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【現地調査報告概要ドラフト】プロサバンナ・同対象地域に関する調査報告&要請内容

以下の現地調査報告概要ドラフト(私の)について「参考資料」ということで、NGOから外務省・JICAの関係各位に送付されましたので、皆さんにも公開いたします。あくまでも私の「ドラフト」ということなので、その点予めよろしくお願いいたします。(引用の際は、後日発表の正式なものをお待ちください)

なお9月末に現地調査報告会を東京で開催する予定です。その際に、詳しい報告書を発表しますので、よろしくお願いいたします。

*末尾に調査結果からの現時点の「要請」内容を列挙しています。
*概要についていた注は末尾に一挙記載しています。
*写真は次のサイトに。

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ProSAVANA並びに対象地域に関するモザンビーク現地調査【報告概要・ドラフト】
*2013年9月2日付


本報告は、日本でプロサバンナに関するNGO・外務省(JICA)との意見交換会(2013年1月~現在まで5回)に出席してきた研究者・NGO関係者ら6名によって行われた、モザンビークでの現地調査(2013年7月~8月)の報告概要ドラフトである。包括的な現地調査報告については、2013年9月末の「現地調査報告会」にて発表予定である。

現地調査の結果、深刻な事態が多く明らかになったため、関係機関に役立ててもらうとともに、調査成果を社会に還元するため、報告概要ドラフトを作成し、これを広く公開する。

1.目的:
(1)全般的なモザンビーク社会の現状の把握
(2) プロサバンナ対象地域(ナカラ回廊沿い)において、農業投資(アグリビジネスの進出)が地域社会や環境にどのような影響を及ぼしているかに関する基礎調査
(3)プロサバンナに関する調査
(ア)地元社会の理解の把握(知っているか、いつ誰によってどのような形で知ったのか、何と理解しているかに関して)
(イ)プロサバンナ関連事業に関する進捗の把握
(ウ)プロサバンナに関する議論の把握
(4)プロサバンナ対象地における地元小農の生産努力と収穫に関する調査

2.期間・対象地域
期間:2013年7月24日~8月18日
対象地域:ニアサ州A郡、B郡、C郡/ ナンプーラ州D郡(PDIF視察先)、E郡、F郡/ザンベジア州G郡

3.手法
【1】3か国市民社会会議、北部での市民社会会議での参与型観察・現地新聞・プロサバンナや土地問題に関する文献等の資料収
【2】プロサバンナ対象地域の農村訪問調査(政府関係者、農民組織、農村住民へのインタビュー、農地の訪問)<*3班に分割>
【3】首都並びにプロサバンナ対象地域の都市部での各種アクターへのインタビュー(政府関係者、市民社会関係者、JICA関係者、農民組織関係者、地元ジャーナリスト・研究者)
【4】ProSAVANA Development Initiative Fundの対象案件のモニタリング(JICA関係者による案内、個別訪問)

4.現地調査結果(総論)*文献調査結果も含む。
現政権(特に第二期ゲブーザ政権 )下で推し進められてきたビジネス・投資を中心とする各種政策・事業(投資、鉱物資源開発、農業)が、社会内での顕著な経済格差や不公正を生み出し、社会のあらゆるレベルにおいて不満の高まりは顕著となっている 。流入する投資の一方で、モザンビークは、2013年度のUNDPの人間開発指数では、2011年より順位を落とし、コンゴ(民)並びにニジェールに次ぎ世界最悪となった 。特に、各種メガ投資/開発事業が、地域資源に頼って生きる農村住民の生活を犠牲する事例が後を絶たず、住民側の抵抗も激化しつつあり、地域によっては外国企業との間で暴力衝突も発生し始めている 。現政権関係者の外国投資や利権と結びついた蓄財・汚職や不正、それを批判する(可能性のある)者への弾圧・脅迫は、さらなる不満を招き、元紛争当事者の元反政府ゲリラ勢力で最大野党のRENAMOの武装化を利する状況となっている 。同国では現在、本年11月の地方都市選挙、来年の大統領・議会選挙を控え、急速に政治情勢が流動化しつつある(以上【1】、【2】、【3】)。なお、2010年に同国は、Freedom Houseによって「選挙民主政国(electoral democracy)リスト116か国」から除外され 、Polity Score Projectも権威主義体制に近い「アノクラシー(anocracy)」に分類を変更した 。

プロサバンナの対象地域であるモザンビーク北部地域では、外国企業による植林ビジネス(ニアサ州・ナンプーラ州)、そしてプロサバンナ合意後の2009年以降(特に同事業が本格化した2011年以降)、大豆生産を狙った(国際企業に留まらない)アグリビジネスの進出(全3州)――具体的には土地を求める動き(land rush)――が加速化し、各地で住民との軋轢が生じている(以上【1】、【2】、【3】) 。

これまでの進出企業の傾向として、住民との協議を軽視したり、協議での約束を履行しない傾向が強く、実質的な意味での土地収奪(land-grabbing)が散見され、コミュニティによっては住民が生産活動のみならず生存が厳しい状態に追い込まれる事態も生じている(ナンプーラ州・ザンベジア州)。これに対し、住民・農民の権利を擁護すべき地元政府は、「世界一農民志向の法律」と高く評価される土地法があるにも拘わらず、投資・企業側に立った対応を行っており、住民は泣き寝入りするしかない状態にある(以上【1】、【2】、【3】)。

全体的に、言論空間の自由度は減少しており(前頁参照)、「政府が連れてきたビジネスや政策・事業(援助を含む)」への不満や異議を表明することは日々難しくなり、身の安全を危惧せざるを得ない現実にあることも明らかになった(以上【3】【4】)。その結果、農民や住民自身が自分の権利を守るための意識向上や自衛手段の確立について、地元農民組織・市民社会組織・宗教組織の対応も後手に回っており、場合によっては政治的・社会的・資金的障害に直面している(以上【2】【3】)。

一方、一部ドナーによって、「農民の権利を守るため」と称し「DUAT土地使用権の登記」がプロサバンナ対象地に対し集中的に行われているが、これが「『現在使われていない土地』への投資誘致」を奨励する政府やドナー、組織によって強力に進められていることもあり、その真の狙いについて危惧する懐疑的な農民や農民・市民組織が多い(以上【1】、【2】、【3】)。ドナーや政府、あるいは一部のNGOの間でも、DUATについて短期的な議論がなされる傾向にあるが、企業へのリースは50年単位で可能となるため、「現在使われていない土地」への将来的な土地圧力は決して低くはない。特に、人口増加率が高いモザンビークでは、今後数十年を見据えた土地政策が不可欠であるが、この観点を含めた国民的論議も始まったばかりである(以上【1】【3】)。

現地調査で面談したモザンビーク政府関係者(主として農業省)やJICA関係者のいずれもが、北部農村地域で生じる土地争奪や紛争について十分な理解や認識を有していなかった。その一方で、同地域では、外国投資・企業や政府関係者による土地獲得競争は激しさを増すばかりで、土地は投機の対象となりつつあり、投資と住民・コミュニティとの争いだけでなく、その希少化が住民間やコミュニティ間の争いを熾烈化しつつある。なお、これらの土地獲得合戦は肥沃(森などを含む)で水源に近く比較的道路に近い土地に集中して行われており、「適地」ほどビジネスと地元農民の衝突が生じている(以上【1】、【2】、【3】)。

政府が奨励する政策や事業(企業投資を含む)への異議申し立ての難しさ、異議や疑問を呈した際の政府からの強烈な圧力の問題については、地元市民社会や研究者から繰り返し指摘があった。明確な異議でなくとも、現地調査を行っただけで弾圧を受ける事態も生じている 。そのような困難の中で、本年5月28日にモザンビーク23団体によって「プロサバンナ緊急停止を求める3か国首脳宛公開書簡 」が発表された意味の大きさについて、深刻に受け止めるべきとの主張がこれらの団体関係者から繰り返しなされた(以上【1】【3】。

当該「公開書簡」について、TICAD V時のJICAサイドイベント(2013年6月2日)において「農民は文盲だから誰か(外国人)が書いた」との「陰謀説」がモザンビーク政府関係者からなされたことについて 、起草に関わった北部の農民や市民社会組織関係者から強い抗議がなされる一方(8月7日)、23団体が団結し継続して3か国政府に返答を求めることが意志表明され、8日の会議の冒頭に農業大臣の出席の下、同書簡全文が読み上げられた(8月8日、以上【1】)。

なお、市民社会(UNAC並びにORAM)主催のプロサバンナに関する3か国民衆と政府との対話会議(”Triangular Conference of People-Mozambique, Brazil and Japan: for detain and a deep reflection on ProSAVANA”)には、招待された日本・ブラジルの大使館・JICA/ABCのいずれからも代理も含めた出席はなく(日本大使館・JICAからは招待が遅れたためとの理由が寄せられたが代理出席もなかった)、この点について主催団体等から強い落胆と不満が表明された。

同会議は、モザンビーク国首相代理の国家計画局長と農業大臣の政府関係者7名、北部3州の農民・市民社会代表20名(主要ターゲット郡を含む)、首都近辺の農民・市民社会関係者、モザンビーク研究者、他ドナー、日本・ブラジル市民社会関係者10名、国内外のジャーナリストあわせて200名近くの出席者を得て、朝9時から午後7時半までの長時間にわたって開催され、モザンビーク政府代表と市民社会・農民の間で活発な議論が行われた。ただし、政府側の表面的な説明の不十分さと(1時間を超える発表であったにもかかわらず)と「プロサバンナは始まっていない。未だコンセプト段階」の説明に、市民社会側から多くの強い疑義が申し立てられた。数時間にわたり出され続けた農民や市民社会の質問や問題提起に対し、モザンビーク政府側(局長レベルが2名)は応答しようとしたが、具体的な内容を把握していないことが明らかになり、返答に窮する場面も見受けられた。

以上諸会議や北部地域での調査、報道内容を踏まえると、全体として、モザンビーク社会においては、プロサバンナ関する議論は始まったばかりで、とても2009年の合意から4年、マスタープラン策定の最終段階(当初2013年10月にリリース予定)にあるとは言い難い状況であることが明らかになった(以上【1】【2】)。プロサバンナ対象地での調査からも、「プロサバンナを聞いたことがある人」が、農村部でほとんどいない現実、聞いたことがある人は都市や郡都の政府関係者にすぎないこと、聞いたことがあってもその中身について矛盾する内容を含む理解しかないことが判明した(以上【2】【3】)。

モザンビーク社会としても、北部地域としても、プロサバンナに関する情報への接触、具体的な中身の議論は始まったばかりであるにも拘わらず、①マスタープラン策定が最終段階にある点、②同プランの中身や策定プロセスが問題視され議論されている最中に、パイロットプロジェクト (ProSAVANA Development Initiative Fund:PDIF)やクイックインパクトプロジェクト(Quick Impact Project:QIP)という北部農村に大きな影響を及ぼす事業が進んでいる現実に、農村住民や市民社会、政府関係者の一部にも強い疑問があることが明らかになった。

また、モザンビークの国家としてのガバナンスや政治情勢の悪化問題、北部地域に流入し続けるアグリビジネスやその他の投資事業が、現地社会や住民生活や環境に及ぼす多大な影響について、プロサバンナ関係者や地元政府が把握しておらず、理解もしていないままに、マスタープラン策定やPilot Project (PDIF)が進められている点が、大きな問題として認識された。

特に、「公開書簡」で一旦停止を要請し返答を待機している段階での6月末以降に、以上PDIF(ファンド)の二次募集が進められたことについて、現地市民社会の間から強い反感とさらなる不信感が生み出されている。同様に、「仕切り直し」が約束されていたマスタープランの策定への「市民社会の参加」についても、JICA側からの連絡の在り方に対し市民社会側が反発するなど不信感が根強いことが明らかになった。他方、TICAD V前の約束と異なり、モザンビーク最大の農民組織(全国2200組織の連合組織)であり、プロサバンナ対象地のすべてに支部を置き、当初からプロサバンナに関する議論に深く関与してきたUNAC(União Nacional de Camponeses全国農民連盟)等の重要な地元組織に対し、JICAやプロサバンナ事業関係者からのフォローアップがないことについて(8月8日会議への出席がなかったことも含め)、同組織の「排除や他の市民社会組織からの分断を試みているのではないか」との不信感が蓄積しつつある。

最後に、モザンビーク北部地域の小農の活発で多様な生産努力とその成果を知る機会を持ち、一貫して日本政府やJICAによってなされてきた「モザンビーク小農=粗放で低生産性の農業=貧困」という固定化された認識の問題と、それに基づく事業デザインの限界が明確になった。事業関係者が、これら小農の権利と尊厳、生産努力を、謙虚に踏まえることが何よりも不可欠であるとの認識を強く持った。

5.現地調査結果に基づく要請
以上の現地調査・文献調査から、プロサバンナ事業と同対象地域、モザンビーク社会は、現在深刻な課題に直面していることが明らかになった。
プロサバンナ事業は、目的や対象、内容、アプローチ、手法、期間において、抜本的な見直しが不可欠である。
•特に、あらゆる面において現地小農の主権を中心においた事業への抜本的改革が不可欠である。

以上を踏まえ、
•環境社会配慮ガイドラインのカテゴリーを最上位のAに引き上げ、マスタープラン策定前に対象地の社会環境アセスメントを現地事情に詳しい独立の委員(市民社会関係者)と共に丁寧に実施すること、現地農民組織や市民社会との真摯な対話のための全面的な仕切り直しと透明性・アカウンタビリティの抜本的向上、民主的な運営(批判的な組織ほど積極的に対話の相手とすることを含む)を要請する。
•直ちに、本事業に関わり意見を表明する現地市民・農民団体や個人への脅迫や嫌がらせ、弾圧の防止と人権の保護の手法の検討を要請する。


【4.の注一覧】
・Mail & Guardian (Jan.6, 2012) “Mozambique’s ‘Mr Guebusiness’”. http://mg.co.za/article/2012-01-06-mozambiques-mr-guebusiness/
・投資ブームの一方で貧困が解消されず、人権侵害や社会的排除が社会の不安定化を招く可能性について国連人権委員会ラポターが警告。
Press Release "Magdalena Sepúlveda Mission to Mozambique 8 - 16 April 2013 Preliminary observations and recommendations" (
http://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=13229&LangID=E
O País (Apr.17, 2013)”Grande parte da população continua a viver na pobreza”.
http://opais.sapo.mz/index.php/sociedade/45-sociedade/24983-grande-parte-da-populacao-continua-a-viver-na-pobreza.html http://hdr.undp.org/en/media/HDR_2013_EN_complete.pdf
・Voice of America (Aug.27, 2013) “Mozambique Villagers Exposed to Open-Pit Coal Mine”.
http://www.voanews.com/content/mozambique-villagers-exposed-to-open-pit-coal-mine/1737927.html; Human Rights Watch (May 23, 2013) “Mozambique: Mining Resettlements Disrupt Food, Water: Government and Mining Companies Should Remedy Problems, Add Protections”.
http://www.hrw.org/news/2013/05/23/mozambique-mining-resettlements-disrupt-food-water
・Reuters (2013年6月19日)“Mozambique's Renamo threatens to paralyse vital coal railway”.
http://www.reuters.com/article/2013/06/19/mozambique-renamo-idUSL5N0EV1SD20130619; (2013年6月20日)“Mozambique: Renamo Threatens to Block Road and Rail Traffic in the Center of Mozambique”. http://allafrica.com/stories/201306201160.html
・ 同団体は、2009年、同国の「政治権利」状況について、1992年の和平後初めて数値を悪化させた(1【最高値】~7【最低値】までの7段階中4と認定)。http://www.freedomhouse.org/
http://www.systemicpeace.org/polity/polity4.htm
・参考文献が多いため多数を掲載するOpen University(UK)サイトを参照。http://www.open.ac.uk/technology/mozambique/land-and-biofuels http://www.open.ac.uk/technology/mozambique/mozambique-reports-and-documents
・土地・環境問題に取り組むモザンビークの調査研究・アドボカシー機関Centro Terra Vivaによる地元警察と政府による調査妨害と人権侵害に関するプレスリリース。”Ilegalidade, coação e intimidação marcam o processo de implementação do projecto de exploração do gás natural pela ANADARKO e ENI, em PALMA(パルマにおけるANADARKOとEMIによる天然ガス開発プロジェクトの導入プロセスにおいて刻み込まれた違法、強制、脅迫)”(Aug. 20, 2013) http://www.ctv.org.mz/
・公開書簡原文は次のサイトhttp://farmlandgrab.org/post/view/22136 日本語訳は次のサイトに掲載http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-27.html
・ JICAサイドイベント「アフリカの成長に向けた回廊開発の歩み」(2013年6月2日)http://www.ticad.net/africa/jicaevents/img/pressrelease/EN_Corridor%20Development%20in%20Africa.pdf 大臣発言関連報道 “Japan Today “At TICAD, clumsy diplomacy mars controversial Japanese aid project in Mozambique” (June 3, 2013) 
http://www.japantoday.com/category/politics/view/at-ticad-clumsy-diplomacy-mars-controversial-japanese-aid-project-in-mozambique
(ドラフト)
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by africa_class | 2013-09-03 18:43 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ
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