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モザンビーク:世界最悪(2番目)の人間開発指数(しかも悪化)の報じられない現実(含権威主義化)

今日本は俄か「モザンビーク・ブーム」。猫も杓子もモザンビーク状態。もちろん、過去20年にわたりこの国に寄り添ってきた私としては本来は嬉しいことです。しかし、彼らがみているモザンビークは「資源の大国」「土地の余っている国」「眠れる国」「政府が頑張っている国」・・・・等々。

宣伝に踊る文字は、「貧困だけど経済成長率が年率7%の資源大国」「知られざる可能性」。

その最中で人びとが直面している課題・・・に触れる人はほとんどいない。知らないのかな?知らないで、巨額の投資とか税金を使った援助とかするもんだろうか・・・。

あるいは、調べもせず知ろうともしないで、思い込みで処方箋が描かれている。
つまり、「貧困」という言葉は踊るが、「支援や投資がないから貧困のまま」という論理。

どこの誰が、何に基づいてそんな分析したのでしょうか?
少なくとも、モザンビークについて研究してきた人でそんな分析をしている人・・・私は知らない。
むしろ、モザンビーク人研究者、あるいはモザンビークについて長年研究してきた人々の大体の理解は、モザンビークが不平等・格差を広げていっており、政治状況も悪い方向へいっているということ。或る意味で、「資源の呪い」に向かっていっていると考える人の方が多い。

ここ数年、この国で悪化するガバナンスや民主化の停滞の問題、人びとの不満、繰り返されるストライキに、小規模ながら暴力衝突、切れ目なく流入する投資の一方での、悪化する人間開発指数。しかも、それは世界最悪のニジェール、コンゴ民主共和国の次、つまり世界で下から2番目!!!

という現実については、日本政府も、JICAも、日本のメディアも報じない。
NHKクローズアップ現代の見せた絵を思い出していただければ。
「援助が足りない」「投資が足りない」・・・・だけで、それは中国と対抗して日本がやってあげればいい。

まさか、貧困と不平等を現在の投資自身が創り出しているとは、1%でも示さなくてよいようで・・・。
先月同国を訪れた国連の「極度の貧困と人権ラポター」のMagdalena Sepúvedaが、「モザンビークで貧困が悪化している」と発表したことについて、知る由もなく、とにかくモザンビークは経済成長しているから貧困改善している・・・と?

「モザンビークで悪化する貧困」(2013年4月17日マプート)
http://www.clubofmozambique.com/pt/sectionnews.php?secao=economia&id=25048&tipo=one

これは、おそらくモザンビークという国との付き合いがあまりに日浅くて表面的なことしか知らないからということもあるだろうし、「よい話」にばかりフォーカスして宣伝したがる日本政府やJICAの傾向が出ているということもあるのでしょう。

いや、貧困を「国全体の経済成長やGDP」でしかみようとしていないことからくるんでしょうか?私の立場からすると、人間開発指数も十分一面的ですが、それでもこれほど悪い結果となっています。

いや、そもそも以上の記事のように公用語がポルトガル語であるために、なかなか実際のところを知ることができないという問題もあるんでしょう。

また、モザンビークと深く付き合う日本の関係者があまりに少なすぎることもあるでしょう。日本に二人しかいないモザンビーク研究者の古い方である私の怠慢のせいでもある。一般的なことを書いてこなかったから。なので、反省すべきは私・・・自身でもある。

なので、連日寝て無すぎるのですが一応これだけはお伝えしておきたいと思います。是非、広めてください。土地紛争の問題は書いてきたので省略。

■知られざるFACT No.1 世界で三番目に悪い人間開発指数
2013年の人間開発報告書(国連開発計画UNDP)によると、モザンビークの人間開発指数は世界最下位から2番目の185番!
http://hdr.undp.org/en/media/HDR_2013_EN_complete.pdf

【最悪】ニジェール、、コンゴ民主共和国
【2番目に最悪】モザンビーク

■知られざるFACT No.2 過去5年間の投資額は急増
この間、モザンビークには、世界でももっとも急速に投資額を増やしてきた。過去5年は特に凄まじい状態。ということで、明らかに投資が足りないせいではなく、「富の分配」が不平等状態にあるから。

ごく一部にしか恩恵が届いておらず、大多数の生活が改善していない。

■知られざるFACT No.3 実は人間開発指数のランクは2011年版より悪化
メガ投資プロジェクトの流入の一方で、モザンビークは人間開発指数を悪化させています。2011年より2013年版では世界ランクを1つ下げています。(2011年版では185番だった)。
http://hdr.undp.org/en/media/HDR_2011_EN_Tables.pdf

■知られざるFACT No. 4 2010年、アラブの春に先駆けて首都で若者による大規模暴動発生
10名が死傷。

■知られざるFACT No. 5 2010年に「民主政国リスト」から外され、「選挙権威主義国」に
カタチばかりの民主主義と名指しで批判される国に・・・。

■知られざるFACT No. 6 不安定化する「安定」
今年より最大野党で元紛争当事者である元反政府武装勢力RENAMOが、元々の拠点の中部の元軍事基地に籠って、先月警察とビジネスマンを襲撃、死傷者が発生。

さすがに眠いので、後は日本国際政治学会に出した論文の冒頭を共有しておきます。次の学会ジャーナルで掲載される予定です。

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『国際政治』(日本国際政治学会出版物)

モザンビークにおける民主化の後退と平和構築の課題
―2009年選挙を中心にー

(前略)本稿は、和平合意から21年、初の複数政党制選挙から19年を迎え、これまで紛争後の国家建設において国際的に高い評価を受けてきたモザンビークを事例として取り上げ、2009年選挙以来後退した民主化の現状とその背景を明らかにし、同国の平和構築の課題を検討するものである。本稿では、第一節で民主化・安定・開発に関する評価を示した上で、2009年以降の変化を紹介する。第二節で2009年選挙にみられる与党圧勝の実態を示すとともに、第三節ではその背景を市民社会並びに野党の取り込みとの関係で明らかにする。最後に、以上を踏まえ、これを世界的な現象の中で考察し問題提起を行う。
(略)
(2)民主化に関する評価の変化と2009年選挙
民主化と安定、開発のすべてで、国際的に肯定的な評価を得てきた戦後のモザンビークであるが、ここ数年、民主化の評価に後退傾向がみられる。フリーダムハウスは、2009年に同国の「政治的権利」を4に下げるとともに、2010年には「選挙民主政リスト」から除外した。同リストには、紛争経験のあるリベリアなど116か国が含まれているだけに、この転落は目立ったものとなっている。また、先述のポリティ・スコアもモザンビークの評価を1つ下げ、同国は「開放アノクラシー」に分類されるに至った。さらに、政権与党FRELIMO(Frente de Libertação Nacional de Moçambique:モザンビーク解放戦線)の一党支配の進行について警鐘を鳴らす論文が発表され(Manning 2010)、世界的に注目を集めた。一体、モザンビークで何が起こっているのだろうか。
(後略)

全文は近日発刊の『国際政治』をご覧ください。
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by africa_class | 2013-06-02 00:42 | 【考】土地争奪・プロサバンナ問題
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