ブログトップ

Lifestyle&平和&アフリカ&教育&Others

afriqclass.exblog.jp

プロサバンナについての外務省との第一回意見交換会・議案書(全文)

先に以下をお読みください。
■「モザンビーク市民社会2組織がプロサバンナ批判声明と外務省・JICAの現地社会理解のギャップに関する考察」
http://afriqclass.exblog.jp/17210917/
■プロサバンナ問題については
→http://afriqclass.exblog.jp/i38

今日の外務省でのNGO・外務省定期協議会「第一回プロサバンナに関する外務省との意見交換会」で配布され、冒頭に読み上げられた吉田昌夫先生の議案書です。何故このブログに????という気がしてなりませんが、残念ながら他にサイトがないのでアップしておきます。誰かポータル作ってくれるといいんですが・・・何せ沢山のNGO・市民社会の人たちが関わっている案件なもんで。

議論がまだまだ必要な部分が多いですねえ~。でも、外務省・JICAの一部の人の中には理解の光のようなものがみえてきた気がします!なので、メゲズにこのブログでも取り上げつづけます。

なお、すっごく重要な点を書いたのですが、重すぎて貼れず別の投稿にします。
■「援助とKAIZEN:プロサバンナで何故セラード開発が問題にされるかの一考察を通して」
http://afriqclass.exblog.jp/17211838/
そして、NGOや外務省の皆さんが苦労されて続けてこられた「NGO外務省定期協議会」の役割の大きさ、重さを本当に感じます。関係者の皆さん、本当にお疲れ様です。

=============================
NGO外務省定期協議会(1月25日)
第一回ProSAVANA事業に関する外務省との意見交換会 
議題説明
=============================

                          
アフリカ日本協議会
吉田昌夫

本会議は、日本とブラジルが共同してアフリカのモザンビーク北部における巨大開発計画として推進しようとしている「日伯モ・三角協力によるモザンビーク熱帯サバンナ農業開発(通称プロサバンナ事業)」について、問題点の指摘と現地農民組織の抗議とを取り上げ、NGOが外務省と対話をするため設定されています。

本事業には様々な問題が見受けられますが、主たる課題は次の3点です。これらは現地の具体的状況から、多くの派生する問題も内包する、プロサバンナ問題の核心となる議題です。
1.農民主権(住民主権)の問題
2.土地問題(土地収奪)
3.食料安全保障の問題
いずれも相互に関連づけられる問題なので、関連づけて問題提起を行います。なお、これらの問いは、事前に提出した質問を踏まえてのものです。

問題提起
現地の農民組織の「モザンビーク全国農民連盟(UNAC)」は、2012年10月11日の声明で、「我々農民は、透明性が低く、プロセスのすべてにおいて市民社会組織、とくに農民組織を排除することに特徴づけられるモザンビークでのプロサバンナの立案と実施の手法を非難する」と述べています。モザンビークの食料主権や土地問題に取り組む35団体で構成される「食料主権ネットワーク(ROSA)」も、「UNACの声明を全面的に支持する」と述べております。

さて、周知の通り、土地問題に関する世界の専門家ネットワークであるLAND MATRIXによると、土地取引件数の面で、モザンビークは世界第二位の位置を占めています 。この傾向は2007年の食料価格高騰以来のものですが、当事業立案者らは、過去3年~5年内のモザンビーク並びにサハラ以南アフリカにおける外資による土地収用の及ぼす影響と課題に関して如何に理解し、本事業を立案したのでしょうか?お教え下さい。

また、モザンビークでは、現地市民社会は早くから土地問題に関心を寄せ、農民主権の保障と実現のために、時に危険を抱えながら活動してきています。日本政府が1996年に打ち上げた「民主的発展のためのパートナーシップ(PDD) 」とも関係しますが、このような市民社会における議論やキャンペーンは、立案時に把握されていたのでしょうか。今、把握していることは何でしょうか。どのような団体が何を主張しているのでしょうか

UNACやその他の団体の声明や賛同からは、プロサバンナ事業が、以上に明らかなグローバル、リージョナル、ナショナルな状況を無視した事業立案だったと考えられていることが分かりますが、そのことについてどう考え、それをどう乗り越える予定かお聞かせ下さい

また、声明が出された後UNACとは、その後どのような対話を行ってきたのかについてもお教え下さい 。市民社会の多くが求める意思決定プロセスへの参加についての考えと、その可能性についても宜しくお願いします。 

この地域の住民である小農らは、伝統的に自己の農地、林地、住宅など生活に必要な資源を保有する権利を持ち、現在使用していなくても、今後の利用に必要な土地、林地、水源地などを、保有し、利用するアクセス権を有しています。これらがなければ小農が生活していくことは不可能であることは、ご承知の通りです 。そのため、アフリカの多くの国で、そこに暮らす農民の土地に関する権利を認めているわけですが、「モザンビーク土地法」に基づく農民の権利に関する理解はどのようなものでしょうか

この点について質問するのは、日本のNGO・「No to land grab Japan」の公開質問状へのJICAの返答には、「国有地」「政府が定めた土地利用制度」としか書かれず、農民の権利について一言も言及がありませんが、その理由は何でしょうか

これまでの議論では、当事業は「計画段階だ」と繰り返されることが多いのですが、他方で、2011年、2012年の合同ミッションに、入植や土地収用を希望するブラジル・アグリビジネス関係者が参加している理由は何ですか。またこれら企業の選定基準、選定プロセスはどのようなもので、選定者は誰ですか

当事業の関連で「住民移転」が予定されているようですが、その可能性はあるのでしょうか?また、その際「環境影響評価を実施する」ようですが、その時期と実施概要はどのようなものになるのでしょうか。また、森林伐採の可能性はどのようなものでしょうか。当然ながら、「環境影響評価」はマスタープラン作成前の実施と理解していますが、その理解で宜しいでしょうか。

次に農民の生活へのインパクトに参ります。
以上に示される現状において、過去3年~5年内のモザンビークにおける農業投資が現地農民に及ぼしている影響についての分析と理解についてお聞きしたいと思います。つまり、モザンビークだけでなく、アフリカ中で、外資による農業投資の現地農民に及ぼす負の影響が報告されていますが、このような現状と課題について何をどう把握した上で、事業立案に至ったのでしょうか

2012年11月15日のJICA担当者による報告の際、「特定農民組織と連携しているから農民組織と連携している」とのことでしたが、現地農民組織に関する具体的な情報、パートナーとして選定する(選定しない)プロセス、選定の理由を明らかにして下さい

過去においても現在も、モザンビーク北部小農は、国内の農業・食料生産の大きな部分を占める生産をあげており、中心的な役割を占めています。それは豊かな気候だけでなく、土壌、水、労働力によるところが多いわけですが、そのように有限な資源を、アグリビジネスと「共存」させるというのは矛盾があると考えます。

すでに報道などでは、ブラジルのアグリビジネスが土地収用を行い、輸出用作物生産のため、農業労働力として地域の小農を転向させる意向が述べられています。「異なる規模の農業の共存」との謳い文句が繰り返されますが、むしろ小農による食料生産手段、そのための資源へのアクセスが喪失させられるのではないでしょうか。

当事業ではモザンビーク内に並び世界の食料安全保障が目的に掲げられていますが、現在全人口の30%を超す人口が生存に必要な食料カロリーを摂取できない状態の国で、モザンビーク人の食料安全保障の問題をどのように位置づけているのでしょうか。

またアグリビジネスに開発を担わせるのは、GM(遺伝子組み換え品種)とバリューチェーンを巨大資本による導入にまかせることを促進することにならないでしょうか。外国企業が、農民の権利や食料安全保障に長年にわたり携わってきた現地農民組織より先に、この計画の初段階から調査に参加しているのはなぜでしょうか

最後に。以上の危惧は、日本の我々市民社会のものであるだけでなく、現地の市民社会が幅広く有しているものです。

そして補足になりますが、現地の農民組織をはじめとする市民社会の危惧の背景には、同事業がまさに「手本」とするブラジルのセラード開発の「負の遺産」があります。

日本ではセラードの成功面ばかりが宣伝されますが、「アグリビジネスとしての成功」の陰で、依然ブラジル国民の三分の一(5400万人)が栄養不良状態にあります(IBGE2010)。また「不毛で無人の大地を農地に変貌した」とされますが、先住民が土地を失い、得た仕事も「半奴隷的労働」と呼ばれる非正規のものが多く、食料不足に陥り、激しい土地闘争 が繰り広げられたことについて、また遺伝子組み換え種(GMO)が圧倒したことについて、モザンビークではよく知られています 。これらの点について、JICAが言及することはありませんが、このような現象について認識はあるでしょうか。どのように理解され、同じ事が繰り返されないための方策をどう考えているのでしょうか

注1. 土地取引面積の大きさにおいても第二位(*ただし報告されたものに限る) http://landportal.info/landmatrix/media/img/analytical-report.pdf
注2.外務省サイト(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/pdd/index.html)
注3. 2012年4月、11月に開催されたステークホルダー会合に参加した点については既に前回の定期協議会(2012年12月14日於外務省開催)で説明があったので、それ以外の点についてお教え下さい。
注4. FAOガイドライン「土地、漁業、森林の保有の権利に関する任意自発的指針」(2012年5月策定)
(NGO質問)「5. 本計画においてモザンビーク以外の国からの公的あるいは民間資本による農地取得(利用あるいは占有)は予定されていますか?(1) 権利取得が有り得る場合、対象となる土地の現在の権利状況、利用状況はどのようになっているでしょうか。」(JICA回答)「現時点では予定されておりません。同地域は国有地であり、モザンビーク政府が定めた土地利用制度に基づき、将来モザンビーク以外の国からの民間資本による農地利用の可能性があるものと考えます。」
(No to land grab Japanサイト http://landgrab-japan.blogspot.jp/2012/01/jica.html)
注5. セラード農業開発(PRODECER)導入後に生じた土地争議の分布図は右ページ。1981年に2,685農家が参加する土地闘争、83年に53、84年に65の土地争議が発生(Pessoa, 1988:181-182)
注6. Pessoa(1988); Mendonça(2009);Inocêncio (2010);Clementes & Fernandes (2012)

次の投稿へ
■援助とKAIZEN:プロサバンナで何故セラード開発が問題にされるかの一考察を通して
http://afriqclass.exblog.jp/17211838/
[PR]
by africa_class | 2013-01-25 20:35 | 【考】土地争奪・プロサバンナ問題
<< 援助とKAIZEN:プロサバン... 民主化とプロサバンナ問題:モザ... >>