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三角/南南協力の罠2~世界の議論(没政治性問題について)

毎日話題がコロコロ・・・変わっているのですが、私の一日はいつもこんな感じで進行ちゅう。昨夜は、上場企業の取締役さんとIT企業の社長さんと「耕作者」のおじさまと何故かバカラBaccaratにいた・・・のです。しかし凄いワインだった。あれは。まあ、それはいいとして。それは311以降止まってしまっている「社会的起業」を応援するプロジェクトとの関連で(何をしていたかは→http://afriqclass.exblog.jp/i21)。

さて本題。以下の投稿の続きです。
■三角/南南協力の罠~BRICSが自らを「南」に位置づけ行動の自由を確保するメリットの指摘から学ぶ
http://afriqclass.exblog.jp/17265850/

この三角協力・南南協力関係の研究は未だ始まったばかりで、第一人者である以下の二人が指摘するように、「実証研究」が不十分な状態にあります。なので、これも日本の研究者の皆さんの研究を促進するために、舞台裏をお見せしてしまいますので、是非どんどん研究・調査・分析に活用していってください。
<=取り組みたい人たちは世界ネットワークを紹介するので連絡を。なお、ここに書いていることは自由に使って頂いて構いませんが、論文等の中で利用する際は連絡ください。

なお、難しいのは、日本語で「三角協力」として推進されているコンセプトは、英語で、Tri-angularかTri-lateralか・・・という点です。以下の著者らは後者の立場をとていますが、私としては、あえてTri-partiesにしています。ここはもう少し熟考が必要かもしれません。

私のプロサバンナ事業に関する論考(三角協力についても言及しています)
→http://farmlandgrab.org/post/view/21574

1.Trilateral Development Cooperation: Power and Politics in Emerging Aid Relationships
by Cheryl McEwan and Emma Mawdsley Development and Change 00(0): 1–25.

2.The changing geographies of foreign aid and development cooperation:contributions from gift theory by Emma Mawdsley

特に、1.の論文はタイトルにあるように、「三角開発協力:新興諸国援助における権力と政治」に関するものであり、非常に的確な分析がされています。特に次の3ページの指摘は、私が自分のペーパーで述べたものと同様です。以下、1.だけ紹介しておきます。

"We suggest that the South–South dimension of the relationship is frequently constructed in depoliticized and essentialist terms, presenting a‘natural’ congruity between very different southern states. Policy-oriented analyses of TDC are generally reluctant to confront explicitly the inherently political nature of ‘development’ and the uneven power relations between different actors enrolled within it.

つまり、南南協力は構造として「非政治化」され、かなり異なる南の国々の特徴を「自然に(南の国だから)似通っているもの」という前提が提示されがちであるという点はその通りでしょう。非対称的な権力関係の軽視も指摘されています。面白いのは次のパラです。

The depoliticization of development, and assertion of supposedly universal norms and values, has long been identified by critics in relation to much mainstream North–South development. We extend these insights to TDC, and argue that critical theorists of foreign aid now confront power relations that are working through a more diverse set of actors within an increasingly complex ‘development’ arena."

開発の非/没政治化・・・が長年主流の南北開発に対する批判として行われてきたが、同じことを三角協力においても活用することできる。という点です。

で、三角協力の問題点
●OECD/DAC加盟国間にはるガイドラインが適応できない問題(パリ宣言との関係)(10ページ)
●複雑な関係や沢山の登場人物によるトランスアクションコスト(11ページ)
●貧困への没政治的アプローチの奨励(12ページ)*そもそも民主化・多元化促進へのパリ宣言の弱いベースよりもさらに後退させてしまう。
<=援助は外交のツールであることが多く、各国が別々の目標を抱いていることが多く、少なくともDACの中で議論され調整されてきた点(不十分ながら)すらも、尊重されない可能性が高く、それぞれの国の歴史や機構の在り方、政治文化に影響されがち。

「三角協力が、「水平的な協力」だという楽観的な見方には、注意が必要(13ページ)。」

そしてブラジルについて詳しく17ページから検討されています。
●ブラジルは国内に大きな貧困層を抱えている。しかし、国外にリソースを振り分ける事を、「利他的なリージョナル、グローバルパワー」と称して正当化している。BRICSの一員としての見せ方。
●特に、ポルトガル語圏諸国への協力によってそれを強調する傾向がある。
●しかし、そのリターンとして、貿易に関する合意、技術移転や外交得点を稼いでいる。
●左翼的思考によって特徴づけられた「南の一員として国際連帯のイメージ」を傷つけることなく、先進諸国と手を組むツールになっている。

その他、読めていないものの三角協力の関連研究でチェックしておかねばならないもの。
Abdenur (2007); AECID (2010); Altenburg and Weikert (2007); Chahoud (2008);Fordelone (2009); Kumar (2008); Mehta and Nanda (2005).
この三角協力の受け手の側でどのような影響があるのかについては、もっと実証的な調査分析が必要という指摘はその通りだと思います(Cabral and Weinstock, 2010)。

南南協力という言葉で、「権力関係」を抜きに考えることの危険は本当にその通りですね。
そして、その帰結の危なさを次の投稿に書き始めました。

■三角/南南協力の罠3~モザンビーク住民に暴動されるブラジル企業進出と日本援助(ナカラ回廊PJ)の関わり
http://afriqclass.exblog.jp/17274648/
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by africa_class | 2013-02-06 17:14 | 【考】土地争奪・プロサバンナ問題
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