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アフリカ学会@東大(5/26)「グローバル下アフリカにおける農業投資とODA~セラード開発とプロサバンナ」

続けて、日本アフリカ学会での発表要旨を掲載しておきます。
日本アフリカ学会は、2013年5月25日ー26日まで、東京大学駒場キャンパスで開催。
詳細→http://www.jaas50.com/
参加費はかかりますが(学生3000円)、沢山の発表があって本当に面白いです。

私の発表は、26日(日)午後です。
プログラム→http://www.jaas50.com/zantei.pdf

本報告は、近刊の本の一章に基づきますが、最近のブラジル・セラード開発に関する学術論文も追加で参考にします。なお、同章の中身については、英語・ポルトガル語版がダウンロード可能です。
"Analysis of the discourse and background of the ProSAVANA programme in Mozambique – focusing on Japan’s role" (2013 Jan.)
by Dr.Sayaka FUNADA CLASSEN
【英語版】http://farmlandgrab.org/post/view/21574
【ポルトガル語版】http://farmlandgrab.org/post/view/21802

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グローバル下アフリカにおける農業投資と政府開発援助の一考察
~セラード開発とプロサバンナ事業の比較から

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舩田クラーセンさやか(東京外国語大学 准教授)

Analysis of Agricultural Investment and ODA in Africa under Globalization
-focusing on the Cerrado development and ProSAVANA-
Sayaka, FUNADA-CLASSEN (Tokyo University of Foreign Studies)

「長い16世紀」に開始したグローバリゼーションは、冷戦終結から二十数年を経た現在、世界中の人びとの日々の生活レベルにその影響を及している。その影響の濃淡やあり方は、国や地域、集団や人びとによって大きく異なるとはいえ、「影響が及んでいる」という点についてはおおよそ同意が得られるであろう。
植民地支配や資本主義経済の流入後も、その「周縁性」によりある程度は自律的な生活を営むことが可能であったモザンビーク北部農村地域であるが、近年の加速化する外国からの投資(鉱山・農業開発)によってこの地域も大きな影響を受け、地域住民、とりわけ小農らは、様々な課題に直面している。なかでも、外国企業等による土地の争奪(land grabbing)が急速に進行し、各地で地元農民から土地が奪われる事態が発生している。

同様の事態は、世界中とりわけアフリカで急速に進んでおり、各地で農村住民の異議申し立てが観察されている。中でもモザンビークは、世界第二位の土地取引件数と面積が報告されており(LandMatrix2012)、土壌が良く水もある北部がターゲットとなっている。

そんな中、日本政府とブラジル政府は、「熱帯アフリカ農業開発の促進」を掲げ、モザンビーク北部で大規模な農業開発を行う「プロサバンナ事業」を、モザンビーク政府とともに開始した。これに対し、2012年10月11日、モザンビーク最大の農民組織・UNAC(全国農民連盟)は、プロサバンナ事業への抗議声明を発表した。

以上を踏まえ、本報告では、モザンビーク小農の異議申し立ての根底にある現在の「農業投資」がアフリカで引き起こしつつあるいくつかの課題について、同事業がモデルとするブラジルで行われた大規模農業投資事業(セラード開発)との比較によって考察する。本報告は、次の手順で行われる。

1.世界的な農業投資の加速化とアフリカにおける土地収奪問題の概要
2.モザンビークにおけるプロサバンナ事業への農民組織の異議申し立ての概要
3.ブラジル・セラード開発による先住民への影響の考察
4.以上に基づくモザンビーク北部小農へのインプリケーション

本報告がベースにするのは、1.については統計資料や国際機関の報告書、2.農民組織の声明や筆者によるインタビュー結果、3.セラード開発に関するブラジルの先行研究(特に、先住民や小規模あるいは土地なし農民への影響に関するもの)である。

結論は次のようなものである。
現在、「アフリカの食料問題の解決策」と称して大規模な農業投資や農業開発援助が必要と叫ばれている。G8サミットの”New Alliance for Food Security and Nutrition”等がその例である。そこで念頭におかれているのは、ブラジル・セラード開発に象徴される大規模開拓と機械化を前提とする農業投資である。

日本ではその「成功」ばかりが事業推進者らによって主張されてきたが、ブラジルの学術的な先行研究の知見に基づき、同事業が小規模あるいは土地なし農民にもたらした「負の遺産」を十分議論し、その教訓に基づいて現在のアフリカへの「適応」について再考されるべきと考える。
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by africa_class | 2013-04-27 20:52 | 【記録】講演・研究会・原稿

国際開発学会(6月8日@宇大)「原発事故から2年、TICAD Vの年に問直す開発と発展~投資/援助と農民主権」

何故こういうことになったのか未だに不明なのですが、5月24日~3週間の間に、何故か4つの学会で研究報告をしなければならず(誘われたのを受けていったらそういうことに)、、、。一個ずつ紹介する余裕がある時に紹介していきます。ネタは全部似たもので・・・すみません。

まずは、国際開発学会第14回春季大会の企画セッション。
コーディネイターは、龍谷大学に移られた西川芳昭教授です。
http://kokutvkaigi.mine.utsunomiya-u.ac.jp/jasid14/schedule.html

本企画セッションは公開企画で、一般の方も無料で参加が可能です。
ただ2時間枠で4人発表なので議論の時間が十分取れないため、「続編」を翌日同じ会場にて、10時~正午まで「続編」を開催します(詳細は末尾)。ふるってご参加ください。

311後の日本で考える「開発」と「発展」・・・・是非ご一緒に。

********************
■原発事故から2年、第5回アフリカ開発会議(TICAD V)年に問い直す開発と発展
「アフリカにおける経済成長と内発的発展~グローバル農業投資と農民主権」


【主催】TICAD市民社会フォーラム(TCSF)有志・大会実行委員会
【共催】宇都宮大学国際学部附属多文化公共圏センター 
【協力】JASID「原発震災から開発・発展を考える」研究部会

●報告者 (座長:大林稔)
1.「311以後の東北農業~農民を根なし草にしようとする政策と抵抗する農民」(谷口吉光、秋田県立大学地域連携研究推進センター)
2.“Legal and Ethical Implications of Land Grabbing"(アンドレアス・ニーフ、京都大学)
3.「農業投資と農民主権~種から考える」(西川芳昭、龍谷大学)
4.「農業開発援助と農民主権~モザンビークを中心に」(舩田クラーセンさやか、東京外国語大学)
■コメンテイター 
・熊代輝義(JICA農業農村開発部長)
・西川潤(前国際開発学会会長)

■企画セッションの趣旨と意義
未曾有の被害と苦悩をもたらした東日本大地震、そして原発事故発生から2年が経過した。日本に暮らす我々の間でも、従来の経済成長を目指す「開発」への疑問が深まりつつある中、本国際開発学会においても「原発震災から再考する開発・発展のあり方」部会が設置されるなど、「開発と発展」の見直しが行われつつある。

さらに、本学会の学会誌『国際開発研究』最新号(Vol.21 No.1/2 2012年11月)では、「開発/発展をめぐる社会学の位相」が特集され、佐藤寛・現学会長によっても「開発と発展」をめぐる議論に立ち戻る重要性が喚起される一方、小倉充夫による巻頭論文では援助研究に留まらない世界的政治経済構造と主体のせめぎ合いから「開発と発展」を考えるべきとの提言がなされている 。また、学会企画として出版された『開発を問い直す』においては、西川潤・前学会長が「開発=成長パラダイムの問い直し」を提起するとともに 、現佐藤会長が、近代化経験を「内発的発展」の視点から振り返ることが日本のみならず途上国にとって重要であることを示唆してきた 。

本年は、1993年から5年に一度開催されてきたアフリカ開発会議(TICAD)の第5回目が横浜市で開催される年にあたる。また、開発援助の風景を大きく変えたミレニアム開発目標MDGsのターゲット年が2015年に迫り、ポストMDGsの議論も平行して行われており、同目標の主要対象地域がアフリカとなっていることからも、TICAD VでもポストMDGsの議論が取り上げられる見込みである。

2000年代より、日本の開発援助は、アジア・南米地域から急速にアフリカ地域へとシフトしているが、アフリカは経済成長が目覚ましい一方、経済格差が広がり貧困者の割合は成長に見合った変化には至っていない現状にある。今、アフリカで何が起こっているのか、それは世界的政治経済構造とどのように関係するのか、地域に暮らす人びとは何を願いどのように生きているのか、構造と主体のせめぎあいの結果社会はどう変化しているのか、このような構造と当事者の変化を受け、開発援助はどのように関わるべきか。

以上の問いは、『国際開発研究』での議論を受けて提起されているだけでなく、冒頭にあげた東日本大震災に伴う原発事故後を生きる日本の我々にとって、アフリカを主要テーマにしつつも「開発と発展」を問い直す上で重要な問いだと考える。

そこで、TICAD Vの翌週に企画される本大会では、原発事故後の日本における開発への問い直しの地平に立ち、経済成長が目覚ましいアフリカの開発と発展を、参加者と共に根底から考える機会としたい。

時間が限られていることもあり、本企画において中心的に取り上げるのは、2007-2008年の食料価格高騰以来アフリカ地域に集中的になされているグローバルな農業投資の問題である。サハラ以南アフリカの圧倒的多数の住民が小規模な農業に従事する中で、このような投資の影響は、地域社会にあらゆる変化を及ぼしつつある。この変化について、世界的政治経済構造を踏まえた上で、内発的発展、とりわけそこに暮らし生きる農民主権の視点から、土地、種、食料について焦点を当て、問題提起・考察する。

なお、冒頭に日本で内発的発展の視点から農民の声を聞いてきた研究者の発表を置くことで、議論を「遠い他者としてのアフリカ」あるいは「我々日本の援助」の問題にとどめず、同時代の世界に生き、形は違うとしても世界的政治経済構造の変化と主体のせめぎあいの中で生きる我々自身の問題として、「開発と発展」の議論をひらいていく試みとしたい。


■「【続編】原発事故か ら2年、第5回ア フリカ開発会議(TICAD V)年に問い直す開発と発展」

*学会時間枠では議論の時間が限られているため、翌朝同じ会場にて「開発」と「発展」について議論を深める機会を設けたいと思います。詳細は 次の通りです。前日したい議論が出来なかった皆さん、別のセッションで参加できなかった皆さんも、是非ご参加ください。

○日時:6月2日(日)午前10時~正午
○場所:宇都宮大学 大学会館(前日と同会場)
○モデレーター:大林稔+西川芳昭
○前日報告・コメンテイター:西川潤、谷口 吉光、舩田クラーセンさやか
○参加自由・申込み不要。直接会場にお越しください。

【主催】TICAD市 民社会フォーラム(TCSF)有志・大会実行委員会
【共催】宇都宮大学 国際学部附属多文化公共圏センター
【協力】JASID「原 発震災から開発・発展を考える」研究部会

(注)
 小倉充夫「開発社会学の軌跡と地平」(7-9頁)「(前略)開発研究という分野は今日の途上国の、しかも「開発する」という問題に限定される傾向が深まっていったと思われる。挙句の果てに、開発に関する議論の多くが開発援助がらみになっていったのではなかろうか。このことには積極的な面もあろうが、他方で、近代以前の資本主義発展の文脈と関係なく、時に表層的に考察されることが多くなったという印象が強い。(略)いうまでもなく今日の途上国の開発も世界的な社会経済の構造や展開と不可分な関係にある。ところが、Developmentに対応する日本語には開発と発展という二語があるため、かえて開発と発展を切り離して考える傾向が生じたのではないだろうか。」
西川潤「イントロダクション 開発の問い直しはなぜ必要か?」西川潤・下村恭民・高橋基樹・野田真里編著『開発を問い直す―転換する世界と日本の国際協力』(日本評論社、2002年、1-27頁)
佐藤寛「日本の開発経験と内発的発展論」西川潤・下村恭民・高橋基樹・野田真里編著『開発を問い直す―転換する世界と日本の国際協力』(日本評論社、2002年、253-268頁)

事前に、これも是非ご覧いただければ。
■援助・開発関係者が読むべき論考:「開発社会学の軌跡と地平」(小倉充夫)「開発/発展」をめぐって
http://afriqclass.exblog.jp/17202555/
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by africa_class | 2013-04-27 02:10 | 【記録】講演・研究会・原稿

ブラジル市民社会代表的組織FASEによる #プロサバンナ事業 批判記事~「ブラジルにもたらした災厄の再現」

このブログでも何度か紹介したブラジルの代表的な市民社会組織のFASEの皆さんが、2013年3月にモザンビークを訪問し、プロサバンナ事業に関する調査を行った結果を、いくつか紹介されています。

JICAが繰り返し、「成功!」と宣伝するブラジル・セラード開発を、ブラジル市民社会がどのように考えているか、そしてその「成功したセラード開発」の「レプリカ(日本政府が賛同するモザンビーク農業大臣談話)」である「プロサバンナ事業」についてブラジル市民社会は調査の結果どのように考えるに至ったのか、知るよい機会だと思います。

なお、モザンビークでは最近「ブラジル=新たな帝国主義」という声も聞かれ、このブログでも紹介している鉱物資源開発会社のVale社の地域社会に対する態度はまさにそのような点がみられますが、このようにモザンビークの人びとの権利のために共に闘う市民社会もあり、その確固たる連帯の姿勢にモザンビークの市民社会も心打たれていると聞いています。

象徴的には、Fatimaさんの1.の記事に書かれています。
結局、ブラジルでもモザンビークでも、小農らは、民衆の食料安全保障や主権、土地の権利を保証するためには、アグリビジネスのモデルによる権利の侵害や社会・環境的な不正義との闘いを強化しなければならないのである。モザンビークにおけるブラジルの存在が小農の権利を強める一方、世界の正義と格差を縮小することを目的としてブラジルがグローバルなアクターとして成長する能力を示すかどうかが問われている。

「ブラジル=悪」というわけでは勿論ないので(言うまでもないですが)、その点は念頭に置いていただければ。現在の日本の状況をみれば、「子どもの権利」を侵害している沢山の大人たちがいます。何もしない大人も含めて。これは世界的に非常に厳しい目で見られています。

私の中では、福島やその周辺の子どもたちの権利侵害を強要・許容する日本政府・政治家・企業・社会と、アフリカの小農の権利を侵害する政策を援助で応援する日本の援助関係者の闇と罪は、同根だと思っています。

なぜそうなるのか?
日本の子どもたちも、モザンビークの小農も、
その声はあまりに小さく、
自分の権利を侵害するものは巨大で何が起こっているか容易に掴めす、
そして、あまりに日本の権力の中心から遠いから、
利権を前に、容易に踏みじれるからです。

気づいた人、組織の中にいるあなたも、がんばりましょう。
あなたが開発援助について学び、その分野で働こうと思ったのには「理由」があったはず。

追悼:農村の貧しい人の側に立ち闘い続けた開発経済学者にして活動家José Negrão教授から学ぶ
http://afriqclass.exblog.jp/17641224

日本の子どもたちを守ることも、
モザンビークの小農の権利が奪われないよう一緒に闘うことも、
正義のためだけでなく、実は自分の権利を守ることなのです。

そしてそのさらに先に、子どもよりも小農よりもさらに声が出せない「生きとし生けるすべてのもの」、かげがえのない環境や、生命の未来がかかっているのだ・・・ということを、今一度思い出してほしいなあ、と思います。
がんばりましょう。

1.のみ訳したものを掲載しておきます。
と書いたら、すでに掲載していました・・・こちらをご覧ください。
全訳:http://afriqclass.exblog.jp/17534960/
他の記事はぼちぼち・・・・がんばります。

また、ブラジルの他の機関のウェブも紹介しておきます。

■「FASEの チームがモザンビークを訪問」
"A Equipe da FASE Visita Moçambique” 21/03/2013 
http://fase.org.br/v2/pagina.php?id=3835

1. "O que quer o Brasil com o ProSAVANA?"
Por Fátima Mello, do Núcleo de Justiça Ambiental e direitos da FASE
(2013年3月21日)
【ポルトガル語】http://www.fase.org.br/v2/pagina.php?id=3837
【日本語全訳】全訳:http://afriqclass.exblog.jp/17534960/

2. "Visita à Moçambique: país de lideranças fabulosas"
Por Vilmon Alves Ferreira, Educador Popular Técnico da FASE Mato Grosso
(2013年4月12日)

あとは、以下の記事を書いたFatima Melloさんのインタビュー記事が以下に掲載されています。
3. 「プロサバンナ:複数の矛盾する利益 ファティマ・メロとの特別インタビュー」
Instituto Humanistas Unisinos インタビュー2013年4月3日 
"ProSavana: interesses múltiplos e contraditórios. Entrevista especial com Fátima Mello"
http://www.ihu.unisinos.br/entrevistas/518948-prosavana-interesses-multiplos-e-contraditorios-entrevista-especial-com-fatima-mello

さらに、この記事がブラジルの「土地なし農民運動(Movimento dos Trabalhadores Rurais sem Terra」のサイトに掲載されていることも象徴的ですね。

4.「モザンビーク人らは、土地を奪うアグリビジネスのサガを非難」
2013年4月10日 Do Canal de Moçambique
"Moçambicanos denunciam a saga do agronegócio em usurpar suas terras"
Por Aunício da Silva
【ポルトガル語】http://www.mst.org.br/Camponeses-mocambicanos-denunciam-a-saga-do-agronegocio-em-usurpar-suas-terras
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by africa_class | 2013-04-26 20:25 | 【考】土地争奪・プロサバンナ問題

Why&How Negrão先生はモザンビーク土地法(1997年)成立に尽力したのか?~農民にとっての土地、学者

Negrao先生についてはこちらを先に
→http://afriqclass.exblog.jp/17641224/


ジョゼ・ネグラオン先生が、どういう想いで土地問題に関わったのか、以下のインタビューを。訳す暇がなく、すみません。アフリカ中の農民の土地の権利が危うくなっている現在において、一読の価値があると思います。一応抜粋を貼り付けておきます。

そして、先生と一緒にこの土地法制定に尽力したのは、お馴染みのUNAC(モザンビーク全国農民組織)です。

「ゾーニング」という、プロサバンナで今問題になっている概念が、当時どう議論されていたかに触れる良い機会でもあります。

なお、先日紹介したモザンビーク市民社会組織が何故、「第二の構造調整」とG8 New Alliance for Food and Nutrition for Africaと称したのか良く分かります。

■Interview with Prof José Negrão, Hero of Mozambique's Poor
Dr. José Negrão speaks with Oxfam America about the 1997 Land Law that has created opportunities for thousands of farming families in central Mozambique.
「ネグラオン博士がモザンビーク中部の何千という農家に機会を与えた1997年の土地法について語る」
http://www.mokoro.co.uk/files/13/file/lria/interview_with_professor_jose_negrao.pdf

土地法に関わったのは?
  It was around 1990, more or less, when the civil war peace agreement was being discussed. At that time the first thing we saw was the Dominglatura [the urban elite] mainly in Maputo, started realizing that the war was more or less over.

 So they started to grab land in order to do business. For example, [they did business] speculation with white Zimbabweans, with white South Africans, and God knows whoever else would come.

 So at the time of the peace agreement [it was in1992], we started foreseeing problems of scarcity of land in the countryside, not because all of the other land was being used, but because land with infrastructure was being allocated to new people, not in the field, but to ministers, foreign ministers, these kinds of people.

 Everyone [government officials and businessmen] became very afraid because of the resettlement of about five million Mozambicans who had been refugees in neighboring countries, and also internally displaced people. They were returning to their land.

 At this time, the World Bank came up with a proposition, which was when structural adjustment programs were very strong in Africa.

 The World Bank came up with the same proposition they did with every other program in the 90s, by titling every single family. The meaning of it was that they did not recognize communal rights, just individual rights, titling families and not communities. That was the bank's proposal. They assumed that this type of titling was something feasible.

 I should tell you that, at that time, just ten percent of the land in Africa was titled. Titling is really very complex, because it is a process. Just for you to have an idea, and for the readers in the US to have an idea, in my country, we have not been able- until today- to issue an identity card for every single citizen. Can you imagine the titling of land for each

 It would mean three million titles, it would be an unending process. It would be impossible, but that was the proposal of the World Bank.

 The government came with a proposal called "zoning." This means [the government would issue] a specific area for the private sector, another area for small holder, another area for state reserves like nature reserves, another area for towns, etc.
 
 I was working at the University, and wrote a paper saying this plan was not feasible and that it was a mistake. The proposal of the government was one hundred years old. It was the same proposal of the Portuguese settlers, from the end of the 19th century when they created native reserves.

 The proposal was to keep the dualistic idea that small holders would keep being small holders and that they would not become entrepreneurs, and they looked to small holders just like employees of the private investors.
 
 Why not think of the transformation of the small holder, individually or collectively? It can be done. So that was the main point, and I tried to criticize that position, of zoning by property, and not zoning by the potential of the land to be used for agriculture or cattle breeding. I believed that there was a possibility for collective titling, and not just for individual titling.
 
 The main point was that even if we agreed, technically it was totally impossible to do it. The World Bank tried to do it [private titling] in Ghana, and in ten years they spent something like 50 million dollars, and they have been able to title just 10 percent of the families.

 The point is, what is the alternative? And that's the moment when I came up with an alternative. 

 Why does the State only recognize the rights of land occupancy, the rights of the people, only when they have a written title or a piece of paper? Why doesn't the State also recognize the oral testimony of these people?

 Several civil society organizations read the paper. When they read it, I started receiving calls, and when it came to the press, several people called me, and said "we are nterested in developing these ideas." And that was the moment when it started.

 A lot of organizations followed suit, and we went to the Parliament and won. It was a lot of lobbying. More than 50,000 people in this country were conducting a land campaign.

One day I woke up, and I said "I'm afraid!"
I'm not supposed to have 50,000 people behind me. It's incredible! Even today there is always someone that recognizes me, and says, "Wow, this is the person that was involved in this thing. I was not expecting it.

The movement was much bigger than any initiative on my side, the movement was theirs.
The message was to orient to the demand. It was not supply driven, but demand driven. They said "this is what we want!"
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by africa_class | 2013-04-18 15:23 | 【考】土地争奪・プロサバンナ問題

批判される「G8食料安全保障と栄養のためのニューアライアンス」…「企業利益がハイジャック?」

ややお久しぶりです。
 ProSAVANAに関する4月2日のセミナーの、今度は中身の問題について書かなくてはならないのですが、他にやることが山ほどあってなかなか時間が取れません。書きたかったのは、驚くべき「歴史の書き換え」です。こうやって、「公的な歴史の書き換え」が、「公式表明」によって後付的になされていくのですね。戦前から繰り返されてきたことではありますが、既に21世紀、しかも「国際協力」だというのに恐ろしいことです。
■この点以下のブログの冒頭に加筆しておきました。
→http://afriqclass.exblog.jp/17362546

<<今日の話は、「食料や栄養」という言葉を使った利権の話>>
かつて、私は「食糧増産援助」という名前の農薬利権と闘っていました。
311後はっきりしたと思いますが、
「瓦礫消去」という名前の隠れ補助金・・・。
「除染」という名のゼネコン補助金・・・。
「安定電力」という名の原発利権・・・・。

そして、「小農支援」という名のアグリビジネス利権・・・。
今回は、「食料・栄養」という名のやはりアグリビジネス利権のお話。
(なお、食料安全保障のことをそんなにいうのであれば、国民の3分の1が栄養不良の「農業大国」ブラジルも問題にすべきなんですが。)

<<本題>>
 さて、以前も紹介したモザンビーク若者の市民社会組織ADECRUからの声明が届きました。日本も参加する「G8アフリカにおける食料安全保障と栄養のためのニューアライアンス」への批判声明です。日本は、米国と共にアフリカではモザンビークを担当中・・・中にProSAVANA事業もコメと並んでリストアップされています。(以下の外務省サイトに、わざわざProSAVANAだけが具体的な事業名として掲載。)

 これまた、「アフリカの人びとの飢えと栄養不足の解消・・・・素晴らしいじゃない!」のはずのG8の約束なんですが、今回のモザンビークCSOだけでなく、世界の市民社会組織からも批判が相次いでいます。

 大半の批判ポイントが、結局のところ、グローバルなアグリビジネスのアフリカへの流入に道を開くものだという点にあります。フォーカスは、タネ(遺伝子組み換えを含む)、土地、市場ですね。

 訳す暇がないのが残念ですが、是非一読を。その前に、まずはオフィシャルストーリーも確認してくださいね。

■アメリカ政府やUSAIDの情報
→http://www.state.gov/s/globalfoodsecurity/190282.htm
→http://www.usaid.gov/g8
■日本の関与
G8食料安全保障及び栄養のためのニュー・アライアンス
→http://transition.usaid.gov/g8/JapanInDepthTables.pdf
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/camp_david12/side_event2.html

■ドイツ市民社会グループ(15団体の声明)
Working Group Food and Agriculture of the Forum on Environment & Development
2013年1月
「構造調整2.0」
"Structural Adjustment 2.0 "
http://www.forumue.de/fileadmin/userupload/AG_Landwirtschaft_Ernaehrung/Message_G8-Initiative_New_Alliance_16012013_Englisch.pdf
"G8 Initiative “New Alliance for Food Security and Nutrition in Africa“ paves the way
for radical opening of markets for international seed and agrarian corporations in
African countries."
<=「G8のニューアライアンスは、国際的なタネとアグロ企業のために、アフリカ諸国の市場をラディカルに開かせる第一歩となる」

■国際NGO・GRAINの3月11日の記事
"The G8 and land grabs in Africa"
「G8とアフリカにおける土地争奪」
http://www.grain.org/article/entries/4663-the-g8-and-land-grabs-in-africa
*具体的なデータを示しながら、このニューアライアスの問題を土地争奪に絡めて説明しています。
*Grainといえばこのブログでもお馴染み。プロサバンナに関するインタビュー全訳はこちら
→http://afriqclass.exblog.jp/17062266/

■WILLIAM G MOSELEY先生も
Chair of Georgraphy at Macalester College, St Paul Minnesota.
(Pambazuka | 8 November 2012 )
"The corporate take-over of African food security"
「アフリカ人の食料安全保障を企業が乗っ取る」
→http://farmlandgrab.org/post/view/21289
"There is a new, but deceptive, foreign drive to end hunger in Africa through large-scale agribusiness. Yet helping poor households in rural Africa feed themselves in an affordable manner means introducing low-cost, sustainable enhancements to farming.
Corporate interests have hijacked African food and agricultural policy. They are behind a new green revolution for the continent that is pushing a capital-intensive approach with farms, supply chains and expanding international markets. This approach is a step backward to concepts of food security prevalent in the 1960s and 1970s. As a result, Africans will remain hungry......."
「企業利益がアフリカの食料と農業をハイジャックしている・・・・」

■モザンビーク市民社会組織ADECRUによる声明
とても興味深いのは、彼らがこの「ニューアライアンス」を、「21世紀における構造調整の最終かつ暴力的な段階」と呼んでいることです。なぜ彼らがそう考えるのか、すぐに反発するのではなく、真摯に受け止めましょう。

*なおADECRUの世銀ビュッフェ拒否声明はこちら。これも凄く重要な論点を突いていることに関心しました。「形ばかりの市民社会の参加」・・・このブログの読者には既にお馴染みの話題ですが、それを受ける側の心情が明確に吐露されていて一読の価値があります。普段は穏やかなモザンビーク人だけに。。。
→http://afriqclass.exblog.jp/17359775/

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Position of ADECRU on "The New Alliance for Food Security and Nutrition in Africa"
2013 April

The group of eight countries with economies considered the most developed of the world, known as G8, in collusion with the Government of Mozambique, giant transnational corporations and multilateral financial institutions proceed, in the next 10 and April 11, 2013 in the Mozambican capital, Maputo, the official launch of the last and violent phase of structural adjustment of the XXI Century, masked and expressed in the so-called "New Alliance for Food Security and Nutrition in Africa".

The New Alliance stems from an agreement signed by some 40 countries and financial institutions and multilateral organizations international in 2009 at the G8 summit of L'Aquila, Italy, after having been presented for the first time by the Government of the United States of America, under the leadership of President Barack Obama With this initiative, the G8 argues that want to cooperate with the African Governments to release 50 million Africans in poverty, 3.1 million of which in Mozambique between 2012 and 2022. With that agreement was also established a supposed Program for World Agriculture and Food Security of the World Bank estimated at US$ 20 billion.

Six African countries, of the 20 planned, have already joined the New Covenant: Burkina Faso, Côte d'Ivoire, Ethiopia, Ghana, Mozambique and Tanzania.

In Mozambique the operationalisation of the New Alliance will be led by the World Bank, World Food Program, Japan International Cooperation Agency (JICA), American Agency for International Development (USAID) and major transnational corporations of agribusiness such as: Cargill, Itochu, Syngenta, Monsato, Yara, African Cashew Initiative,
Competitive African Cotton Initiative, Corvuns International, AGCO, Nippon Biodiesel Fuel co.ldt , Vodafone, SAMBMiller, etc.
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by africa_class | 2013-04-13 00:08 | 【考】土地争奪・プロサバンナ問題

プロサバンナ・セミナー開催、but for what?(「期待」のためモザ・伯国から30名&70万円強の会場費)

昨日は関西からトンボ帰りで東京へ。
JICA主催のプロサバンナ「国際セミナー」に参加するため。
モザンビーク・ブラジルから30名近くが来日して行われたセミナー。しかし、この来日もセミナーも、最初から最後まで不透明なまま・・・の大騒動でした。はあ~。

病み上がりであまり校正が入れられないのですが、重要なポイントなので流しておきます。なお、このたった3時間(当初予定2時間半)のセミナーで使われた会場の使用料はなんと73.5万円!!!
http://www.bellesalle.co.jp/bs_hanzomon/price/
(自分の目でみてみましょう。一般の人の給料の数か月分…。先月3人をモザンビークから1週間お招きし80万円強でしたが…。庶民の感覚ではいけないのでしょうか。)

311後の日本にこんな余裕があるんでしょうか?ウーン、意味が分かりません。いってくれれば、大学の施設でもなんでも協力したのですが…。都内は山ほど大学がある。でも、私たちがこのセミナーを公的に教えてもらったのはセミナーから10日を切った段階だからまず無理ですが・・・。

しかもそのようなお金を払う意味があったのか?セミナーの目的は次のようなものと書かれています。

セミナーの目的:「JICAは、ブラジル国際協力庁、モザンビーク農業省と共催で、日本・ブラジル・モザンビークの三角協力によるアフリカ熱帯サバンナ農業開発事業(ProSAVANA-JBM)の事業の紹介及び、ブラジル・モザンビーク両国からご参加頂く政府関係機関、現地農民組織等より、当事業への期待についてお話しをいただくセミナーを開催します。」

つまり、「事業紹介」と「事業への期待についてのお話」のために、会場費に70万円…なんですね。一緒に参加した開発コンサルの友人が、「何これ?何のためやってるの?現場ではお金を切り詰めさせられているのに?しかも中身がない。宣伝と期待を話すためにわざわざこんな大規模な会議必要なの?」。

しかも、「議論」なるものもオープンではなく、質問票をProSAVANAの推進者である本郷さんが取捨選択して、モ・ブ関係者に話させただけ・・・。つまり、インプットは何もない、プロパガンダのためのセミナーだったんですね。これ、国民へのアカウンタビリティに資する点はまるでなかったイベントでしたねえ。なのに、この70万円からのお勘定も納税者持ち。この不景気の、311後の日本で、ProSAVANAは何かと景気が良い話ばかり。

そして、内容は、2週間前にモザンビークで行われたステークホルダー会議なるもので発表されたマスター・プランの詳細ですらなかったのです。勿論、目的が、「事業紹介」と「期待」だからというのもありますが、2009年に合意され4年近くが経過して、未だに「期待」の話のために、こんな大量の税金使うのでしょうか?庶民の常識をかなり逸脱した事業だということは前から思っていましたが、ますますそうですね。

でも、このセミナーと合同ミッション、それ以前から問題多発だったんです。今だから明かす舞台裏。

1. 不透明でアカウンタビリティを欠いた今回のミッション
 まず、日本のNGOがこの「ハイレベルProSAVANAミッション」なるものの来日を知ったのが3月14日。残念ながら、プロサバンナ事業の定期協議会を行ってきたJICAからでも外務省でもないモザンビーク筋から。その間、毎日のように外務省ともJICAともやり取りがあるのに、こんな議論の時間を割いている援助事業について意見交換をする市民社会側に、一切報せなし。計画と予算措置なしにこのようなお金のかかるミッションを行うわけがなく、ずっと前から計画があったはずも、2回の意見交換会でも何一つ言及してこなかったのです。
 まあ、「忙しかったのね」と優しいフォローを入れてあげたくなるところですが、この先が酷い。

 正式にODA定期協議会の枠組みから、ミッションの詳細(スケジュールと参加者)と来日するという「農民組織」の名称と面会希望、公開での討論会を依頼。しかし、何日経ってもなしのつぶて。
 何人かのNGO関係者が直接JICAに電話を繰り返し、ようやく3月22日になって、「ミッションは来る。4月2日にイベントをする。詳細は未定。農民組織名は不明。会えるかどうか不明」・・・という情報ともえいない情報が届きました。日本のNGOも大変忙しい中、ProSAVANAのフォローアップをしているというのに、これでは何の予定も立てようがありません。
 
3週間前にモザンビークに赴いたばかりの参議院ODA特別委員会の議員さんのところには、情報があるだろうということで、複数のNGOから問合せ。しかし…。何と、彼らの誰一人も、このハイレベルミッションご存知なかった!モザンビークからの来日者は、彼らがモザンビーク訪問時に会いたいと希望していた面々(農業大臣・州知事など)。国会の日程が変更になり、残念ながら帰国が早まり会えなかったことについては既にお伝えした通り。
 わざわざ先方から日本のお金で来日するというのに、何故真っ先にお知らせして面会をアレンジしないのでしょうか?国会議員の中で、ProSAVANAに関心を有しているのは、この先生方であることは間違いなく、外務省もJICAも繰り返し、ProSAVANAについて話すために議員事務所を訪れている。しかし、あえてこのハイレベルミッションについてはまったく知らせず。さすがに皆さんご立腹。
 
 3月26日、議員事務所からJICAに来日者や予定をお願いするものの、その日の夜に出てきた情報は4月2日のセミナーのものだけ。 しかも、彼らの日本への出発は29日だというのに、農民組織名も代表者名も知らせてもらえず・・・。ようやく出てきた団体名は、「農民組織」のものではなく、商工会議所のもの・・・。

 以上から明らかになったことは、JICAや外務省が、この「ハイレベルミッション」の詳細、特にスケジュールと来日する農民組織名称を、国民の代表である国会議員にも、この件で「対話」を積み重ねてきたNGOにも、知らせる気が毛頭なかったという事実。

 この時点で、すごく不透明で、アカウンタビリティに欠けている状態。
 ODAを支えているのも、来日の予算を支えているのは、国民と納税者。しかし、これらの代表者らには伝えず、ハイレベルミッションの詳細を早くから知らせてもらい、打ち合わせてもらっていたのは、「メディア」「企業関係者」でした。

 このことに、立案から現在までのProSAVANA事業の典型が見受けられます。税金で支えられた、透明性やアカウンタビリティ、情報公開が不可欠な事業であるという意識がまるで感じられません。

 援助案件にもかかわらず、「官民連携」の掛け声の下、無視され軽視され続ける納税者や市民社会、さらには国会議員の姿が象徴されているといえるでしょう。
 
2. 何故彼らはギリギリまで情報を隠したのか?
では、彼らは何故情報をギリギリまで隠したかったのか?
それは、①NGO側に都合の悪い状況を生み出されたくない、②都合の悪い情報があった。
①についてはまた今度。
②について、考えてみましょう。

 JICAや外務省が今回重視したのは、2月末のモザンビーク最大の農民組織UNACと環境団体JAによる、プロサバンナ事業への異議申し立ての打消しだったと思われます。勿論、そのためにはモザンビーク政府の代表やブラジル関係者の来日が重要ですが、より重要なのは誰か?
 
 ズバリ、「農民組織代表」です。

 彼らが、ProSAVANA事業に異議申し立てを行ったUNAC(モザンビーク全国農民連盟)をどう扱ってきたか既に紹介した通りです。2200組織の連盟で、小農の権利を守るための連合組織であり、モザンビーク最古・最大の組織であるというのに、「反対派」のレッテルを貼り、その会長になかなか会おうとせず、表敬訪問も事務官に対応させる一方、日本から派遣された議員団との面談をスッポカさせようと画策したのはご存知の通り。

(詳細→http://afriqclass.exblog.jp/17470123 「自己崩壊する日本の外交と開発援助~ #プロサバンナ を事例に(議事録・スッポカシ・農民分断問題」)
 
 JICAも外務省も、繰り返し「賛成している農民組織も沢山ある」「UNACは単なる1団体に過ぎない」と連呼し、その「賛成派農民組織代表」を来日させることが今回の狙いだったことは明白。当初、「事業対象地の、ニアサ、ナンプーラ、ザンベジア州から農民組織代表を招へい」といっていたのに・・・・。

 来日したのは1農民組織に過ぎませんでした。
 農民組織の選定はプロサバンナの対象とする各州にお任せ・・・・すると?
 
 そして、彼らは当初気づいてなかったのですが、一番避けたかった事態が生じました。
 それは・・・・なんと、ニアサ州によって「農民組織代表」として選ばれたのは、UNACのニアサ州組織代表Pessego氏だったのです!!!


3. 正当性が証明されてしまったUNACと慌てるJICA、分断の危険
 いつの時点でJICAがこの事態に気づいたのかは不明です。
 しかし、来日した「農民組織代表」は、UPCN (União Provincial de Camponeses do Niassa)つまり、UNACの加盟組織なのです。パワーポイントで使われた写真も、先日来日したUNACマフィゴ代表のものと同じだったほど。

 では、ポルトガル語のお勉強。

 União Nacional de Camponeses (UNAC 全国農民連盟)
 の各州の組織が、União Provincial de Camponeses de ----州です。
 つまり、れっきとしたUNACの組織の名称。

 そして!!!!!
 プロサバンナ批判声明を出した組織の一つなのです。以下の声明にばっちり冒頭に組織名が出てきます。
→http://farmlandgrab.org/post/view/21204

 なのに、彼の団体名は、何度聞いてもNGOは教えてもらえず、彼らが出発した先週金曜日にようやく知らされた団体名は・・・・。これにも驚き。

 UNACの一支部であることはまったく言及されないまま、「ニアサ生産者団体」、でも「組合かも?」という曖昧な日本語でJICA倉科課長からNGOに連絡が来た・・・ほどの丁寧さでした。

 しかし、今だから言いますが、私たちは勿論知っていたのです。しかし、招聘者であり主催者であるJICAから情報を得るのが筋ですし、どう理解しているのか、どう説明するのかを見ることもまた、Watch Dogとして重要な使命。議員との面談の件といい、こういう工作、本当に不要です。JICAの皆さんの説明責任の放棄や不透明さを強めるだけ。

 この程度の事実を隠さなければならないような援助事業、本当にいい加減見直しては如何でしょうか。ちなみに、このようなことはすべてモザンビーク社会にも丸見え。現地の市民社会にとって、日本の援助は、このプロサバンナ事業のせいで、既に中国とそん色のないほど不透明なものとして理解されていること、依然ご存知ないのでしょうね・・・。

 彼らが来日者を隠したかった理由はもうお分かりかと。私たちの事前接触を避け、彼が公の場で「ProSAVANA反対」を述べないために行われた数々の工作・・・について、私たちは心を痛めています。大臣から州知事まで20名近くの派遣団の中で、「反対」「異議」を唱えられるわけもなく、セミナーにいらっしゃったPessego氏は非常に硬い苦しそうな表情をされていました。

 そして、彼のパワーポイントは彼が作ったものではなく、JICAモザンビーク事務所が作成。その証拠に、彼は自分の原稿なしに話が出来ず、わざわざ席に取りに戻ったほど。そして、UNACの活動目標であるLuta pela participacao activaという「権利確保のための積極的な参加への闘い」(この方も明言していた)の訳は薄まっていました。

 さらには、休憩時間中にPessego氏と日本のNGOが話をしているそばには、JICAのプロバンナ・コーディネイターのブラジル人女性スタッフ(ジュスメイレ・モウラオン)氏がぴたーーーと付き添って、彼の発言を監視していました。さらには、彼のセミナー後の通訳は、我らが「ProSAVANAの生みの親でCerradoの生き字引の本郷さん(byJICA2009年6月)」が、手振り身振りで白熱して行っておりました。実はそのあとのNGO懇談会で、JICAブラジル人スタッフ(モウラオン氏)が行った通訳は問題だらけだったことが発覚しています。以下、英語ですみませんが・・・。

Pessego氏の話したこと:
“The invitation came from the government [of Mozambique]. I think ... because our Union disturbed our government. We, as a Union, have repeatedly been asking the provincial directorate of MINAG questions such as “for whom is ProSAVANA?” and requesting more clarification from them. We also participated in meetings on ProSAVANA and asked many questions related to the [impacts of the programme on] small farmers. Due to such intervention and doubts, as small farmers, I think, the local direcção [the MINAG’s provincial office] wanted to invite us.” (speech by the UPCN’s representative originally in Portuguese, translated by the author from the informal minutes, April 2, 2013).

JICAブラジル人スタッフ(Mourao, ProSAVANAコーディネイター)の訳:
“About our cooperation and relationship with the government, we were invited because the Union wanted to know what ProSAVANA is, and had asked questions to the government. The Provincial directorate invited the Union from the beginning and explained the design of the project [ProSAVANA]. The Union also held some meetings with the government. That is why I came here. I came to participate and to tell you, that is, the audience of Japan, our expectations as small farmers [of the programme]” (extracted from the informal minutes without any corrections, April 2, 2013).

全体がこんな調子だったのですが、その場にいらっしゃったポルトガル語も英語もとても堪能な本郷氏は何も修正せずだったのです。残念。

さらには、Pessego氏と日本のNGOとの面談は、何故かブラジルABCや農業省担当者が同行する形でしか実現しませんでした。さらに凄いのは、最後まで、Pessego氏がUNACの下部組織の代表であることは、隠されたままセミナーは終了!

 セミナーでは、結局、Pessego氏は、「プロサバンナ賛成」も「反対」も唱えませんでした。彼のギリギリの努力でした。課題として用意していた話もされませんでした。あの状況でそれを出来るモザンビーク人は多くはないでしょう。そして、彼はこの度どれほどの圧力を受け続けているのかと考えると、本当に申し訳ないです。
 
 ニアサ州知事が「州の農民組織代表を選べ」と言われて当然のごとく選んだのがUNACニアサ支部なのです。それほどまでに、UNACは「一団体」「ごく一部の偏った団体」などというものではないのです。UNACの10月11日のProSAVANA声明以降、JICA内部では、UNACが野党のものであるとか、反政府のものであるとか、国際NGOに牛耳られている団体であるとかの「噂話」がまことしやかに囁かれ、メディアや議員にも囁かれていますが、実際そうではなかったことを、この合同ミッション自身が証明してしまいました。

 だからこそ、Pessego氏の取り込みを全力でJICAもモザンビーク農業省もやってくるでしょう。 なぜ、モザンビークの「農民の組織化を支援する」というProSAVANA事業が、このように農民組織内部を分断するような状況を進んで生み出しているのでしょうか?

 まさに、日本の地方公共事業、ダム建設や原発建設と同じことを、遠いモザンビークで繰り返しているのです。最初からそうこのブログでも問題提起してきましたが、ますますその様相がはっきりし、実の所私としては胸の中に哀しい痛みを覚えています。それでなくとも沢山の課題を抱えるモザンビークの小農たちに、われわれの問題を輸出している状態だからです。

4. セミナーはなんだったのか?
そしてこのセミナーの詳細(といっても大した詳細ではないですが)を掲載したサイトが既に消去されているということでした。こういうことになるだろうと思って、保存しておいたものを抜粋し貼り付けます。

===
国際セミナー「ProSAVANA:アフリカ熱帯サバンナの持続可能な開発を目指して」

*なお、当日配られたのもウェブにあったのと同じ内容。発言した方々の所属団体も名前も分からないまま(口頭アナウンスはあったものの)、終わってしまいました。
*内容のお粗末さについては冒頭で述べた通り。面白い発見も多々あったのですが、それは後日。

1.日 時 :2013年4月2日(火)14時30分~17時00分
(その後、懇親会を予定しております。)
2.会 場 :ベルサール半蔵門 HALL A

プログラム内容
1. 開会挨拶:JICA田中明彦理事長
2. 共催者挨拶:ブラジル国際協力庁 フェルナンド・マローニ・デ・アブレウ長官
3. 基調講演:モザンビーク農業省ジョゼ・パシェッコ大臣
演題「アフリカ熱帯農業開発への取組みとProSAVANAへの期待」
ゲストコメンテーター:FAOポルトガル語圏共同体
エルデル・ムテイア代表(元モザンビーク農業大臣)
第1部
4. 講演:モザンビーク農業省/JICA/ブラジル国際協力庁共同発表
ProSAVANA事業紹介「地域住民の生活向上を目指して」
「ProSAVANAの目標・現状・課題と開発計画概要」
休憩(15分)
第2部
5. 講演:ProSAVANA事業への期待「Social Inclusionと環境保全の両立と責任ある農業投資」
講演者:モザンビーク農民組織代表者、モザンビーク北部ナカラ回廊地域州知事、モザンビークアグリビジネス企業代表者、伊藤忠商事株式会社代表者
第3部
6. 質疑応答
7. 閉会の挨拶
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by africa_class | 2013-04-03 20:06 | 【考】土地争奪・プロサバンナ問題

ブラジル市民社会の #プロサバンナ 批判~「我々の歴史的紛争の輸出事業」

モザンビークを調査のため訪問していたブラジル市民社会組織FASE(Federação de Órgãos para Assistência Social e Educacional )の記事が届きました。

FASEはブラジル関係者なら知らない人はいない、民衆の権利を守るために闘ってきた代表的な市民社会組織で、50年以上の歴史を誇る団体です。ブラジル6か所にリージョナルオフィス、リオに本部を置く組織です。

60年代に市民の組織化を促すために誕生したものの、1964年の軍事独裁政権の成立後、弾圧を受けながらもこれとの闘いを続けて、1985年の軍政終焉と民主化に重要な役割を果たしました。

この軍事独裁政権と日本が強力に推進したのがブラジル内陸部のセラード地域の農業開発(PRODECER)でした。そのプロセスで、そこに長年にわたって暮らしていた農民が土地を奪われ、生活を破壊されていったプロセスについては既に多くの研究が出ている通りです。(このブログでも紹介しているのでご覧ください)

歴史の皮肉は、このような沢山の市民組織、農民組織、労働組合といった社会運動を背景に誕生したルーラ大統領が、貧富の格差是正のためにBolsa Familia等の現金給付政策を導入する一方で、遺伝子組み換えの流入や森林破壊を許す新自由主義的な経済活動を許したこと、そしてブラジル・アグリビジネスの利権を拡大するためにアフリカに触手を伸ばすProSAVANA事業のようなものの推進者と転じたことでしょう。

これを受けて、FASEは、現在ブラジルの海外政策にも目を向けて調査・アドボカシー活動をしています。中でも、ProSAVANAに早くから注目し、調査を続けています。
●レポートはバイオディーゼルについてですが最後の方にプロサバンナについても言及があります。
http://issuu.com/ongfase/docs/internacionalizacao-etanol-biodiesel

さて、そのFASEのモザンビーク訪問については以下の記事をご覧ください。
http://www.fase.org.br/v2/pagina.php?id=3835

そこに掲載されている記事を訳しておきました。
とても重要な点が多々書かれているので、是非ご一読を。
何より重要なのは、ブラジルで歴史的に問題になり続けている、アグリビジネスによる小農の権利の剥奪の問題が、日本・モザンビークによって行われるプロサバンナ事業が再生産することにある点への警鐘でしょう。

彼らは、3月下旬にマプトで行われたステークホルダー会合に出席し、そのことを明確に悟ったといいます。同>ステークホルダー会議では、表面上は、「小農支援」「持続可能な農業」などが繰り返し説明されたものの、実際は当初の事業デザイン時と変わらず、「『アグリビジネス』と『小農』の『共存』」というレトリックが使われており、この「共存」という仮説は、ブラジルでは存在してこなかった点について、1960年からブラジル小農や土地なし農民の側に立ち、このプロセスを間近で見て、闘ってきた市民社会団体としての立場を明確に述べています。

そして、モザンビーク北部小農の願いが、「援助で救ってあげるよ」という美味しい話の一方で、アグリビジネスの流入を「保証」していく事業が進められていく実態を、鮮やかに示した良い記事だと思います。時間がなくてしっかりとした訳ではないのが申し訳ないですが、どうぞご一読ください。

=======================
ブラジル、日本、モザンビークの政府は、モザンビーク北部のナカラ回廊と呼ばれる地域で、巨大なプログラムを始動させようとしている。同地はブラジルのセラードに類似する地形的・環境的特徴を有する。

対象地のコミュニティへの情報の欠如、あるいは、歪められ矛盾する情報が与えられるなかで、プロサバンナ事業とは、30年先を見据えた事業であり、ナンプーラ、ニアサ、ザンベジア州という、5百万人近くの小農が暮らし、この地域(ローカル及びリージョナル)の人びとの食料を生産する州の約14.5百万ヘクタールの地域を包含した事業であるという。

小農コミュニティは、まさにプロサバンナ事業による投資が来るとされる地域に、集中的に存在している。

ブラジル国際協力庁(ABC)は、現在この事業への批判はコミュニケーションの失敗によるものだと強調するが、モザンビークの市民団体や社会運動との対話から明らかになったのは、問題はもっと根深いところにあるということである。

ブラジルは、モザンビークのサバンナに、我々自身が経験してきた歴史的紛争を輸出しようとしている。この紛争とは、輸出のためのアグリビジネスによる大規模なモノカルチャーのモデルと、小農民や家族経営農民による食料生産システムの間に起こったものである。

マプートで発表されたプロサバンナ事業に関する最新の情報では、このプログラムの責任者らは、ナカラ回廊に「高価値作物」栽培に向けた民間投資を奨励するため、地域を「農業クラスター」に分けた地図を示している。

「企業的」農業による穀物生産(大豆も含まれる)。「家族経営農民」による食料の家族生存のための生産。「中・大規模商業的農業」による穀物・綿花生産。「中規模農民・家族経営農民」によるカシューやお茶生産。すべてのカテゴリーによる「食料と穀物の統合された生産」という分類である。

つまり、大規模アグリビジネスと家族経営/小規模農民といった二つのシステム間の共存とハーモニーが可能という古い仮説に基づいているのである。しかし、ブラジルではこれ(大規模アグリビジネスと小農が共存するという前提)こそが、深刻な紛争の源泉となっている。

政府は、このプログラム(プロサバンナ事業)がモザンビーク小農生産のための事業であることを保証するという。

しかし、ブラジル国際協力庁は、2011年、(*ブラジル)セラード地域にあるマトグロッソ州の40人の企業家が、ナカラ回廊にどのようなビジネスチャンスがあるのかを特定するためのミッションを支援した。

マトグロッソ綿花生産者協会(AMPA)の会長は、「モザンビークは、アフリカの中のマトグロッソである。タダ同然の土地、環境規制があまりなく、中国よりも安い労働力の最前線である」と述べている。

モザンビークでPRODECER(*日伯セラード農業開発事業)が再生産されるとの報道は沢山ある。PRODECERとは、ブラジルのセラードで日本の協力によって実施された社会的、環境的災厄であり、そこに昔から暮らしてきた人びと(伝統的住民)を追い出し、輸出のためのモノカルチャー生産の大海原を拓き、農薬の洪水で地域を浸した。

プロサバンナには3つの軸があるという。①組織と調査の強化、②マスタープラン(この研究のために選ばれた機関はGV Agroである)の策定のための基礎研究の開始、③小規模栽培者の支援のためのモデルと普及である。

UNACやORAM、ROSA、ナンプーラ市民社会組織プラットフォーム、MUGED、土地フォーラム、ニアサ州小農連盟、JAやその他の多くのネットワーク組織は、現在策定中のマスタープランや情報へのアクセス、そして小農コミュニティとの協議を要求してきたが、ブラジル当局は、マスタープランが最終化されれば、適切な手法で公開されるだろうと述べるに留まっている。

つまり、その地域に暮らす何百万という小農を代表する組織らとの実質的な協議なきままに、(*ブラジルの民間組織である)GV Agroが策定しているのが同マスタープランなのである。

マスタープランの準備が終わって初めて、これらの人びとは情報を受け取ることになるだろう。もちろん、いくつかの情報を伝達するため、マスタープランの一部に関して発表イベントは開催されている。しかし、それらのイベントは、市民組織や社会運動による要望や提案に耳を傾け、それを反映させるためのものでも、質の高い対話のためのものではない。

ナカラ回廊沿いの小農と話をすると明らかになることは、日本人とブラジル人がこれらのコミュニティを訪れ、プロサバンナが来ることを伝え歩いていることである。

これによって、彼(*日本・ブラジル人)らは、市民社会との「協議」と呼ばれることをしたと言い張るであろう。しかし、これは協議ではない。

現在までに顕著になったことは、手続き上の深刻な問題である。それは、このプログラム(*プロサバンナ事業)をめぐる決定が、政府や利害を有する企業等から、上から下へと降ろされていることにある。

モザンビークの市民組織や社会運動が述べる通り、ナカラ回廊沿いを行き来すると明確になるのは、この地域が小農コミュニティによって居住されているという事実である。これらの小農は、メイズ(国民の主食)、キャッサバ、豆、ピーナッツ等を、土地を休めながら生産するシステムを有している。そして、小農たちは、そこで生産に従事するだけでなく、祭りを行い、家族やコミュニティ関係を形成している。

この地域に5百万人の小農が暮らしている。この人びとを代表する組織や運動は、この国の大きな問題が食料の安全保障上の問題にあることを確認しており、家族経営農業や小規模農業のシステムが強化されることによって、食料生産が実現されることを望んでいる。彼らの提案は、彼らの生産を強化するための融資、適正価格による生産物の購入と市場化への支援、コミュニティによってつくられた組織や小さな組合活動への支援である。全員が、自身の小農生産システムを支援する事業があれば、参加したいと考えている。

我々は、この回廊沿いの農民らの声に耳を傾け、対話し、彼らの期待を垣間見た。これに、本来プロサバンナは応えられるはずである。

しかし、ナカラに到着した時のショックは叫びたくなるほどであった。巨大な倉庫、港湾設備、そしてOdebercht社(*ブラジル企業)によって建設中の空港等の巨大インフラ。これはこの地域の生産物を輸出するためのものである。

多くの問題は、直視されなければならない。中でも、小農らの土地への権利は最重要である。モザンビークの土地法は、小農に公有地である土地の使用権を与えている。

企業に付与されるのは使用権なのか?小農の状況はどうなるのか?

回廊の真ん中に位置するナンプーラの市民社会プラットフォームのメンバーの一人がいうように、「10ヘクタールを超える自由な土地はない」のである。

複数の組織によると、ニアサ州のプロサバンナが来るといわれている地域の大半が州内で人口がより多いところであるという。政府は住民移転がなされるだろうといっている。

農民組織は、土地法において小農の利益に反するような変化、そして遺伝子組み換え種の導入に道を拓く変化のリスクを招くタネの立法を許さないよう、注意を払っている。

彼らはまた、PRODECERの対象地であるマトグロッソ州を訪問し、農薬の集中的使用や大規模なモノカルチャー栽培モデルを知り、懸念を強めている。

このような懸念の一方で、UNACやMPA/Via Campesinaは、オルダーナティブな手法を強化し、生産的な数々の運動を試行してきた。例えば、伝統的な種に関する交流事業などである。

ルラ大統領の先導により、ブラジルの輸出政策について市民組織や社会運動と対話が実現するようになって10年になる。その結果、世界におけるブラジルのプレゼンスの方向性に関する必然的な論争が強まった。しかし、それは、我々の社会における実存する権力関係の写し鏡でもある。

プロサバンナの事例は、食料主権と食料安全保障を目指してきたブラジル農村の社会運動の成果の試金石となろう。

ブラジルの経験を踏まえ、家族経営農民・小規模農民の生産や市場化の支援といった施策が、ナカラ回廊におけるブラジルのプレゼンスに反映されるかどうかが肝要である。

結局、ブラジルでもモザンビークでも、小農らは、民衆の食料安全保障や主権、土地の権利を保証するためには、アグリビジネスのモデルによる権利の侵害や社会・環境的な不正義との闘いを強化しなければならないのである。

モザンビークにおけるブラジルの存在が小農の権利を強める一方、世界の正義と格差を縮小することを目的としてブラジルがグローバルなアクターとして成長する能力を示すかどうかが問われている。
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by africa_class | 2013-03-30 11:14 | 【考】土地争奪・プロサバンナ問題

3月30日14時「日本の援助はいまアフリカで何をしているのか?プロサバンナ事業から考えるODA」@関学梅田

関西の方々にお招きいただきました。若者との討論を用意してもらいました。権利ベースアプローチの専門家である川村先生もご一緒です。是非。

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      日本の援助はいま、アフリカで何をしているのか?
モザンビーク・プロサバンナ事業から考える、ODAの過去・現在・未来
            【3/30・大阪梅田】
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【日時】2013年3月30日(土)14:00~16:30 ※13:30受付開始
【会場】関西学院大学 大阪梅田キャンパス 1407教室
   (大阪市北区茶屋町19-19 アプローズタワー14階)
    http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/   
【会費】無 料(モザンビーク現地農民への活動支援カンパ歓迎します)
【発題】舩田クラーセンさやか(東京外国語大学教員)
【討論】川村 暁雄(関西学院大学教員、関西NGO協議会提言専門委員)
    今泉 奏(大阪大学外国語学部生、TICAD V学生プロジェクト)
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【ごあんない】
 今年6月横浜市で「第5回アフリカ開発会議(TICAD V)」が開かれます。この会議は、1993年の第一回開催以来、日本の対アフリカ関係の大方針を決める上で重要な役割を果たしてきました。一方、昨今は中国、韓国、インドなど、アジアの新興ドナーも「アフリカ・サミット」を開催するようになり、TICADは新たな存在意義の模索を迫られています。

 近年、アフリカ開発において最も大きな注目を集める課題の一つに、「農業投資」と「土地争奪」の問題があります。2007~08年の世界的な食料価格高騰をきっかけに再び課題に転じたアフリカの食料問題。この対応策として、アフリカ農業への国際的な投資・支援の必要性が叫ばれていますが、対アフリカ「農業投資」の中には、外国への食料調達を目的に、現地農民から土地を収用するものが含まれており、生計手段を奪われた農民による大きな抗議行動が各地で発生、政情不安の引き金になっています。

 日本政府もブラジルとの協力のもと、2009年より政府開発援助(ODA)でモザンビークに対する大規模な農業開発支援(プロサバンナ事業(※))を進めていますが、現地の農民組織やNGOが、当事者への十分な説明がないまま計画が進められていることに強い懸念を表明し、先日はその代表者が来日して各地で問題を訴えました。

※発題者によるプロサバンナ事業の詳細
 http://afriqclass.exblog.jp/i38/

 急激なグローバル化と、大規模ODAプロジェクトに直面するアフリカ小規模農民の現状を共有し、今アフリカで何が起きているのか、小農はどのように暮らし何を求めているのか、日本の我々はどのように関わるべきなのかについて、みなさんと一緒に考えたいと思います。
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【発題者紹介】
舩田クラーセンさやか(ふなだ・くらーせん・さやか)
 http://www.tufs.ac.jp/ts/society/africa/

 東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授。専門は、国際関係学とアフリカ地域研究。研究と社会活動の両面からアフリカに関わり、モザンビークをはじめアフリカ市民社会とのネットワーキング、アフリカに関する政策提言を行ってきた。
 東日本大震災後は、東京電力原発事故を受けて「福島乳幼児妊産婦ニーズ対応プロジェクト」を立ち上げ、600世帯を超える福島内外の乳幼児・妊産婦家庭のサポート活動に携わる。

※発題者より一言
「311後の現在と今後、私たちの世界との関係、私たちの社会自身を問い直し、共に語り合う場に出来ればと思います。」
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【主催・お問い合わせ】
「日本の援助はいま、アフリカで何をしているのか?」実行委員会
 〔メール〕oishii_mirai(@)icloud.com

【共催】モザンビーク開発を考える市民の会
【後援】(特活)関西NGO協議会
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by africa_class | 2013-03-19 14:01 | 【記録】講演・研究会・原稿

自己崩壊する日本の外交と開発援助~ #プロサバンナ を事例に(議事録・スッポカシ・農民分断問題)

今日は意図せず3つもブログ投稿を書いてしまった。忙しいのに・・・。でもこれは昨日書き始めて時間がなくそのままになっていたもの。本当にあほらしい話なんで書くのも気が進まないけれど、これが日本社会・組織の現状なのでそのまま流します。 
 なお、3月30日2時~大阪梅田で講演をします。詳細は後日。
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今日は同僚がご家族と一緒に拙宅に遊びにくる。職場環境を良くしようと、色々な先生達と飲み会や、食事会など企画してきました。さて、先生ご一家を待っている間に、この間ツイッターで書いたことをこちらにも転載しておきます。

その前に、JVCの高橋清貴さんの記事です。コンパクトにまとまっていて読みやすい。連載だそうです。→JVC - モザンビーク・プロサバンナ事業とは何か? - JVC月刊誌Trial&Error掲載記事: http://www.ngo-jvc.net/jp/perticipate/trialerrorarticle/2013/03/20130312-prosavana.html

さて、今日の話題は、日本の援助問題の「根っこ」にある、異なった意見や批判、反論を受け付けられない体質が行き着く先についてです。「問題」を指摘されたら、①無視、②隠蔽、③反論のための工作、④論点ずらし、⑤矮小化、⑥問題を指摘した人たちへの攻撃・・・が、日本のお役所の原風景。311後もはっきりしたと思いますが、これは長年にわたって日本のODAにも見受けられた傾向です。

このブログの読者であればもうお馴染み・・・残念ながら・・・だと思います。
自体はますます、ひどい方向へ。
具体的なケースをみていきましょう。
誰か研究ネタとして掘り下げてくれるといいのですが・・・。
(一次資料満載なので)

皆が表面的になんとなく~で理解している「国際協力」「ODA」「外交」「NGOとの対話」といったものの、本質的問題、構造、カラクリに目を向けてみましょう。

1.ODA定期協議会・議事録勝手な修正
12月14日にODA定期協議会が、NGOと外務省の共催で開催されました。この定期協議会は10年以上もの歴史を誇る、日本のODAに関する協議の場です。オープンな協議で、議事録は詳細が公開され、年に数回開催されてきました。

通常は開催後1か月程度で公開されるこの議事録が、3か月も公開されませんでした。NGO・外務省双方のチェックは1か月以内に終了していたにもかかわらずです。その理由は何でしょうか?

外務省担当課が、NGO側の発話部分に勝手な「修正」を入れてきたからです。その数なんと14か所!前代未聞な事態に発展し、かなり上のレベルで問題になりました。オープンの場でやられたオープンな議論の、日本の行政手続きの透明度を上げるための議事録に対する、このような密室の一方的な介入は、10年以上続いてきたNGO・外務省対話の精神に反しています。

例えば、こんな感じ。
NGO:現地では「プロサバンナはブラジルのアグリビジネスのアフリカ進出に加担する案件なのではないか」と思われている。しかし,そのことが何も言われない。「それは誤解だ」ということも可能ではあると思うのですが,実際ブラジル・サイドの関係者,例えばニシモリさんという日系ブラジル人の議員さんが,「ブラジル人の入植をしっかりこのプロジェクトでバックアップする」と述べたり(***では,このように認識していない。ニシモリ議員は*****「モザンビーク人の育成について支援する」との姿勢であると***。

(ちなみに、このブラジルのニシモリ議員については、是非以下のブログ投稿を。同議員が、「プロサバンナ事業は、ブラジルの土地なし若者失業者が大規模農業をモザンビーク北部で展開するための事業」と議会TVで言いきっています。その全訳あり。
http://afriqclass.exblog.jp/17331007/)

なので、この修正として書かれていることもかなり無理がある内容。だって、彼は現にメディアに引用されるようなことを発言しただけでなく、議会TVで堂々とそれを嬉しそうに語っているのですから。なのに、これを「認識しない」「モザンビーク人の育成の支援」という姿勢というのは、反論にすらならないのではないかと・・・・思うのですが・・・?

残りの13か所の修正も、おかしなことばかりなのですが、こういうことが許されると外務省の中間管理職にある人が思っているところが、根が深いですね。もちろん、省内にはこの「議事録事件」に心を痛めている人もいたようですが。

結果、2か月に及ぶすったもんだの末、今週になっていつの間にか公開されていました。(既に、次の定期協議会が3月4日に開催された後になって・・・・のことでした。通常は、次の定期協議会前に公開されます。当然のことながら、前回の議論を踏まえた議論にしないと、定期協議の意味がないからです。)
→http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/taiwa/oda_seikyo_12_2.html

該当部分の議事録は修正を断念したようです。(見た限りでは)
なぜ、外務省がそれほど赤入れにこだわったのか?それは、各自で議事録を読んで頂くのが一番かと。公に出るのを隠したい事実や認識が少なくとも14か所あったのですね。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/taiwa/pdfs/seikyo_12_2g.pdf
該当部分はこれ→2 協議事項
モザンビークProSAVANA事業の課題】

2.モザンビーク訪問参院ODA特別委員会とUNACの面談事件
さて、次は今週あった話。参院ODA特別委員会の訪問団がタンザニアとモザンビークを訪問しました。モ国ではプロサバンナ事業の視察と同事業に反対するUNACとの面談を希望されていました。しかし、これについて、外務省・JICAは回避に躍起。

しかし、国民の代表であり、ODA委員会のメンバーによる公的な訪問。それも税金です。巨額の公金が投じられるプロサバンナ事業に関する視察や、現地最大の農民組織代表との面談は、ODAの透明性確保と改善のために重要のはず。ては、何故嫌なのか?という疑問が湧きます。

さて、しぶしぶ視察とUNACとの面談が決まり、UNACとの面談は3月13日午後に決定となりました。現地では、国際NGOのOXFAMとUNAC代表が、議員団と駐モザンビーク日本大使館で面談する予定となり、そのように日程表にも書き込まれていました。ただし、何故か農業省から誰かの同席すると、日程表には書かれていない企画も持ち上がったそうですが。この面会のため、わざわざ首都から遠く離れた北西部の州にいるUNACマフィゴ代表が多くのお金を費やして首都に移動して来ました。

しかし、国会での採決の日程が迫り、結局議員団訪問の日程変更が生じ、UNACと面会調整が必要となりました。飛行機は正午に出る以上、15時からの面談は不可能なのは明らかです。これは、議員のブログをみると3月8日(金)の時点で決定されており、その議員の予定には13日の予定はUNACとの面会だけが書かれていました。そして、議員から現地の大使館にUNACとの面会時間の再調整が依頼されました。

しかし、何故か駐モザンビーク日本大使館の担当者は、「無理」「難しい」を繰り返したそうです。が、時間はあったのです。朝食前、空港での待ち時間でいいから面談を希望された議員さんたちに対し、何も明確な返事をしないまま、ついに出発13日の朝がやってきます。

しかし、現地駐モザンビーク日本大使館もJICA事務所も、この変更についてUNACに伝えていませんでした。マフィゴ代表は、13日15時からの面会に備え首都に飛んできていました。面談がキャンセルされていたことも知らないまま、15時に大使館に行くつもりだったのです。

日本のNGOがこの事態に気づいて、13日のモザンビーク時間朝6時すぎにUNACに電話を入れてくれました。スタッフ一名hなんとかつかまったものの、代表まで朝8時にホテルに辿り着くことは難しい。そこで、11時に空港に代表が向かうことで対応となりました。

結局面談は実現しましたが、なんという非礼・・・。2200農民組織に対する対応として、あまりに礼を欠いて、不信感を招く対応。日本NGOが動いて、面談を実現させなかったら、大変な外交問題になったことでしょう。それを、「議員の予定が急に変わった」と知らんふりするつもりだったのでしょうか?

しかも、同席した日本大使とJICA事務所長は、繰り返し、「市民社会や農民組織との対話の重要性」「透明性の重要性」など主張したそうです。

繰り返される言動不一致。
言っていることが立派であれば立派であるほど、実際にやっていることとかい離すればするほど、人の信用・信頼というものは、失われていくのだということを、ご存知ないのでしょうか?

このブログでも何度も書いていますが、小手先の工作。隠蔽。そういったものすべてが、日本の外交力・ODAの実務能力の力点の置きどころなのです。透明性を上げることによりも、不透明性を隠ぺいすることに血道を上げる面々。そうやって、失われるのは、真に意味のある他者との関係です。そうやって実現したい外交や援助とは、一体なんでしょうか?任期中の自分の「名誉」「名前」「地位」だけなんでしょうね。。。

勿論、立派な方々はいらっしゃいます。でも、組織文化がこうである限り、繰り返され、増産されていく・・・これはすべて皆の税金で賄われているのです。つまり、このような手法を許している納税者・有権者の責任でもあるのです。

3.現地農民を分断する「融資」「クイックインパクト」
そして、より根が深いのはこれです。
自分たちの農民組織への相談なさを、農民主権の無視を、なかったことにしようと、現地で農民らに融資や「クイック・インパクト」なるものをバラマキ、賛成者を増やそうと躍起です。

そして、農民に「感謝させる」絵を撮って、「賛成する農民もいる」「賛成する農民組織もある」と宣伝したいとのことです。そして、さらにそのための大きな企画も準備されているということです。

背景は以下。
■七変化するプロサバンナ事業:「ブラジル・アグリビジネス」の切り離し&農民間分断工作の現在
http://afriqclass.exblog.jp/17433829/

私たちは、何のために援助ODAをやるのでしょうか?現地社会や農民を分断するためでしょうか?彼らの苦悩を和らげたい、できれば彼ら自身の力、社会が、平和で豊かで相互に助け合うものとなるように応援したいのではないのでしょうか?

自分の成功に目がくらんで、あるいは自分の失敗を隠ぺいするために、モザンビーク社会に次から次へと持ち込まれる数々の工作。その中長期的な影響なんて関係ない。どうせ5年後は担当じゃないから・・・今を乗り切れば・・・そんな人達によってやられる開発援助なんて、本当に要るのかしら。

そのような疑問をますます禁じえない展開の数々です。
しかし、普通に考えて、バレル、問題になる・・・・ようなことを、外務省とJICAの関係者は繰り返しているのですが、それぐらい現地の市民組織だけでなく、日本の国民・納税者がバカにされているということなんでしょうね・・・。5年前、彼らのためにODAを倍増することに尽力した私がバカでした。
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by africa_class | 2013-03-17 17:02 | 【考】土地争奪・プロサバンナ問題

経済至上主義に飼い慣らされる私たちと水俣、セラード開発、原発事故、プロサバンナ問題…を超えて。

先程改訂が終わった『アフリカと内発的発展』のある章の「おわりに」を転載します。特に、最後のパラグラフを、アフリカや援助関係者以外の皆さんに読んでほしいと思っています。これは私たちの、私たちの社会の問題だと思うからです。4月に出版予定です。お楽しみに。

3月28日2時半~5時半まで、先般『国際開発研究』(国際開発学会ジャーナル)に巻頭論文を出された小倉充夫先生と共に、書評会に挑みます。先生の論文は以下の原稿を書いた後に読んだのですが、期せずして同じようなことを考えていたことに(まったくレベルは違うのですが)、驚きました。原文を読んでほしいですが、なかなか入手難しいと思うので、以下紹介ブログです。

◆援助・開発関係者が読むべき論考:「開発社会学の軌跡と地平」(小倉充夫)「開発/発展」をめぐって
http://afriqclass.exblog.jp/17202555/

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おわりに

ここまで、プロサバンナ事業にみられる言説の推移と背景分析、そして内発的発展論に視座をおき考察を行ってきた。その結果、同事業における多くの問題が、事業の成立過程や背景、つまり政治・外交・宣伝プロジェクトとして進められ、現場の人びと(小農)やそのニーズから立ち上げられたものではなかったことに起因していることが明らかになった。「広大な未使用地」「低生産性」「貧困」「食料不足」といった外部者が規定する不足ばかりが、マクロ・データや写真 に依拠して想定され、根本原因の詳細な検討も当事者との相談もないままに、先に「農業投資」「企業参入」「モデル」という処方箋が示された。そして、このようなアプローチの起源に、同事業がモデルとする軍事独裁政権下のブラジルで開始され、地元住民から土地と生活手段を奪い周縁化を余儀なくしたセラード開発事業の「負の遺産」があったことも明らかになった。

もちろん、モザンビーク北部そして人びとの日々の生活に、少なからぬ課題があることは事実である。何もせず、現状のままで良いというわけではない。しかし、「外からの解決」を前提とする前に念頭におきたいのは、モザンビーク北部が最も政権中枢から遠く、最も役人と援助機関に嫌われ、したがって最も自律的に人びとが生活を営んできた地域であるという歴史的事実である。北部の小農こそ、モザンビークの食料や海外輸出向け農産物の大部分を生み出し、国の戦後復興に貢献してきたのであるが、それはJICAによって「粗放で低生産」と否定される手法によってであった。食料危機に陥ったジンバブエやマラウイの危機を緩和したのも、このようなモザンビークの小農たちの生産する食料によってであった。しかし、このような農民の営みや努力はまったく言及されず、「新しいモデル」と「大企業の参入」が不可欠と断定されている。

長年にわたって援助関係者は、「ないもの(ニーズ)」を発見し、その処方箋を描くことによって開発事業を立案してきた。しかし、そのアプローチは1990年代後半には反省を余儀なくされ、「あるもの(livelihood)」への注目の重要性が認識されるようになった。このような転換をもたらしたのが、国内的には水俣学であり内発的発展論、国際的には1995年の社会開発フォーラムであった。しかし、冷戦後世界の市場経済化は、日本を含むあらゆる人びとの認識に影響を及ぼし、現在では経済成長至上主義を促進することだけが貧困削減と食料安全保障の処方箋だとの認識が一般化しつつある。

アフリカにおいて、農業投資という名の下に起きている急激な変化は、世界経済の一体化の最終局面としてアフリカの辺境の空間と住民の組み込みである。これは19世紀末に始まった経済至上主義の全面・極大化のプロセスが、植民地支配、反植民地主義運動による解放と独立、冷戦下での新植民地主義と独裁、ポスト冷戦期の民主化と大量援助の時代を経て、「貧困解消の処方箋」として主流化しつつある現実を示している。このような中、アフリカの民衆の内発性や主権とは何を意味するのか。このような時代を生きる農村の人びとの未来のため、開発・援助事業はどうあるべきだったのだろうか。

そもそもモザンビークに対する日本の農業支援の歴史は輝かしいものではなかった。独立後の激しい戦時中の1985年、「食糧増産援助」の名の下に農薬・化学肥料援助で幕を開け、使われない農薬の蓄積と汚染が2000年に発覚するまで続けられた。同援助は、日本のメーカーや商社のための還流型援助として悪名が高く、市民による運動の成果として、最終的に目的と対象を明確にする「貧困農民支援」に衣替えした 。その後、細々と米生産の支援がなされていたが、次に日本が大々的に打ち出したのがこのプロサバンナ事業であった。これに、モザンビークの市民社会、研究者、他ドナーは、「なぜ日本は過ちを繰り返すのか」と疑問を投げかけている(インタビュー,2011年9月;2012年7-9月)。

この点について参考になるのが、アフリカにおけるインド企業による土地収奪について研究するインド・ネルー大学ジャヤティ・ゴシ(Jayati Ghosi)教授(経済学)の次の一言である。

「インドでは到底許されない広大な土地や水資源の取得が、アフリカでは可能になっている。インドで出来ない理由は、農民や市民が黙っていないから。(略)これは国際連帯の話ではない。インド企業はアフリカで新植民地主義者のように振る舞っている。このように振る舞うことがアフリカで出来たのであれば、インドでも出来るであろう 。」

これが日本であったら、プロサバンナ事業の立案から形成までのプロセスは可能だったろうか。可能ではなかったろうと思う一方で、「(インドの)農民や市民は黙っていないだろう」と断言できない現実がある。むしろ、彼女の最後の問い「このようなことをアフリカで出来たのであれば、日本でも出来るのではないか」に、思い当たるところがある。

「右肩上がりの経済成長」がすべてを解決するとの処方箋が相も変わらず描かれ続け、自らの権利が浸食される一方であるにも拘わらず、民衆自身がそのことへの十分な自覚も対処もない日本である。あれほどまでの原発事故が起こってなお、この国の為政者そして資本や企業は、被災当事者に寄り添うことなく反省もなく、利己的な利益を守ることに必死である。それに抗うべき民衆は、経済至上主義に飼い慣らされる一方である。

我々の社会の鏡が日本の援助なのであり、援助もまた我々の社会の在り方を炙り出しているといえる。だから何度も何度も、日本でも日本外、ブラジルでも、モザンビークでも繰り返すのである。

しかし、このような世界構造と国内構造、認識枠組みの中でも、やはり希望を見出したいと思う。内発的発展の概念が、水俣で当事者自身によって育まれたように。軍事独裁下にも拘わらず、セラードの土地なし農民たちが立ち上がったように。権威主義体制に近い今のモザンビークで、市民社会が立ち上がりつつあるように。そして、放射能汚染から子どもを守ろうとする家族や市民、脱/反原発を訴えて全国各地で立ち上がった市民のように。危機の中から主権意識と連帯が育まれ、社会が変わることを。」
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by africa_class | 2013-03-10 23:15 | 【考】土地争奪・プロサバンナ問題