ブログトップ

Lifestyle&平和&アフリカ&教育&Others

afriqclass.exblog.jp

2017年 11月 11日 ( 2 )

ブラジル人神父ら22名の市民社会メンバーがジンバブエで投獄:ブラジル民衆運動とアフリカ

ただ今、ブラジルから連絡があり、全員が釈放され、ブラジル領事館にいるようです。(2017年11月10日現在)


ブラジルのラジオに流れた解放された鉱山被害運動MAMの女性リーダーのお父さん(国会議員)の感謝メッセージを聞きました。これがブラジルの政治史を振り返りながら、現在のジンバブエの政治社会状況を懸念する内容で非常に面白いのですが、娘の活動を「誇りに思う!」「この機会で彼女がいかに世界の皆とともに歩んでいるのかはっきりわかった」とのメッセージを発していて、人道支援をしていたり報道のためにイラクにいて人質になった日本の方々が集中バッシングを受けたあのときを思い出して、「あっ!これは本当に重要なメッセージ」と思いました。余裕があれば(ないが)、全文を訳したいと思います。


あと、お父さんのメッセージで、アフリカ中の大司祭やヴァチカンとルーラ大統領が直接ムガベ大統領とその周辺に働きかけたことを知り、さすがブラジル…おそるべしブラジル社会運動…と改めて思いました。(2017年11月12日現在)


昨夜、ブラジル人神父ら22名の中南米の市民社会メンバーがジンバブエで投獄された、ヘルプー!という情報が駆け巡り、夜中まで(ブラジルとの時差で…)、アフリカ<=>ブラジル<=>ドイツで、対応に追われていました。

すでに、BBC Brasilが第一報を流しています。


このブログとの関係では数点指摘しておきます。


【中南米の社会運動の活性化】

1)アフリカに先行して加速度的に進んだブラジルや中南米における鉱物資源開発やアグリビジネス投資による土地収奪問題は、住民や市民の側での主権者意識を目覚めさせるとともに、抵抗運動を育んだ。

2)これらの当事者・社会運動(労働者やその他)、それを支える教会、市民社会、学術界の連携は、時に国家権力をも掌握し、労働党政権や先住民族出身者の大統領選出などの動きを生み出した。

3)中南米における、社会運動と国家・政府・与党との結合は、多くの先進的な法制度や国家事業をもたらし、国際レベルでの各種の権利宣言の採択(先住民族に関する権利、開発の権利、現在の小農と農村で働く人びとの権利など)を実現した。

4)他方で、市民社会スペースの国家権力による介入の余地を生み出したり、選挙でこれらの連携先が負けると、報復に社会運動の弾圧が行われるなどの出来事が生じている(ブラジルの今)


【ブラジル社会におけるカトリック教会の役割】

1)以上の流れにおいて、「解放の神学」、カトリック教会が果たした役割は非常に大きいです。

2)軍事政権下で唯一、ある程度の自由がきいたのが教会でした。

3)そこで、おおくの運動が教会二庇護される形で進められました。

4)中でも、土地収奪と闘う教会の運動は、先駆的な試みを多様に駆使し、世界的に大きな影響を及ぼしました

5)土地紛争のデータの統計化、分析の一方で、社会の隅々にある教会のネットワークを通じて、危機が迫ったり、権利が剥奪された人びとに即座に対応しています

6)教会は住民と学者たちや様々なアクターの繋ぎやくもしています。

7)また住民のエンパワーメントのためのセミナーをあらゆる方法で行っており、問題だけでなく、その先(アグロエコロジーや食料主権の実現)のための活動も活発に行っています

8)何より、教会組織は世界組織でもあります。世界と連携しながら、情報を世界に発信し、また世界の支援を受けるなかで、自らの経験交流を各地に広めています。

9)最後に、ブラジルのカトリック教会が土地問題に深くコミットするようになったのは、セラードに日本とJICAがもたらしたPRODECERとの闘いによってでした。


【中南米の経験をアフリカへ】

1)以上の1990年代から一歩ずつ駒を進めてきた中南米における社会運動の経験は、ポルトアレグレでの世界社会フォーラムで、一気に世界に知られるようになりました。

2)そこで、アフリカ市民社会運動との交流も始まっていたのですが、その段階では「繋がっているだけ」という傾向がありました。

3)しかし、これまた皮肉にも、三角協力として開始したプロサバンナ事業、そしてモザンビーク北部でのVale社(三井物産)の石炭開発事業が、ブラジルとモザンビークの民衆同士を繋げる大きな役割を果たしました。

4)ポルトガル語同士ということもあり、これまでにない動きが生み出されています。


*この様子は、以下のFBでも紹介されています。

http://bit.ly/2vimdhk


5)特に、鉱物資源開発と大規模アグリビジネスの土地占領に抵抗する人びと同士で、大西洋を越えた連携が進んでいっています。


【今回の事件】

BBCの報道によると、次のとおりです。

1)この流れの中で、ジンバブエで金やダイヤモンドの鉱物資源開発に苦しむコミュニティのエンパワメんとのために、ブラジルと中南米から経験交流に22名が訪れていたそうです。

2)ブラジルからは、セラードでの農業開発、とりわけPRODECERとの闘いで最前線にたって頑張ったカトリック神父さん、ロドリゴ・ペレ神父(土地司牧委員会CPT)、鉱山被害運動(MAM)の2名の代表が地元コミュニティを訪問していたようです。

3)この中には、3名のブラジル人の他、南ア、ザンビア、ケニア、ウガンダなどの市民社会メンバーも含まれるようです。

4)コミュニティが鉱物資源開発のために退去を押し付けられていたそうです。

5)そのコミュニティをサポートしようと訪れていたところ、中国人の鉱山主が警察に通報し、警察はバスでやってきて全員を拘束。

6)現在、投獄されている模様。

7)駐ジンバブエのブラジル大使館やその他の大使館は、ジンバブエ政府に釈放を強く働きかけているところ。


Frei e ativistas brasileiros são presos em zona de mineração de diamantes no Zimbábue

http://www.bbc.com/portuguese/internacional-41950575


<=来年の総選挙を睨み、ジンバブエの政治・社会状況が急速に悪化している中で、このことが浮き彫りにしている沢山の問題についても、この記事は詳しく述べているので、ぜひご一読下さい。


【ブラジル市民社会から世界への緊急署名活動:声明】

本日、ブラジル時間2時までに署名を集めているそうです。

*団体署名となります。


Today, November 10, 2017, three comrades were arrested in Zimbabwe: Frei Rodrigo Peret, a militant of the Pastoral Land Commission of Uberlandia, Minas Gerais state, Maria Julia Gomes Andrade and Jarbas Vieira, the later two members of the Movement of People Affected by Mining (MAM) and members of the secretariat of the Committee in Defense of the Territories Facing Mining.

The group of Brazilians were participating in an exchange activity of the Brazil and Latin America Dialogue of Peoples and were arrested with 22 more people from five African countries who were part of the same delegation. They are detained at the central police station in the town of Mutare, which lies 270 kilometers from the capital, Harare, on the border with Mozambique.

The allegation for the arrest of the group is that they were violating a privately-owned area belonging to a Chinese mining company who exploits diamonds in the region, however, the activity was carried out in a community where about 6,000 people live.

THE BRAZILIAN EMBASSY IN ZIMBABWE ha
s already been activated, and is in contact with local police to gather more information. The Human Rights Division of the Ministry of Foreign Affairs in Brasilia is also following the case. The head of the Africa Department of that ministry has also been notified.

There is great concern with the situation of political instability in Zimbabwe. Several organizations and militants are mobilizing their networks to provide support and solidarity to their peers and the whole group.

【実は他人事ではない】

いま、「儲け至上主義」の世界の各地で生じていることですが、住民やコミュニティの権利を奪う側のビジネスと結託する各国政府の傾向が強まっています。そして、それに対抗しようとする住民や市民社会の側に多大な負担と犠牲が強いられています。


このような中で、市民社会のスペースは急速に狭まっていっています。

これは、日本でも感じられていることであり、モザンビークでもそうですが、そのほかでも同時進行している状態にあります。


これを受けて、国連人権理事会では次の様なガイドブックを策定しています。

http://www.ohchr.org/Documents/AboutUs/CivilSociety/CS_space_UNHRSystem_Guide.pdf


いずれにせよ、1%のための政治経済社会が国内だけでなく世界大で形成されつつあります。

99%がそれに気づかないよう、互いに反目しあい、足を引っ張り合い、権利が剥奪されても諦め、単純安価な労働者として考える余裕も抵抗する力も失い、むしろ大政翼賛の一こまを担うようにと、あらゆる方法での精神的働きかけがなされているところです。


日本はすでにこれが上手くいったケースとなりつつあります。

そのような中でブラジルから学ぶべき点も多いのですが、だからこそ弾劾後の政権や世界の権力者たちが、ブラジルの民衆運動にターゲットを絞って弾圧に協力しあっている可能性が感じられます。


続報がきたらお知らせします。


写真は、セラード農業開発の拡大(MATOPIBA)に反対する先住民族や教会の皆さんのマーチの様子です。

a0133563_19120508.jpeg

[PR]
by africa_class | 2017-11-11 19:12 | 【考】民主主義、社会運動と民衆

ブラジル・セラードの日系農場とコミュニティ紛争:水問題でついに住民占拠へ

 今日は土曜日。のんびりした空気がここドイツの田舎では漂っているのに、ブラジルとアフリカから矢継ぎ早に寄せられる情報に翻弄されているところ。
 さて。ブラジルからの緊急情報のリサーチをしている間に、さらにSOSの情報がブラジル経由で寄せられて、ややてんやわんやですが、現時点で寄せられた情報、調べたことを共有しておきます。

これはその前の投稿で紹介したMATOPIBA地域で起きていることです。
詳細は以下をまずご覧下さい。

アマゾン周辺地域まで伸びるアグリビジネス:日本が関わるMATOPIBAを知っていますか?

http://afriqclass.exblog.jp/237969424/

1. この1週間で起きたこと&その背景
末尾のソース(記事)によると、次のようなことが11月2日から現在まで起きているそうです。

【概要】
1)地理:ブラジル北東部バイーア州バレイラス地域のロザリオ郡コレンチーナ市
2)現場:「イガラシ(五十嵐)社(Lavoura e Pecuária Igrashi)」が所有するリオ・クラーロ農場(地元住民は「イガラシ農園」として言及)
3)日付:11月2日に発生
4)リオ・クラーロ農場を500-1000人の住民らが占拠し、農場の灌漑設備を破壊

【背景】
1)この地域はバイーア州最西部地域で、日本・JICAのPRODECERを経て、大規模開墾大豆を含む輸出向け穀物生産が拡大し続けてきた
2)水の大量利用により住民が生活に頼る水が不足
3)これについては、裁判や請願を含む様々なアクションがとられてきたが、行政はアグリビジネス側に立った
4)このたび、「イガラシ農場」での新たな灌漑設備の完成によって、さらに水が枯渇した
5)関与しているのは日本企業である

*コミュニティの弁護士によると、企業が1日に使う水量は1億リットルで、3万人が暮らすコレンチーマ市の300万リットルの何十倍にも上る。

【何が起きたのか?起きているのか?】
1)ついに周辺コミュニティの住民が立ち上がり、農場を占拠し、灌漑設備を破壊

*女性たちは、「私たちは誰も傷つけたくない。ただ生きていくために不可欠な水を取り戻したいのだ」と語る。

2)警察が出動
3)コミュニティと住民の権利を支援する運動が拡大
4)捜査開始に対して、全国から非難
5)今日全国から集まった人びとが集会を予定

2. 問題となっている「日系企業」(イガラシ社)とは?
報道と現地からの情報で、この企業が「イガラシ(五十嵐)社(Lavoura e Pecuária Igrashi)」であることが分かります。そして、現地の皆さんからは、日本のマネーが関わっているとの情報がくるのですが、明確ではありません。また、背景はあまり明確ではありません。そこで、日本語・ポルトガル語でのサーチをした結果、次のことが分かりました。

なお、「イガラシ社」のサイトは「現在メンテ中」と出ます。
http://www.igarashi.com.br/

【戦後日本人移民によるイガラシ社の設立と北進】
1)戦後、日本からサンパウロ州イビウにやってきた五十嵐氏
2)その後、サンタカタリーナ州に拠点を移す
3)1970年に会社を創業し(本社クリチバ)、種芋の栽培に取り組む
4)日本のセラード農業開発協力(PRODECER)の北進に伴い、
5)1992年にゴイアス州に農場(Fazenda Rinção de Alice)を開設
6)1995年にバイーア州にRio Claro農場を開設
*そのほか、Chapada Diamantinaにも農場を有する。

【イガラシ社の土地保有面積】
1)バイーア州に35,000ha
2)ブラジル全土、全体で50,000ha
*ちなみに、東京都面積は200,000haなので、その4分の1の広さ
3)今回問題になっている農場は、2500haぐらいのもののようです
(NGO情報による)

【何を生産しているのか?】
NGOの情報やメディアの情報、FB情報を踏まえると、
1)種芋やジャガイモを重視しつつ、
2)豆類、トウモロコシ(メイズ)、小麦など
3)これをセンターピボット方式で生産

【現在の所有者】
1)五十嵐氏と日系二世のお母さんの子どもであるNelson Yoshio Igarashi氏
2)北東部の農場、サンパウロ、クリチバを自家用ヘリコプターで飛び回っている、そうです。

【日本との関わり】
1)日本政府・政府系機関と日系移民の関係の強さを考えると無関係ということはないと思います。
2)農水省の助成をもらってブラジル・セラードのアグリビジネスの現状を日本との関係で調査をした筑波大学他の調査結果をみると、極僅かに選ばれた企業の一つが五十嵐農場となっています。ですので、一定の関係があると思われますが、詳細は不明です。
3)また、五十嵐ファミリーが、農場を北部に広げていくプロセスと日本のPRODECERへの関与(時期・場所)がある程度重なっているので、なんらかの関係はあったものと思われます。
4)特に、PRODECER II(1983年ー1993年)に対象となったのが、ゴイアス州とバイーア州のこの地域であったことも注目したいところです。が、直接関係があったかは不明です。

*しかし、いずれも現段階で推測にすぎず、この関係については、今後のリサーチが必要です。(私も忙しいので、誰かやってほしい・・・)

3. コミュニティ・住民はどのような被害を受けているのか?
なかなかメディアにはのらない情報なので、ここが一番重要かもしれません。
現地から詳細なるレポートとパワーポイントが届きました。
が、今それを全部紹介する余裕がないので一部だけ。

【イガラシ(サンタクラーロ)農場と灌漑】
1)水利用権を2015年1月27日に獲得
2)2,539haの自社農場のため大規模な灌漑設備を完成させた
3)「イガラシ農場」は、1日14時間182,203m2/一日の水を
4)サンフランシスコ川からくみ上げている。
5)周辺地域のコミュニティは水へのアクセスが困難な状況に陥っている

【住民・NGO等から提供のあった写真】
1)センターピボット方式の農業生産とは?
現在、この地域一体では次のようなパッチワーク状態にあるそうです。
真ん中あたりに丸が沢山並んでいますが、これがセンターピボット方式の生産様式です
a0133563_17530709.jpg
2)「イガラシ農場」で工事中の灌漑設備の写真

a0133563_17442547.jpg
3)結果として、水位が劇的に下がった川べりでは、このような状態が生まれているそうです。周辺は、伝統的に「川べりに暮らす人びと」のコミュニティが形成されており、暮らしが続けられないほどの打撃を受けているといいます。

a0133563_17565937.jpg
4. Water grabbing(水収奪)はLand grabbing(土地収奪)

日本でも少し「ランドグラブ」が注目されるようになった(かな?)のですが、ランドグラブ=土地の収奪だけを含むものではなく、特にアグリビジネスによる土地占領は、水の収奪と一体になって進みます。

理由は簡単。
農業には水が不可欠だからです。

日本では、ブラジルのセラードを「不毛の大地」だなどとよんで、まるで重要ではない扱いをしてきましたが、実際はアマゾンよりも生物多様性に富み、かつ南米中の大規模河川の源流がセラードに集中し、まさに「南米の水がめ、水のゆりかご」となっています。

そのセラードで水をぐんぐんアグリビジネスが使い、農薬で汚染したために、多種多様な問題が生じています。それは、地元社会に最も強烈な影響を及ぼすのですが、遠く離れたサンパウロで水がアクセスできなくなるほどに深刻となっています。

実は、米国でも、オーストラリアでも、水不足で農業生産ができないほどになってきているのですが、この背景には、気候変動・異常気象による深刻な干ばつだけでなく、地下水をくみ上げすぎたこと、さらに塩害が起きていることが影響しています。

つまり、今世界では、水と土地の収奪は同時展開していると考えるべきでしょう。
これについては、また紹介します。

最後に、この問題となっている地域で、アグリビジネスの地下水汲み上げにより、地面の陥没も各地で起きているとの写真を紹介しておきます。これらは、現在の工業的な大規模農業生産が、いかにコミュニティだけでなく地球を蝕んでいるのかを如実に示しています。

a0133563_17593083.jpg
今日の続報を待ちましょう。

【参考サイト】
破壊中の動画が地元新聞のサイトに掲載されています。
http://www.correio24horas.com.br/noticia/nid/destruicao-em-fazenda-causa-prejuizo-multimilionario-veja-video/

すでにこの「イガラシ農園」に対して住民が、以前から訴えをおこしていたようです。
https://www.jusbrasil.com.br/topicos/83367407/fazenda-igarashi

声明
http://cptba.org.br/cptba_v2/nota-cansado-do-descaso-das-autoridades-o-povo-de-correntina-reage-em-defesa-das-aguas/

支援の運動
https://www.noticiasagricolas.com.br/noticias/meio-ambiente/202211-cientistas-de-esquerda-fazem-mocao-a-invasao-da-fazenda-igarashi-em-correntinaba.html#.WgSpOUdpFsM

警察が捜査開始
http://g1.globo.com/jornal-nacional/noticia/2017/11/policia-investiga-invasao-de-fazenda-e-vandalismo-no-oeste-da-bahia.html



[PR]
by africa_class | 2017-11-11 18:12 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ