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七変化するプロサバンナ事業:「ブラジル・アグリビジネス」の切り離し&農民間分断工作の現在

昨日土地問題と一緒に書いたのですが、重要な問題なので再掲載しつつ、根拠を示しておきます。

目まぐるしく展開しているので、まず簡単にこの間の動きと変化をまとめておきます。

●プロサバンナ事業の七変化
①国際力学の変化、国連改革のため、また移民100周年を受け、日本とブラジルは戦略的パートナーシップを象徴するプロジェクトをやろうよ。
②援助卒業国が続出の南米やアジアへの日本の援助関係者を活かせる道はアフリカのみ。
③じゃあ、「JICAがやったブラジル・セラード開発万歳!これをアフリカ中に持ってくるぞ~」という教訓から学べない安易な発想と威勢のいい掛け声が、
④そこで強調されるのが「ブラジル・セラードとモザンビーク北部の農学的類似性」(しかし調べてみたらあまりに違っていた。ほとんど人が住んでないと思っていたら、人口密集地であった。ので緯度と雨季乾季サイクルぐらいしか言えなくなったが、いぜん類似性がさりげなく強調される)、
⑤ビジネスチャンスに群がるブラジル人たち(そして援助関係者)、
⑥不安を掻きたてられたモザンビークの住民や市民組織の抵抗を受け、
⑦日本でもNGOによってついに問題化され、
⑧当初は「ブラジル・セラード開発万歳!」を死守しようとしたものの、
⑨否定できない証拠を突きつけられて、
⑩「セラード開発はモデルでない」といってみたり、
⑪モザンビーク大臣に「土地は奪われない」といわせてみたり(しかし同じ談話で⑩を覆してしまった・・)、
⑫ブラジル・アグリビジネスを切り離そうと別ミッションにしてもらったり、
⑬本当のことを話し過ぎたブラジルの人達には口止めをしてみたり、
⑭もっとひどいことに、現地の農民を分断するために、「農民融資」「クイック・インパクト・プロジェクト」なる「ニンジン」をぶら下げて、「賛成している農民もいる」を急いで演出中。

本当に、情けない。
それにとどまらず、自らのズサンな開発計画事業の汚点を埋めるために、現地社会に分断を生み出して、挽回を図るなどという・・・のは、本当に罪です。

「モザンビーク北部農民の支援」が一番の目的と今更いうのであれば、最初からそこから立ち上げれば良かったのです。ブラジル・セラード開発などを言わなくても、彼らを尊敬し、愚直に彼らの声を聴き、愚直に寄り添えばいい。今回、「いまだにこういう手法やってるんですが」と皆が驚いています。

さて、では現在JICAと外務省が慌てて強調する、プロサバンナ事業は、
(1)貧困と飢えに苦しむモザンビーク政府の要請である
(2)セラード開発をモデルとはいっていない
(3)ブラジル側の野心は日本の関与マターではない
(4)ブラジル側の関与は技術支援に留まる
という点について反論してみましょう。

1.ブラジル・セラード開発を出発点とする
プロサバンナ事業は、ブラジルのセラード開発を成功と位置付け、「日伯連携による熱帯サバンナアフリカ農業開発」としてスタートされ、モザンビークを対象国として第一段階を迎え、アフリカの色々な国に持ち込むことを想定され打ち上げられた開発援助計画です。以下、JICA自身の説明です。

「かつて「モ」国と同様に広大な未開墾の熱帯サバンナ地帯を有していたブラジルは、1970年代から我が国と農業開発協力(セラード開発)に取り組み、いまやセラードは大農業生産地帯へと発展した。その知見や農業技術を日本と連携して熱帯サバンナが分布するアフリカ諸国に移転し、そして日本とブラジルは農業開発支援を行うことを検討してきた。今般「モ」国は比較的安定した政治状況にあること、また前述の「モ」国北部熱帯サバンナに高い農業ポテンシャルがあることなどから、日本・ブラジルの三角協力による農業開発の支援対象国として「モ」国が選定された。 http://www.jica.go.jp/project/mozambique/001/outline/index.html (2011年2月ナカラ回廊プロジェクト)」

2.プロサバンナ事業の参照事例としての「セラードの成功」
(1)プロサバンナは必ず「セラードの成功」物語から
話されます。これまでのJICA資料の全てがそうです。その他にも例えば…。

●農業の三角協力でアフリカに参入(JETRO中米課2012年08月21日 )「アフリカで日本、ブラジル、モザンビーク3カ国による農業開発事業が始動。かつて日伯協力で実現したブラジルの農地改革の経験をモザンビークに応用しようというもの」。
●褐色のサバンナを世界の食料倉庫に(JICA2012年08月24日)「日本とブラジルには、1970年代から約20年にわたる農業開発協力事業により、不毛の大地とされたブラジルのセラードを、世界の食料倉庫へと発展させた実績があるが、この実績・経験をアフリカの熱帯サバンナ地域の農業開発に生かしているのが、プロサバンナだ。」

(2)日本政府が公式見解とするモザンビーク農業大臣の談話
には、次のようなコメントがあります。

プロサバンナは30年前にブラジルでなされた二国間(日伯)協力のレプリカ(複製)である」(2012年12月26日AIMモザンビーク情報局)

<=しかし、「ブラジル・セラード」との類似性が主張されても、ブラジル・セラードとモザンビーク北部は全く異なる特徴が。北部はモザンビーク国最大の穀倉地帯で肥沃な大地と水、人口密集地。「農学的条件」はまさに異なっているのです。それを知らないままに、緯度や気候の共通性程度で立ち上げられた事業。しかし、宣伝文句はいつもセラードから始まるため、
<=セラードでみられた森林の大規模破壊、住民からの土地接取、大規模な近代農業・・・がモザンビーク北部に持ってこられると想起されるわけです。

3.セラード開発への批判が高まってきたための「セラード開発をモデルにしていない」との主張
JICAは「セラード開発=成功」の一辺倒で押せ押せムードだったものの、このブログで紹介するように、当該地域の地元の先住民族やそこに暮らしてきた人びとは、この開発により土地を奪われ、それを取り戻すために激しい土地紛争を繰り広げ、裁判をやったものの、生活手段を奪われ、都市に流れていき貧困層を形成した・・・というブラジル内ではよく知られ問題化されていることが、日本でも知られるようになってきました。
<=この知見は、ブラジル学術界では1988年来周知の事実。
<=現地市民社会も、セラード開発問題についての知見を蓄えています。

ブラジルでセラード開発批判があることを、JICAは当初、全面否定していましたが、具体的な資料が次から次へと出てくることに直面し、ここ最近は、「セラード開発はモデルではない」と繰り返し主張するに至っています。(苦しいですね・・・)

一方、ブラジルもモザンビークサイドも、「セラード開発を持ってくるんだ=大規模農地開発」との理解を現在でも隠していません。以上の農業大臣の「レプリカ」発言について、外務省は先日の意見交換会で「技術のこと」と言い張りますが、普通に聴いてそうは聞こえないのでは?実際、JICAが繰り返しセミナー等で使う写真は、広大な農地に延々と単一作物が栽培され、大型機械が行ったり来たりしているものばかり。先日のJICAが協力(というが全面的に関わった)テレビ東京の番組でも、同様の映像や写真が。そこまで宣伝しておきながら、「セラード開発の違った部分を・・・・」というのは、苦しい言い逃れ・・・。

4.ブラジルの狙いはモザンビーク北部の肥沃な土地
そして、ブラジルサイドのプロサバンナへの関与の目的は、ずばり「土地」。大規模農業で儲けを拡大してきたアグリビジネスにとって、もはやブラジル内には安価な土地はない。アマゾンを切り拓いていくのには国際監視もある。ということで、国外に農地を増やすというのは、彼らの「儲け拡大システム構築」のために不可欠。なぜなら、農業で儲けるには「土地」「水」は不可欠だから。単位当たり収量をこれ以上は伸ばせないこともあり、外に求めていくしかない。それは、アメリカのアグリビジネスとて同じ。
 かくして、土地争奪戦が繰り広げられているのですが、それを象徴する言葉を日系ブラジル議員のルイス・ニシモリ氏が議会TVで嬉しそうに語っています。自分の目で確かめましょう。

TV CAMARA Palavraberta 2012年6月27日放送 
http://farmlandgrab.org/post/view/21652
この合意はなによりもブラジルのセラードの経験をアフリカのサバンナに移植するために形成されたのです。この地域ではヴァーレ社(*筆者注:現地農民と土地問題で衝突中)なども石炭や鉄鋼といった鉱物資源の採掘を行っています。そこに今度は我々のブラジル人農業労働者を連れていくわけです。ブラジルにおいて農業を行いたくとも土地が不足している若い人たちです。多くの農業専門家が育成されていますが、無職の状態にあります。そういった人々が挑戦できるでしょう。特にブラジル南部の土地の不足した地域で4ヘクタール、5ヘクタールといった規模で農業を営みながらも、近代的で大規模な農業を行いたいと思っている若い営農家にとっては多くの機会を提供するでしょう。」
全訳は→http://afriqclass.exblog.jp/17331007

そして、ロイターの記事などにもセラード地域の綿花企業が以下のように語っています。
2011 年8 月15 日 “INTERVIEW-Mozambique offers Brazilian farmers land to
plant”http://af.reuters.com/article/commoditiesNews/idAFN1E77E05H20110815
ブラジルでは価格が高く環境に関する規制が多いことから農地取得のリスクが高く、『モザンビークの土地の価格は無視できない』とも述べている。モザンビークでは許可を得た生産者は1 ヘクタール当たりたった21reais(1 エーカー当たり$5.30)の税金の支払いの他、農業機械の輸入において関税の免除を受ける。ブラジルでは、最も生産能力が高い土地で生産するには35,000reais/ha が必要であり、インフラ整備が整っていない北部のサバンナでも5,000reais/ha のコストが発生する。」

5. ニシモリ議員はただの1議員・・・盟友を切り離しにかかる
ブラジル人の多くは話すのが好き。ということで、JICAや日本政府に都合の悪いことばかり、都合の悪いタイミングで、本音で話してしまう。議会テレビでまでも。

これを「誤解」「意志疎通の不足」というのは、外交上あまりに苦しい。何故なら「日伯連携」が軸の事業。三角協力だし。ということで、「ただの1議員」「ブラジル政府を代表しているわけではない」と、UNACの外務省での表敬訪問の際にJICA本郷氏は慌てて付け加えた。なお、その際このビデオの存在は、彼以外のJICA出席者は知らなかった。(出席者一覧は→http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-10.html)

つまり、本郷氏は知っていて同僚たちに伝えなかった・・・ということですね。
しかし、ニシモリ議員は「個人として」「ただの議員」で「政府を代表しない」わけではないことは、JICA自身が知っている通り。以下、JICA広報記事です。

JICAトピックス(2012年5月14日)
http://www.jica.go.jp/topics/news/2012/20120514_02.html
「日本、ブラジル、モザンビークで官民合同ミッション-ナカラ回廊への農業投資促進を目指す」
「官民合同ミッションに参加したのは、日本からJICAアフリカ部の乾英二部長を団長に、企業8社と農林水産省、経済産業省、外務省の19人、ブラジルからはルイス・ニシモリ連邦下院議員を団長に農業生産者や農業機械メーカーなどの17人、モザンビークからは農業省など複数の省庁・機関の18人。モザンビークの首都マプト、ナンプラ州、ニアッサ州を訪問(後略)
 今回のミッションへの参加を通じ、日本、ブラジル、モザンビークの関係者が同じ意識を持って役割分担をしながら開発に参加していくビジョンが共有された。」

お読みになると分かる通り、この合同ミッションのブラジル側の団長はニシモリ議員です。そしてプロサバンナ事業の一環で実施されたミッションであり、ご丁寧に「同じ意識を持って役割分担」と結論づけてらっしゃるのは、当のJICAではないでしょうか。

そして、このミッションからの帰国直後に、現地の日本語新聞に、ブラジル側の役割についてこう語っています。「我々は農業者の入植をしっかりバックアップしていきたい。」(ブラジル・ニッケイ新聞2012 年5 月1 日)
http://www.nikkeyshimbun.com.br/nikkey/html/show/120501-71colonia.html

その上で翌6月に、議会テレビであのように語っているわけです。
先週の第二回プロサバンナ事業についてのNGO・外務省意見交換会では、JICAからニシモリ議員とこの件で懇談したとの話が披露されましたが、これは「口封じ」。

プロサバンナ事業のブラジル側のキーパーソンが、公の場で語っていることは「嘘」でも「誤解」でもなく、「本当のこと」ではないのでしょうか?むしろ、彼を注意するのではなく、口を封じるのではなく、「ブラジルにとっての本当のこと」という現実について、事業立案者として、三角協力のパートナーとしてどう考えるのですか?ということが、一番知りたい事なのですが

大体、さんざん「セラード開発の成功をアフリカへ!」という宣伝をして、セラード開発の話ばかりやって、ブラジル側がこう受け取らないわけないですよね?下心あってそう解釈したとしても、それを誘発したのは、日本側の安易なる打ち上げ花火のせいではないか・・・それは外務省も否定していませんでしたが。

6.プロサバンナからブラジル・アグリビジネス切り離し工作
次から次へと、JICAがいっていることとは異なる現実が立ち現れるのことに直面し、JICAや日本政府は、今度はモザンビークの肥沃で安価な土地を狙うブラジルのアグリビジネス企業らを、プロサバンナ事業から切り離そうと躍起。日本の税金でブラジルの新植民地主義的な進出を助けるのか・・・という批判に対処するためです。

しかし、2009年プロサバンナ事業をぶち上げることで、一度火が点いたブラジル・アグリビジネスが止まるわけもなく、何せブラジルと比べ土地の値段は3000分の1、かつ北部のこの地域は肥沃です。そのため、三角協力のパートナーである日本が観て見ぬふりをする中、当初はプロサバンナ事業の枠内でオペレートするつもりだったブラジルの企業たちは、「プロジェクトの枠外」で土地収用を含むビジネスを開始させようとしています。

現地新聞によると、先月末も、プロサバンナ事業のブラジル側パートナーであるニシモリ議員の出身州で、同議員がモザンビーク進出の主体としてターゲットに置くと表明していれうパラナ州(ブラジル南部)から、20名のアグリビジネス企業関係者が、プロサバンナ事業対象地(ナンプーラ、ニアサ州)をわざわざ訪問しています(2013年2月22日Correio da Manhã )。

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この10か月前には、プロサバンナ事業のための合同ミッションと称して、ブラジルからニシモリ議員を団長としてやはり20名近くのアグリビジネス企業関係者が、日本の官民主体とともに現地を訪問したことについては先に述べた通り。

しかもタイミングがJICA理事長の訪問と同じだった。
モザンビークでは、「当然ながら両者(プロサバンナや日本とこれらのブラジル・アグリビジネス)は無関係ではないのに、無関係に装われているのがより不信感を招いている」と言われています。

ここら辺の問題は、モザンビーク農民組織UNACのプレゼンをご覧ください。
→http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-11.html

「日本の援助スキームから切り離したから良い」ではなく、このようなブラジルのアグリビジネス進出を安易に誘因してしまった2009年の「日伯連携による熱帯アフリカ農業開発(プロサバンナ事業の原型)」合意の罪は、本当に大きいと思います

この点については、先日の「第二回プロサバンナ事業についてのNGO・外務省との意見交換会」でも、外務省も認めている通りです。

ブラジル側の野心は、ブラジル側に取材した人達からも、しっかり書き記されています。ここにも土地の入手と遺伝子組み換えの導入が肝となっていることが分かります。
27 February 2013 "Lessons from Brazil in Mozambique's Nacala Corridor"
By ELEANOR WHITEHEAD "Brazil is helping develop Mozambican agriculture by promoting large-scale farming and supporting smallholders. Can it do both at once?"
→http://www.thisisafricaonline.com/Business/Lessons-from-Brazil-in-Mozambique-s-Nacala-Corridor?ct=true
途中にプロサバンナが出てきて、其のあとにブラジルサイドの目的が「土地」「遺伝子組み換え種」の導入を切望していることが分かります。

7.原発事故後の政府対応と同じ構図
それにしても、こういう隠蔽に次ぐ隠蔽に現地の皆さん、他のドナーも、呆れています。リスクも検討せずに、安易にぶち上げておきながら、問題化したら、「画策し、隠す・ズラす・『大丈夫』と何度も宣伝する、なかったことにする、工作して賛成派を創り出す」・・・。

反対する人がいるのに、それに丁寧に対応するのではなく、賛成派を増やす工作(バラマキ)によって切り崩しと封じ込みを図り、「地元のため」と称して持ち込まれる公共事業。

日本における「迷惑施設」導入時の公共事業におけるポリティックスの常套手段です。ダムしかり、原発しかり。そういうことを、「自分たちの面子と利権・援助事業を守る」ため、国外の16年の戦争を戦ったモザンビーク北部の農村で、展開しているのです。

自分たちは上手くやっているつもりかもしれません。あれやこれやの手を打って、乗り切れればと考えているかもしれません。しかし、そういう一挙一動が、現地の人達に大きな不信感と嫌悪感を招いていることについて、どれぐらい自覚してらっしゃるのでしょうか?現地の人びとに、すべは御見通しだなんて、思ってもみないことなんでしょうね。。。

JICA関係者以外の皆さんは知らないでしょうが、UNAC来日まで、JICA内でまことしやかに囁かれていたことにそれは象徴されます。プロサバンナ事業に反対を表明したUNACについて、「反政府勢力だ(含意:だから無視していい)」、「あんな立派なポルトガル語書けるはずがない(含意:何も分かってない、ブラジル人に教えさせなければ)」、「ブラジル人が書いたのだ(含意:だから後ろに操っている奴がいる)」。そこには、明らかに人種差別と当事者軽視の視点がはっきり映し出されています。

実の所、このような「アフリカ人<ブラジル人<日本人」という見方の構図こそが、プロサバンナ事業の立案の根底に脈打つ問題なのです。


8.援助業界の皆さまへ
議員会館で、タンザニアとザンビアで7年農業指導をしたというコンサルの杉本さん(杉崎さん?あれだけ繰り返し発言の機会を要求するにも拘わらず、ご所属もフルネームもおっしゃらず匿名状態。後で、あの話方は「JICAの彼」に似てるよね・・・と評判になったほど)という方の発言やその発言の仕方にそれは如実に表れていました。是非、録画が公開されているので、各自で見てほしいのですが、モザンビークの当事者の、しかも農民2200組織の代表に選ばれ自身も農業を営んでらっしゃるマフィゴさんに対して、指を指し、大声で繰り返し批判し続ける・・・・その姿に、日本の農業コンサルの人達のアフリカ農民への姿勢の一端みたいなものを観てしまった想いで、皆心底恥ずかしい気持ちになりました。
●議員会館での学習会動画→http://youtu.be/Ywdyqa6SqmQ
●この点についての私の考え→http://afriqclass.exblog.jp/17398434

「アフリカ農民は何も知らない、教えてやる対象である」

この間みられた、当事者を前にした、JICAの方やこの農業コンサルの対応にみられる傲慢さが、このような援助スキームを生み出し、問題化した根っこにあると、モザンビークの皆さんは来日して確信してしまったのです。「ああ、だからセラード開発は地元農民を駆逐し、プロサバンナみたいなものが出てくるんだね」と。

口でいくら「農民支援」を繰り返しても、次から次へと出てくる「農民蔑視」。人種差別や偏見を伴った根深い問題なのだと、改めて感じました。

モザンビーク北部農民の暮らしに寄り添って19年。彼らの畑での生活での創意工夫が、彼らが日本の専門家などいなくてもここまで生きてきたことへの敬意が、どこにも見当たらない。そんなリスペクトのない人達が担う、日本の皆さんの税金が支える援助機関に、一体どのような存在意義があるのだろうか・・・とまで考えずにはいられなかった1週間でした。

そもそも、モザンビークが独立してから40年近く。日本はモザンビーク北部の農業生産にさしたる貢献はしてこなかったのです。何度も書きますが、JICAや日本大使館が同国に拠点を置いて十数年しか経っていないのです。日本がいなくても、ブラジルがいなくても、この地域は同国の穀倉地で国民の食料を支え、復興に重要な役割を果たしてきた。勿論、足りないところは多々あります。でも、まずは以上の事実を踏まえるべきではないのでしょうか。

勿論、JICA関係者や開発コンサルの全員が以上のよううだといいうことではありません。そうでない人を沢山知っています。尊敬されるべき現場主義の皆さんもいらっしゃいます。しかし、そうであればこそ、何故これほどまでに当事者の尊厳と主権を踏みにじる人が前面に出続けるのでしょうか?

それはJICAや開発コンサル業界全体としての問題であり、内部で改革されるべき点だと思います。皆さんがこれらの人達と一緒にされたくない、と思うのであれば、我々やモザンビークの人びとに反論しても仕方なく(勿論反論ウェルカムですが)、まずは自分たちの内部で話し合ってみてはいかがでしょうか?それこそが、健全だと思うのです。皆さんは、PCMとか改善とか、そういうことを自分が共同で運命を担わない人達に対して「先生」としてやっています。そういうことを、内部の様々な方々と「援助コミュニティ」としてされたことはあるのでしょうか?

今、わが身をふり返るチャンスでは?自分たちの業界に対してやってみてはいかがでしょうか?でなければ、今まで以上に援助の理解者を減らしていくことでしょう。(ちなみに、皆さんご存知の通り、私はTICAD IV時にアフリカ向けODAが倍増になるように尽力しました。そしてそれを実現しました。しかし、今それが如何に愚かなことだったか・・・と猛省しています。)

このような当事者不在の公共事業は、援助だけではありません。とても身近で発生しています。「復興」「復興」といって、当事者やコミュニティを置き去りにして、進められる現在の復興政策と同様です。一番寄り添うべき当事者ではなく、ビジネスチャンスを狙う企業とばかり話を進めている。プロサバンナが、官民合同ミッションなるものを、現地の農民組織と相談するずっと前に繰り返していることにこれは表れています。

援助は日本社会の鏡。
私たちの中の当事者主権への意識の薄さ、差別・偏見が、善意の裏の利権や驕りが、今問われるべき時だと思います。

勿論、私も例外ではありません。日々のモザンビークの仲間との実践の中で、反省し学び一歩ずつ前を歩いている状態です。

過ちは誰でも冒します。
変えることは可能です。
過ちを認められれば。
そして、変えるという決意があれば。

変えましょう。
自分から。
仲間から。
遅くありません。
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by africa_class | 2013-03-10 11:39 | 【考】土地争奪・プロサバンナ問題
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