ブログトップ

Lifestyle&平和&アフリカ&教育&Others

afriqclass.exblog.jp

<   2014年 05月 ( 1 )   > この月の画像一覧

2013年度優秀論文の紹介ー「ルワンダにおける健康保険の拡大」

長い間ご無沙汰しておりました。今見たら実に3か月ほど空いていたのですね。卒業生らに「ブログ更新して下さい」とお願いされ、ぼちぼち。。。

あれからあまりに症状が悪化してしまい、そして大学をお休みするにあたっての段取りやなんやらで、落ち着かない日々が続いてきました。今も起き上がれたり、起き上がれなかったりなのですが(これも布団の中からですが)、あまりに社会から断絶したままだとそれはそれで症状の改善にもならないので、ぼちぼちブログに駄文などを書き連ねつつ、気晴らしをし、療養に専念したいと思っています。

そして是非とも掲載しなければならないまま、ずっと放置せざるをえなかった情報のいくつかを今日アップできそうならしてみます。これをがまんするのも、また心身ともに悪い影響を及ぼすので。

まずは、2013年度のゼミ指導教員が推薦する優秀卒業論文の紹介です。3月にはやっておきたかったのですが、PCに向かうことすらままならなかったので・・・。

■この制度についての説明:
http://www.tufs.ac.jp/education/yushuronbun/yushuronbun_menu.html

■2011年度から毎年推薦し、以下の論文が掲載されています。
(このブログでも紹介した通り)
2011年度
http://www.tufs.ac.jp/education/yushuronbun/yushuronbun23.html
2012年度
http://www.tufs.ac.jp/education/yushuronbun/yushuronbun24.html
2013年度
http://www.tufs.ac.jp/education/yushuronbun/yushuronbun25.html

このゼミでは、学生・教員・院生・ゲスト等の評価を総合して足したものの順番で推薦者が決まります。本当に推薦されるべき優秀論文は毎年4つは出てくるのですが(12名前後の執筆者から)、去年から推薦できるのは「1名まで」になったので、残念です。年々レベルが上がっていることに驚きます。

後輩たちは一対一で上の学年の卒論執筆の添削、書評、評価の担当をするので、卒論の最終工程のイメージが湧き、そのことは凄く勉強になるのだと思います。特に、全員が当たり前のように英語や原語の論文を漁って、それらを活用するということは「前提」になっているのは良いと思います。互いの突っ込みも、自分にはねかえってくるので、モチベーションとしてもとても良い。Peer Educationを目指してきましたが、そういう場を設け継続させていくことに専念すれば、若い人達は勝手に展開するものなのですね。

■2013年度の優秀論文の概要と推薦理由を皆さんに紹介します。
瀬戸さんは、3年時に1年間ルワンダで現地企業(佐藤さんの)でインターンとして働きました。その後、モザンビーク開発を考える会の事務局でもインターンをしてくださり、就活もあり、卒論もあったので本当に忙しい毎日を、きちんと全部両(3)立させて、活躍してくれました。

卒業論文は超大作で、中身も手堅く、濃く、評価に参加した全員が一致して、ぶっちぎりの最優秀論文として選ばれています。文献調査では英語を含む70を超える文献を網羅しており、かつ現地調査も実施しています。

後輩たちから「驚異wonder?」としてみられる瀬戸さんも、入ゼミ当時は普通の2年生修了者でした。その後の色々な「悔しさ」が、彼女の原動力となり、バネとなり、大躍進になったことを、何度でも強調しておきたいです。

人間の発展には、時に「才能」が必要な部分もありますが、多くの場合「自分の不十分さへの真摯な、しかし前向きな理解」と「努力」が根っこに必要であるということを、若い皆さんには伝えたいです。今出来なくても、「出来ないからダメだ」とか「出来ない私がダメだ」とかそのようなマインドではなく、「何故出来ないのか」「どうやれば改善できるのか」を周りへの相談とともに明らかにして、前向きに取り組んでいく・・・そんなことが必ず未来に繋がるということを、瀬戸さんを通じて改めて学びました。

なおみちゃん、おめでとう。そして、ありがとう。
今頃の紹介になってしまい、申し訳ない。

そして、それ以外の卒業生の皆さんにも、最後まで放り投げず頑張った一人一人に、表彰状を送りたい気持ちです。百本ノックを見事に打ち返し続けましたね。やりきった部分も、やり残した部分もあると思いますが、いつも言いますが、「やり残したこと」については人生の様々な場面で問い続けていってくれればと思います。(私も未だにそんな感じです。)

今年卒論の指導が出来ない皆さんには大変申し訳なく・・・でも、先生方や先輩たちが熱烈しっかりサポートするということなので、どうぞよろしくお願いいたします。


============
2013年度優秀卒業論文

学生氏名:瀬戸菜穂実
学生の所属コース:地域国際コース(フランス語専攻)
卒業論文(研究題目):「ルワンダにおける健康保険の拡大―政府の貧困削減政策に注目して」

推薦理由:
本論文は、経済成長の一方で依然として深刻な貧困に悩むアフリカで、大多数を占める貧困者の医療サービスをどのように保障していくのかという現代的課題に基づき研究され、執筆されたものである。

事例として、健康保険加入率が低調なアフリカにおいて驚異的な加入率を誇るルワンダを取り上げ、依然貧困者が多い同国でなぜこれが可能だったのかについて歴史的・政治的背景を含め明らかにすることで、他のアフリカ諸国の課題を明らかにするだけでなく、虐殺後のルワンダの固有性を浮き彫りにしている。

その意味で、本論文はただ単に、「保険加入者を拡大するにはどうすればいいのか」といった一面的で制度設計的な視点を超え、地域研究の手法に基づき、ルワンダ国家と社会の今について健康保険を事例として描き出すことに成功しているといえる。

日本ではアフリカの健康保険に関する研究、とりわけ事例研究はほとんどなく、またルワンダの研究においても健康保険を通じての考察は皆無であった。その意味で、本論文の貢献は先駆的な取り組みとなっている。なお、執筆者は、本論文の執筆に当たって、一次資料として英語文献20本(内ルワンダ政府の資料は17本)、二次文献として日本語文献11本、英語文献55本、フランス語文献1本を参考にし、丹念な先行研究の検討と整理を行った。これに留まらず、資料上の制約を乗り越え、より実証的な論文とするため、現地調査を実施し、その成果を採り入れた論文となっている。

その結果、健康保険の加入率の拡大が虐殺後のルワンダの貧困削減政策並びに強権化と連動して生じていること、その財政的持続性に疑問があること、また助成が受けられない貧困層の中でも最貧困層以外の層は保険システムから離脱せざる得ない実態を明らかにした。このような深みで健康保険の分析を行った先行研究は皆無であり、本論文は学部卒業論文をはるかに超えるレベルの論文となっている。なお、本論文は、指導教員だけでなく、11名の卒業論文に関する相互審査を経て最優秀論文として選ばれたものである。

最後に、執筆者は、2011年から1年間にわたり、ルワンダの企業においてインターンとして同国各地で保険衛生分野の事業に従事した経験を有する。その際に育んだ問題意識を、学術的問題関心に昇華させ、多様な資料や手法を用いてこの問題に取り組み続けたその姿勢は評価に値する。

=================-

ただ当然この論文にも課題は多々あり、やはりルワンダの固有性の部分における深い政治的な分析や、そもそもこの分野に特化した援助の背景にあり得る狙い、、、とりわけルワンダでこの分野の援助を前のめりに行ったアメリカ政府の真の狙いなどの分析は、今後も課題として残っていくでしょう。しかし、すべてを一つの論文(しかも学部論文)に期待しないことも重要で、これが基礎研究となって他の人が研究調査を積み上げていけばいいわけで、2013年度から要約しかHP掲載されなくなったのは誠に残念なことです。
            
[PR]
by africa_class | 2014-05-26 19:31 | 【大学】アフリカゼミ(3・4年)