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グローバル土地収奪に関する国際会議@コーネル大学(2012・10)で #プロサバンナ 問題が議論

原稿を書きながら、リサーチで使った情報源はここにも掲載しておいた方が、皆さんの役に立つと思い、貼り付けておきます。ぜひ、アフリカの農業投資、土地問題、土地収奪に関する研究をしてくれる若い人の出現を願いつつ!(アフリカ文献を探すゼミ生たちには、「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」のに、矛盾していますね・・・!日本では誰も研究していないからなのです。だからこういう援助が出てくるのかも。学術界の層の薄さを救えるのは皆さんです。)

しかし、知らぬ間に、ついにグローバル問題として世界で語られてしまっている日本の援助(プロサバンナ事業、「アフリカ熱帯サバンナ地域の農業開発」)。哀しい。。。

同事業のJICAの説明
http://www.jica.go.jp/project/mozambique/001/activities/index.html
この事業に関する私の過去の投稿→http://afriqclass.exblog.jp/i38/

そして今見たら、英国のOPEN大学に土地収奪・プロサバンナ問題のポータルが出来ていました・・・。
http://www.open.ac.uk/technology/mozambique/

■■「グローバル土地収奪」第二回会議@コーネル大学(2012年10月17日~19日)
the International Conference on Global Land Grabbing II October 17‐19, 2012 Organized by the Land Deals Politics Initiative (LDPI) and hosted by the Department of Development Sociology at Cornell University, Ithaca, NY.
■同会議に関するレビュー
http://www.ids.ac.uk/news/land-grab-politics-debating-the-issues?em=NE
■FAOの行動原則 Voluntary Guidelines the Responsible Governance of Tenure of Land, Fisheries and Forests in the Context of National Food Security' (pdf).
http://www.fao.org/fileadmin/user_upload/nr/land_tenure/pdf/VG_en_Final_March_2012.pdf

<=これに関する国際NGO・GRAINの分析
http://www.grain.org/article/entries/4564-responsible-farmland-investing-current-efforts-to-regulate-land-grabs-will-make-things-worse

■同会議で発表された120本のペーパー(ダウンロード可能な分)
http://www.cornell-landproject.org/papers/

そして、このブログでも紹介している日本がブラジルでやった「農業開発の成功例!セラード開発をアフリカ、モザンビークの熱帯サバンナへ!」というJICA・ブラジルのプロサバンナ事業ProSAVANA の問題が、非常に的確にまとめられている論文が掲載されています。

「ブラジル、モザンビークにおける土地収奪、アグリビジネス、小農」
(エリザベス・アリス・クレメンツ&ベルナルド・マンカノ・フェルナンデス)
"Land Grabbing,Agribusiness and the Peasantry in Brazil and Mozambique"
By: Elizabeth Alice Clements and Bernardo Mancano Fernandes
http://www.cornell-landproject.org/download/landgrab2012papers/Clements_Fernandes.pdf

実は、彼女のことを知ったのは12月のこと。先方も私の事を知っていて、ペーパーを交換してビックリ。同じ時期に、同じ問題(プロサバンナ事業)を学術的に分析していて、彼女はブラジルの資料を使い、私は日本の資料を使って、同じ結論に至ったのでした。

日本では「成功一辺倒」のセラード開発(日本政府・JICAがブラジルの「不毛の無人の大地」と称したセラードでの農業開発)ですが、私が現地にいた頃(1991年~2年)には色々な批判を聞いていましたので不思議地に思っていました。思っていながらも、アフリカの研究に没頭し、ブラジルは遠景に退いていたところ、このプロサバンナ問題で、またブラジル、しかも留学先だった地域に引き寄せられる今日この頃。不思議なもので。

で、最近セラード開発に関する学術論文を読み始めて、ますます「成功一辺倒」で良いのだろうかと疑問を持ったところで、クレメンテスさんたちの論文を読み、とっても腑に落ちました。結論部分の冒頭を訳し、末尾に貼り付けておきます。

同論文には、セラード開発を批判的に検証しているいくつかの文献が紹介されていますので、是非読んでみてください。(ポルトガル語ばかりですが・・・・)

もう一点。ブラジルの市民社会組織FASE(Federação de Órgãos para Assistência Social e Educacional)も、これに先立って、プロサバンナ事業への懸念を、セラード開発の負の遺産の再生産という形で批判する結論を書いています。

報告書『ブラジルの国際協力と投資』
FASE/SErgio Schlesinger,2012. "Brazilian International Cooperation and Investment: The Internationalization of Ethanol and Biodiesel", FASE.
http://www.fase.org.br/v2/pagina.php?id=3758
「プロサバンナ事業は、セラード開発がブラジル国内で創り出した地元農家と大規模モノカルチャー農業の間の社会・環境上の矛盾と対立を国外で再生産し輸出しようとしている(FASE, 2012:33-34)」


ーーー
Clementes&Fernandes, 2012:22
<結論>
ブラジルの素晴らしい経済成長、農業生産、バイオディーゼル生産能力、GDPの成長といったメディアのヘッドラインの裏には、植民地期の搾取、農村における抑圧・強奪・権利はく奪、土地所有権の不平等で集積的なシステムの伸張によって深く刻み込まれた長い歴史がある。

土地収奪の実践に関して、ブラジル政府が示しているのは、「重複」である。国内の文脈で「主権」「食料安全保障」を守ると称して、外国人による農地取得を縮小しながら、同時にブラジル政府はモザンビークにおいて、「料安全保障と故に国民主権のためと称して、アグリビジネスを代理にたて土地収奪を促進している。

プロサバンナを通じて、ブラジルはモザンビークにアグロインダストリー開発のモデルを輸出しようとしているが、このモデルは、ブラジルにおいて食料安全保障の面でも持続可能な開発の面でも深く失敗したモデルである。

現在ブラジルでは、6千5百万人を超える人が、食料不安の中で暮らしているが、これは大体国民の三分の一に上る(IBGE 2010b)。この国では、何百万人もの土地なしの人びとがおり、国全体で起こっている、食料を生産し生活していくための土地へのアクセスのための闘いに参加している (Wittman 2005)。

ブラジルで消費される食料の3分の2は、貧農と小農によるものであり、皮肉にもこれは、輸出のためのモノカルチャー作物栽培のためのアグリビジネスの拡大と展開によって移転を余儀なくされた人たちなのだ。

以上の経験が示すことは、ブラジルの農業資本主義のモデルが、貧農や小農にあまり利益をもたらさなかったこと、そして国の豊かな生物多様性や森林が破壊されたことである。
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by africa_class | 2013-01-19 20:35 | 【考】土地争奪・プロサバンナ問題
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