ブログトップ

Lifestyle&平和&アフリカ&教育&Others

afriqclass.exblog.jp

タグ:land grabbing ( 11 ) タグの人気記事

Thanksgivingに新書のスケルトンを終えて:「欲望という名の列車」から降りることについて

年内に原稿を提出しなければならない新書のスケルトンが終った。
奇しくも、Thanksgivingday(ドイツ語風に全部くっつけてみた)。欺瞞に満ちた「勝者」の歴史の語りが、今年も繰り返されようとしている最中に。

「歴史」は、後にしてきたものだと思いがちだ。
しかし、実際は違っている。
「失敗/過ちの歴史」はあっという間に忘れられるというのに、「栄光の歴史」は繰り返し、繰り返し蘇り続ける。だから、歴史家の仕事には終わりがない。

歴史は今の写し鏡であり、今歴史をどう見るかによって将来をも規定する。
2017年末の日本と米国を見ながらそんなことを思う。
とりわけ、Thanksgivingの今日、日本の政治家たちがおかしな伝統や歴史認識を持ち出してきたことを眺めながら。

私たちはあっさりと歴史を忘れるというのに、自分たちのご都合主義に彩られた歴史解釈は手放そうとはしない。
だから、「歴史」は繰り返す。

今日は、北米の先住民族の辿った歴史を、征服した側の白人が語り直す日だ。
被征服側となった先住民族の側の物語は、メインストリームの語りには決してならない。少しばかり「良識派」のメディアがこの白人の創り出した物語を批評する記事を出したとしても。歴史が全体としてどのようなものとして動いたのか、征服者と被征服者の間で本当のところは何が繰り広げられたのかの話はされない。あれから何世紀経とうとも。

今書いている本は、途中からなんだかおかしくなっていった。

最初は今風に書いた。
テキストとして。
教科書的な。

でも、ブラジルの先住民族のお母さんの叫ぶような声が、テキスト的な出来事や解説の行間や文字間から、ぬるっぬるっと顔を出し始めてしまい、もはや止めようとしたところで勝手に話し始めてしまった。だから、そのまま自由に語ってもらった。

時に、長いものを書いているとき、そういうことがある。
博論のときはそうだった。

寒い兵庫の山奥で確かに聴いたアフリカの森を急ぐ住民の声。
ざわめき。
悲鳴。
押し殺したため息。
凍らした心。

最後の一文を書き終えた後、どうしたのだろう?
無限の多様なうめき声を、耳にしながらも、ただ呆然と眺めるしかできなかった。
いや、そこから遠く離れなければと必死だったかもしれない。

弾けなかったピアノは今でも弾けない。
でも、少しずつこうやって書けるようになっているとしたら、それでよいのだと思う。

職業としてテキストを書かなければならなくなって、耳にしていたはずの「ざわめき」を封印してしまう技術を身につけなければと必死だったように思う。普通の人は違うのかもしれない。器用な人は行き来できるのかもしれない。でも、私は大方の想定と違って、とても不器用な人間なのだ。そして、おそらく必要以上に真面目すぎる。だから、その融合も、行き来も、折衷も難しかった。

もう自分のための論文は書かない。
つまり、「業績」にもう一本を加えるのための論文も本も書かない。

要らないからだ。
そのつもりで入った研究や大学の世界。
分かっていたことなのに、いつの間に絡めとられてしまっていた。

ベルトコンベアーのようにあれもこれも書いて、書いてといわれて。
書きたいと思わないことを、
私が書くのではなくてもよかったことを、
ただ書き散らしてしまった。

最初は練習だった。
必要不可欠な。
そして、今も必要ではあるのだろう。
本当は。能力不足だから。
でも、最後は苦痛で仕方がなかった。
魂がそこにないままだったから。
いただいたお題、そのストーリーに魂を見出せなかったから。

いちいち論文に魂なんて込めなくていいよ。
私も他人にはそういっていたかもしれない。
でないと終らないから。
終らないと皆困るから。

でも、やはり人生は一度きりだと思う。
魂を込めるものと向き合える時間が、あとどれぐらいあるのか分からない。

小さな声がつぶやく。
モウ ナニモイラナイ。

大きな声でいってみる。
モウ ナニモイラナイ。


その途端に、書きたいことが山のように溢れるのだから、自分のあまのじゃくぶりに驚いてしまう。

大学2年生のとき、北東部ブラジルの干ばつに翻弄される家族の過酷な物語を読んだ。
Vidas Secas(干ばつ暮らし/乾いた生活/グラシリアーノ・ラモス、1938年)
ポルトガル語の購読の授業の教材だったので、かなりイヤイヤ読んだ記憶がある。まさか十数年後に自分が同じようなことを若者に押し付ける側になるとは・・・思っても見なかった20歳のときのこと。

まだ辞書片手に(しかもポルトガル語・英語辞書しかなかった時代)、遅々として進まない翻訳(というか想像の何か)。でも、小説から漂う過酷な自然との闘いを繰り広げる人間のチッポケさ、なんといっても喉の乾き、皮膚の乾き、暑さ・・・そういったものが言語の違いを超えて迫ってきたのを昨日のことのように思い出せるのは不思議だ。使われていた単語、表現、文章は一切思い出さないというのに。

今日、新書のスケルトンを書きながら、私の脳裏にあった情景はそれだった。
ブラジル北東部、セラード地域の広大なる大豆畑のただ中を、ひたすら車を走らせたときに触れたあの乾いた空気。灼熱の太陽。

と同時に、目をつぶると、次の瞬間、赤茶けた道から離れて、奇妙な形をした木々の間をいくと、湿った空気が鼻の中をくすぐるのが感じられる。あの乾燥した空気から一瞬にして隔離されたかの。砂漠を歩いて歩いてオアシスに到着した瞬間の、あの感じ。砂漠をそこまで歩いたことないのに。セラードの森だ。

森の中を歩きながら、子どもたちがどの果物がどう美味しいのか一生懸命話してくれる。
突然、森の中にバレーボールのポールとネット。
なぜか恥ずかしそうに年長の子がいう。
「神父さんの提案で」
「あ、そうなんだ。確かに横にチャペルがあるね」
手作りの、柱が8本にヤシの葉っぱで編んだ屋根の簡易チャペル。その前には十字架がある。
もぞもぞ年長さんがする。

同行していた若い男性が口を開く。
「土地を奪いにいきたビジネスの奴らからコミュニティを守る為にです」
「え?」
「ここをコミュニティが大切に使って活用しているということを見せることで、一方的にブルトーザーで壊しにくくしています」

こののどかに見える森の中にも危険が迫っていた。
「若い男達がいないのに気づきましたか?」
「確かに」
「ビジネスの奴らが雇ったギャングに脅されてみな出て行かざるを得なかったんです」
「あなたは?」
「コミュニティを守るために残っています」
「だいじょうぶ?」
「毎晩寝るところは変えてます。雇われているギャングは隣町の若者たちです。カネが皆の心を狂わせてるんです」

Vida Secaとは180度異なる豊かな緑の木陰で、彼はささやくように話す。
川沿いの森の民に見送られて向かった先は、隣州の先住民族の会議であった。

果てしなく続く赤茶けた大地。
延々と続くむき出しの。
喉の乾きが辛い。
バスが止まるたびに水を買う。

先住民族会議には200人を超える周辺地域の先住民族が集っていた。
4日間毎日会議だ。
大学キャンパスに野営をし、野外テントで議論をする。
キャンパスの庭でたき火をしながら調理をしている様は「さすがブラジル」としかいいようがない。
主催者いわく。
「なんで?公共の場だから公共の目的のために使えばいいだけ」

朝から晩まで、先住民族の老若男女がマイクをもって、時にもたないまま話を続ける。

汚染された水を飲み、自分より若い人達が癌で次々亡くなっていくと訴えるおばあちゃんたち。

清廉なる水は命の源だった。
それが今人びとの命を奪う汚れたものになっていると。
森と暮らしを守らんと立ち上がった男たちが、
手足を切り取られた姿で川に投げ捨てられていると。

小さな小さなしなびたおばあちゃんが、杖で地面をつつきながら叫ぶ。
「ついに白人たちは植民地支配を完成させようとしているのだ」
足踏みをしながら。
「森を殺すことで、私たちを殺そうとしている」
ドンドン。
「水を汚すことで、私たちを殺そうとしている」
地鳴りがする。
「私たちの勇敢なる息子たちを八つ裂きにして、先住民族を根こそぎ終らせようとしている」
低いうねりのような声がする。
「おのおばあが命をかけて、あんたらから森と水と息子を守る。弓矢に毒を盛って」
足踏みが止まらない。地響きのような。

このおばあちゃん独りではなかった。
女性たちが語る悲劇と決意は、議事進行役の年配の男性たちを困らせるほどの勢いだった。

女性たちの前に無言で並ぶ政府の役人や学者たちは、皆色が白い。
南部やサンパウロの訛で話している。

先住民族担当官に女性が詰め寄る。
「あんたたちを信頼した私たちが間違いだった」
「あんたたちがやったのはなんだったのか?」
「就任してから、一度だって私たちのコミュニティにきやしない。私たちのリアリティを知ろうともしない。」
「忙しい、忙しいって、何をやってるかと思ったら・・・
あの業者とご飯を食べることじゃないか!私たちを殺しにくるあいつらと」

会場となった野外のテントには風がびゅうびゅう吹き荒れる。
森を失ったこの地では、どんな風も容赦なく打ち付けるのだ。
おばあちゃんによると「自然の叫び」なのだそうだ。
自然の叫びは止まる事を知らない。
もう誰も自然の叫びを止められないところまできてしまった。

「欲望という名の止まらぬ列車」に、私たちは乗り合わせている。
ただし、その「欲望」は1%の人びとのものである。
それ以外は今日・明日の命をかけてその列車に振り回されんとしている。

この列車に乗りたくないといっても、列車は道行く先々のすべてのものを根こそぎ網にかけて引きずり続ける。

私たちはどうやったらこの列車を止めることができるのだろうか?
もう止められないのだろうか?
止めることで、別の何かが引き起こされるのだろうか?

だとしても。
たった一個のカタマリにすぎない私が応答する。
まずは降りてみること。
たった一人にすぎないとしても。

木々のところにいく。
迷ったときはいつもそうするように。


a0133563_08093540.jpg


[PR]
by africa_class | 2017-11-24 08:10 | 【徒然】ドイツでの暮らし

国連人権理事会での日本政府スピーチを読み解く:「小農の権利に関する国連宣言」

我が家の庭の「楽園」について書いた途端にパラダイス(楽園)文書の話が出てきて、これはこれでどうしても書かなければならない点が多々あるのだけれど、未だ材料が十分でないので、その話の前に、前から世界的に話題になっていたことについて書いておこうと思う。

少し前に国連人権理事会で議論されてきた「小農と農村労働者の権利に関する国連宣言」について紹介した。

完成間近の国連「小農の権利」宣言、そしてモザンビーク小農の異議申し立て

http://afriqclass.exblog.jp/237279049/

7月に忙しい中投稿していたので、肝心の日本政府の対応を調べる余裕もなく、しかし後日、日本を含む世界中の仲間たちから「日本どうなっての〜!」のお叱りを受けて、びっくりしたのだけれど、なんと第4回会議が開催された5月15日(19日までジュネーブで開催)の冒頭に、こんな意見を表明していた。。。

第4回会合の詳細サイト
http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/RuralAreas/Pages/4thSession.aspx

「議長殿、政府代表の皆さま、同僚の皆さん、そして市民社会のメンバーの皆さん」で始まる日本政府代表のスピーチ。

おや?…と思ってくださるのであれば本望。
最後にとって付けたようであるものの、しっかり「市民社会のメンバーdear members from Civil Societies」と述べている。これは、しかし、日本政府が特別なのではなくて、国連人権理事会という場、さらにいうとこの「小農権利国連宣言」が市民社会主導で…いや、もっと正確にいうと、小農自身が集って結成されている小農運動が主導する形で、国家間協議のテーブルの上にのせられ、ドラフト案まで辿り着いたという背景を知っていれば、当然すぎるかもしれない。むしろ、「同僚の皆さん」は不要で、先に「市民社会のメンバー」がおかれるべきだった。

日本政府代表は、最初に、議長に再度選出されたボリビア大使( Nardi Suxo Iturry)にお祝いを述べた後、次のように表明したのであった。(なお、この間の国際協議の場での中南米諸国の政府代表の重要な役割については、前に少し書いたけれど、また改めて書きたいと思う)。

「日本は、
人間の安全保障の観点から、小農や農村で働くその他の人々の人権を擁護し、それを促すことは極めて重要であると信じております。日本は、ODA(政府開発援助)のトップドナー(援助国)であり続けてきました。2013年を限っても、656百万米ドル(約745億円)がこの分野で拠出されています。農業・農村開発分野のトップドナーとして、日本は国際的に重要な役割を果たし続けます。

同時に、日本はこの宣言ドラフト全体に対するポジションを留保します。我々は、国際社会によって人権だと現在認識されるに至っていない、未熟な点が含まれているために、この宣言が適切ではないと考えているからです。

より重要な点として、小農やその他の人々の権利を守るためには、新しい宣言文をドラフトするよりも、すでにある人権メカニズム(human rights mechanisms)をより効果的に活かすべきだと、我々は確信します。

終わりに、私は、日本はあなたの努力に対し感謝を申し上げます。農村に暮らし働くすべての人々の人権状況の改善に向けて、この政府間ワーキンググループが、今週(の会合で)意義のある前進が得られることを祈っています。ありがとうございます。」


以上、下記サイトから筆者が仮訳。
http://www.ohchr.org/Documents/HRBodies/HRCouncil/WGPleasants/Session4/Japan-GeneralStatement.do

さて。多くの皆さんは、このスピーチに何ら問題を感じない?
丁寧だし、議論したらダメだとも言っていない。むしろ前進せよと言っているように思えますよね?
国際場裏におけるスピーチは、とにかく仰々しく、互いに褒めちぎり合いながら、しかし微妙な言い回しで、Yes, No, but....が展開される。

やや飛躍するが、私が修士課程で国際法を勉強した冷戦「終焉」直後の1993年(なんと24年前…)、担当教授が、国連の議論や国際法を一言一句訳をさせ、1ヶ月が経過しても、一つのマテリアルも読み終わらないので、イライラして、「センセー、この授業は英語の授業ですか?それとも国際法の授業ですか?」と喧嘩をうったことがあった。今思うと赤面だ。しかし、当時赤くなったのは先生の方で、タコみたいに真っ赤になって何かを口にしようとして、黙り込んでしまった…。

先生、もう30年近く経ってからでスミマセン。
本当にごめんなさい…。

一つの単語をどう訳し、どう理解すべきか否か。
各国代表の本音はどうなのか。
それがどのように国際法の制定過程に影響を及ぼすのか。

それを先生は気づいてもらいたくてやっていたと思う。
でも実質的な中身の議論をしたかった私は、前期の半年をかけても全容が掴めないことにイライラしぱなっしであった。しかも、受講生は2名のみ。

でも。その後、国連PKOの仕事をして、国際法や憲法や選挙法やその他の法的な手続きの文書を実地で読まざるを得なくなり、かつ修士論文を書くにあたって、国連総会や理事会での議論を追っていくうちに、これらの微妙な言い回しをどのように理解するか否かは、国際的な方向性を決めうる大変重要なことであったと気づかされるようになった。

今でも、先生に詫びながら、国連文書を読んでいるのだが、先生はそんなこと知らないだろう。国連のシンボルカラーの薄いブルーに諭されながら…。

この間、しばらく国連の議論や国際法から遠のいていたのだけれど、何を想ったのか、去年『植民地と暴力』という共著本を書いているときに、またそこに舞い戻ったのであった。(来年春に出るであろうこの本をお楽しみに。)そして、そこで取り上げた国際法のテーマとは、奇しくも、あの時読んでいた分野のものであった。そして、それは知らず知らずのうちに、私の人々と世界との関係の見方に、大きな影響を及ぼしていたのだ。

おそるべし、タコ先生。。。

さて、話を戻そう。

上記の日本政府代表の言いたい事を箇条書きにしてみよう。

1)日本は外交上の儀礼を熟知しており、ちゃぶ台ひっくり返すなんてことはしません。
2)しかし、小農たちの権利守るのに、宣言文なんて要らないじゃん?
3)そもそも、このドラフトに書いてあることは人権の概念といえないんじゃない?
4)大体、日本はこんな宣言なくったって、小農のこと一生懸命考えて支援してるからさー。
5)第一、日本は世界に冠たるトップドナーなんだから。
6)何度でもいうよ、「ト・ッ・プ・ド・ナ・ー」。わかった?
7)こーーーんなにお金使ってるんだから。なんせ745億円だから。
8)そんな巨額の援助、どこの国がしてるってーの?
9)小農支援とはいわないけど、農業と農村開発にね。
10)それぜーーーーんぶ、日本が提唱している「人間の安全保障」がらみだって思ってね。
11)「人間の安全保障」は人権のことなんだから。
12)要は、この宣言文、賛成しないよ。
13)とりあえず考えておくけどさ。
14)反対も賛成もしない。勝手に議論すればいいけど、でも口は挟むよ。

まあ、大体こんなところ?
やや言葉遣いが荒いことはお気になさらず。

出席していた小農や市民社会代表はそんな風に聞いたわけなので。もちろん、小農や市民社会代表といっても、もう何年も何年も国連の会議に出ているし、スピーチもする。国連トークはこなしている訳で、儀礼とか丁寧さとか外交チックな口調とか全部排除すると、真意はこれだと読み取ったわけです。で、びーーーくりして、どうなってるの?・・・と。

5月のスピーチから数ヶ月がさらに経って、日本は、表明したとおりの路線で、このワーキンググループを継続させ議論を前進させることについては・・・「棄権」した。米国などが「反対票」を投じる中で、最悪の選択肢をとらなかったということで、安堵はされている。

しかし・・・。
私は、このスピーチに、この間プロサバンナ事業でみられた日本政府やJICAの姿勢の、すごく本質的なものを見出してしまい、なるほどなーと思ったのであった。

(プロサバンナ事業ってなんじゃ?の人はこちらを)
http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy/prosavana-jbm.html

モザンビークの小農がJICAに「通じない」と感じている問題が、このスピーチに明確に込められている。すごーく分かりやすく、乱暴にまとめると、小農たちは次のようなことを疑問に思っている。

ア) 小農支援だとかいってるけど、小農やその運動に対して何をしてきたのか?反対する小農らの力を削ぐためにせっせと援助してきたではないか?カネで言う事をきかせようとしたではないか?

イ)小農の権利を守る、支援をするためとかいいながら、日本のコンサルタントが、遠いどこかでその方策を勝手に考えて書いたりしてるんだ。ちょっと農村を訪問して、ちょっと意見を聞いて、それで自分たちの頭が理解できる枠組みでしか書けない、リアリティから遠く離れたものを、どうして上から押し付けようとするんだ。

ア)については、『世界』の2017年5月号に詳しく書いたので、そちらを読んでいただければ。今、オンライン記事を準備されているとのこと。岩波書店、本当にありがたい!

イ)については、根が深い。もちろん、開発援助という枠組みが内包するコロニアルな前提が、如実に出ているのではあるが、それだけではない。JICAのいう「マスタープラン」なるものが、戦前の満鉄調査部の人物・経験に結びつきながら現在の日本の開発援助に脈々と受け継がれてきたことを、私たちはどの程度意識化できているだろうか?・・・という問いなのである。

このことはいつか研究書として、読み物として、まとめたいと思う。

日本から、あるいは開発援助産業の人達からみたら、モザンビーク北部の小農は貧しく、教育を受けておらず、支援を授けてあげなければならない存在に見えるかもしれない。しかし、彼らが生きてきた現実、そして彼らが日々直面する現実、さらには彼らがそれを乗り越えようと様々に工夫する創造力豊かな試みを・・・つまり、「援助の対象者」としての小農ではなく、「モザンビーク国の主権者の一員であり、社会変革の主体」としての小農を、本当に受け止められているのだろうか?

モザンビーク北部の「小農支援のため」と称して費やしてきた何十億円もの日本の資金は、彼らが彼らの国で主権を発揮でき、自分の力で政策を変えるだけの支援となってきただろうか?

むしろ、彼らの自発的で主体的な抵抗の力を弱め、剥奪し、彼らの権利を侵害し続ける政府の側を強化することに役立てられてこなかったろうか?

日本のコンサルタントに支払われた膨大な額(十数億円に上る)のことはさておき…。そのような巨額の資金が小農運動にあれば、一体何が出来たであろうか?

日本政府が立場を保留した「小農の権利国連宣言」の根幹には、まさに「小農のことは小農が決める」という基本理念がある。しかし、この根幹こそが理解されないまま、現在に至る。

プロサバンナ事業のマスタープランの最新版(Provisional Draft)には、3カ国市民社会が掲げてきた「農民主権」が言葉としてはいっているが、これが驚くほどに「主権」概念に根ざしていない。相も変わらず、「やってあげる」「これはしていい」調のテキストが延々と続くのであった。

援助関係者が「モザンビーク小農のために、小農のことを、『専門家として』、代わりに一生懸命考えてあげる」ことが、いかに彼らの権利を侵害しているかを理解することは、どうにもこうにも難しいようだ。

それは、私たちの国で私たち自身が、戦後70年以上も憲法に掲げてきた「主権在民」の精神を、本当の意味では理解せず、具現化してこなかったからに他ならない。

そして、苦難に直面する中、小農や農村に暮らす人々、土地をもたない人々自身が高らかに表明しようとしているこの権利宣言に対し、私たちの国は「立場を留保」し、「棄権票」を投じている。

しかし、国連総会での採択まで、可能性は残されている。
私たちは今一度、自覚的に考えるべき時を迎えている。

南の国々の人々や日本の農家に対する政策立案者・実務者・「専門家」・エリート、そして都市住民の意識の根っこにある傲慢さを。そして、私たちが「食べさせてもらっている存在」であるということの現実認識と、農民存在へのリスペクトのなさを。

このことを共に考えるには、たった2つの問いだけで十分。

「あなたは、今日、何を食べましたか?」

そして・・・
「その食べものは、どこの誰の、どのような苦悩と祝福を受けながら、あなたの命を支えているのですか?」


a0133563_05022367.jpg
追伸:
前回に引き続き、ブラジル・セラードでアグロフォレストリーを実践する女性の写真を。
なぜなら、これこそが現在に続く日本の小農への態度の原点を示しているから。

つまり、日本は、セラードを「不毛の無人の大地」と呼び、自らが必要とする大豆生産のために環境・地域社会を犠牲にすることを厭わなかったから。そして、その「成功」をバネに、モザンビークでのプロサバンナ事業が経ち上げられ、その後の混乱が生じてきたから。この話は、また今度。。。



[PR]
by africa_class | 2017-11-09 05:05 | 【国連】小農の権利宣言

レクチャー&交流会3/5@大阪「いまモザンビークで何が起きているのか?〜」

1年ぶりのレクチャーを行います。
【レクチャー&交流会(3/5 in 大阪)】
「いまアフリカ・モザンビークで何が起きているのか?
~『日本のための資源・利益』が奪う小農の未来とオルタナティブの可能性」

今回は、3/5に大阪で開催されるイベントのお知らせです。
ぜひ、ふるってご参加下さい。

(転載・転送歓迎)
=======================================
レクチャー&交流会(3/5 in 大阪)
「いまアフリカ・モザンビークで何が起きているのか?
~『日本のための資源・利益』が奪う小農の未来とオルタナティブの可能性」
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-233.html
=======================================

【日時】:2917年3月5日(日曜日)17時~20時
*レクチャー:17時~18時半、交流会:18時半~20時
【場所】:Cafe TIPO8 http://www.cafetipo8.jp/
【住所】: 大阪市北区中津5ー2ー9
【アクセス】: 大阪駅から徒歩10分、阪急中津駅から徒歩10分。
(*梅田スカイビルのお向かいです)
【講師】:舩田クラーセンさやか
(明治学院大学国際平和研究所研究員/元東京外国語大学准教授)
【参加費】:2500円 (モザンビークの幻のコーヒー[ビコ]、ハーブ茶、軽食付き)
*レクチャーのみ:1500円(ハーブ茶つき)
*交流会のみ:2000円(ビコ・軽食つき)
(*「一苗サポーター」の方はレクチャー&交流会あわせて2000円です)
【定員】:30名 (ぜひ交流会と共にご参加下さい)
【申込み】:以下URLにお名前・ご連絡先(メール)をご登録下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/166a9da5492496
【主催】:カフェモサンビコ・プロジェクト
http://cafemozambico.blog.fc2.com/
【協力】:モザンビーク開発を考える市民の会
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/
【お問い合わせ】:カフェモサンビコ・プロジェクト 事務局
cafemozambico<@>gmail.com
=============

私たちが大好きだったモザンビーク。
だから応援してきた。
でも、たった5年ほどでモザンビークは劇的に変わってしまいました。
そのことに日本も無関係ではありません。
私たちは、これからモザンビークとどうつき合っていいのか、戸惑いのただ中にいます。

このレクチャー&交流会では、参加者の皆さんと次のようなことを一緒に考えたいと思います。

・今モザンビークで何が起きているのか?
・それに日本はどう関わっているのか?
・現地の人口の大半を占める小規模農民たちはどう感じているのか?
・どのようなオルタナティブが可能なのか?
・私たちはどのような未来をどのような形で創っていきたいのか?
・モザンビークの人びとと一緒に何ができるのか?

ぜひ、沢山の方にご参加頂ければと思います。
レクチャーの後に交流会を行います。
「コーヒー非生産地」とされてきたモザンビークですが、在来種のコーヒー「ビコ」をご試飲頂けます。
ふるってご参加下さい。

【講師からの概要】
私たちは、食料・エネルギー源・原材料の多くを海外に依存しています。
でも、これらの資源を提供してくれる国の社会・人びと・環境にどのような影響を及ぼしているのかについて、あまり考える機会はないかもしれません。そして、これまでアジアを重点的に資源開発してきた日本が、アフリカに進出して、何をしているのかについても、あまり耳にすることはないでしょう。

アフリカには54カ国あります。
その中でも、南東部アフリカにあるモザンビークが、日本の経済開発の「最重点国」となっていることはご存知だったでしょうか?

日本は、2009年にモザンビーク北部のナカラ回廊沿い地域で、鉱山(石炭・天然ガス)・農業(プロサバンナ事業)・インフラ(鉄道・道路・港湾)開発に大々的に取り組むことを決定しました。2014年1月には安倍首相が19企業・機関を引き連れてモザンビークに行き、「ナカラ回廊開発に5年間で700億円を供与」を約束しています。

あれから3年。
日本政府は、2015年に292億円の円借款を行った他、数十億円規模の無償援助を続けています。日本企業各社は、内陸部で石炭を掘り、海上で天然ガスを採掘し、鉄道や港湾設備の新設・改修に関わっています。

しかし、モザンビークでは、2013年から武力衝突が再燃する一方、数々の暗殺・脅迫事件、ガバナンスの悪化、土地の大規模な収奪が頻発しています。日本企業が進出する炭鉱地区から1万人を超える難民がマラウイに流出している他、去年は石炭貨物列車が攻撃されています。

その最中に、モザンビーク前大統領と国防省(現大統領が当時の大臣)が関与した「隠れた&消えた巨額融資」問題が発覚し、IMFや西側各国は融資や援助を緊急停止して、政府のガバナンス改善のために力を合わせているところです。しかし、日本はどこ吹く風で大規模投資と援助を繰り返しています。

先日来日した農民組織のリーダーたちは、一連の日本が関わる「ナカラ回廊開発」に「NO!」を表明しています。なぜなら、石炭やアグリビジネス、植林・鉄道開発によって多くの土地を奪われている他、農業援助プロサバンナ事業で人権侵害や市民社会への分断介入が続いているからです。

国際開発学会での農民たちの発言に対して、日本の開発研究者が「開発に犠牲は付きものではないのか?」と問いました。それに対して、ある農民リーダーはこう問いかけました。
「日本の皆さんが決めることですが、皆さんは幸せですか?皆さんは苦しみの開発にYESなのですか?」
「私たちは、苦しみ/哀しみの開発にNO。幸せのための開発/発展のプロセスにYES」と。

この農民リーダーは、東京だけでなく原発事故に苦しむ福島と限界集落化しつつある兵庫県中山間部を訪問しています。そして、地元の農家の皆さんと語らう中で考えた結果、以上のように答えたと言います。

2011年3月11日に起きた東日本大震災は、日本の私たちに「犠牲を伴う開発」について、多くの問いを投げかけました。モザンビークで私たちの援助や投資がもたらしている現実は、他人事ではありません。と同時に、「日本の食料・エネルギー・利益をどうするのか」という疑問もあるでしょう。

それを乗り越えていくためのヒントを、モザンビーク農民の声を紹介しながら一緒に考えていきたいと思います。

【講師プロフィール】
舩田クラーセンさやか
(明治学院大学国際平和研究所 研究員)
元東京外国語大学大学院准教授。「紛争/暴力と平和」の専門家として、アフリカー特にモザンビークの歴史・政治社会・経済を研究してきた。2012年、モザンビーク農民組織の要請を受けて、日本とブラジルが同国北部(ナカラ回廊)で実施するProSAVANA(プロサバンナ)事業、ナカラ経済回廊開発、そして土地収奪の問題に取り組むようになる。現在は、グローバルな食と農・暴力をめぐる諸問題の研究に従事する一方、国際的な学術グループや市民・当事者間のネットワークづくりをサポートしている。また、エネルギーと食料の自給の実践、ハーブや薬草の研究を積み重ねつつ、「里森生活」を合い言葉に、森の薪と枝だけで調理中。主著書に、『モザンビーク解放闘争史』(御茶の水書房、日本アフリカ学会奨励賞)。共著に『The Japanese in Latin America』(Illinois UP、全米The Choice50選)、編著に『アフリカ学入門』(明石書店)など。

【参考サイト】
*「モザンビーク開発を考える市民の会」のブログ
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/
*「アフリカ日本協議会(AJF)」の関連サイト
http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/ProSAVANA/
*「日本国際ボランティアセンター(JVC)」の関連サイト
http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy/prosavana-jbm.html
*市民による「モザンビーク小農応援団」のフェースブック
(上記の来日農民の皆さんの声などが満載です)
https://www.facebook.com/%E3%83%A2%E3%82%B6%E3%83%B3%E3%83%93%E3%83%BC%E3%82%AF%E5%B0%8F%E8%BE%B2%E5%BF%9C%E6%8F%B4%E5%9B%A3-1060343997409346/?hc_ref=PAGES_TIMELINE

a0133563_3105742.jpg

国際開発学会@広島大学で発表するモザンビーク市民社会の代表の様子。
私の故郷ニアサ州の農家の息子さんです。
[PR]
by africa_class | 2017-02-16 03:12 | 【記録】講演・研究会・原稿

NHKクロ現代が意図的に報じなかった現実(土地紛争、モ国内でも鉱山暴動、大豆問題)

今NHKのクローズアップ現代の番組みていますが凄いですね。あまりに「政府広報」になっていて(分かりやすすぎる!)、驚き。明日も国際学会なので、あまり時間がないのですがあまりに酷かったので、データを示しておきますね。

と書いているうちに、番組FBで批判の投稿が次々に。なるほどな意見ばかり。この問題を語る際に、「専門家であること」は、実は邪魔なことなんだなあと至極納得。普通にちゃんと暮らしている人の感覚、今更ながら重要だと思う。だからマフィゴさんたちの訴えが分かる。「雇用されてなくても、お金がなくても、道具がなくても、土地さえあれば明日飢えることはない」・・・そのことの凄さ。東京でそんなこと言えないですよね?私たちの方が貧しいのではないのか…コンビニに並ぶ大豆食品のために、モザンビークの農民から土地を奪いたい?体制が流布したい『良い話の裏」を嗅ぎ取るセンスこそ、311後の日本の市民のリテラシーに不可欠なこと。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=262262733915250&set=a.190528451088679.49621.189455884529269&type=1

やはり、命を掛けて声を上げている人達の生の声に接することをおススメしたいと思います。
6月2日TICAD公式サイドイベント「食料をめぐる世界の動きとアフリカ~プロサバンナからみえるもの」
http://afriqclass.exblog.jp/17840090/

だって、①自分の利益になることに一生懸命な人達と、②脅迫を受けてまで抗議する人達を比べた時に、両方耳を傾けるのは大前提としても、②に何か重大で深刻な現実が隠されているというのは一目瞭然なわけですから。ぜひ、どうぞ。

そして、問題のこの番組・・・・。
プロサバンナがどう以前に、全体のトーンがそもそも凄かった。

NHK:ク ローズアップ現代「アフリカの成長をとりこめ “チーム ジャ パン”の新戦略」日時:平成25年5月30日19:30~19:56 (再放送:6月1日 12:10~)番 組: 「クローズアップ現代」http://www.nhk.or.jp/gendai/

「中国に対抗するため、モザンビーク北部は日本のため何ができるか」・・・の話ばかり。
「男たちのプロジェクトX:中国に勝つために日本がモザンビークを使い、オールジャパンで頑張るべきこと!」

といった趣向。うーん、学生で騙される子いそうな趣向ですね。

それにしてもプロサバンナ事業を推進したい日本の本音が、あまりに露骨に出ており、かつそれが私が論文で分析していたとおり(中国へのライバル心)なので、思わず膝を打ちました。(現実には、モザンビークの人びとのためには良くないことで・・外れてくれていたほうが良かったのですが。)

特に問題なのは、
「大規模大豆農場への投資」「大豆で儲けた農民」だけを映像として出している!へ???
まさにこの地域(ナカラ回廊沿い)で大豆生産をめぐって起こっている住民とアグリビジネス、住民同士の対立と問題を、全部無視している状態・・・。


彼らがこれを知らなかったわけではありません。勿論、関連記事はあげているのですが、番組が伝えたい「一面的な成功」の色で染めるには、邪魔(「不都合な事実」)だったようですね。

知らなかったわけではなく、映像がなかったわけでもなく、あえて恣意的に報じなかった。そのことがもたらす、現地農民たちへの悪影響を考えると、本当に罪深いです。

そもそも、この取材班、2月に来日したUNAC(全国農民組織)にインタビュー取材をし、さらに現地で行なわれた農民組織のプロサバンナ事業に関する抗議集会の取材もしているのに?報道とは、「政府の公式見解」と「異論を唱える人」の両方を、いずれかが少しでも見せるのが「基本のキ」。例え、批判報道であっても、公式見解を紹介するように。まさか、政府広報だけをするとは?!今この瞬間、我々の援助事業のせいで現地で大問題になっていることを、知っていて、全く問題がないように報じるとは。まあ、原発事故報道をみてると勿論、この前提が如何に日本の文脈では軽視されているのかははっきりしていますが。またしても、その証左が一つ増えてしまいました。

問題があるのはマダガスカルの資源開発のみで、モザンビークの方は「万歳」という結論が、既にオカシイ。そもそも、資源開発の問題を対比させるのであれば、「モザンビークでも生じていることであるが」ぐらいは入れてもよかったと思います。(なお、マダガスカルもまたあのクーデーターは、韓国に農地の大半をリースするという情報によって起こされたものであることを考えると、どちらか一方の事例だけを深く掘れば良い番組になったはずでしたね。マダガスカル部分はしかし、それはそれでちゃんとした番組だtったと思います)

さて、モザンビークの報道の仕方の問題。
番組の冒頭で、モザンビークのナカラ回廊プロジェクトは、内陸部の鉱物資源開発も含めて示されていたのですから。ましてや、マダガスカルと同様の問題がモザンビークの鉱物資源開発地でも生じている(住民の抗議、住民のデモ、道路封鎖、警察の弾圧による負傷者)のに、モザンビークは「バラ色一色」。。。

取材班は勿論このことを知っていました。BBC等の報道もフォローしている。なのに?謎ですね。いや、最初からこうだった・・・とおっしゃらず。クローズアップ現代は時によい番組も作っているのです。

なので、是非制作者たちにもよ~く考えてほしいところ。
さて、番組で語られなかったことの数々をデータをもって紹介しましょう。

(1)ナカラ回廊沿いに暮らす農民や農民組織が、メガ投資によって現在直面している土地強奪による土地紛争や生活の不安・質の低下の問題。

<=鉱物資源会社、アグリビジネス、大規模植林企業による土地強奪による農民との衝突・対立、農民の生計手段が成り立たなくなった、、、etc。これらは、昨日のUNACや現地市民社会代表のプレゼンで指摘されていたことですが、ちゃんと現地取材に基づく報道をしている日本メディアもあります。昨日の朝日新聞!

①昨日(30日付)の朝日新聞の記事
・(アフリカはいま)眠れる大地、「緑の実験」 モザンビーク穀倉化計画
←http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201305280673.html
*ちゃんと農民らの抗議についてもカバーされています。
*記事の見出しが…ではありますが(「眠れる大地」と付けるとそこに暮らす人びとや森が・・・)、記事の中身は非常にバランスがとれた良い記事だと思います。

「貧しい農民、強制移転懸念」
(前略)プロサバンナでは、農地として最低でも10ヘクタール以上の耕作面積が必要とされるが、モザンビークでは5ヘクタール以下の畑を持つ小農がほとんど。同国最大の農民組織UNACは、計画が進めば農民が強制的に移転させられるなどの恐れがあると指摘。さらに「農民が計画に全く関与できていない」と批判している。(略)対象地ナミーナの農家。「暮らしは決して楽じゃない。(略)政府は雇用も増えて生活も良くなるというが、違う土地に移転させられてまでは望んでいない。この年では農業以外できない。故郷を奪われるのだけはごめんだ」

「収入激減の例も」
疑心暗鬼になるのは悪い前例があるからだ。北西部テテ州のカテメ。豊富な石炭が周辺に埋蔵されていると分かり、2010年、700世帯以上の農家が40キロ離れた土地に移転を強いられた。最初は拒んでいたが移転を受け入れた農家によると、「農産物も増え収入もよくなる」と説明されたが、「実際に住むと説明とはまったく違っていた。農業に必要な水を引く川も近くにない。畑まで4時間も歩かなくてはならない」(略)収入が激減する農家が続出。去年1月には、500人以上が資源会社が使用する鉄道や道路を封鎖するなどして、逮捕者が出る騒ぎとなった。政府と住民の緊張関係は未だにくすぶる。(後略)

②ブラジル鉱山資源会社Valeと住民の衝突について
・モザンビークで、ブラジル鉱物資源会社Valeの炭鉱道を住民が封鎖、警察が発砲3名負傷
http://afriqclass.exblog.jp/17644029/
*各種報道についても載せていますが、日本語のものがないのでこれを。
・なお同じテテ州に新日鉄住金が4月4日、炭鉱の採掘権を取得し、2016年から操業開始。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130404/biz13040413450009-n1.htm

<=日本企業も既に関与し始めているのです。

(2)大豆ブームで起こっていること
なぜか大豆の大規模農場が無批判に、「よきもの」として紹介・・・されています。しかし、昨日のデブリンさんのプレゼンでも、セルジオさんのプレゼンでもはっきり示されたことなんですが、これは大変問題のある見方です。

ProSAVANA対象地Gurueの北方の森林地帯は、大豆生産のブーム地となっており、次から次へと投資が入り込んでいます。これらのすべてが、ProSAVANAの合意2009年後のものであり、ProSAVANAが大規模投資を呼びかけるプロジェクトとして打ち上げられたために、このような事態になっているわけです。その背後には、事業の中に組み込まれていたNacala Fundというものの存在が関わっています。

その中に、Devlinさんのプレゼンでも紹介されていたHoyoHoyoの事例があります。

①IPS: Mozambican farmers fear foreign land grabs
「モザンビークの農民らは外国による土地強奪に怯える」

(22 February 2013)
http://farmlandgrab.org/post/view/21682

ホヨホヨ HoyoHoyo
ザンベジアに2万ヘクタール、テテ州に8千ヘクタール、
リオマ農場(ザンベジア州・グルエ)に1万ヘクタールの土地
・戦後にリオマ農園を使っていた人びと(使用権が土地法で付与)との間で土地紛争。
・企業は補償と新しい定住地を準備することを約束。
・2012年にホヨホヨが使おうとした3500ヘクタールの内1945ヘクタールに836農民が。
・Delfina Sidonio(3人の子どもの母親)によると、「私は、私の両親から相続した土地から土地から追放された。補償としての680ドルと新しく耕せる土地と 交換に。1年前に追放されてから、約束された額の4分1しか払われず、新しい耕作地についての情報も来ていない。」
・Ruaceのエルネスト・エリアスは、「我々の生活はすべて土地にある。土地は我々に食べ物とサプライを与える・・・我々のライフスタイル を」と小農協会フォーラムのメンバーは述べた。

a0133563_295590.jpg

去年撮った写真。
a0133563_2173131.jpg

分かりづらいですが・・・とにかく広大!ウクライナでも広大な農地を取得したチェコの富豪とポルトガル貴族の会社・・・。

②モザンビーク大統領も土地取得=ビジネス(利権)
そしてモザンビーク大統領関連企業+ポルトガルで最も裕福なAmorinグループ+ブラジルの大豆生産者によるAGROMOZ。去年9月、同じ地域にかなり広大な土地を収用したと報じられていますが、「誰も詳細は分からない」という限りなく不透明な状態です。援助事業に国家の長として同意し、進める立場にある大統領が、このようなプロサバンナ事業を見越して展開している・・・のは、明らかに汚職と関わると思うのですが?

③この地域が大豆生産のターゲットになっている理由ー現地NGOと他ドナーの息の長い援助
肥沃な土地、水資源、現地NGOと北欧政府が汲んだ息の長い支援によって、大豆生産がtake offし始めたからです。8年のトライアル&エラーがあり、これは小規模農民を対象にした支援の成功例でした。このおばさんも、その援助の結果の可能性あり。(あたかもJICAが始めたかのような印象をあちこちでばら撒いているのは大問題)。しかし、HoyoHoyoの例が典型ですが、このように小農が生産地を拡大しようとし始めた矢先に、プロサバンナ事業の調印後、この土地を狙ったランドグラブと進出が相次いで、これらの大豆生産者と土地を巡る争いが起きているのです。

なので、わざわざ「大規模大豆生産のためのアグリビジネス」を呼ぶ必要などまったくないのに、大前提として「大規模農業と小農の共存」が設定され、それに飛びつく投資が入りつつあるのが、ProSAVANA事業の問題なのです。

④この地域が何故ターゲット?ー森林破壊
水、土壌の他に、これがあります。森林!
ブラジルと同じです。大豆生産の拡大の果てに森林破壊あり。なのになぜかエコロジカルな側面ばかりが強調される(by本郷さん)。そもそも生物多様性保全や地球温暖化防止の時代に、わざわざ多様な生き物が棲む森林を伐採して、一面農地にして「窒素を固定するからエコフレンドリー」的な発言をするセンスが全く理解できません。人はそれほどまでに、生き物に対して失礼で愚かなのですね。

森林地帯・・・当初住民との紛争が想定されていなかった。そして、プロサバンナ事業のマスタープランでも、その点が「Helpful」として書かれています。つまり、森林伐採はこの事業の大前提です。始まる前から、あてこんで大規模な大豆生産が開始されているわけで。

アフリカ学会(2013年5月28日)で紹介した分析スライド
a0133563_262179.jpg

ゾーニングの概念から。
a0133563_2242368.jpg

広大な森林があることは「役立つ」そう。アグリビジネス進出に。本音が出た。
a0133563_233860.jpg

そして極め付けはこれ!!!
土地の使用手法の分布を示した地図ですが、フォーカスが「森林」「移動農耕の地域」の分布。観て分かる通り、あらたに加えられた地域(ナカラ回廊沿いですらない)と大豆問題が発生している奥地は森林で覆われ、ナカラ回廊沿いはことごとく農地として使われ、「移動農耕shifting farming」がなされているところ。つまり小農が移動しながら使っている地域。つまり、土地は余っておらず、移動農耕がある限り大規模な土地の収用は不可能。

そこで・・・考えられたのが、何故かいきなり「喫緊の課題として『移動農耕撲滅アクション』」がマスタープランReport 2に出てきます。そして、移動農耕撲滅に同意し、決まった範囲の土地で近代農業を行った農民は、「リーダー」としてDUAT(土地使用権)を与えられ、支援が受けられる・・・とあります。(詳しくは以下の専門家分析で)。

そしてこれもリーク資料。DUATの取得状況です。
a0133563_2384039.jpg

明らかに大半の農民が持っていない。その状態で、慣習法とDUATで守られているはずの農民が、土地を守れない状況が生まれていることが一目瞭然。

ちなみにこの地域の人口密度も出ているのでご覧いただければ、現在いかに彼らが危い状態にいるかだけでなく、人口増加率を考えると将来どのような事態に直面するのか懸念が生まれます。なのに50年リースでどんどん土地を貸している現状!
a0133563_2405415.jpg


しかし、これらの日本の税金によって集められ、税金によって執筆が行われたレポートであるのに、これがリークされ深刻な問題が指摘されると、いきなり「知らない、みてない、関係ない・・・ただのペーパー」と言い逃れしようとする日本の外務省。。。
●じゃあなぜそれに基づいてステークホルダー会議の資料が作られ、発表されるのか?
●じゃあなぜ第4回意見交換会でそれに基づいて日本の市民社会と外務省JICAが議論したのか?
もはや、この発言によりモザンビーク、ブラジル、国際NGOはあまりに唖然としてしまって、「存在するけど存在しないペーパー」。日本のNGOは「私たちの税金で作られた。。。。<<だたの紙?>>」とrunning gagになっている状態。恥ずかしい、、、のは私だけ?

しかも、コンサルの名前も観ての通りばっちり出ている。モザンビーク政府の名前も。つまり、我々の税金で作られたレポート。その存在を認めないのは…理解が不可能。まあ、公的にということなんでしょうが、あそこまで否定すると国際的信用を明らかに失う。だって目の前にそれはあり、彼らが出席した3月のステークホルダーとうり二つの内容でかつJICAもそれを認めているのですから(第3回会議)。こうやって、またしても、日本外交は「当事者を前に、非礼外交」を繰り広げてしまったのでした。

さてこの力作のレポートNo1はおそらく日本コンサルの作ったもの。No2はブラジルのコンサルが作ったもの。が、三画協力なんで連帯責任。連名だし。そもそも、以上のようにNo1で示されたモザンビーク北部の社会環境の状況は、明らかに一つの現実を示しています。

つまり、
●小農支援が本当の目的ならば、モザンビーク北部に余っている土地はない。(移動農耕、人口過密、近い将来のさらなる過密)
●小農の権利を守るための土地法はDUATの取得がほとんどない中で、使用実績と慣習法だけが根拠となるが、移動農耕が禁じられる(撲滅アクション)中で、かつ政府を率いる大統領自身が投資目的で広大な土地収用を行う現実で、守られない。
●残っているのは森林地帯だけである。それを本当に援助で奨励するのか?


(4)「善い話」の裏の根深い構造~マスタープラン案の分析から
プロサバンナ事業が、実態としてはこのような話ではないことについて、以下のリークされたマスタープラン中間報告(Report 1とReport2)を読んで行われた分析結果をご覧いただければ。

①【国際共同声明】プロサバンナ事業プランは最悪シナリオ露呈~市民社会は大規模土地収奪への秘密計画を警告
http://afriqclass.exblog.jp/17723137/

②第四回ProSAVANA事業に関するNGO・外務省意見交換会
ProSAVANA マスタープラン暫定案(Report No.2, March 2013)専門家による分析と問題提起「総合的問題  当事者不在で正当性に欠けるマスタープラン
~小農に犠牲を強いる構造とQIP(Quick Impact Project)の問題」
http://afriqclass.exblog.jp/17776607/

<=そこにアグリビジネスの野望が色濃く反映されています。詳細はリーク報告書を。
(*Report1と 2はGRAINのサイトでダウンロード可能な状態です。)
http://www.grain.org/e/4703

(3)でも紹介した森林がターゲットであることについては、このスライドでも一目瞭然。青西さんの分析から。
a0133563_2232873.jpg

[PR]
by africa_class | 2013-05-31 02:52 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

G8土地取引の透明性向上イニシアティブへの国際市民社会非難声明(ProSAVANAもターゲットとのこと)



ドイツからG8による「土地のトランス パーレンシーイニシアティブ」に関する声明をが届きました。
FIAN is an international human rights organization that has been advocating the realization of the right to food for 25 years. FIAN consists of national sections and individual members in over 50 countries around the world. www.fian.org

http://www.fian.org/en/news/article/detail/fian-calls-upon-g8-to-implement-tenure-guidelines/

G8主導の「土地取引に関するトランスパレンシー増大化」イニシアティブへの市民社会の抗議だそ うです。ターゲットには、「G8 New Alliance for Food Security and Nutrition in Africa」とプロサバンナがh含まれているということです。

日本の市民社会からの共同声明への賛同も募集しているそうです。
どなたかこれの軽い訳や紹介などを、 活 動や仕事等の関連でされる方がいらしたらお教え下さい!

===================================
International Statement
G8 should implement the CFS Tenure Guidelines rather than launch a new initiative aimed at increased transparency in land transactions
(15 May 2013)


The G8 is currently discussing an “initiative to increase transparency of land transactions and tenure”, which is to be launched at the G8 summit in June 2013.

We strongly reject and condemn the G8’s proposed transparency initiative for the following
reasons:
• Transparency – and the G8 initiative – will not stop land and resource grabbing
• The G8 has no democratic legitimacy to make decisions about land, food and nutrition
• The G8 initiative on transparency bypasses and undermines the CFS

We therefore call upon the members of the G8 to:
- Abandon all plans to establish the proposed initiative
- Comply with their commitments arising from endorsing the CFS Tenure Guidelines, inter alia

by supporting the financial Facility proposed by FAO
- Promote true accountability by regulating investors and companies based in G8 countries to disclose their involvement in land and resource grabs, and hold them legally accountable for abuses of tenure and human rights.
- Stop the implementation of the cooperation frameworks of the G8 New Alliance for Food
Security and Nutrition in Africa, as well as the negotiation of new frameworks that
undermine sustainable small-scale food production and local food systems.

The G8 is currently discussing an “initiative to increase transparency of land transactions and tenure”, which could be launched at the G8 summit in June 2013. Arguing that global pressure on land for food and fuel is growing quickly and will increase significantly over the next decade, the G8 initiative aims to promote transparency with regard to land acquisitions by national and international investors in order to support and increase what the G8 calls, in one of the drafts, “productive investments in land”. This transparency is to be achieved through the voluntary disclosure of information about land deals by the investors themselves, by civil society and by the governments of G8 and those of selected developing countries.

The transparency initiative is strongly promoted by the governments of the UK and Germany and could be launched at the G8 summit in the UK in June 2013. The promoters state that informal consultations have been carried out with several governments, international institutions, the private sector, and some international NGOs. The G8 intends to launch the initiative as a global initiative in its June 2013 meeting, although implementation will at first begin only in some pilot countries.

This initiative comes at a time when we are witnessing an unprecedented wave of land and resource grabbing for industrial agriculture, extractive industry, transportation and energy infrastructure, tourism, REDD and other carbon offset projects. While there has been increasing and overwhelming evidence in recent years on the impacts of these land deals on local communities, environments and related human rights violations, and despite the fact that several governments and international institutions have expressed concerns and the urgency to regulate land grabbing, land and resource grabs continue unabated. Every day, local communities all over the world lose access to their lands and water sources, are evicted from their homes and territories, are pulled into regional-global ‘value chains’ as precarious plantation workers or into ecologically harmful monocultures as contract growers under inequitable terms, and face food, livelihood and physical insecurity.
The lands taken by investors are often the most fertile and productive, and sustain communities and entire populations who cultivate food and other products, provide dignified employment and make significant contributions to local and national economies.

The liberalization of agricultural markets has not decreased hunger or poverty; on the contrary, the numbers of hungry people continues to increase worldwide and it is small-scale food producers (especially women) who feed over 70 % of the world’s population.

However, instead of taking concrete and effective measures to arrest these trends, the G8
governments continue to discuss initiatives that are utterly inadequate, distract from the real problems on the ground and waste time and resources when what is needed are immediate actions to effectively stop and roll-back land grabbing and secure local communities’ rights to resources.

We strongly reject and condemn the G8’s proposed transparency initiative for the
following reasons:
• Transparency – and the G8 initiative – will not stop land and resource grabbing
Making transparency the main agenda with regard to land grabbing will not stop it. Making
transparency the primary condition for approving land acquisitions risks endangering the
survival of the world’s rural populations and the remaining local food production systems. There are several cases of land grabbing, where transparency simply led to more “transparent” land grabs.

One case that should warn us is Cambodia: it is one of the countries most affected by land grabs and related human rights violations. More than 2 million hectares of land have been transferred for agro-industrial production. At the same time, the Cambodian government itself has a public website regarding these land transfers(*1), thus making the land grabs much more transparent than many other countries, but without lessening the devastating impacts on local people.
(*1 See http://www.elc.maff.gov.kh/en/profile.html.)

Transparency can even contribute to facilitate land grabbing, especially when ignoring the huge asymmetries of power that exist between investors, governments and local communities, many of who are poor rural people.

Communities affected by land grabbing can only claim their rights – including the right to refuse land deals – when they are sufficiently informed about the deals well before the signing of investment contracts and when their claims to land are legally recognized and respected. Even after contracts are signed, communities must be ensured the right to review and re-negotiate contracts, since all negative impacts are not likely to be evident during the period of initial negotiations. The CFS Guidelines on the Governance of Tenure of Land, Fisheries and Forests clearly establish the need for consultation and participation of all those who could be affected by decisions, prior to decisions being taken and of active, free, effective, meaningful and informed participation of individuals and groups in decision-making processes that affect their tenure rights (par. 3B6). Free, Prior and Informed Consent (FPIC) must include the rights of community members to withhold consent if the investment is not in their interests.

But while transparency is important, it is not an end in itself, but only a pre-condition for
accountability and used in support of the larger objective of full democratization of decisionmaking.

Only if embedded firmly within a mandatory human rights and social justice framework
can transparency serve as an anchor for securing tenurial claims and rights, and ensuring
positive development outcomes for affected communities. Transparency cannot by itself
determine the relevance or appropriateness of land deals, or assess the multiple environmental, social, cultural and economic impacts of these deals at local and national levels. Evidence to date shows that large-scale land deals are fundamentally harmful to local peoples, environments and economies. No amount of transparency is going to transform these deals into something good.

The G8 model of transparency will further enable and facilitate land grabbing by helping
investors to guard against compensation claims and land related litigation, protect their
reputations and build up a global land/real-estate market.

• The G8 has no democratic legitimacy to make decisions about land, food and nutrition
By launching the proposed initiative on transparency, the G8 seeks to establish itself as a
platform with the power to make decisions, or at least significantly influence global initiatives on land, food and nutrition. However, the G8 does not have a democratic mandate to make such decisions. The most legitimate and democratic body tasked with governance of these issues is the Committee on World Food Security (CFS), of which all G8 states are members. Further, the transparency initiative is promoted by governments of some of the most important home states of land grabbers, as the G8 themselves has acknowledged.

The proposed initiative has the same problems of legitimacy and content as the Principles for responsible agricultural investment that respects rights, livelihoods and resources (PRAI), which were clumsily presented as an appropriate response to land grabbing by the World Bank, IFAD, UNCTAD and FAO, and supported by many G8 countries. Due to well-founded objections by most governments and civil society, the PRAI were not adopted by the CFS in 2010. The new G8 initiative is attempting, yet again, to enforce the principle that money and markets decide what is best for the world – a principle that has repeatedly failed to solve any problems in the past and instead has created multiple and recurring crises.

• The G8 initiative on transparency bypasses and undermines the CFS
The CFS is the most legitimate and democratic multilateral governing body on food security and nutrition. The G8’s proposed initiative undermines the CFS by not complying with its decisions, particularly the Guidelines on the Governance of Tenure of Land, Fisheries and Forest. TheseTenure Guidelines were unanimously endorsed by the CFS in May 2012, after an inclusive consultation and drafting process that lasted more than three years.

The Guidelines are the first international instrument on the governance of natural resources anchored in human rights, and set out clear principles and recommendations about how to improve the governance of tenure with the overarching goal of the realization of the right to food, focusing specifically on vulnerable and marginalized peoples. Social movements, civil society organizations (CSOs) and academics actively engaged in the consultation and negotiation processes that led to the endorsement of the Tenure Guidelines in May 2012 and have welcomed their endorsement,while acknowledging that they fall short in some aspects that are key to the livelihoods of smallscale food producers who produce most of the food consumed in the world. Social movements and CSOs have committed to work with states and international agencies such as the FAO, to use the Tenure Guidelines in order to improve security of tenure of land, fisheries and forests for small-scale food producers. By endorsing the Tenure Guidelines, states have committed themselves to their implementation in accordance with their existing obligations under international human rights law.

To date, however, states have failed to live up to their commitments to implement the Tenure Guidelines in their full spirit. Like the G8 New Alliance for Food Security and Nutrition in Africa, the proposed initiative pays only lip service to the Tenure Guidelines, while actually misinterpreting them in a way that serves the interests of investors by facilitating land and resource grabs. Instead of supporting coherent and joint efforts to implement the Tenure Guidelines according to the objectives set out in them, the G8 is planning to establish new structures. By beginning a discussion on a transparency initiative, the G8 is re-opening a discussion that has already been completed in the process that led to the formulation of the Tenure Guidelines, rather than complying with CFS decisions and implementing the Tenure Guidelines in line with their objectives.

For these reasons, we strongly reject and condemn the proposed initiative on transparency and will oppose this and all other attempts to re-establish money and market driven governance of natural resources, food and nutrition.

We therefore call upon the members of the G8 to:
- Abandon all plans to establish the proposed initiative
- Comply with their commitments arising from endorsing the CFS Tenure Guidelines, by

o Implementing the Tenure Guidelines in line with their obligations under international
human rights law Supporting the establishment of a financial facility at the FAO, in order to ensure coherence in the implementation of the Tenure Guidelines. This facility should
function like a trust fund and be designed in accordance with the principles of the
Tenure Guidelines, and ensure participation, non-discrimination, transparency and
accountability, and avoid conflicts of interest.

o Respecting the need for open-ended national discussions in multi-actor platforms, as
stipulated in the Tenure Guidelines, with participation of the most affected people,
about how to improve governance of tenure, using the Tenure Guidelines as
reference, instead of imposing governance initiatives that lack any form of
democratic legitimacy and are driven by market interests and money.

o Supporting the monitoring mechanism that will be put in place by the CFS to monitor
the implementation of the Tenure Guidelines and governance of tenure, instead of
creating new structures.

- Promote true accountability by regulating investors and companies based in G8 countries to disclose their involvement in land and resource grabs, and hold them legally accountable for abuses of tenure and human rights. This should include, inter alia, the introduction of: a complaint mechanism to investigate human rights abuses by investors; monitoring mechanisms in their embassies to track activities of investors; and; mandatory reporting of private and state investors on activities that may affect human rights abroad. Further, to request reports of the host states of investments on the records of investors abiding by local/national legislation and norms and respecting human rights in host (i.e. recipient) countries; to make domestic law in G8 countries applicable to extra-territorial human rights abuses and recognize victims from other countries standing in national courts; and to sanction and prosecute culprits, for example by excluding them from state procurement and limiting their range of business.

- Stop the implementation of the cooperation frameworks of the G8 New Alliance for Food
Security and Nutrition in Africa, as well as the negotiation of new frameworks that
undermine sustainable small-scale food production and local food systems.
In closing we note that grassroots movements of peasants, fisherfolk, pastoralists, indigenous peoples and workers in alliance with human rights, development and research organizations have intensified their resistance to land and resource grabbing in all forms. These struggles for all humanity and the planet are growing on all continents.

15 May 2013
International Indian Treaty Council – IITC
La Via Campesina
Plateforme Sous-Régionale des Organisations Paysannes d'Afrique Centrale – PROPAC
Réseau des Organisations Paysannes et de Producteurs Agricoles de l’Afrique de l’Ouest – ROPPA
World Alliance of Mobile Indigenous Peoples – WAMIP
World Forum of Fish Harvesters and Fish Workers – WFF
World Forum of Fisher Peoples – WFFP
Associazione Italiana per l’Agricoltura Biologica – AIAB
Anywaa Survival Organisation – ASO
Arab Group for the Protection of Nature
Biofuelswatch
Centre for Sustainable Development and Environment – CENESTA
Centro Internazionale Crocevia
Coordinamento di Iniziative Popolari di Solidarietà Internazionale – CIPSI
Ecologistas en Acción
Family Farm Defenders
FIAN International
Focsiv Volontari nel Mondo
Focus on the Global South
Fondazione Italiana per la Ricerca in Agricoltura Biologica e Biodinamica – FIRAB
Food First, Institute for Food and Development Policy
Food Sovereignty Network South Asia
Friends of the Earth International
EcoNexus
GRAIN
Grassroots International
[PR]
by africa_class | 2013-05-18 02:25 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

UNAC全国年次総会声明文(ProSAVANAも、鉱業メガプロジェクト、大規模植林とともに批判されています)

きほど届いたUNACの全国総会声明文(ポルトガル語)ですが、ProSAVANAのことが沢山批判されていたので、急ぎ仮訳しました。ご一読下さい。ニアサ州の農民代表を招いても、この状態・・・本当に。

特に・・・・
「過去2か月、UNACは、モザンビーク政府、日本の外務省、JICAとして知られる日本の国際協力機構の代表者 ら、ブラジルの国際協力庁(ABC)、駐モザンビーク日本大使、駐モザンビーク ブラジル大使との面談や対話を拡大し、ProSAVANA事業に関する討論を行ってきた。

草の根レベル から、郡や州レベルの集会までの多様な討論の結果、次の点で多くの矛盾があることが明らかになった。それは、入手可能な情報の不十分さ、 (事業の)設計の欠陥を示す兆候や証拠、公衆との協議と参加のあるべきプロセスにおける不正(irregularities)、農民の土地の強奪やコミュニティの強制的 な除去への差し迫った深刻な脅威である。」

は、本当に恥ずかしいです・・・。

(全文)
==================
イニャンバネ・ギウア宣言
モザンビーク全国農民連盟UNAC 年次総会2013年
2013年5月7日~9日
(仮 訳)


25年以上も農民男女の社会的・経済的・文化的な権利のために闘い、食料主権のため 闘ってきたモザンビーク農民運動であり、8万7千人を超えるメンバーを代表する全国農民連盟 (União Nacional de Camponeses:UNAC)は、モザンビークのすべての州の男性・女 性・若者、農民のリーダーらから選ばれた80名以上の派遣団や招待者の立ち会いの下、2013年5月7日から9日の間、イニャンバネ州ギウナの人道促進セン ターに集い、2013年度の年次総会を開催した。

我々は、この国並びに農民運動の基本的問題を話し合ったほか、重要な戦略的ツールである「2012年度活動・会計年次報告」と「2013年度活動年間計画並びに予算」を分析し、これ を承認した。また同様に、我々は、農民運動における焦眉の課題であり活動である、モザンビークにおける土地紛争、そして自然災害、開発並 びにメガプロジェクトのコミュニティへのインパクトという現状に直面するための戦略について、深く広い検討を行うことをアジェンダに掲げ た。

イニャンバネでの集会の間、最近モザンビーク政府によって発表された農業部門投資国家計画(Plano Nacional de Investimento do Sector Agrário: PNISA)とProSAVANA事業についての討論を継続し深めた。

UNACが入手した最新の情報によると、ProSAVANA事業は1450万ヘクタールの面積、ニアサ、ナンプーラ、ザ ンベジア州の19郡を対象にした事業である。これに関する検討 と討論により、我々UNACのメンバーである農民男女は、ProSAVANA事業に関する注意を強化し、それに対応するた めの戦略を決め、全国の農民男女のほとんど全面的な排除と不在の下で承認されようとしている農業政策への代替案を提案する。

過去2か月、UNACは、モザンビーク政府、日本の外務省、JICAとして知られる日本の国際協力機構の代表者 ら、ブラジルの国際協力庁(ABC)、駐モザンビーク日本大使、駐モザンビーク ブラジル大使との面談や対話を拡大し、ProSAVANA事業に関する討論を行ってきた。草の根レベル から、郡や州レベルの集会までの多様な討論の結果、次の点で多くの矛盾があることが明らかになった。それは、入手可能な情報の不十分さ、 (事業の)設計の欠陥を示す兆候や証拠、公衆との協議と参加のあるべきプロセスにおける不正(irregularities)、農民の土地の強奪やコミュニティの強制的 な除去への差し迫った深刻な脅威である。

PNISAに関して述べるならば、我々は、この文書が、その構想の段階から、公衆の参加する プロセスや空間、そして農民運動の中で、広く議論がなされてきたものであることを表明したい。PNISAは、モザンビーク政府のためのものであり、PEDSA(農業部門開発戦略計画Plano Estratégico para o Desenvolvimento do Sector Agrário)の運用のための重要なツールである。しか し、我々UNACの農民闘士らにとっては、PNISAは不十分であり、PEDSAの4つの柱のための戦略すべてを満足させるもので はない。我々は、イニャンバネでの年次総会で議論された「家族経営農業支援国家計画Plano Nacional de Apoio a Agricultura do Sector Familiar」の採択こそを擁護する。

また、ニアサ州やその他の州で生じているモノカルチャー植林の急速な拡大、テテ州の再定住地で生じている農民の権利の侵害、数々の土地紛 争は、我々に大きな懸念を与えている。例えば、ProSAVANA事業について述べると、同事業対象地の農民男 女らは、ナカラ回廊沿いの将来について多くの不正と不安を問題視し、非難している。

我々、モザンビークの農民男女は、憲法が保証する権利の実現のための闘いに関与するとともに、家族経営農への不可分なコミットしていくこ とを再確認した。我々は、我々の国の開発の基盤として農業を位置づける憲法の規定に完全に基づき、また方向づけられ、闘いにおいて確固た る姿勢で臨み続ける。

メガプロジェクトへの政府の変更なき行動は、農民らの生活の基盤を犠牲にし、多国籍企業といった大きな権力者らを過度に裨益することにな ろう。メガプロジェクトが貧困を削減すると誤解している人や機関があるようだが、UNACは、これらの収益は国民所得の公正な分配をも たらさないことを理解している。例えば、家族農業(日々の食料生産)などの他セクターの活性化という観点からは、これらのメガプロジェク トは農民の貧困化を深める可能性があるため、効果は正反対であろう。

我々、農民男女は、テテ州で起きたように、我々の土地から追放され、他の地域に移転させられ、再定住させられることを恐れている。我々 は、我々の土地やコミュニティの過度の占領に対して、我々自身を動員し、抵抗しなければならないと考える。民衆の強制的な除去と移転は、 自然や土地と共に我々が培ってきた関係や生活のサイクルに対する停止、破壊、暴力を意味する。


2013年のUNAC年次総会は、農民男女が、土地紛争、土地の強奪現象、鉱業の大規模投資プロジェク トの導入によって行われる強制的な移転などの増加といった、巨大な課題に直面している最中に実施された。我々は、鉱業のメガプロジェク ト、モノカルチャー植林、家族経営農業への支援政策の不在によって生じる土地の強奪といった、目の前にある、我々を貧困に追いやるだろう 課題に気づいている。


我々は、これらのプロジェクトを大いなる懐疑の目で眺める。それは、多くの理由と疑問によるが、なんといっても、企業との間で土地を巡る 紛争や係争の状態に農民が置かれ、苦しめられるという、現実の事例が既に証拠としてあるからである。これらすべての問題により、耕作や生 産、そして生産向上のための農地は減らされるであろう。そして、農民らのやる気を減退させ、士気喪失を起こさせ、彼ら自身の農業実践を強 制的に放棄させるプロセスによって自らを疎外させ、最終的に単なる安い労働力に転じられるだろう。


イニャンバネでの年次総会において、我々全国の農民男女は、メガプロジェクトが農民に有害なものとならないよう闘うため、自らの組織化能 力を強化する。我々は、モザンビークの法律によって保証される民主的で公平な協議の実施によってこれを実現しようとし続ける。


もし公衆への協議やその参加プロセスが、これまでと同様に操作され続け、効果をもたないままであるのであれば、農民男女は土地とコミュニ ティを守るための闘いを強化し続けるだろう。農民男女にとって、土地とそこに育まれる共有財産(コモンズ)は、我々並びに国民の財産であ る。まだ、我々の現在及び将来の息子や娘や、すべてのモザンビーク人男女のための遺産である。

民衆の闘いにおいて 疲れはあり得ない!我々の犠牲と共に、我々の目的は達成され、我々が意図した成果は達成されるであろう。我々は、ナショナルな解放闘争の 最も難しいモーメント以来、今日まで取り組んできたように、アグロエコロジカルで環境保全型の家族農業並びに小農農業を発展させる闘いを 固く守り続ける。手に鍬を持ち、大地に足をしっかりとつけ、より良く実行可能なモザンビークを夢見る。そこでは、農民の息子たちや娘たち が、我々の闘争によって解放された土地を身近に感じるであろう。


統一された農民は常に勝利する
イニャンバネ、2013年5月9日
UNAC(全国農民連盟)

More
[PR]
by africa_class | 2013-05-15 04:29 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

プロサバンナ・マスタープラン暫定案に関する日本の専門家による分析結果

以下は、10日の外務省・NGOとの意見交換会で発表された、以下の6名のアフリカ、農村・農業開発、食料・土地問題、国際協力の専門家らによる分析です。なお、ここには一覧で載せていませんが、他数名の開発コンサルタントの方々のご協力も得ています。

マスタープラン暫定案がリークされたからできる分析でした。
(*Report 2はGRAINのサイトでダウンロード可能な状態です。)
http://www.grain.org/e/4703
(*共同声明も以上のサイトから)

是非ご一読ください。

============
第四回ProSAVANA事業に関するNGO・外務省意見交換会
ProSAVANA マスタープラン暫定案(Report No.2, March 2013)
専門家による分析と問題提起 
      


作成:2013年5月8日

総合的問題  当事者不在で正当性に欠けるマスタープラン
~小農に犠牲を強いる構造とQIP(Quick Impact Project)の問題


マスタープランとは、本来、対象地に住む住民のかかえている課題は何であるのか、住民の大部分を占める小規模農民は何を望んでいるのか、を適確に調査した上で、それを、農業政策全体を包む上位課題の中に位置づけ、問題を解決することを目的とすべきものである。従って小農民がどのような生計の状態におかれ、どのような自然と社会環境のうちにあり、生産、消費、安全保障の活動を行なっているかを調査、分析し、その上に立って解決策を策定すべきものである。

しかし今回示されたProSAVANAの暫定マスタープランは、このような目的意識とあるべき策定の方法をまったく考慮せずに恣意的な目的を設定し、現地状況をかえりみずに書かれたプランであり、正当性に欠けるといわざるを得ない。

これまで、外務省/JICAは、内外にProSAVANAはナカラ回廊の小農支援を中心としたプログラムだと説明してきた(これまでの「ProSAVANA事業に関するNGO・外務省意見交換会」、JICA理事長報告2013年2月22日http://www.jica.go.jp/press/2012/20130222_01.html)。しかしマスタープランの暫定案を見る限り、小農の発展は二の次であり、アグリビジネスの進出を促進することに目的があり、そのために小農に犠牲を強いる構造を構築しようとしていることが明確になった。

この結論は、アフリカ農業・農村開発や援助、土地問題、モザンビークに、専門家として長年にわたり関わってきた日本の我々によるマスタープラン暫定案の分析により導かれたものであるが、結果的にこれは、本年4月29日に発表された現地・国際市民社会組織23団による共同声明”Leaked ProSAVANA Master Plan confirms worst fears: Civil society groups warn secretive plan paves the way for a massive land grab(http://www.grain.org/e/4703)”と類似するものとなった。

マスタープラン暫定案の問題は明らかである。同暫定案で示された数々のプランは、モザンビーク北部地域の住民の暮らしや農業のあり方に大きな影響を及ぼす(特に現地農民の権利を侵害する可能性が高い)ことは明らかであるが、当事者である住民や農民組織、現地の市民社会に開示されず、開示に基づく具体的な中身関する協議はまったくなされてこなかった。これまで3政府が主張してきた「住民・市民社会との協議」(ステークホルダー会合、農村での「正確な情報共有(同上JICA理事長報告)」)は、形ばかりのアリバイ的なものであったといわざるを得ない。

以上の状況にもかかわらず、マスタープラン暫定案の公開とそれに基づく協議や議論を待たずして、融資やQuick Impact Projectが先行することは、現地社会に多大な混乱と紛争を生み出すとともに、問題の多いマスタープランの「免罪符」として活用される可能性があり、大いに問題である。

以上の総合的問題認識に至った、マスタープラン暫定案の問題点を、以下に具体的に列挙する。

なお、『JICA 環境社会配慮ガイドライン』に相当抵触する部分があると考えられるため、今後の議論を深めるための質問を末尾に列挙した。


1.その強力な道具立てになっているのは、ゾーニングという手法を利用して、小農の活動範囲を制限し、アグリビジネスと企業的農業の利益を優先させて、小農をこれに従属させるという計画手法で、通常の農業開発計画の作成において通念となっているゾーニングの考えを逸脱した、細部にわたるまでの強制を伴う計画執行を予定している。

2.ゾーニングは、気候、土壌性質、地形、住民の社会的特徴、地理的分布など、既存の状態を詳しく調べ、そのデータに基づいて、これを改良、発展させているための手法である。しかしProSAVANAで執行しようとしているゾーニングは、これらの既存の状態、特にそこに住む農民の大多数を占める小規模農民の状態を詳しく調べることなく、特に小農にとって必要な休閑地、薪炭採取地、牧草地など、Report 1で農用地の範囲について疑問を呈しているにもかかわらず、(例、Report 1, 2-14)むしろこれを無視して、まったく異なる考えに基づき、単純な点数配分などを使い、独断的(arbitrary)なゾーニングの特徴づけと発展方式の指定を行っている。

3.開発主体を個人農業(主に小農)、農民組織(未成立の共同組合かAssociation)およびアグリビジネスの3種類に限り、ゾーンごとにどの主体に開発を任せるとの指定をしている。全study area を6種類のゾーンに分け、そこで栽培されるべき作物と指定(目標として決定)し、どの主体がその推進の役目を担うのかを、事細かに説明している。 ゾーニングはクラスター化(同種の集合)とセットで考えられており、小農の作物選択の意志は完全に無視され、食料主権と食料安全保障の意欲に悪影響を与える構図になっている。
 ゾーンによっては、アグロインダストリーの1社のみ(Majune District, 2-17)が指定されている。
 フードシステム論で言うクラスターとは、異なった業種の集積によって単なるスケールメリットを超えた複合の利益を得ることを目的としている。ところがマスタープラン暫定案のクラスターはこうした理解とは異なり、モノカルチャー型の集積を意図している。モノカルチャー型の農業、経済はとりわけ熱帯アフリカにおいて脆弱性を増大させるという大きな問題を持っている。

4.またゾーンの中に、Special Economic Zoneを設定して、Incentiveや租税優遇措置など、アグリビジネスの進出を促す計画があり、アグリビジネス中心のゾーニングであることを明白に示している(2-23)。またゾーン計画を固定化させる作用を持つQuick Impact Projectを先行させ、実施に入っているが、それは細部が決定され、実施団体、場所、コスト計算などが明記されている(4-6~11)。

5.過去の数々の事業の失敗により広く認識されている通り、農業・農村開発において、Quick Impactは利益よりも悪影響をもたらすことが多い。短期的な効果として労働生産性の向上や生産量の増加が想定されているが、熱帯アフリカの生態系や土壌条件に照らすと、そのことはかえって中長期的な持続性を損なう、略奪的な結果をもたらす恐れが大きい。その点に関する検討はまったく見当たらない。

6.マスタープランの内容として、32のプロジェクトが明記されているが、その中には住民との紛争  が予想されるものが多く入っている上(例:土地登記DUAT事業)、他に先行させるものとしてパイオニアプロジェクトという位置づけがなされているが、最も重要な住民との話し合いの必要が明記されておらず、実行には長期間を必要とするものが多い。莫大な費用がかかるものも含まれている(3-4)。

7.Pilot Project Under ProSAVANA Development Initiative Fund (PDIF)について。すでに始まっているこのパイロットプロジェクトの現状がいくつか説明されているが、問題に直面しているところが多い。(3-13) とくにDUAT(土地占有権)の登記に関するものが多い。しかしこの土地登記を何よりも先行させるべき項目としている(3-15)。モザンビークの農民は現行の1997年土地法で慣習法上の土地アクセス権を保証されているので、登記を急ぐことはその土地アクセス権を狭めることになる。アフリカの他の国の事例に照らしてみても(タンザニアの例)、農民は土地登記にインセンティブを持っておらず(土地登記コストの生活水準から見ての高さ等)紛争を軽減させるどころか、紛争を激化させる原因となることが多い(タンザニアのモロゴロ州の例:Izumi,Ph.D.論文、Roskilde University,1998)。この点についての検討も、まったく見当たらない。

8.このプロジェクトが実行されると、必ず農民の土地収用が起ってくるが、その弊害を回避させる仕  組みはきわめて弱く、回避に役立たない可能性が高い。QIPのうち6つは最初から強制的住居移転が想定されている(4-60)。このためProSAVANA Guideline on RAIなるものの策定を始めているが、その中の1つにSupport Organization for the Investment and Value Chain Development がある。しかしこの項にもこれを守らせる強制力を与えていない。他にProSAVANA Implementing Body の設置が勧告されているが、これについても違反者への処罰の権限はあたえられず、可能な方法として、独自のモニターを行なえるとし、その場合も資料を提出させることができるとしか規定しない方針であるというアリバイ的な提案にとどまっている。従って投資主体の活動をモニタリングする仕組みが全く組み込まれていない。

9.同マスタープラン暫定案(2-28)では、「地元農民と企業の間で深刻な土地紛争が起きている」と書かれ、大規模植林や鉱山開発の問題が指摘されている(2-28)。つまり、すでに土地争奪が生じている現実であることが認められている。

10.PRAI(責任ある農業投資原則)とFAOのボランタリー・ガイドラインについての記述がおざなりである。特に、FAOボランタリー・ガイドラインは、説明されないまま、「これを参考にすれば」良いと言う程度の扱いになっており、なぜガイドラインではなく、PRAIのみをベースとした「ProSAVANA Guideline on RAI」とするのか疑問である。PRAIは専門家 や世界の農民組織、市民社会から多くの批判がある 。またPRAIは、国際農業投資で最も影響を受ける途上国各国の農民組織や食料・土地問題に詳しい専門家や国際NGOなどの参加がないまま策定され、人権法への言及がない上、投資活動の妥当性を判断する責任主体が明確でない。そもそも「投資受け入れ国政府、投資家」と「現地の人々」を並列しており、「現地の人々」の権利を優先した原則ではない。

このPRAIの問題性を踏まえて、世界のマルチステークホルダーが集まって策定したFAO ボランタリー・ガイドラインではなく、ProSAVANAのガイドラインを「on RAI」とすることは、ProSAVANAの目的がアグリビジネス本位のものと受け止められる。なお、いずれも「自主原則」となっており、現地農民や環境を守るための規制を排除しており、権利を守るためには不十分である。

11.同様に、(5-1)Existing rights to land: Independent avenues for resolving disputes and grievancesがあるが、どのような独立した苦情メカニズムが処理される予定なのか明らかでない。カンボジアでの調査の結果、地域によって苦情メカニズムが設立されず、また同国の政治状況により現地住民は苦情を申し立てることを恐れているため申し立てができないという現実があった。このような教訓を、どのようにモザンビークで踏まえるべきか明らかでない。なお、PRAI策定プロセスで外務省がまとめた資料 では、「積極的な農業投資受け入れ国」として、「モザンビーク、 スーダン、ラオス、ミャンマー、キューバ―、ウクライナ」が挙げられている。いずれの国も民主化が停滞し問題を抱えており、本意見交換会質問状へのJICA回答でも「ランドグラビングはガバナンスに問題がある国で起きている」との指摘がなされている。つまり、「積極的に農業投資を受け入れようとする国ほどガバナンスや民主化において問題があり、現地住民や農民の権利を侵害するランドグラビングが起きやすい」ことを踏まえ、本来マスタープラン暫定案は、「現地小農の権利擁護」を目的の第一に置くべきであるが、それが見当たらない。

12.モザンビーク北部地域の歴史や紛争後の政情分析がマスタープランに一切記載されていない。そもそも、ザンベジア州、ナンプーラ州、ニアサ州の対象地域は、ニアサ州の北方を除き、1977年~92年の戦争で反政府勢力(現在の最大野党RENAMO)が支配地を点在させ、最も被害を受けた地域である。戦争に加わった者も被害を受けた者も農民である。このような地域で、政権与党と組んだ農業投資を奨励するリスクや問題についての検討がなされていない。

13.小農による土地利用の現状が適切に評価されていない。外から見ると、「低利用」にみえる共同草地や放牧地、休閑地はそれがないと生存が成り立たないという意味で小農たちにとってきわめて重要である。基本的に低利用・未利用の土地はないという認識を前提にすべきである。国民の多数を占める小農を農業発展の担い手として認識していないことが最大の問題である。

14.契約農業が途上国でうまくいっている例はあまり多くない。契約農業が小農民の発展に結びつくためには、一般的に言って弱い立場に置かれる販売者側の組織化(たとえば組合に対する強い権限の付与と政府による交渉のサポート)と販売ルートの複線化が必要であるにもかかわらず、とにかく、加工業者やアグリビジネスと契約させれば小農部門が発展するというロジックになっている。

15.結局のところ、この計画は農民の食料主権・食料への権利を無視しており、彼らの望む発展の形(栽培作物の多様性の維持、食料自給とその上での現金取得の可能性の増大)とはまったく異なる発展を、強制的に押し付けるものである。逆に企業による投資には多くのインセンティブを与え、土地取得を容易にし、農民にクラスター化やバリューチェーンの特定企業導入などの恣意的な押し付けをもたらし、農民主権を剥奪するものであるといわざるを得ない。

16.環境については、Report1(3-1-7)にある通り、ProSAVANA対象地の多くが森林で覆われている。特に、新たに追加されたMajune郡は明らかに森林地帯となっている。Report2では、まさに同郡の特徴(VIゾーン農耕地13%、森林77%に分類)として「広大な森林large forest areaがあることが利点helpful(森林への配慮が必要だが土地へのアクセスは良好)(2-9)」となっており、明確に森林伐採をしたうえでの農地転地が予定されている(2-28) 。

17.Environmental Zoningが取り入れられ、「環境の脆弱性」の指標として薪の需給バランスが示されている(2-2)。薪は、人間により木が伐られ加工され運ばれ使われて初めて「薪」となる点について、つまり人為的なものであり環境指標と呼ぶべきものではないことが考慮に入れられていない。「需給バランスが適切だから環境が豊か」、「需給バランスが崩れているから環境が脆弱」のいずれの前提も、適切ではない。そもそも、自家採取されることが多い薪の需給を正確に測ることも不可能である。何より、森林や生物多様性の保護という国際潮流に反した「環境ゾーニング」である。

『JICA環境社会配慮ガイドライン』に関わる質問一覧
については、Moreをクリック下さい。

以上

分析者一覧
・吉田昌夫(AJF食料安全保障研究会、元AJF代表、元中部大学教授)
・舩田クラーセンさやか(東京外国語大学准教授、AJF会員、元TICAD市民社会フォーラム副代表)
・西川芳昭(コミュニティ・コミュニケーションサポートセンター テクニカルアドバイザー/龍谷大学経済学部教授、元TICAD 市民社会フォーラム会員)
・池上甲一(近畿大学農学部教授)
・米川正子(立教大学特任准教授、評価士)
・近藤康男(No! to Land Grab, Japan)

More
[PR]
by africa_class | 2013-05-12 18:49 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

国際コモンズ学会(@富士吉田6月3日~)"Law and Land Grabbing - Mozambique"

これが最後の・・・はずです。
平和学会の報告申し込まなくてよかったです・・・。

それにしても、この分野、ドイツの研究者の注目が凄いです。
ドイツでの研究も、結局この分野での成果発表を求められた結果です。
去年9月にこのテーマで論文を書き始めた時には想像だにしていなかった・・・ことです。
このブログでも何度も研究したい学生さんを呼びかけましたが、誰もいないので自分でやるしかない・・・状態が、良かったのか悪かったのか。しかし、世界的には、こんなにニーズがあったのですね。

でも、2月の福島の報告・討論会で、水俣の先生が、「専門家がいない・・・と嘆かず、自分で専門家になるのだ。出来るから」とおしゃっていたことに背中を押されています。がんばりましょう。

話の内容は国際土地問題学会と同じですが、議論する仲間と場が違うので、かなり議論は深くなると思うので、内容はコモンズ(共有資源)のことに引き付けて検討しなければなりません・・・・が、準備が。。。

なお、この学会世界中から研究者や実務家が結集します。ブラジルの研究者からも既に連絡もらっており、是非フィールドトリップなどもあるのでご参加ください。

しかし、未だに発表の日時が分かりませんが・・・。多分、4日か5日になります。
http://iasc2013.org/en/program.html

==============================
14th global conference of the International Association for the Study of the Commons
http://iasc2013.org/jp/
国際コモンズ学会第14回世界大会(富士吉田)

==============================
 コモンズとは、もともとイギリスの共有地のこと。ただ今日では、広くさまざまな「共有資源」をさすようになっています。国際コモンズ学会は、共有資源の適切な利用・管理のありかたを理論的・実践的に探る学会です。
 共有する資源を適切に管理する方法には、これまで二つの異なる考えがありました。国家権力による解決と市場原理による解決です。誰にとっても大切な資源だから、公的機関が中央集権的に管理すべきという考えと、逆に民営化し、市場で適切な価格をつけることにより、無駄な利用をやめるようにすべきという考えです。
しかしながら、公的な管理と私的な管理はいずれも万能ではありませんでした。資源をめぐる利害の対決や不公平は、自然の荒廃と、人々の間の経済的格差、先行き不確実な社会を生んでしまいました。
 国際コモンズ学会では、国家でも市場でもない第三の解決方法があると考えています。それが、地域の人々による共的な管理です。ある特定の資源に関わる当事者が、自ら自主的にルールを定め、資源を利用してゆく方法です。国際コモンズ学会の初代会長であるエリノア・オストロム教授は、地域の人々が自主的に資源を利用・保全してきた世界中の事例にもとづく研究により、この第三の解決方法の可能性を示し、2009年にノーベル経済学賞を受賞しました。受賞論文では世界のさまざまな事例とともに、日本の北富士地域の入会制度のことが大きく取り上げられています。
 資源を大切に長く利用しようとした先祖から伝わる精神。ともすれば忘れがちなこの精神について、ノーベル賞の端緒となったここ北富士の土地で開かれる大会を通じて、より多くの人々とわかちあいたいと私たちは考えます。

■参加するパネル
"Law and Land Grabbing: Law for Commerce or Commoners?"
(Large-scale land acquisitions, resource grabbing, legal and regulatory frameworks)

●ORGANIZER and Co-CHAIR
Dr. NEEF Andreas (Kyoto University)
Dr. ALDEN WILLY Liz (Consultant, Kenya)

●Presentation
Dr. BRÜNTRUP Michael (German Development Institute:DIE)
Dr. FUNADA CLASSEN Sayaka (Tokyo University of Foreign Studies)

This panel will report from a pre-IASC-conference meeting on “Legal and Development Implications of International Land Acquisitions” to be held from 30-31 May 2013 in Kyoto. The meeting will be jointly organized by the Graduate School of Global Environmental Studies, Kyoto University, and the Law and Development Institute, University of Manchester. We will look at resource grabbing by investors in alliance with national governments and its impact on commoners and the commons from a law and development perspective. It will be argued that whilst large-scale acquisitions for industrial agriculture and extractive purposes impact upon smallholder farming and food supplies, they will over time most dramatically impact upon the lands and resources which poor rural communities around the world hold and use on a communal basis, but usually without the benefit of protective law. The medium and longer-term impacts upon the future of commons and commoner rights will be carefully considered. Another focus of the panel will be upon the reawakening of the stressed relationship between community-derived customary land law and national land legislation as a mirror of long-unresolved contradictions in modes of social transformation and growth. Another will examine the way in which the international donor community becomes entangled in processes of expropriation and resettlement as midway actor in contested growth strategies. Questions around the role of international law and guidelines will be scrutinized. More broadly, the aim of the panel is to locate the current grab as integral to expanding capitalist transformation and unlikely to recede. Focus therefore will be upon practical measures of mitigation. To examine these matters the panel will deliberately bring to bear trends in selected African and Asian countries to demonstrate the commonality of the plight of the commons and commoner rights, and the need for equally global approaches to meet the challenges.
[PR]
by africa_class | 2013-04-27 22:19 | 【記録】講演・研究会・原稿

土地問題国際学会@京大(5月30日)"Land Acquisition by Foreign Agribusiness in Mozambique-ProSAVANA"

自分でも理解しておくために・・・掲載しておきます。
が、大丈夫なんでしょうか・・・私。
頼まれたからとはいえ・・・あと一個あります。

国際学会(2013年5月30日ー31日)@京都大学
"Legal and Development Implications of International Land Acquisitions"
http://www.lawanddevelopment2013.org/
京大Graduate School of Global Environmental Studies
http://www.ges.kyoto-u.ac.jp/cyp/index.php?ml_lang=en
マンチェスター大学Law and Development Instituteとの共催です。
http://www.lawanddevelopment.net/

■プログラム
http://www.lawanddevelopment2013.org/index.php/program
アフリカにおける土地争奪問題の専門家が基調講演するほか、世界中の土地争奪問題が議論されます。

■基調講演
"The Law and Land Grabbing - Friend or Foe?"
by Liz Alden Wily, Independent Land Tenure Specialist, Nairobi, Kenya

■全体セッションⅡでプロサバンナを取り上げます。
“Competing Frameworks and Perspectives on Land Property and Land Markets”

1. "Indigenous People in Latin America and the Right to Non-Renewable Natural Resources: The Bolivian Case"
by Lorena Ossio Bustillos, Max-Planck-Institute for Social Law and Social Policy, Germany

2. "Land Acquisition by Foreign Agribusiness in Northern Mozambique through Triangular Cooperation with Japan and Brazil: An Analysis of Shifting Discourses"
by Sayaka Funada-Classen, Tokyo University of Foreign Studies, Japan

3. "Large-Scale Land Acquisition in Sub-Saharan Africa: Evaluating the Policy-Practice Divide"
by Laura German, University of Georgia, USA

■自分の要旨だけ掲載しておきます。
"Land Acquisition by Foreign Agribusiness in Northern Mozambique through Triangular Cooperation with Japan and Brazil: An Analysis of Shifting Discourses"
by Sayaka FUNADA CLASSEN

This presentation will examine the much debated characteristics and background of the “Triangular Cooperation for Agricultural Development of the Tropical Savannah in Mozambique”, the so-called “ProSAVANA” program, signed jointly by the governments of Japan, Brazil, and Mozambique in 2009. This programme has been criticized by local farmers’ and civil society organizations due to its possibility of land-grabbing by foreign investment and for the top-down process of project planning and implementation. This presentation seeks: (1) to analyse the discourse and the arguments observed in public documents and discussions of Japanese planners and promoters of the programme; (2) to examine – based on the voices of the local civil society – the social and cultural characteristics of Northern Mozambique and preceding cases of land grabbing observed in Brazil and other African countries; (3) to highlight the characteristics and the challenges concerning the present predominant discourse of development and assistance.
[PR]
by africa_class | 2013-04-27 21:15 | 【記録】講演・研究会・原稿

ビルマ援助による土地収用とプロサバンナ問題、国際土地学会(5月30―31日@京大)

プロサバンナ事業で直面した日本における土地問題への無関心さ。
■同事業に関してはこの引き出し→http://afriqclass.exblog.jp/i38/
誰か土地問題を研究してほしい…。
そう声をあげてもう半年以上。誰も連絡くれない。

日本の若者にはアピーリングなIssueではないようで。
やっぱりあれ。BoPとかWin-Winとかそういうのが好きなんだよね。
日本の開発研究者らも、何故かあまり興味のない土地問題。
でも、経済成長一辺倒路線の影で何が起きているのか・・・・明るい話題でないことは間違いない。

が、メゲズニ以下、1.事例紹介、2.私のプロサバンナ事業を通しての理解、3.国際研究動向を示しておきます。誰か名乗り出てくることを期待しつつ、待っている余裕もないので、結局私が専門家になるしかないと覚悟を決めて、既に研究を開始しました(まあ暴力と平和を民衆の立場から考えるという意味で、まったく専門外ではないものの)。が、You are always welcomeです。バトンタッチできるのであれば、したいと切に願う私でした。

それしても、世界の研究動向から大きく逸れてる日本の研究事情は、やはり政府系のところから調査や研究費をもらっているからなんでしょうか。いつか誰か教えてほしい。

1.ビルマ/ミャンマーで日本開発援助が住民立ち退き
2.繰り返される日本の援助による土地接取の何故?
3.土地収奪問題に関する国際的な議論

1.ビルマ/ミャンマーで日本開発援助が住民立ち退き
そしてそんな日本の研究業界のお寒い状況が、日本の援助による土地収用や住民立ち退きを招き始めている。今日入ったニュース。

■ミャンマー3千人に立ち退き迫る 日本が開発の経済特区
http://www.47news.jp/CN/201302/CN2013020801001929.html
 【バンコク共同通信2月8日】ミャンマーの最大都市ヤンゴン近郊にあり、日本が官民挙げて開発を進めるティラワ経済特区で、開発に伴い約3千人以上の住民が、同地区を管轄するヤンゴン地域当局に強制立ち退きを迫られていることが8日分かった。住民らは同日付で、テイン・セイン大統領に抗議の書簡を送付した。(中略)
 関係者によると、ヤンゴン地域当局は1月31日付で住民らに対し、14日以内に立ち退くよう通達。従わない場合は、30日間拘束するとしている。(後略)

■メコンウォッチのプレスリリース(2月8日)
ODA支援案件「ビルマ(ミャンマー)・ティラワ経済特別区開発」で強制立ち退き500世帯 強引な立ち退きと人権侵害の防止を訴え、外務省・JICAに要請書を発出

http://www.mekongwatch.org/resource/documents/pr_20130208.html
以上記事掲載以外の情報。「これら住民の多くは2012年12月下旬、口頭で初めて、一方的に、立ち退きについて知らされた。移転にあたっては、代替地も用意されておらず、住民の主な生活の糧に対する補償措置も一切検討されていない。すでに12月下旬、近隣の貯水池からの灌漑用水の供給を当局により止められ、農業ができなくなっている地域も出ている。さらに、住民らが会合や書簡の作成・提出等、さまざまな活動をしようとしているが、ビルマ軍関係者が村内での会合を監視したり、住民リーダーに情報の提出を求めるといった状況である。」

2.繰り返される日本の援助による土地接取の何故?
ああ・・・21世紀になろうとも、日本の公共事業の「輸出」が繰り返されている。日本の開発援助(ODA)、まだこんなやり方やってるんだ。
「政府同士がやるのがODA」「政府との合意が当たり前。」
「住民の説得等は受益国政府がやる。」
「そこにしゃしゃり出るのは主権侵害。」
プロサバンナ事業が最初に問題化した時、政府関係者が繰り返した言葉。
しかし、相手は軍事独裁政権。選挙をしたと言っても議席の大半は軍人が握る。

こういう政府との「合意」を盾に平気で住民の権利侵害を行う日本の政府開発援助(ODA)、いや「国際協力」って、一体何なのだろう。JICAの皆さんも、そういう援助やりたくて機構に入社したのだろうか?自分たちの生活を守るために立ち上がった住民を危険な目に晒すとは・・・。

ん?まてよ。これなんか聞いたことある・・・と思うのは、このブログの読者の皆さまでしょう。
■ブラジル企業へのモザンビーク住民の暴動
http://afriqclass.exblog.jp/17274648/
■ブラジル・セラード開発で起きた土地を巡る農民らによる土地紛争
http://afriqclass.exblog.jp/17211838/
■モザンビークの土地問題
http://afriqclass.exblog.jp/17017188/
■プロサバンナ事業についての私の講演の記録(11月15日)
http://afriqclass.exblog.jp/16942666/
http://afriqclass.exblog.jp/16942699/
以上を読めば、大体分かる。

でも、以上のビルマの件をよく理解するために、一番読んでほしいのは以下の投稿。タイトルが悪くてあまり読まれていなかったので、タイトルを変更。ずばり、「民主化とプロサバンナ問題」です。

■日本の開発援助が民主化促進と逆行する傾向について(プロサバンナを事例に)
http://afriqclass.exblog.jp/17210917/

私が言いたい事。
やっぱり、これは多くの南の国々の、特に権威主義や独裁体制下の貧困層にとって、「土地」という物理的なものを超えて、住民の「主権」と「尊厳」、「生活」と「命」の問題なのです。そして民主主義の問題でもある。これを、日本が開発援助を通して、「政府間」「経済成長を通じた貧困削減」「官民連携win-win」などと言うキャッチを使って、踏みにじり続けている・・・・問題なのです。

<=私の問いは一つだけ。それでいいんですか?そんなために私たちの税金使うんですか?

でももっと根源的に、何故日本が開発援助でこんな立場を繰り返すのか?それは、すばり。日本社会自体が、住民の「主権」「尊厳」「生活」「命」を軽んじてきたからです。その典型が、福島原発事故とその後にみられます。そここそ、私が、アフリカの問題と福島の問題の両方に、深くコミットする一因です。

3.土地収奪問題に関する国際的な議論
さて、世界ではかなり研究・調査が蓄積されつつあります。既にこのブログで紹介した情報を最初に挙げておきます。

■コーネル大学でのグローバル土地争奪問題第二回国際会議
http://afriqclass.exblog.jp/17178906/
■アフリカ土地収奪問題のデータ
http://afriqclass.exblog.jp/16415050/

そして嬉しいことに、土地問題をめぐる国際会議が今年5月30日~31日に京大で開催されます!
■ 2013 Law and Development Conference “Legal and Development Implications of International Land Acquisitions” Kyoto, Japan, 30-31 May 2013
http://www.lawanddevelopment.net/news.php

ちょっと学会のタイトルでは、何のことか分かりづらいのですが、研究発表予定をみると、大体がLand grabbingや土地収用に関わる問題を取り扱っています。開発援助の問題も取り上げられている一方、グローバル企業の関与や法制度の問題なども、幅広く発表される予定です。ケースは、カンボジア、エチオピア、ボリビア…と世界に広がっています。基調講演が、土地問題の中でも特にアフリカの専門家。素晴らしい。マンチェスター大学との共催。

コーネル大学といい、マンチェスター大学といい、英米の老舗の大学。京大がこれをホストするのはとっても良いことですが、日本で知られてなさすぎで、そして研究されてなさすぎで、日本からの発表者が主催者1人のみ・・・後は世界中からくるのに・・・というお寒い状況。開発学の人たち、こういうの本当に興味ないのかな・・・と疑問が深まるばかりな私でした。結局、何故か私が発表する羽目に。

【会議の目的】
アフリカ、南米、東南アジア、東欧でのドラマティックな大規模な土地収用が、グローバル問題として2000年代後半から認識されるようになってきた。多くの議論や分析は、「Land grabbing(土地争奪/収奪)」問題へのフォーカスは、環境や社会への影響についてのものであるが、法的また開発学的な影響についてはまだ十分研究されているとは言い難い。この会議は、国際的な大規模な土地収用を、「法と開発」的観点からフォーカスし国際・国内・ローカルレベルでの多様な法的枠組みを検討することを目的とする。研究者から実務家まで、批判的法的研究、法人類学、開発学、国際比較法、法歴史学、人権研究、資源管理、法的文化研究、政治経済学からの貢献をウェルカムする。

【基調講演者】
我が大学とも協定があるライデン大学の方です。タイトルが刺激的。これ聴き逃すとかなり後悔しそう。
Liz Alden Wily, Independent Land Tenure Specialist, Nairobi
"Law and Land Grabbing: “Communities and Commons are Dead” Or Are They? Re-examining the case through land law"
http://www.law.leiden.edu/organisation/metajuridica/vvi/staff/liz-alden-wily.html

Wily氏は、以下非常に重要な記事を書かれています。
■How African governments allow farmers to be pushed off their land(どのように、アフリカの政府は農民たちを彼らの土地から追い出しているか?)
http://www.guardian.co.uk/global-development/poverty-matters/2012/mar/02/african-governments-land-deals
「サハラ以南アフリカの90%近くの土地が現在所有者がはっきりしない。法的所有者がいない形で、これらの土地は国家のものとなり、これが外国投資家への貸与を容易にしてしまっている。」
とはじまります。凄く重要な指摘が多いので是非ご一読下さい。

土地収奪と土地法の問題については、長らくこの問題に関与してきた国際NGO・GRAINのインタビューに詳しくあるのを紹介しました。英語の勉強にもなるので原語のインタビューも是非どうぞ。
■GRAINのインタビュー全訳
http://afriqclass.exblog.jp/17062266/
[PR]
by africa_class | 2013-02-09 18:11 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ