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講演会:3・11後の国際協力人材育成とは~アジア・南米・アフリカでの過去の教訓から(1月10日@立教大)

11月の明治学院大学での連続報告会に触発されて、立教大学での講演会でも「セラード開発(ブラジル)」と「プロサバンナ(モザンビーク)」について取り上げられることになりました。講師でまいりますので、もう少し詳しく話が聞きたいという方は是非どうぞ。
 それにしても、とてもタイムリーでいい企画だと思います。「過去の教訓」から学ぶことこそ、311後の日本の社会全般が、市民社会も含め求められていることですので。21世紀も12年が経過し、どのような国際協力を日本としてやっていくのか、「どこの誰とどうつながっていくべきなのか」真剣に考え、議論して行けたらよいですね。特に、学生の皆さんに参加してほしいと思います。
 しかし、いずれの事業主体でもあるJICAさんが出ないのは非常に残念ですねえ。どうしてでしょうねえ。まさか公開討論が嫌・・・とか?こういう機会こそ、持論を公に展開する絶好の機会なのに・・・本当に勿体ないです。

【立教大学当該イベントのHP】
http://www.rikkyo.ac.jp/events/2013/01/12004/
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グ ローバル人材育成センター開設準 備室主催公開講演会
「3・11後の国際協力人材育成とは~アジア・南米・アフリカでの過去の教訓から考える~」
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1954年にビルマ (ミャンマー)で始まった日本の政府開発援助(ODA)は、これまで世界100カ 国以上で展開されてきました。 しかし、2011年の東日本大震災を受け、これまで援助する側にいた日本は大規模な援助を受ける側となり、国際協力の新しい時代を迎え、これまでの国際協 力について、課題や在り方があらためて問い直され始めています。21世紀の現在、国際協力を通して平和 な世界づくりに貢献してい くために、日本の大学はどのような人材育成に取り組んでいくべきでしょうか。過去の経験から学ばず理想論を追い求めるのではな く、これまでの日本の援助を多様な立場の方々と共に振り返りながら、皆さんと一緒に考えていきましょ う。スピーカーに開発援助機 関、現地と日本の市民社会、学生の方を迎え、来場者の皆さんと共に考えながら「3・11後の国際協力の人材育成」に関する提言を まとめていきます。
■日時 :2013年1月10日 (木)18:20~20:30
■場所 :池袋キャンパス 太刀川記念館3階 多目的ホール
■講師 :
秋元 由紀 氏 (特定非営利活動法人メコン・ウォッチ/ビルマ情報ネットワーク)
印鑰 智哉 氏(株式会社オルター・トレード・ジャパン)
舩田クラーセンさやか 氏(東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授) 
※その他、国際協力機関職員(調整中)、立教大学生2名も登壇する予定です。
【ファシリテーター】
米川 正子(本学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授)
対象者 本学学生、教職員、校友、 一般
※申込不要、入場無料
問合せ先 グローバル人材育成セン ター開設準備室 
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by africa_class | 2012-12-31 19:33 | 【記録】講演・研究会・原稿

モザンビーク第一人者によるプロサバンナに関する記事(続報)、農業省大臣談話の考察を中心に

学生からの卒論ファイルがパタリと止んだので、こちらの紹介を。リファレンスURLを付けようと思っていたのですが、子どもが起きてきたので後日修正します。

前回紹介したモザンビーク報道・研究の第一人者であるジョセフ・ハンロン教授(英国Open Univ.)のプロサバンナ問題に関する記事・第2弾、モザンビーク農業大臣の談話に基づき、前もって私の考察を述べておきます。何れも、必ず原典を各自でご確認ください。

"Pacheco says peasants protected, but Pro-Savana land grab debate continues"

 日本とブラジルによるモザンビーク農業開発援助案件「プロサバンナProSavana」への高まる一方の国内外の懸念に対応することを余儀なくされたモザンビーク農業省パシェコ大臣は、12月22日のテレビ・ラジオ番組で、「プロサバンナで農民らは土地を失ったりしない」と強調したと報道されました。
http://noticias.sapo.mz/aim/artigo/652525122012154125.html
 「ああよかった」と思い、以上の12月25日の国営通信の記事を読み始めて「?????」が募る一方。皆さんもご自分で読んでいただければ分かるのですが、結局何も事態は変わっておらず、大臣が「土地法があるから大丈夫」と従来見解を繰り返しているだけで、残念ながら、このプロジェクトで「ブラジル企業・農家による土地収用はされない」ということではありませんでした。また、下記のハンロン教授の記事でも紹介されているとおり、大臣は次のように述べています。
●「ブラジルのセラードとナカラ回廊地帯の特徴が一致するため、日本とブラジルによる30年の経験に基づくセラード開発の『レプリカ』を創り出す」
 また、大臣談話の特徴的な点として、
●「小農支援が重点」と述べている点は、これまでと異なり新しい点です。

 しかし、この2点の関係こそが、下記のハンロン教授の分析にも有る通り、また現地農民組織や国際組織が懸念を抱いている点なのです。重要な点なので、少し詳しく解説します。

 日本のJICAや外務省が、高まる一方の批判を回避するために、最近とみに強調する「小農支援」が、大臣の談話でも強調されるようになっていますが、「セラード開発」は承知の通り、小農支援ではありませんでした。その真逆で、同地に暮らす先住民や小農を排除し、大規模農地開発と豊かな南部や日系人の入植を進めたのが同開発でした。したがって、「セラード開発のレプリカ」と「小農重視」という場合は、ハンロン教授の指摘通り、論理矛盾があります。
 ただし、パシェコ大臣が、JICAがプロサバンナの必要性について繰り返してきた主張、
(●小農は土地を使いこなせず土地を余らせ、生産性が低く粗放農に依存するというストーリー
→JICA ウェブページhttp://www.jica.go.jp/project/mozambique/001/outline/index.html)
より一歩踏み込んで、「国の農業生産の90%を担う小農の重要性」に言及するようになったのは評価されるべき点だと思います。(日本側の資料分析については近々出版するのでそちらをご覧ください)

 さて、大臣がおっしゃる通り、本当に「土地法があるから大丈夫」なのでしょうか?
 この前の投稿で、ラジオ・インタビューに対して国際NGO/GRAINのDevlinさんが指摘していたように、世界の外資による土地収奪の大半はアフリカで起きており、まさに「土地法」があっても現実には土地の権利は守られない事態が頻発しています。
→http://afriqclass.exblog.jp/17062266(インタビュー全訳)

 結局、LandMatrixの記事によると、世界の土地収奪の6割はアフリカ地域で起こり、世界ナンバー2の土地取引件数・面積が共に、モザンビークとなっている現実にあります。パシェコ大臣の在任期間中にこの事態は起きており、大臣による「土地法があるから農民の権利は守られている」というのは、ここ数年のデータからも否定されています。
→Ward Anseeuw, Mathieu Boche, Thomas Breu, Markus Giger, Jann Lay, Peter Messerli and Kerstin Nolte (2012), Analytical Report based on the Land Matrix Database, Landmatrix (landportal.info/landmatrix)

 残念ながら、最後まで大臣のインタビューを読んでも、このプロジェクト(プロサバンナ)で、「ブラジル企業や農家による土地収用がない」とは書かれていません。むしろ、「(法や小農をリスペクトすれば)どんな投資もウェルカム」と締めくくられています。しかし実態として、ではなぜ、そのような土地法があり、小農を重視している政策下で、現状においてモザンビーク中で土地紛争が勃発しているのでしょうか?
→http://afriqclass.exblog.jp/17017188/

 先日のNGO外務省の協議会(12月15日http://afriqclass.exblog.jp/17000792/)では、外務省側から「モザンビーク政府のガバナンス支援をして問題回避」が言及されていましたが、
(1)モデルとするセラード開発において何が起こったのかのふり返りがないまま、2009年にそれをモデルとして採り入れると宣言し、住民や小農無視のデザインを押し進め、2012年秋に問題になるまでそれを大々的に宣伝してきた、
(2)2008年来、アフリカ中とりわけモザンビークで生じている土地争奪問題に全く理解がないまま、70年代の軍政下のブラジルで行なわれたセラード開発をモデルとした、
 のは日本ではなかったのでしょうか?
→このプロサバンナに見られる日本会計者の言説の推移は、講演会での報告記録を(詳細は近著を)
http://afriqclass.exblog.jp/16942666
http://afriqclass.exblog.jp/16942699/

 また、12月15日の政策協議会で、外務省側は、「貧困と農業停滞に喘ぐモザンビークがブラジルのモデルを良いと思って日本に協力を求めてきた」とプロサバンナの発案の経緯を主張しましたが、JICAのセラード開発担当者が「セラード開発の成功をアフリカで活かすため、プロサバンナは自分が立案した」と誇りを持って明確に語っています。ブラジルの関係者も「プロサバンナは日本のプロジェクト」と呼んでいます。しかし、問題化すると、日本はまるで「第3者」のような説明を事業機関が行う…そういう事態が生じています。

 現地事情を知りも、学ぼうともしないまま、机上の計画で、問題発生可能性をまったく予見せず、問題が実際に発生してから行われる、これまでのストーリーのいつの間にかの修正、応急対応と工作、そして責任転嫁は、国際的な信用を落とすだけでなく、援助を税金で支える納税者や国民の信用をも失うでしょう。このような非を認められないが故に、周りを巻き込んでどんどん問題を拡大させてしまい、被援助国の皆さんの貴重な時間や労力すら奪ってしていってしまう姿勢・・・の改善を、切に求めたいと思います。
 この秋にプロサバンナが問題化してから、現地では尻拭いのために本当にありとあらゆるところに圧力がかけられており、残念ながら、外部援助者の基本であるDoNoHarmの原則は、事業が本格開始以前の、立案・計画のまずさから、既にDoHarm状況にあるという自覚を、関係者が認めないことには、問題が問題を、懸念が懸念を、不信が不信を呼び、日本の国際的な信用はますます地に落ち続けるでしょう。
 
 それにしても、JICAや外務省は、モザンビーク北部の小農を本当に支援したいのであれば、ブラジルやセラード開発やあれやこれや以前に、まず北部地域という場の地域性、そして小農という主体から全てを始めるべきであったことに、いつになったら気づいてくれるのでしょうか。これは、そんなに認めるのが難しい話なのでしょうか?この20年間の開発や国際協力の議論の推移は、「セラードの成功」で無視してもよいという結論に至ったようですが、本当にそれで良かったのでしょうか?

 モザンビーク建国から37年。他ドナーが同国各地で継続的な支援を行い、同国の社会やニーズについて知識においても経験においても蓄積を積み重ねてきたところで、一方の日本はたかだか12年の在留経験。しかも、首都から遠く離れたこれらの対象地域の農村で何一つ社会的な調査も経験も積み重ねないままの、「ブラジルの成功モデルの移転」の打ち上げ花火。この秋確認しましたが、現地の公用語であるポルトガル語を話せる開発コンサルタントはほとんどおらず、現地の大使館にもJICAにもポルトガル語話者はごく僅か。今年秋の時点で、現地の調査機関も私が紹介するまでカウンターパートの農業省のものしか知らず、沢山文献は出ているのに、農民らが何を栽培しているかも自ら調べることなく、私にインタビューしてそれで済まそうとしていたほどでした。
 この間のドタバタをみていると、「身の丈」にあわない大規模プロジェクトを、熟考なく「セラード開発の成功をモザンビークに」との大きな掛け声で、宣伝ばかり先走ってやってきたツケが今押し寄せているように思われます。私たちの社会でこれをやったとしたら大問題だったと思いますが、「貧しいモザンビーク」なら、「政府が同意していれば」、良いという論理が哀しいです。
 また、「計画段階だから」との弁明は、しかし、既に「セラード開発の移植」を掲げ、大量の税金を投入し、大宣伝を繰り返している以上は本末転倒。

 さて、最後に。ハンロン教授の記事の中には、セラード開発を「レプリカ」とすることの問題が2点指摘されています。いずれも非常に重要な論点です。補足しつつ、紹介します。
(1)当初のJICA広報でも、今回の大臣談話でも繰り返された「セラードとナカラ回廊の一致する条件」ですが、実際は、緯度が一緒で雨季と乾季がある・・・という程度のことでした。それに気づいて、いつの間にか、JICAの資料からは「違いも大きい」という文言がこっそり滑り込むようになっていますが、ハンロン教授の指摘は重要です。つまり、セラードは高い酸性で農業条件が悪く、農民の数はそれほど多くなかったが、ナカラ回廊地帯は土地も水も豊かで多くの農民が暮らしているという真逆の条件。
(2)もう1点は、既に上で取り上げた通り、そもそもセラードに暮らしていた先住民は数は少ないものの、排除されたことは事実であり、彼らは「セラード開発によりより貧しくなった」というブラジルの実証研究(博士論文)が1988年に出されている。
→http://www.lagea.ig.ufu.br/biblioteca/teses/docentes/tese_pessoa_v_l_s.pdf

 つまり、「セラード開発をモデル」にするということは、モザンビーク北部小農にとって危惧されるべき点が多いということが指摘されているわけです。その地平に立った時、このプロジェクトを立案する前にやられるべきことは、はっきりしていました。つまり、「地元小農に対するセラード開発の負の遺産」について、日本の関係者が真摯に向き合うこと、そしてそれを繰り返さないための方策をどうするのかをブラジル先住民、モザンビーク北部小農を代表できる組織と真正面から対話していくことでした。そのことを、モザンビークの農民組織、市民社会、研究者、他の援助機関、世界の市民社会、日本の市民社会が問題にしていることを、いつになったら理解される日がくるのでしょうか。あるいは、永遠に不可能なことなのでしょうか。
 本来援助とは何のために使われるべきものなのでしょうか。311後に私たちに問われたのは、単に苦しい財政状況下に減る一方の「援助の量」をどうすべきかという論点だけでなく、「主権在民」の本質に関するものでした。日本国内の「主権在民」の原則の軽視が、遠いアフリカでも繰り返されている実態は、単にJICAや外務省だけのせいではなく、私たち自身の社会の在り様が、援助を経由して、輸出され、反映されているのであり、私たち自身の問題であるという点を今一度強調しておきたいと思います。

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MOZAMBIQUE 210 News reports & clippings
28 December 2012 by Joseph Hanlon
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"Pacheco says peasants protected, but Pro-Savana land grab debate continues"

No farmer will lose their land as part of the Pro-Savana project in Nampula, Agriculture Minister Jose Pacheco told a joint Radio Moçambique/TVM "Direct Line" (“Linha Directa”) programme Saturday 22 December. Indeed, he said the objective was to expand the area of small farmers. He was responding to a 25 October statement by UNAC, the National Peasants Union, that family farmers would be pushed off the land by the joint Brazilian-Japanese project. (AIM 25 Dec 2012; http://noticias.sapo.mz/aim/artigo/652525122012154125.html; News Reports & Clippings 209)

But the rest of his intervention created more confusion. Pacheco explained that Pro-Savana is intended to be a "replica" of the Japanese-Brazilian programme 30 years ago in a region called the cerrado which he said was "identical" to the Nacala corridor. And this is being questioned.

First, some argue that the Nacala corridor is very different, and not identical to the Brazilian cerrado. The cerrado had infertile land with high acidity and aluminium content, and heavy rains that leached the soil and made in less attractive to peasant farmers. By contrast, the Nacala corridor contains some of Mozambique's most fertile land and good rainfall, which means it is relatively densely occupied by peasant farmers.

The second conflict is over the model. The cerrado was turned into highly productive farmland but through very large mechanised farms, particularly growing soya. And much of the publicity on pro-Savana within Brazil is about how the huge Brazilian soya farmers are going to take over vast tracts of land in the Nacala corridor in a "replica" of the cerrado project. And a 1988 doctoral dissertation by Vera Pessoa in Brazil concluded that even though the cerrado was not very densely populated, very few of these small farmers benefited from the programme; most family farmers were evicted or became poorer as part of the cerrado project.
http://www.lagea.ig.ufu.br/biblioteca/teses/docentes/tese_pessoa_v_l_s.pdf

Pacheco said there was no place in Mozambique today from the grand "chartered companies" of the colonial era, and that any new investors must obey the land law (which gives occupants rights to their land). The plan is to have a mix of small, medium and large farms, he said.

But critics say that is not a "replica" of the Brazilian cerrado programme, which was dominated by very large farms.
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by africa_class | 2012-12-31 16:45 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

プロサバンナ問題に関するラジオ・インタビュー全訳(国際NGO・GRAIN)

皆さんはクリスマスをどうお過ごしでしたか?
 こちらは静かなクリスマスが終わり、義父の葬儀が昨日終わり、家族一同心の切り替えがだいぶできました。 さて、そんな静かな師走ではありますが、先日このブログで紹介したGRAINのプロサバンナ問題担当者であるDevlin Kuyek氏の英語でのラジオ・インタビューの全文の翻訳が名古屋大学大学院の院生さんから届いたので、紹介します。同大学院の西川芳昭先生が授業の題材として活用してくれたとのことです。この場を借りてお礼申し上げます。
 なお、GRAINがRight Livelihood賞(http://www.rightlivelihood.org/)を取っていたとは不覚にも知らなかったです。下記インタビューにある通り、プロサバンナに関しては、とにかく「宣伝」以外の情報、特に英語やポルトガル語の情報が少なく(これが現地市民社会の不満と不信にも繋がっているのですが)、世界的にも注目を集めているのに苦労が窺い知れます。
 そこで、公的な宣伝情報、断片的に報道される情報と、関係者へのインタビューは重要な手段であり、GRAINの他、モザンビークNGOもかなりインタビューを積み重ねて報告書を作成しています(同報告書は未だドラフトだそうなので、確定したら紹介します)。インタビューでも紹介されていますが、GRAINは今年春から精力的にインタビュー調査を開始し、モザンビーク、ブラジル関係者だけでなく、JICA関係者にもインタビューをしたということでした。*冒頭若干誤訳と修正履歴が残っていたので校正しました。

■プロサバンナ問題については、ここにまとめて入れてあります
→http://afriqclass.exblog.jp/i38/

“Interview with GRAIN on the ProSavana project”, 14 December 2012
http://www.grain.org/article/entries/4633-interview-with-grain-on-the-prosavana-project

参考文献
● “Brazilian megaproject in Mozambique set to displace millions of peasants”
http://climate-connections.org/2012/12/01/brazilian-megaproject-in-mozambique-set-to-displace-millions-of-peasants/
●『モザンビーク国 日伯モザンビー三角協力による熱帯サバンナ農業開発協力プログラム準備調査最終報告書』http://libopac.jica.go.jp/search/detail.do?rowIndex=1&method=detail&bibId=0000252732

“Interview with GRAIN on the ProSavana project”, 14 December 2012
Source: GRAIN 

参考文献
● “Brazilian megaproject in Mozambique set to displace millions of peasants”
●『モザンビーク国 日伯モザンビー三角協力による熱帯サバンナ農業開発協力プログラム準備調査最終報告書』

「国際NGO・Grainのプロサバンナ問題に関するラジオ・インタビュー和訳」

■Firoze Manji:ブラジル政府と民間セクターが、モザンビーク北部で日本と協力して大規模なアグリビジネスプロジェクトを進めようとしています。プロジェクトはプロサバンナと呼ばれ、大豆やメイズなど日本の多国籍企業によって輸出される商品作物の生産に向け、1400万ヘクタールの地域を対象としてブラジルのアグリビジネス企業に土地利用を可能とするものです。モザンビークのナカラ回廊として知られるこの地域は、何百万もの農家の生活の場ですが開発過程で彼らは土地を失う危険にさらされています。私はFiroze Manjiです。今日はGARINのDevlin Kuyek氏とお話します。GARINは、小規模農家や生物多様性を基本とした食料システム、コミュニティ管理に対する社会運動を支援する小さな国際NGOです。皆さんご存知のように、GRAINは2011年にノーベル賞に代わるとされるRight Livelihood賞を受賞しました。ようこそ、Devlinさん。
■Firoze Manji: 最近、「プロサバンナ」と呼ばれるプロジェクトについて多く書かれており、人々の関心を集めています。なぜなら、それは南南協力の一環の事業として示されているからです。この事業は、ブラジル、モザンビーク、日本が関わる大規模な開発事業です。こういった事業は促進されるべきではないのですか?
■Devlin Kuyek: そうですね。彼らはそう主張していますね。「プロサバンナ」と呼ばれる理由は、ブラジルのセラードで行われた類似のプロジェクトにちなんでいます。セラード地帯はブラジルの広大なサバンナ地域を農産物の一大生産拠点にしようとしたもので、70年代に日本が多大な投資を行い積極的に支援しました。数年のうちに、その広大なサバンナ地域の60%が、大豆、メイズ、綿、サトウキビなどの生産地に取ってかわりました。ブラジルのその地域は人口密度が低かったのですが、そこに暮らしていた先住民にとってこれは破壊的なことであり、結局これらの人びとはセラード東部の保護区域に追いやられ、周縁化され、土地問題などに対する抗議は現在も続いています。
 そういったことは少し別の話になりますが、2007年、2008年に起こった食糧危機以来、今起こっていることは、日本のような食料輸入に大きく依存する国が、2008年の食品価格の上昇や、先進国に拠点がある少数の企業による世界の食料支配を受け、グローバル市場に依存することは問題であると気づいたことから始まっています。ですから、これらの国々は自国の企業が海外に出向き、食料生産の管理を外部委託できるよう促進しようとしているのです。このようにしてターゲットにされている地域のひとつがアフリカです。
 こういったことは単なる食料の安全保障(フード・セキュリティ)の問題に留まりません。アフリカ農業開発に関心を抱いている企業はたくさんいます。なぜなら彼らはアフリカをブラジル、セラードのサバンナ地域で起こったのと同様の状況にすることによって、新たに利益を生み出す巨大なポテンシャルがあるとみているからです。彼らは、モザンビーク北部のこの地帯は、地図上でブラジルのセラードと緯度に関して完全に一致する、あるいは条件が非常によく似ていると言っています。
 しかし一番大きな違いは、モザンビークのこの地域は数百万もの人々が住む最も人口密度の高い地域だということです。この地域は、先住民の人々が狩猟採取をして暮らすような単なる開けたサバンナ地域ではありません。
 そこは、人々がすでに農業に従事している場所であり、もし貴方がたが、その地域に足を踏み入れたなら、そこに多くの小規模農家がおり、非常に肥沃な土地で気象条件の良い場所であることがわかるでしょう。プロジェクトの目標は、すでに農業生産下にある土地を農業開発するということではなく、農業のモデルを変化させ、生産のグローバルな変化に統合することにあるのです。
 プロサバンナ・プロジェクトの基層は、モザンビークとブラジルと日本による三角協定にあり、モザンビーク政府がこのプロジェクトのために土地を利用可能とする点にあり、彼らは1400万ヘクタールもの土地の話をしています。それは我々が聞いたところによると、1ヘクタールあたり、1ドルだったそうです。
 ですから、モザンビークが土地を提供し、ブラジルが農業を担う主なパートナーになります。ブラジルには、この種の経験を持つアグリビジネス企業や大規模農家があります。セラード地帯における最も大きな農場経営者であるAgricolaなどがそうです。
 その農場は23万ヘクタールもあり、それはカナダのどの農場より巨大です。
 これらがモザンビークで起こりうるっていることで、農業プロジェクトによって、大豆、メイズ、綿、輸出用の穀物であるサトウキビやゴマなどを生産しようとしています。
 三井、伊藤忠、丸紅などの日本の商社は、生産物を、主としてアジア、おそらく日本にのみ輸出するため(中国、中東、ヨーロッパ市場に向けも可能ですが)、生産物を輸出する港などインフラ施設に投資しようとしています。
 つまり、モザンビークは土地を供給し、ブラジルは農業を担い、日本は食料品を扱うという全体像です。ここ数年間で、フィナンシャルタイムズや地元新聞の記事などからようやく様々な詳細がわかってきています。
 ブラジルの農業経営者らの派遣団がモザンビークにやってきて、なぜ彼らがここに来たか、何が提供されるかなどを話し、彼らは帰国してこのプロジェクトを他の人々に売り込もうとしています。そういったことを通して、どのような計画がなされているか少しずつ情報を得ることができます。
 モザンビークのナカラ回廊周辺には、ベイラ港とナカラ港の二つの港があります。ベイラ港は深海港ではありませんが、モザンビークの主な炭鉱や、世界で二番目に石炭の埋蔵量を持つ開発中の炭鉱に最も近く、ブラジルの企業は石炭の採掘や初期生産に関わっていますから、それらをベイラ港を通して輸送しようとしているのです。しかし、ベイラ港は深海港ではないので、代りにナカラ港を石炭の輸出用に開発したいのです。ですから彼らは今、テテ州からモザンビークの内陸部を通ってナカラを繋ぐ、モザンビークの内陸部に繋がる第二の鉄道を建設しています。
■Firoze Manji: それは同じくマラウイに繋がる経路ですね?
■Devlin Kuyek: いずれはそうですね。全ての経路は、マラウイやザンビアに繋がり、回廊は他の国々まで延びています。そしてそれがこのプロサバンナ・プロジェクトの中核をなしています。石炭の輸送用に鉄道基盤を整備するということは、それに伴って穀類や油糧穀物用の農場が新たに設置され、そういった穀物の輸送用にも使われるということです。
■Firoze Manji: それは「カーテル」のようなものですね。
■Devlin Kuyek: その通りです。まさにアフリカの内陸部に繋がっていて、そこは肥沃な土壌です。そしてあまり状態は良くありませんが別の鉄道もあり、その鉄道の両脇は最も人々が密集している場所のひとつであり、彼らの多くは農業を営んでいます。
 もし貴方がこのプロジェクトの支持者らと話したとすれば、彼らは全く異なる見解を示すでしょう。我々が2012年春、5-6月頃、このプロジェクトを調査し始めた時に、私はブラジル側でこのプロジェクトを推進し、とりわけ資金調達や民間セクターの参入に関わる半公的機関であるGVアグロの担当者と話しました。
 彼らが率直に語ったところでは、土地は豊富にあり、このプロジェクトの事業地は誰も農業をしていない土地でやるし、モザンビークにはたくさんの土地があるのだから、このような農業地域の規模では全く社会的な負のインパクトなどないだろうということでした。
 モザンビーク政府でさえ、この国には3500万ヘクタールの開発可能な土地があると言っているのです。世界銀行などの開発金融機関はこの国は使われていない農業用の土地があり余るほどあると言っています。
 我々がこのプロジェクトを調査し始めた時に最初にしたことのひとつは、推進者はこう言っている、投資側はこう言っているといったような彼らの見解を聞き、では実際の状況はどうなのだろうかと調査を進めることでした。私が初めに出会った人物の一人に、土地問題を取り扱う国立の研究機関の研究者がいます。彼はその頃この国の土地利用に関する衛星画像や最新技術を使った大規模な調査を行っていました。そうやって調査した地図をみれば、この国には3500万ヘクタールもの農業生産用に開発可能な土地などなく、全体でおそらく600万ヘクタール程度しかないことがわかるでしょう。
 そしてプロサバンナがターゲットにするナカラ回廊周辺ではそのような開発可能な土地はほとんどないのです。ここにある地図には小さな緑の点があちこちに見えますが、それらは現在、農業用に使われている土地を示しています。
 現在、この地域の小農らによる主たる生産様式は、移動農耕です。土地のある部分は残して生産地を移動させるのです。土地は個人の所有ではなくコミュニティレベルで運用されていて、誰が耕作するかはその年によって変えることも可能です。
 ナカラ回廊周辺にでは、すでに多くの投資家がいて、プロサバンナ・プロジェクトだけでなく、土地を一刻も早く得ようとあらゆる種類の企業が入ってきています。
 なぜなら、彼らは、外部アクター、多国籍企業、日本であれ、中国であれ、英国であれ、民間投資機関であれの関心が高いことを知っているため、土地(ある種のプレミアになりつつあるもの)の支配権を得ようとしています。だから、すでに土地を得ようと動いている企業がいるのです。
 私が7月にナカラ回廊周辺にいた時、あるコミュニティと出会いました。そこはナカラ港と同様にプロジェクトの事業地のひとつであるナンプーラ州の州都ナンプーラの近郊でした。
 我々が出会った時、このコミュニティの人々はプロサバンナ・プロジェクトについて全く知らず、聞いたこともなく、我々と話して初めて知ったということでした。
 彼らが言うには、この周辺に開発用に可能な土地などなく、全て使用されているということでした。彼らはまた彼らが作った穀物を買ってもらうことにも熱心でした。彼らの最初の反応は、もし誰かが大豆、メイズをもっと欲しいというのならば、なぜ我々から買わないのか、簡単に育てることができるのに、といったようなものでした。事業の対象地となっているこの周辺地域では、プロジェクトの情報は全く入ってきていませんでした。そして会合の途中で、誰かがどうやったらこのプロジェクトと闘うことができるのかと問いかけました。
 すでにこのコミュニティでは、2週間前に別の企業が来て会合を開き、ユーカリの植林のため12万6000ヘクタールの土地が収用されると告げたということでした。プロサバンナ・プロジェクトの対象となっている1400万ヘクタールの土地に加え、この地域にはノルウェーの企業がすでにコミュニティに入り、協議もせずに土地の収用を行っているのです。
■Firoze Manji: しかし、モザンビーク政府も関わっていますよね。その土地は誰が所有しているのですか?コミュニティが所有しているのですか?土地に関する権利はあるのでしょうか。
■Devlin Kuyek: 大半のアフリカ諸国では(土地の)所有権に問題があります。コミュニティが土地を管理している、土地利用に対して権限もあると理解されています。しかし、一般的に政府によって与えられる法的効力のある書類に関して言えば、政府、通常国、実質的には及び大統領が実際には土地を所有していることになります。
 ですから法的な観点からすれば、国に土地所有の権利があり、外国の投資家に土地を売ることができるのです。
 もちろん、多くの国には土地登録の法律があり、コミュニティが土地管理できるといわれ、コミュニティからこれらの土地を奪うには諸々のプロセスがあるといわれますが、実際にそれが守られているかというと、それはまったく別の話となります。
 コミュニティは様々な仕掛けによって彼らの土地を奪われています。そのようなことが起り続けています。問題の根本は、モザンビークでは名目上はコミュニティに土地の強い支配権を与えているのですが、実質的にはこの権利は行使されていないということにあります。
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by africa_class | 2012-12-29 02:18 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

ドイツのクリスマス、暗い気分を励ますために

クリスマス当日。子どもたちはプレゼントのレールで大騒ぎ…卒論学生たちも今日は静か…なので、前に約束していたドイツのクリスマスの紹介を。
 クリスマスをドイツで過ごして13年になる。大抵そういうと、「羨ましい」といわれるけれど、それはドイツのクリスマスのその日をイメージしてのものではないと思う。クリスマス前の広場に現れるクリスマス市をイメージされているんでしょう。ホットワインが出たり、モミの木が売ってあったり、すごく賑やか。
 でも、実際のクリスマスイブや当日は、羨ましがるものではない。家族や友人がいない留学生には、暗く・侘しく・さみしい日々であること間違いなし。旅行もこの時期はおススメしない。日本に来たばかりの留学生が、年末年始を一人で過ごすことをイメージしてもらえると、同じニュアンス。

 つまり、ドイツのクリスマスと日本のお正月は、とっても似ているのです!これらのイベント直前の様子も然り。

 大混雑のスーパー、家の掃除(特に窓ガラス)と設え、保存食を料理しまくり、この日ばかりは友は忘れ、親戚の訪問に備える。これから3日はすべてが止まる。家に籠るか親戚訪問で、寝正月に近いノリ。
 さらに似ている点が、思いだしたようにお祈りに行く点。普段は教会に足を運ばない面々が、一族郎党皆で教会のミサに向かう。近所の神社やお寺に家族で出かける大晦日あるいは初詣の様子によく似てる。
 こう書くと、日本のクリスマスの方がよほど羨ましがられるほどかもしれない。
 私が政府観光局の人間であれば売るコンセプト。「クリスマスは日本へ!」それぐらい、賑やかで華やかで、イベントも沢山で充実している。

 で、我が家の質素な家族のためだけの手作りクリスマス。この日のために、彼らがした準備は尋常じゃなかった。先月の義父の死後、初めて家に帰ってきた義母を励ますためにも、彼らは思いきって部屋の壁を赤で塗った!!!ドイツでは、壁紙貼りも、壁紙塗りも、DIY(do it yourself)。手作りであればあるほど、温かい気持ちになれる。これが本当の豊かさ。

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壁紙を剥がし、壁紙(本当に再生紙で出来てる)を貼り、お好みのペンキ(自然のもの)を塗る
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前回来たときにつくったリースの上のロウソクは1週間に1つずつ点けていく
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自分で画用紙に色をつけた後、オイルを塗って、折り紙でお星さまを作った後、中にLEDライトを入れる
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モミの木はクラーセンの小学校の同級生が毎年持ってきてくれます。飾り付けとラッピングは、ずっと子どもと義母がしてくれていたのですが、今年は動けないので全部子供が
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長い入院によってかなり老け込んでしまった義母。でも孫のクリスマスプレゼントにおお喜び(プレゼントの数が少ないと子どもに言われて慌てて追加で買いに行ったプレゼント・・・)
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そして本人の希望はシマノの釣り道具。シマノは堺市の中規模企業。自転車や釣りの部品を作っていますが、世界的に非常に認められている会社で、最終生産品ではなく、部品メーカーで居続けることにアイデンティティをおいている、素晴らしい会社
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子どもが描いてくれた絵。一生の宝物!

しかし、毎回泊まるアフリカの村の様子がよく描けてる。
茅葺の家の感じが、とってもモザンビーク北部農村風。電気のない村では、夜になると水平線から水平線まで星だらけ。流れ星が数秒に1回は見える。だから、流れ星も。そして、水を土器のカメに入れて歩いて来るお母さんの様子、サッカーの途中で踊っている子だちの様子。手作りのサッカーゴール。たき火を囲んだイスの数々。どれも、彼が1歳のころから泊まっている村の中庭をよく描写しています(親ばか)。
 テレビのない家で育った息子は、小さい頃から本当によく絵を描く子だった。それが、こちらに来るとテレビがあって、すっかりテレビっ子になってしまい、絵から遠ざかってしまったものの、壁のペンキで火がついた模様。 生まれたての赤ちゃんだった息子と共に学んだことは、「ありすぎること」「やってあげすぎること」の弊害。自由な発想も、柔軟な感性も、創作力も、「ないこと」から育まれる。「生きる力」もまた同様。
 親あるいは大人たちに課された最大の仕事は、「自分でやりたくなる状態」をいかに作り出すか。そのためには、ダメ親、ダメ大人ぶりを隠さず、むしろそれをはっきり示し、時に子どもに頼るのは良いことだと思う。そうやって子どもも、親による客体化を逃れ、主体化する。その塩梅の難しさこそが、「親として生きる」ことの日々訓練なのだと思う今日この頃。
 国際協力も実のところ似た部分がある。この話はまた今度。
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by africa_class | 2012-12-25 21:53 | 【徒然】ドイツでの暮らし

モザンビーク第一人者による貧富格差・土地問題・プロサバンナ・食料主権に関する記事

 世界的なモザンビーク研究者・情報提供者であるJoseph Hanlon教授(UK/Open Univ.)の情報誌に、プロサバンナに関する興味深い記事が掲載されました。
→MOZAMBIQUE 209 - News reports & clippings – 14 December 2012 - 4
 貧富の格差から、土地問題、プロサバンナ、食料主権までが包括的に報道されていて、とてもタイムリーです。世界と現地でモザンビークの開発がどう議論されているのが、勉強になると思うので是非ご一読ください。
 なお、承知のとおり、ジョセフ・ハンロン教授は、独立後のモザンビーク紛争の問題について、沢山の著書を出版し、同紛争の理解において世界的に大きな影響を及ぼしてきた人物。"Who Calls Shot"は、モザンビーク紛争が国内紛争と報道されているけれど冷戦構造の影響が強いこと、"Begger Your Neigbor"は隣国南アフリカのアパルトヘイト政権の周辺諸国への武力介入の問題などを、インタビューや一次資料等を使いながら実証的に暴いた本。
 ポスト紛争期のモザンビークにおいては、民主化や開発に関する問題に取り組んできた。特に、貧富の格差問題についての造詣が深い。
 2000年の大洪水に際しては、"Mozambique Great Floods 2000"で、大規模災害へのモザンビーク内外機関の取り組み、洪水要因に温暖化の問題や周辺諸国の大規模ダム問題があること、緊急支援の問題について鋭く切り込んだ。私が洪水発生後すぐに立ち上げた「モザンビーク洪水被害者ネットワーク」で、同書を部分訳して『モザンビーク大洪水2000』として出版しています。(懐かしい!)
 この間、プロサバンナ問題についても、繰り返し取り上げているようですが、今回はほかにも関連する面白い記事が掲載されたので、ここに転載します(転載フリー媒体です)。

1.貧富の格差問題
 急速な開発によるモザンビーク国内の貧富の格差に関する、ゲブーザ現大統領とルーラ元ブラジル大統領
の議論。ルーラ元大統領の主張は、①憲法で禁じられている三期をすることの問題、②同大統領がブラジルで導入したBolsa Familia(貧困世帯への現金給付)が、「成長後の所得分配」ではなく、「成長しながらの所得分配」であったこと、③モザンビークで富める者が貧しい者のことを無視してどんどん富を求める問題に関することです。それに対して、ゲブーザ大統領らは「貧富の格差は広がっていない」と主張しています。モザンビークでも現金給付を取り入れる議論があるが、現政権関係者は、「貧困者は怠け者すぎる」と反論。なお、急速に進む資源開発の問題が中心的に取り上げられています。

2. 中国による土地争奪と日本ブラジル援助によるプロサバンナ問題
 カソリック司教は外国投資によるメガ(大規模)プロジェクトによって、農民らの土地が奪われていることを警告。中国企業が稲作のために1万2千ヘクタールの土地を取得したことに抗議。中国企業は灌漑をするし、8千人の農民を雇うというが、地元ガザの農民組織は、8万人の人たちの移転を強いることになると反対。
 そして以上と同じ文脈の流れで、日本とブラジルがモザンビークで展開しようとしているプロサバンナ計画の問題が取り上げられています。UNACの声明文などを参照して、ブラジルのアグリビジネスに土地が奪取される可能性が指摘。
 興味深い点は最後のパラグラフです。すでに、ナカラ回廊沿いの良い土地に余裕がなく、既に誰かが所有している状態で、農民たちは圧力を受けていること。そして、故に、このような大規模農家を導入するアプローチは再考されつつある、とのことです。本当なら良いのですが?

3. 国際NGOによるベイラ・ナカラ回廊農業開発への食料主権に関する非難声明
ナカラ回廊はプロサバンナの対象地域ですが、国際NGOによる強い非難声明が、特にDFIDやG8のアライアンスに対して行われています。*詳細はまた後日。各自で末尾のガーディアン等の記事をご覧ください。なお、当然ながら、日本もこのG8アライアンスに関わっており、米国と日本がモザンビークを担当することになってしまいました。それもこれも、プロサバンナのため・・・。
●プロサバンナについてはJICAの公式サイトを見つつ、以下を
→http://afriqclass.exblog.jp/16942666
 つまり、プロサバンナ問題は、日本一国の援助案件、あるいは日伯連携案件を超えて、日米同盟、G8関係を包含する高度に外交的な案件となってしまっているわけです。「デカい話」には必ず裏があります。というか、日本の援助は、冷戦構造下で、同盟国アメリカがおおっぴらに援助できない国(社会主義志向の国)を優先してやってきた背景があります。「善意の協力」の衣をまといながら、行われてきたことの背景に注目することは、ポスト冷戦期の当初はされ、それなりの反省があったのですが、何でもかんでも「儲ければよい」という風潮の中で忘れさられつつあります。
 詳細は、日本の援助の歴史的背景に関する別の投稿を。若い皆さんは知らないことだらけかもしれません。
●日本の援助の歴史的背景
→http://afriqclass.exblog.jp/16081930/ 
 もちろん、現場で一生懸命やられた援助案件も沢山あります。プロサバナ事業でも、中の人たちが一生懸命やっているのも知っています。しかし語られない大きな枠組み・背景を無視して、広報される現場の頑張りだけを宣伝することは国民主権、説明責任の面から考える際、妥当ではないと思います。皆、裏の歴史も知る。その上で未来に向けてどうすべきなのか・・・そのような議論が、岐路に立つ21世紀の今問われています。
 しかし、そもそも、この援助、本来の目的はなんだったのでしょうか?苦しい経済状況の中で、国際協力に税金を払う納税者の願いは何でしょうか?ここらへんは、大いに国民的議論があるべき点ですね。

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Did Guebuza call Lula a 'professional agitator'?
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 An increasingly intense debate about poverty is emerging, with President Armando Guebuza making an angry attack on his critics on 6 December. Noticias (7 Dec 2012) reported an extemporaneous speech to the congress of the OTM trade union movement, saying that Guebuza“launched strong criticisms against those he called professional agitators acting in bad faith, and inthe name of friendship with the poor [who are] alleging that only some people are benefitting fromnatural resources and from wealth.” Some foreigners "come here and say the gap between the richand poor is increasing."
Among the foreigners who make the claim is Roger Nord, IMF Deputy Director for Africa, who said that in Mozambique the poor "have benefitted less" than others from growth and that this is "an issue because it raises social tension." (News reports & clippings 198, 6 June 2012)
 But President Guebuza may have been referring, at least indirectly, to the ex-president of Brazil, Luiz Lula, who gave a talk on 19 November in Maputo entitled "the struggle against inequality". He was invited to Mozambique by Graça Machel, who introduced Lula by praising him for "making Brazil less unequal, creating millions of jobs, and lifting millions from poverty." By contrast, she said, Mozambique is a success in terms of economic growth, "but we are a society that is ever more unequal [and] economic growth is not transforming the well being of the majority of our people." Machel's and Lula's comments were published in Noticias (22 November 2012) along with photos of Machel with Lula and of Joaquim Chissano in the audience. Both are known critics of Guebuza within Frelimo, so Noticias was underlining that this was an attack on Guebuza.
 In his talk hosted by the Samora Machel Documentation Centre, Lula pointedly warned against leaders who try to extend to a third term and those "who are afraid to speak to the people". In a speech to businessmen later in the week, Lula said "No Mozambican can feel proud to open their car door and see a hungry person looking for something to eat in the rubbish." He went on to note that the hungry person is of no interest to businesspeople because he has no money to buy – but if he had money he would become a consumer and help businesses to grow. (O Pais 23 Nov2012).
 Lula's Machel Centre talk put stress on his experience of reducing inequality in Brazil, and said promotes growth. You must combat poverty at the same time as you promote growth. He stressed the importance of Brazil's family grant (bolsa família) in which 0.5% of GDP is redistributed to 50 million poor people. When they started, they were accused of simply giving "alms" (esmola) to the poor. But Lula says this is not an expenditure, but an investment, which people use to buy food and other goods and promote economic growth.
This seems to have been pointed particularly at the Frelimo leadership, which has repeatedly refused on the to do a similar cash transfer on the grounds that the government does not give "alms" and the poor will waste the money.
 Guebuza in his OTM comments said it true that wealth was not reaching everyone, but he argued that it was because farmers and fishermen were not working hard enough. Speaking in Xai-Xai on 10 November, he said "only the lazy believe we cannot end poverty". And he went on to criticise certain social sectors which say poverty is not ending. (Noticias 12, 23 November 2012)
 Guebuza may have been responding indirectly to Catholic bishops, who issued a statement after their 6-13 November conference that "notwithstanding that there is increasing wealth, the poor are increasingly poor." The gains from natural resources are not contributing to the improvement of conditions for ordinary people. It continued: "The people continue to have a hard life, marked by a situation of ever more severe poverty." (Savana, 23 Nov 2012; Canal de Moçambique, 28 Nov 2012)
 But the government sounds increasingly irritated by criticism. The new prime minister Alberto Vaquina told parliament on 22 November that "the government cannot be guided by a few critics to change policies and strategies it carries out." And on 13 December he told parliament "it is not true that poverty is worse today than it was yesterday.” (O Pais 23 Nov 2012, AIM 13 Dec 2012)

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Land conflicts in Tete and Gaza
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 The Catholic bishops also warned that people are being pushed off their land for the mega-projects. And there have been two recent protests about people being threatened with eviction for large farms being set up for foreign investors.
 The Chinese company Wanbao on 11 December signed an agreement with the state company Regadio do Baixo Limpopo (RBL, Lower Limpopo Irrigation) for 20,000 ha for rice and other crops.
 The agreement was signed in the presence of Agriculture Vice Minister António Limbau and Gaza Governor Raimundo Diomba. The company says it will invest $250 million to develop irrigation and will do contract farming with up to 6000 farmers in the area. (Noticias 12 Dec 12)
Anastácio Matavel of the local NGO FONGA (Fórum de Organizações Nacionais de Gaza) claims that 80,000 people will be thrown off the land by Wanbao. (Canal de Moçambique, 25 Oct 2012)
President Guebuza visited the project on 10 November and said that all the people living in the area have been told that all their interests will be safeguarded and they will be relocated into area with infrastructure and jobs. (Noticias 12 Nov 2012)
The project apparently grows out of a 2005 cooperation agreement between Gaza province and Hubei province in China to improve rice production. For three years (2008–2011), the project was partly financed by the Bill and Melinda Gates Foundation, and served as a test site for the Gates Foundation’s "Green Super Rice" programme. Hubei is also involved in the Mozambican agricultural research centre in Boane, near Maputo. (Brautigam & Ekman, African Affairs, 111/444,
483–492)
 
 And on 25 October the National Peasants Union UNAC (União Nacional de Camponeses) issued a statement criticising the Brazilian-Japanese ProSavana project in the Nacala Corridor. The statement sasy: "The project was inspired by an earlier agricultural development project implemented by the Brazilian and Japanese governments in the Brazilian Cerrado (savannah), where large-scale industrial farming of monocrops (mainly soybeans) is now practiced. This Brazilian project led to a degradation of the environment and the near extinction of indigenous communities living in the affected areas. The Nacala Corridor was chosen because its savannah has similar characteristics to the Brazilian Cerrado, in terms of its climate and agroecology, and because of the ease with which products can be exported."
They complain that the project is being done in secret, and conclude: "We condemn the arrival of masses of Brazilian farmers seeking to establish agribusinesses that will transform Mozambican peasant farmers into their employees and rural labourers. We are extremely concerned that ProSavana requires millions of hectares of land along the Nacala Corridor, when the local reality shows that such vast areas of land are not available and are currently used by peasants practicing shifting cultivation."
http://viacampesina.org/en/index.php/main-issues-mainmenu-27/agrarian-reformmainmenu-36

The Brazilian newspaper Brasil de Fato (29 Nov 2012) quotes Charles Hefner of GV Agro, a subsidiary of Brazil's Fundação Getulio Vargas. as dismissing the idea that the project will displace Mozambican peasants. He says ProSavana is targeting "abandoned areas" where "there is no agriculture being practiced". "Mozambique has a tremendous area available for agriculture," says Hefner. "There is room for mega projects of 30-40,000 ha without major social impacts." In practice, although there have been no official statements, ProSavana is having significant problems finding large tracts of land. All of the good land in the Nacala corridor already belongs to someone. Peasants are under some informal pressure to move (which partly triggered the UNAC statement) but ProSavana is reportedly rethinking its approach, moving away from very large farms.

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British NGOs attack agriculture corridors
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 Two British NGOs last week issued reports strongly attacking the donor-funded Beira and Nacala Agricultural Growth Corridors. EcoNexus argues "that the corridors are part of a major reordering of land and water access and use in the global south not dissimilar to the enclosures that took place for example in the UK (eg Scotland – all over the UK in fact), where many of those who were driven off the land became labour for emerging industries or were forced to leave the country.
 Current patterns of land use, such as shifting cultivation or other traditional forms of cultivation and use, already seriously threatened and often completely misunderstood, may cease to be possible across wide areas." The report is by EcoNexus co-directors Helena Paul and Ricarda Steinbrecher.War on Want sees the corridors as part of "DFID's support for the corporate takeover of African agriculture" in its report "The Hunger Games". It argues that the DFID-sponsored Alliance for a Green Revolution in Africa (AGRA) promotion of agro-dealers who supply hybrid maize seeds,fertilizer, and pesticides is a way of making peasant farmers dependent on international corporations, notably Monsanto. War on Want is critical not just of GM (genetically modified) seeds,
but also of conventional hybrids.
 An earlier War on Want report "Food Sovereignty" argues that "the UK’s Department for
International Development (DFID) has long championed a model of food security that is based on free trade, corporate-owned technology and greater private sector control of food production and distribution." In Mozambique War on Want calls for support for "collective farming" as it says is promoted by the National Peasants Union (UNAC, União Nacional de Camponeses). It continues: "food sovereignty … entails a radial change in the way society is organised so that power is taken away from local elites, who are so often aligned with corporate capital, and restored to the people."
Both reports are implicitly critical of the non-profit British company AgDevCo and the catalytic agricultural investment fund it manages, as well as SABMiller for its cassava beer programme. This is discussed in an article in the Guardian (11 December 2012)
War on Want also criticises DFID for funding its projects through companies based in Mauritius, which is the southern African tax haven. It concludes: "DID has been using hundreds of millions of pounds of taxpayers' money with the express purpose of extending the power of agribusiness over the production of food [and] to meet the commercial interests of major agribusiness companies."

http://www.guardian.co.uk/global-development/2012/dec/10/uk-aid-africa-tax-haven-mauritius
http://www.guardian.co.uk/global-development/2012/dec/10/mozambique-growth-corridor-poverty
http://www.waronwant.org/news/latest-news/17763-dfid-and-agribusiness-in-africa-a-toxic-mix
http://www.waronwant.org/attachments/Food%20sovereignty%20report.pdf
http://www.econexus.info/
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by africa_class | 2012-12-21 00:12 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

出版報告『現代アフリカと国際関係ー国際社会学の地平』、後書きを掲載しておきます。

紹介する間がありませんでしたが、今日出版のお祝いを編者の小倉充夫先生と後輩たちとしてきたので、忘れないうちにと思い、アップしておきます。
 そして、私が書いた後書きを末尾に貼り付けておきます。これ校正前のバージョンなので、よりよい日本語は原文をご覧ください。本に込めた著者らの思いや狙いが伝わるとよいな、と思います。
 (私は自分の論文を授業で絶対使わないのですが、後輩たちに説得され使ってみました。そしたら、見事に伝わってなかったようなので、後書きを読んでもらったら、だいぶ伝わりやすかったようなので、掲載してみました。本だけ読んで伝わる・・・ことを目指して書いたつもりですが、まだまだ修行不足のようです!)

小倉充夫編
『現代アフリカ社会と国際関係ー国際社会学の地平』(2012年有信堂)
眞城百華、舩田クラーセンさやか、網中昭世、セハス・モニカ

主要目次
序章 現代アフリカと国際関係――課題と方法
第1章 民族の分断と地域再編――ティグライから見たエチオピアとエリトリアの100年
第2章 「解放の時代」におけるナショナリズムと国民国家の課題――ルワンダを事例として
第3章 植民地支配と現代の暴力
第4章 国家・社会と移民労働者――南アフリカ鉱山における労働者の協調と分断
第5章 南アフリカにおける女性と市民権
第6章 変化する都市住民の特性と青年層
第7章 多民族国家における言語・民族集団と国家形成

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あとがき

 アフリカと世界の19世紀末から現在まで、120年間にもわたる旅も後少しで終わりとなりました。本書を最後まで読んでくださった読者の皆さんは、北東アフリカのエリトリア・エチオピアで幕を開け、中央アフリカのルワンダを通って、南部アフリカのジンバブウエ、南アフリカ、モザンビークを回って、ザンビアで終わりを迎えた本書の旅を、どのように感じているところでしょうか。
 もちろん、アフリカは広く、多様で、そこに暮らす人びとも、その抱える困難や希望も、生きてきた歴史も様々です。本書がその多様性をすべてカバーするだけの地域や国、主体について記せたとは到底思いません。そもそもそれは本書の狙いではありませんでした。
 むしろ、本書でわたしたち著者が試みたのは、アフリカの多様性や現実の一端を示しつつも、現代アフリカと世界が相互に結んできた関係性をとらえることでした。これは、序章に示された次の二つの論点に集約されています。

「アフリカにはそもそも近現代世界の矛盾が集約してあらわれる。」
「アフリカと国際関係という場合、アフリカはほとんどの場合、外部からの影響を受ける客体として捉えられてきた。(略)大国の客体となりがちであったアフリカが国際社会に影響を及ぼす主体として登場してきた。」

 アフリカやそこに暮らす人びとを、近現代世界が与えた過酷な条件にただ翻弄されてきた人びととしてではなく、それを乗り越えるための試みを繰り返してきた主体としてとらえること。そして、これらのアフリカの主体が、世界の構造を問い直す力をもち、現在もそのような機会を世界に与え続けていること。このように、アフリカを通して見えてくる世界や国際関係を描こうとしたのが本書でした。

 「アフリカの年」から60年以上が過ぎました。内外の諸条件とのせめぎあい、限界と可能性のはざまで、アフリカ各地の多様な人びとが示し続けてきた姿に、わたしたち自身、多くのことを学んできました。そうした人びとのなかには、このように歴史を通して「出会った」人びともおれば、実際にアフリカで出会った人びともいます。各地の研究者や研究機関の職員、協力してくれた政府関係者、そしてなにより調査の過程で受け入れてくれた町や村の人びとなど、実に多くの人たちの助けを借り、それぞれの章の執筆は可能となりました。また、かつて、わたしたちが集った大学での出会いにも感謝したいと思います。刻々と変わる現地事情のスピーディな把握と発信が期待される昨今の時流に、ともすれば反するようなわたしたちのアプローチが可能だったのは、同じ大学での密度の濃い時間と空間のお蔭でした。
 今起きている現象が、どのような歴史的土壌の中で育まれてきたのか、主体と世界の構造の両方から迫るこのアプローチは、同じ大学で同じ時空間を共有した研究仲間たちとのやり取りの中から生まれてきたものでした。その多くが、アフリカあるいは国際社会学以外を専門とする方々であり、(アフリカ以外の地域を専門としされながらも国際関係学という共通のディシプリン項に基づいて議論を交えた)これらの皆さんからの鋭い指摘や温かい助言がなければ、本書はもっと違ったものになっていたでしょう。「現代アフリカと国際関係」という二つの大きなテーマを併記したタイトルを掲げるという大胆な挑戦に至ったのも、以上の皆さんとの交流の結果でした。本書が、同じ大学の仲間たちだけでなく、広い層の皆さんからの忌憚のないフィードバックが得られることを、著者一同心から楽しみにしています。
 最後に、様々な要望を聞き入れ、かつ細かいところまで目配りしてくださった編集者(小野七重氏)に大変お世話になりました。この場を借りて心よりお礼申し上げます。

2012年7月吉日
著者一同
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by africa_class | 2012-12-20 00:12 | 【記録】講演・研究会・原稿

NGO外務省定期協議会終了と次回協議会枠内での会合

先週金曜日にNGO外務省定期協議会・ODA政策協議が外務省で開催。プロサバンナは最初の議題として取り上げられました。がしかし、その後メディアの方々との忘年会、翌日「カフェ・モサンビコ・プロジェクト」のキックオフパーティin大阪だったので、なかなか報告ができませんでした。
 なお、パーティはとっても楽しいもので、普段アフリカにまったく関心を寄せてこられなかった人びとにも関心とサポートの輪を広げることができて本当に嬉しかったです。東京では、アフリカや国際協力に関心のある人との接点が多く、このように市井の皆さんにモザンビークのママの話をする機会はなかなかないので、皆さんからの共感がすごく嬉しかったです。「新しいものを生み出す」ことの喜びをすごく感じた一夜でした。
 カフェ・モサンビコ・プロジェクト詳細→http://cafemozambico.blog.fc2.com/

 そして、今日も朝から授業で、夜は卒論執筆者15名の最終ドラフト締切日(明日は修論の)…で終わらない見込みなので、拙宅に移動して卒論指導をすることになっています(料理は3年志願者)。そして、福島乳幼児妊産婦ニーズ対応プロジェクトFnnnPの「ママ・スタートアップ助成」の締切は本日正午で、その審査を木曜日に。
 助成詳細→ http://fukushimaneeds.blog50.fc2.com/blog-entry-471.html 

 が、金曜日からまたドイツ(義父のお葬式です)…なので、詳細も感想もじっくり書く暇がどうもなさそうなので、モザンビークの農民組織や市民社会が一番懸念している土地問題と今後についてのみ共有しておきます。

(1)土地問題
「日本の納税者が費用負担するプロサバンナ計画という援助プロジェクトの枠内で、ブラジル・アグリビジネスによる土地の奪取はあるのか、ないのか?」という質問については、外務省の担当者は最後まで曖昧なままでした。むしろ、「ある」という前提での返答が続きました(例:手法は多様な方が良いなど)。 
 これまで出されてきた資料、報道、ブラジル関係者のインタビュー内容の分析から判断するに、ブラジル・アグリビジネスによるモザンビーク北部農地の土地奪取は同計画の大前提であり、その前提は現地農民組織や世界からの非難があっても、依然崩されていない・・・ということが明らかになっていると考えられます。

 つまり、日本の援助を通して、「ブラジルのアグリビジネスが、モザンビークの小農たちの土地を奪うスキーム」が、今の時点では、日本のJICAにも外務省にも否定されていないということです。
 
 この間、援助関係者から多くのアプローチがあり、「小農支援をして彼らにメリットがあるようにやるから大丈夫」「小農の為に頑張ってるのを知ってほしい」という声が届きます(ありがとうございます)。しかし、モザンビーク市民社会の問題意識はそこにはありません。もちろん、小農支援は大いにすればいいのであって(して当たり前)、彼らが問題にしている論点は、それではないのです。「権利はく奪」の問題です。この認識ギャップこそが、地元市民社会、農民団体が、問題にしている点なのです。

 今、世界中、特にアフリカにおいて土地奪取Land-grabbingは大問題となっています。アフリカ中で住民・農民らによる抗議行動が観察されています。中でもモザンビークは、統計では、2001年以降の土地取引の内80件が発生し、アフリカ内件数の24%を占めています。
 このような事態の中で、本プロサバンナ計画は2009年に調印され、モザンビークと世界の人びとに危惧されているのです。事業開始前に、日本の援助関係者は、そのことを知らなかったのでしょうか?あるいは、知ったけれど、あえてやろうとしたのでしょうか?
 そして、プロサバンナの正式名称にある「アフリカの熱帯サバンナ」という名前が指し示しているように、この援助スキームは、アフリカ中で展開される前提で開始されています。

 つまり、「日本の援助」の衣をまとって、ブラジルのアグリビジネスのアフリカ進出を応援する…という展開が予想されるわけです。つまり、「納税者が支える善意の援助で農民たちの権利喪失を伴うブラジルのアグリビジネスのアフリカ進出を応援」となります。それに、モザンビーク、世界の人びとは驚き(日本は良い国と思っていたので)、日本の関係者の気づきと変化を期待して抗議しているのです。

(2)今後
ODA政策協議会の中で、この問題は非常に注目を集め、全体の30分という時間では到底議論が深まらないことが明らかになりました。また、事前NGO会合では、本件に質問やコメントしたいNGOが数多くあったにもかからず、時間がありませんでした。日本のCSOへの説明という点でも、JICAも外務省もやったことがなかったということでしたので、良い機会なので、議題のフォローアップのため、司会の方から定期協議会内での緊急報告会の提案が出て、会議後の調整で、1月開催の方向で準備が進んでいるとのことです。出席された局長さんも、対話の重要性を強調されていましたし、よかったです。
 窓口はODA改革ネットワークさんで、詳細は近日中に発表されるかと思います。
 「政権交代でその話がなくなる」ということはないと思いますので、しっかり時間を取った形の中での議論に期待しましょう。
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by africa_class | 2012-12-18 09:44 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

世界でプロサバンナがどう報道されているか知るために:ラジオインタビューinCanada

今日も本当に忙しい日で、早く寝たいのですが・・・皆さんにぜひ聴いて頂いた方がいいと思うので、急ぎ共有しておきますね。

■国際NGOのラジオ番組(EJOLT:Environmental Justice Organizations, Liabilities and Trade)での国際NGO・Grainへのインタビュー
http://www.ejolt.org/2012/12/podcast-devlin-kuyek-on-the-prosavana-project-1/
日本の援助(プロサバンナ)が世界でどう報道されているか、まずは聴いて観た方がよいと思います。
また、世界の市民社会がこの援助をどうして注目しているのかも分かります。そして、彼らがどれぐらいリサーチして、問題化しているのかも分かると思います。

でも、久しぶりにカナダ人の英語聞いたけど、なんと分かりやすいことか!これヒアリングの授業に使えると思うんだけどなあ。英語の先生じゃなくて残念。(ポイントが違って失礼)
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by africa_class | 2012-12-14 01:16 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

記録2「モザンビークでのJICA熱帯サバンナ農業開発プログラム 市民社会との勉強会」其の2

私の報告記録の続きです。
必ず先に、以下の投稿から読み始めてください。
http://afriqclass.exblog.jp/16942666/

報告会で使った写真をいくつか、このページに掲載しておきます。

また、報告会で話した内容のベースになる一次・二次資料一覧もこちらに付けておきます。見て分かると思いますが、軽く40を超えています。そしてそのかなりのものが、JICAの資料、つまり一時資料です。何故そうなるかというと、物事を根拠なしに批判することは、研究者としてあり得ないからです。

また、この報告の元になっているのは、近々出版する本のある一章、つまり学術書のために書いたもののある一部だけを取り出して行ったものであり、当然のことながら、すべての数字や主張に、注と根拠となる資料が示されています。JICAの一部の人が「偏った見方」と宣伝しているそうですが(他方、そうでないと思っている人たちがいるので知ってるわけですが・・・)、報告の大半の情報はJICA自身の一次資料に基づいています。ぜひ、各自で末尾に示している資料一覧と照らし合わせながら、報告記録をお読みになると良いかと思います。もちろん、人間間違えるのは当然なので、間違いがあればご指摘ください。(しかし、せっかく主催者がまとめてくれた議事録を喜んで公開されればJICAの主張もあわせて載せられ、つまりJICAからみて「偏らなかった」のに・・・ですよねえ。保身というのは得てして悪い結果をもたらすものです。<これ、若い皆さんには是非学んでほしい点。>そのことを、モザンビーク市民社会との関係においても気づいてもらえないものだろうか、と心の底から思います。21世紀も12年が経過。でも未だAccountability・Transparencyの意味が分からないご様子に、ため息。)
 いずれにせよ、年度末の出版物をお楽しみに~。(私の章以上に他がすごく充実している!特に西川潤先生の「はじめに」が凄い)

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(続き)
なお、坂口さんの報告への質問で「責任ある農業投資諸原則」が言及されたが、今日は時間がないので飛ばすが、広く知られているように、この原則は、早々に国連「食料主権」ラポターによって批判されている。ProSAVANAの問題と類似するので、特に次の点だけ指摘しておきたい。

「『遊休地』『未利用地』とされ、取引の対象として操作されることが多い」。「食の権利や自然の豊かさからの利便と生存の糧を奪われない権利、つまり諸原則(責任ある農業投資)が人権を無視していることに示されているように、アカウンタビリティを欠いている」。

最後に、何故このようなことがアフリカで起きているのか?
考えるヒントが、インド・ネルー大学の経済学者で、アフリカでの土地奪取の研究をしているジャヤティ・ゴシ教授によって示されている。

「インドでは到底許されない広大な土地や水資源の取得が、アフリカでは横行している。インドでできない理由は、農民や市民が黙っていないから」。

モザンビーク人は優しいから、「いいよ、いいよ」となってしまう。あるいは、情報が足りなくて乗っ取られる。

そもそも、日伯連携を出発点としたProSAVANA。同じポルトガル語を話すからといって、モザンビークに持ってこられたものの、JICAの皆さんは、モザンビークにおけるブラジル観をご存知だろうか。

もちろん、Novela(メロドラマ)など皆見てるが、ここ最近は「帝国主義者」として言われることが増えている。これは、今年9月上旬にマプトで開催された国際学術大会で、ブラジル人の同国の国際協力が「南北協力に比べ、水平的な協力だ」と発表したのに対して、モザンビーク研究者や市民が猛烈に抗議した時の写真。その時の批判は、「ブラジルの国際協力が『商業野心がない』『水平的』なんて真っ赤なウソだ。新たな帝国主義じゃないか」、「ブラジルの国際協力は、エイズ治療薬、通信、農家への土地…すべてひも付きじゃないか」、「自分の鉱山から港までの鉄道を敷くだなんて19世紀末の帝国主義そのもの」、「結局、モザンビークを食い物にしようとしてる」。

今、ナカラ回廊とも関係あるテテ州の鉱山にブラジル企業Valeが進出しているが、現地では住民暴動が起きるなど、市民レベルでもブラジル帝国主義への反感は強まっている。そのような国とわざわざ組んで、そういうところとやる援助とは何だろうと思う。また、そのようなやり方でモザンビークの支援をすることのリスクを認識されているのか疑問。

以上から、素朴な疑問として思うのは、「何故日本はまたこのようなことを繰り返しているのか?」という点。
これを皆で考えてほしい。最後に付け加えたいのは、先ほどのインドの研究者の言葉を思い出してほしいということ。「インドでできない理由は、農民や市民が黙っていないから。」これをそのまま日本に置き換えてほしい。

「モザンビークで繰り返し、このようにそこに暮らし、命を育む人びとの主権を無視した援助を日本がやるのは、日本の我々が黙っているから。政府やJICAばかりのせいじゃない。私たち日本の市民社会が不甲斐ないこと」に、気づきたいと思う。

もはや21世紀。そして去年の震災を経験した私たちは、そこに暮らす人びとの生活や命がいかに優先されるべきか知ったはずだった。同時に、それが優先されない現実も知った。もはやアフリカに教える時代ではない。この写真の若者たちのように、アフリカに教わる、あるいは共に歩む時代なのだ。アフリカの未来はアフリカの人びとのもの。必要なのは援助じゃない。連帯だけなのだ、ということを述べて終わりたい。

■報告会の最後の挨拶
先程は研究者として。今から個人としての見解を述べる。これまでモザンビーク北部に18年足を運んできた。日本にモザンビーク研究者は二人しかおらず、一人は南部、北部は私だけ。その点からいうと、モザンビーク北部について話し合う今日の講演会に、こんなに沢山の方々に興味をもって来ていただいたことについて、話が出来たことは非常に嬉しい。またJICAの坂口さんからは、慎重にやりたいということだった。是非そうしてほしい。 
 皆さんにお伝えしておきたいのは、私の言葉は私の言葉ではないという点。それは私の言葉であると同時に、18年間関わってきたモザンビーク北部、特に農民、女性たち、UNACだけでなく他の沢山の農民団体や環境団体の言葉である。これらのモザンビークの複数団体が、色々なレポートを出している。今日それを踏まえて話している。彼らはどういう根拠でこれ(レポートや声明)を作ったのか?今日もJICAさんからは誤解と言われた。実は、彼らはJICA、ブラジル、モザンビーク政府を含むすべてのステークホルダーにインタビューした上で(声明を)作っている。なので、該当しないとか、誤解というわけではない。数値的に大きいという指摘があったが、この数値も出所がないわけではなく、国際的ネットワークでブラジルの団体が、ブラジル人の議員、企業、政府、国際協力機関の人たちにもインタビューした結果である。
 これを、JICAとして、モザンビーク政府を通して黙らせるという手法ではなく、これ(指摘)が違うというためには、ブラジルをどう制御していくのかが重要であるが、この点については今日も示されなかった。そこが一番の課題。
  うちの子どもも言っているように、「プロサバンナ」と読んじゃいけない。皆が一般にイメージするサバンナではなく、あそこは森だから。サバンナといった途端、農地にしちゃえ、使っていないというイメージが湧く。森林が把握されていないといわれたが、今日データで見た通り把握されている。なのに森林地帯をサバンナとよんで、あたかも木を伐らなくても簡単に農地転用できるといってしまうことは問題。
 最後に。ソーシャル・インクルージョン、環境保全、是非やってほしい。ただ、JICAはソーシャル・インクルージョンをアリバイ的にやっている。
 例えば、来週私が関わっているモザンビークの北部の大学農学部にJIA所長がやってくる。大豆のデモストレーションをするなど聞いているが、モザンビーク人からすると、あわてて現地でアリバイをつくっているイメージ(*注:急きょドタキャンされた)。
 例えば、JICAがいきなり農民団体に慌ててコンタクトしたり。あちこちから声かかってるといわれる状態になっている。それは、ソーシャル・インクルージョンじゃない。そういうことをするのではないはず。反論、異論に耳を傾けて初めて、それはソーシャル・インクルージョンと呼べる。
 「(先程、坂口さんは、現地農民や農民組織への連絡が遅くなったのは、こちらで先に)形作って、ビジョン作ってからでないと」というが、どうして他人の将来、他人の社会、他人の農地、他人の食、他人の生命・財産の話なのに、JICAが作るのか?それはおかしい。彼らにビジョンある。彼らの生命・財産ある。ソーシャル・インクルージョンという時に、「俺たちが参加させてあげる」という論調になっているが、UNACの声明にあるように、これは主権の問題である。彼らの生命の問題。
 ソーシャル・イクルージョンに背を向けているということの典型例を紹介する。数年前の計画段階で相談に研究室に来たJICAの担当者に反対した。「JICAがモザンビーク北部農民を支援するなら、喜んでお手伝いする。しかし、何故ブラジル、何故セラードをモデルとしてやるのであれば反対する」と伝えたら、二度とJICAから相談に来なくなり、JICAで「北部農村セミナー」が5回開催されたというが、北部農村の専門家の私は呼ばれたことなく、招待すらされていない。反論に耳をふさぐなど、インクルーシブではない。後から問題になったら、こういう場(前週のセラード開発に関する報告)に慌てて来て反論しに来る。それではいけない。
 なぜこういうことが起こるのか?日本の主権の問題。日本の市民に力がないから、JICAがこんなことが出来る。それがモザンビークに輸出されている。2000年のモザンビークにおける放置農薬援助の問題も同様。市民の皆さんも、自分の問題としてもっと関心を持ってほしい。

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モザンビーク北部の典型的なWoodyサバンナ(ミオンボ林)
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ニアサ州のタバコ栽培のために切り拓かれた森。急速な森林喪失が進んでいる。
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ブラジルの国際協力について抗議するモザンビークの研究者・市民@国際会議inマプート

1.一次資料
■JICA、JETR、外務省
JICA トピックス 2009年5月25日「アフリカ熱帯サバンナの持続的農業開発を目指す(ブラジル)」(http://www.jica.go.jp/topics/2009/20090525_01.html)
JICA ストーリー インタビュー、2009年6月30日 「熱帯サバンナ開発にみる食料安全保障」(http://www.jica.go.jp/story/interview/interview_75.html)
JICA トピックス 2009年9月28日「日本とブラジルがモザンビークで農業開発協力-ブラジル・セラード農業開発の知見を生かして」(http://www.jica.go.jp/topics/2009/20090928_01.html)
JICA トピックス 2009年12月3日 「ブラジルからモザンビークへ、保健人材育成への協力―日系ブラジル人第三国長期専門家を派遣」(http://www.jica.go.jp/topics/2009/20091203_01.html)
JICAプレスリリース、2010年3月11日 「モザンビーク国向け円借款契約の調印-道路、港、産業というナカラ地域の総合的開発を目指し、まずは道路整備により地域の経済発展の基礎を築く」(http://www.jica.go.jp/press/2009/20100311_02.html)
JICA World「途上国の農業開発なしに 維持できない日本人の食生活」JICA World、2010年5月15 (
http://www.jica.go.jp/publication/j-world/1005/pdf/tokushu_04.pdf)
JICAトピックス 2010年11月24日「日本・ブラジル グローバル・パートナー宣言-JBPP10周年・三角協力25周年記念式典」 (http://www.jica.go.jp/topics/2010/20101124_02.html
JICA ウェブページ プロジェクト概要「ナカラ回廊農業開発研究・技術移転能力向上プロジェクト」実施合意2011年2月21日(http://www.jica.go.jp/project/mozambique/001/outline/index.html)
JICA トピックス 2012年5月14日「日本、ブラジル、モザンビークで官民合同ミッション-ナカラ回廊への農業投資促進を目指す」(http://www.jica.go.jp/topics/2012/20120514_02.html)
JICA 『平成23 年度 業務実績報告書』2012年6月①
JICA 『第2 期中期目標期間 事業報告書』2012年6月②
JICA 「第5回 モザンビーク北部農業セミナー」配布資料 2012年7月31日
JETRO レポート 2012年8月21日「【ブラジル】農業の三角協力でアフリカに参入」 http://www.jetro.go.jp/world/cs_america/reports/07001048
外務省「責任ある農業投資の促進に向けたけた我が国の取組」平成22年4月 外務省経済安全保障課 (http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/food_security/pdfs/besshi1.pdf


■その他
窪田博之(2010)「国際農林業協力の新たなるパートナー ―農業分野における南南協力の可能性―」、『国際農林業協力』2010年vol.33 no.3、2-8.
本郷豊(2010)「日・ブラジル連携対アフリカ熱帯サバンナ農業開発協力事業(ProSAVANA)─ブラジルの「農業革命」をアフリカ熱帯サバンナに移転する─」、『国際農林業協力』2010年vol.33 no.3、9-19.
本郷豊・細野昭雄(2012)『ブラジルの不毛の大地「セラード」開発の奇跡 』ダイヤモンド社.
No!toLandGrab, Japan 「JICA モザンビーク案件に関する質問書への回答」2012年1月5日 (http://landgrab-japan.blogspot.jp/2012/01/jica.html)
de Schutter, Olivier(2010) “Destroying the World’s Peasantry”, Project Syndicate, Jun. 4, 2010(http://www.project-syndicate.org/commentary/responsibly-destroying-the-world-s-peasantry)
--------------------------(2012)“Underwriting the Poor”, Project Syndicate, 06 June 2012 (http://www.project-syndicate.org/print/underwriting-the-poor)
FOEI (2012) Land, life and justice: How land grabbing in Uganda is affecting the environment, livelihoods and food sovereignty of communities, FOEI.
 Schlesinger, Sérgio/FASE (2012) Cooperação e Investimentos Internacionais do Brasil: a internacionalização do etanol e do biodiesel, FASE. ( http://www.fase.org.br/v2/pagina.php?id=3758)
WB (2009) Awakening Africa’s Sleeping Giant: Prospects for Commercial Agriculture in the Guinea Savannah Zone and Beyond, Washington DC: The World Bank.
WB/Deininger, Klaus and Byerlee, Derek, with Lindsay, Jonathan, et.al. (2010) “Rising Global Interest in Farmland: Can It Yield Sustainable and Equitable Benefits?”, Washington DC: The World Bank. (http://siteresources.worldbank.org/INTARD/Resources/ESW_Sept7_final_final.pdf )

■報道・新聞(日本・ブラジル)
ニッケイ新聞(ブラジル)2012年5月1日「日伯両国が連携し、モザンビークのサバンナ地帯を農業開発する『プロサバンナ事業』」
日本経済新聞 2012年7月28日「政府アフリカ農業支援 住商と1000億円投融資」
日本経済新聞 2012年8月18日「伊藤忠、アフリカに穀物調達網 価格変動を回避 丸紅は南米産増やす」
SankeiBiz(産経新聞)2012年8月20日「熱いブラジル 農業開発で日本と官民連携、モザンビーク投資本格化」
ロイター通信 2011年8月15日 “INTERVIEW-Mozambique offers Brazilian farmers land to plant”(http://af.reuters.com/article/commoditiesNews/idAFN1E77E05H20110815
Interview of Prof. Jayati Ghosh, “Africa Land Grab: New Century, More Colonisers”(http://www.stopafricalandgrab.com/ )
NHK World News, “The New way of Colonialism in Africa?”
The Guardian 23 April 2012 “Campaigners claim World Bank helps facilitate land grabs in Africa: Food shortages and rural deprivation exacerbated by World Bank policy, says NGO ahead of land and poverty conference”(http://www.guardian.co.uk/global-development/2012/apr/23/world-bank-land-grabs-africa )
The Guardian 27 April 2012 “New international land deals database reveals rush to buy up Africa: World's largest public database lifts lid on the extent and secretive nature of the global demand for land” (http://www.guardian.co.uk/global-development/2012/apr/27/international-land-deals-database-africa)
 “Land conflicts and resettlement,”MOZAMBIQUE News reports & clippings, 21 September 2012.
Mozambique Political Bulletin, 2009-2010.
Folha de S. Paulo, 2011.8.14, “Moçambique oferece área de três Sergipes à soja brasileira” (http://www1.folha.uol.com.br/mercado/959518-mocambique-oferece-area-de-tres-sergipes-a-soja-brasileira.shtml)
Canalmoz, 2011.9.9, “José Pacheco diz que a concessão de 6 milhões de hectares a brasileiros é uma má interpretação” (http://www.canalmoz.co.mz/hoje/20264-jose-pacheco-diz-que-a-concessao-de-6-milhoes-de-hectares-a-brasileiros-e-uma-ma-interpretacao.html)

■二次資料 その他
Funada-Classen, Sayaka (2012) The Origins of War in Mozambique, Tokyo: Ochanomizu Shobo.
Hanlon, Joseph and Smart, Teresa (2012) “Soya boom in Gúruè has produced few bigger farmers – so far”, 10 September 2012.
Juaréz, Eduardo and Pérez-Nino, Helena (2012) “Private Sector Development Case Study: tabacco contract farming in Mozambique”, presentation at the III Conferência do IESE (4 Sept. 2012: Maputo).
Manning, Carrie (2010) “Mozambique’s Slide into One-Party Rule”, Journal of Democracy, Vol.21, Issue2.
Masterson, Daniel with Funada-Classen, Sayaka (2004) The Japanese in Latin America, Illinois University Press.
M. C. Peel et al. (2007) “Updated World Koppen-Geiger Climate Classification Map”, Hydrol. Earth Syst. Sci., 11, 1633-1644. (http://www.hydrol-earth-syst-sci.net/11/1633/2007/hess-11-1633-2007.pdf)
青木公(2004)『ブラジル大豆攻防史ー国際協力20年の結実』国際協力出版会.
鶴見和子(1989)「内発的発展論の起源と今日的意義」鶴見和子・川田侃『内発的発展論』東大出版会、3-41頁.
舩田クラーセンさやか(2007)『モザンビーク解放闘争史』御茶の水書房
―――――――――――(2011) 日本国際政治学会 2011年度研究大会部会報告 (2011年11月12日) 「紛争後の国家建設と民主的統治」「戦後モザンビークにおける国家統治と民主化」
堀坂浩一郎(2012)『ブラジル 躍動の軌跡』岩波新書
村井吉敬「内発的発展の模索―東南アジアのNGO・研究者の役割と運動」鶴見和子・川田侃『内発的発展論』東大出版会、183-213頁.
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by africa_class | 2012-12-08 22:17 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

記録1「モザンビークでのJICA熱帯サバンナ農業開発プログラム 市民社会との勉強会」11月15日

最後に、うー時間ぎりぎり・・・、先月私がコメンテイターを務めた報告会(http://afriqclass.exblog.jp/16705156/)の記録。自分の手元の資料と録音データをもとに、自分の発言だけまとめたものです。
 というのも、こちらも主催者に問い合わせたら、すべての講演議事録は全回小冊子として配布されているそうですが、こちらはスピードの問題ではなく、JICAが「事前に相談を受けていない」という理由で、公開を断ったということなので(?!)、とっても残念ですが、その箇所を省いて掲載します。
 しかし、国費で行われている事業の、一般公開された講演会での事業報告の記録を、些末な手続き問題を根拠として拒否するのは、JICAが掲げる「公開性・公益性」と逆行する姿勢だと思います。しかも、これほど巨額の税金が投じられている以上、大学等の公共機関で行われた一般講演会での報告を、一人でも多くの人に観ていただきたい・・・というのが、普通じゃないのでしょうかねえ。JICA職員の給料を支えるのは、我々一人一人の納税者。公金で支えられた機関の職員が公の場で話す内容を、喜んで公開していくのでなければ、なかなか理解と共感は得られないと思います。
 こういう不透明さが、モザンビーク市民社会にも伝わってるんですよね・・・。
 しかし、議事録公開がない前提の報告会って、どんな報告会なんでしょう・・・。密室報告会?今時の一般公開報告会、議事録作成は大前提だと思うのですが。私の感覚がおかしいのでしょうか。謎です。
 一市民として、ぜひ、再考・善処をお願いしたいと思います。

■プロサバンナに関する詳細は→http://afriqclass.exblog.jp/16925888
モザンビーク農民団体によるJICAプロサバンナ批判@ブラジル雑誌

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明治学院大学国際平和研究所(PRIME) 「平和学を考える」
AJF・JVC・HFW・明治学院大学国際平和研究所(PRIME)共催
連続公開セミナー「食べものの危機を考える」2012年度 第5回
「モザンビークでのJICA熱帯サバンナ農業開発プログラム
市民社会との勉強会」
講師:JICAアフリカ部アフリカ第三課 坂口幸太氏
コメンテイター:
舩田クラーセンさやか(東京外国語大学大学院 教員)
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ブラジルのセラードがあるミナス・ジェライス州の大学に1991年に留学し、日系ブラジル人のことを研究して歴史書を書いた。そして1994年からはモザンビーク北部を行ったり来たりして博士論文を書いた。これらの本を回覧する。その経験に基づき本日はコメントする。

本コメントの構成と手法~ProSAVANAが何かを理解するために
ProSAVANAについて理解することは容易ではない。そのため、本事業の理解のためには、学術的な手法でアプローチすることが望ましい。したがって、事業主体主であるJICA、ブラジルの政府組織、日本政府、モザンビーク政府、現地の農民や市民社会が言っていることを、一次資料(各機関の報告書、広報誌、ホームページ、声明文20点)、現地での直接的な聞き取り、日本からのe-mailを使った追加聞き取り、二次文献(新聞等の報道11点と先行研究10点)の分析に基づき、実証的にディスコース(言説)の分析を行った。今日はその分析に基づき、坂口さんの報告にコメントする。

JICAの資料によると、ProSAVANAとは、ブラジルのセラードの知見を活かして、モザンビーク熱帯サバンナの農業開発の貢献を計ることとある。ただし、まだ実施されているとは言い難い状態にある。今日もそのような説明がなされた。しかし、既に国内外で宣伝や評価がなされており、JICA報告書によると、米国のクリントン国務長官が有効な南南協力の事例として高く評価している、という。また、JICAと外務省はTICAD Vの目玉としてこのプロジェクトを位置付け、広く宣伝している。

歴史的な経過を見ると、このプロジェクトは「日本・ブラジルパートナーシッププログラム(JBPP)」の枠組みで出て来ていることが明らかである。この前後には国連改革があり、日本はBRICs諸国への外交交戦を仕掛けていた。ブラジルは南米で重要な役割を果たしており、日本はブラジルとの関係強化を包括的に行なった。自民党政権を背景として、2007年に麻生太郎外務大臣(当時)のブラジル訪問の際、2008年の日伯交流年に向けて日伯戦略的パートナーシップが作られ、JBPPの再活性化という文脈で出てきたのがProSAVANA。モザンビークを対象として2009年9月に調印され、始まる。

このように歴史的経過を見てみると、ProSAVANAは日伯関係である。戦略的パートナーシップという言葉が使われている。モザンビークはその対象に過ぎず、その意味で二国間の外交プロジェクトであり、政治案件でもある。日伯協力を行ううえで、公用語が同じポルトガル語であり、「自然環境が似ている」としてモザンビークが対象となった。

以上がProSAVANAの「起源」であるが、12のJICAの一次資料に基づき、年代ごとにどのような説明がされ、言説が形成され、推移しているかを検討した結果が、この表である。2009年から2010年までの期間を「第一フェーズ」、2010年から2011年を「第二フェーズ」、2011年~2012年を「第三フェーズ」、2012年以降を「第四フェーズ」と分類した。今日の坂口さんの報告で、この第四フェーズに特徴的な言説「JICAプログラム回帰と投資両立路線」に収まるか注目したが、その理解で変更なしと考えられる。

言説の推移。
「第一フェーズ」は、
・日本の対ブラジル協力(セラード開発)成功言説
・日伯連携/南南協力言説
・ブラジル/セラードの成功をアフリカへ言説。
・世界の食料安全保障、アフリカ熱帯サバンナ言説。
・モザンビーク農業停滞言説。
「第二フェーズ」は、
・モザンビーク北部未開墾言説。
・軌道修正、開発モデル言説。
・市場原理下小農・大農共存(儲ける農業)言説
・国際規範言説
「第三フェーズ」は、
・三者WinWinWin投資言説。
・日本(調達力)商機言説。
・ブラジル(入植)商機言説。
・土地争奪・対中国競争言説。
「第四フェーズ」は、
・JICAプログラム回帰と投資両立路線

「第一フェーズ」は、現場を知らないマクロ情報に頼るもので、「モザンビークは農業国だが停滞している、だから支援が必要」と主張。「第二フェーズ」になっても、依然マクロ情報に偏るが、「特に北部は未開拓である」と強調。そして、「第三フェーズ」になると、ブラジルと日本にとってのビジネスチャンスとして威勢の良い話が蔓延。しかし、この辺りで批判的な報道がされるなど、暗雲が立ち込める。

これらはいずれも、私の言葉ではなく、JICAその他の資料の言葉を拾った結果。抜き出した言葉は表に示した。

今日まず検討したい点は、「第一フェーズ」の最初に挙げられるモザンビーク北部の生態に関する言説。JICAの「第一フェーズ」から現在まで使われている言葉をピックアップした。
•ブラジルのセラードと熱帯サバンナは類似点多い
•農学的に多くの共通点
•同じ緯度で気候が類似
•今日の坂口さんの報告でも冒頭に、「自然環境は類似点が多い」とあった。

では、実際どうなのか一緒に考えたい。
JICAの資料で繰り返し強調される、「ブラジルとモザンビーク北部は同じ緯度にある」という点。これを示した地図は繰り返しJICA資料に出てくる。この地図もJICA資料から取ってきたもの。しかし、私が分からなかったのは「同じ緯度だと類似の農業環境」という点。今日の坂口報告で、日照時間が同じということが紹介された。

日本と同じ緯度は、世界のどこか?(坂口さん、アジアとか…)。私も調べないと分からないほどだった。大きく6カ国。中国、朝鮮半島、イラン、トルコ、スペイン、米国。これらの国の名前を聞いて、同じ緯度だからといって、果たして農業的な類似点があるのかについては疑問が残る。

次に、ProSAVANAの名称にも使われる「熱帯サバンナ」とは何かを考える。
皆さんは「熱帯サバンナ」というと、何をイメージするだろうか?当初私がこれを聞いたときのイメージは、草原が広がっているイメージだった。しかし、今年モザンビーク北部を訪問中に、息子の指摘「プロサバンナっていうけど、ここでやるってどういうこと?」を受けて、「熱帯サバンナ」について調べたら、従来のイメージすることと違っていた。

熱帯サバンナは19世紀末の気象学者が作った分類で、明確な乾季と雨季があること、一定の降雨量があることが条件となっている。植生とは関係ない。先ほど写真で見せたアフリカに広がる草原、寝そべる野生動物は、「熱帯サバンナ」と関係ない。

今、JICAだけでなく、世銀がこの熱帯サバンナの開発にお金を投資しようとしている。その先行事例がProSAVANAである。なぜ熱帯サバンナに注目しているかと言うと、雨が降るからであり、農業に不可欠な水があるから。つまり、「セラード地帯=熱帯サバンナ=農業に適した豊かな地域」であり、関係者はそれを知って投資を奨励している。
「セラードは不毛な地域であったため日本が開発した」と言っていたのは一体?

では、一般的なサバンナとはなにか。
サバンナには、Woodyサバンナ(林)とGrassサバンナ(草原)の2種類がある。JICAの皆さんに聞いてみよう。モザンビークにはどちらが多い?(Woodyサバンナ)。ではモザンビーク北部には?(Woodyサバンナ)。では、会場の皆さんは?(Woodyが6割、Grassが4割。JICAの皆さんはWoody。)

答えは、国際機関が出している地図で見ていく。これは、アフリカ大陸上のWoodyサバンナ地域。赤が100%で、緑、青と減っていくが、青の部分はWoodyサバンナ。見て分かる通り、モザンビーク北部は青あるいは緑で示され、森や林が多い。そして、北部地域の中でも、今日坂口さんの発表にあったProSAVANAの対象地を検討してみると、その大部分が緑で塗られる。モザンビークで唯一緑で示される、つまり広い範囲で森林が残った部分が、ProSAVANA対象地なのである。なお、Grassサバンナの地図も確認しておくと、モザンビーク北部には一般的なサバンナを意味するGrassサバンナはほぼない。

また、先週の報告会で出てきた「セラード=不毛」というJICAの繰り返すキャッチフレーズについて、同様の地図で確認してみたが、世界の「不毛barren」地帯は、このように北アフリカ等の砂漠地帯を指し、ブラジルにもサハラ以南アフリカにもない。

まとめると、アフリカには「不毛な地」はなく、草原サバンナよりもWoodyサバンナの方が大きな面積を示す。モザンビーク北部には「不毛の地」はなく、Grassサバンナもほとんどなく、モザンビーク中で唯一Woodyサバンナが濃く残る地域である。

なお、Woodyサバンナといってもピンとこないかもしれないので、写真を。モザンビーク北部で撮った写真。林の中、一見何にもないように見えるが必ず人が住んでいて、家と家の間は林を通って行く。ここで狩りなどを行う一方、周辺を開墾して農業を営んでいる。

次に、モザンビーク北部地域の農民の暮らしと農業を見てみたい。
まず、JICAの資料でモザンビークの農業について言われている言葉をピックアップする。これらの言説は、主として「第二フェーズ」から出てきたもの。
•一定雨量と広大な農耕可能地に恵まれる
•日本耕地面積3倍1400万ha以上の適地
•多くは未開墾地
•スケールの大きな農業開発で地域経済発展
•小規模農家の技術、伝統的で粗放的/簡素
•自給・商業作物ともに低生産性

JICAの言説を分析すると、当初は「不毛の大地」セラードとの共通性が指摘されていたが、実態として大きな違いがあったことが実際に現地(モザンビーク北部)に準備調査に行った2010年に判明。そこで、両者「(モザンビーク北部は)豊かなのに、活用されていない」という言説へ変化。例えば、「低投入・低生産性の自給自足型農業を余儀なくされ、貧困に苦しんでいます」という言葉に象徴される。また、当初「未耕地が多い」と言っていた。象徴的には、「農耕可能地は3600万ヘクタールであるが、実際耕作されている面積は約16%の570万ヘクタールにすぎない」という文章。

しかし、現地に行ってみたら「未耕地」は多くなかったため、「場所によっては人口密度が多く、まとまった土地を確保するのが困難」というのが最近の言説。

先程のやり取りで、グランドマスタープランを今作っておりまだ計画段階、とのお話しがあったが、国際的にも、国内的にもプロサバンナはもう成功しているプロジェクトとしてJICAが広報している。したがって、現場がよく分からないまま立案し、計画していて良いというわけにいかない。

なぜ、モザンビーク北部なのか。
モザンビークの関係者なら誰でも知っている北部の農業的特徴がある。おそらく、JICAの皆さんは立案前、知らなかったのだろう。
・豊かな大地と森林、最後の手つかずの自然。
・不毛ではなく、「豊か」故に人口密度も高く、農業生産性は高い。いずれも全国一。

豊かさには、土壌・水の豊かさだけでなく、住民の農業への熱意も含まれる。したがって、歴史的に、プランテーション栽培失敗後、小農生産が重視され、成果をあげてきた。JICAで繰り返される「粗放的」という言葉では表しきれていない。

だから、モザンビーク関係者は驚いた。ここでそんな大規模農地開発プロジェクトをやるのか、と。また、モザンビーク北部農民は、北部全域や国全体、あるいは周辺諸国に食べものを供給する、非常に重要な役割を果たしてきた。また、アフリカ全体に言えることであるが、食べものを作るのは女性なので、農業においても、食生活においても女性が重要な役割を果たしている。この点についての言及は、JICA資料のどこをみても見つからない。

ここまで検討すると、一体JICAはアフリカの人びとのために何がやりたいんだろう、という疑問が湧いてくる。そういう時は一次資料をあたることが重要。

JICAホームページ上のビジョン・ミッションを読むと、「グローバル化により問題が起こっている。それを解消したい」、という非常に重要なミッションを挙げている。①グローバル化に伴う課題への対応、②公正な成長と貧困削減、③ガバナンスの改善、④人間の安全保障の実現である。皆さんも一度読んでほしい。

では、JICAが取り組める「グローバル化にともなう課題」とは、モザンビーク北部農民にとってどのようなものがあるのだろうか?本来、そこから事業は興されなければならないはずだが、既にみたように、ProSAVANAの出発点は日伯連携であった。

モザンビーク北部地域の現在の課題
これはモザンビーク北部に限らないが、
・外資による土地奪取
・モノカルチャー換金作物生産による森林破壊や社会関係の破壊

土地奪取については、北部では急速に大豆、植林のための土地争奪が起こり、住民との衝突も。また「村の代表」と呼ばれる人たちの「一本釣り」が起こっており、村の中の人間関係が悪化している。

換金作物生産については、JICAの先にみた言説では、「低投入・低生産性の自給自足型農業を余儀なくされ」とあるが、ProSAVANAの主たる対象地ニアサ州ではタバコの契約栽培が急速に広がり、急速な環境破壊だけでなく、社会破壊が起きている。換金作物の栽培の多くは、男性が担う。結果、女性に金が入らない。男性だけ儲ける。酒や売春にあっという間にお金が消える。女性に対する暴力、一夫三妻、女性の早婚などが起きている。つまり、男性と女性のジェンダー関係が変化した。それだけでなく、タバコ生産を拡大できず、儲けられないお年寄りのニグレクトが生じ、これらすべてがコミュニティ崩壊に繋がっている。

先程あげたモザンビーク北部の農業の重要な役割、それを支えてきた小農生産も、これが成り立つのは、コミュニティが機能していたため。しかし、現在は換金作物契約栽培により若者の男性だけが儲けていることで、コミュニティの急速な破壊が起こっている。また、先に見たモザンビーク最後の豊かな森が、「もうかる」農業のためにどんどん伐り開かれている。写真を見てほしい。

この写真を見た瞬間、セラードのことを思い出した。私がブラジルに留学したのは、アフロ音楽に憧れてのことであるが、先週JICAのセラード、ProSAVANAの立案者の本郷さんが取り上げたレヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』を読んでのことでもあった。そのセラードを、今研究者がどう表現しているか。日本のブラジル研究の第一人者でもある堀坂浩太郎氏の表現を紹介する。「地平線まで一直線に拓かれた国道、戦車のようなブルトーザーで根こそぎ灌木をなぎ倒すセラードの農地造成。」

この描写の通りのことが、アフリカ中ですでに起きつつある。外資の参入によるもの、そして換金作物の契約栽培による小農自身の「儲かる農業」によるもの。

アフリカではモザンビークは遅い方。エチオピアやスーダンなど、英語圏では既に土地の奪取、「儲かる農業」の推進は更に進んでいる。分かっているだけで、2000年以降、世界の土地奪取の25%がアフリカで起こっている(全アフリカ大陸の5%に当たる)。それに抗議してアフリカ各地で暴動も発生している。マダガスカル、ウガンダ、タンザニア、そして…モザンビークでも暴動が起こっている。

ナカラで何が起こったか。
ナカラ回廊はJICAも支援するが、ブラジルが国際空港を作っているが、その際の土地接取に対して、住民が抗議のため立ち上がっている。これが可能なのは、ナカラが反政府勢力が非常に強い地域だから。今の政府はどんどん政治学でいうところのElectoral Authoritarianism(選挙権威主義)化している。政府に批判的な人は、国家公務員になれない、就職できない、留学に行けないという問題が起こっている。

なお、先のやり取りで、UNACの抗議声明に対して坂口さんは、「モザンビーク政府にアプローチしてもらう」と述べたが、権威主義化が進むモザンビークでそんなことを依頼するなどするのは問題外。弾圧につながってしまうので、止めて欲しい。

なんでこんなこと(現地の実態と大きく乖離した援助と言説)が起こるのか。
モザンビークと日本は関係が薄い。JICA事務所も在外公館も、モザンビークに設置されたのは2000年のことだった。モザンビーク研究者は私を含め2名しかいない。他方、市民同士の関係は深いものがある。ProSAVANAも日本とブラジルとの強い関係をベースにしている。

日本とモザンビーク市民社会を結びつけたのは、2000年の大洪水で日本供与の放置された農薬がモザンビークの各地で見つかり、水に浸かり、現地で問題化したことに協力して対応したことによる。モザンビーク紛争時・後を通じて日本が最も熱心にやった援助、それが農薬援助(食料増産援助2KR)だった。洪水に際して、放置農薬問題が発覚し、モザンビーク環境団体・住民らの運動、日本でのアドボカシー活動を経て、農薬援助はストップ。
結局、日本政府は問題を認め、その適切な処理にお金を出し、このプロジェクトは現在でも続いている。この負の経験により、農薬問題以降は、日本政府は気をつけるようになっていたはずだった。なのに何故?

モザンビークの市民社会から見た日本とその援助の特徴
2002年以来、現地の市民社会と現地にいる他ドナー、国際機関などに聞き取ってきたことをまとめると、日本の援助は次のように考えられている。
・モノに偏っている
・歴史が浅い
・現場(モザンビーク、地域社会)を知らない
・ポルトガル語が話せない
・現場(コミュニティ)に来ない、来ても短時間
・継続性がない
・アカウンタビリティの欠落、透明性が低い
・市民社会を無視している
現地の声の無視。今回、またこれほどの問題を起こしている。日本の援助機関は、「失敗」の継承は出来ないのか?

さきほど、坂口さんの報告で、抗議声明を出したUNACとの関係について、「情報伝達不足」「地域に1377組と多数存在する。しっかり連携している農民団体がある。一部地域では実施されてきた」と説明された。

そもそもここで挙げられているIKURUは農民を支援、クレジットなど提供しているが、農民を代表する組織ではない。一方、UNACはモザンビーク最大の農民全国組織で、14万人が加盟し、ProSAVANA対象地を含む全州に支部を持つ。そのUNACが何故このような声明を出すのか?

また、坂口さんの説明にあるとおり、まさに「既に1000以上の農民団体がある」。では、なぜ新たに作るのか。老舗の農民団体とも意志疎通ができないのであれば、どうやって組織化を支援できるのか。

現地の農民組織、市民社会のProSAVANAが問題という論点
2012年9月の2農民連合団体、2環境団体、1市民社会ネットワークへのインタビューから。
1.主権在民の原則無視・非民主主義的プロセス、アカウンタビリティの欠落
2.土地の収奪、農民に保障された土地の権利の問題
3.農民の生産努力の無視・無知
4.森林伐採、化学肥料・農薬の多用やモノカルチャー奨励等による環境問題
5.輸出のための農業投資により、モザンビーク全体、リージョン、ローカルの人びとの食料生産を犠牲にし、食料安全保障にダメージを及ぼす問題

JICAの説明にない問題
今日も説明がなかったが、現地の人びとが一番心配している点は次のような点である。
•ブラジル側の熱意(なぜ?)と関与
•ブラジル企業・農家の入植はあるのか?ないのか?
•土地の貸与は、いつ、どのような形で起こるのか?

坂口さん、ブラジルの企業や農家は入植するのですか。しないのですか?(答えられない、との返事)では、土地の貸与はあるのですか。(答えられない、との返事)いつだったら答えられるのでしょうか。ブラジルのアグリビジネスによる土地奪取をどう抑えるのですか。抑えられるのでしょうか。(返事なし)

モザンビーク農民が一番心配するこれらに答えられないことが透明性の問題に直結し、かつそのことを言及しないままに「小農支援」と繰り返すのは、「ブラジル隠し」と言われても仕方ない状態。では、ブラジルは実際どのように動いているのか?これも、ブラジル人へのインタビュー報道に基づき紹介する。

ブラジル・日本の官民合同ミッションが本年5月にモザンビーク北部に行った。その時のインタビューでブラジルのアグリビジネス関係者らは、繰り返し「入植」について語っている。その際、北部の土地がいかに豊かかに感嘆している。不毛ではないのです。そして、麻生元外務大臣とも関係の深い日系ブラジル人の西森連邦下院議員のこの発言に注目してほしい。「我々は農業者の入植をしっかりバックアップしていきたい」。

なぜ(ブラジル・アグリビジネスはモザンビークに進出したいの)か?
これもブラジル人自身の言葉を見てみよう。ブラジルのコットン(綿花)協会の会長は、モザンビークの土地が「肥沃」なのに、土地価格はブラジルでは考えられない破格の価格。実に、1666分の1。さらに、ブラジルでは環境規制が強くて土地を入手するのが難しくなっている。モザンビークの環境規制の緩さが投資条件として魅力的な点が示されている。

つまり、ブラジル企業にとって、ProSAVANAは、「容易な大規模農地取得を有利にする事業」として認識されている。それを支えるのが、日本の税金。なぜなら、歴史的経緯を再度ふり返れば、この事業は、日本とブラジルの戦略的パートナーシップをアフリカに輸出する取り組みとして誕生した。

しかし、プロジェクトの進行については日本側のドライブ(推進力)の方が強い。ブラジルの関連機関の人はインタビューでこう答えている。「日本の側が強く押してくるんだ。それに我々は慣れていない」「たくさんの、本当に沢山のお金が関わっている。それに三つの政府の最高レベルの人たちが、このプロジェクトを政治的にサポートしている。」

つまり、ProSAVANAとは、「アフリカ小農支援案件」ではなく、そもそもが「政治案件」ということがブラジル人関係者からも指摘されている。 (続きと写真、資料一覧はhttp://afriqclass.exblog.jp/16942699/)
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by africa_class | 2012-12-08 22:12 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ