本日3時にあった東電会長の記者会見で標題のとおりの工程表が示され
たとのことです。産経のニュースと官邸からのニュースの一部を掲載しま
す。
この発表、逆の見方をすれば、「放射線量が着実に減少傾向を示すま
で」に最大でも3カ月かかる・・・ということです。管理までには最大半年。
しかも、「管理」は「管理」であって、事態が収束するわけではなく、それ
にはさらに6-9カ月かかるとされています。その間、放射性物質は垂れ
流され続ける見込みということ・・・。
現在の避難領域では十分でなくなる可能性が高くなっています。我々
の「福島乳幼児妊産婦支援プロジェクト」も、その点を考慮しての対応が
不可欠になっているということになります。なぜなら長期化するほど、放
射能汚染物質の積算量は増えるため、より広い範囲の避難が必要に
なる可能性が高いからです。
また、せっかく避難した多くの人が、今、各地の避難所からの退去を
求められており、「次」を考えなければならないものの、状況がいつどの
ような形で収束する可能性があるのか見えなければ、何も決められな
い状態でした。数日のつもりで出てきた人たちも多くいらっしゃいます。
このニュースは、原発周辺地域の皆さん、そして避難中の皆さんは、
衝撃的で非常に重いものです。「先が見えない」という皆さんの一言が、
本当に重く響きます。
しかし、このニュース。平時に聞けば、あるいはつい1カ月前の騒動の
最中に聞いたとしても、驚愕のニュースでしょう。多くの人は「すぐに収束
する」という幻想を抱かされていたのですから。長期化のシナリオを口に
することは、現場で頑張っている人の士気をそぐという理由によって。海
外の情報源に目を通していれば、長期化することはかなり明らかであっ
たのですが。
3月20日時点の投稿で書いた「原発事故、今後の可能性」。
http://afriqclass.exblog.jp/12295392/
USAToday(3月17日)の3つのシナリオの内、1カ月経過した現在、
最善と最悪の真中の<より悪いシナリオ:原発野外に汚染が発生>
が実際に起っていることが分かります。
1カ月前には、丁度電源が回復というニュースもあり、この真中のシ
ナリオすら「大げさ」とされていましたが、実はあの時点で、アメリカの専
門家はこれが一番あり得るシナリオだろうといっていました。この時点で
数週間の予測だったことを考えると、日本の専門家や政府やメディアが
「●●ができさえすれば、すぐに収束するだろう」といった発言を繰り返し
ていたことは、本当に情けないです。あるいは知っていて、怖がらせるか
らと思って、いわなかっただけなのでしょうか。
「慣らされる」ということは、怖いことですね。原発の建屋は爆発して吹っ
飛び、無残な姿をさらしているまま、放射能汚染物質は「微量」という言葉
で惑わされますが、事実として垂れ流しされているまま。3・11前にはあり
得なかったであろう「放射能汚染への免疫」が、急速に社会の中で拡がっ
ています。こうやって、人間は色々なことに「慣らされていく」・・・ことを、し
みじみ感じます。戦時中もこうだったんでしょうね。それ以前、あるいは終
戦後では考えられなかったようなことが、「平常化」していく。「情報のタイ
ムラグ、小出し戦略」は、その意味で有効なことが立証されつつあり、戦
争と平和を研究する私としては、非常に怖い。そして、研究者として、一
市民としての批判的精神が試されていると感じます。
■Kantei_Saigai 首相官邸(災害情報)
【福島第一原発】菅総理の指示で「事故収束への道筋」を東電が発表。約3か月で放射線量が着実に減少傾向となる状態を達成し、それから約3~6か月で放射性物質の放出が管理され放射線量が大幅に抑えられる状態の達成を目標にしています(PDF) http://bit.ly/fvalsG
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/michisuji.pdf
■産経:東電会見ライブ(1)勝俣会長「事故収束の道筋をまとめた」
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110417/biz11041716000002-n1.htm
「当面の目標は2つのステップを設定し、『ステップ1』として、放射線量が着実に減少傾向となっていること、『ステップ2』として、放射性物質の放出が管理されており、放射線量が大幅に抑えられていること。これを目指す。
このステップを確認することにより、避難している方の帰宅の実現に見通しを立ててもらえるよう客観的な事実を示していきたい。目標の達成の時期についてはステップ1を3カ月、ステップ2をその後の3~6カ月とする。具体的な時期や定量的な見通しが立ち次第、追って報告したい」