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民主化とプロサバンナ問題:モザンビークCSOが批判声明と外務省・JICAの現地社会理解ギャップ考察

またこのネタですみません。初めてでプロサバンナ問題が何かわからん人は以下をどうぞ。→http://afriqclass.exblog.jp/i38 でもアルジェリア人質事件にも通じる、「アフリカの民主化と外部者の役割」の問題が、プロサバンナ問題にもみられると私は考えており、その点は本投稿の2.3.で示しています。とっても長いですが、最後までお読みいただけると腑に落ちると思います。(たぶん!)

本日、NGO外務省定期協議会から開始した第一回プロサバンナに関する外務省との意見交換会(2013年1月25日、於外務省)が終了。しかし、「モザンビーク北部の小農を支援したいのだ!」という想いはよくわかりましたが、「だからブラジル・セラードをアフリカに!」がますますオカシイ話だということがはっきりしましたねえ。ますます、あえて「セラード!」と打ち上げるから問題が大きく、そして複雑化するんですよね。そこらへんの話は「援助とKAIZEN:プロサバンナで何故セラード開発が問題にされるかの一考察を通して」に書きましたのでご笑覧を→http://afriqclass.exblog.jp/17211838/

 ここでは、来月下旬の来日をモザンビーク市民社会組織が予定しているので、モザンビーク市民社会に関する理解を深めてもらうために、 

1.プロサバンナ事業に批判声明を出している3団体の紹介
2.モザンビーク憲法と、日本政府・JICAの考える民主化についてのイニシアティブや報告書
3.モザンビーク市民社会組織2団体の声明の和訳最終版
(仮訳の間違いなどの修正をしたもの。そして本日の訳語についての議論の面白い点)
を紹介します。

何故1.をしなければならなのか。うーむ。モザンビークに在外公館やJICAがある以上、その説明は本来不要なはず。しかし、今日の意見交換会でも、JICAや外務省が、繰り返し「1団体」「一部の団体」と現地市民社会の公的な声明を矮小化する発言が繰り返されたため、どうも現地市民社会についてまったくご理解がないようなので紹介しなければならないようです。
 そもそもUNACを「1団体」「代表性」がない・・・というには相当な無理があるのですが(2200の協会や団体の連合組織!)。UNACも含め、これらの団体は、現地だけでなく国際的にも高く評価されている団体であり、かつ、土地や農民・住民主権の問題に長らく関わってきた団体です。つまり、今問題になっているプロサバンナ事業の課題を深く学び、課題を乗り越えるためには丁寧にその意見を聞き、相談しながら物事を進めていかねばならないはずですが??
 モザンビーク政治の現状を知れば、モザンビーク人の主権、社会の未来の話をしているときに、このような命がけで市民社会組織の存在や活動を軽視するような発言を公的にされることについて、私などはとても違和感を感じます。そのことそのものが、同国の市民社会の強化、ひいては政治の自由や民主化を危うくするのだということについて、今一度ご自覚いただきたいなあと思います。この点については、2.で書きます。それにしても、もしその場にモザンビーク市民社会の誰かがいれば、それがどんな団体であろうと不快だったことと思います。

1.プロサバンナ批判声明を出したモザンビーク市民社会組織
■UNAC(全国農民連盟)は、
1987年に設立された小農による運動体であり、モザンビーク政府によってパートナーとして認識され、農民にとっては全国レベルで自らの利害を代表する団体として認識されている。86,000名以上の個人会員、2,200の協会および共同組合、83つの郡レベルの連盟、州レベルでは7つの連盟と4つの支部を擁している。

<=つまり凄く誤解というか矮小化があるのですが、UNAC=1団体と呼ぶとあまりにオカシイことなのですが、もしかしてJICAの皆さんたちですら、未だにそういう認識なのでしょうか?全国2200協会を束ねている全国組織です。UNAC以上に正統性/正当性を有した農民組織の連合体があるのであれば是非逆に私の勉強不足だと思うので教えてほしいなあと思います。

■Justiça Ambiental(JA)は、
モザンビーク人自身による主体的な環境保護団体として、同国内の様々な環境問題に取り組み、世界的に高く評価されている団体です。土地問題にも早くから取り組んでおり、成果の一つとして以下の報告書をUNACと発表しています。
Justiça Ambiental & UNAC. (2011). Lords of the land - preliminary analysis of the phenomenon of landgrabbing in Mozambique. Maputo, Mozambique.
→http://www.open.ac.uk/technology/mozambique/pics/d131619.pdf

特に、「ダム問題」「違法伐採問題」では、身の危険を顧みず重要な役割を果たしてきました。Joseph Hanlonに並び、国際的なモザンビーク研究の第一人者であるAllen Isaacmanとも連携し、近々モザンビークの開発言説に関する本が出版される予定です。

違法伐採問題については、日本のTBSのNEWS23での特集番組(筑紫哲也さの最後の番組)の取材に協力しています。
「変貌のモザンビーク~昇龍開発」
→http://www.tbs.co.jp/houtama/last/071118.html

JAには、JICAとの連携実績もあります。TICAD IVに向けたアフリカ・日本市民社会の政策作りにおいても、環境担当NGOとして重要な役割を果たしました(http://www.ticad-csf.net/blog/AAngo/2007/09/ngo.html)。この政策ワークショップは、JICAの受託事業「アフリカ・アジアNGOネットワーキング事業」として行われ、JICAでも広く広報されています→http://www.jica.go.jp/press/archives/jica/2007/071015.html

■FoEモザンビークは、
日本にも組織のある(FoEジャパンhttp://www.foejapan.org)、世界環境組織です。特に、長らく土地奪取、住民移転、森林破壊といった権利はく奪の問題に取り組み、2007-8年の食料価格高騰以来の世界的なLand Rush/Grabについてとても詳しい報告書などを沢山出しております。特に、昨年発表されたウガンダにおけるパームオイル会社の農業投資とそれによる土地収奪についての報告書は高く評価され、The Guardian(英紙)などに引用されています。
→FOEI (2012) Land, life and justice: How land grabbing in Uganda is affecting the environment, livelihoods and food sovereignty of communities, FOEI.
http://www.foei.org/en/resources/publications/pdfs/2012/land-life-justice/view

2.モザンビーク憲法と、日本政府・JICAの考える民主化についてのイニシアティブや報告書
下記のJA&FOEモザンビークの声明でも指摘されている、モザンビーク国憲法第11条「基本的目的」。残念ながら、出席された外務省やJICAの皆さんの誰もご存知ではありませんでした。前回NGO外務省定期協議会でも、「モザンビーク政府とやっているから」「要請主義だから」「政府が何故市民社会とやらねばならないのか」等の発言がありましたが、まだ冷戦的な思考が根強いのですね・・・。しかし、外務省もJICAも1996年のリオンサミット以来、民主化支援、市民社会強化の重要性について高らかにミッションとして打ち出しています。

●外務省は1996年に「民主的発展のためのパートナーシップPDD」を発表。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/pdd/index.html
そこに「市民社会の強化」が謳われています。
これは、同年にリオンサミットで「開発の停滞と貧困の根底には、民主主義やガバナンスの欠如がある」という日本を含めたG8諸国の理解を受けてのものでした。プロサバンナ事業の説明からは、「飢え・貧困は低投入低生産によるものだ、農業投資がないからだ」・・・・が繰り返されていますが、1996年と事情が変わったのでしょうか?日本政府自身がエンドース(承認)した声明だったんですが。

●また、JICAは、2002年の報告書「民主的な国づくりへの支援に向けて」で関連する部分の指摘としては以下の点があげられます。(なお、この報告書も「開発か」「民主化か」ということではダメだと書いてあります。今回のプロサバンナ事業を「農業開発」としてだけ括っている現状の関係者の議論の問題が逆に浮き彫りになりますね。おそらく、このインターナショナル、リージョナル、ナショナル、ローカル、権力関係の無視/軽視/無知こそが、問題の根幹なのだと思います。この論点は昨日投稿の小倉充夫先生の論考をご一読下さいhttp://afriqclass.exblog.jp/17202555/)

http://jica-ri.jica.go.jp/IFIC_and_JBICI-Studies/jica-ri/publication/archives/jica/field/2002_03.html
(JICA報告書 ポイント1)
①政治自由などの基本的人権の尊重
②政治参加が必要。
政治的権利は、受動的静態的な要件でしかなく不十分であり、能動的・動態的な政治参加が必要。
(JICA報告書 ポイント2)基本的要件の一つが、政治体制や政府の政策を批判しても迫害されないこと。
(JICA報告書 ポイント3)そして90年代までの課題と教訓として非常に良いことが書かれています。
「援助は、政府機構への支援のみでは不十分であり、国家と市民社会との関わり方を見極めた上で・・・・内発的な民主化推進母体となる民主化志向の市民組織が重要。援助の結果が・・・・対立を生まないように・・・」

現在、JICAは「現地の1農民組織と連携しているから問題なし」「プロジェクトに賛成している団体もある」といって、モザンビーク市民社会の分断を促進するような表現を繰り返し使っています。プロジェクトの正当化のためになされるこのような既成事実の積み上げは、現地社会、そしてモザンビークの民主主義、ガバナンスにどのようなインパクトを及ぼすのか、考えたことはあるのかなあ・・・ととても危惧しています

それでなくとも、今モザンビークでは現職大統領が憲法で禁じられる3選を目指して動いており、与党内部でも分裂傾向、最大野党党首で反政府武装組織として16年間激しい戦争を繰り広げたRENAMOが本拠地の中部に結集しています。そんな中、援助や外交がすべきことは、社会の分断ではないはず・・・だと思うですが。モザンビーク憲法に書かれる「国民統合」は未だ未だ大きな課題。そのつもりがなくても、「援助をエサ」とする住民分断はやめてほしいなあ、と切に願います。

これ、参加型開発の形骸化の中で繰り返し批判されている点なのですが・・・「参加型開発は、相当な注意がなければ、参加型という名の下に既存権力構造を強化する」

なお、繰り返しになりますが、プロサバンナがお手本とするセラード事業は、軍事独裁下のブラジルで合意、調印され、行われました。そして先住民たちは土地を奪われ、83年以降激しい土地紛争が各地で生じました。今回、プロサバンナ事業は、どのようなモザンビークの政治体制下で行われ、実施に移されているのでしょうか?2008年の選挙以来、国際的に問題視され始めたこの国の政治体制や政府の在り方、民主主義の停滞について、どの程度の理解があるのでしょうか?

そして、「資源の呪い」の兆候を見せ始めたこの国・社会とどうつきあっていくつもりなのでしょうか?何か中長期的な展望は御持ちなのでしょうか?アルジェリア人質事件から学ぶべき点はないのでしょうか?

そのような中で、「政府のプロジェクトに賛成する1組織」「小農の権利のために危惧を唱える組織」という形で現地の人びとを分断する行いをする、促進をする、表現をすることは、巨大な援助資金を供与する権力関係にあるドナーとしては問題だと考えるのは、私だけでしょうか?是非、熟考をお願いしたいと思います。

3.JAとFOEモザンビークによる声明
本日外務省に配られた仮訳との違いを挙げておきます。確認できればよかったのですが、昨夜遅くだったようなので今チェックしました。
(1)冒頭パラ
仮訳「日系ブラジル人による農業開発計画」
原文「日本ブラジル農業開発計画(um programa de desenvolvimento agrário Nipo-Brasileiro no Cerrado Brasil 」


この誤訳について今日面白いやり取りがありました。
時間がなかったのであえて指摘しませんでしたが、この「日系ブラジル人による農業開発計画」をJICA本郷さん(セラード事業担当・プロサバンナ立案者)が「これは間違った認識で、こんな間違ったことしか書けないNGOの声明は信用ならん」とおっしゃっていたのですが、ゴメンナサイ。これ私のチェック漏れの誤訳でした。しかし、本郷さんは知る人ぞ知るポルトガル語ご堪能者。配布資料には、以上の原文があったのですがお気づきではなかったようで?

 でも、これ単なる誤訳の問題ではないのです。そもそも、PROCEDER(日本ブラジル・セラード農業開発計画)のポルトガル語の正式名称はこれです→Programa de Cooperação Nipo-Brasileira para o Desenvolvimento dos Cerrados
 英語では、The Japan-Brazil Agricultural Development Cooperation Programなんですね。

 つまり、Japan-BrazilがNipo-Brasileiraとなっている。これはブラジルの文脈では確かに「日本・ブラジル」ですが、それ以外のポルトガル語圏諸国でそう読むのは厳しいですね。「日系ブラジル」と読まれておかしくない。ただし、ブラジルでも、Nipo-Brasileiroは、名詞としては「日系ブラジル人」を指しますが、形容詞で使ってもしばしば「日系ブラジル」と理解されることが多いです。
 当初、「日系ブラジル人移民とブラジルの土地」に関する戦前・戦後の苦悩については、また別の機会に書きます。不思議な奇遇(因縁?)ですが、ブラジルのスラム研究をしようと留学した私。セラード開発が行われたミナス・ジェライス州に留学したこと、そして米国研究者との共同研究の話があったことから、日系ブラジル人の戦前戦後の状態について現代史的な手法で文献・インタビュー調査し、卒業論文をまとめ、それが2004年に共著としてイリノイ大学出版から出ているのですが、20年近く前の自分の調査研究がアフリカに逃げたはずの私を追いかけてくるとは・・・。
 で本題。本日、本郷さん自身が述べたとおり、セラード事業は、ブラジル議会で、「PRODECER=日本・日系人の土地収奪、植民地主義支配」と糾弾されました。ご存知でしたか?関係悪化を懸念した日本政府は、日系人のアスペクトを小さくする努力をしていきました。その誤解の一つとして、「Nipo-Brasileira」という表現もあったわけです。なかなか面白い逸話ですね。

●仮訳・原文「外国人に対する土地の分配と」
→趣旨確認したところ、「外国人」は「外国からの移民とその子孫の入植者」の意味だそうです。
*実際、JICA2009年6月30日(http://www.jica.go.jp/story/interview/interview_75.html)には次のように書かれています「(本郷)開発モデルとして「組合主導入植方式によるフロンティア地帯での拠点開発事業」を導入したこと、ブラジル南部から日系やヨーロッパ系移民の優良農家が入植したこと(…)等が成功要因として挙げられると思います。 (インタビュー)そうしたセラードの開発経験が、ブラジルと日本によるアフリカ支援を支えるわけですね。」とおっしゃっているのです。

これも面白い論点で、今回も議論の中で指摘されましたが、何故かJICAが「地元農家の農業開発が成功した・・・・だからアフリカの地元農家もセラードをお手本とするプロサバンナが役立つ」的な発言な繰り返されるのですが、曲者は「農家」という表現。ブラジル地理学術界では、PRODECERによってセラードで大土地所有者となった人たちを「農家」とは呼びません

「家族経営農業」と言う場合は、セラードで昔から暮らし自給的暮らしをしていた先住民やキロンボ(奴隷出自の人びと)のことを指します。つまり、「貧農」「小農」「土地なし農」と呼ばれる人たちです。これらの人びとの土地が奪われ、JICAのいう「農家」、現地でいうところの「colonos=入植者」が入ってきたわけです。これらの人びとは、以上の通り、日系やヨーロッパ系でした。

ですから、今日も申し上げた通り、JICAがセラードの経験をモザンビーク北部で本気で生かしたいのであれば、そして彼らが今日も主張するようにモザンビーク北部農村の小農を応援したいのであれば、PRODECERでこれらの貧農・小農・土地なし農がどのような運命を辿ったのか・・・であって、彼らを周辺化してしまった「日系・ヨーロッパ系の南部からの入植者の成功」ではないいはずなのです。そして、彼らを「農家」と呼ぶのは止めましょう。プロサバンナの説明でも、繰り返し「小規模農家と中大規模農家の共存」と書かれていますが、セラードの事例ではあり得ない、権力関係と収奪を無視したオカシな話なのです。

<=そのことを繰り返し、繰り返し、モザンビークの市民社会、他ドナー、国際的な団体などは問題視しているのです。そろそろ理解いただけると良いなああ・・・。あるいは、確信犯的に「ブラジル入植者=農家/モザンビーク北部小農=農家」と言っているのだとしたら、かなりの・・・あくどさですねえ。そうでないと願いたいです。だから、今後は「セラード農家」「中大規模農家」という言葉をセラード/プロサバンナの文脈で使うのは止めましょうね。

それにしても、言葉とは、歴史の深みで考えると面白いですね。

●食糧→食料(穀物以外も入れているため)

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プロサバナ計画に関する Justiça AmbientalおよびFOE モザンビークの立場
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プロサバナは、プロデセール(PRODECER)、すなわち1970年代以降にブラジルのセラードにおいて行われた日本ブラジル農業開発計画に着想を得たものである。ブラジル、日本、モザンビークの各国政府によって成功例として引き合いに出されるプロデセールは、外国人(訳者注:ヨーロッパ系や日系移民とその子孫)に対する土地の分配と所有を促進し、その結果、ブラジルは海外において不当な手段で土地を奪う行為の熱心な促進者となった。

6500万人のブラジル人が食料危機に直面し、数百万人の人々が生存手段を保証する食料生産のために土地へのアクセスを求めるブラジルにおいて失敗した農業開発モデルを、ブラジルはプロサバナを通じてモザンビークに輸出しようとしている。この経験は、農民の生活森林、そして同国の生態系に及ぼしたインパクトと比較するとき、ブラジルのモデルにおける利益が無意味であることを示している。

プロサバナ計画は、「緑」という洗練された言葉によって巧みに装飾され、モザンビーク人および国際社会に「持続可能な農業開発」計画として提示されたが、同時にもたらされるであろう社会的かつ環境的インパクトの可能性は完全に除外された。しかしながら、この規模の開発計画は、共同体の再移転が必要となることが予測されるが、当事者である共同体がその事態について僅かにあるいは何も知らないことが懸念される。本件は、農民や現地の共同体を包摂することなく極めて高い次元で立案・決定されたものである。

日本は、プロサバナを通じて国外における安価な農産品の新たな供給源を確保しようとしている。その最終目的は日本や中国といったアジア市場への輸出である。
ブラジルは、プロサバナを関連生産者および起業の拡大、技術協力、そして格好の投資対象と見なしている。

そしてモザンビークにとっての利益は何であろうか。
本件の推進者たちにとって根本的な問題は、ナカラ回廊のほぼすべての土地が農民によって占有されているということである。同地域は国内でも最も人口が密集する地域である。つまりは肥沃な土地と十分な降雨が数百万人の農民が働き、豊富な食料を生産することを可能にしているのである。ナカラ回廊は同地域の穀倉地帯として知られ、北部諸州の住民らに食料を供給し、数百万世帯の生存を可能にしている。

プロサバナの正当化と意図は、土地の接収を促進し、その土地に依存する数百万の現地の農民を搾取することにある。プロサバナは、市民社会組織、なかでも全国農民連合(União Nacional de Camponeses: UNAC)によって既に議論され、否認された。UNACは1987年に設立された小農部門の農民による運動であり、モザンビーク政府によってパートナーとして認識され、農民にとっては全国レベルで自らの利害を代表する団体として認識されている。この25年間、UNACは土地と自然資源に対する農民の権利や、農業分野における公共政策をめぐる議論において農民組織の強化に必要不可欠な役割を果たしてきた。86,000名以上の個人会員、2,200の協会および共同組合、83つの郡レベルの連盟、州レベルでは7つの連盟と4つの支部を擁している。Justiça Ambientalはプロサバナ計画に対するUNACの反対声明を支持する。

Justiça AmbientalおよびFOEモザンビークは以下の点において、プロサバナ立案と実施の全ての過程を性急に非難する。
1.上意下達(トップダウン)式の政策の移入に基づき、公開されている情報は現在に至るまで不完全であり、不明瞭である。
2.本件は、「持続可能な農業開発」として暗示的に小農や農民組織を主な対象としているように思われるが、共同体の移住と土地の収奪が予測される。
3.ブラジル人農場経営者らの参入は、モザンビーク人農民を安価な労働力になり下がることを余儀なくする。
4.休耕地という土地利用の在り方に基づき、実際には利用可能な状態にない数百万ヘクタールもの土地を必要としている。
5.本件の立案と実施によって農民が受けられる恩恵は不明瞭である。
6.本件は、概して農民と地域社会の土地の接収を加速させる形で構想されている。
7.土地所有を危険に晒す状況を引き起こし、「土地利用に関する権利(Direito de Uso e Aproveitamento de Terra, DUAT)」に示された農民の諸権利を脅かすものである。
8.大規模な利害が絡み、汚職と利害対立を悪化を加速させる。
9.その生活を全面的に農業生産に委ねている多くの現地の共同体の不安定な生活条件を悪化させるものである。これらの共同体は、耕作すべき土地なくしては、生存のための代替手段もなく、その結果、本件は大規模な農村人口の流出を引き起こす可能性がある。
10.本件は、高度な機械化と、化学肥料や殺虫剤といった化学製品の過剰な使用が見込まれ、土壌と水質の汚染が予測される。
11.EmbrapaがMonsantoとの関係が予測されるにもかかわらず、遺伝子組み換え作物の使用の如何については決定的に透明性を欠いている。

我々は、モザンビーク国家が、モザンビーク共和国憲法第11条に明記された合意に基づき、その主権を全うし、国民の利益の擁護のために主導的役割を果たすことを要求する。

さらに、我々は、モザンビーク政府が、モザンビーク国民とりわけプロサバナに最も影響を受け、かつモザンビーク国民の大半を占める農民の希望、憂慮、そして必要性を考慮し、プロサバナの評価を見直すことを求める。既に提案された文脈において、プロサバナは、食料に対する主権、土地や水資源へのアクセス、そして数百万世帯のモザンビーク人の社会構造を危機に曝し、国民の未来を破壊するものである。

2013年1月 マプトにおいて

以上

次の投稿は以下へ。
■「プロサバンナについての外務省との第一回意見交換会・議案書(全文)」
http://afriqclass.exblog.jp/17211715/
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by africa_class | 2013-01-25 17:37 | 【考】土地争奪・プロサバンナ問題
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