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モザンビークで今起こっていることとプロサバンナの関係(第5回意見交換会議案書から)

モザンビークからおはようございます。
第5回意見交換会(7月12日)のNGO側の資料こちらのブログには載せていなかったので、転載しておきます。事態はもっと悪化してしまいました・・・。

また、NGOと外務省、そしてJICAのプロサバンナ事業に関する意見交換会も5回を迎え、かなり情報がたまってきたので、以下に整理して掲載しています。(情報の新しい順に掲載しています)
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-39.html

なお、本意見交換会の枠組みは、「外務省・NGO定期協議会」の中の「小委員会:ODA政策協議会(年3回開催)」のサブグループとして位置づけられ、継続的に議論されています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/taiwa/kyougikai.html

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【第5回】ProSAVANA事業に関する意見交換会(2013年7月12日 関連資料)

■ NGO側事前提出資料
*以下の「問題の所在」と「質問事項(未掲載)」を提出しています。
事前に外務省から返答が届き、それを踏まえた意見交換というプロセスです。

「第5回ProSAVANA事業に関する意見交換会に向けたNGO側からの質問書」
(2013年7月2日)
【問題の所在】
地元住民組織・市民社会からの異議申し立て、マスタープラン報告書への批判・警告
昨年10月11日、モザンビーク全国農民連盟(UNAC)他が声明を発出したことがきっかけとなり、ProSAVANA事業に関わる論議は、日本・モザンビーク・ブラジルといった関係各国内にとどまらず広く世界的なものになっています。そして、ProSAVANA事業に関わる情報もさまざまな形で表出し、集積され分析されていることは、第4回意見交換会で紹介された国際的なNGOによる共同声明(2013年4月29日付「モザンビーク北部のProSAVANA事業マスタープラン(案)は最悪の計画を露呈した~市民社会組織は大規模土地収奪に道を開く秘密計画に警告を発する」)でも明らかです。

モザンビーク23組織による3か国首脳宛「公開書簡:緊急停止要請」
さらに、モザンビークの主要農民組織・宗教組織・市民社会23団体が、事業対象地で暮らす人々を代表するモザンビークの農民組織、市民組織への適切な情報提供がなく事業内容の大幅な変更にもつながりうる合意形成の場が提示されないことから、日本の安倍首相、ブラジルのルセフ大統領、モザンビークのゲブーザ大統領宛てた「プロサバンナ事業の緊急停止を求める公開書簡」を発したことは、すでに周知の通りです。このような広範にわたる多くの数の市民団体が政府事業に異議を唱えることは、モザンビークの歴史においても始めての出来事となりました。
なお、同公開書簡は、TICAD V開会式前夜に開かれた安倍首相・林横浜市長共催の歓迎レセプションの際、TICAD Vに参加するアフリカNGO/CSO代表団の一員として来日したUNACアウグスト・マフィゴ代表から安倍首相にも手渡されました。

この事実は、TICAD Vに関わる報道等を通じ、ProSAVANA事業の緊急停止を求める声が、モザンビークの農民組織・市民団体から発せられていること、また多くの国際NGO、個人がこの声を支持していることも含め、国内外に広く知られるようになっています。

ナカラ回廊プロジェクト外延部テテでの住民・企業・警察の衝突が、元反政府ゲリラの封鎖へ
他方、本年5月29日付朝日新聞等でも報道された通り 、ProSAVANA事業対象地と隣接し、日本が援助するナカラ回廊関連プロジェクトの外延部として位置づけられるテテ州において(次頁地図参照)、同地に進出するブラジル鉱物資源開発会社Vale社と地元住民の間で土地をめぐる紛争が続いています 。会社側に改善がみられないため、地元住民による道路封鎖と警察との衝突も発生し、現地では不穏な状態が生まれています 。ついに本年6月18日、かつて現政権と16年間の武力紛争を戦った元反政府ゲリラ・現最大野党RENAMOが背後にいると見られる政府軍武器庫襲撃事件が発生し、石炭輸送が一時停止するという事態が発生するとともに、翌19日にはRENAMOの幹部がテテ州の炭坑からベイラ港までの石炭輸送を許さないと表明したと、Reutersは報じています 。

「選挙の年」:高まる現政権への不満と「選挙対策事業」と解釈されるProSAVANA事業さらに、本年11月には全国で地方都市選挙、来年は大統領・議会選挙を控え、モザンビークの政情や平和の状態は不安定化しつつあります。ProSAVANA事業は、独立来政権を担ってきたFRELIMOへの支持が他地域に比べて弱く、最も有権者数が多い地域を対象として行われ、現地社会ではゲブーザ大統領とFRELIMOが選挙を有利に進めるための事業として認識されています。JICAが費用を出し同国政府によって行われている「事業対象全19郡でのProSAVANA事業の説明会」は、「選挙運動」との理解も出てきています(説明会への参加者へのモザンビーク市民社会組織インタビューより)。つまり、ProSAVANA事業は、「大統領・政権与党事業」との政治色が強いものとして認識され、現地社会に分断をもたらしてもいます。さらに、現地では、公開書簡に署名した現地市民社会の間を分断する様々な操作や工作がなされていると聞いております。

大統領のファミリー企業、ブラジル企業の利権との関連が指摘される
先述「共同声明」では、現職大統領(アルマンド・ゲブーザ)のファミリー企業が関わるAgroMozという企業が、昨年9月、ProSAVANA対象地(ザンベジア州グルエ郡)で1万ヘクタールにもおよぶ農地を入手し、ブラジル企業らと共に輸出用大豆の大規模生産に乗り出すとされています(Hanlon & Smart, 2012 ; 「共同声明」)。なお、現政権が「反汚職法」の具現化に積極的ではない点について、他ドナーや現地新聞でも批判されています(Savana, 2013年4月26日 )。

なお、先述AgroMoz社に絡む企業が、ProSAVANA-PD(マスタープラン策定)のブラジル側唯一のコンサルであるFGVとビジネス関係にあると同時に、かつFGVはこの地域への大規模な投資を呼び込むためのNacala Fundの設置・推進者です(「共同声明」)。このFGVの二重の「パラレルな役割」は、国際的な研究チーム(Future Agriculture)にも問題視されています(Cabral & Shankland, 2013:15 )。

モザンビーク社会の不安定化に関わるProSAVANA事業
つまり、ProSAVANA事業は、急速に変わりゆくモザンビーク社会に、新たな問題を持ち込む一方、既にあった問題をより深刻化させています。これらの点は、過去の意見交換会でも、繰り返し市民社会から問題提起されてきましたが、ついにその懸念が現実のものとなりつつあります。

これ以上の問題を回避するために
モザンビークの政治的社会的状況に関する十分な情報収集や分析が行われないままに、大規模な回廊開発プロジェクト、農業開発プロジェクト、二国間投資協定 などの案件が次々に実施されており、日本企業の進出も顕著ですが、問題が発生してから対応に追われるという事態が頻繁に繰り返されています。

【質問事項】
以上の問題の所在と状況に基づき、事前準備会合での話し合いを踏まえ、第5回意見交換会について、以下の質問への具体的な事前回答を求めます。(後日掲載)

【関連資料の注】
・モザンビーク23市民社会による3か国首脳宛公開書簡「ProSAVANA事業の緊急停止要請」(2013年5月28日)
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-27.html
・TICAD V前後のモザンビーク市民社会抗議に関する報道一覧
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-28.html
・朝日新聞記事(2013年5月29日)「(アフリカはいま)眠れる大地、「緑の実験」 モザンビーク穀倉化計画」
・Human Rights Watch (2013) “What is a House without Food?”Mozambique’s Coal Mining Boom and Resettlements” (http://www.hrw.org/node/115535)
・Reuters (2013年5月23日) “Miners Vale, Rio Tinto accused of neglecting displaced Mozambicans” http://www.reuters.com/article/2013/05/23/us-mozambique-mining-idUSBRE94M08D20130523
・Reuters (2013年6月19日)“Mozambique's Renamo threatens to paralyse vital coal railway”
http://www.reuters.com/article/2013/06/19/mozambique-renamo-idUSL5N0EV1SD20130619; (2013年6月20日)“Mozambique: Renamo Threatens to Block Road and Rail Traffic in the Center of Mozambique” http://allafrica.com/stories/201306201160.html
・日経新聞(2013年4月4日) 「モザンビーク炭鉱の採掘権取得 新日鉄住金・ポスコなど」(現在問題になっている同じテテ州モアティゼ郡内に進出)http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD0407E_U3A400C1TJ1000/
・Hanlon & Smart (2012)“Soya boom in Gurue produced few bigger farmers”(2012年9月10日) http://www.open.ac.uk/technology/mozambique/
・Savana(2013年4月26日)"Governo não cumpriu com a implementação do pacote Anti-Corrupção”
・Cabral & Shankland(2013) http://www.future-agricultures.org/publications/research-and-analysis/
・ 日・モザンビーク投資協定の署名(2013年6月1日)http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/page5_000168.html
by africa_class | 2013-07-24 14:55 | 土地争奪・プロサバンナ問題
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