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出版報告『現代アフリカと国際関係ー国際社会学の地平』、後書きを掲載しておきます。

紹介する間がありませんでしたが、今日出版のお祝いを編者の小倉充夫先生と後輩たちとしてきたので、忘れないうちにと思い、アップしておきます。
 そして、私が書いた後書きを末尾に貼り付けておきます。これ校正前のバージョンなので、よりよい日本語は原文をご覧ください。本に込めた著者らの思いや狙いが伝わるとよいな、と思います。
 (私は自分の論文を授業で絶対使わないのですが、後輩たちに説得され使ってみました。そしたら、見事に伝わってなかったようなので、後書きを読んでもらったら、だいぶ伝わりやすかったようなので、掲載してみました。本だけ読んで伝わる・・・ことを目指して書いたつもりですが、まだまだ修行不足のようです!)

小倉充夫編
『現代アフリカ社会と国際関係ー国際社会学の地平』(2012年有信堂)
眞城百華、舩田クラーセンさやか、網中昭世、セハス・モニカ

主要目次
序章 現代アフリカと国際関係――課題と方法
第1章 民族の分断と地域再編――ティグライから見たエチオピアとエリトリアの100年
第2章 「解放の時代」におけるナショナリズムと国民国家の課題――ルワンダを事例として
第3章 植民地支配と現代の暴力
第4章 国家・社会と移民労働者――南アフリカ鉱山における労働者の協調と分断
第5章 南アフリカにおける女性と市民権
第6章 変化する都市住民の特性と青年層
第7章 多民族国家における言語・民族集団と国家形成

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あとがき

 アフリカと世界の19世紀末から現在まで、120年間にもわたる旅も後少しで終わりとなりました。本書を最後まで読んでくださった読者の皆さんは、北東アフリカのエリトリア・エチオピアで幕を開け、中央アフリカのルワンダを通って、南部アフリカのジンバブウエ、南アフリカ、モザンビークを回って、ザンビアで終わりを迎えた本書の旅を、どのように感じているところでしょうか。
 もちろん、アフリカは広く、多様で、そこに暮らす人びとも、その抱える困難や希望も、生きてきた歴史も様々です。本書がその多様性をすべてカバーするだけの地域や国、主体について記せたとは到底思いません。そもそもそれは本書の狙いではありませんでした。
 むしろ、本書でわたしたち著者が試みたのは、アフリカの多様性や現実の一端を示しつつも、現代アフリカと世界が相互に結んできた関係性をとらえることでした。これは、序章に示された次の二つの論点に集約されています。

「アフリカにはそもそも近現代世界の矛盾が集約してあらわれる。」
「アフリカと国際関係という場合、アフリカはほとんどの場合、外部からの影響を受ける客体として捉えられてきた。(略)大国の客体となりがちであったアフリカが国際社会に影響を及ぼす主体として登場してきた。」

 アフリカやそこに暮らす人びとを、近現代世界が与えた過酷な条件にただ翻弄されてきた人びととしてではなく、それを乗り越えるための試みを繰り返してきた主体としてとらえること。そして、これらのアフリカの主体が、世界の構造を問い直す力をもち、現在もそのような機会を世界に与え続けていること。このように、アフリカを通して見えてくる世界や国際関係を描こうとしたのが本書でした。

 「アフリカの年」から60年以上が過ぎました。内外の諸条件とのせめぎあい、限界と可能性のはざまで、アフリカ各地の多様な人びとが示し続けてきた姿に、わたしたち自身、多くのことを学んできました。そうした人びとのなかには、このように歴史を通して「出会った」人びともおれば、実際にアフリカで出会った人びともいます。各地の研究者や研究機関の職員、協力してくれた政府関係者、そしてなにより調査の過程で受け入れてくれた町や村の人びとなど、実に多くの人たちの助けを借り、それぞれの章の執筆は可能となりました。また、かつて、わたしたちが集った大学での出会いにも感謝したいと思います。刻々と変わる現地事情のスピーディな把握と発信が期待される昨今の時流に、ともすれば反するようなわたしたちのアプローチが可能だったのは、同じ大学での密度の濃い時間と空間のお蔭でした。
 今起きている現象が、どのような歴史的土壌の中で育まれてきたのか、主体と世界の構造の両方から迫るこのアプローチは、同じ大学で同じ時空間を共有した研究仲間たちとのやり取りの中から生まれてきたものでした。その多くが、アフリカあるいは国際社会学以外を専門とする方々であり、(アフリカ以外の地域を専門としされながらも国際関係学という共通のディシプリン項に基づいて議論を交えた)これらの皆さんからの鋭い指摘や温かい助言がなければ、本書はもっと違ったものになっていたでしょう。「現代アフリカと国際関係」という二つの大きなテーマを併記したタイトルを掲げるという大胆な挑戦に至ったのも、以上の皆さんとの交流の結果でした。本書が、同じ大学の仲間たちだけでなく、広い層の皆さんからの忌憚のないフィードバックが得られることを、著者一同心から楽しみにしています。
 最後に、様々な要望を聞き入れ、かつ細かいところまで目配りしてくださった編集者(小野七重氏)に大変お世話になりました。この場を借りて心よりお礼申し上げます。

2012年7月吉日
著者一同
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by africa_class | 2012-12-20 00:12 | 【記録】講演・研究会・原稿
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