COP17が近づいてきたので、何気なく買った(今は東京新聞購読中)
毎日新聞を開けて(この種の環境問題は毎日の得意分野)、目が点に。
「ついに来たか・・・」と、胸が痛くなる想い。
■モザンビーク沖に世界最大ガス田か 三井物産、輸入計画
http://www.asahi.com/business/update/1128/TKY201111280581.html
■三井物産:世界最大級ガス田…モザンビーク沖で確認(詳細は末尾)
http://mainichi.jp/select/biz/news/20111129k0000m020113000c.html
ここ数年のモザンビークでの民主化の停滞については、先日国際政治
学会で発表したとおり。その背景に、近年の相次ぐ天然資源の「発見」
と外資の流入や中国の影響があることを指摘していました。
今回天然ガスが「発見」された地域では、石油の油田もあるということで
ひっきりなしに、外資関係者が訪れていました。2年前からは、天然資源
の埋蔵量がはんぱじゃないということで、欧米・中国などの技術者の出入
りが頻繁になっていました。レストランに行くと、世界中の男性技術者た
ちが、毎晩酒盛り。異様な光景が続いていました。
この地域は、ケリンバ群島が広がる国定公園地域。世界でも最も美しい
海・島々・野鳥の宝庫です。小さな島が連なる姿は、「インド洋の真珠」と
呼ばれるほど。この地域の保護については、WWFとUSAIDがモザンビ
ーク政府と協力してやることになっていましたが、ある時から不穏な動き
が。石油や天然ガスがあると噂されるようになってからは、特に。そして、
WWFはついに、モザンビーク大統領に、 ‘Gift to the Earth’賞を授
与します。がしかし、同大統領になってから、環境政策は後退したとい
うのが、地元環境団体の一致した意見です。
http://wwf.panda.org/who_we_are/wwf_offices/mozambique/?201047/WWF-applauds-Mozambiques-conservation-initiatives
が、地元の環境・人権団体は、連盟で、公開質問状を大統領に送り、
賞にみあうような環境対策を講じるように迫っています。と同時に、W
WFの動きに大きな疑問を投げかけています。地元環境団体に相談な
しにこのような賞を何故WWFみたいに老舗の立派なはずの団体があ
げてしまうのでしょうか。何か理由があるはずです。何事にも、裏があ
るということを、みなさんしっかり肝に銘じましょう。たとえ、WWFでも。
モザンビークの経済成長率は10%近くです。首都は、車で常時渋
滞が起こる状態で、ショッピングセンターが次から次へとできています。
でも、農村部の貧困が解消されているかというとそうではなく、生活は依
然厳しいだけでなく、生活にますますお金が必要となり、庶民の暮らしは
苦しいまま。
北部の多くの人びとがため息とともにつぶやいています。「資源のおか
げで豊かになるのは、政府関係者ばかり。ますます彼らが肥って、やり
たいようにするだけ」「人々を豊かにしない資源は掘り出さないのが一番」
豊かな天然資源が、結局は工業化などを遅らせるとともに、国民内の
経済格差と権威主義化(非民主化)を継続させるという理論「資源の呪い」
が、ついにモザンビークでも本格化する可能性がますます高まった・・・と
感じたニュースでした。
そして、日本の新聞各紙の報道内容が、原発・石油の代替エネルギー
だという点にばかり注目している点に、なんと自国本意な報道だろう、と
ウンザリ。
脱原発、脱石油=天然ガスという発想そのものが古い!!!二酸化
炭素の排出量が少ないからといっても、「天然資源」のもつ問題(環境
破壊や紛争)は石油と変わりありません。結局のところ、エネルギー源
を海外にこのような形で頼ること自体が、自国・世界の不安定化を支え
ることになってしまいます。
エネルギーの地産地消を目指すことこそ、日本国内だけでなく、世界
の平和に役に立つ、という点についてみなさんは考えたことがあったで
しょうか。エネルギー問題に注目が集まる今年だからこそ、この点につ
いても、ぜひ考えてみてほしいと思います。
だから、エネルギー消費国こそ、国内外(世界)の平和と人権、環境の
ために、再生エネルギーの促進に力を入れなくてはなりません。原発
の輸出、石油やガスの輸入・・・いずれも、国内外・世界の問題解決に
は最終的には役に立ちません。むしろ、別の問題をどんどん引き起こ
すばかり。例)石油→環境汚染/紛争/資源の呪い。原発→環境・人体
汚染/廃棄物処理の課題。
21世紀に生きる私たちです。エネルギーの不足ぐらいで、従来型の
解決にしがみつくなんてこと、やめましょう。私が大学時代、世の中に
はワープロと巨大コンピュータしかありませんでした。それが今、携帯
やIpadでなんでもできます。その気があればできるはず。「その気」
を誰よりも早く開発し、商品化する者こそ、次のマーケットで「勝てる」
はず。こんなビジネスチャンス、どうしてもっとみな取り組まず、あいか
わらず、「権益を獲得する→地球を掘る→輸送する→燃やす」なんて
ことしてるんでしょう・・・・。古い。ふるすきます!
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(毎日新聞のニュース)
三井物産は28日、アフリカ南東部・モザンビーク沖合で米石油ガス大手などと探鉱している鉱区で、世界最大級の30兆立方フィート超の埋蔵量の天然ガスを確認したことを明らかにした。三井物産は20%の権益を保有。液化天然ガス(LNG)化が検討されており、日本の年間使用量(約7000万トン)の1割弱に相当する量が日本向けとなる計画だ。プロジェクトの総事業費は1兆円規模になるとみられる。東京電力福島第1原発事故で見直しを迫られている日本の中長期のエネルギー需給にも寄与しそうだ。【久田宏】(中略)
日本では福島第1原発事故の影響で、定期検査に入った他の原発も地元の反対などによって再稼働が遅れているため、代替エネルギーとしてLNGを燃やす火力発電の活用が広がっている。中長期的にも原発に依存したエネルギー政策の見直しは避けられず、ここ数年の技術革新で掘削が容易になった天然ガス「シェールガス」も含めて、産出可能量が増えている天然ガスへの期待が高まっている。