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【募集】Activist-Scholar養成講座2016 ~土地・水・森林・天然資源・紛争・環境と人びとの主権~

こちらも更新できず、すみませんでした。
まったく手が回らなかったのですが、2017年2月後半に第一回のものをGRAINのデヴリン・クエック氏と一緒に、京都と東京で開催することになりました。また、サポーターに、Journal of Peasants Studiesの編集長&ISS(国際社会科学研究所、ハーグ)教授のJun Borras博士が加わってくださることになりました。お楽しみに〜。


帰国後、思った以上に忙しい毎日で、なかなか色々手が回っていないのですが、この数年間ずっと温めてきた構想を、2月のボラス先生に頂いた「はじめの第一歩」の後押しを受けて、少し動かし始めることにしました。詳細は以下のサイトをご覧下さい。なお、ボラス先生の講演の議事録をほぼ逐語でまとめたので、是非ご一読下さい。
http://afriqclass.exblog.jp/22658501/

今日は、「グローバル課題に取り組む日本のActivist-Scholar養成講座」を始めようと思った背景を、紹介しようと思います。当然長いので(苦笑)、面倒な人は末尾の正式な案内文だけお読み下さい!
http://activistscholarjp.blog.fc2.com/blog-entry-1.html

モザンビーク・ブラジル・日本・世界の当事者運動やNGOなどの市民社会組織、研究者らと密度濃く協働するようになって4年近くが経とうとしています。その中で、本当のほんと〜に沢山のことを学ばせて頂きました。正直なところ、自分の病気なども重なって、本当に辛く厳しい4年間ではありましたが、人生のこの時期にこれを学べて本当に有り難く思っています。その中でいつも感じていたことは、「グローバル課題に取り組み世界的に活躍できる日本のActivist-Scholar」を早急に養成しなければ…ということでした。

実は、私は本務校(東京外国後大学)での高等教育において、これ(Activist-Scholar)の養成をまったく目指しませんでした。それは、このブログで度々書いたように、自分のActivismを教室に持ち込みたくなかったからでした。また、学部教育においては、scholar養成もあえて目指しませんでした。修士論文(あるいは修士課程に受かる)レベルの卒業論文を前提に指導はして、実際に皆それをほぼ実現しましたが、一旦は「学校」を出て世に塗れお金を貯めてから、Scholarになるべきと思ったらそうすればいいという立場を取ってきました(この理由は別に書いたので繰り返しません)。また、大学院の教育ではScholar養成というには大学院の体制に問題が有りすぎたので、なかなか難しいものがありました。唯一、それらしいことをしたのは、各学会のジャーナル誌の査読や編集においてでした。他方、市民社会の活動においては、確かに早稲田大学に研究所を設置させて頂き、シンクタンクNPOを結成し、その中で若手研究員を数十人育てました(というか若者たちが勝手に育ちました)。ただ、彼女・彼らは主に「実務家」(国連や国際機関、JICA等の職員、開発コンサル)を目指していたし、アフリカ政策(援助を含む)のシンクタンクであったので、ある程度の「縛り」の中でしか若手の今後に関わることができませんでした。そしてそれには後悔なく、あの時の研究員らの世界での活躍を見るにつけ、本当に嬉しい気持ちでいっぱいになります。

こう考えてみると、私もいつの間にか、学会・大学・自分立ち上げた組織の枠組みに縛られて、それに自分のやりたいことを適応させる形で日々を生きていたのだと分かります。すでにある設定の中で出来ることをやろう…という「改良主義的運動」ですね。それはそれで重要であり否定すべきではないし、あの時の自分にできたことの範囲もまたそこまでだったと理解しています。

しかし、その後世界はあまりに難しい場所となってしまいました。
2004年から2008年まで、ボノたちと援助の3倍増を求めて活動していたのはあまりに呑気すぎた…とも言えるほど。この10年弱の間に、世界もアフリカも日本も、社会の根っこの深い部分で深刻な課題を抱え込むようになりました。そして、世界のあちこちで、脆弱性を抱えた人びとが最後の拠り所としてきた自然と土地の争奪が、暮らし・コミュニティ・人びとの命や尊厳すら奪うところまで追い込まれる状態が生じています。

一方で、人びとはただやられっぱなしではなく、世界でこれに抵抗する先住民族、小農、女性らの運動がいくつかの成果も生み出してはいます。しかし、マネーや権力の力はあまりに強く、展開があまりに早く、すべては後追いになっている状態にあります。そして、社会正義のための運動はますます人びとの連帯に基づく世界規模の協働を不可欠としていますし、その協働はより高度化しつつあります。

このようなせめぎ合いのただ中に放り込まれたまま4年を生きてきて切実にいつも感じていたのは、「日本」の姿があまりに見えないという点でした。これは、日本の官民の動きが知覚・把握・認識・理解されづらいということもありますが、日本の研究者や市民社会組織の姿についても同様でした。勿論、古くからの人的・組織的ネットワークはある。国際会議や声明にはそれなりに日本の団体も参加している。しかし、世界で起きている現象への具体的な情報提供や戦略づくりへの参画という点では、分野にもよるものの、十分な貢献ができていると言い難い状況にあります。

これは当然、日本に特徴的な以下の問題に起因しています。
・市民社会の意義が理解されていないこと&スペースの狭さの問題
・研究者と活動家の分断、NGOなどの活動の社会的広がりの限界
・NGOに資金的余裕がなく故に人的余裕がない(とりわけ政策やアドボカシー活動に必要な資金や人材を持続的な形でキープできない)
・言語の問題。日本語でのやり取り・資料が多く、英語での発信が重視されていない。さらには英語プラスアルファの言語を使える人が少ない。

日本では、この問題はいつも「卵が先か鶏が先か」の議論に帰結します。つまり、堂々巡りの議論になってしまうのです。日本のNGOはお金がないから…に陥ります。そして日本のNGOをいくつも設立・運営してきた身として、そこの切実さは辛いほどに共有しています。今日もまた数十万円の赤字を埋めるために書類を一つ書いたところですから。

でも、Bertaさんが亡くなった時(http://afriqclass.exblog.jp/22589869/)、私はやはりもう待っている場合じゃないんだ。自分たちの境遇を悲しんでいる場合でもないと強く思ったのです。丁度その数ヶ月前から、世界のいくつかの国・地域の人びとから頻繁に色々な要請を受けるようになって、様々な悲鳴のような声を聞き、これを放置できない…しかしもう自分のキャパを超えている、しかも自分がこれらに対応する最適任者でもないと実感したのです。なので、いつものやり方を取ることにしました。つまり、最初の一歩を「手弁当」で始めることです。

私は、外大を辞め、「最終講義」をするように、日本の教育界にも学術界にも未練がありません。肩書きにも、キャリアパスにも、成功したり賞賛されることにも関心がありません。そういう言い方をするととても生意気に聞こえるかもしれませんが、大人になってからの25年間を、自分を優先することなく生きてきました。周りにどう見えていたかは分かりません。しかし、何一つ自分のためにやったことはなかったし、そういう利己的なことに関心があったのであれば、このような生き方は選んできませんでした。場面場面で、色々な誘惑もあったものの、すべて損する側を選びつつけて生きてきました。勿論、それが結局自分のためになっていたという事は否定しませんが!損得考えて生きていたとしたら、この25年間のいずれの活動も行動もやっていなかったでしょう。

一通りのことに取り組んで思うようになったのは、あの時の自分のレベルではそれが精一杯だったものの、ここから先はもっと違う大胆でクリエイティブなやり方で、あらゆる制限や自粛を盛り込まない形でやってみようと思い立ちました。その中には、自分の中の心と魂の声にもっと耳を傾けるというものがありました。社会のためもいいけれど、自分が病気になるようじゃあ元も子もない、と。それで一旦日本を離れる決意をしました。

しかし、この決意に反比例するかのごとく、今度は世界から私のところにありとあらゆる問い合わせやお願いやお誘いが集中するようになりました。そこで、日本に情報を投げて協力を呼びかけるようになったのですが、やればやるほど、それを受けとったり、受けとりたい、関わりたいと考える層の人びとがいないことに気づきました。厳密にいうと、個別にはいるのですが、緩やかなネットワークにすらなっていない。なので、いきなり緩やかなネットワークにすらならなくてもいいので、このようなことに関心があるかもしれない個別の人びとに「ヒント」を提供する形で、「こんなんもあるよ」「こんな考え方もあるよ」という紹介をしようと思ったのです。で、「紹介」では足りないので、ついでに「養成」もしてみよう、と。

というのは、世界からのニーズばかりでなく、日本の若者達のニーズとして、それがあったのです。日本には、日本のみで通用する論理と作法というものが、実はあります。それは日本の独自性としてとても評価されるべき点ですが、同時に「自己満足」「井の中の蛙」をもたらすばかりでなく、「知の体系の再生産」を招き続けます。日本にいるとある種の居心地良さがあるわけですが、それは与えられた枠組みを熟知してその枠の中でやるべきことをやればいいというものによります。そこを踏み外し始めると途端に感じる違和感というか排除された感…に容易に耐えられる日本の人は多くはないでしょう。しかし、「知」における先人たちの蓄積に対し、心底リスペクトをもって接するということは、本来的にはそれを壊して新しいものを創造するぐらいでなければならないと思うのです。二番煎じ、孫引きではいけない。足りないものを補完するだけでもいけない。勿論、まったく踏まえずに新しいものを作るつもりが、単に不勉強ということも良く有ります。なので、そういうことをいっているわけではありません。

ここら辺はまた長くなりそうで(すでに長いので)、とりあえずここまで。
若い皆さんの情熱と時間と体力と気力、柔軟性をもって、先人たちへのリスペクトに根ざしながらも、今世界で同時代的に起きている現象について、脆弱な立場にいる人びとの主権に視座をおき(つまりは自分の主権を見つめ直す作業も含め)つつ、批判的思考(仲間に対しても)を失わず、科学的・実証的に現象を調査研究し、世界の動向を構造・システムの中で(理論を含め)把握する、そんなアプローチを共に考え、紡いでいけないかなと思ったのです。勿論、本来大学院という場でやるべきかもしれませんが、先ほど述べたように私はそれを学会から完全に自由な場で、思考のプロセスの一環として少しやってみるぐらいのことはしていいんじゃないかな、と思うのです。

当然、大学院生たちは指導教員を優先すべきでしょう。
でも、少しぐらいオルタナティブを試してもいいと思うし、いずれ世界に出ていくのであればなおさらです。覗いてみる・・ぐらいの軽い気持ちでいいんです。

来るもの拒まず、去る者追わず。
人生一度きりなんで、それぞれバリアーを取り払って、可能性やオルタナティブを知ってもらいたい。そして、願わくば、皆さんの内に秘めたパッションや能力を、人びとのために使ってほしい。ただそんな感じに思っています。関心があれば、是非どうぞ。(日本語が以上乱れているのは承知していますが、眠いのでこれにて失礼・・・)



(転送・転載歓迎)
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【参加者募集】
グローバル課題に取り組むActivist-Scholar養成講座2016
~土地・水・森林・天然資源・紛争・環境と人びとの主権~

http://activistscholarjp.blog.fc2.com/blog-entry-1.html
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1. プログラム
【基礎編】
第1回:「日本のActivist-Scholarの可能性と世界的なニーズ」

講師:舩田クラーセンさやか(明治学院大学国際平和研究所研究員)
コメンテイター:西川潤(早稲田大学名誉教授)、渡辺直子(日本国際ボランティアセンター)
場所: 東京都台東区上野(詳細は末尾)
日程:2016年4月11日午後or12日午後
*参加希望者とともに設定します。(詳細は末尾)
参加費:2000円(資料代込み)

第2回:「世界に通用するリテラシー&批判的思考の向上」
*各自のリサーチプロポーザルを持参(希望者のみ)。
*いくつかの事例を課題として出します。
時期:2016年5月(後半予定)
参加費:2000円(資料代込み)

【実践編】
第3回:「世界にインパクトを与える論文・レポートを書くヒント(1)」

*各自の書いたものを持参(希望者のみ。日本語でもOK)。
*Journal of Peasants Studiesの論文を課題に出します。
日程:2016年11月(予定)
参加費:3000円(資料代込み)
使用言語:日本語
*第1回参加者のみ

第4回:「世界にインパクトを与える論文・レポートを書くヒント(2)」
講師:デブリン・クエック(国際NGO・GRAIN)
日程:2016年度後半(11月か2月)
参加費:3000円(資料代込み)
使用言語:英語
*第1回・3回参加者のみ
*世界で最も早くランドグラブ(土地収奪)の問題に警鐘を鳴らすレポートを2009年に発表。グローバルなアジェンダ設定、政策転換に大きな影響 を 及ぼした。2013年6月のTICAD V(第5回アフリカ開発会議)に際した来日に続き2度目の来日予定。本養成講座のサポーターとして、実践編を担当。

第5回:「世界規模でデーターリサーチを行うコツ(1)」
講師:デブリン・クエック(国際NGO・GRAIN)
日程:2016年度後半(11月か2月)
参加費:3000円(資料代込み)
使用言語:英語
*第1回・3回・4回参加者のみ
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2. 趣旨
グローバリゼーションが世界の隅々に影響を及ぼすようになって久しいところですが、ここ数年その影響は根深いものとなって、人びとの暮らしや地域 社会に急激な変化をもたらしています。変化にはポジティブなものもありますが、アジア・中南米・アフリカの小農や先住民族の命と暮らしに視座をお くと懸念せざるを得ない状況が生み出されています。とりわけ、2008年以来、顕著なグローバル現象となった土地、水、森林、地下資源などの資源 の争奪/ 収奪は、各国内部における地図の書き換えをもたらすほどの強度と深度を伴いながら、最も脆弱な状況にある人びとやコミュニティに困難をもたらして います。

このような困難の一方で、各地の先住民族や小農、土地なし農業労働者などの当事者らが立ち上がるだけでなく、国内・地域内・世界の他の運動や市民 社会組織と連携しながら、抵抗・対抗・代替案の提示といった多様な活動を展開しています。近年では、これらの運動は、国連やその他の国際会議を舞 台として様々な条約、ガイドラインや原則などの策定を実現するなどの成果も出していますが、運動のリーダーたちが暗殺・投獄を含むあらゆる形の迫 害や脅迫などの人権侵害に直面しています。

私たちは、日本の研究者・市民として、このような世界的変化にどのように関わるべきでしょうか?
日本のグローバルな資源争奪における関わりについては、直接的なものもありますが、その大半は見えづらい間接的なものとなっています。ただし、こ れは日 本だけの傾向ではありません。資本の国境を超えた結びつきが進む一方で、世界的な運動が台頭するという現象の中で生じている世界的な傾向であり、 争奪から命・暮らしを守ろうとする人 びと・運動に大きな限界を与えるようになっています。そのため、当事者運動もまた、世界レベルで進む同時代的な共通現象の理論的把握の一方で、よ り高度な調査研究(情報収集や分析)の能力、国際場裏での高い交渉能力が求められるようになっており、これを支える人たちもまたこれらの能力が不 可欠となっています。

このようなグローバル現象における「日本の現状」と「日本の関わり」について、世界的な関心は決して低くはありませんが、日本からは、このような 関心に応えるだけの研究や活動などの成果が世界に出ていっていないのが現状です。本養成講座を通して、現地の立ち上がる人びと共に歩む世界的な研 究者の育成に寄与することができればと考えています。

*Activist-Scholarは、オランダにある社会科学国際研究所ISSのサトゥルニーノ・ジュン・ボラス(Satrunino Jun Borras)教授が提唱する「活動と研究を融合させた主体」にヒントを得ています。ボラス教授は、現在Journal of Peasants Studies編集長を務める他、国際的な運動であるTNIの研究員も務めています。本養成講座に参加される皆さんは、本年2月20日に東京大学 で行われたボラス教授の講演会(「グローバル化における社会正義と研究者」)の記録をお読み下さい。
http://activistscholarjp.blog.fc2.com/blog-entry-2.html

3. 2016年度:基礎編 第1回詳細
第1回:「日本のActivist-Scholarの可能性と世界的なニーズ」
    ~今後の準備のヒントとして


講師:舩田クラーセンさやか(明治学院大学国際平和研究所研究員)
コメンテイター:西川潤(早稲田大学名誉教授)、渡辺直子(日本国際ボランティアセンター)

場所: 東京都台東区上野5-3-4 クリエイティブOne秋葉原ビル内
   (部屋は参加者に個別案内致します)

日程:参加希望者とともに設定します。以下の日時のご都合をお教え下さい。
(*なるべく具体的に都合を教えて下さい。全く駄目か調整可能か等)
 4月11日(月)正午~14時 (  )
 4月11日(月)14時~16時 (  )
 4月12日(火)正午~14時(  )
 4月12日(火)13時~15時(  )

対象:日本語・英語が読み書きできる、いずれ世界で日本のActivist-Scholarとして活躍したい人。
*英語の読み書きは自己判断。今後の努力含む。
*もう1外国語出来ればより望ましい。
(最優先言語:ポルトガル語・スペイン語)
(その他:中国語・フランス語・その他東南アジアの国々の言語)
*年齢、国籍は問いません。(学部3年以上)
*日本語が読め、「日本のグローバル課題における役割」を意識できること。

参加費:2000円

参加申込み:4月6日(水曜日:正午まで)
以下の(1)~(6)までをメール(activist.scholar.jp<@>gmail.com)下さい。
(1) お名前、(2)ご所属、(3)参加可能日時、(4)現在の研究テーマ、(5) 簡単な自己紹介&何故参加したいと思ったのか、(6)講座への具体的な要望があれば是非。
*これら内容については個人情報として厳重に扱います。
*遠方の方への対応を調整中です。
(東京に来れないが参加したいという方は連絡下さい。)

【お問い合わせ】
Activist-Scholar養成講座2016事務局
URL http://activistscholarjp.blog.fc2.com
メール:activist.scholar.jp<@>gmail.com

【講座サポーター】
大林稔(龍谷大学経済学部名誉教授)
デブリン・クエック(国際NGO・GRAIN)
西川潤(早稲田大学名誉教授)
舩田クラーセンさやか(明治学院大学国際平和研究所)

(2016年3月29日現在。続々追加していきます)

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by africa_class | 2016-03-30 01:52 | 【講座】Activist-Scholar

【記録】ボラス教授講演会「グローバル化における社会正義と研究者」

世界最先端の研究動向をまとめた上に、今後の日本の学術界・社会活動においても、とても貴重な講演だったと思ったので、当日の講演部分の記録をほぼ逐語でまとめました。(*一部分かりづらいところはPPTのテキストで補足しました)

質疑応答部分もかなり重要な点があったのですが、それは写真や地図などのアップを含める形で4月下旬にバージョンアップします。やはりライブで参加するに越したことはないほど、エネルギー溢れる講演会でしたが、是非以下を読むことで少しだけ追体験して頂ければ。

ここで紹介されている研究蓄積や動向について知りたい、学びたい人は、Journal of Peasants Studies (http://www.tandfonline.com/loi/fjps20#.VvqdBnB5mC4)のサイトを覗いてみて下さい。多くの論文がフリーで読めます。後は、次の投稿で紹介する「Activist-Scholar養成講座」に関する案内をご覧下さい。


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講演記録
サルトルニーノ・ジュン・ボラス教授講演会
「グローバル化における社会正義と研究者〜南と南、南と北、運動と研究を繋ぎ続けて」


日時:2016年2月20日(土)13 ~15時
場所:東京大学駒場キャンパス
主催:
•「有機農業とコミュニティの深化」(科研代表:中西徹、科学研究費補助金・基盤研究(B))
•「グローバル土地収奪下における持続可能な地域発展のためのアフリカ小農主体の国際共同調査研究」プロジェクト(代表者:大林稔、助成:トヨタ財団研究助成プログラム)
共催:
モザンビーク開発を考える市民の会、国際開発学会社会連携委員会
式次第:
(1) 趣旨説明  受田宏之(東京大学准教授)
(2) 講演 サトゥルニーノ・ジュン・ボラス(ISS教授)
(3) ディスカッサント 
清水奈名子(宇都宮大学准教授 / 日本平和学会理事 / 福島原発震災に関する研究フォーラム・メンバー)
舩田クラーセンさやか(明治学院大学国際平和研究所研究員 / 元東京外国語大学准教授)
(4) オープンディスカッション

【講義記録】
土地取引のポリティックスと農をめぐる関係性の変容(agrarian change)のダイナミックス:
背景から探求の核心へ、様々な結び付きを捉える
社会正義を志向する活動家=研究者(Activist-Scholar)に向けて

1. 活動家=研究者の挑戦(Activist-Academic Challenges)
本日の議論の大半は、今日の学術調査と活動のあり方をどのように考え直すべきかについてのものである。両者を時に切り離し、時に一体として話をしたい。
 
これらの議論は、過去20年ほどの現地調査に基づいている。その多くがアジア地域、特にフィリピン、インドネシア、ベトナムであり、最近はこれにカンボジアとビルマが加わる。また、最近では、中国南部での調査や国境周辺の地域も研究している。国境を超えた活動が、政治経済や環境にどのような影響を与えるかに焦点をあてている。
 
この他、アフリカでも長年にわたり現地調査を行ってきた。例えば、マリ、ジンバブエ、南ア、ナミビア、モザンビークである。(モザンビーク北部の)プロサバンナに関する調査はやっていないが、これは皆さんにお任せしたい。他方、モザンビーク南部のガザ州で行われていた砂糖プランテーションの事業ProCanaについては調査している。また、南米については、ブラジルとコロンビアで長年調査をしている。

昨今の私の関心は、トランスナショナルな農民運動(Transnational Agrarian Movements)に関するものでもあり、彼らがいる場所に私も出掛けて行き調査をしている。

本講演の主なメッセージは、二つある。

①広い意味での政治経済(環境政策も含む)が相互に結びつき合いながら、絡み合い、収斂していく場を、特定の土地取引の事例の文脈(背景)として扱うだけでなく、「調査 /分析の主要な中身」とも位置づけ直すことにより、システマティックな調査研究イニシアティブを遂行することが重要である。

②そのことによって、土地志向の資本蓄積過程の特徴と軌跡の包括的な理解が可能となるだけでなく、これらの動きを規制したり、貧しい人たちの資源コントロールの権利を彼らの状況に応じて守ったり、促進したり、回復することを試みるのである。

これらを踏まえ、以下の点を再考することは、活動家=研究者が行うべき研究や活動に対し、深い示唆を投げかけるだろう。

(i) 気候の正義、農地 / 農民の正義、食の正義、労働の正義、アドボカシー活動といったセクターを超えた収斂に向けて:これらのセクターはそれぞれに重要でエキサイティングであるものの、セクター相互の関係性を研究するとすればどうなるのか?

(ii) より幅広く、より複合的で、かつより多階級で多元的なアイデンティティからなる政治と政治的連携に向けて:状況への対応の中で、社会正義を求める多元的な前線が形成されつつある。

(iii) より幅広く、より複合的で、かつ多元的なアイデンティティの政治と政治的連携に向けて:状況への対応の中で、社会正義を求める多元的な前線が現在形成されつつある。

(iv) 半球間の分断 (南北 / 南南)を超え、より大きな国際的なアジェンダとアクションのためのプラットフォームづくりに向けて:従来の南北、南南という言葉や関係にとらわれず、これを再考すべき時がきている。この理由は、現在世界大で見られる質的変化によるものである。

(v) これらの課題についてのより大胆に政治化され歴史化された見方に向けて:もっと政治
化され歴史化された見方が必要である。

(vi) 客観的・主観的でラディカルな活動とプログレッシブな学術サークルに向けて:客観主義者と主観主義者は互いにアレルギーがあるもしれないが、主観的なラディカル活動家であるか、あるいはプログレッシブな学術サークルの所属者であるかは重要ではない。それぞれ異なる闘いを行いながらも、客観的アライアンを構築できるはずだ。意識すれば、協働できるはずだ。

2. ランドグラブ(土地収奪)について

2.1. ランドグラブ研究に関する2つの潮流
現在の「ランドグラブ」について科学的な意味で語るのであれば、それは2008-2009年に現れた。以来、活動=研究の場においては、大きくいって2つの潮流が出てきた。まずは、「第一波(何が起こっているのか知ろうとする)」は2009年から2010年のものであり、訳が分からないものを知ろうとする時代として位置づけられる。これに尽力したのは研究者よりもNGOであった。彼らは、何が起こり始めているのか、誰が何をやっているのか、誰が土地を失っているのか、事実は何なのかについて把握しようとした。そして、これは戦略的に重要な役割を果たした。また、研究アジェンダ全体の枠組みを問い直すことに役立った。これらは主としてメディアによる報道、NGOによるレポートによってなされた。ただし、これは短い期間の潮流に留まった。

次の段階の「第二波(理解を深める)」は、何が起こっているのかの向こう側について我々自身が考えさせられる中から出てきたものである。ランドグラブが起きているとしたら、それはなぜ問題なのかという問いである。例えば、韓国企業がマダガスカルで130万ヘクタールの土地を取得しようとしたら、何が問題なのかという問いである。土地取引がもたらす影響(示唆)はその国にとってどのようなものなのか?土地だけでなく、労働関係、暮らし、環境に対する影響と示唆は?この土地取引は、駄目なことか、良いことなのか?それらは逃れ難いことなのか?これらの問いを、個別のケースに関する調査研究を深めることで検討していった。

ランドグラブ研究の科学的な調査の成果はこの「第二波」に集中しており、我々の理解を深めることに役立った。特に、今日のグローバルな水、土地、森の収奪——つまり、「資源(リソース)ラッシュ」——の特徴を理解する試みに貢献した。これらは、ケーススタディ志向のリサーチであり、現在でもランドグラブに関する調査の中では圧倒的多数を占める。その多くが、国別、テーマ別に行われているものであり、例えば土地取引が労働関係やジェンダー関係の変化にどのような役割を果たしているのかなどである。あるいは、企業活動に注目した出版活動もなされ、何が起こっているのかの理解が深まった。

2.2. 空想ではなく現実に起きている現象としてのランドグラブ
しかし、全ての土地取引計画がそれらを推し進めていた人たちの構想通りの方向にいったわけではなかったという点は重要である。そして、このような推進者が必ずしも最初のレッテ張り(「悪者」)通りであった訳ではなかった。当初の推測が必ずしも正しかったわけではなく、これらの投資を歓迎したコミュニティがあったことも事実である。しかし、もちろん肯定的な結果がなかったことも多かった。ここで言いたいことは、最初の推測とは異なって(土地取引の)結果は多様であるという点である。

ところが、科学的な調査を経てはっきりしたのは、世界的なランドグラブ現象は空想の産物などではなく、現実に起こっていることであったという点に確証が得られたのである。ランドグラブはNGOや活動家がでっち上げたものなどではなく、実際に起こっている現象であり、想像以上に多くの人びとに異なる、しかし深い影響を及ぼす一方で、人びと同士、社会同士を、国境を超えて繋ぎ合っているのである。我々それぞれの場で生じている出来事同士が、互いに繋がっている時代に生きているのである。

3. ランドグラブの典型事例

3.1. カンボジアでの2万ヘクタールの土地の収奪
これを示すために、2010年にカンボジアで行った調査を紹介する。これは、カンポンシュガーハウス社が住民から摂取した2万ヘクタールの土地の一部。

この企業はフン・セン首相のもので、タイからの投資によって運営され、ヨーロッパの消費者のための甘味剤用にサトウキビのプランテーション栽培が行われるようになった。ヨーロッパから特恵待遇を受けている。土地の取得にあたっては、最初は20haだけが対象とされ、「この土地は空き地であり、かつ耕作可能」と言われていたという。

3.2. ランドグラブの典型的なナラティブ
ランドグラブを巡っては、いつもこのようなナラティブ(話)がついてくる。

「今日の世界には複合的な危機があるが心配しなくていい。なぜなら、これらをすべてを解決する手法があるからだ。その解決策とは、空き地、未耕作地、未開地、耕作限界地(empty, under utilized, under used and available marginal land)があるのだから」。

世界銀行は洗練された計算を行い、世界で最低でも4億450万ヘクタールの耕作限界地の利用が可能であると宣言した。森林面積や人口密度を変数に加えると、17億ヘクタールまでその面積を増やすことができると述べている。つまり、現在の全世界の耕地面積が15億ヘクタールであることを念頭におくと、 その気になれば耕地面積を二倍に増やせるということである。万一これらの土地を使っても問題はないし、住民移転も気にしなくていい。なぜならこれらは耕作可能地である以上、使う者が土地を奪っても大丈夫である。このような言説が、グローバルな土地収奪の背景にはある。

3.3. カンボジアで実際に起きたこと
2万ヘクタールは空き地だと称して、ブルドーザーがきた。しかし、その土地には実際には農地が広がり、村があり、千人以上の住民が暮らしていた。これを、全部ブルドーザーが潰していった。

しかし、政府や企業は「法的には問題なし」という。行政上は、ここに住民がいないことになっているからである。だから、住民が築いたものはすべて焼かれ、破壊される結果となった。人びとは補償もないままに、土地から追い出された。なぜなら、政府から見ると彼らは法的な権利を持たない者、違法居住者とされているからである。
今このような現象が全世界的に起きている。このような工業化、近代化されたサトウキビのプランテーションによって、住民の所有関係、暮らし、労働のすべてが変容してしまった。

4. ランドグラブ研究の「第三波」と相互作用

4.1. 現在生じている「第三波」
土地取引と農地/農民研究に新しい世代の調査研究が生まれつつある。ここでは、特定の土地取引や国別研究を超えて、非常に重要な問いが検討されている。つまり、これらの動態の相互作用、絡み合い、収斂、流出、縺れ合い、相互連結(interaction, intertwining, convergence,spill-over, entanglement, interconnection)に関するものである。
おそらく、The Journal of Peasants Studies(小農研究ジャーナル)の「グリーン・グラビング(green grabbing)」に関する最新号は、この新しい研究傾向の草分け的な役割を果たすことになるであろう。

4.2. 5通りの相互作用の紹介
次の5通りの相互作用が特定できる。

① 空間的Spatial
② 政治経済的Political-economic
③ 政治生態学的Political-ecological
④ 構造的・組織的Institutional
⑤ 時間的Temporal

しかし、これらは互いにオーバーラップするものである。実証的にそのもつれ状態を示すのは難しいが、理論的アプローチとして試みてみたい。

5.空間的相互作用とは?

5.1. オーバーラップする土地への関心
ランドラッシュの原因として、アグリビジネス投資や農業生産に焦点を当てることは人気の手法であるが、実際には巨大な面積の土地取引は水力発電や二酸化炭素排出権をめぐる工業的な森林プランテーションが行っていることが多い。昔からある森林地帯を激変させているのは、工業的な植林プランテーションの方であり、これこそが食料生産や農業生産による収奪よりもランドスケープ(景観)の変化を生じさせている。また、露天掘り方式の鉱物資源開発も同様である。さらに、気候変動の緩和と適応(climate change mitigation and adaptation)の言説は、土地に誘引力を与える結果、そのコントロールを不可欠とした。

その結果、それが気候変動の緩和策であろうと、農業・食料生産であろうとも、工業的植林プランテーションの拡大であろうとも、いずれも「同じ土地/テリトリー」について述べることになる。まさに、「同じ土地への関心」が喚起され、オーバーラップするのである。

5.2. 事例(カンボジア・ビルマの地図)
これは、カンボジアのNGO・LICADROによる大変興味深い地図である。
これ(左図)を見れば分かるように、多様な業種の異なる投資家が、同じ土地を目指してやってきて、互いに隣に分け合う形で利用している状態が分かる。

これ(右図)はビルマ南部の森林地域の地図。しかし、「フリーゾーン(zona livre)」として政府に認識され、誰でも希望する主体に土地のコンセッションが与えられた。その結果、大体がゴムの植林あるいは油ヤシのプランテーションに変貌した。この地域を車で通り抜けるには1日かかるが、行けども行けども、これらのプランテーションしか見えない状態になっている。

これらの事業は、ビルマ軍関係の企業とマレーシアや中国の企業とが結びつき合いながら進めている。さらに、この広大なる土地摂取は、気候変動の緩和策と森林保護の一環としてなされているのである。

5.3. 土地を分け合う異なる利害者
当初、同じ土地をターゲットにしている以上、これらの異なる目的を持った利害者らは、土地のコンセッションを争っているに違いないと考えられていた。しかし、現地での科学的な調査によって明らかになったのは、土地の競争や奪い合いではなく、交渉し分け合っているという事実であった。つまり、彼らは彼ら同士でどのように上手くやればいいか分かっているのである。
ビルマ南部の地図には既に新しいものが出ており、大きな環境保護組織、アグリビジネス企業、鉱物資源開発企業が、どのように同じ地域を交渉によって分け合ったのかが分かるようになっている。

5.4. 環境保護組織の力の強化
大規模な環境保護組織は力をつけつつある。気候変動の緩和の文脈によって、より力を得るようになっている。先ほど紹介したビルマ南部では、一つの環境保護組織が、実に220万エーカーにも及ぶ森林保護の権利を一事業のために取得した。その結果何が起こるかというと、保護区となった地域に暮らしていた住民を追い出すことになっていくだろう。なぜなら、「住民=森林の破壊者」だという前提(推測)があるという典型的な考え方を、これら組織が持っているからである。しかし、実際は3万ヘクタールの土地への投資家よりも、このように巨大な環境保護組織の方が住民生活にはネガティブな影響を及ぼす可能性が高い。

このように事態はより複雑であり、懸念されなければならない。しかし、環境保護組織が気候変動の緩和といった言説によって力を付けた状態のものと一緒に仕事をしなければならないことは、容易ではない。
ビルマ南部の住民だけでなく、世界中の住民が、このような新しい状況に直面している。つまり、セクター間(気候変動の緩和や環境保護、農業開発)並びに言説が交差し合い、絡み合っているのである。

6. モザンビーク南部ProCANAの事例から見えてくること

6.1. モザンビーク・ProCANAの事例
ここも、空き地で耕作限界地であるが耕作可能の土地としてとして、英国ベースの企業に99年のリースで3万ヘクタールもの土地の権利が与えられた。しかし、実際にはここは空き地などではなく、1万1千人の人びとが暮らしていた。政府にとってはいないことになっている住民であった。さらには、この地域は古代から続く放牧地域であった。

6.2. ランドグラブにおける放牧・移動農耕
ランドグラブにおいては、牧畜民族の地域と移動農耕を営む人びとの地域が主要なターゲットとなっている。その他、高地、手工業的な産業がなされている地域、焼き畑地域である。この際、「貧しい人たちは効果的に資源(土地)を活用できない」との主張によって、貧しい人たちの土地が盗まれ、工業化することで「効果的な活用」が奨励される。さらには、気候変動の緩和や環境保護という名目が加わる形で、「資源(森林)を破壊する」として貧しい人たちから土地が奪われている。

6.3. 土地だけでない水源の収奪
モザンビークのこの事例は典型事例であった。そして何が起こったのか?
企業は3万ブルトーザーですべてを平坦にしてしまった。住民たちは「モザンビークは広いのになぜここなんだ?」という問いを投げかけたが、それには理由がある。これは、決して偶然の出来事ではなかった。
ここには、モザンビークの最も近代的なダムの一つマッシンジール・ダムがある。干ばつが発生しやすい地域であるが、この企業は干ばつ時にもこのダムから優先的に水を得られる権利をもらっていた。しかし、この川の下流には多くの小規模農民が暮らし、農業を営んでいる。つまり、下流の農民の水を犠牲にしてでも、サトウキビプランテーションに水は供給される条件があったのだ。

6.4. 空間利用について
このリンポポ川流域の空間には、1万1千人の住民が暮らしていたが、これらの人たちは戦争からの避難者であり、森に暮らすようになった人びとであった。次に、野生動物保護の事業がきた。それが成功したため、象が増えすぎた。その結果、これら1万1千人の避難者らは森から追い出され、象に空間が与えられた。ここまでは、野生動物保護プログラムでよく起きる話である。以上の結果、住民らは今回話している土地に移住を余儀なくされた。しかし、この土地は、まさに政府がProCANA社に与えたのと同じ土地であり、さらに牧畜民が通う場所であった。さらに、下流には水へのアクセスの小農の問題がある。

つまり、この3万ヘクタールの土地をめぐる話には、戦争、リンポポ川流域の森林・野生動物保護、サトウキビプランテーション投資、牧畜民、ショクエの下流の農民の水の問題が相互に密接に絡み合っていたのである。これらは、沢山の知識を要する話であり、したがってアドボカシー活動を複雑化させる話である。一つのストーリーだけでは包摂できない、相互に絡み合った話である。

7. 今後の研究・活動へのチャレンジ

7.1. 政治的アプローチと枠組みの再考の重要性
以上の事例は、実証的・分析的であるだけでなく、政治的なアプローチが不可欠であることを示している。そして、この現象は世界各地で起きていることであり、政治経済、農業経済、政治環境、政治経済、政治生態学、自然/環境保護などの多様なアプローチを総動員する必要を生じさせている。ここから言える事は、研究と政治的活動の両方をどのような枠組みに入れ直すかについて検討が迫られているという点である。

7.2. 民主的土地ガバナンスへの難しいチャレンジ
とりわけ重要な点は、これらの点が民主的土地ガバナンスに難しいチャレンジを与えているという点である。国家と社会、あるいは社会勢力、社会階級のいずれの合体物が、どの空間を、どのような規範とルールに基づき、どのような機能を求めてコントロールするのか?どのようにして、この資源紛争の解決において、真に貧困者志向の社会正義を伴った結果を保証することができるのか、という問いである。

7.3. 政治経済の相互作用:レーダーの下で
象徴的な事例、つまり研究者や活動家らのレーダーの下に起こっていることに注目しなければならない。多くの調査や活動のターゲットは、1万から4万ヘクタールを超える土地取引、あるいはブルトーザーが実際に動いているモーメントに行われる。多くの場合、巨大企業、特に世界的に知られている企業についての調査をやりたがる傾向にある。そして、それは十分に意味のあることである。

しかし、このロジックでは、資本蓄積が政治経済プロセスのより深く、遠いところまで到達している現実を把握できない。なぜなら、これらの動きは、研究者や活動家のレーダーの下で生じている現象だからである。大企業ではなく、可視化された動きでもなく、そのために嘆願書を出す先すらない。企業に対してETO(Extraterritorial Obligations)を主張することもできない。これらはレーダーの下にあって、不可視化されており、まさに見えないために対応が不可能となっている。これらは、世界中の高地、特に移動農耕の地域で起こっている。

レーダーの下で起きる収奪:ビルマ北部の事例
ビルマ北部のシャン州は、中国と国境を接している。最初は森に囲まれた地域であり、人びとは移動農耕を営んでいたが、数年以内に写真のような状態になった。つまり、ゴムの木のプランテーションが乗っ取った様子である。象徴的な外国の大企業がこれを起こしたわけではない。大規模な土地取引やコンセッションが与えられたわけではない。しかし、数年でこのようにラディカルな変化がもたらされた。一体何が起こったのか?

これらの土地を入手したのは、個人である。ビルマで市民権を持っている人たち。あるいは、ビルマの貧困者だが豊かな中国の親戚をもっている人。起業家的中国人もいる。この起業的中国人は、中国とビルマ政府の二国間合意「ケシ代替産業奨励」事業の一環で、中国政府から補助金を得てゴムのプランテーションを始めた。ケシ栽培以外であれば何をしてもいいという補助金の枠組みに基づいている。

調査の結果分かったプロセスは次の様なものだった。まず一人の中国人がコミュニティに来て、小さな土地(25エーカー)がほしいといってきた。住民は貧しかったから土地を売った。しかも、とんでもない安い価格で。それが繰り返され、結果として200エーカーもの土地を得たところで、ゴムの木を大量に植え始めた。住民らが驚いてそれを止めようとしたら、政府や軍が弾圧してきた。さらには、住民らの圧力をかけて、これまでの移動農耕や焼き畑、放牧などの暮らしのあり方に介入し始め、これらを禁じ始めた。しかし、これらは、住民の暮らしの根幹部分を形成していたために、禁じられた途端に生活が立ち行かなくなってしまった。そのため、残りの土地を同じ中国人に売り渡してしまった。たった1年で、一つの村の2万5千エーカーもの土地がこの中国人のものとなった。

7.4. 国際、調査、活動から遠い場所で起きていること

しかし、これは例外的なことではない。より多くの数の村で同じことが起きており、住民たちに深い、しかし悪い影響を及ぼしている。国際的な規制、自由で事前の十分な情報が与えられた合意形成(FPIC:Free, Prior and Informed Consent)の届かないところで起こっている。活動家が把握できない場所、研究者が興味ない所で起きている。

東南アジア中で、アフリカで、南米でも起きている。例えば、ボリビアのサンタクルースでは、普通のブラジル人が土地を次々に買っている。ウルグアイでも同様。象徴的な大企業ではなく、普通の人びとの購入というプロセスによって住民の土地が奪われていっている。

これらは、学術的な調査、政治的なアドボカシー活動からも遠い場所で起きている。しかし、よく観察すると、これらの動きがいかに根深いところまで社会に影響を及ぼしているかが分かる。

ビルマの事例の話はここで終わらない。なぜなら、村には2万エーカーの共有林があった。しかし、ゴムのプランテーションのため、自分の森を売ってしまったため薪が手に入らず、家も建てたり補修できなくなった。そこで、ついに住民らはコミュニティの森を伐り始め、森を完全に失った。しかし、この森は暴風からコミュニティを守る唯一の手段であった。このように、土地取引によって溢れ出てくる(スピルオーバー)影響も考慮に入れなければならず、研究や活動に多くのチャレンジを与えている。

8. 資本の相互浸透

8.1. 中国南部で生じる多様な資本による土地収奪
世界中で中国はいつも「悪者」として描かれる。しかし、我々の調査により、その中国でも広西自治区(Guangxi)で大規模な土地収奪が進んでいることが分かっている。これは、中国企業や政府だけでなく、外国の企業が関与している。例えば、スウェーデンとフィンランドの合弁企業。インドネシアと台湾の合弁企業などが、工業的植林プランテーションやサトウキビプランテーション事業を展開しているのである。これらの事業は、村の住民との対立を生じさせている。たった10年で信じられない規模にまで拡大した。

これら土地収奪をしている10企業の内6企業は外国のものであるが、内4企業はタイの資本である。つまり、相互作用は一方通行のものではなく、資本蓄積の流れや資源コントロールもまた一方通行ではなく、相互浸透のプロセスであるといえる。資本は、利益が得られるのであればどこでもいく。これは、重要なポイントである。

8.2. 国境を超える一次産品ブームとの相互関係:資本を解釈する
ラテンアメリカで土地収奪の調査をすると、中国や湾岸諸国やヨーロッパの資本ではなく、「超南米企業TLC(Trans-Latino Companies)」とも呼ぶべき姿が浮かび上がってくる。アルゼンチンがブラジル、ブラジルがパラグアイ、チリが、、、、といったダイナミックなプロセスが発生している。つまり、国境を越えた資本蓄積のプロセスが展開されているのである。

伝統的なストーリーに対し、資本こそが自然資源を搾取しているのではないかという挑戦が投げかけられている。これは、活動や調査をする上での重要な視点である。帝国主義諸国やそれらの強国の企業のみではなく、中所得国や企業が重要な役割をしているのである。カンボジアやラオスで土地を集積しているのは、中国ではなくベトナム人なのである。

これらのことは、活動家に困難を投げかける。ベトナム企業の問題にどうやって取り組むのか活動家は分からないからだ。これらの企業には会社のロゴもない。不可視化された活動である以上、どのように取り組むべきか。日本やオランダ企業が投資しているとなればできる活動が、ここでは不可能となる。しかし、これこそが今広がっている現象である。このような状態で、グローバルなガバナンスの原則や道具(透明性、規範、行動原則)は、これらの新しいタイプの投資家やホスト国でどのように機能させうるのか?難しいチャレンジである。

このようなタイプの投資は、日常的な形態の土地集積の大規模な拡散を生じさせている。そして、農村地域に侵入し、農民社会を死なせていっている。このような状況は、古い手法ではあるものの社会正義志向の土地政策、例えば「土地取引の上限を法で定める」ことを必要とする。しかし、これは主流派が最も嫌うものである。

8.3. 労働移動を追跡する
地域内における土地志向の資金フローを追跡することと、セクターや国境を超える多元的な労働移動を追跡することは別々のことである点は重要である。

再び中国南部の広西自治区。近年、中国の内陸部でも労賃が上昇し、中国人はもはやサトウキビの収穫したくない。そのため、8万人のベトナム人が国境を超えてサトウキビを収穫するために季節労働にやって来る。極めて低い賃金で酷い労働環境にもかかわらずである。元々、このような労働形態は、ブラジルで行われていたものである。同国の北東部の貧困者が何万人と毎年移動して農業の季節労働を行い、収穫期が終わると戻って行く。この労働形態が世界の他の地域に拡散しているのである。

9. 「チェーンのチェーン=ウェブ」として捉える:「フレックス・クロップ」

9.1. 「フレックス・クロップ」とは?
ここで強調したいのは点は次の点である。我々が、土地収奪のプロセスや地域資源の持ち出し、資源から派生する利害関係を追いかける時、大抵食料生産やバイオ燃料生産に関心を寄せる。それはそうあるべきある一方で、違うと言わなければならない。なぜなら、現代世界においてこのことを考える際には、関わりの全てを考察しなければならないからである。我々は、これを「フレックス・クロップ(Flex crop)」と呼び、捉えようとしてきた。

伝統的に、企業はフレックスな作物、一次産品の多様な利用方法に関心を寄せてきた。しかし、気候変動の現代という時代において、これは課題と政策が絡み合いながら連携し合い、商業的な意味を持つようになった。これは、技術革新によるものでもある。つまり、フレックスの可能性が広がったのだ。サトウキビは砂糖だけでなくエタノールにもなる。パーム油もい同様で、この典型である。工業的価値の高い食料・餌・燃料(Food, Feed, Fuel) に変貌を遂げたのである。

9.2. 「チェーンのチェーン=バリューウェブ」として捉える
この結果何が生まれたかというと、よくバリューチェーンといわれるが、「チェーンのチェーン(Chain of chains)」つまり「バリューウェブ(網の目、Web)」が生み出されたのである。企業は、その時に食用油の方が価格が高いとなれば、食用油としてパーム油を売る。バイオディーゼルにした方が高いとなればそのようにして売る。これは、活動家にとって難しい課題を投げかける。

例えば、ヨーロッパでパーム油の問題をバイオディーゼル問題としてのみ闘おうとすると困難に直面する。なぜなら、インドネシアは「バイオディーゼルなんてそれほど輸出していない」と反論できるからだ。実際にそうだ。インドネシアから輸入しているパーム油は食用油としてのそれである。それはバイオディーゼルとしての輸入ではないからだ。しかし、食用油として輸入されたものが、一夜のうちにバイオディーゼルに加工されることもある。これを、「バイオディーゼル・コンプレックス」と呼ぶ。

このような事態は、ガバナンスを考える時により複雑になる。活動家が従来型のシングル・チェーンに焦点を当てすぎる現状は、活動に限界を生み出す。チェーンのチェーンに焦点を当てる、つまり「バリューウェブ」として捉える必要がある。

10. 予備的な結論として

10.1. 相互作用を主要分析対象とする:現代世界における資本蓄積の意味・チャレンジ
このような絡み合いは今まで調査されてこなかったわけではないが、背景(文脈)として扱われてきたにすぎない。多くの論文で、これらの点は2、3パラグラフ程度の言及で終わり、すぐにケーススタディが後に続くという形式であった。それはそれで良いのだが、これを調査研究の主要な分析対象と位置づけ直せば、違ったものが見えてくる。つまり、現代世界における資本蓄積の意味とは何か、そしてそれはどのように統治可能なのかという問いが立ち上ってくるのである。それは、研究者であれ、活動家であれ、同様である。

10.2. 資本をど真ん中に置き、関係性を見る
資本は利益が生み出せる場であればどこでもいく。これは単純なことで、資本というものは拡大再生産ができるところがあればそこにいくものなのだ。これまでは、強国・帝国主義国が貧しくガバナンスの弱い国に行くという言説が主流であった。しかし、今起きていることは、相互関係の中で互いが浸透し合う形であらゆる現象が生じているということ。資本(キャピタル)のロジックを使って分析をしなければならない。検討のど真ん中に資本を置き、それをめぐる関係性をみていくことを念頭において分析をする必要に、ますます迫られていくだろう。

10.3. 実現しなかったが変わった社会関係
当初報告されていた巨大土地取引の多くは実現しなかった。マダガスカルでの130万ヘクタールの土地取引も実現しなかった。プロサバンナも同様の部分と未だ分からない部分がある。Procanaの3万ヘクタールの事業はキャンセルされた。なぜなら企業は資金を集められなかったからである。マレーシア企業が行おうとしていたフィリピンでの150万ヘクタールの事業も同様である。

このように実現しなかった土地取引は、現地の社会関係や社会に対して何も変えなかったと言われることもある。しかし、これは事実ではない。ProCanaは事業としてはストップしたが、何も変えなかったわけではない。社会関係を深刻に再構成してしまった。結局、ブルド―ザーは3万ヘクタールを真っ平らにしてしまったのだ。人びとはすでに土地から追い出された。

10.4. 「何も起きていない」ものを統治するチャレンジ

レーダーの下で起きている現象は、何も起こってないようだが、実際には見えないところで何か深いことが起こっている。共存できなかった何かが起こっている。では、このように見えないものをどうやって統治するのか?見えるものであれば統治を試みることができる。だから象徴的なケースというのは何かアクションを起こしうる。一方、外から何も見えないにもかかわらず、深いところで何かが起こっているという時、これをどうやったら統治可能なのか。過去5年の間に起きていることは、複雑で、古くて新しい現象といえる。

10.5. 貧しい人たちのために仕事をするというバイヤス
今重要なのは、厳密で科学的かつ学術的な仕事で、現地の人びとの政治的イニシアティブを支援することに根ざしたもの。世界的現象をどう多様に(再)解釈するかに貢献するだけでは十分ではない。より拡大された社会正義のために世界を変えていこうとする仕事が求められている。勿論、最も簡単なのは、現地調査をして解釈をしてただその成果を出版すること。その出版物が高い引用件数を誇り、10年がんばれば、もう頑張らなくていいポジションが得られる。それは皆がやろうとすることで、ある種容易である。我々は、解釈に留まらず、実際に変化をもたらす仕事をしなければならない。そして、ただ変えるだけでもいけない。変化は、貧しい人たちの持続可能な暮らしをもたらすようなものでなくてはならない。このようなバイヤスを持って調査・活動をすべきと考える。

一方、現地も含め、活動やキャンペーンをするのであれば、十分な理解と知識を得なくてはならない。ただ議論するだけでは足りない。また、学者と活動家は二項対立的な関係で捉えられることが多い。しかし、本来対立関係である必要はなく、もっと相互に妥当性を持ち、接近しなければならない。現在の世界的現象——つまりグローバルなエンクロージャー(土地の囲い込み)ーを解決し、もう一つの世界を実現するには、客観・主観のアライアンスが不可欠である。学者が活動家と話したくないとしても大丈夫。彼らの仕事が活動を下支えすることもある。仲間でなくとも、たとえ敵同士であって。議論の空間とプラットフォームをもっと広げていかなければならない。

11. 最後に

11.1. セクターを超えたアプローチに収斂させる
土地問題活動家であろうと、環境正義活動家であろうと、セクターを超えて収斂させるべき。今は気候変動が切り離せないほど絡み合っている。分離したアプローチは何も達成できない。食料に関する議論もまた気候変動と絡んでくる。これはチャレンジである。

11.2. 複雑化する階級・アイデンティティの政治を乗り越える
複雑な階級、アイデンティティ政治を乗り越える必要がある。労働問題は、土地や農民問題と通常は同じように扱えない。ブラジルの運動は極めて稀なケース。MST(土地なし労働者運動)と労働組合とが一緒に運動を率いるというのは珍しいことである。これは、異なる階級同士の協働である。

このような事例は、伝統的な半球同士の連帯—つまり南北・南南——にも問いを投げかける。日本はかつて貧しい国々に対して「お兄さん、お姉さん」として振る舞った。世界的の課題への贖罪意識があった。連帯に基づいてこれを乗り越えようとした。勿論これは日本の社会の伝統として重要であるが、今の収斂された世界においてはこれでは足りない。なぜなら、あなたの課題は私の課題となったからである。また逆もしかり。あなたがどこの何者であろうとも、インタナーショナルなアジェンダと連動するしかない時代になったのだ。これは、学者であっても活動家であっても同様である。

以上から、冒頭見せた収斂していくべき5点を再度紹介して終わりとしたい。

(i) 気候正義、農地/農民正義、労働正義、アドボカシー活動などの異なるセクターの超越
(ii) より幅広く、より複合的で、かつ多元的なアイデンティティの政治と政治的連携
(iii) 半球間の分断 (南北/南南)を超え、より大きな国際的なアジェンダとアクションのためのプラットフォームづくり
(iv) より大胆に政治化され歴史化された見方の奨励
(v) 客観的・主観的でラディカルな活動とプログレッシブな学術サークル構築
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by africa_class | 2016-03-30 00:23 | 【考】土地争奪・プロサバンナ問題

今世界で「開発」をめぐって起きていること:人びとから奪われる土地・資源・暮らし・命

昨夜、ベルタさんの団体COPINHのNelson Garciaさんが殺されたとの一報が入ってきて、なかなか眠れない一夜となりました。(3/16)

http://www.telesurtv.net/english/news/Another-Member-of-Berta-Caceres-Group-Assassinated-in-Honduras-20160315-0049.html

ただ、オランダのFMOはダム建設への資金を緊急に止める発表を昨日行いました。勿論、未だ安心できません。(3/17)

FMO suspends all activities in Honduras effectiveimmediately

https://www.fmo.nl/k/n1771/news/view/28133/20819/fmo-suspends-all-activities-in-honduras-effective-immediately.html


日本語の署名文があるとATTAC Japanさんに教えてもらいました(多謝!)。どうぞこちらで内容を確認の上ご署名(団体)下さい。

http://www.labornetjp.org/news/2016/1457748899671staff01


日本では話題になることすらない中米の小国ホンジュラスで起きた先住民族の環境・人権活動家の殺害事件。しかし、今この件は、現在開催中の国連人権理事会(UNHRC)でも話題になっているものです。

国連あるいは国連人権理事会では、先住民族の権利が長年にわたって議論されてきて、先住民族に関する合意文書が総会で採択されるほどになっており、現在は「農民と農村労働者の権利」について具体的な条文の内容が議論されているところです。その最中におきた事件とあって、世界的な抗議アクションが様々に繰り広げられているのですが、日本語ではほとんど話題になっていないので、このブログでまず初歩的な情報を共有しておきます。

なお、今回殺害されたホンジュラスのベルタ・カセレス(Berta Cáceres)さんの事件は象徴的な事件ではありますが、実は2002年から現在までのたった14年間で少なくとも千人近くの環境や土地を守る活動家が殺されているのです。しかも、この傾向は強まっています。


TNI(Transnational Institute、在アムステルダムの国際機関)からベルタさんの写真を頂きましたので掲載します。

a0133563_16545382.jpg
TNIなど多くの国際団体が、この件で国際署名を集めています。是非、日本の団体も以下の国際声明に署名団体として参加して下さい。(個人の署名ではなく団体署名を集めています。締切はないそうです)
「International condemnation of the murder of indigenous leader Berta Cáceres in Honduras」
https://www.tni.org/en/article/international-condemnation-of-the-murder-of-indigenous-leader-berta-caceres-in-honduras

TNIは、この分野で大変重要な役割を果たしてきたのですが、日本ではあまり知られていない国際機関かもしれません。"TNI's Mission:TNI envisions a world of peace, equity and democracy on a sustainable planet brought about and sustained by an informed and engaged citizenry." (*今後日本との関係を強化したいそうなので、また別途紹介します。インターンをしたい人[無給]がいたら私に連絡下さい。)また、この分野の重要な国際団体として日本に知られていない団体としては、FIAN Internationalもあります。両団体ともこの分野の国連の動きにかなりコミットしているのですが、これらについてはまた紹介しますね。

さて、この件はホンジュラス、あるいはベルタさんの事件に留まらない、私たちの暮らし・国のあり方(政策・投資・援助・政治)にも直結しているので、5度目の3月11日を迎えたの今、じっくり共に考えて頂ければと思います。まず、英国ガーディアンの記事が一番まとまっているのでそれを紹介します。

==ガーディアン(2016年3月4日)=========

ベルタ・カセレス(Berta Cáceres)はここ10年間に殺された数百人の土地収奪への抗議者の一人となる:2015年は土地を守ろうと闘う環境活動家(その多くが先住民族)が歴史上最も多く殺された年となる。

http://www.theguardian.com/environment/2016/mar/04/berta-caceres-environmental-activists-murdered-global?CMP=twt_gu

ホンジュラスの活動家であるベルタ・カセレスが木曜日に殺された。2002年から少なくとも1000人以上が殺され続けている環境と土地を守ろうとする抗議者の一人として。NGOのグローバル・ウィットネスは、2015年はもっとも殺された人数が多い年になるだろうと公表した。

ベルタ・カセレスを思い出そう。

「私は人権闘士であり、絶対に諦めない」

グローバル・ウィットネスによると、2014年に世界中で週に2名の割合で、鉱山開発・水力発電ダム・違法罰しに関わる紛争で殺人事件があったという。そして、その4分の3が南米で失われた命だった。

グローバル・ウィットネスのビリー・カイテ(Billy Kyte)は次のように述べた。「我々は、土地や天然資源をめぐる収奪合戦の盛り上がりを目の当たりにしている。つまり、より多くの企業が先住民族の暮らす土地を目指してどんどん侵入を続けている。

中でも、ホンジュラスは開発プロジェクトに対して抗議するには、世界で最も危ないところであり、2010年から14年までの4年間で実に101人以上が殺害される結果となった。
==========================

この報告書を書いた国際NGO・Global Witness(グローバル・ウィットネス)は、「紛争ダイヤモンド」「紛争木材」の問題に世界に先駆けて取り組んできた団体で、アフリカ諸国における「資源の呪い」に起因するガバナンス問題などにも積極的に取り組んできました。

そして、2015年に発表された「How Many More?」(後何人殺されたら?)が示した衝撃的なデータは、世界に驚きと懸念を呼び起こしました。つまり、「2014年時点で、少なくとも116人の環境活動家が世界中で殺されており、その数はその年に殺されたジャーナリスト数の二倍であり、その40%が先住民族であった」というものでした。その殺人の多くが遠方のコミュニティで起こっており、ほとんど知られず調査もされないままだといいます。
https://www.globalwitness.org/en/campaigns/environmental-activists/how-many-more/
しかも、2015年はその2014年を超える数になるというのです。
以下、Global Witness 2015の地図。
a0133563_03513604.jpg
同報告書は、殺人だけでなく、所謂「開発」と呼ばれるプロジェクトに抗議をする人たちに対する脅迫・攻撃・犯罪などの暴力や弾圧のグローバルな傾向を分析しています。また、これらの環境・人権活動家らが、「国家の敵」や「テロリスト」として描写され糾弾され、裁判にかけられつつある危惧される傾向についても指摘しています。

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by africa_class | 2016-03-12 03:44 | 【考】土地争奪・プロサバンナ問題

【案内】グローバル化における社会正義と研究者/グローバルな農地収奪と規制レジーム

グローバル・レジューム転換の第一線で大活躍のジュン・ボラス先生が、2月21日開催の京都国際シンポジウム(二つ目の案内をご覧下さい)のために、日本にいらっしゃいます。この機会に、以下のようなイベントが東京大学でも開催されます。こんな貴重な機会は滅多に(二度と?)ないかもしれないので、いずれのイベントもぜひお見逃しなく!

私も、先生に同行して帰国します。


(転載・転送歓迎)
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【サトゥルニーノ・ジュン・ボラスISS[社会科学国際研究所]教授講演会】
グローバル化における社会正義と研究者-南と南、南と北、運動と研究を繋ぎ続けて-

http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-185.html
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【日時】2016年2月20日(土)13時〜15時
【場所】東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム1
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_17_j.html
【使用言語】英語
【参加人数】60名
【参加方法】2月18日(木)正午迄に、下記のサイトでお申込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/b05ea46d411961
お名前、 ご所属、ご連絡先(メールアドレス)、ご要望等をご記入下さい。
【参 加 費】500円(資料代 *学生無料)
【主催】
・「有機農業とコミュニティの進化」(科研代表:中西徹、科学研究費補助金・基盤研究(B))
・ 「グロー バル土地収奪下における持続可能な地域発展のためのアフリカ小農主体の国際共同調査研究」プロジェクト(代表者:大林稔、助成:トヨタ財団研 究助成プログラム)
【共 催】
モザンビーク開発を考える市民の会、国際開発学会社会連携委員会
【式次第】
(1) 趣旨説明  受田宏之(東京大学教授)
(2) 講演 サトゥルニーノ・ジュン・ボラス(ISS教授)
“Land politics, agrarian movements, and scholar-activist work, then and now: limits, possibilities & challenges”
「土地政治、農民運動、学者=活動家と してのこれまでの活動:限界と可能性、 そして挑 戦」
(3) ディスカッサント 
清水奈名子(宇都宮大学准教授 / 日本平和学会理事/ 福島原発震災に関する研究フォーラム・メンバー)
舩田ク ラーセンさやか(明治学院大学国際平和研究所研究員/ 元東京外国語大学准教授)
(4) オープンディスカッション
(5) 閉会挨拶  佐藤寛(国際開発学会前会長)

【研究会趣旨】
今回来日されるサトゥルニーノ・ジュン・ボラス(Borras)教授は、食と農をめぐる議論・運動の世界的第一人者であり、「フードレジーム論」「食料主権」「土地収奪(ラ ンドグラブ)を含む土地問題」「小農運動の抵抗」といった国際理論の最前線で、多様な役割を果たしてきました。アジア・アフリカでの実証調査をもとにその成果を理論化しつつ社会に還元する一方、世界大で 運動と研究、教育、実務を繋ぐ数々のシンポジウム・集会や出版活動を企画するなど、その検証力、構想力、フットワークとネットワークには目を見張るものがあります。

ボラス教授は、自他ともに認める「Scholar=Activist(学 者= 活動家)」であり、「Activist-Scholarship(活動家—学者 的営み)」という言葉を掲げ、世界の貧困者・小農の側に立場を置いて活動を繋いでこられました。現在オランダ・ハーグの社会科学国際研究所(ISS)で 農 地・農民研究を教える一方、数多くの国際学術ジャーナルや出版企画に携わっています。この原点は、1980年代から関わり続けるフィリピンや世界の農村での社会運動への深い関与 があ り、1900年代には国際小農運動であるビア・カンペシーナ(La Via Campesina)の設立に尽力しています。

今回、ボラス教授をお迎えして講演会とラウンドテーブル(円卓会議)を開催する理由は、原発事故後の日本においてこそ、先生 の提唱する「活動家—学者的営み/学者=活動家」という生き方について知り、学ぶ機会があればと考えたためでした。

2011年3月11日の東日本大震災とそれに引き続いて起きた原発事故は、日本に暮らす多 くの人びとにこれまでの「常識」を問い直す契機となりました。

「客 観性」「中立」「第三者」といったポジショニングを重視する日本学術界に対し、あえて「活動家としての主観的自分」にポジションを置 きながら、「実証性」「厳密さ」「公正さ」「批判性」「主権/当事 者 性」をもとに研究・教育・社会活動を行うボラス教授から、原発事故後の日本の研究者が学べる点は多いと考えます。また、日本の市民や運動 の担い手も、先生の越境的活動を通じて、どのように研究者や世界との結びつきを創造し、共によりよい未来を紡いでいけるのか、ヒントが得られることと思います。

鋭い批判的精神を持ちながら、常に笑顔と優しさ、ウィットを絶やさない先生のお人柄に、一人でも多くの方に触れて頂く機会となれば幸いです。

主催者一同

* なお、ボラス教授は、翌2月21日に 「京 都国際シンポジウム:グ ローバルな農地収奪と規制レジーム~日本と極東の視点から~」にて、「土地収奪」 に関する研究発表を行われます。是非、あわせてご参加下さい。詳細→http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-186.html

【略歴】Saturnino Jun Borras(サトゥルニーノ・ジュン・ボラス)教授
フィ リピ ン出身。オランダ・ハーグの社会科学国際研究所(International Institute of Social Studies:ISS、エラスムス大学ロッテルダム校)教 授。中国農業大学(北京)兼任教授。Journal of Peasant Studiesの創刊者であり編集長としても活躍。

国際的な土地問題政策に関するネットワークLand Deal Politics Initiatives (LDPI)の共 同 コーディネイターを務めるとともに、次の国際学術ジャーナルや出版企画の編集に携わる。Journal of Peasants Studies、Canadian Journal of Development Studies、Journal of Agrarian Change、Alternatives Sud、Routledge-ISS Book Series on Rural Livelihoods、Routledge Critical Agrarian Studies Book Serie、ICAS (Fernwoood) Book Series: Agrarian Change and Peasant Studies。

ジャー ナル論文:
・Borras, S.M., Franco, J.C., Isakson, R., Levidow, L. & Vervest, P. (2015). The rise of flex crops and commodities: implications for research. Journal of Peasant Studies.
・Edelman, M., Baviskar, A., Borras, S.M., Kandiyoti, D., Holt-Gimenez, E., Weis, T. & Wolford, W. (2015). Introduction: critical perspectives on food sovereignty. Journal of Peasant Studies, 41 (3).
・Borras, S.M., Franco, J.C. & Monsalve, S. (2015). Land and food sovereignty. Third World Quarterly, 36 (4).
本:
・Edelman, M. & Borras, S.M. (2015). Political Dynamics of Transnational Agrarian Movements (book for release in late 2015). Halifax: Fernwood.
・Borras, S.M. (2008). Competing Views and Strategies on Agrarian Reform ¿ volume 1: International Perspective. Honolulu, Manila: University of Hawaii Press, Ateneo de Manila University Press. Winner, National Book Award (Social Sciences), Philippines, 2009.
・Borras, S.M. (2007). Pro-Poor Land Reform: A Critique. Ottawa, Canada: University of Ottawa Press.



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by africa_class | 2016-01-16 07:16 | 【記録】講演・研究会・原稿