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プロサバンナ問題に関するラジオ・インタビュー全訳(国際NGO・GRAIN)

皆さんはクリスマスをどうお過ごしでしたか?
 こちらは静かなクリスマスが終わり、義父の葬儀が昨日終わり、家族一同心の切り替えがだいぶできました。 さて、そんな静かな師走ではありますが、先日このブログで紹介したGRAINのプロサバンナ問題担当者であるDevlin Kuyek氏の英語でのラジオ・インタビューの全文の翻訳が名古屋大学大学院の院生さんから届いたので、紹介します。同大学院の西川芳昭先生が授業の題材として活用してくれたとのことです。この場を借りてお礼申し上げます。
 なお、GRAINがRight Livelihood賞(http://www.rightlivelihood.org/)を取っていたとは不覚にも知らなかったです。下記インタビューにある通り、プロサバンナに関しては、とにかく「宣伝」以外の情報、特に英語やポルトガル語の情報が少なく(これが現地市民社会の不満と不信にも繋がっているのですが)、世界的にも注目を集めているのに苦労が窺い知れます。
 そこで、公的な宣伝情報、断片的に報道される情報と、関係者へのインタビューは重要な手段であり、GRAINの他、モザンビークNGOもかなりインタビューを積み重ねて報告書を作成しています(同報告書は未だドラフトだそうなので、確定したら紹介します)。インタビューでも紹介されていますが、GRAINは今年春から精力的にインタビュー調査を開始し、モザンビーク、ブラジル関係者だけでなく、JICA関係者にもインタビューをしたということでした。*冒頭若干誤訳と修正履歴が残っていたので校正しました。

■プロサバンナ問題については、ここにまとめて入れてあります
→http://afriqclass.exblog.jp/i38/

“Interview with GRAIN on the ProSavana project”, 14 December 2012
http://www.grain.org/article/entries/4633-interview-with-grain-on-the-prosavana-project

参考文献
● “Brazilian megaproject in Mozambique set to displace millions of peasants”
http://climate-connections.org/2012/12/01/brazilian-megaproject-in-mozambique-set-to-displace-millions-of-peasants/
●『モザンビーク国 日伯モザンビー三角協力による熱帯サバンナ農業開発協力プログラム準備調査最終報告書』http://libopac.jica.go.jp/search/detail.do?rowIndex=1&method=detail&bibId=0000252732

“Interview with GRAIN on the ProSavana project”, 14 December 2012
Source: GRAIN 

参考文献
● “Brazilian megaproject in Mozambique set to displace millions of peasants”
●『モザンビーク国 日伯モザンビー三角協力による熱帯サバンナ農業開発協力プログラム準備調査最終報告書』

「国際NGO・Grainのプロサバンナ問題に関するラジオ・インタビュー和訳」

■Firoze Manji:ブラジル政府と民間セクターが、モザンビーク北部で日本と協力して大規模なアグリビジネスプロジェクトを進めようとしています。プロジェクトはプロサバンナと呼ばれ、大豆やメイズなど日本の多国籍企業によって輸出される商品作物の生産に向け、1400万ヘクタールの地域を対象としてブラジルのアグリビジネス企業に土地利用を可能とするものです。モザンビークのナカラ回廊として知られるこの地域は、何百万もの農家の生活の場ですが開発過程で彼らは土地を失う危険にさらされています。私はFiroze Manjiです。今日はGARINのDevlin Kuyek氏とお話します。GARINは、小規模農家や生物多様性を基本とした食料システム、コミュニティ管理に対する社会運動を支援する小さな国際NGOです。皆さんご存知のように、GRAINは2011年にノーベル賞に代わるとされるRight Livelihood賞を受賞しました。ようこそ、Devlinさん。
■Firoze Manji: 最近、「プロサバンナ」と呼ばれるプロジェクトについて多く書かれており、人々の関心を集めています。なぜなら、それは南南協力の一環の事業として示されているからです。この事業は、ブラジル、モザンビーク、日本が関わる大規模な開発事業です。こういった事業は促進されるべきではないのですか?
■Devlin Kuyek: そうですね。彼らはそう主張していますね。「プロサバンナ」と呼ばれる理由は、ブラジルのセラードで行われた類似のプロジェクトにちなんでいます。セラード地帯はブラジルの広大なサバンナ地域を農産物の一大生産拠点にしようとしたもので、70年代に日本が多大な投資を行い積極的に支援しました。数年のうちに、その広大なサバンナ地域の60%が、大豆、メイズ、綿、サトウキビなどの生産地に取ってかわりました。ブラジルのその地域は人口密度が低かったのですが、そこに暮らしていた先住民にとってこれは破壊的なことであり、結局これらの人びとはセラード東部の保護区域に追いやられ、周縁化され、土地問題などに対する抗議は現在も続いています。
 そういったことは少し別の話になりますが、2007年、2008年に起こった食糧危機以来、今起こっていることは、日本のような食料輸入に大きく依存する国が、2008年の食品価格の上昇や、先進国に拠点がある少数の企業による世界の食料支配を受け、グローバル市場に依存することは問題であると気づいたことから始まっています。ですから、これらの国々は自国の企業が海外に出向き、食料生産の管理を外部委託できるよう促進しようとしているのです。このようにしてターゲットにされている地域のひとつがアフリカです。
 こういったことは単なる食料の安全保障(フード・セキュリティ)の問題に留まりません。アフリカ農業開発に関心を抱いている企業はたくさんいます。なぜなら彼らはアフリカをブラジル、セラードのサバンナ地域で起こったのと同様の状況にすることによって、新たに利益を生み出す巨大なポテンシャルがあるとみているからです。彼らは、モザンビーク北部のこの地帯は、地図上でブラジルのセラードと緯度に関して完全に一致する、あるいは条件が非常によく似ていると言っています。
 しかし一番大きな違いは、モザンビークのこの地域は数百万もの人々が住む最も人口密度の高い地域だということです。この地域は、先住民の人々が狩猟採取をして暮らすような単なる開けたサバンナ地域ではありません。
 そこは、人々がすでに農業に従事している場所であり、もし貴方がたが、その地域に足を踏み入れたなら、そこに多くの小規模農家がおり、非常に肥沃な土地で気象条件の良い場所であることがわかるでしょう。プロジェクトの目標は、すでに農業生産下にある土地を農業開発するということではなく、農業のモデルを変化させ、生産のグローバルな変化に統合することにあるのです。
 プロサバンナ・プロジェクトの基層は、モザンビークとブラジルと日本による三角協定にあり、モザンビーク政府がこのプロジェクトのために土地を利用可能とする点にあり、彼らは1400万ヘクタールもの土地の話をしています。それは我々が聞いたところによると、1ヘクタールあたり、1ドルだったそうです。
 ですから、モザンビークが土地を提供し、ブラジルが農業を担う主なパートナーになります。ブラジルには、この種の経験を持つアグリビジネス企業や大規模農家があります。セラード地帯における最も大きな農場経営者であるAgricolaなどがそうです。
 その農場は23万ヘクタールもあり、それはカナダのどの農場より巨大です。
 これらがモザンビークで起こりうるっていることで、農業プロジェクトによって、大豆、メイズ、綿、輸出用の穀物であるサトウキビやゴマなどを生産しようとしています。
 三井、伊藤忠、丸紅などの日本の商社は、生産物を、主としてアジア、おそらく日本にのみ輸出するため(中国、中東、ヨーロッパ市場に向けも可能ですが)、生産物を輸出する港などインフラ施設に投資しようとしています。
 つまり、モザンビークは土地を供給し、ブラジルは農業を担い、日本は食料品を扱うという全体像です。ここ数年間で、フィナンシャルタイムズや地元新聞の記事などからようやく様々な詳細がわかってきています。
 ブラジルの農業経営者らの派遣団がモザンビークにやってきて、なぜ彼らがここに来たか、何が提供されるかなどを話し、彼らは帰国してこのプロジェクトを他の人々に売り込もうとしています。そういったことを通して、どのような計画がなされているか少しずつ情報を得ることができます。
 モザンビークのナカラ回廊周辺には、ベイラ港とナカラ港の二つの港があります。ベイラ港は深海港ではありませんが、モザンビークの主な炭鉱や、世界で二番目に石炭の埋蔵量を持つ開発中の炭鉱に最も近く、ブラジルの企業は石炭の採掘や初期生産に関わっていますから、それらをベイラ港を通して輸送しようとしているのです。しかし、ベイラ港は深海港ではないので、代りにナカラ港を石炭の輸出用に開発したいのです。ですから彼らは今、テテ州からモザンビークの内陸部を通ってナカラを繋ぐ、モザンビークの内陸部に繋がる第二の鉄道を建設しています。
■Firoze Manji: それは同じくマラウイに繋がる経路ですね?
■Devlin Kuyek: いずれはそうですね。全ての経路は、マラウイやザンビアに繋がり、回廊は他の国々まで延びています。そしてそれがこのプロサバンナ・プロジェクトの中核をなしています。石炭の輸送用に鉄道基盤を整備するということは、それに伴って穀類や油糧穀物用の農場が新たに設置され、そういった穀物の輸送用にも使われるということです。
■Firoze Manji: それは「カーテル」のようなものですね。
■Devlin Kuyek: その通りです。まさにアフリカの内陸部に繋がっていて、そこは肥沃な土壌です。そしてあまり状態は良くありませんが別の鉄道もあり、その鉄道の両脇は最も人々が密集している場所のひとつであり、彼らの多くは農業を営んでいます。
 もし貴方がこのプロジェクトの支持者らと話したとすれば、彼らは全く異なる見解を示すでしょう。我々が2012年春、5-6月頃、このプロジェクトを調査し始めた時に、私はブラジル側でこのプロジェクトを推進し、とりわけ資金調達や民間セクターの参入に関わる半公的機関であるGVアグロの担当者と話しました。
 彼らが率直に語ったところでは、土地は豊富にあり、このプロジェクトの事業地は誰も農業をしていない土地でやるし、モザンビークにはたくさんの土地があるのだから、このような農業地域の規模では全く社会的な負のインパクトなどないだろうということでした。
 モザンビーク政府でさえ、この国には3500万ヘクタールの開発可能な土地があると言っているのです。世界銀行などの開発金融機関はこの国は使われていない農業用の土地があり余るほどあると言っています。
 我々がこのプロジェクトを調査し始めた時に最初にしたことのひとつは、推進者はこう言っている、投資側はこう言っているといったような彼らの見解を聞き、では実際の状況はどうなのだろうかと調査を進めることでした。私が初めに出会った人物の一人に、土地問題を取り扱う国立の研究機関の研究者がいます。彼はその頃この国の土地利用に関する衛星画像や最新技術を使った大規模な調査を行っていました。そうやって調査した地図をみれば、この国には3500万ヘクタールもの農業生産用に開発可能な土地などなく、全体でおそらく600万ヘクタール程度しかないことがわかるでしょう。
 そしてプロサバンナがターゲットにするナカラ回廊周辺ではそのような開発可能な土地はほとんどないのです。ここにある地図には小さな緑の点があちこちに見えますが、それらは現在、農業用に使われている土地を示しています。
 現在、この地域の小農らによる主たる生産様式は、移動農耕です。土地のある部分は残して生産地を移動させるのです。土地は個人の所有ではなくコミュニティレベルで運用されていて、誰が耕作するかはその年によって変えることも可能です。
 ナカラ回廊周辺にでは、すでに多くの投資家がいて、プロサバンナ・プロジェクトだけでなく、土地を一刻も早く得ようとあらゆる種類の企業が入ってきています。
 なぜなら、彼らは、外部アクター、多国籍企業、日本であれ、中国であれ、英国であれ、民間投資機関であれの関心が高いことを知っているため、土地(ある種のプレミアになりつつあるもの)の支配権を得ようとしています。だから、すでに土地を得ようと動いている企業がいるのです。
 私が7月にナカラ回廊周辺にいた時、あるコミュニティと出会いました。そこはナカラ港と同様にプロジェクトの事業地のひとつであるナンプーラ州の州都ナンプーラの近郊でした。
 我々が出会った時、このコミュニティの人々はプロサバンナ・プロジェクトについて全く知らず、聞いたこともなく、我々と話して初めて知ったということでした。
 彼らが言うには、この周辺に開発用に可能な土地などなく、全て使用されているということでした。彼らはまた彼らが作った穀物を買ってもらうことにも熱心でした。彼らの最初の反応は、もし誰かが大豆、メイズをもっと欲しいというのならば、なぜ我々から買わないのか、簡単に育てることができるのに、といったようなものでした。事業の対象地となっているこの周辺地域では、プロジェクトの情報は全く入ってきていませんでした。そして会合の途中で、誰かがどうやったらこのプロジェクトと闘うことができるのかと問いかけました。
 すでにこのコミュニティでは、2週間前に別の企業が来て会合を開き、ユーカリの植林のため12万6000ヘクタールの土地が収用されると告げたということでした。プロサバンナ・プロジェクトの対象となっている1400万ヘクタールの土地に加え、この地域にはノルウェーの企業がすでにコミュニティに入り、協議もせずに土地の収用を行っているのです。
■Firoze Manji: しかし、モザンビーク政府も関わっていますよね。その土地は誰が所有しているのですか?コミュニティが所有しているのですか?土地に関する権利はあるのでしょうか。
■Devlin Kuyek: 大半のアフリカ諸国では(土地の)所有権に問題があります。コミュニティが土地を管理している、土地利用に対して権限もあると理解されています。しかし、一般的に政府によって与えられる法的効力のある書類に関して言えば、政府、通常国、実質的には及び大統領が実際には土地を所有していることになります。
 ですから法的な観点からすれば、国に土地所有の権利があり、外国の投資家に土地を売ることができるのです。
 もちろん、多くの国には土地登録の法律があり、コミュニティが土地管理できるといわれ、コミュニティからこれらの土地を奪うには諸々のプロセスがあるといわれますが、実際にそれが守られているかというと、それはまったく別の話となります。
 コミュニティは様々な仕掛けによって彼らの土地を奪われています。そのようなことが起り続けています。問題の根本は、モザンビークでは名目上はコミュニティに土地の強い支配権を与えているのですが、実質的にはこの権利は行使されていないということにあります。
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by africa_class | 2012-12-29 02:18 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ
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