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アフリカ学会@東大(5/26)「グローバル下アフリカにおける農業投資とODA~セラード開発とプロサバンナ」

続けて、日本アフリカ学会での発表要旨を掲載しておきます。
日本アフリカ学会は、2013年5月25日ー26日まで、東京大学駒場キャンパスで開催。
詳細→http://www.jaas50.com/
参加費はかかりますが(学生3000円)、沢山の発表があって本当に面白いです。

私の発表は、26日(日)午後です。
プログラム→http://www.jaas50.com/zantei.pdf

本報告は、近刊の本の一章に基づきますが、最近のブラジル・セラード開発に関する学術論文も追加で参考にします。なお、同章の中身については、英語・ポルトガル語版がダウンロード可能です。
"Analysis of the discourse and background of the ProSAVANA programme in Mozambique – focusing on Japan’s role" (2013 Jan.)
by Dr.Sayaka FUNADA CLASSEN
【英語版】http://farmlandgrab.org/post/view/21574
【ポルトガル語版】http://farmlandgrab.org/post/view/21802

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グローバル下アフリカにおける農業投資と政府開発援助の一考察
~セラード開発とプロサバンナ事業の比較から

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舩田クラーセンさやか(東京外国語大学 准教授)

Analysis of Agricultural Investment and ODA in Africa under Globalization
-focusing on the Cerrado development and ProSAVANA-
Sayaka, FUNADA-CLASSEN (Tokyo University of Foreign Studies)

「長い16世紀」に開始したグローバリゼーションは、冷戦終結から二十数年を経た現在、世界中の人びとの日々の生活レベルにその影響を及している。その影響の濃淡やあり方は、国や地域、集団や人びとによって大きく異なるとはいえ、「影響が及んでいる」という点についてはおおよそ同意が得られるであろう。
植民地支配や資本主義経済の流入後も、その「周縁性」によりある程度は自律的な生活を営むことが可能であったモザンビーク北部農村地域であるが、近年の加速化する外国からの投資(鉱山・農業開発)によってこの地域も大きな影響を受け、地域住民、とりわけ小農らは、様々な課題に直面している。なかでも、外国企業等による土地の争奪(land grabbing)が急速に進行し、各地で地元農民から土地が奪われる事態が発生している。

同様の事態は、世界中とりわけアフリカで急速に進んでおり、各地で農村住民の異議申し立てが観察されている。中でもモザンビークは、世界第二位の土地取引件数と面積が報告されており(LandMatrix2012)、土壌が良く水もある北部がターゲットとなっている。

そんな中、日本政府とブラジル政府は、「熱帯アフリカ農業開発の促進」を掲げ、モザンビーク北部で大規模な農業開発を行う「プロサバンナ事業」を、モザンビーク政府とともに開始した。これに対し、2012年10月11日、モザンビーク最大の農民組織・UNAC(全国農民連盟)は、プロサバンナ事業への抗議声明を発表した。

以上を踏まえ、本報告では、モザンビーク小農の異議申し立ての根底にある現在の「農業投資」がアフリカで引き起こしつつあるいくつかの課題について、同事業がモデルとするブラジルで行われた大規模農業投資事業(セラード開発)との比較によって考察する。本報告は、次の手順で行われる。

1.世界的な農業投資の加速化とアフリカにおける土地収奪問題の概要
2.モザンビークにおけるプロサバンナ事業への農民組織の異議申し立ての概要
3.ブラジル・セラード開発による先住民への影響の考察
4.以上に基づくモザンビーク北部小農へのインプリケーション

本報告がベースにするのは、1.については統計資料や国際機関の報告書、2.農民組織の声明や筆者によるインタビュー結果、3.セラード開発に関するブラジルの先行研究(特に、先住民や小規模あるいは土地なし農民への影響に関するもの)である。

結論は次のようなものである。
現在、「アフリカの食料問題の解決策」と称して大規模な農業投資や農業開発援助が必要と叫ばれている。G8サミットの”New Alliance for Food Security and Nutrition”等がその例である。そこで念頭におかれているのは、ブラジル・セラード開発に象徴される大規模開拓と機械化を前提とする農業投資である。

日本ではその「成功」ばかりが事業推進者らによって主張されてきたが、ブラジルの学術的な先行研究の知見に基づき、同事業が小規模あるいは土地なし農民にもたらした「負の遺産」を十分議論し、その教訓に基づいて現在のアフリカへの「適応」について再考されるべきと考える。
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by africa_class | 2013-04-27 20:52 | 【記録】講演・研究会・原稿
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