「ODAを削減して復興財源に」、何故？今、日本国憲法の前文をふり返る

昨日の報道によると、民主党が、内閣に対し、ODA（政府開発援助）を削
減して復興財源にするとの提案があったということです。しかし、これは、
今回の国際的な連帯（134カ国・地域及び39国際機関から支援申し入
れ）に、逆行するメッセ―ジを世界に発することになりかねない、と危惧し
ています。
　今回の震災に対して世界から表明された連帯のメッセージや温かい支
援の数々は、日本並びに日本の皆さんのこれまでの世界での地道な努
力や貢献が評価されてのことだと思います。
　今、本当に大変な時期であることは間違いないですが、日本国憲法の
精神、それに基づいた努力こそ、今回の温かい申し出の数々の源泉だと
思います。ここで、世界の課題に後ろ向きなメッセージを発することは、
それでなくとも原発事故で世界的なイメージをダウンさせている中、外交
的打撃につながることは間違いありません。
　中長期的なものより短期的なものを優先させるべきではないと思いま
す。次に何があるか分かりません。日本はもっともっと、世界のサポート
を必要としていくことになるでしょう。今回の震災とその後の展開は、日
本が、一国だけで生きていくことが不可能であることを、これまで世界を
意識したことのなかった多くの日本の市民に知らしめたと思います。
　その理解を決して過小評価してはならないと思います。日本は日本だ
けで存在しているのではなく、世界の中に存在している・・・。だからこそ、
こんなに苦しくても、世界的課題に、世界とともに一緒に取り組むのだ
という姿勢を、こういう時だからこそ世界に発信すべきだと思います。
（＊勿論、援助改革は不可欠ですが！！！！！それについては、もっと
市民社会の声を聞くべきで、その点が前提です！）
　今、原発事故をめぐる世界的な「風評被害」と呼ばれている事態（日本
製品への懸念）は、単に「風評被害」ではなく、日本政府の対応や情報
への不信感から来ています。そのような世界に対して、どのようなメッセ
ージを発するのか、与党並びに政府の姿勢が問われています。
　「内向き」「自分たちだけで分かる論理」に終始するのは、今後にとって
マイナスです。
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■日本国憲法前文
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
　われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
　日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
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■「ＯＤＡ削減し復興財源に」　民主党、内閣に申し入れ
http://www.asahi.com/politics/update/0406/TKY201104060573.html
民主党の復旧・復興検討委員会（委員長＝岡田克也幹事長）は６日、震災復興のための第１次補正予算の財源確保のため、今年度の政府の途上国援助（ＯＤＡ）の２割にあたる１１４５億円を削減するよう菅内閣に申し入れた。（中略）
　ＯＤＡ予算は２０００年から１２年連続で減少。２割減が実現すれば４５８１億円となり、１９８２年の水準に落ち込む。数年かけて実施する事業の一時中断などが予想される。（南彰）
■ＯＤＡ２割削減に慎重姿勢＝松本外相
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2011040800870
松本剛明外相は８日の記者会見で、政府・民主党が検討中の政府開発援助（ＯＤＡ）予算２割削減について「これまでの継続的な国際貢献が無になりかねないという形はできるだけ避けていきたい」と述べ、慎重姿勢を示した。