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翁長知事の国連人権理事会でのスピーチ&日本政府代表の反論+所感(分析にかえて)

*注1(21日夕方):急いで3度ほど聞いただけで、訳したので間違っていたらすみません!録音があればもう少し正確に訳せるのですが…。
*注2:
self-determinationは、「自己決定権」ではなく、国際法上通常使われる「自決権」としています。ただ、沖縄の背景・現状・皆さんの想いにおいては「自己決定権」の方が良いでしょうが(詳細は末尾の「所感」、国連人権理事会総会という場の性格を考えると「自決権」であるべきなのでそう訳しました。またこの点は後日ブログで改めて書きます。
『沖縄の自己決定権』(新垣毅編、高文研)が出ているそうなのでご一読を。>
2015年2月16日の
沖縄国際大学でのフォーラム「道標(しるべ)求めて―沖縄の自己決定権を問う」の動画→http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-238976-storytopic-1.html>
*注3(21日夕方):両者の主張を聞いての私の所感は末尾に入れています。夕食を作りながらなのでまた明日見直します。
*注4(22日3時):私の所感に加筆。安倍政権・日本政府だけでなく、沖縄出身ではない我々の責任にも言及しました。
*注5(22日正午):英文や訳文が出てきました。録画と原文にそって修正すべき点を加筆(青色)しておきました。致命的な訳し間違えはなかったと思います。
*注6:なお、西洋語から日本語に同時通訳的に訳す場合と文章を翻訳する場合では、訳の手順が異なります。テキストの翻訳をする場合は、装飾部分を前にもってきて文章に統合する形で訳すと滑らかですが、同時に訳す場合は間に合わないので2つの文などに切り離して訳します。簡潔さを要求するビジネス英語では、日本語の装飾に次ぐ装飾満載の文章は嫌がられるので、通常においてもこれぐらい切っておくべきでしょう。が、ポルトガル語やフランス語となると日本語と似た状態になりますが。なので、以下は、あくまでも聞き書きの訳ということでこのままにしておきます。日本語文としては成熟さや美しさが欠けています。
*注7(24日午後):どうやら日本政府代表が、「人権理事会での取り扱いはなじまない」と理事会後に(日本のメディアに対して)表明していたようです。この点についての所感をさらに末尾に付け加えました。
また、国連人権理事会年次総会2日目に行われた「島ぐるみ会議」の再反論の全文も掲載しています。

【琉球新報】「人権と関係ないというのは本当に残念」 知事、政府に反論

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-249301-storytopic-3.html
*注8(同上):本日、翁長知事が、日本外国特派員協会で記者会見を行っており、日本政府代表の反論についてとてもまっとうで、私たちも学ぶべき事実や論点を披露されています。すべての方に視聴して頂ければと思うので、是非リンク先の動画をご覧下さい→https://www.youtube.com/watch?v=96Gtk9mqLqI
*注9(10月12日)このような話題・分析をより読みたい方は
例えば以下の投稿をご笑覧を。(外務省のサイトから「植民地支配」に関する記述が消えたそうなので、かなり確信犯だと思いますので、改めて分析をします)

「一括掲載:安倍首相談話の分析〜被抑圧者の視点を含む現代国際関係史からの考察」

http://afriqclass.exblog.jp/21548918/


【原典】
動画(沖縄タイムス):http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=133925
原文:http://www.okinawatimes.co.jp/photo_detail/?id=133924&pid=961964
訳文:http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=133924


【琉球新報】自己決定権、人権「しっかり伝えたい」 知事、国連演説へ

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-249216-storytopic-3.html
市民外交センターは国連登録NGO。
http://www005.upp.so-net.ne.jp/peacetax/

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国連人権理事会 年次総会 2015年9月21日 ジュネーブ
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【翁長知事のスピーチ】
議長:次は市民外交センター

議長、ありがとうございます。
私は、翁長雄志、沖縄県知事です。
世界の皆さんに辺野古に関心を寄せてほしい。
沖縄の人びとは、その自決権を蔑ろにされている状態にある。
(この最後の2文はくっつけた方が良い)

第二次世界大戦後、米軍は我々の土地を武力で収用(強制的に接収)し、軍事基地を建設した。
我々は我々の土地を自らの意思で提供したことはない。

沖縄は、日本の0.6%の面積を占めるに過ぎないにもかかわらず、73.8%の米軍基地(在日米軍専用施設)が沖縄に集中する。
戦後70年、米軍基地は、多くの事件・事故を起こし、環境破壊をしてきた。
我々の自決権や人権が蔑ろにされてきた。
我々の国は、国民の自由、(平等が抜けてました)、人権と民主主主義を保証しておらず、そんな国がどうして他の国々と価値を共有できるだろうか。(<=大体あってたかな)

日本政府は現在、新しい基地を、辺野古に、美しい海を汚して(埋め立てて)でも建設(作業を強行)しようとしている。過去1年間、すべての選挙で沖縄の人びとは繰り返し基地建設に反対の意思を示してきたにもかかわらずである。

私は、この新しい基地建設に対し、あらゆる手法を使って阻止する所存(覚悟)である。

今日このような機会を頂き、話ができたことに感謝したい。

【日本政府代表からの反論】
日本政府代表として反論の権利を行使する。
市民外交センターを代表してスピーチした沖縄県知事の発言に反論する。

日本の政府にとって、国家の安全保障は、国民の平和な生活を維持する上で最も重要な課題である。安全保障を巡る状況が急激に深刻化している現在においては、特にそうである。

日本政府としては、米軍駐留による負担を軽減することは最優先課題である。米国政府との協力によって、いくつかの負担軽減策を取ってきた。例えば、今年3月、米軍の施設に使われていた土地51ヘクタールを返還した。また、日本政府は、沖縄の経済振興をするために、沖縄をアジアのハブとして位置づける努力もしている。また、日本政府は、沖縄県との間でハイレベル協議を設置し、この件について話し合ってきている。

米国海兵隊飛行場の普天間からの移設は、米軍の存在(抑止力)を継続的に保証する一方、それに関わるリスクを排除するため、唯一の解決策である。普天間基地は人口集中地にあるからである。

そして、この普天間基地からの移設計画は、歴代沖縄知事によって、1999年、2000年、2013年にエンドース(承認)されてきたものである。また、辺野古での基地建設のための許可は、仲井眞・前沖縄県知事から法的に合致する形で与えられたものである。日本政府は、今後も関連法・制度のもとに、この移設を適切に進めていく。

なお、移設にあたっては、自然・生活への環境インパクトを鑑み、環境インパクトアセスメントもしている。

日本政府は、今後も沖縄への十分な説明を継続していく所存である。

*録画がアップされたようです→https://www.youtube.com/watch?v=oceiZSnYLAc
夕食を作らねばならないのでこれにて失礼。後日正確な訳をアップします。


【両者の演説を聞いての所感】

日本政府代表の「反論」は、翁長知事のスピーチの根幹である「自決権」(「選挙で繰り返し示された民意」)の侵害について、一言も反論できておらず、日本政府が繰り返し国内でやっている説明を繰り返しただけで、国際的には通用しない文言が列挙されているに過ぎません。これでは、人権理事会に集う人権エキスパート達に、次のような印象を与えたと思います。

日本政府は、
「反論になっていない」=「翁長知事の主張をスルーした」
「沖縄の人びとの訴えに不誠実である」=「人権侵害の訴えに真剣に取り組もうとしていない」

具体的には例えば、以下のものです。
1)「負担低減やってる」
<=といって出て来たのは51ヘクタールの返還のみ。

2)「経済振興やってる」

<=これを自決権の反論として使うのであれば逆に人権エキスパート達の反感を買うでしょう。というのも、国連で「自決権」という言葉を使う場合は特にです。当然ながら、戦後の国連は「植民地支配」「他民族支配」「人種差別・隔離政策」に厳しく対応してきた過去があるので、「経済振興しているから自己決定権は後回しで良い」という論理は、コロニアルなものとして受け止められます。
*この場面では決して、決して、決して…触れてはならない言葉でした。

3)「対話してる」
<=じゃあ何故知事が市民社会枠を使ってまで、国連人権理事会総会で演説しなければならなかったのか?に応えておらず、日本政府の「自決権」に対する反論のなさを鑑みても、この「対話の無効性」を明確に示す結果となりました。
*私なら「対話してきたが」として反論材料にしますが。

4)「説明を継続する」
<=出た!…の感がありますが、問題は「説明」ではなく、相手(沖縄)の民意や自決権に対してどう対応していこうとするのか?という検討であって、一方的な感じが否めず、人権や対話の尊重ができていない国であることが逆に露呈してしまっています。

いずれも、「してやってる感」=「上から目線」が濃厚な反論ですね。

内向きな論理でしか反論もできない日本政府…あーーーあ。
この反論させられた外務省職員が翁長知事の言葉を受けて「自分の言葉」を語れないのは日本の外務省・政府のあり方の問題が根底にあるので気の毒ではありますが、国際社会の共感を呼ばない、あまりにも稚拙な反論だったと言えるでしょう。

あえて言えば、この日本政府の反論は、官邸との調整で先にカタマっていたものであり(文言の細部も含め)、その意味で、ベクトルの方向として、日本政府に向けたものであって、国際社会に向けたものではなかったといえると思います。(まあ、日本政府・外務省によくあるパターンですが)

一方、翁長知事の訴えは、かつて植民地支配された国々・人びと、人権を重視する国々・人びとの胸にきちんと届いたと思います。また、彼がジュネーブまできて訴えなければならなかったという事実、そして国連人権理事会の年次総会という場でこれが繰り広げられた時点で、「国際世論に訴えたい」という目的を持って演説に望んだ翁長知事やその周辺の勝利ともいえます。

<=誰でもいつでも話せる場ではないので。

そして、国際的には気づかれないだろうけれど、事情を知る者として「ああ日本政府・外務省らしく、本当に不誠実・不公正で嫌だな」という点は、「基地移転計画が3度歴代知事に承認されている」という部分。

翁長知事の辺野古移設反対の土台を崩そうという論理で出てくるのですが、「辺野古への移設」は仲井眞知事以外に承認された事実はないのに、あえて辺野古という文言を使わずに「基地移転計画」という言葉を主語に使うことで、ギリギリ「ウソ」と言われないように細工しながら、「彼以外の知事は承認してたからやった」かのように反論している点です。

国際舞台でも繰り広げられる不誠実でセコイ日本政府の手法に、本当に悲しくなります。

【所感への加筆】
最後に、「何故国連人権理事会の年次総会でこの案件(辺野古新基地建設)を取り上げることができたのか?」という点について、多分不思議に思っている皆さんは多いと思います。

これは、かなり長いスパンで沖縄の人びと・市民社会が取り組んできた国内外の活動の蓄積の成果です。これ以前に気が遠くなるような活動の数々があったのですが、説明が長くなるのでまた別の機会に取り上げます。

キーワードは、もしかして日本の皆さんには聞き慣れないかもしれない「自決権(self-determination)」があります。しかし、これこそが第二次世界大戦後の世界を、とりわけ国連の場(特に総会)を、大幅に変えてきた論理です。おそらく、皆さんも、世界史の授業や教科書で学んだことでしょう(日本史でほとんど取り上げられないからこそ今回の問題に繋がってくるのですが…この論点も改めてどこかで書きます)。

沖縄の人びと・県政がこの「自決権」を使い始めたことは、世界史的な連続性があり、琉球史・日本の近現代史上、とてつもなく大きな大きな意味があります。

*ただし、「民族自決権」とくくることについては翁長知事は慎重なので、ここは要注意です。これには色々な立場が沖縄の中でもあるので。http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=133383&f=cr

安全保障関連法案を巡る政治のあり方への疑問が、「国民主権」「主権在民」の基本に注目する動きを生み出していますが、沖縄の人びと、そして翁長知事が「国民主権」ではなく、あえて「自決権」という言葉を使っている理由を、日本の政府だけでなく、沖縄以外の人びとが理解しないのであれば、事態はもっと緊迫していくと思います。

現状においては、安倍政権の数々の強権的な振る舞いが一番の問題です。しかし、根本原因には、長年にわたる私たち自身の意識・無関心・無理解・真剣な対応のなさがあります。

大戦時の犠牲、米軍統治もそうですが、その前史である薩摩藩の支配、「琉球処分」、から紐解いていかないと、永遠に理解ができないでしょう。

この点について、知事らが参加したシンポジウムは手がかりになると思います。


【沖縄タイムス】翁長知事、沖縄の苦難の歩み切々 国連でシンポ

http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=133935
「琉球処分から説き起こした。…キャンプ・シュワブゲート前での県警による市民の強制排除、海上保安官の暴力を示した。参加者は真剣な表情で見入った。…「反米でも反日でもない。基地をこれ以上造らないでほしい、というのは過大な要求ではない」と訴えた。8月に沖縄を訪問した国連人権理事会特別報告者のビクトリア・タウリ・コープス氏もシンポに出席。「沖縄の人々には自己決定権がある。この不正義を正さないといけない」と、援護射撃した。」

そして、冒頭に紹介した24日の翁長知事の日本外国特派員協会での記者会見は、大変短いのにすべての論点が明確に説明されているので、沖縄や駐日米軍基地の歴史を十分知らない皆さんにはおすすめです。いつもながら、すばらしい通訳者の方が通訳されているので英語の勉強にもなります!
→https://www.youtube.com/watch?v=96Gtk9mqLqI

私は、沖縄出身ではなく、かつ薩摩の関係者として、国連人家理事会総会でこれを訴えなければならなかった翁長知事とその後ろにいる140万もの沖縄の人びとに、深く深くお詫びしたいと思います。と同時に、翁長知事をはじめとする皆さんの決意と勇気に最大限の感謝を述べたいと思います。私たちは、日本国内で沖縄の人びとの叫びを十分に受け止め、この問題を解決できなかった事実を重く受け止め、なんとか責任を果たしていかなければならないと思います。

世界に恥ずかしいのは、安倍政権・日本政府だけでなく、私たち一人ひとりでもあることについて、今一度共に考えて頂ければと思います。


【所感への追加加筆〜日本政府代表による「人権理事会になじまない」発言】
会議後、嘉治氏は記者団に知事の演説について、人権理事会での取り扱いはなじまない、との見方を示していた。」(琉球新報 9月23日)

日本政府代表が本当にそう考えるのであれば、国連人権理事会の場で、正々堂々とそう表明すれば良いのです。しかし、知事演説に対する最も重大な反論であろうこの点について、日本政府代表は理事会議場では一言も触れず、総会が終わった後に日本&沖縄向けに言った点がさすが「二枚舌外交ニッポン」ですね。

なぜ議場で日本政府代表はその点を追求しなかったのか?
それは簡単。
人権「後進国」日本では通る論理かもしれませんが、国際的にはまったく通らないからです。

当然ながら、人権侵害を訴えている人がいる場で、しかもそれを訴えること自体が国連人権理事会に認められている以上、「それは人権侵害ではない」と述べるのは「セカンド侵害」です。

それを分かっていて、あえて議場で発言せず、しかし国内向けにそのように発言してメディアに報道させた点がこれまたセコイ。しかし、このような場外での抑圧的言動は、むしろ日本政府の人権意識の低さ、沖縄の人びとの基本的な権利を尊重する気のなさを露呈しまい、更なる反発を呼ぶ結果となってしまったと思います。

以下、知事の会見でのコメントと2日目に再度理事会総会で市民社会からの日本政府代表への反論全文を掲載しておきます。

【琉球新報】「人権と関係ないというのは本当に残念」 知事、政府に反論

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-249301-storytopic-271.html

「翁長知事は22日午後(日本時間同日夜)、国連欧州本部で記者会見し、知事の国連人権理事会での演説について日本政府が「軍事施設の問題を人権理事会で取り扱うのはなじまない」などと批判したことについて、県民は米軍基地から派生する事件事故、環境汚染や騒音などに苦しんできたとした上で、「人権と関係ないというのは本当に残念だ」と反論した。」

【島ぐるみ会議】FB
9月22日国連人権理事会年次総会
https://ja-jp.facebook.com/shimagurumi


***
議長、ありがとうございます。


この場を借りて、先住民の権利に関する分科会において発言をする機会を与えてくださったことに感謝を申し上げます。さらに、国連特別報告者のビクトリア・タウリコープズ氏にも今年8月に我々の故郷、沖縄を訪れてくださったことに心より感謝を申し上げます。


日本政府が発表したコメントのいくつかの点について説明をさせていただきたいと思います。
第一に、沖縄集中する米軍基地負担の軽減策の一環として今年3月に51ヘクタールを返還した、と日本政府は発言されました.しかし、51ヘクタールというのは在沖米軍基地面積のわずか0.2%にすぎません。


次に、日本政府は、基地建設に必要な埋め立てについて、仲井真元沖縄県知事より承認を得て、関係法令に基づき行われていると発言しましたしかしながら、第三者委員会はこの承認手続きについて検証を行い、その手続きが法律上瑕疵があると結論付けました。現翁長雄志県知事は、その承認取り消しに向けた手続きを進めています。建設の継続は法律違反となります。


また、日本政府は経済振興策を負担軽減策の一つであると発言しました。しかし、経済振興策で人権侵害が軽減されることはありません。だからこそ翁長知事は、国連人権理事会で訴えるためジュネーブまで来たのです。


安全保障の重要性により人権の重要性がないがしろにされることがあってはなりません。





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by africa_class | 2015-09-22 00:26 | 【考】民主主義、社会運動と民衆
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