、機械化大規模農業、輸出志向産品、大豆、ユーカリ、サトウキビなどを中心とうするモノカルチャー。
9.社会的影響:元々小農がたくさんいた。軍事政権下で小農の権利を守る法律などなかった。政府に逆らえなかった。飛行機で農薬を巻き、コンバインで刈り取る。広大な農地があっても職を生み出さなかった。そこで雇われるのはごく僅か。コーヒーだったら機械化が難しいので、収穫の際に沢山の農民を雇える。サトウキビも機械化されていない切る作業に労働力。大豆は異なる。地域での職というものが減る。結果、都市への人口集中が進む。
10.社会的影響(2):大豆生産が行われる地域では、食料生産はゼロになる。何故なら、この大豆は地域の人びとの食べ物ではない。地域の人びとが食料を食べるためには、他の地域や他国で生産されたものを購入するしかなくなる。農薬汚染が起きている。しかし、社会構造によって農薬被害の実態が分からない。
11.社会の変化:①輸出原料生産向上と化すセラード、②4大多国籍穀物メジャーの影響力、③土地の集中、④伝統的住民の周縁化、奴隷労働の増加が起きていく。
12.環境的影響:①森林破壊、②土壌崩壊・喪失、③水源の破壊、水体系への影響、砂漠化、④農薬による汚染、⑤生物多様性の喪失、薬草などの絶滅の危機、⑥2030年にセラードは消失か?セラードが、アマゾンとパンタナルなど他の生態系を支えているため、影響は大きい。
13.モノカルチャーでも、大豆が最悪。日本では、有機農業の中で重視されている。窒素の固定を行う。熱帯地域で見渡す限り広大な大豆畑にされると、収穫の後砂漠になる。コーヒーなら収穫の後、木は残っている。しかし、大豆はコンバインで収穫され、赤土がむき出しになり、そこに太陽がカンカン照りになる。このように土壌が失われていっている。ブラジリアの建物の壁が真っ赤になる。流出した土がくっつく。
14.人びとの動き、抵抗:ブラジルの小農民の闘いはセラードから生まれてきた。①Comissao Pastoral da Terra(1975年セラードの中で結成された、カトリック教会を背景に土地を奪われる小農の権利を守る活動。当時、軍事政権下でNGOや農民組合がつくれなかった)、②1984年Movimento dos Trabalhadores Rurais Sem Terra(MST、土地なし農業労働者運動)結成<ブラジル全国含セラード>、③1992年Rede Cerradoセラード・ネットワーク結成、④2003年9月11日をルラ政権がセラードの日を制定。
15.セラード観のあまりに大きな違い:日本では大成功とされるセラード=「不毛の大地を大穀倉地へ/奇跡」とされる。日本でセラードについて語られるすべてのもので、「不毛の大地」という枕詞がついてくる。ブラジルではセラードは、「世界でもっとも生物多様性な豊かなサバンナ」と呼ばれている。ブラジルにいると、セラードの美しさを描かれた展覧会などが頻繁に開かれる。なのに、日本の活字情報源では、ほとんどすべてが不毛の大地と呼ぶ。
16.セラードの豊かさ:薬草・生物多様性:強烈な紫外線が降り注ぐ地域。アマゾンは雲が覆う。乾季には雲がない。乾燥に耐えなければならないため、生物は抵抗しなければ生きていけないために、薬効成分が高い薬草が多数存在している。人類がどんなに世界最大の製薬会社が作ろうとしても作ることは無理。しかし、これらを活用しようとせず、大豆だという。本当の価値について、ブラジル社会が気づきつつある。
17.さきほどあった番組はYoutubeで検索すると出てくる。中南米最大の保守的なテレビ局でも、セラードの美しさや危機だという番組を作っているほど。ブラジル人を守らなければという意欲が出てきている。セラードの生命は後10,20年しかない・・・何とかしなければという意見が出てきている。日本では真逆。しかし、そのような声は届かず、今年はリオ+20があったが、残念ながら、日本政府は「セラードは環境を考えた農業だった」とのセミナーを開催したという。ブラジルで疑問視されるものを、成功と言い張る日本政府。
18.今、ブラジルでは、セラードの中にどんな薬草があるかの本が出てきている。これを知っているのは、そこに暮らす先住民やキロンボなどの女性たちが、口伝えに受け継いできた。ブラジル政府のサイトでダウンロードできる。コミュニティの薬草の権利を守る運動が始まっている。外部の企業が特許を取ってしまうバイオ・パイラシー(盗んで特許を取って儲けようとする)が盛ん。それに対抗するための動き。
19.遺伝子組み換え大豆:①1996年:アルゼンチンにモンサントが入り込み、遺伝子組み換え大豆の承認がある、②2003年:遺伝子組み換え禁止を公約したルラが大統領就任、③2005年:ブラジル、パラグアイ遺伝子組み換え合法化、④「大豆連合共和国」の成立(ウルグアイ、パラグアイ、アルゼンチン、ボリビア)
20.ブラジル農薬使用は世界一位。モンサントはGMOは農薬不要といっていた。しかし、実際は農薬なしには生産不可能に。アルゼンチンは10年内に農薬使用は4倍に。
21.遺伝子組み換えとは何か?:核爆弾を日常・世界化したのが原発であれば、枯葉剤を日常化・世界化したのが現在の遺伝子組み換え。もともとモンサントはランドアップなど除草剤を売るために開発し、使用減らせるといって実際は増えることが明らかに。
22.遺伝子組み換えの毒性:有害性が徐々に明らかに。カナダの妊婦の93%から、BT毒素が検出されている。遺伝子組み換えトウモロコシは食べてないのに検出されている。このトウモロコシの餌を食べた家畜の肉を食べた。80%胎児からも毒素が検出。フランスのカンヌ研究所によると、遺伝子組み換えは安全だと言われ続けてきた。しかし、その仕組みは原発と同様で、遺伝子組み換え会社が90日間ラットに食べさせて安全といってきた。ラットに2年間与え続けた7割のラットから腫瘍(顔より大きい)やガンになった。早死にが大半だった。ロシアとウクライナは、モンサントの遺伝子組み換えの禁止を表明。日本はこれを昔に承認してしまっている。日本の家畜の餌はアメリカ大陸から来ている。日本でも検査をしたら、カナダと同じ結果が出る可能性が高い。卵の生産者は検査があるため遺伝子組み換えの餌を避けているが、鶏肉は検査がないので大半が遺伝子組み換えの飼料を餌にしている。
23.遺伝子組み換えが生み出すもの:①食料主権の喪失(農民が植えたいものが植えられない)、地域経済の変化、②農薬による健康被害(米国で地下水、水、空気すべてから農薬検出)、③遺伝子組み換え作物による健康被害、④職の喪失、有機農業の後退。
24.ブラジル農業モデルの輸出が成功といえるのか?:大いに疑問視した方がよい。50年後このモデルが成立しているのはあり得ない。セラードの土地は脆弱で、水がなくなっているかもしれない。今これを再考しなければならない時代に入っている。ところが今年、日本政府は大成功であるというセミナーをリオデジャネイロで開催し、さらにこれをアフリカに輸出しようとしている。アフリカには広大なサバンナ地域がある。ブラジルの「ノウハウ」が輸出できるという。本家のブラジルが止めようといっている最中に、アフリカに「日本」が輸出しようとしている。
25.日本は、食料主権を取り戻さねばならない。アメリカに求め、ブラジルに求め、アフリカに求めるの?日本、日本人の我々はいいのか?アフリカに遺伝子組み換えがいってしまっては、もっと大きな問題につながっていく。アフリカの人たちにとってトウモロコシは主食。アメリカでは家畜の餌。毒性が明らかになってきているのに、健康被害がもっとダイレクトに出てくる可能性がある。アフリカに大豆は存在していなかった。アジアのもの。アフリカの方が大きな影響を受ける可能性が高い。見て見ぬふりをしていいのか?

*リオのJICAセミナーについては、プレゼンがJICA研究所のウェブにアップロードしてある。本郷豊・細野昭雄『不毛の大地セラード開発』ダイヤモンド社が売られている。

■質疑応答
Q. JICAアドバイザー本郷:セラード開発事業を運営・企画をした、この本を書いたのも私。報告内容も非常に偏った見方で驚いた。片方の意見だけの報告会で一方的。私の本(*以上の本)を読んでもらって、双方の立場をみて、各自が頭で考えて判断したいと思う。セラード開発は日本が誇る世界有数のODA成功例。セラード開発の成功によって、食料価格が長期的安定化して安くなっているという事実。2006年にWorld Food Prizeという賞も受けている。多くの方がセラード農業を評価しているという事実。20世紀農学史上の成功。
Q. 大学院生:開発計画には、勝者と敗者が生まれてくる。観点によって良かった、悪かったという差が出てくる。質問は、日本においての食の生産について。TPPは貢献ができるのか?
A. 印鑰:大事な指摘。アメリカ大陸で起きているもの。アグリビジネスが主導することになっている。必要なのはパイロット、コンバイン操縦者。巨額な融資が不可欠。ブラジルで問題になっているのは、砂地化という現象。土壌が砂地化している。砂漠化と少し異なっている。雨が降るが土壌が根が無くなっているため、土壌が水を蓄えられなくなる。農業モデルで大事なのは、知的所有権による支配。モンサント法案がメキシコで、先住民が受け継いできた種子を犯罪とする法案。種子企業から買わなければならなくなっている。

Q. 舩田:JICA本郷さんがお越しになったのは非常に良いことと思う。今日、この報告会は大学で行われているわけだが、これこそオープンな議論を行う大学という場の役割。なお、本郷さんのご指摘「一方的だ」は、この報告会が連続企画で来週JICAの方の報告が用意されていることを考えると、該当しないと考えるが?来週のJICAの方の報告で是非その点を入れられたら良いと思う。いずれにせよ、本郷さんのご指摘や主張をお聞きして逆に知りたいのは、今日のプレゼンへの反論を具体的に教えてほしい。印鑰さんのどのスライドの何が問題なのかぜひ。印鑰さんへの質問は、なぜブラジルのアグリビジネスはセラード型の開発を輸出をしたいのか?背後に誰かいるのか?また、JICAは何故これをそんなにやりたいのか?
Q. OXFAM山田:質問は二点。①誰がこれを一番進めたいのか?、②本郷さんの話で出た「セラード開発計画で生活が前よりもよくなった人たち」とは誰なのか?
Q. 横山:市民社会つながりで来ている。具体的な質問はあったので、環境破壊についてとても勉強になった。JICAの中にいて詳しく聞く機会がないのでよい勉強になった。誰がどう儲かったのかみないと、環境破壊と遺伝子組み換えの問題に特化されているが、良い面もあるのではないか?JICAは遺伝子組み換えがプロモーションされたわけではない。色々な側面をみていかなければならない。これから何年もかけてプロサバンナが進んでいく。その中でどうやってセラードのネガティブな側面を、どうやって改善していくのか?JICAとしても市民社会への説明がなさすぎた。

A. 司会:今後については、対話をオープンにしていく。来週ぜひ参加されたい。では、本郷さん。
Q. 本郷:自由闊達な意見交換の場を設けていただき、ありがとうございます。この本をつくって7月に出版。通算20年ブラジルで勤務してきた。直接・間接的にセラードに関わった。プロサバンナを企画したのは私。年に2-3年、ブラジル、モザンビークに行っている。問題点などを皆さんと共有している。今日の報告の反論。①「不毛な土地」という命名について、レヴィ・ストロース『悲しき熱帯』「不毛の大地」と呼ばれている。大陸で最も貧困な土地で、とても人を寄せ付けないと表現されている。ブラジルでは、「セラードを売ってもらっても買うな」といわれてきた。日本が初めてではない。②大豆は土壌の有機物を増やす。③森林が20-30%しか残っていないといわれているが、最近の詳しい研究者の成果(環境保護の公的機関)、衛星を利用し、5割が手つかずになっていると発表されている。農地の面積は2億6百万ヘクタールの内の10%だけが農地といわれている。④内陸に向かってセラード開発を起爆剤に雇用機会が生まれている。⑤農作物が大量に生産される。サプライチェーンがあり、搾油工場があって、世界最大の養鶏が出来た。一つのサプライチェーンが出来た。精肉工場が出来た。雇用創出に対して、人びとが大都会から田舎に戻っている。セラード地帯は内陸に続々と生まれている。④PRODECER 都市が環境都市と評価された。社会経済指数を大幅に上昇させた。地域開発が社会開発に役に立った。
A. 印鑰:セラード開発の負の遺産をモザンビークに持ち込まないためには、やる前に地域の住民を入れてやらなければならないということ。本郷さんのご指摘について。開発が海岸から内陸に向かった、という点。これはセラード開発云々ではなく、国策としてブラジリアを中心に内陸部を開発したのだから当たり前の話。内陸部にサプライチェーンがやって来たから当たり前。都市と農村の関係については実態は異なっている。1994年終わったセラード開発計画は、東アマゾンで行われたが、地域の住民は参加できなかった。入植してきたのは、国の南部に入っていた中大規模農家だった。その多くは白人、日系人だった。当時は軍政下で、地域の組合、公聴会などもなかった。そういったものが前提としてなされてこなかった。1992年、セラード・ネットワークがJICAの事務所に出かけて行ったが、会ってもらえなかった。セラードが確かに穀倉地帯になっている。だからといって再考が不要ということではない。それでいいのか?という点について、この問題は、開かれたところで議論されるべき。地域の人びとのいないところでやっても無駄に近い。数字をみれば発展しているじゃないか、してないじゃないか、という問題ではない。地域の人びとの民主主義の問題でもある。私が今日した話は、現地ブラジルのNGOの皆さんからの情報・話をまとめたもの。私の今日の発表にそれほど違和感があるということならば、ブラジルのNGOがいっていることに違和感を持たれていること。現地NGOがいっていることを知ってもいないということは、大変問題。モザンビークの方も、問題は社会的に微妙だと思う。力関係も影響する。本当の対話が不可欠。公聴会といいながら、村の有力者がいれば声が出せない農民たちがいる。現地のNGOと一緒にちゃんとした議論をしていくことは重要。そして、PRODECERにはそういうことが欠けている。PRODECERは偏った情報しか出してきていない。当然そういう政府機関から出てくる情報、実際に入植した南部からの中大規模農民から声を聞いているにすぎない。日本のジャーナリズム、ブラジルの農民やNGOを取材していない。それが偏っていると思うのであれば、相当問題がある。本郷さんには、是非ブラジル市民社会と対話し、ご著書の「続編」を書いていただきたい。セラードでは奴隷労働が未だに告発されている。職を創り出したという話だったが、職へのアクセスがないからこそ、このような奴隷労働がまかり通っている。キレイになった都市で職を得ているよ、とおっしゃったが、それは南部から入ってきた入植者たち。
何故ブラジルのアグリビジネスがアフリカへ?という質問について。それは、ブラジル内で農地が枯渇し始めているから。森林法があるから。先住民族の土地はブラジル憲法で守られている。鉱山を掘ったりしてはいけないという法律がある。ただし、今ブラジルの森林を守るための法律が改悪されつつある。小農民のためと称しながら、不在地主が破壊しても罪が免除されることになっている。アグリビジネスの側に土地をもっと広げたいという野心があるのは明らか。ブラジル中で大きな問題に。5千ドルやるからあなたの土地をください、といわれる。先住民たちが動かなかったら家を燃やすという手法で、排除されていっている。ブラジル人地主の側に土地を広げたい。ブラジルは大豆生産でアメリカを抜かすところまで行く。バイオ燃料、家畜の餌を生産したいため、少しでも土地がほしい。バイオ燃料への注目、アメリカと手を組んで、ブラジルは熱狂して、取り組もうとしている。

Q. AJF津山:元々ここに住んでいた人たちの食生活はどういうもの?食料を得ているのか?モザンビークにおいてプロサバンナの対象地域では、小農は自分たちの食べるものは自分で生産している。
A. 印鑰:セラードに限らないが、フェイジャオン豆が重要。大豆ではなく、黒い豆。米があれば米にまぜる。キャッサバの粉とともに食べる。この三つがあれば良い。フェイジャオン豆の7割は小農民が作っているが、小農生産が落ちている。大農場でつくられ、遺伝子組み換えのフェイジャオン豆に移行している。土地を失っている人たちは生産できなくなってきている。マーケットで買ってくるもので食べている。その金を稼ぐために、農業労働を安価でしている。

司会(勝俣):遺伝子組み換えの問題は身近に感じていないように思うけれど、南米で凄く伸びている。実は9月飛行機乗っていてモンサントの餌を食べたラットに関する調査結果を見て衝撃を受けた。一匹のラットなのに、二匹に見えるほど頭が肥大化。今日よかったのは、印鑰さんのお話し、そして本郷さんが参加され、議論が活発になされたこと。ここは国際平和研究所。懲りずに通っていただければと思う。問題がなくなったと思った瞬間に、問題は重症化する。問題がなくなったと思ったら、人間は終わりだから。

■その後の印鑰さんからのメッセージ■
しかし、本郷さんの発言にはやっぱり、というか、がっくり、というものが多かったです。直接関わる社長さんの発言だったら、ふんふん、そういう見方もあるのね、というところだけど、彼は関与企業の社長じゃないし、税金使って行われるODAのプロジェクトを握っている人なのだから、このままの見解でいてもらっては困る、と思います。
 たとえば「セラードは不毛の大地だ」という件ですが、ブラジルでもよそ者にはそう見えていた。入植しようとして失敗していた、というのは事実。(先住民族や土地に長く住む人びとが不毛と言っているという話しは聞きませんが)。しかし、セラードの果たしている生態的役割に関する研究は近年劇的に進み、人びとの認識も変わっています。
 それはNGOとか社会運動が言っているだけでなくて、政府でもそういう認識に立ちつつあります。紹介したブラジルのテレビ番組(TVBrasilという公共放送)に出てくる男性の一人は政府系の研究機関Embrapaブラジル農牧研究公社の研究者です。
 セラードに関わるブラジル人はセラードの豊かさを延々と語ります。最近、リオでもサンパウロでもセラードの展覧会は頻繁に行われているし、写真集なども数が出ており、市民社会の認識になりつつあるといえると思います。それなのにセラードに長く関わり続けている本郷さんが「不毛」と言ってはばからないのはセラードの自然=不毛、価値がない、農業開発で破壊しても問題ない、というイデオロギーで頭が固まっている証拠でしょう。
 だからJICAは未だに「不毛だ」なんて言っているんですか?というふうに言えばよかった。そうすればさすがに1930年代に書かれたレヴィ・ストロースで根拠づけようとすることがいかに外れだったことがわかるはず。これ以上、こうした言い方が日本の中で反復されないようにと願っています。
 開拓に血眼になっている社長が言うならともかく、ブラジル政府や研究者の見解からかけ離れたセラード観を持って、ブラジルの社会でのとらえ方からも離れた見方をしているということはやはり根本的に大きな問題です。
[PR]
by africa_class | 2012-12-08 21:52 | 【考】土地争奪・プロサバンナ問題
<< 記録1「モザンビークでのJIC... 議事録:今、コンゴ東部で何故・... >>