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父のことを想う。

 昨日、副代表をやっていたNGOのメーリングリストに腰痛のこと
(TICAD市民社会フォーラム http://www.ticad-csf.net)
書いたら、即座に84歳の元理事からメールが来て、「70歳を超えた
ら平気になるから」と「励まし」いただきました!んん?先は長いぞ。
 彼が某会社の役員を80歳で辞める際に、ボランティアの人が
コンピュータの使い方を教えたのだけれど、指一本でここまで上達
するとは・・・本当にすごい。人間、挑戦する意欲をもっていれば、ど
こまでも可能なんだと思わせてくれる。いつも笑顔だし。肌は赤ん
坊のようにツヤツヤだし。絶対、毎年若返ってる。おそるべし!!
 他方、71歳の父は、肺癌になった後うつ病になってしまって、もう
2年も引きこもり、寝たきり状態。しかし夜は眠れず睡眠薬を、胃が
おかしい(検査では何もなし)といって胃薬を、毎日服用。でも、カウン
セリングにもかからず、家族とも挨拶も会話もせず、一人暮らし。食
事だけは母がなんとかしてくれているものの、母は姉家族と暮らして
いるので、その家事と子どもたちの面倒で疲弊していて、月に1度私
が帰って、父の身の回りのことをして、話を聞いて、母を食事に連れ
出している。子どもの頃から、父ともっとも仲が悪かった私だというの
に。(いつも私だけ殴られていた)なぜか、私にだけ心を許してくれて
いる。姉は隣に住んでいるのにあいさつもせず、妹は近くに住んでい
るのに1年に1度顔を見せるかどうか・・・。そんなものなんだろうか。
かわいがられた彼女たちよりも、そうでなかった私には彼に何も期待
がないから、今の彼に素のまま接することができるのかも。
 さっき紹介した84歳の元理事、ドイツの義父(96歳!)の生命力
溢れる姿とは対照的な父の姿に、「日々の生活の営みを楽しむ」こ
と、「人に頼ること」がいかに重要か、今さらながら感じられる。「生き
ているのが苦痛」・・・といって一日中窓をしめて、カーテンを引いて、
ただただ家に籠る父の姿を見て、思うことがないわけではないけれ
ど、人と比べても仕方ない。
父のことを想う。_a0133563_16501355.jpg

<ドイツの家族・・・改めてみると見事に・・・ドイツ人だった・・・義父
は左から二番目のサングラスの人。皮膚癌のせいで左目を摘出
したので、室内でもサングラス。癌を取って、ますます元気!>
 思えば父はいつも「成功」と「失敗(挫折)」の話しかしない人だった。
そして、いつも「失敗」を「何かのせい」にしていた。結婚のせい、妻の
せい、祖父の借金のせい、子どもたちのせい、仕事のせい。そんな
ストレスでいつも吸っていた煙草のせいで肺癌になった。「せいx3倍」
といったところか。そして、今の自分の引きこもりも、「癌のせい」に
している。肺癌は切って、無事なくなったというのに。どんなに努力
しても、祈ってもなくならないで死んでしまう人もいるというのに。彼
の心の中にだけは生き続けているのだ。「癌」という責められるべき
ものが。
 父に殴られて育ったからといって(しかもお気に入りの人形で!)、
失敗を父のせいになどしようと思ったことは一度もなかった。むしろ、
だからこそ「成功」して、見返してやりたいと思っていたかもしれない。
でも、「人に見せるための成功」なんて、意味がないことに気づいた
とき、本当に肩の荷が下りた。特に、「父を見返す」程度の夢なんて、
あまりにちっぽけ。自分のための人生なんて、無駄~!!!と叫び
たい。
 父がこうなる前だったら話したかったこと。お父さんは成功しろって、
負けるなっていつもいってたけど、人生の素晴らしさは、一瞬の「成功
(ピーク)」にあるのではなく、お父さんが「失敗」といってるもののすぐ
上ぐらいにあるんじゃないかって。失敗を知らないと、喜びを知ることは
できないし、成功を知ってしまったら、それ以上いけない分、人生は終わ
ってしまう・・・って。己だけの成功を目指した悲劇を、父を通して見たお
もいがする。だって、そんなの早晩すぐ達成してしまえるわけで、時に
それは自分の心の持ちようなわけで、人生それを目標にしてしまったら
本当にやることなくなってしまう。だから、ビジョン(人生の目標)は、
「世界」を主語にするのがいい!一度きりの人生、それぐらいの心構え
でいこう。
 ビジョンをもたず、自分だけ、自分の家族だけよければ・・・の人生に、
本当の意味で幸せは宿らないのかもしれない。自分が生かされている
意味を、日々小さな営みの中に発見しては喜びたいと、切実に思う。
 その意味で、私にはやっぱり、「父のせい」どころか、「父に大感謝」。
そう思いながら、父の布団を干し、床を磨いていて、ぐっきりいった・・。
(が、これも父のせいではありません!私が感傷的になって力をいれ
すぎたせいです。マクロビ的には、「過ぎるものは、別の過ぎるものに
いく」んだそうな・・・。本当はマクロビのこと書こうと思っていたのに。)
 あまり間をおかず関西に帰ろう。お父さん、待っててね。
by africa_class | 2010-05-04 17:10 | 【徒然】深大寺日記
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