ブログトップ

Lifestyle&平和&アフリカ&教育&Others

afriqclass.exblog.jp

ビルマ援助による土地収用とプロサバンナ問題、国際土地学会(5月30―31日@京大)

プロサバンナ事業で直面した日本における土地問題への無関心さ。
■同事業に関してはこの引き出し→http://afriqclass.exblog.jp/i38/
誰か土地問題を研究してほしい…。
そう声をあげてもう半年以上。誰も連絡くれない。

日本の若者にはアピーリングなIssueではないようで。
やっぱりあれ。BoPとかWin-Winとかそういうのが好きなんだよね。
日本の開発研究者らも、何故かあまり興味のない土地問題。
でも、経済成長一辺倒路線の影で何が起きているのか・・・・明るい話題でないことは間違いない。

が、メゲズニ以下、1.事例紹介、2.私のプロサバンナ事業を通しての理解、3.国際研究動向を示しておきます。誰か名乗り出てくることを期待しつつ、待っている余裕もないので、結局私が専門家になるしかないと覚悟を決めて、既に研究を開始しました(まあ暴力と平和を民衆の立場から考えるという意味で、まったく専門外ではないものの)。が、You are always welcomeです。バトンタッチできるのであれば、したいと切に願う私でした。

それしても、世界の研究動向から大きく逸れてる日本の研究事情は、やはり政府系のところから調査や研究費をもらっているからなんでしょうか。いつか誰か教えてほしい。

1.ビルマ/ミャンマーで日本開発援助が住民立ち退き
2.繰り返される日本の援助による土地接取の何故?
3.土地収奪問題に関する国際的な議論

1.ビルマ/ミャンマーで日本開発援助が住民立ち退き
そしてそんな日本の研究業界のお寒い状況が、日本の援助による土地収用や住民立ち退きを招き始めている。今日入ったニュース。

■ミャンマー3千人に立ち退き迫る 日本が開発の経済特区
http://www.47news.jp/CN/201302/CN2013020801001929.html
 【バンコク共同通信2月8日】ミャンマーの最大都市ヤンゴン近郊にあり、日本が官民挙げて開発を進めるティラワ経済特区で、開発に伴い約3千人以上の住民が、同地区を管轄するヤンゴン地域当局に強制立ち退きを迫られていることが8日分かった。住民らは同日付で、テイン・セイン大統領に抗議の書簡を送付した。(中略)
 関係者によると、ヤンゴン地域当局は1月31日付で住民らに対し、14日以内に立ち退くよう通達。従わない場合は、30日間拘束するとしている。(後略)

■メコンウォッチのプレスリリース(2月8日)
ODA支援案件「ビルマ(ミャンマー)・ティラワ経済特別区開発」で強制立ち退き500世帯 強引な立ち退きと人権侵害の防止を訴え、外務省・JICAに要請書を発出

http://www.mekongwatch.org/resource/documents/pr_20130208.html
以上記事掲載以外の情報。「これら住民の多くは2012年12月下旬、口頭で初めて、一方的に、立ち退きについて知らされた。移転にあたっては、代替地も用意されておらず、住民の主な生活の糧に対する補償措置も一切検討されていない。すでに12月下旬、近隣の貯水池からの灌漑用水の供給を当局により止められ、農業ができなくなっている地域も出ている。さらに、住民らが会合や書簡の作成・提出等、さまざまな活動をしようとしているが、ビルマ軍関係者が村内での会合を監視したり、住民リーダーに情報の提出を求めるといった状況である。」

2.繰り返される日本の援助による土地接取の何故?
ああ・・・21世紀になろうとも、日本の公共事業の「輸出」が繰り返されている。日本の開発援助(ODA)、まだこんなやり方やってるんだ。
「政府同士がやるのがODA」「政府との合意が当たり前。」
「住民の説得等は受益国政府がやる。」
「そこにしゃしゃり出るのは主権侵害。」
プロサバンナ事業が最初に問題化した時、政府関係者が繰り返した言葉。
しかし、相手は軍事独裁政権。選挙をしたと言っても議席の大半は軍人が握る。

こういう政府との「合意」を盾に平気で住民の権利侵害を行う日本の政府開発援助(ODA)、いや「国際協力」って、一体何なのだろう。JICAの皆さんも、そういう援助やりたくて機構に入社したのだろうか?自分たちの生活を守るために立ち上がった住民を危険な目に晒すとは・・・。

ん?まてよ。これなんか聞いたことある・・・と思うのは、このブログの読者の皆さまでしょう。
■ブラジル企業へのモザンビーク住民の暴動
http://afriqclass.exblog.jp/17274648/
■ブラジル・セラード開発で起きた土地を巡る農民らによる土地紛争
http://afriqclass.exblog.jp/17211838/
■モザンビークの土地問題
http://afriqclass.exblog.jp/17017188/
■プロサバンナ事業についての私の講演の記録(11月15日)
http://afriqclass.exblog.jp/16942666/
http://afriqclass.exblog.jp/16942699/
以上を読めば、大体分かる。

でも、以上のビルマの件をよく理解するために、一番読んでほしいのは以下の投稿。タイトルが悪くてあまり読まれていなかったので、タイトルを変更。ずばり、「民主化とプロサバンナ問題」です。

■日本の開発援助が民主化促進と逆行する傾向について(プロサバンナを事例に)
http://afriqclass.exblog.jp/17210917/

私が言いたい事。
やっぱり、これは多くの南の国々の、特に権威主義や独裁体制下の貧困層にとって、「土地」という物理的なものを超えて、住民の「主権」と「尊厳」、「生活」と「命」の問題なのです。そして民主主義の問題でもある。これを、日本が開発援助を通して、「政府間」「経済成長を通じた貧困削減」「官民連携win-win」などと言うキャッチを使って、踏みにじり続けている・・・・問題なのです。

<=私の問いは一つだけ。それでいいんですか?そんなために私たちの税金使うんですか?

でももっと根源的に、何故日本が開発援助でこんな立場を繰り返すのか?それは、すばり。日本社会自体が、住民の「主権」「尊厳」「生活」「命」を軽んじてきたからです。その典型が、福島原発事故とその後にみられます。そここそ、私が、アフリカの問題と福島の問題の両方に、深くコミットする一因です。

3.土地収奪問題に関する国際的な議論
さて、世界ではかなり研究・調査が蓄積されつつあります。既にこのブログで紹介した情報を最初に挙げておきます。

■コーネル大学でのグローバル土地争奪問題第二回国際会議
http://afriqclass.exblog.jp/17178906/
■アフリカ土地収奪問題のデータ
http://afriqclass.exblog.jp/16415050/

そして嬉しいことに、土地問題をめぐる国際会議が今年5月30日~31日に京大で開催されます!
■ 2013 Law and Development Conference “Legal and Development Implications of International Land Acquisitions” Kyoto, Japan, 30-31 May 2013
http://www.lawanddevelopment.net/news.php

ちょっと学会のタイトルでは、何のことか分かりづらいのですが、研究発表予定をみると、大体がLand grabbingや土地収用に関わる問題を取り扱っています。開発援助の問題も取り上げられている一方、グローバル企業の関与や法制度の問題なども、幅広く発表される予定です。ケースは、カンボジア、エチオピア、ボリビア…と世界に広がっています。基調講演が、土地問題の中でも特にアフリカの専門家。素晴らしい。マンチェスター大学との共催。

コーネル大学といい、マンチェスター大学といい、英米の老舗の大学。京大がこれをホストするのはとっても良いことですが、日本で知られてなさすぎで、そして研究されてなさすぎで、日本からの発表者が主催者1人のみ・・・後は世界中からくるのに・・・というお寒い状況。開発学の人たち、こういうの本当に興味ないのかな・・・と疑問が深まるばかりな私でした。結局、何故か私が発表する羽目に。

【会議の目的】
アフリカ、南米、東南アジア、東欧でのドラマティックな大規模な土地収用が、グローバル問題として2000年代後半から認識されるようになってきた。多くの議論や分析は、「Land grabbing(土地争奪/収奪)」問題へのフォーカスは、環境や社会への影響についてのものであるが、法的また開発学的な影響についてはまだ十分研究されているとは言い難い。この会議は、国際的な大規模な土地収用を、「法と開発」的観点からフォーカスし国際・国内・ローカルレベルでの多様な法的枠組みを検討することを目的とする。研究者から実務家まで、批判的法的研究、法人類学、開発学、国際比較法、法歴史学、人権研究、資源管理、法的文化研究、政治経済学からの貢献をウェルカムする。

【基調講演者】
我が大学とも協定があるライデン大学の方です。タイトルが刺激的。これ聴き逃すとかなり後悔しそう。
Liz Alden Wily, Independent Land Tenure Specialist, Nairobi
"Law and Land Grabbing: “Communities and Commons are Dead” Or Are They? Re-examining the case through land law"
http://www.law.leiden.edu/organisation/metajuridica/vvi/staff/liz-alden-wily.html

Wily氏は、以下非常に重要な記事を書かれています。
■How African governments allow farmers to be pushed off their land(どのように、アフリカの政府は農民たちを彼らの土地から追い出しているか?)
http://www.guardian.co.uk/global-development/poverty-matters/2012/mar/02/african-governments-land-deals
「サハラ以南アフリカの90%近くの土地が現在所有者がはっきりしない。法的所有者がいない形で、これらの土地は国家のものとなり、これが外国投資家への貸与を容易にしてしまっている。」
とはじまります。凄く重要な指摘が多いので是非ご一読下さい。

土地収奪と土地法の問題については、長らくこの問題に関与してきた国際NGO・GRAINのインタビューに詳しくあるのを紹介しました。英語の勉強にもなるので原語のインタビューも是非どうぞ。
■GRAINのインタビュー全訳
http://afriqclass.exblog.jp/17062266/
[PR]
by africa_class | 2013-02-09 18:11 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ
<< 【抵抗の音楽】講義(2013年... オープンセミナー@東大2月28... >>