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学生とのTranscend&Lukasaワークショップ報告:暴力空間の平和化

先週と今週月曜日(1月23日&30日)に東京外大の「アフリカ平和・
紛争論」の授業の一貫として実施した「Transcend(トランセンド)&
Lusaka(ルカサ)ワークショップ」の報告です。
 2010年度の「アフリカx日本x世界:紛争を平和に変える空間」
プロジェクトの成果として同年10月に横浜BankArtで実施した
本ワークショップ。http://spacepeace.exblog.jp/
 その後、国連大学、宇都宮大学、東京外大、JICA平和構築研修、
今年はアフリカのモザンビークとザンビアで試してきました。
■去年の外大でのワークショップの様子
http://spacepeace.exblog.jp/12074032/
http://afriqclass.exblog.jp/12071213/
 本年の授業では、あまり時間がとれなかったこともあり、駆け足
でのワークショップとなりましたが、去年と異なり、学内で展示を
行う試みをやってみました。あわせて報告します。

紛争シナリオ1:「山神」「海神」間紛争の平和化 2チーム
紛争シナリオ2:「農人」「山人」間紛争の平和化 2チーム
(1)まずは各チーム内で以上の2集団分かれ、紛争が暴力化した
状態を作ります。この際、ロールプレイをします。
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*いまいち紛争状態に持っていくほど時間がなっかったので、
牧歌的なグループワークになっていますが、これを1週間展示。
(2)次に、トランセンドの考えを使って、平和化してみます。
つまり、紛争の種に固執せずに、平和の種になるよう「転換(トラ
ンスフォーム)するため、手をどんどん動かしていきます。単なる
妥協でも、単なるwin-winでもなく、そのもっと先を目指す手法。
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(3)各チームの暴力から平和化への転換の発表を全員で。
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(4)それぞれ記念撮影
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さて、学生たちが送ってくれた各チームの紛争転換の説明です。
紛争シナリオ1:山神人・海神人のケース
■チーム名:こくまろ2年生
●紛争状態:「海上人」が「山上人」を排除しつつあるシチュエーションから、怒りが爆発した「山上人」と「海上人」の間で武力紛争が発生したと想定し、それに則ったジオラマを作成した。具体的には、武力紛争にまで発展したことを強調するため、「山上人」と「海上人」の領域の境界(山と平地の境目)を赤と黒の絵の具、その絵具を混ぜた紙粘土でカラーリングしたほか、紙粘土や画用紙で壊れた建物を表現して設置した。
●平和化:紛争の原因が、港・中央市場へのアクセス性の不平等にあるととらえ、「海上人」と「山上人」を結ぶインフラとしてロープウェイと鉄道(白い紐で表現)を複数整備した。このインフラにより、「海上人」と「山上人」の人的・物的交流が盛んになり、様々な資源(港・中央市場を含む)を共有する共同体として両民族が近づくことを期待したい。また、武力紛争の惨禍を後世に教訓として残すため、山寄りの空き地に祈念公園を設置した。この祈念公園は、和解前のプロセスで作成した、壊れた建物等を用いて製作しており、モニュメント的な意味合いを持たせている。その他、「山上人」の新たな農地を市場の近くに設けた。先述のインフラにより、交流は前に増して盛んになると思われるが、「山上人」が山の農地で取れた農作物を中央市場に持っていくとなると、依然として運搬コストの面で問題が残るためである。平地に「山上人」の農地を作ることは、農作物の消費者である「海上人」にとっても、運搬コストを差し引いた分、農作物の定価を抑える点で利益があり、この措置は妥協点ではなく、超越点と考えたい。(by増田くん)
■チーム名:帝大Fマリン■
●紛争状態:海神人は人口増加に伴い、山神人が耕していた田畑がある地域に侵入し住宅を造営した。山神人は田畑を放棄せざるを得なくなった。山神人の食糧事情は悪化する。国会、市場、大学などが海神人らの勢力圏にあり、国会議員の議席も九割方海神人が占めている。海神人は山神人にとって市場と海に出るための唯一の道に検問を作り、通行税も設ける。そこには武装した警備隊が駐在。海神人は山神人にとって聖なる仮面(宗教的シンボル)と彼らの居住地域の間に壁を建設した。山の麓には海神人の聖なる鶴の像を作り挑発的態度をとる。海神人は山の麓に軍隊を駐屯させ、山神人の不穏な動きを監視する体制を強化させた。
●平和化:山の麓にあった軍事施設を撤去。そこに田畑を作り、食糧増産に充てる。また同場所には山の豊富な水資源を利用し、運河を作る。この水の一部が田畑に流れ、下流の市街地にも流れるようにする。山神人と海神人らは互いにアクセスできるようになる。山の幸を市場で売ることも可能になり、海神人も山へアクセスすることも可能に。この運河を通じて山神人の山を一つ越えたところに住む谷神人たちとの交流が生まれ、市場もうまれる。道を塞いでいた検問、そして仮面と住居を隔てていた壁を撤去。相互不信を緩和する。共同の広場を造営して聖なる仮面と聖なる鶴を一つずつ広場に造営。海神人と山神人は多神教へ改宗する人々も一部出現する。より山々に近い場所に国会議事堂を新設。Positive Discriminative Electionを導入。海を埋め立て、軍事施設や住居などをそちらに移動させる。(by佐藤)

紛争シナリオ2:農人と山人の対立
■けが人なし■
●農人と山人の対立を扱いました。山人の違法伐採・農人の平野部への侵略といった問題行為が発生する中で、それをトランセンドするために以下のことを実行しました。
●平和化:①互いを隔てていた柵を撤去②平野部の畑の共同利用並びに山間部の開墾③平野部への植林
④平野部と山間部の行き来を活発化するための電車の開通⑤過去の紛争を記憶にとどめるための平和シンボル像の設置(by藤巻)
■リトルグリーンメン5■
●紛争前:野人は木材を必要として、勝手に山に入り木を伐採。山人は人口が増え、耕作地を平地の方へ拡大
●紛争状態:野人の方が豊かで強いので、橋には鍵つきの門をつくり、山人の平地への進出を食い止めるための大きな壁を建設
●平和化:まず野人が橋の門を解放し、壁を壊す。壁のあった辺りにマーケットを設置し、そこで野人は作物を、山人は木材を売る。(by廣瀬)

ちょっと紛争シナリオ2は複雑すぎたかもしれません。また机がない
ところで作業をしていたので、なかなか進まなかった部分がありました。
外大はこういうグループワークをするのに適した部屋がないので、そ
れは痛いところ・・・。結局、吹き抜けホールで他の学生がいるのも構わ
ずやるしかないようです。
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短い時間でしたが、皆とてもいい作品が出来ました。結構展示を立ち
止まって観た学生も多く、来年も是非やりましょう。
by africa_class | 2012-02-03 00:47 | 【大学】アフリカ平和紛争論
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