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今世界で「開発」をめぐって起きていること:人びとから奪われる土地・資源・暮らし・命

昨夜、ベルタさんの団体COPINHのNelson Garciaさんが殺されたとの一報が入ってきて、なかなか眠れない一夜となりました。(3/16)

http://www.telesurtv.net/english/news/Another-Member-of-Berta-Caceres-Group-Assassinated-in-Honduras-20160315-0049.html

ただ、オランダのFMOはダム建設への資金を緊急に止める発表を昨日行いました。勿論、未だ安心できません。(3/17)

FMO suspends all activities in Honduras effectiveimmediately

https://www.fmo.nl/k/n1771/news/view/28133/20819/fmo-suspends-all-activities-in-honduras-effective-immediately.html


日本語の署名文があるとATTAC Japanさんに教えてもらいました(多謝!)。どうぞこちらで内容を確認の上ご署名(団体)下さい。

http://www.labornetjp.org/news/2016/1457748899671staff01


日本では話題になることすらない中米の小国ホンジュラスで起きた先住民族の環境・人権活動家の殺害事件。しかし、今この件は、現在開催中の国連人権理事会(UNHRC)でも話題になっているものです。

国連あるいは国連人権理事会では、先住民族の権利が長年にわたって議論されてきて、先住民族に関する合意文書が総会で採択されるほどになっており、現在は「農民と農村労働者の権利」について具体的な条文の内容が議論されているところです。その最中におきた事件とあって、世界的な抗議アクションが様々に繰り広げられているのですが、日本語ではほとんど話題になっていないので、このブログでまず初歩的な情報を共有しておきます。

なお、今回殺害されたホンジュラスのベルタ・カセレス(Berta Cáceres)さんの事件は象徴的な事件ではありますが、実は2002年から現在までのたった14年間で少なくとも千人近くの環境や土地を守る活動家が殺されているのです。しかも、この傾向は強まっています。


TNI(Transnational Institute、在アムステルダムの国際機関)からベルタさんの写真を頂きましたので掲載します。

今世界で「開発」をめぐって起きていること:人びとから奪われる土地・資源・暮らし・命_a0133563_16545382.jpg
TNIなど多くの国際団体が、この件で国際署名を集めています。是非、日本の団体も以下の国際声明に署名団体として参加して下さい。(個人の署名ではなく団体署名を集めています。締切はないそうです)
「International condemnation of the murder of indigenous leader Berta Cáceres in Honduras」
https://www.tni.org/en/article/international-condemnation-of-the-murder-of-indigenous-leader-berta-caceres-in-honduras

TNIは、この分野で大変重要な役割を果たしてきたのですが、日本ではあまり知られていない国際機関かもしれません。"TNI's Mission:TNI envisions a world of peace, equity and democracy on a sustainable planet brought about and sustained by an informed and engaged citizenry." (*今後日本との関係を強化したいそうなので、また別途紹介します。インターンをしたい人[無給]がいたら私に連絡下さい。)また、この分野の重要な国際団体として日本に知られていない団体としては、FIAN Internationalもあります。両団体ともこの分野の国連の動きにかなりコミットしているのですが、これらについてはまた紹介しますね。

さて、この件はホンジュラス、あるいはベルタさんの事件に留まらない、私たちの暮らし・国のあり方(政策・投資・援助・政治)にも直結しているので、5度目の3月11日を迎えたの今、じっくり共に考えて頂ければと思います。まず、英国ガーディアンの記事が一番まとまっているのでそれを紹介します。

==ガーディアン(2016年3月4日)=========

ベルタ・カセレス(Berta Cáceres)はここ10年間に殺された数百人の土地収奪への抗議者の一人となる:2015年は土地を守ろうと闘う環境活動家(その多くが先住民族)が歴史上最も多く殺された年となる。

http://www.theguardian.com/environment/2016/mar/04/berta-caceres-environmental-activists-murdered-global?CMP=twt_gu

ホンジュラスの活動家であるベルタ・カセレスが木曜日に殺された。2002年から少なくとも1000人以上が殺され続けている環境と土地を守ろうとする抗議者の一人として。NGOのグローバル・ウィットネスは、2015年はもっとも殺された人数が多い年になるだろうと公表した。

ベルタ・カセレスを思い出そう。

「私は人権闘士であり、絶対に諦めない」

グローバル・ウィットネスによると、2014年に世界中で週に2名の割合で、鉱山開発・水力発電ダム・違法罰しに関わる紛争で殺人事件があったという。そして、その4分の3が南米で失われた命だった。

グローバル・ウィットネスのビリー・カイテ(Billy Kyte)は次のように述べた。「我々は、土地や天然資源をめぐる収奪合戦の盛り上がりを目の当たりにしている。つまり、より多くの企業が先住民族の暮らす土地を目指してどんどん侵入を続けている。

中でも、ホンジュラスは開発プロジェクトに対して抗議するには、世界で最も危ないところであり、2010年から14年までの4年間で実に101人以上が殺害される結果となった。
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この報告書を書いた国際NGO・Global Witness(グローバル・ウィットネス)は、「紛争ダイヤモンド」「紛争木材」の問題に世界に先駆けて取り組んできた団体で、アフリカ諸国における「資源の呪い」に起因するガバナンス問題などにも積極的に取り組んできました。

そして、2015年に発表された「How Many More?」(後何人殺されたら?)が示した衝撃的なデータは、世界に驚きと懸念を呼び起こしました。つまり、「2014年時点で、少なくとも116人の環境活動家が世界中で殺されており、その数はその年に殺されたジャーナリスト数の二倍であり、その40%が先住民族であった」というものでした。その殺人の多くが遠方のコミュニティで起こっており、ほとんど知られず調査もされないままだといいます。
https://www.globalwitness.org/en/campaigns/environmental-activists/how-many-more/
しかも、2015年はその2014年を超える数になるというのです。
以下、Global Witness 2015の地図。
今世界で「開発」をめぐって起きていること:人びとから奪われる土地・資源・暮らし・命_a0133563_03513604.jpg
同報告書は、殺人だけでなく、所謂「開発」と呼ばれるプロジェクトに抗議をする人たちに対する脅迫・攻撃・犯罪などの暴力や弾圧のグローバルな傾向を分析しています。また、これらの環境・人権活動家らが、「国家の敵」や「テロリスト」として描写され糾弾され、裁判にかけられつつある危惧される傾向についても指摘しています。

by africa_class | 2016-03-12 03:44 | 【考】土地争奪・プロサバンナ問題
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