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【緊急声明】プロサバンナ/JICAに関するナンプーラ州市民社会プラットフォームの声明(かなりショック)

既に「モザンビーク開発を考える市民の会」のブログでも紹介されていますが、転載しておきます。正直なところ、日本の援助史上でも、前代未聞な深刻な事態だと思うのですが・・・。こんなに繰り返し、対象地や全国の市民組織や農民組織に抗議された援助案件も珍しいと思うのですが、あるいは「よくあること」なのでしょうか?

多分、日本ではモザンビークが知られておらず、誤解されているかもしれません。つまり、モザンビークの農民や市民社会にとって「抗議声明」は普通のことで、「表現の自由」が確保されている・・・と。とんでもない!独立から一貫して同じ政権・文化社会風習的に、モザンビークでこのような抗議声明が出されること、多くの市民社会組織がしかも名を連ねることは、例外中の例外です。一応、私の専門はモザンビークの政治変動なのですが、「まったく例がない」です。このような声明を出すプロセスでも、出した後も、悲鳴のような声がモザンビークから届いています。それでも、彼らは声明を出す勇気を持ち、出し続けなければならないほどの状況に追い込まれているのです。

そのことをどうか、JICAや外務省の皆さん、コンサルタントの皆さん、胸に刻み込んで下さい。軽々しく出しているとか、「また出た」という類のものでは、少なくともモザンビークの政治状況、歴史的背景においては、妥当な理解ではありません。

彼らの指摘はいずれも、胸が痛くなるものです。これほど明確なモザンビークの農民組織や市民社会の反対や抗議を無視して、このまま突破していくつもりなんでしょうか・・・。そうでないと思いたいです。ここに書かれている通り、一旦停止し、抜本的に見直す、特に家族農業支援のための国家計画を中心に据えた計画とする・・・など、是非実現してほしいです。

それは、小農支援を部分的に取り入れればいいというものではないこと・・・についても十分な理解があると良いのですが。彼らがこの声明や公開書簡に書いていることは、「小農支援をしてほしい」という以前に、「モザンビーク国家の農業政策の中に、99%を超える家族農業を営む農民たちの農業を重視すること(予算を含め)、その計画を農民自らが皆と共に作るプロセスこそを共に推進すること」を求めているのです。

援助とは、一過性のあてにならない気まぐれな外からふってくるものであって、国家政策に何がどう書き込まれるか・・・こそが長い長いこの先の農民の発展、モザンビーク農村の発展において、最も重要なことなのです。

繰り返しの来日でもわかったと思いますが、彼らは、「何もできない農民にもの・技術をあげればそれでいいパターナリスティックな援助のフレーム」そのものを、転換せよとも迫っています。なので、これらの声明の主張を、「小農技術支援をすればいい。それならやっている」と翻訳することは、主権者に対して大変失礼なことであり、傷を深めるだけです。そのことをどうにか理解してほしいと切に願っています。

なお、JICAについて書かれていることは、私たちがモザンビーク北部で繰り返し疑問を投げられたことでもありました。私たちの税金が、このような工作や分断、抑圧を促進することに使われている現実は、本当に哀しみを通り越しています。前にも書きましたが、民主化と平和に逆行する行動を支える援助は、明らかにJICAのあるべき姿とかけ離れていると思うのですが、このまま知らぬ顔で、とにかく既成事実ほしさに続けていくのでしょうか・・・。そんな活動のために、ODA予算はあると思えないのですが。。。

このような事態にあるにもかかわらず、まことしやかに日本の関係者内で囁かれる「現地市民社会や農民組織内・間の闘争」といった趣旨の理解や主張は、以上の点、あるいは以下の声明の中身を読めば妥当性を欠いていることは明らかです。

その「闘争」自体を、ProSAVANA推進者(JICAを含む)が仕掛け、煽ったことについて非難・抗議の声明である・・・ことについて、このような声明が出されても依然理解せず、反省しないとしたら、本当の本当に深刻な事態だと思います。

それにしても、このような繰り返され悪化し続ける「プロサバンナに関する構造」・・・自らの責任を引き受けることなく、依然「現地の市民社会の問題」に問題を押し続ける構造・・・・こそが、彼らの怒りと哀しみを増長していることに、もはや気づくこともできないほど、日本の援助はおかしくなってしまったのでしょうか。。。

現地の人達は鋭いまなざしで為政者ら、援助者らの一挙一動を観察しています。そして、彼らが至った結論が、以下のものである以上、これまでの行動についてやはり見直していく必要があると思うのです。彼らの声明を受け取った時に感じたことは、それでした。

まったく急ぐ理由はありません。
彼らの切実な声に耳を傾け、真摯に対応し、一旦止めて、再度やり直してほしいと切に願っています。
まずは、周りの声はどうであれ、関係者の皆さんは、一人一人、「彼らの書いた言葉」にこそじっくり耳を傾け、じっくり一人ずつ考えてみてください。

国際協力の担い手として、「誰の側に立ち、誰の声に耳を傾け、誰のために努力を注ぎたかったのか」・・・みえてくるはずです。組織が大きく、政策というのは変られない・・・絶望感があると思いますが、私はそれでも、一人一人の自覚と変化が、物事を動かす原点だと思います。

それでも、私は、キング牧師ではないですが、I have a dream....なのです。

===
プロサバンナ事業に関し、JICAから「対話のパートナー」と言われてきたナンプーラ州市民社会プラットフォーム(PPOSC)から声明が届きました。日本語訳とポルトガル語原文を以下掲載します。

日本の市民として非常に残念な結果がたくさん指摘されています。JICAをはじめとする関係者が、真摯に受け止め、これらの要請に応えてくれることを望みます。

■モザンビーク23団体による3か国政府首脳への公開書簡「プロサバンナ事業の緊急停止の要請」(2013年5月28日)
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-27.html
■日本の5団体による緊急声明「プロサバンナ事業の緊急中断と迅速かつ抜本的見直しを」(2013年9月30日)
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-44.html

<=同声明を発表した緊急報告会(9月30日)は以下のサイトでご覧いただけます。
http://www.youtube.com/watch?v=kSNzU32enGg

===============================================
ナンプーラ州市民社会プラットフォーム
公式声明【日本語訳】

ナンプーラ州市民社会プラットフォーム(PPOSC-N)は、市民社会組織(CSO)のイニシアティブ調整メカニズムとして各セクターやテーマ別のネットワークを統合する形で、2009年に設立された。その目的は、官民両セクターのパートナーとのコミュニケーションを容易にし、本州における開発のイニシアティブを達成することである。

ナカラ回廊地域での農業開発を目指したProSAVANA事業の実施は、PPOSC-Nの「天然資源・農業ネットワーク」および「ガバナンス・ネットワーク」に反響を巻き起こしてきた。PPOSC-Nは、最近の同事業にみられる実施ダイナミズム、そして州の農業セクター(行政)関係者による各種の声明といった一連の動きを踏まえ、以下の立場を明確に表明する。なお、これらの声明とは、国営放送TVM(2013年9月17日20時30分放送、2013年9月18日の早朝に再放送)のProSAVANA事業の実施戦略に関するインタビュー/討論(番組)において、農業省ナンプーラ州局長並びにProSAVANAフォーカル・ポイントによってなされた、本州の市民社会の関与についてのものであり、同討論にはUGCナンプーラ支部のコーディネーターも参加した。

a)我々は、ProSAVANA事業に(合意し)調印した国家と政府の長に宛てた「ProSAVANA事業の停止と再考を要請する公開書簡(Carta Aberta Para Deter e Reflectir o ProSAVANA)」がPPOSC-Nのアジェンダの根幹部分を成していることについて再度確認した。同書簡は、ProSAVANA事業の停止と再考、そして家族セクター農業支援へのアプローチの変更を訴えるものであり、我々は依然としてモザンビーク政府からの書簡への回答を待っている状態にある。

b)PPOSC-N、とりわけ公開書簡に署名した市民社会諸組織は、少なくとも現在まで証明されてきた限りにおいて、ProSAVANA事業が農民男女の利益を擁護する方向で、家族農業を促進するプログラムであるとは認めない。むしろ、農民らの生活を悪化させるものであると、この間みてきた。

c)PPOSC-Nは、「全国農民連合(União Nacional dos Camponeses:UNAC)」にモザンビークの農民男女を代表し代弁する正当性があることを認める。なぜなら、UNACは、農民たちの利益を守るための全国でもっとも広範な組織であり、全州に支部が存在するからである。ナンプーラ州には、各郡に農民男女によるアソシエーションのフォーラムやユニオンがあるが、UNACに加盟していてもいなくても、農民の利益を代表するという意味においてそれぞれの組織は正当性を擁している。UNACは、モザンビークにおける農業の発展に関する政策、(国家)戦略、行動に関する討論において、不可欠な組織である。

d)公開書簡に署名したナンプーラの市民社会諸組織は、農民の利益と権利を守るための闘いにおいて、UNACと各郡のフォーラムやユニオンと共にある。この観点から、これら諸組織は、個別的あるいはグローバルな利権のためになされる工作の試みを告発し、そのような工作が農民たちに対して行われることがないよう、助言し、監督し、番人となる正義を有す。

e)PPOSC-Nが、州レベルの農業セクターの代表(政府)との対話を開いた理由は、家族セクター農業の強化に向けた政府のポジションをよりよく理解するためであった。しかし、現在まで、ProSAVANA関係者あるいはナンプーラ州農業局(DPA) とPPOSC-N の間において、ProSAVANA事業を議論するための「技術審議会(Conselho Técnico)」なるものは一つたりとも設置されていない。したがって、DPA / ProSAVANAとPPOSC-Nの間では、何の調印された取り決めも存在しない。既に開催された会議の議事録が、両者によってサインされただけである。これまでPPOSC-Nは、農村と家族農業の発展のための監視に関わる側面を議論し、(関係者らとの)関係の在り方のルールを構築するために、これらの会議に参加してきた。そして、将来において議論すべきポイントについて合意しようとしたが、それは未だ起こっていない。

f)PPOSC-Nは、ProSAVANA推進者らによって進められてきた、モザンビーク市民社会に対する分断、分裂化、弱体化の試みに表される各種の工作活動と脅迫について、遺憾の意を表明する。8月28日および29日にリシンガ市(ニアサ州)で開催されたUNACの北部地域会議(Conferência Regional Norte)には、ProSAVANA推進者らも招待されたが、彼らは同会議への参加以外の目的を推進しようとした。つまり彼らは、いくつかの市民社会組織との会議を(UNAC北部地域会議と)30日にパラレルに開き、そこでProSAVANA事業を議論するためのニアサ州フォーカル・ポイントにこのグループがなることを合意するとの議事録にサインするよう、出席者らに求めた。しかしながら、先に行われた会議(UNAC北部地域会議)において、UNACのメンバーである農民男女は、何度もProSAVANA事業のアプローチに合意しないとの意思を表明し、公開書簡が求めるプロサバンナ事業の緊急停止と再考を求めたのである。

g)前述ポイントと同様の観点において、PPOSC-Nは、JICA(日本の国際協力)が、時に技術者として、時に外交官として、時に相談役として果たす不明瞭で不透明な役割の一方で、我々が目にしてきたように、ProSAVANAナショナル・チームとの関係においてリーダー的な役割を果たしていることを遺憾に思う。そして議論の重要な局面において、個別の動きとして装われ、指導力が発揮されるシニア相談役による役割についても遺憾の意を表明する。

h)PPOSC-N は現在でも、農村開発や家族農業に対する新しいアプローチに関する国のリーダーシップに焦点を当てた議論の最善の方策は対話であると信じている。しかしながら、このテーマ(ProSAVANA)に関し、農民組織や市民社会組織の分断や工作の試みが継続する限り、農民男女の憲法に基づく諸権利を意味のあるものにしていくためには、別の種類の方策を検討しなければならない状況に我々を導くであろう。

i)PPOSC-Nは、モザンビーク農業、農村生活のすべての過程において、女性が果たす重要な役割を認識する。そのため、農業政策や農村を対象としたプログラムにおいて、女性は特別に考慮されなければならない。


ナンプーラ市にて 2013年9月30日
ナンプーラ州市民社会プラットフォーム 声明文

*原文は「More」をご覧ください。

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by africa_class | 2013-10-08 01:28 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

日本の援助(プロサバンナ)と抑圧、言論の自由について考える

現地調査報告概要(ドラフト)にも少し書いたのですが、モザンビークの市民社会や農民組織からは、悲鳴のような声が日々届きます。同国で日本もブラジルと共に援助するプロサバンナ事業に異議を唱えた人達が、プロサバンナ事業関係者らにより、繰り返しの圧力を受けています。

詳細は9月30日の緊急報告会にお越し頂ければ
http://afriqclass.exblog.jp/18634252

その圧力の与え方は直接的なものから間接的なものまで、とってもアカラサマなものから微妙なものまで、多種多様です。モザンビークや日本らしい手法のものも沢山あり、両国を知る者として考えさせられる点が多々あります。

哀しいことに、現地調査「報告記録」には、そのような声が積み上がってしまっています・・・。彼らがこれ以上危険に晒されることを考え、どのように公表するのかについては躊躇がありますが、彼らは「大丈夫。今こそこの不正を世界に知らせて」というので、差しさわりのない程度に列挙しておきます。

というのも、きっと日本の援助関係者はこういうことが現地で起こっていることについて、一部の人を除いて知らないと思われるからです。カウンターパートの政府関係者とだけ話している、あるいは市民社会と表面的にしか付き合いがないと耳にすることもないでしょうから。

それこそが、せっかく去年10月にUNAC(全国農民連盟)が異議を唱えてくれた時に、「ごく一部」「反政府勢力」「農民を代表しない」「こんな立派なポルトガル語をモザンビーク人や農民は書けないから国際NGOの陰謀だ」などといわずに、真摯に耳を傾け、どうしたら良いのか話し合えばよかったのですが・・・。

まだ遅くない、と思います。日本の援助関係者が今表面的な小手先ではなく本当の意味で変われるのであれば、そして抜本的な見直しができるのであれば・・・。ヒトも組織も間違いは冒すものです。私もまた。でも、「批判や教訓を変革の糧にする」ということを肝に銘じれば、変われるはず。まずは、何が起きているのか知って下さい。

「現地社会の異議あるいは疑問がある中で、とにかくプロサバンナを推進する、既成事実化を図る」ということが、いかなる抑圧と分断を現地で引き起こしているかについて、これを機会に是非自覚してほしいと思います。

私には沢山の疑問があります。
日本の国際協力を通してやりたかったのはこういうことだったのでしょうか?農民の支援というのはこういう手法によるものなのでしょうか?異論に丁寧に耳を傾ける努力よりも、なんとか「既成事実」を積み上げるための戦略や活動にばかり努力を注ぎ続けるべきなのでしょうか?

JICAは、いつから「弱い立場の人びと」の側ではなく、抑圧の側に立つ組織になったのでしょうか?国家間の援助の限界がこういう形で出るのであれば、そして援助からtake offする国が急増している以上、今後10年・20年の存在意義は何となるのでしょうか?

JICAは、いつから、現場での人びと共にある地道な信頼醸成活動の積み重ねに最も努力する機関から、大がかりな宣伝本位の事業の体面を保つための「戦略や戦術」にばかりカネを出し奔走する機関になってしまったのでしょうか?

両方やってるよ・・・という声が聞こえてきそうですが、後者が続く限り、現地の人びとにとって前者の評価はとても難しいでしょう。その意味が分からない現場で頑張っているコンサルタントの方多いと耳にしますが、プロサバンナ事業が一方で抑圧を生み出している中で、ある一部分は頑張っているから評価してほしい・・・と思っても、社会的になかなか難しいことなのだと思います。

そもそも、私に疑問なのは、そこまでしてやりたい国際協力とは何だろう・・・という点なのです?
内発的な人びとの努力に寄り添わない援助への批判は90年代に散々行われてきました。今更私がそれをここでふり返る必要もないと思います。

でも、もはや問題は「農民の自発性や内発的発展に資するかどうか」という点をはるかに超えてしまいました。プロサバンナ事業は、それを「何が何でも問題がなかったように取り繕い、推進する」というあらゆる種類の努力によって、その行き過ぎた繰り返しの「圧力」や「活動」によって、モザンビークのもっとも善良で素晴らしい層の人達ーーカネのためではなく自らを犠牲にしてでも底辺の人達の権利と社会の正義と民主主義のために闘う人達ーーを、傷つけ、反発させてしまいました。

プロサバンナ事業は、モザンビーク社会の真の発展に貢献したければ真っ先に仲間として行動すべき人達を、「敵」や「道具」として扱おうとしてしまったのです。そして彼らはそれに気づき、深く傷つき、反発し、不信を抱き、幻滅しています。どうしてこんなことになったのでしょうか?JICAは組織として自覚の上でやっているのでしょうか?あるいは?

これまで私もメールや電話、来日した仲間たちの話でしか「抑圧の実態」を知ることができませんでした。しかし、私だけでなく、今回、一緒に現地調査に行った日本の仲間たちも、自分の目の前でそういう事態を目にしてし、とても危機感をもっています。一援助事業が、現地で人権(言論の自由)侵害を引き起こす事態に、私たちはどうしたらよいのでしょうか?

抑圧を受けた人達を守るため、差しさわりの内範囲で列挙します。時間もないので一部のみですが。

(私や調査団が目撃したもの)
・「私のやることに反対する者には最大限痛い目にあわせてやる」
・「誰がこいつら(外国市民社会)を連れてきたのだ。お前か!」
・「上司が暗殺しろといったらそれに従うお国柄(といって市民社会代表に銃口を象った指で焦点をあてる)」
・「政府のすることに反対というな」「賛成といえ」
・「異論を国外で披露するな」
・「やはりこの公開書簡は外国の陰謀者らによって書かれたんだな。善良なるモザンビークがこんなことを書くわけがないし、農民が書けるわけがない」
*このいくつかはJICA関係者が同席の場で発せられました。内部で共有はあったでしょうか?

(現地での聞き取り、現地からの情報)
・「(プロサバンナ対象地での土地紛争の話をしたら)そんな話をしたら、君たちはどうなるか分かっているのか?」
・「農民組織は排除する。何故なら奴らはプロサバンナに反対するからだ。対話の必要はない」
・組織の上司への圧力と、その上司による圧力(人事担当からの圧力も含む)
・組織に資金提供するドナーを経由した圧力
・密室での会談の要求
・一人だけとのインフォーマルな会談の要求
・市民社会との対話にもかかわらず「個人」をターゲットとしたコミュニケーションのやり取り(個人の携帯への直接的な連絡、一人だけの連絡や名指しの連絡)
・繰り返しのミーティングへの呼び出し
・以上が無理な場合のフォーマルなレターによるミーティングへの呼び出し

ちょっと時間がなくなてきたので、列挙は以上に留めます。
傷害事件とかそういうものじゃないよね・・・という意見の人に尋ねたいのは、日本の援助がそこまでに加担する前になんとかすべきではないのでしょうか?、です。今は選挙前なので、この程度に収まっているのですが、それでもドンドン加速しています。

そこまでして得たい「農民・市民社会の同意」というものを根拠にして進める農業開発援助というのは、何なのでしょうか、という点です。ぜひ、自分の立場や利益、思い入れを脇において、考えてみてください。

国内的にも国際的にも注目が高まっている中、日本政府やJICAの良識と、「ガイドライン」に基づく行動が強く求められています。結局のところ、「組織」というのは「人の集合体」にすぎません。「どうせ変わらない」ではなく、一人一人が変えようとするならば、きっと変えることができるはずです。これ以上の加害に加担せず、過ちを学びに転換すべく、がんばってください。

Transcend(転換)は可能です。詳細は→
http://afriqclass.exblog.jp/i23/

10月に、このTranscendを基本理念としたLukasaをアフリカ・アメリカの専門家や有識者を招いて、日本の仲間たちと開催します。お楽しみに。
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by africa_class | 2013-09-21 18:02 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

【緊急報告会!】9月30日16時~「プロサバンナに関する現地調査報告&緊急声明文発表」@参議院議員会館

お待たせしました。緊急報告会(9月30日(月)16時~17時半)の詳細が決定しました。
締切は28日(土)正午です。座席に限りがあるので急ぎお申込み下さい。

なお、以下関連の過去記事です。
●現地調査写真
http://afriqclass.exblog.jp/18496389/
●現地調査報告概要ドラフト
http://afriqclass.exblog.jp/18496108/
●過去の投稿については以下の引き出しに。
http://afriqclass.exblog.jp/i38/


【転送・転載歓迎】
*********************************************
2013年9月30日(月)16:00~17:30
議員会館内 緊急報告会

日本ODAによるモザンビークの大規模農業開発事業
「プロサバンナ」に関する現地調査報告・緊急声明の発表

http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/activities/ps20130930.html
*********************************************
ザンビーク北部3州 の1400万ヘクタール(日本の耕地面積の3倍)
におよぶ「日本・ブラジル・モザンビーク三角協力によるアフリカ熱
帯サバンナ農業開発計画(略称:プロサバンナ/ProSAVANA)」は
2009年 に合意されました。

しかし、2012年10月、 モザンビーク最大の農民組織(2200組織
加盟)である全国農民連盟(UNAC)がプロサバンナ事業への抗議
声明を世界に向けて発表して以来、多くの現地農民組織・市民団
体および国際的なNGOが、同事業への懸念を表明してきました。
これらの懸念の根幹は、同事業が現地事情や農民・市民社会の
意見をまったく反映しておらず、アグリビジネスによる大規模な土
地収奪(land-grabbing)に道を開くものだという点にありました。

これを受け、日本のNGOや研究者らは、2012年12月 のNGO・
外務省ODA政策協議会を皮切りに、2013年1月より「ProSAVA
NA事業に関するNGO-外務省・JICA意見交換会」を5回 実施し
てきました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/taiwa/kyougikai.html
(*議事要旨は下の「プロサバンナ…」のところをクリック下さい)

2013年2月には、UNACの代表、環境NGOの代表が来日し、議
員会館での学習会、記者会見でプロサバンナ事業への懸念を表
明するとともに、現地住民との対話を日本政府に訴えました。

6月に横浜で開催されたTICAD V(アフリカ開発会議)時には、前
述農民連盟に加え、対象地域(ナンプラー州)の市民社会プラット
フォームの代表が来日し、モザンビークの主要農民・市民・宗教団
体23組織による3か国首脳宛て公開書簡「プロサバンナ事業の緊
急停止」が発表されました。同「公開書簡」は、農民組織代表により
安倍晋三総理に手渡されています。
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/
(*プロサバンナに関する資料、声明などは以上ブログを参照)

以上の事態を受け、日本のNGOや研究者による調査団が8月に
現地を訪問し、農民や政府・援助事業関係者らに聞きとりを行うと
ともに、プロサバンナ事業に関する「(モザンビーク・ブラジル・日本)
3か国市民会議」に参加しました。

同会議にはモザンビークの農業大臣や首相代理も参加し、活発な
やり取りがなされました。また、事業対象3州でプロサバンナ関連
事業の現状、アグリビジネスの進出状況、土地収奪、現地小農の
生産努力に関する調査を実施しました。

現地調査からは、プロサバンナ事業の透明性や説明責任の問題が
大きいこと、マスタープランに関する政府と市民社会の対話が始ま
ったばかりであるのにプラン策定が最終段階にあり、かつ関連事業
が進められ地域社会に混乱を招いていること、アグリビジネスによる
土地収奪が地元農民の生存や生活を脅かしているケースが出てい
ることなどが分かりました。

本報告会では映像も交え、調査結果を報告し、声明を発表します。
ふるってご参加ください。

■日時:2013年9月30日 (月)16:00~17:30 
(質疑応答 17:00~17:30)
■場所:参議院議員会館B107  (入館証70枚まで発行)

【司 会】
津山直子(アフリカ日本協議会理事/動く→動かす代表)

【報 告者】
・ 秋本 陽子(ATTACジャパン)
・ 高橋清貴(日本国際ボランティアセンター)
・ 舩田クラーセンさやか
(東京外国語大学/モザンビーク開発を考える市民の会)
・ 森下麻衣子(オックスファム・ジャパン)
・ 渡辺直子(日本国際ボランティアセンター)

【コ メンテーター】
・ 松本悟(法政大学准教授/メコン・ウオッチ顧問)
・ 若林秀樹(アムネスティ・インターナショナル日本事務局長)

共催:(特活)アフリカ日本協議会、(特活)日本国際ボランティアセンター、
(特活)オックスファム・ジャパン
協力:モザンビーク開発を考える市民の会

■問合せ先 /申し込み先
参加希望の方は、以下を明記の上、9月28日 (土)正午までに
メールもしくはFAXにてお申し込みください。
(FAX:03-3834-6903 /EMAIL: info<@>ajf.gr.jp)
*@マークの<>を削除して送信下さい。
(1) お名前 (2) 当日連絡可能な連絡先 (3)ご所属
※ 当日は、参議院議員会館入口にて入館票をお渡しします。

(特活)アフリカ日本協議会 
電話03-3834-6902/ FAX 03-3834-6903/
Email info<@>ajf.gr.jp  担当:斉藤、津山
http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/activities/ps20130930.html

以上
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by africa_class | 2013-09-18 15:58 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

現地調査写真:アグリビジネス土地収用、森林大規模伐採、地元農民との生産競合、農民間交流成果

●現地調査報告概要ドラフトの文章は先ほどの投稿をご覧ください。
http://afriqclass.exblog.jp/18496108/
写真は、同ドラフトにつけていたものと、追加分です。
●また、「日本・ブラジル・モザンビーク三角協力による熱帯サバンナ農業開発プログラム(プロサバンナ)」に関する世界的な言論空間での状況については以下の通り
http://afriqclass.exblog.jp/18492008/
●過去の投稿については以下の引き出しに。
http://afriqclass.exblog.jp/i38/

ドラフト概要では、地元農民とアグリビジネスの生産物の競合について書くことができなかったのですが、本報告にはこれを書きます。以下、その点についての写真を追加しています。いずれも、プロサバンナ対象の19郡での調査です。なお、現地が緊迫している状況なので、調査地名・企業名を伏せています。

なお、ヘクタールの単位がなかなかイメージしずらいのですが、以下のザンベジアに進出している会社が収用した3000haとは「山手線の内側の面積の半分ぐらい」だそうです(要チェックですが)。
*なおここ数年でモザンビークが外国投資によって手放した土地面積は2万ヘクタールではなく、色々な数字があるのですが「少なくとも2百万ヘクタール」で誤記しました。失礼!。フランス面積の比喩はBBCの記事からなのですが、アフリカ全体のland dealの規模でした。ごめんなさい~!

以下の通り、モザンビークがここ数年で手放した土地面積をLand Matrix最新データに基づくと、日本の全耕地面積(425万ヘクタール)に限りなく近づいています。マラウイの耕地面積(360ha)を超え、ポルトガルやオランダの耕地面積(109haと104ha)の3倍以上ですね。

・世銀の報告書(2009年:xxxii):2.7百万ヘクタール(2004年~2009年)
・GRAINの報告書(2012年:主要な取り引きの合計):1,583,149ha(2006年~11年)
http://www.grain.org/article/entries/4479-grain-releases-data-set-with-over-400-global-land-grabs
・Land Matrixの2013年度の現時点で土地使用権が確保さた69件の取引の面積合計:3,880,460ha(手計算なので、後で計算し直します。どなたかチェックされたら教えて下さい)
http://landmatrix.org/get-the-detail/by-target-country/mozambique/

Land Matrixの最新のものが、実際にDUAT(使用権)まで得ている数字なので「最低ライン」はこれで良いと思いますが、そのLand Matrixの統計にも「詳細不明」な取り引きが沢山出てきます。また、表に出てこないものもあるので、実際はこれより大きな面積が収用されていると思われます。

なお、この企業は、農地をあきらめた農民に1ヘクタールあたり500meticais (20ドル以下1800円ぐらい?)しか提供しませんでした。新しい農地も準備せず。モザンビーク小農の平均耕作地は1.4ヘクタールですので、いかにこの「補償」が少ないか分かるかと思います。企業の進出にあたっての住民との協議の際には、「十分な補償をする。補償しても農地は準備する」といっていたそうです。

なお、この500mtですが、メイズ1袋が80~100mtなので、5~6.2袋分。一家の1年間の消費分にもなりません。そして、一番下の写真に売っているお母さん、ラッカセイを売っただけ(ごく一部)ですぐに手にできたお金です。

なお、会議でも言われていたことですが、「政府の農業政策や計画、キャンペーンでうまくいったものが一つでもあれば教えてくれ」と詰め寄られ、政府代表はまったく答えられなかったことが印象に残りました。が、実は、これは農村でも繰り返し農民から述べられた点でもあります。農民たちは「政府の新しい事業に疲れて」、なので確実にローカルで売ることができる食料生産に回帰しているということでした。

また重要なのは、「土地を選ぶ目」だと繰り返し耳にしました。そうやって肥沃な土地を選んで作付してきたところにこそ、企業が入り込んでいるor入り込もうとしちれうという現状こそが、「土地を巡る争い」の根幹にあると思います。土地・水に関する多様な情報が、プロサバンナについても蓄積されていますが、これらは地元農民にではなく、投資側に提供されるものであって、地元農民は長年の経験から土地を見つけ出しているというのに、そこに上から「投資」が降ってくる・・・・という構図が出来上がりつつあります。


【写真1-1】2013年8月8日 プロサバンナに関する3か国市民社会会議の様子
パシェコ農業大臣の挨拶の後、ProSAVANAに関して説明する首相代理(国家計画局長)
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*この後、農民や市民社会から沢山の質問と疑問が提示され、結局会議は午前9時から午後8時近くまで続いた。日本とブラジルの在外公館、JICAやABCにも、プロサバンナについて発表する時間と席が設けられたが、代理も含め誰も出席せず。その「対話」姿勢について、モザンビーク社会を落胆させました。

公的な理由は「招待が遅れたから」。でも首相代理や農業大臣ですら出席していた上に、10時間に亘る会議。どれかのタイミングで代理が聴きに来ることは可能だったはず。1年前の地元研究所の学会には、3名ほどの大使館スタッフやJICA関係者が交代で聴きに来ていた。それぐらい「興味がない」ということなのでしょうか。あるいは他の理由が?でもその結果はかなり心象を悪くしてしまったのは、本当に残念。批判に喜んで耳を傾ける政府・JICAに脱皮を期待したいです。あるいはモ国政府が阻んだのでしょうか?聞いたら「違う」といっていましたが。

【写真2-1】ザンベジア州G郡 大豆プランテーション(一部メイズも生産) 
アグリビジネス企業により3000haが開墾。収穫後の様子。
(住民との間で土地問題有。地平線まで続くプランテーション。大規模に森林を伐採)
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実際にど真ん中に立ってみての感想は「大クレーターか惑星に来たみたい」・・・。ビデオも録ったので、いずれ動画でご覧下さい。といっても、これ1000ヘクタール分に「すぎ」ません。

【写真2-2】プランテーションの入口の風景。伐採を免れた森が左に見える。
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【写真2-3】写真2-2で数メートルだけ残された森の中の様子(背後にコミュニティ)
*コミュニティのすぐそばなので薪に切られた様子が確認。そのため、実際に「開墾」のために大規模伐採された森よりも木はまばら。
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【写真2-4】同じコミュニティの穀物庫&製粉所
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【写真2-5】200袋のメイズが積み上がっている。企業はすべて自家生産分を売却済みだが、コミュニティと同じものを生産しているため競合が生まれている。買い取り手を待ったままのメイズ。
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【写真3-1】ニアサ州B郡 ブラジル人による大豆プランテーション500ha
(地元住民との間で約束不履行や労働問題・森林伐採あり 奥の山の麓に元の森林の様子)
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【写真3-2】ニアサ州B郡【写真2】のすぐそばの地元農民の畑(収穫後)1.5ha 
(事例)機械も肥料も農薬も使わず。種は自家採取。子どもはなく夫婦だけで手作業。
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【写真3-3】上記の農民夫婦の今季の収穫の一部(写真はゴマ、ラッカセイ。この他、メイズ、キャッサバ、サツマイモ、野菜を栽培 *十分以上の余剰をローカル市場へ)
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【写真4-1】UPCN(ニアサ州農民連盟*UNAC下部組織)のデモストレーション畑
2006年からブラジルのMST(土地なし農民運動)の有機農業の営農者との農民交流で学んだ手法を地元農民同士で普及。写真はニアサ州農民連盟副代表。自身が農民で普及員。
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【写真4-2】UPCN=MST身近なものを活かしたたい肥作りのデモストレーション
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JICAが思い付く前に、すでにブラジルとモザンビークの農民運動同士で相互扶助は始まっていたのです。そして、これは皆が強調していたことですが、政府のエクステンションを期待しても仕方ない、と。彼らは農民のそばにいないし、農民のメンタリティやニーズも分からないし、何より自分で耕した経験のある人というわけではない。農民同士の方が確実に学べる。だからこそ、農民が普及員として機能することが何より大切・・・という言葉は非常に重要だと思いました。
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by africa_class | 2013-09-03 19:48 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

【現地調査報告概要ドラフト】プロサバンナ・同対象地域に関する調査報告&要請内容

以下の現地調査報告概要ドラフト(私の)について「参考資料」ということで、NGOから外務省・JICAの関係各位に送付されましたので、皆さんにも公開いたします。あくまでも私の「ドラフト」ということなので、その点予めよろしくお願いいたします。(引用の際は、後日発表の正式なものをお待ちください)

なお9月末に現地調査報告会を東京で開催する予定です。その際に、詳しい報告書を発表しますので、よろしくお願いいたします。

*末尾に調査結果からの現時点の「要請」内容を列挙しています。
*概要についていた注は末尾に一挙記載しています。
*写真は次のサイトに。

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ProSAVANA並びに対象地域に関するモザンビーク現地調査【報告概要・ドラフト】
*2013年9月2日付


本報告は、日本でプロサバンナに関するNGO・外務省(JICA)との意見交換会(2013年1月~現在まで5回)に出席してきた研究者・NGO関係者ら6名によって行われた、モザンビークでの現地調査(2013年7月~8月)の報告概要ドラフトである。包括的な現地調査報告については、2013年9月末の「現地調査報告会」にて発表予定である。

現地調査の結果、深刻な事態が多く明らかになったため、関係機関に役立ててもらうとともに、調査成果を社会に還元するため、報告概要ドラフトを作成し、これを広く公開する。

1.目的:
(1)全般的なモザンビーク社会の現状の把握
(2) プロサバンナ対象地域(ナカラ回廊沿い)において、農業投資(アグリビジネスの進出)が地域社会や環境にどのような影響を及ぼしているかに関する基礎調査
(3)プロサバンナに関する調査
(ア)地元社会の理解の把握(知っているか、いつ誰によってどのような形で知ったのか、何と理解しているかに関して)
(イ)プロサバンナ関連事業に関する進捗の把握
(ウ)プロサバンナに関する議論の把握
(4)プロサバンナ対象地における地元小農の生産努力と収穫に関する調査

2.期間・対象地域
期間:2013年7月24日~8月18日
対象地域:ニアサ州A郡、B郡、C郡/ ナンプーラ州D郡(PDIF視察先)、E郡、F郡/ザンベジア州G郡

3.手法
【1】3か国市民社会会議、北部での市民社会会議での参与型観察・現地新聞・プロサバンナや土地問題に関する文献等の資料収
【2】プロサバンナ対象地域の農村訪問調査(政府関係者、農民組織、農村住民へのインタビュー、農地の訪問)<*3班に分割>
【3】首都並びにプロサバンナ対象地域の都市部での各種アクターへのインタビュー(政府関係者、市民社会関係者、JICA関係者、農民組織関係者、地元ジャーナリスト・研究者)
【4】ProSAVANA Development Initiative Fundの対象案件のモニタリング(JICA関係者による案内、個別訪問)

4.現地調査結果(総論)*文献調査結果も含む。
現政権(特に第二期ゲブーザ政権 )下で推し進められてきたビジネス・投資を中心とする各種政策・事業(投資、鉱物資源開発、農業)が、社会内での顕著な経済格差や不公正を生み出し、社会のあらゆるレベルにおいて不満の高まりは顕著となっている 。流入する投資の一方で、モザンビークは、2013年度のUNDPの人間開発指数では、2011年より順位を落とし、コンゴ(民)並びにニジェールに次ぎ世界最悪となった 。特に、各種メガ投資/開発事業が、地域資源に頼って生きる農村住民の生活を犠牲する事例が後を絶たず、住民側の抵抗も激化しつつあり、地域によっては外国企業との間で暴力衝突も発生し始めている 。現政権関係者の外国投資や利権と結びついた蓄財・汚職や不正、それを批判する(可能性のある)者への弾圧・脅迫は、さらなる不満を招き、元紛争当事者の元反政府ゲリラ勢力で最大野党のRENAMOの武装化を利する状況となっている 。同国では現在、本年11月の地方都市選挙、来年の大統領・議会選挙を控え、急速に政治情勢が流動化しつつある(以上【1】、【2】、【3】)。なお、2010年に同国は、Freedom Houseによって「選挙民主政国(electoral democracy)リスト116か国」から除外され 、Polity Score Projectも権威主義体制に近い「アノクラシー(anocracy)」に分類を変更した 。

プロサバンナの対象地域であるモザンビーク北部地域では、外国企業による植林ビジネス(ニアサ州・ナンプーラ州)、そしてプロサバンナ合意後の2009年以降(特に同事業が本格化した2011年以降)、大豆生産を狙った(国際企業に留まらない)アグリビジネスの進出(全3州)――具体的には土地を求める動き(land rush)――が加速化し、各地で住民との軋轢が生じている(以上【1】、【2】、【3】) 。

これまでの進出企業の傾向として、住民との協議を軽視したり、協議での約束を履行しない傾向が強く、実質的な意味での土地収奪(land-grabbing)が散見され、コミュニティによっては住民が生産活動のみならず生存が厳しい状態に追い込まれる事態も生じている(ナンプーラ州・ザンベジア州)。これに対し、住民・農民の権利を擁護すべき地元政府は、「世界一農民志向の法律」と高く評価される土地法があるにも拘わらず、投資・企業側に立った対応を行っており、住民は泣き寝入りするしかない状態にある(以上【1】、【2】、【3】)。

全体的に、言論空間の自由度は減少しており(前頁参照)、「政府が連れてきたビジネスや政策・事業(援助を含む)」への不満や異議を表明することは日々難しくなり、身の安全を危惧せざるを得ない現実にあることも明らかになった(以上【3】【4】)。その結果、農民や住民自身が自分の権利を守るための意識向上や自衛手段の確立について、地元農民組織・市民社会組織・宗教組織の対応も後手に回っており、場合によっては政治的・社会的・資金的障害に直面している(以上【2】【3】)。

一方、一部ドナーによって、「農民の権利を守るため」と称し「DUAT土地使用権の登記」がプロサバンナ対象地に対し集中的に行われているが、これが「『現在使われていない土地』への投資誘致」を奨励する政府やドナー、組織によって強力に進められていることもあり、その真の狙いについて危惧する懐疑的な農民や農民・市民組織が多い(以上【1】、【2】、【3】)。ドナーや政府、あるいは一部のNGOの間でも、DUATについて短期的な議論がなされる傾向にあるが、企業へのリースは50年単位で可能となるため、「現在使われていない土地」への将来的な土地圧力は決して低くはない。特に、人口増加率が高いモザンビークでは、今後数十年を見据えた土地政策が不可欠であるが、この観点を含めた国民的論議も始まったばかりである(以上【1】【3】)。

現地調査で面談したモザンビーク政府関係者(主として農業省)やJICA関係者のいずれもが、北部農村地域で生じる土地争奪や紛争について十分な理解や認識を有していなかった。その一方で、同地域では、外国投資・企業や政府関係者による土地獲得競争は激しさを増すばかりで、土地は投機の対象となりつつあり、投資と住民・コミュニティとの争いだけでなく、その希少化が住民間やコミュニティ間の争いを熾烈化しつつある。なお、これらの土地獲得合戦は肥沃(森などを含む)で水源に近く比較的道路に近い土地に集中して行われており、「適地」ほどビジネスと地元農民の衝突が生じている(以上【1】、【2】、【3】)。

政府が奨励する政策や事業(企業投資を含む)への異議申し立ての難しさ、異議や疑問を呈した際の政府からの強烈な圧力の問題については、地元市民社会や研究者から繰り返し指摘があった。明確な異議でなくとも、現地調査を行っただけで弾圧を受ける事態も生じている 。そのような困難の中で、本年5月28日にモザンビーク23団体によって「プロサバンナ緊急停止を求める3か国首脳宛公開書簡 」が発表された意味の大きさについて、深刻に受け止めるべきとの主張がこれらの団体関係者から繰り返しなされた(以上【1】【3】。

当該「公開書簡」について、TICAD V時のJICAサイドイベント(2013年6月2日)において「農民は文盲だから誰か(外国人)が書いた」との「陰謀説」がモザンビーク政府関係者からなされたことについて 、起草に関わった北部の農民や市民社会組織関係者から強い抗議がなされる一方(8月7日)、23団体が団結し継続して3か国政府に返答を求めることが意志表明され、8日の会議の冒頭に農業大臣の出席の下、同書簡全文が読み上げられた(8月8日、以上【1】)。

なお、市民社会(UNAC並びにORAM)主催のプロサバンナに関する3か国民衆と政府との対話会議(”Triangular Conference of People-Mozambique, Brazil and Japan: for detain and a deep reflection on ProSAVANA”)には、招待された日本・ブラジルの大使館・JICA/ABCのいずれからも代理も含めた出席はなく(日本大使館・JICAからは招待が遅れたためとの理由が寄せられたが代理出席もなかった)、この点について主催団体等から強い落胆と不満が表明された。

同会議は、モザンビーク国首相代理の国家計画局長と農業大臣の政府関係者7名、北部3州の農民・市民社会代表20名(主要ターゲット郡を含む)、首都近辺の農民・市民社会関係者、モザンビーク研究者、他ドナー、日本・ブラジル市民社会関係者10名、国内外のジャーナリストあわせて200名近くの出席者を得て、朝9時から午後7時半までの長時間にわたって開催され、モザンビーク政府代表と市民社会・農民の間で活発な議論が行われた。ただし、政府側の表面的な説明の不十分さと(1時間を超える発表であったにもかかわらず)と「プロサバンナは始まっていない。未だコンセプト段階」の説明に、市民社会側から多くの強い疑義が申し立てられた。数時間にわたり出され続けた農民や市民社会の質問や問題提起に対し、モザンビーク政府側(局長レベルが2名)は応答しようとしたが、具体的な内容を把握していないことが明らかになり、返答に窮する場面も見受けられた。

以上諸会議や北部地域での調査、報道内容を踏まえると、全体として、モザンビーク社会においては、プロサバンナ関する議論は始まったばかりで、とても2009年の合意から4年、マスタープラン策定の最終段階(当初2013年10月にリリース予定)にあるとは言い難い状況であることが明らかになった(以上【1】【2】)。プロサバンナ対象地での調査からも、「プロサバンナを聞いたことがある人」が、農村部でほとんどいない現実、聞いたことがある人は都市や郡都の政府関係者にすぎないこと、聞いたことがあってもその中身について矛盾する内容を含む理解しかないことが判明した(以上【2】【3】)。

モザンビーク社会としても、北部地域としても、プロサバンナに関する情報への接触、具体的な中身の議論は始まったばかりであるにも拘わらず、①マスタープラン策定が最終段階にある点、②同プランの中身や策定プロセスが問題視され議論されている最中に、パイロットプロジェクト (ProSAVANA Development Initiative Fund:PDIF)やクイックインパクトプロジェクト(Quick Impact Project:QIP)という北部農村に大きな影響を及ぼす事業が進んでいる現実に、農村住民や市民社会、政府関係者の一部にも強い疑問があることが明らかになった。

また、モザンビークの国家としてのガバナンスや政治情勢の悪化問題、北部地域に流入し続けるアグリビジネスやその他の投資事業が、現地社会や住民生活や環境に及ぼす多大な影響について、プロサバンナ関係者や地元政府が把握しておらず、理解もしていないままに、マスタープラン策定やPilot Project (PDIF)が進められている点が、大きな問題として認識された。

特に、「公開書簡」で一旦停止を要請し返答を待機している段階での6月末以降に、以上PDIF(ファンド)の二次募集が進められたことについて、現地市民社会の間から強い反感とさらなる不信感が生み出されている。同様に、「仕切り直し」が約束されていたマスタープランの策定への「市民社会の参加」についても、JICA側からの連絡の在り方に対し市民社会側が反発するなど不信感が根強いことが明らかになった。他方、TICAD V前の約束と異なり、モザンビーク最大の農民組織(全国2200組織の連合組織)であり、プロサバンナ対象地のすべてに支部を置き、当初からプロサバンナに関する議論に深く関与してきたUNAC(União Nacional de Camponeses全国農民連盟)等の重要な地元組織に対し、JICAやプロサバンナ事業関係者からのフォローアップがないことについて(8月8日会議への出席がなかったことも含め)、同組織の「排除や他の市民社会組織からの分断を試みているのではないか」との不信感が蓄積しつつある。

最後に、モザンビーク北部地域の小農の活発で多様な生産努力とその成果を知る機会を持ち、一貫して日本政府やJICAによってなされてきた「モザンビーク小農=粗放で低生産性の農業=貧困」という固定化された認識の問題と、それに基づく事業デザインの限界が明確になった。事業関係者が、これら小農の権利と尊厳、生産努力を、謙虚に踏まえることが何よりも不可欠であるとの認識を強く持った。

5.現地調査結果に基づく要請
以上の現地調査・文献調査から、プロサバンナ事業と同対象地域、モザンビーク社会は、現在深刻な課題に直面していることが明らかになった。
プロサバンナ事業は、目的や対象、内容、アプローチ、手法、期間において、抜本的な見直しが不可欠である。
•特に、あらゆる面において現地小農の主権を中心においた事業への抜本的改革が不可欠である。

以上を踏まえ、
•環境社会配慮ガイドラインのカテゴリーを最上位のAに引き上げ、マスタープラン策定前に対象地の社会環境アセスメントを現地事情に詳しい独立の委員(市民社会関係者)と共に丁寧に実施すること、現地農民組織や市民社会との真摯な対話のための全面的な仕切り直しと透明性・アカウンタビリティの抜本的向上、民主的な運営(批判的な組織ほど積極的に対話の相手とすることを含む)を要請する。
•直ちに、本事業に関わり意見を表明する現地市民・農民団体や個人への脅迫や嫌がらせ、弾圧の防止と人権の保護の手法の検討を要請する。


【4.の注一覧】
・Mail & Guardian (Jan.6, 2012) “Mozambique’s ‘Mr Guebusiness’”. http://mg.co.za/article/2012-01-06-mozambiques-mr-guebusiness/
・投資ブームの一方で貧困が解消されず、人権侵害や社会的排除が社会の不安定化を招く可能性について国連人権委員会ラポターが警告。
Press Release "Magdalena Sepúlveda Mission to Mozambique 8 - 16 April 2013 Preliminary observations and recommendations" (
http://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=13229&LangID=E
O País (Apr.17, 2013)”Grande parte da população continua a viver na pobreza”.
http://opais.sapo.mz/index.php/sociedade/45-sociedade/24983-grande-parte-da-populacao-continua-a-viver-na-pobreza.html http://hdr.undp.org/en/media/HDR_2013_EN_complete.pdf
・Voice of America (Aug.27, 2013) “Mozambique Villagers Exposed to Open-Pit Coal Mine”.
http://www.voanews.com/content/mozambique-villagers-exposed-to-open-pit-coal-mine/1737927.html; Human Rights Watch (May 23, 2013) “Mozambique: Mining Resettlements Disrupt Food, Water: Government and Mining Companies Should Remedy Problems, Add Protections”.
http://www.hrw.org/news/2013/05/23/mozambique-mining-resettlements-disrupt-food-water
・Reuters (2013年6月19日)“Mozambique's Renamo threatens to paralyse vital coal railway”.
http://www.reuters.com/article/2013/06/19/mozambique-renamo-idUSL5N0EV1SD20130619; (2013年6月20日)“Mozambique: Renamo Threatens to Block Road and Rail Traffic in the Center of Mozambique”. http://allafrica.com/stories/201306201160.html
・ 同団体は、2009年、同国の「政治権利」状況について、1992年の和平後初めて数値を悪化させた(1【最高値】~7【最低値】までの7段階中4と認定)。http://www.freedomhouse.org/
http://www.systemicpeace.org/polity/polity4.htm
・参考文献が多いため多数を掲載するOpen University(UK)サイトを参照。http://www.open.ac.uk/technology/mozambique/land-and-biofuels http://www.open.ac.uk/technology/mozambique/mozambique-reports-and-documents
・土地・環境問題に取り組むモザンビークの調査研究・アドボカシー機関Centro Terra Vivaによる地元警察と政府による調査妨害と人権侵害に関するプレスリリース。”Ilegalidade, coação e intimidação marcam o processo de implementação do projecto de exploração do gás natural pela ANADARKO e ENI, em PALMA(パルマにおけるANADARKOとEMIによる天然ガス開発プロジェクトの導入プロセスにおいて刻み込まれた違法、強制、脅迫)”(Aug. 20, 2013) http://www.ctv.org.mz/
・公開書簡原文は次のサイトhttp://farmlandgrab.org/post/view/22136 日本語訳は次のサイトに掲載http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-27.html
・ JICAサイドイベント「アフリカの成長に向けた回廊開発の歩み」(2013年6月2日)http://www.ticad.net/africa/jicaevents/img/pressrelease/EN_Corridor%20Development%20in%20Africa.pdf 大臣発言関連報道 “Japan Today “At TICAD, clumsy diplomacy mars controversial Japanese aid project in Mozambique” (June 3, 2013) 
http://www.japantoday.com/category/politics/view/at-ticad-clumsy-diplomacy-mars-controversial-japanese-aid-project-in-mozambique
(ドラフト)
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by africa_class | 2013-09-03 18:43 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

プロサバンナ学術論文一覧(14本)。研究者と利権、「誰のために研究?」を原発事故後に考える

「プロサバンナ(日本・ブラジル・モザンビーク三角協力による熱帯サバンナ農業開発プログラム」については、過去の投稿を→http://afriqclass.exblog.jp/i38/

プロサバンナについて、今年に入ってからすごい量の学術文献が出版されていますので、以下一挙に掲載しておきます。普通、大学のせんせー自ら、先行研究整理(Literature Review)をブログに掲載したりしないと思いますが、論文を書いている研究者(卵)や学生だけでなく、実務者の皆さんにこそ、これらの文献を読んでほしいと思い、あえて書いてみました。

■国際協力の実務の方にこそ国際的な学術論文を
日々国際協力の実務の仕事をしていると、自分の目の前のプロジェクトやプログラムばかりが目に入ってしまい、「日本人村」や「政府関係者村」ばかりの付き合いだとどうしても、仲間同士の「自己正当化・自己弁護」の論理から逃れられないこtこと思います。今回、私はプロサバンナの事例を通して学んでいるのは、これが日本の一援助事業のマター(事象)を超えた問題を包含しているという点です。

ブラジルの「国際協力」の裏にアグリビジネスの利権があり、その背後には巨大なアメリカや多国籍企業のアグリビジネスがあり、その裏にはマネーがうごめいており、そこに米国政府が国内圧力団体と共に深くかかわり、さらにそこに国際/国連機関や多様なドナーが動いている・・・という実態です。

プロサバンナが、G8 New Alliance for Food Security and Nutritionの一事業にリストアップされていることにそれは象徴されています。同アライアンスはこのブログでのその問題について、モザンビークの市民社会や農民組織の批判を紹介してきました。
"Mozambican youth and students denounce G8's New Alliance"
http://www.grain.org/bulletin_board/entries/4689-mozambican-youth-and-students-denounce-g8-s-new-alliance

土地の収奪、タネの支配の論理が埋め込まれています。「食料安全保障と栄養」という名の下に、何故「土地取り引きの容易化」と「タネ」がはいってくるのでしょうか?そして、日本は、アメリカ政府とともに、モザンビークの担当国となっており、土地問題に手をつけることになっています。。。。
http://www.usaid.gov/unga/new-alliance
https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/208211/new-alliance-progress-report-coop-framework-mozambique.pdf

日本というちっぽけな島国の、善意をベースにした「農業開発支援」が、どのようなグローバルな網の目の中で機能し、利用しているつもりが大きな利権システムに呑み込まれ、現場の小さな努力すらもそのようなものを維持することに活用され続けてしまうのか・・・そのことが積もり積もって、支援したかったはずの最底辺の人びとのなけなしの権利すら奪ってしまうのか・・・・よく、よく、一緒に学んでほしいと切に願っています。

■グローバルなシステム:原発利権とアグリビジネスの類似性
「知らなかった・・・世界はこんなところだって」という声をよく耳にするようになりました。今まで私たちは牧歌的に生きてき過ぎました。原発事故が起こり、原発利権の闇の構造がはっきり見えたにもかかわらず、これほどまでの多くの人びとの犠牲と涙をもってしても、その利権を解体することが困難な現状に、私たちは直面しています。私はプロサバンナに関わるようになって、「アグリビジネス村の闇の世界」のカラクリがあるのだと認識するようになりました。

フードレジューム論については京都大学の久野秀二先生。
http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/~hisano/documents/agpolicy2010_2.pdf
農薬援助に関わってからいつかしっかりやりたいと思っていながら、怠けていたら、問題の方が向こうから跳びこんできた・・・それもある種の「出会い」なので、頑張ります。

原発事故後だからこそ、理解できること、譲れないことなのです。
皆さんは、平気なのでしょうか?「経済成長」「GDPアップ」という掛け声のために、生命や尊厳、日々の暮らしの場が奪われることは。それも仕方ない・・・ということなのでしょうか?この二つは二項対立的に論じられますが、私は実の所、このような対置(二者択一方式)こそが大問題なのだと最近切に思います。そうやって、民衆は騙されてきました。そのことに、民衆自身が自覚的でなければなりません。そのことはまたどこかで。

■最新かつ読まれるべきプロサバンナに関する論文とレポート
一番おススメは、出たばかりの最新の出版物で以下の2本です。詳細は末尾。
●Nogueira, Isabela & Ollinaho, Ossi (2013)
•Schlesinger, Sergio (2013)

■全先行研究の見取り図:特に多いブラジルの関与について
末尾に列挙したプロサバンナに関する入手できる限りの学術論文のほとんどすべてがProSAVANAの目的(隠されたも含め)と問題について、このブログで紹介してきた主張と同様のものとなっています。Fingermannの論文だけが例外です。これについては後述します。

特に、冒頭に紹介したイザベラの論文は、実証的な手法(3か国のプロサバンナ関係者40名にインタビュー、コミュニティレベルの民族誌的調査を行った)で、特にブラジルの関与や利権について調査した結果として、同様の結論に至っているので是非ご一読下さい。
The authors identify some sound ruptures between discourse and practice, and argue that Brazilian practices, instead of distinguishing themselves from traditional actors, are rather a precise manifestation of the recent development cooperation trend associated with the mainstream response to land grabbing claims.

■プロサバンナにおけるブラジル・アグリビジネスの野心と利権
最初にブラジルのビジネス上の野心の面からアプローチしたのが、Clements&Fernandes(2012)で、この労作の次に、Ferrando(2013)のネオリベラル経済批判をベースにした論文があり、そしてNogueiraらの実証研究がありますが、よりブラジルのビジネス利権がはっきり分かるレポートは、Schlesigner(2013)のレポートです。野心とは「土地」、そして最近は「農業生産システムの支配」です。

Schlesignerは、この直前にMato Grossoの大豆とサトウキビ生産の問題をレポートしたばかりで、その前はブラジルの国際協力の問題を暴いており、本当に多作です。いずれもProSAVANAに関わる論点について触れているので是非ご一読下さい。
・“Cooperação e Investimentos Internacionais do Brasil: a internacionalização do etanol e do biodiesel”。
・“Dois casos sérios em Mato Grosso. A soja em Lucas do Rio Verde e a cana-de-açúcar em Barra do Burges”。
これに加え、Future Agricultureコンソーシアムの研究者らが、2つのアプローチでブラジルの農業開発協力を分析しています。プロサバンナについての分析も掲載されています。あまり結論めいたところは書かれていないのですが、ブラジル関係者の野心と利権の存在については「クロ」判定です。Chivava et al.(2013)とCabral&Shankland(2013)です。

■ブラジルの野心・利権を目覚めさせ、モザンビークに連れてきた日本のプロサバンナ
以上のプロサバンナにおけるブラジル利権に関する論文6本の共通する結論が、これです。日本はどうしてこんなことを仕出かしたのか・・・これがどうも理解できないようです。(そりゃそうだ・・・・)

この点については、私の最初の論文(Funada-Classen 2013ab)が役に立っているようです。ただあれは、2009年の日本の文脈(食料安定供給への強い意欲)とRAI(責任ある国際農業投資)の議論が不十分だったので、近刊の日本語バージョンにはそれをしっかり入れています。

以上から分かることは、三角協力といえ、ブラジルの野心・利権への注目が皆さん強いということです。確かに、プロサバンナ開始後、モザンビークでは急速に彼らの流入が続いていますので、当然といえば当然ですが、「日本語が読めない」・・・ことも非日本語話者のプロサバンナに関する研究を難しくしています。他方、日本関係者はポルトガル語が読めないことが多いので、それはそれで大変なことかと・・・。「言語バリアー」こそ、プロサバンナの問題の根っこにあるとともに、研究の難しさを際立たせています。

■Fingermann(2013)に怒った世界・モザンビークの研究者・市民社会
これは既に以下の論文(Funada-Classen 2013df)に書いたので、詳しくはそれをご覧ください。以上の学術論文を読んでから、Fingermann(2013)を読めばよくわかるのですが、失礼ながらすごくレベルの低い論文です。たった2000字という制約があったとはいえ、あまりに学術論文と呼べる代物ではないものが、モザンビークの見識高い研究所のBulletinから出てしまったので、凄い騒ぎになりました。モザンビークで最も信頼され、尊敬される研究者(別の研究所のトップ)曰く、「これを論文と読んだらモザンビーク学術界が穢れる。彼女のような者をモザンビーク学術界に置くことは学問への冒涜だ」・・・というメールが回ってきました。さすがに厳しい・・・・。

■Natalia Fingermannとは誰なのか?
でもこれには訳があるのです。Fingermannは誰なのか?ということです。彼女は、ブラジル人で、ブラジル最大の投資コンサルティング会社の元投資アドバイザー、プロサバンナのマスタープラン向け報告書・・・あの悪名高い(アグリビジネス中心主義)Report No.2を策定した、ブラジルのFGV(Fundacao de Getulio Vargas)で学び、FGVの奨学金をもらっているのです。
http://br.linkedin.com/pub/natalia-fingermann/25/93b/436

プロサバンナが、市民社会の批判を受け、「小農支援」に方向転換していく過程で、当初プロサバンナの一部となっていた開発ファンドを、ブラジル・世界のアグリビジネス関係者や投資家らが切り離し、日本政府もそれが好都合なので、独立・民間イニシアティブとして「ナカラ回廊ファンド Nacala Fund」が出来たわけですが、それを一元的に担うのが、まさにこのFGVなのです。当初、プロサバンナの一部だったので、既に紹介したとおり、彼らのナカラファンドに関するプレゼンには、ばっちりJICAのロゴが出てきます。去年11月の時点では、JICAも参加可能性を口にしていたので、これは当然というもの。http://www.g15.org/Renewable_Energies/J2-06-11-2012%5CPRESENTATION_DAKAR-06-11-2012.pptx

つまり、Natalia Fingermannが何故このタイミングでこのようなレベルの、しかし、プロサバンナ万歳&プロサバンナ批判をする者は「無責任」で、批判のすべては「神話myth」だという論文を出したのか・・・の背景が分かるかと思います。

■モザンビーク政府と日本のプロサバンナ・アクターらに称賛されるFingermann論文
それを待っていたのが、以上のアクターたち。開発計画省のサイトには称賛の記事が!
http://www.mpd.gov.mz/index.php?option=com_content&view=article&id=211%3Aprosavana-nao-pretende-usurpar-terra-dos-agricultores-diz-iese&catid=50%3Anoticias&Itemid=96&lang=en

ある国家の省庁が、研究所の単なるBulletin記事をトップページで紹介する意図は何でしょうか?
そして、彼女はFGV経由でこの研究所(IESE)に送られた「研究者」です。FGVが、モザンビークの研究業界に入り込もうとしている理由はなんでしょうか?何故開発計画省は、この記事がFingermann一人に書かれたことを知っているにも拘らず、「the researchers」と複数形を使い、かつIESEのプロサバンナへの見解かのような見出し「IESEは述べた」を付けているのでしょうか?

でも驚愕の事実は、日本のプロサバンナ関係のアクターたちが、「この論文が最も中立的な論文で、読まれるべきもの」と回覧中ということです。・・・・皆さんの「中立」とは、どういう意味のものなのでしょうか?
以上から分かる通り、Fingermannは明らかに「利権関係者」です。
多分、日本では原発問題と同様で、
「政府の政策(大きいもの)に批判的な者=偏った者」で、
「政府(お上)の決めたことを同意する者=中立」あるいは、
「お上が決めたことに議論(疑問)はあるべきでなく、それを打ち消す者=中立」
という理解なのでしょうね。

その結果、2011年3月11日に何が起きたのか、を思い出してほしいです。
なお、私は「中立性neutrality」という言葉には与しません。
私が重要だと考えているのは、「公平性impartiality」です。
「永世中立国のスイス」が、ナチスドイツから逃れてきたユダヤ人たちにしたことを思い出しましょう。
権力との関係において、「真ん中を取る」ということは、人権侵害を許すことを意味することについて、人類史が教えてくれることは沢山あります。むしろ重要なのは、「公平に論じる」ということであり、そのためには権力関係の中で「声なき声」の存在(世界構造、社会構造の中ではそれが大半を占めることが多い)にこそ重きを置いて考えることだと、私は思います。

勿論、手法として、権力の側の言い分も紹介するというのは当然として。だから、私の論文では常に検討の対象として、権力の側の言い分・資料を中心に据えています。勿論、私の理解(interpretation)になりますが、同じ資料を使って皆さん自身が皆さんの検討を行って、別の結論を導き出して、論争をしていいのです。そのため、いつも資料の出所、在り処はURLまで示しています。

日本では、「何故か議論があること=問題」と捉えられるのですが、「議論がないこと=問題」ということに、いい加減気づいてほしいと思います。「権力批判なき学術」は、これほど学問のインフレーションが起きている現在において不要かもしれない・・・と最近思います。何故なら、権力のabuse(濫用)にお墨付きを与え、それを強化してしまうからです。

Fingermannの論文の中身、彼女の背後にあるもの、そしてそれを喜び歓迎する人達・・・そこからまた一つ私たちは学ぶことができました。誰の何のために、何の立場に立って研究を行うのか?論文を発表するのか?そのことこそ、私がFingermannだけでなく、これらの皆さんに考えてほしかったところです。

■私のFingermann論文の検証論文がFukushima, ProSAVANA and Ruth Firstな訳
以上、もうその訳はほとんど書きました。私は、ただFingermannを批判したかったのではなく、彼女の背後にいる人達、ブラジルの学術界、そのような論文を許してしまったモザンビークの学術界、それを自分たちのちっぽけな仕事の擁護のために称賛する人たち、世界の研究者らに、今一度考えてほしかったのです。
"Fukushima, ProSAVANA and Ruth First:Examining Natália Fingermann’s 'Myths behind ProSAVANA'", in 国際関係論叢, Vol. 2 No. 2(2013), pp.85-114.
<=近日中にダウンロードが可能になりますので、しばしお待ちを。

■モザンビーク研究者らはどこにいるのか?
Ruth Firstについて書かざるを得なかった理由は、論文を読めば分かると思います。私は、モザンビークの人びとに、「あなたたちの社会、あなたたちの未来、それについて議論しなくていいのか?」を問いたかったのです。以上の先行研究を書いたすべての人が一人を除いて非モザンビーク人です。このことが、プロサバンナが、外から上から降ってきたものであったということを象徴していますが、同時に、モザンビーク学術界の現状を物語っています。

でも、今回私の拙い論文を、お願いしてもいないのに凄い速さで必死に(3日で!)ポルトガル語に下訳したり、校正を手伝ってくれたのはモザンビークの研究者や市民社会の方々でした。そして、何より、Fingermannの論文を掲載してしまったIESE(モザンビークの研究所)が、前例を破って、3号に分けて私の論文を掲載したことからも、彼らの想いは伝わってきます。が、いつの間にか、これらの論文が、モザンビークの独立新聞(オピニオン欄に丸まる)載っていたらしい・・・。まあ、「世に出たら皆のもの」、ではありますが。

■学術論文の役割について
私は学術論文を社会活動と結びつけて考えてこなかったし、両者の間には明確に壁を作って仕事をしてきた人間です。ブログを読んできた人は分かるかも?あるいは、最近なら分からないかも?ですが。私は、戦争を平和のために学ぶ者として、そのことをかなり強く自分の指針にしてきました。
でも、原発事故が起こってそのことを後悔したのです。
何のために分けてきたのか・・・ある種自分の学術的な世界での立ち位置を気にしていたからではなかったか?過去に起きたことを実証してれば安全だったからじゃないか?何故起こりうることを予防する意識がこれほどまでに薄かったのか?社会が研究者に求めていることは、「後追い」の「先行研究批判」に始終する姿勢でよかったのか?あるいは業界や政府のために「お墨付き」を与える??

私は日々進化することにしました。(退化かもしれないけど!)
最初の論文を書いて、それを英語とポルトガル語で出して、一歩を踏み出した時、新たな出会いと新たな挑戦、そして次にやるべきことが見えてきたのです。そのことの大きさに、クラクラしましたが、私の研究成果を待っている人達がいる・・・未だ見知らぬところにいる同じ志の人達と出会えるかもしれない・・・そういう可能性に、正直なところ少し失い始めていた研究への情熱が戻ってきました。

700頁を超える博論を10年かけて書いて、英語で出版した頃から、やるべきことをやり遂げた感があって、どうしても研究に情熱が湧いてこなかったのです。ある種の傲慢さですね。でもそれぐらい打ち込んだので、仕方がなかったのかも。burn-outというか・・・。後は、戦争と平和というテーマの研究蓄積が凄すぎて、一方で何かdetailの罠の袋小路に入っているような気がしてきたからです。特に、「平和構築論」という分野は、技術論的な議論が増えてきていて、人びとの生命や社会の変化のもっと根源のような部分の議論から切り離されてきている気がして違和感を持つようになりました。このことを学問的に挑戦するだけの気力も能力もない自分に嫌気がさしていたところに、原発事故が起こり、広島原爆投下の日に生まれた自分が何故「戦争と平和」に関わる決意をしたのか、なのに「核の問題」を十分生活レベルに広げて考えてこなかったことに、凄く疑問を持つようになったのです。

プロサバンナの問題にここまでコミットすることになったのも、単にモザンビーク北部という私の関わってきた地域のことだからだけでなく、以上のような「人びとの生命と暮らしの権利と権力構造・暴力」の問題をどう考えるべきか・・・検討していた最中だったから。でも、これも生まれたばかりの我が子や家族が博士論文に協力してくれて、真理の追究へのあくなき・妥協なき闘いをやり遂げられたから(ある時点までは)に変わりありません。運動目的の学術を最初からしていたのではできなかったことでした。

■私の本は自由にダウンロード可能
そして今回、同じタイミングで、私の本を世界のどこからでもタダでダウンロードできるようにしてくれたケープタウンの出版社の存在がありました。この本が知っている人、買える人だけの本なのを惜しみ、「アフリカ社会、未来のために残したい本。誰でも必要な人の手に届く」を合言葉に、以下を準備してくれました。

Funada Clasen, Sayaka (2013) The Origins of War in Mozambique: A History of Unity and Division" (The African Minds)
http://www.africanminds.co.za/?products=the-origins-of-war-in-mozambique-a-history-of-unity-and-division
アマゾンで35ドルで買えるようにもしてくれました。(元は1万6千円)
http://www.amazon.com/Origins-Mozambique-History-Unity-Division/dp/1920489975

研究成果を広く、広く社会に還元する方法としての、フリーダウンロードの重要性に、プロサバンナに関わり出した同じ時期に強く認識したのです。自分の研究業績を減らしてでも(フリーにすると出版してくれない)。
長くなりましたが、以下一覧です。

【プロサバンナ関連学術文献一覧】
•Cabral, Lidia & Shankland, Alex (2013) “Narratives of Brazil-Africa Cooperation for Agricultural Development: New Paradigms?”. http://www.future-agricultures.org/research/cbaa/7817-china-and-brazil-in-africa-new-papers#.UdRC_TupVSQ
•Chichava, Sergio, et al.(2013) “Chinese and Brazilian Cooperation with African Agriculture: The Case of Mozambique”, Working Paper 49. http://www.future-agricultures.org/research/cbaa/7817-china-and-brazil-in-africa-new-papers#.UdRC_TupVSQ
•Clements, Elizabeth Alice & Fernandes, Bernardo Mançano (2012) “Land-grabbing, agribusiness and the peasantry in Brazil and Mozambique”, paper submitted to the International Conference on Global Land Grabbing II, Oct. 17-19, 2012.
http://www.cornell-landproject.org/download/landgrab2012papers/Clements_Fernandes.pdf
•――――――― (2013) “Estrangeirização da terra, agronegócio e campesinato no Brasil e em Moçambique”, OBSERVADOR RURAL Nº 6. http://www.omrmz.org/index.php/gallery/publicacoes/114-estrangeirizacao-da-terra-agronegocio-e-campesinato-no-brasil-e-em-mocambique
•Ferrando, Tomaso (2013) “Dr Brasilia and Mr Nacala: the apparent duality behind the Brazilian state-capital nexus”, Social Science Research Network. http://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2288940
•Fingermann, Natalia N. (2013), “Os mitos por trás do ProSAVANA”, IDeIAS Boletim, No.49, IESE. http://www.iese.ac.mz/lib/publication/outras/ideias/ideias_49.pdf
•Funada-Classen, Sayaka (2013a) “Analysis of the discourse and background of the ProSAVANA programme in Mozambique – focusing on Japan’s role”. http://farmlandgrab.org/post/view/21574
•――――――――― (2013b) “Análise do Discurso e dos Antecedentes do Programa ProSAVANA em Moçambique – enfoque no papel do Japão” http://farmlandgrab.org/post/view/21802
•――――――――― (2013c) "Fukushima, ProSAVANA and Ruth First:Examining Natália Fingermann’s 'Myths behind ProSAVANA'", in 国際関係論叢, Vol. 2 No. 2(2013), pp.85-114.
http://farmlandgrab.org/post/view/22335
•――――――――― (2013d) “Fukushima, ProSAVANA e Ruth First:Análise de "Mitos por trás do ProSAVANA" de Natália Fingermann”, IDeIAS Boletim, No. 51 – No.53, IESE.
http://www.iese.ac.mz/lib/publication/outras/ideias/ideias_51.pdf
http://www.iese.ac.mz/lib/publication/outras/ideias/ideias_52.pdf
http://www.iese.ac.mz/lib/publication/outras/ideias/ideias_53.pdf
or integrated version at the following site: http://farmlandgrab.org/uploads/attachment/Fukushima,%20ProSAVANA%20and%20Ruth%20First%20(pt)%20-%20final.pdf
•―――――――――/舩田クラーセンさやか(2013e)「変貌する世界における経済成長至上主義の席巻と内発的発展―モザンビーク・プロサバンナ事業にみられる開発・援助言説の検証―」大林稔・西川潤・阪本公美子(編)『アフリカの内発的発展』昭和堂 近刊.
•Jaiantilal, Dipac (2013) “Agro-Negócio em Nampula:casos e expectativas do ProSAVANA”, OBSERVADOR RURAL Nº 7.
•Nogueira, Isabela & Ollinaho, Ossi (2013) “From Rhetoric to Practice in South-South Development Cooperation: A case study of Brazilian interventions in the Nacala corridor development program”, Working Paper, Institute of Socioeconomics, University of Geneva. http://www.unige.ch/ses/socioeco/institut/postdoc/Nogueira/NOGUEIRA_OLLINAHO_WorkingPaper_NACALA_CORRIDOR.pdf
•Schlesinger, Sergio (2013) “Cooperação e investimento do Brasil na África - O caso do ProSavana em Moçambique”, FASE, 60p. http://issuu.com/ongfase/docs/caderno_prosavana_fase?e=2143384/4368368
(英語版 ”Brazilian Cooperation and Investment in Africa – The Case of ProSAVANA in Mozambique”)
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by africa_class | 2013-09-03 02:27 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

【抗議】三井物産による天然ガス開発地でのモザンビーク調査・アドボカシー機関への地元警察・行政の弾圧

前回、「モザンビークでみてきたナカラ回廊社会の現実(ランドグラブ)とプロサバンナ」を書いてから、より病状が悪化して続きが書けないままに、さらに深刻な情報が現地から寄せられてきました。

■「モザンビークでみてきたナカラ回廊社会の現実とプロサバンナ」
http://afriqclass.exblog.jp/18404833/

そこでは、このように書きました。
「モザンビークが、アフリカで最も諜報活動に積極的なことをJICAはどう考えているのだろうか。「知らなかったです」で通すつもりなのだろうか。。。同じ要領で、日本の援助が現地の心ある市民社会の皆さんを危険に晒す。自分たちが封じ込めたい「口」を現地政府にやらせればやらすほど、モザンビークの市民社会に圧力と恐怖を持ち込む。すでにこんなことがずっと起こっている。そして、事態は悪化している。今回、目の前で、モザンビーク市民社会関係者が脅される様子を何度も見た。」

現政権によってなされている脅迫について、関係者が具体的に事例や懸念を公的に表明することは、それ自体が危険なことなのでなかなか証拠を示すことが難しいのですが、さる8月20日に、三井物産が進出しアメリカの企業と共に開発を進める天然ガス事業について、以下の声明が出されました。

なお、モザンビーク北部での大規模天然ガス開発については、「Anadarkoの事業」としてモザンビークでは認識されていますが、実際は、三井物産の担当者が書いている通り、以下のように権益が分割されており、三井物産はAnadarkoに次いで第二位の権益獲得会社です。

「三井物産 モザンビークLNGプロジェクト― 世界のエネルギー安定供給とモザンビークの社会経済発展への貢献に向けた挑戦」(『貿易月報』)
http://www.jftc.or.jp/shoshaeye/pdf/201305/201305_30.pdf
「現在の権益参画各社は、Anadarko 社(36.5%)、当社 [Mitsui E&P Mozambique AREA1 Limited](20%)、モザンビーク国営石油公社 ENH 社(15%)、インド国営 Bharat 社(10%)、インド財閥系 Videocon 社(10%)、タイ PTTE&P 社(8.5%)の 6 社

そして、ANADARKOの関係者が、地元紙へのインタビューで、「天然ガスの大半は日本と極東向け」と答えています。
http://www.clubofmozambique.com/solutions1/sectionnews.php?secao=mining&id=29814&tipo=one

勿論、この国の政権の腐敗や、悪化する「資源の呪い現象」や、社会への悪影響などは一言も書かれていません。

前回ブログで「諜報機関」について書きましたが、皆さんは「大げさな」と思っていたかもしれません。すでに、以下のプレスリリースにも書かれているようにその動きが明るみに出ているので、「アフリカの国だから」・・・などと国家権力について牧歌的な見方をするのはまず止めていただければと思います。そのような国で、他人の携帯番号を政府関係者に伝えることの問題は理解いただけるかと思います。

Serviços de Inteligência e Segurança do Estado (SISE)
公安のような組織です。

今のモザンビークの政権が、いかにビジネスのために住民を犠牲にしても平気なのか、それに異議を唱える人びとへの抑圧や弾圧に躊躇がないのか、その実態を調べようとする調査機関ですら抑圧し始めた事態について、それでも資源ほしさに、援助産業の生き残りのために、モザンビーク政府に何もアクションを取らないどころか、加担するような行為ばかりを繰り返すことについて、責任を感じてほしいと思います。

それにしても、モザンビークが国として貧困削減に頑張っていた70年代や80年代ではなく、よりによって国の財産を切り売りし、異議申し立てを弾圧し、選挙不正を厭わない現政権の二期目になってから、いきなりモザンビークについて知りもしないままに、大規模援助や投資に踊る日本の援助・外交・企業関係者は、一体どういう感覚をされているのでしょうか?

「腐敗政権であろうと、抑圧的であろうと、自分の利益さえ確保すればそれでいい」。。。。のこの姿勢は、日本が最も批判してきた中国と変わりないものであるということを自覚の上でなのでしょうか?(とはいえ、中国のやり方は日本の80年代の援助や投資の焼き直し・・・と国際的には思われているので、「先祖がえり」と呼んだ方が良いでしょうが、あまりに情けないです)

なお、一部には私が厳しすぎると思っている読者もいらっしゃるようですが、大好きなモザンビークのことをこのように書かざるを得ない事態に突入したこと、それが目の前で刻一刻と悪化していること、それになんと自分の国である日本が「援助や協力、Win-Win」という言葉の下に加担していること・・・・これが、原因です。ブログを遡っていただければ、私が日本の援助や企業の役割にもある程度期待を持っていたことが分かるかと思います。現在進行形の急激な世界、アフリカ、モザンビーク、中国やブラジル、日本の変化の中で、私のブログも変わらざるをえなかった・・・と理解いただければ嬉しいです。

以下、土地・環境問題に取り組むモザンビークの調査研究・アドボカシー機関「Centro Terra Viva」からのプレスリリース(2013年8月20日付)です。
http://www.ctv.org.mz/

これまでモザンビーク社会が経験してこなかったような事態が起こっていることがわかります。
日本も無関係ではありません。
日本の三井物産が、このANADARKOと組んで、この天然ガス開発を行っています。
「資源(森林資源や土地を含む)の呪い」が社会のあらゆるレベルで、現政権による抑圧につながっています。

プレスリリースタイトル:
「パルマにおけるANADARKOとEMIによる天然ガス開発プロジェクトの導入プロセスにおいて刻み込まれた違法、強制、脅迫」

概要は、北部カーボデルガード州のパルマで、土地と環境の調査アドボカシーをしていた「Centro Terra Viva」のリサーチャーが、今年8月20日に地元警察・郡長・諜報部に拘束され、尋問を受けたことへの抗議プレスリリースです。

モザンビークは調査許可書が不要な国で、現地の調査機関、NGOであれば、自分の身分を証明するNGO自身のクレデンシャルがあれば自由に調査が 出来ます。礼儀として、行政機関や伝統権威や書記長などに挨拶に行きますが、モザンビークの地元組織と一緒の場合それは必要不可欠要因ではありません(外国人は目立つので、調査に行く際はこれをおススメしますが。)

本リリースによると、コ ミュニティとの合意のもと調査を行っていたこと(合意書もとっていたこと)が示されています。

以上から、モザンビークでは今までなかった事態が、始まっていることがこのリリースでも示されています。つまり、コミュニティレベルで本当のことを明らかにしようという市民社会の試みが、政治弾圧や抑圧を受ける事態に陥っていることが示されていま す。

今回プレスリリースが出たので露呈しましたが、プロサバンナ地域やプロサバンナ関連の調査でも、同じことが起きつつあり、このような国で「環境社会配慮アセスメント」がどのように可能なのか (そもそも皆無なこと自体が問題ですが)、やる場合にどのように政府の介入を防ぎ、独立性を担保するか相当議論になってくるでしょう。

なお、新日鉄が進出しているテテ州モアティゼ郡でも同じ事態が発生しています。
現場の実態を明らかにされないよう、住民だけでなくリサーチャーも弾圧し始めた国への投資・援助について、今までの前提は通用しません。警察や行政、秘密警察を使って抑圧を行う現政権への加担を意味します。この点について、ドナーとしても黙ったまま、対応を怠ると、よりひどい事態が起こっていくことでしょう。

早急なる抗議を求めます。

========================

COMUNICADO DE IMPRENSA

ILEGALIDADE, COAÇÃO E INTIMIDAÇÃO MARCAM O PROCESSO DE IMPLANTAÇÃO DO PROJECTO DE EXPLORAÇÃO DO GÁS NATURAL PELA ANADARKO E ENI, EM PALMA

<=続きはMoreを参照。

More
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by africa_class | 2013-08-28 00:06 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

モザンビークでみてきたナカラ回廊社会の現実(ランドグラブ)とプロサバンナ

モザンビークでの濃く多忙で心に残る1か月が終わり、蒸し暑い日本にいる。
やっとマラリアが治ったと思ったら、今度は風邪をひいて、真夏だというのに鼻をズルズルいわせて、時差ボケ故にこんな時間にこれを書いている。

この1か月間、書きたいことどころか、緊急に書かなければならないことが山のように溜まり続ける一方だった。モザンビークで目にしたもの、耳にしたもの、心で感じたもの、そのすべてが、私の予想を上回るほどの、醜さであったことに、打ちのめされている。

日本から会議と調査のために駆け付けた5人の仲間たちも、言葉を失い続け、そして最後には黙り込んでしまった。「今までしてきた議論はなんだったのか」と。

どこから手をつけたらいいのか…分からない。
もはやモザンビーク社会の「闇」としっかり手を組んでしまった日本の援助に、どのように接したらいいのか・・・5人が5人とも途方に暮れている。まさかここまでとは・・・と。

そして、腐敗と不正に沈みいく社会の唯一の希望である、「正義のために闘う人達」へのありとあらゆる圧力と弾圧。それを止めるどころか、煽る構造。


■5人の現地調査の報告書が後一歩まで来ました!
詳細は近々公開される以下をご覧ください。
『ProSAVANA市民社会報告2013-現地調査に基づく報告と提言』
(調査記録は当面非公開となります)

■報告書の内容と提言をコンパクトにまとめたプレゼンテーションと緊急声明を9月30日参議院議員会館にて発表します。申込みは〆切りましたがどうしてもという方は個別にご連絡下さい。

詳細:http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/
・2013年9月30日(月)16:00~17:30
・議員会館内 緊急報告会
日本ODAによるモザンビークの大規模農業開発事業
「プロサバンナ」に関する現地調査報告・緊急声明の発表

■私の調査概要ドラフトは既にこのブログにアップしています。写真と共に以下をご覧ください。

・現地調査報告【概要ドラフト】:
http://afriqclass.exblog.jp/18496108/
・現地調査報告添付写真:
http://afriqclass.exblog.jp/18496389/
・関連学術文献一覧:
http://afriqclass.exblog.jp/18492008/

では、9月30日にお会いできるのを楽しみにしています。
また、現地のビデオなども近々公開していく予定です。
報告書はPDFでダウンロードができるようしますので、準備が出来るまでお待ちください。
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by africa_class | 2013-08-21 04:25 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

モザンビークで今起こっていることとプロサバンナの関係(第5回意見交換会議案書から)

モザンビークからおはようございます。
第5回意見交換会(7月12日)のNGO側の資料こちらのブログには載せていなかったので、転載しておきます。事態はもっと悪化してしまいました・・・。

また、NGOと外務省、そしてJICAのプロサバンナ事業に関する意見交換会も5回を迎え、かなり情報がたまってきたので、以下に整理して掲載しています。(情報の新しい順に掲載しています)
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-39.html

なお、本意見交換会の枠組みは、「外務省・NGO定期協議会」の中の「小委員会:ODA政策協議会(年3回開催)」のサブグループとして位置づけられ、継続的に議論されています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/taiwa/kyougikai.html

======================


【第5回】ProSAVANA事業に関する意見交換会(2013年7月12日 関連資料)

■ NGO側事前提出資料
*以下の「問題の所在」と「質問事項(未掲載)」を提出しています。
事前に外務省から返答が届き、それを踏まえた意見交換というプロセスです。

「第5回ProSAVANA事業に関する意見交換会に向けたNGO側からの質問書」
(2013年7月2日)
【問題の所在】
地元住民組織・市民社会からの異議申し立て、マスタープラン報告書への批判・警告
昨年10月11日、モザンビーク全国農民連盟(UNAC)他が声明を発出したことがきっかけとなり、ProSAVANA事業に関わる論議は、日本・モザンビーク・ブラジルといった関係各国内にとどまらず広く世界的なものになっています。そして、ProSAVANA事業に関わる情報もさまざまな形で表出し、集積され分析されていることは、第4回意見交換会で紹介された国際的なNGOによる共同声明(2013年4月29日付「モザンビーク北部のProSAVANA事業マスタープラン(案)は最悪の計画を露呈した~市民社会組織は大規模土地収奪に道を開く秘密計画に警告を発する」)でも明らかです。

モザンビーク23組織による3か国首脳宛「公開書簡:緊急停止要請」
さらに、モザンビークの主要農民組織・宗教組織・市民社会23団体が、事業対象地で暮らす人々を代表するモザンビークの農民組織、市民組織への適切な情報提供がなく事業内容の大幅な変更にもつながりうる合意形成の場が提示されないことから、日本の安倍首相、ブラジルのルセフ大統領、モザンビークのゲブーザ大統領宛てた「プロサバンナ事業の緊急停止を求める公開書簡」を発したことは、すでに周知の通りです。このような広範にわたる多くの数の市民団体が政府事業に異議を唱えることは、モザンビークの歴史においても始めての出来事となりました。
なお、同公開書簡は、TICAD V開会式前夜に開かれた安倍首相・林横浜市長共催の歓迎レセプションの際、TICAD Vに参加するアフリカNGO/CSO代表団の一員として来日したUNACアウグスト・マフィゴ代表から安倍首相にも手渡されました。

この事実は、TICAD Vに関わる報道等を通じ、ProSAVANA事業の緊急停止を求める声が、モザンビークの農民組織・市民団体から発せられていること、また多くの国際NGO、個人がこの声を支持していることも含め、国内外に広く知られるようになっています。

ナカラ回廊プロジェクト外延部テテでの住民・企業・警察の衝突が、元反政府ゲリラの封鎖へ
他方、本年5月29日付朝日新聞等でも報道された通り 、ProSAVANA事業対象地と隣接し、日本が援助するナカラ回廊関連プロジェクトの外延部として位置づけられるテテ州において(次頁地図参照)、同地に進出するブラジル鉱物資源開発会社Vale社と地元住民の間で土地をめぐる紛争が続いています 。会社側に改善がみられないため、地元住民による道路封鎖と警察との衝突も発生し、現地では不穏な状態が生まれています 。ついに本年6月18日、かつて現政権と16年間の武力紛争を戦った元反政府ゲリラ・現最大野党RENAMOが背後にいると見られる政府軍武器庫襲撃事件が発生し、石炭輸送が一時停止するという事態が発生するとともに、翌19日にはRENAMOの幹部がテテ州の炭坑からベイラ港までの石炭輸送を許さないと表明したと、Reutersは報じています 。

「選挙の年」:高まる現政権への不満と「選挙対策事業」と解釈されるProSAVANA事業さらに、本年11月には全国で地方都市選挙、来年は大統領・議会選挙を控え、モザンビークの政情や平和の状態は不安定化しつつあります。ProSAVANA事業は、独立来政権を担ってきたFRELIMOへの支持が他地域に比べて弱く、最も有権者数が多い地域を対象として行われ、現地社会ではゲブーザ大統領とFRELIMOが選挙を有利に進めるための事業として認識されています。JICAが費用を出し同国政府によって行われている「事業対象全19郡でのProSAVANA事業の説明会」は、「選挙運動」との理解も出てきています(説明会への参加者へのモザンビーク市民社会組織インタビューより)。つまり、ProSAVANA事業は、「大統領・政権与党事業」との政治色が強いものとして認識され、現地社会に分断をもたらしてもいます。さらに、現地では、公開書簡に署名した現地市民社会の間を分断する様々な操作や工作がなされていると聞いております。

大統領のファミリー企業、ブラジル企業の利権との関連が指摘される
先述「共同声明」では、現職大統領(アルマンド・ゲブーザ)のファミリー企業が関わるAgroMozという企業が、昨年9月、ProSAVANA対象地(ザンベジア州グルエ郡)で1万ヘクタールにもおよぶ農地を入手し、ブラジル企業らと共に輸出用大豆の大規模生産に乗り出すとされています(Hanlon & Smart, 2012 ; 「共同声明」)。なお、現政権が「反汚職法」の具現化に積極的ではない点について、他ドナーや現地新聞でも批判されています(Savana, 2013年4月26日 )。

なお、先述AgroMoz社に絡む企業が、ProSAVANA-PD(マスタープラン策定)のブラジル側唯一のコンサルであるFGVとビジネス関係にあると同時に、かつFGVはこの地域への大規模な投資を呼び込むためのNacala Fundの設置・推進者です(「共同声明」)。このFGVの二重の「パラレルな役割」は、国際的な研究チーム(Future Agriculture)にも問題視されています(Cabral & Shankland, 2013:15 )。

モザンビーク社会の不安定化に関わるProSAVANA事業
つまり、ProSAVANA事業は、急速に変わりゆくモザンビーク社会に、新たな問題を持ち込む一方、既にあった問題をより深刻化させています。これらの点は、過去の意見交換会でも、繰り返し市民社会から問題提起されてきましたが、ついにその懸念が現実のものとなりつつあります。

これ以上の問題を回避するために
モザンビークの政治的社会的状況に関する十分な情報収集や分析が行われないままに、大規模な回廊開発プロジェクト、農業開発プロジェクト、二国間投資協定 などの案件が次々に実施されており、日本企業の進出も顕著ですが、問題が発生してから対応に追われるという事態が頻繁に繰り返されています。

【質問事項】
以上の問題の所在と状況に基づき、事前準備会合での話し合いを踏まえ、第5回意見交換会について、以下の質問への具体的な事前回答を求めます。(後日掲載)

【関連資料の注】
・モザンビーク23市民社会による3か国首脳宛公開書簡「ProSAVANA事業の緊急停止要請」(2013年5月28日)
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-27.html
・TICAD V前後のモザンビーク市民社会抗議に関する報道一覧
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-28.html
・朝日新聞記事(2013年5月29日)「(アフリカはいま)眠れる大地、「緑の実験」 モザンビーク穀倉化計画」
・Human Rights Watch (2013) “What is a House without Food?”Mozambique’s Coal Mining Boom and Resettlements” (http://www.hrw.org/node/115535)
・Reuters (2013年5月23日) “Miners Vale, Rio Tinto accused of neglecting displaced Mozambicans” http://www.reuters.com/article/2013/05/23/us-mozambique-mining-idUSBRE94M08D20130523
・Reuters (2013年6月19日)“Mozambique's Renamo threatens to paralyse vital coal railway”
http://www.reuters.com/article/2013/06/19/mozambique-renamo-idUSL5N0EV1SD20130619; (2013年6月20日)“Mozambique: Renamo Threatens to Block Road and Rail Traffic in the Center of Mozambique” http://allafrica.com/stories/201306201160.html
・日経新聞(2013年4月4日) 「モザンビーク炭鉱の採掘権取得 新日鉄住金・ポスコなど」(現在問題になっている同じテテ州モアティゼ郡内に進出)http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD0407E_U3A400C1TJ1000/
・Hanlon & Smart (2012)“Soya boom in Gurue produced few bigger farmers”(2012年9月10日) http://www.open.ac.uk/technology/mozambique/
・Savana(2013年4月26日)"Governo não cumpriu com a implementação do pacote Anti-Corrupção”
・Cabral & Shankland(2013) http://www.future-agricultures.org/publications/research-and-analysis/
・ 日・モザンビーク投資協定の署名(2013年6月1日)http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/page5_000168.html
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by africa_class | 2013-07-24 14:55 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

プロサバンナ事業形成の背景(国内要因)の加筆(国際開発学会企画セッション発表要旨)

プロサバンナ事業の形成の背景における国内要因の分析が甘かったので、いくつか新たな資料を踏まえて分析し、5月末から6月にかけての各種学会での発表に活用した議論を掲載しておきます。そのうちまたPPTを掲載しますが、今英語論文で手一杯なので、それまではこちらをご覧ください。

過去のPPTはこちら
■PPTofプロサバンナ事業に関する分析・報告一挙掲載
http://afriqclass.exblog.jp/17362546

なお本企画セッションは大変盛況のうちに終了しました。
大会参加者230名のところ、一般も含め220名が参加して資料が足りなくなるほどでした。翌日の継続ディスカッションの方も30名近くの皆さんに駆けつけていただき、活発な議論ができました。心から感謝します。

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企画セッション
原発事故から2年、第5回アフリカ開発会議(TICAD V)年に問い直す開発と発展
「アフリカにおける経済成長と内発的発展~グローバル農業投資と農民主権」

●報告者 (座長:大林稔)
1.「311以後の東北農業~農民を根なし草にしようとする政策と抵抗する農民」(谷口吉光、秋田県立大学生物資源科学部)
2.“Legal and Ethical Implications of Land Grabbing"(アンドレアス・ニーフ、京都大学)
3.「農業投資と農民主権~種から考える」(西川芳昭、龍谷大学)
4.「農業開発援助と農民主権~モザンビークを中心に」(舩田クラーセンさやか、東京外国語大学)
●コメンテイター 熊代輝義(JICA農業農村開発部長)/ 西川潤(前国際開発学会会長)

【主催】TICAD市民社会フォーラム(TCSF)有志・大会実行委員会【共催】宇都宮大学国際学部附属多文化公共圏センター 【協力】JASID「原発震災から開発・発展を考える」研究部会

【要旨】「農業開発援助と農民主権~モザンビークを中心に」
東京外国語大学 舩田クラーセンさやか
キーワード:プロサバンナ事業、セラード開発、責任ある国際農業投資、熱帯サバンナ、土地収用

1. はじめに
「日本・ブラジル・モザンビーク三角協力による熱帯サバンナ農業開発プログラム(プロサバンナ)」を事例に、グローバリゼーション下アフリカにおける農民主権の課題と日本との関係を浮彫りにする。

2. プロサバンナ事業に至るまでの背景
(1)外務省による「食料安定供給」と国際プレゼンス向上の試み
日本政府は、1973年のオイルショックと米国の大豆禁輸を受けた食料供給不安への対応として翌年に合意され、1979年来本格的に実施されたブラジル・セラード農業開発(PRODECER)から30年近く経った2008年、食料価格の高騰と穀物生産国輸出規制に直面し、自民党内に「食料戦略本部」を立ち上げる一方、外務省経済協力局内に担当をおき、「確実な食料確保」の対応策を検討し始めた(NHK 2010)。当初模索されたのが、「海外での土地収用・リースを含む農業開発」であった(外務省2009a)。外務省は農水省と共に、「食料安全保障のための海外投資促進に関する会議(海外農業投資促進会議)」を発足させ、2009年8月には、「国民への食料安定供給のため、国内農業生産増大を基本としつつ、国土条件の制約から必要な輸入はその安定化・多角化を図る」と述べ、「世界全体の農業生産の増大、農業投資の拡大が急務」で、「海外農業投資(生産、集荷、輸送、輸出)」促進に官民が一体となって取り組む必要があると表明する(外務省2009b)。

同会議で先駆事例とされたのがセラード開発であった。ただし当時と異なり、政府や日系入植者ではなく企業が前に出て、政府は後方支援をする手法が重視された。しかし、企業が消極的だっただけではなく、「土地争奪」「新植民地主義」との国際的な批判を避けるため、外務省は、①「良い投資」と「悪い投資」を分ける国際合意を作り、②「良い投資」増大を促進するとともにその手本を先陣切って示し、食料確保だけでなく国際的プレゼンス向上に努めようとした(NHK 2010; 麻生2009)。

以上を踏まえ、2009年7月G8ラクイラサミットに向けた麻生太郎総理寄稿文で、「規制的なアプローチは良い投資を抑制する可能性があり望ましくない」、「持続可能な未来の唯一可能な解決策は投資」と表明した(麻生2009)。さらに外務省は、同サミット首脳声明に、①国際農業投資の原則、②ベスト・プラクティスに関する共同提案の策定を入れ込んだ(NHK 2010; G8首脳宣言2009)。そして同年9月23日、国連総会時期のニューヨークで「責任ある国際農業投資の促進に関する高級実務者会議」を主催し、世銀提案の「責任ある国際農業投資(RAI)七原則」について31か国(主として穀物の大規模生産・輸出国)の承認を取り付けた。中身は麻生(2009)とほぼ同様で、規制を排除し、「受入国政府、現地の人々、投資家の3者の利益を調和し最大化を目指す」とした(外務省2009c)。

(2)「熱帯サバンナ」への注目とブラジル・セラード開発を「先駆事例」とする動き
一方、②の「良い投資の見本」として日本政府が提示したのが先述セラード開発事業であった(麻生2009)。その背景には、「先祖返り」という側面以外に、2つの潮流があった。まず、2005年に本格的に「国連改革」を目指した外務省のブラジルへの接近である。同省はインド・ドイツとも連携していたが、強力なパートナーとしてブラジルに注目し、移民100年を祝う2008年の「日本・ブラジル交流年」に向けて「戦略的パートナーシップ再活性化」を企図していた。2007年には、JICA理事長と伯外務大臣との間で「日伯パートナーシッププログラム」推進が合意され、麻生外務大臣の同国問時には同「再活性化」が確認された。2009年サミットにおける麻生総理とルーラ伯大統領の「アフリカ熱帯サバンナ農業開発」合意は、これを受けたものであった(舩田クラーセン2013)。

もう一つの潮流は、世銀を中心とするものであった。同行はサミット直前(6月)、商業的農業の必然性を説く一方、「ギニア・サバンナ」6億haの内4億haが農適地であるが10%しか耕作されず投資と開発が可能と発表する(WB 2009)。同じくJICAは、「アフリカには熱帯サバンナの5割が集中し広大な未利用農業適地が存在。世界は新たな食料生産・輸出基地を求める(JICA, 2009年6月30日)」との認識を示した。両者の手本とされたのが、「熱帯サバンナ農業開発の成功例・セラード開発」であった(*セラード開発は、ブラジル学術界・市民社会・農民運動によって強く批判されてきた。これも取り上げる)。  

この考え方は、「日伯協働によるアフリカ熱帯サバンナ農業開発事業(JICA 2009年5月25日)」にも示されるが、NYでの「実務者会合」に向けてアフリカ側対象国の確定と合意が急がれた。そして、「良い投資の見本」「日本の協力」「アフリカ熱帯サバンナの農地転用」等の言葉の先にターゲットとされたのが、ブラジルと同じ葡語国モザンビークであった。同会合5日前という日程で、プロサバンナ事業は三政府により調印されるが、この急がれたプロセスの中で繰り返しされたのが、ブラジル・セラードとモザンビーク北部の「農学的な多くの共通点(JICA, 2009年6月30日)」「類似性」であった。

しかし、「熱帯サバンナ」とは、その一般的イメージ「草原サバンナ」ではなく、乾季雨季が明確に分かれた気候帯のことを指し、一定の雨量があるため農業に適しているが、多くの場合セラードと同様「森林サバンナ」地帯であった(Distributed Active Archive Center for Biogeochemical Dynamics)。また、事業対象地のモザンビーク北部地域は、土壌の酸性が強く人口が少ないセラードの特徴と異なり、最も肥沃で水資源に恵まれ、農業生産が盛んで人口が最多(全人口の4割)であった(舩田クラーセン2013)。モザンビークに在外公館・JICA事務所が設置されて10年も満たない2009年、地域社会や農業の十分な知見も経験も蓄積がないまま、合意後半年間準備調査を行っただけで、「モザンビーク北部1400万ヘクタール(日本耕地面積の3倍)を対象に、中小農民40万人に直接、360万人に間接の裨益」と喧伝される巨大事業が、食料価格高騰・G8サミット・国連総会を経て、始動したのである。

3.モザンビーク農民組織、市民社会からの異議申し立て
合意から数年が経過した2012年4月、日伯の官民連携ミッションのモザンビーク北部訪問前後から、現地社会や国際社会で同事業への疑義が表面化し始める。この頃、ブラジルのアフリカへの積極的な進出が顕著になり、鉱物開発企業を筆頭にアグリビジネス界も活発な動きを展開する。このゲートウェイとされたのがモザンビークであった(Schlesinger 2012)。前年に同地を訪問し、安価で環境規制の緩いモザンビーク北部の肥沃な土地に熱狂したブラジル綿花業界関係者だけでなく(Reuters 15 Aug. 2111)、前述ミッションのブラジル側団長ニシモリ議員の「プロサバンナ事業は土地不足の伯国の若者が近代農を大規模展開するための事業」との説明が(議会TV 27June2012)、モザンビークの農民組織や市民社会、国際NGO等に危機感を抱かせるようになる。これらの組織は、3か国の関係者に聞きとり調査を行い、JICAなどに説明を求めたが懸念を一層深め、2012年10月には、同国最大の農民組織UNACが、「不透明で、農民組織を排除するトップダウン事業」「農民の土地収用イニシアティブ」と、プロサバンナ事業を批判する声明を国内外に表明した(UNAC 11Oct.2012)。

UNACは、同国に経済自由化の波が押し寄せた1987年に、農民が自らの権利を代表・擁護し闘うため結成され、現在全国8.6万の農民と2200農民組織が加盟する。同連盟は、農民の土地占有権(DUATs)と慣習法的権利の両方を重視する1997年土地法の制定に多大な役割を果たした(Negrão 2003)。UNACはJICA報告書でも主要農民組織として紹介されるが(JICA 2000)、JICA担当者らは同連盟への理解がないばかりか、「一団体/一部に過ぎない」と繰り返してきた(NGO・外務省意見交換会)。

本年4月には、モザンビーク4団体を含む世界23団体・1国際ネットワークが、マスタープラン中間報告を入手し分析した結果、次を警告した。①真の目的は大規模土地収用に道を開くこと、②地元移動農法「撲滅」が喫緊課題と断定、③「定着農・近代農」に転じた農民にDUATs付与、④どこで誰が何を作るか指定するゾーニング案を有す(JA et al.29Apr.2013)。投資のため、地元農民の主権と営みを著しく侵害する計画と指摘されている。確かに同報告は、権利侵害の抑制効果がないRAIを重視し、企業の土地収用を確実にする抜け道を多数用意している(ProSAVANA Report 2)。前節で示した「農業投資が唯一の処方箋」「投資家は現地の人々と対等」「規制排除」が顕著に表れた計画といえる。

4. おわりに
2008年以降の日本政府の認識や動きが、どのような国際潮流や外交、援助事業に結びつき、ODAとして展開する中で、農民主権を阻害する可能性を広げていったかを明らかにした。討論では、これが日本社会・市民の「食」「農」「農的営み」に対する無関心さに基因している点についても論じたい。

【参考文献】●麻生太郎(2009)「食料安全保障の永続的な解決」、●NHK取材班(2010)『ランドラッシュ』新潮社、●外務省(2009a)「海外投資促進に関する指針」、●外務省(2009b)「官民連携モデルのイメージ」、●外務省(2009c)「責任ある国際農業投資の促進に関する高級実務者会合」、●JICA (2008)『南部アフリカ地域援助研究会報告書』、●G8首脳宣言(2009)、●舩田クラーセン「 変動する世界における経済成長至上主義の席巻と内発的発展」近刊、Negrão, José (2003) “A Propósito das Relações entre as ONGs do Norte e a Sociedade Civil Moçambicana”、●Schlesinger, Sérgio (2012) “Cooperação e investmentos internacionais do Brasil”. ●WB (2009) “Notes: Africa’s Sleeping giant: prospects for commercial Agriculture in the guinea Savannah Zone and Beyond”.(詳細配布)
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by africa_class | 2013-06-21 23:53 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ