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ゼミ生からのメッセージ2:「本は読んでも読まれるな(のまれるな)」

今度は、「中所得国の格差」をボツワナの事例で書いたヤマワキ
くんからのメッセージです。力尽きて遭難中だったようですが、昨
夜に無事生還。よかった~。
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序盤から迷走に迷走を重ね、結果的に当初のものと完成版を見
比べると本当に同じ人間が書いたのかと疑うほど違ったものにな
りました。
 それでもなんとか形になったのは先生の粘り強い指導のおかげ
であったと思います。すこし道を間違えたら、「海外直接投資の増
大には法整備支援が重要だ!」とか叫んで終わっていた気がしま
す...。
 この論文を通じた一番の成果は、自分の関心と現実社会の問
題、そして学術的な課題の3点のバランスを取りながら一つのス
トーリーを組み立てることが出来たことにありますが、それに加え
て批判的なリテラシー能力が身に付いたように思います。
 記述の信憑性、正確性、論理性を何度も何度も問われること
で、少しでも客観的に「正しい」と思えることを導きだすことの難し
さを痛感しました。と、同時に世間に溢れる情報の大半がそうし
た「正しさ」をすっと飛ばして、もしくは、ねつ造して語れているの
だということに気づくようになりました。
 これは卒論という枠を越えて僕の人生の大きな糧になると思い
ます。ついでに言えば、文献を読む速度が早くなりました。これ
は単に読む速度が上がったというより、能動的に情報を取ってく
る姿勢が身に付いたということになると思います。
 酒は飲んでも飲まれるなと言いますが、本は読んでも読まれ
るな、もある気がします。
 これも今後の人生において大きな武器になります。
 大変長くなりましたが、要はこの論文を通じて本当に成長した
実感があるということが言いたかったです。
byヤマ男
====
 ヤマ男は、とにかく器用。Jazzベーシストだし、議論の突っ込
みは的確だし、私が代表を務める福島乳幼児妊産婦ニーズ対
応プロジェクト(http://fukushimaneeds.blog50.fc2.com/)
も彼のヘルプがなければすぐには立ち上げられませんでした。
(ブログ、ツイッターも彼が設置してくれた。)
 夏休みのインターンシップでは、本当は卒論の現地調査をボ
ツワナで行いたかったのに、その器用さをかわれ(というか私が
お願いし)、ケニア・ナッツカンパニー創設者で、現在アフリカ一
円でオーガニックソリューションズ社を率いる佐藤芳之さんのル
ワンダ社のアドミンテコ入れに入って基盤整備を行ったり。就活
ではもちろん沢山の内定をもらうなど、外大にはなかなかいない
タイプであったことは間違いない。
■佐藤芳之さんについては
globe.asahi.com/breakthrough/100222/01_01.html
(朝日新聞Globeの特集記事)
www.tv-tokyo.co.jp/cambria/list/list20110519.html
(カンブリア宮殿での特集番組)
 でも、というか、だから、卒論は迷走を極めました。「デキル男」
と「アツいハート男」が葛藤して、当初は前者の路線でブイブイ
いわし、誰よりも早く完成度の高い議論を展開。そこに「マった」
をかけたのは当然ながら私ではありませんでした(クドいが、私
は自主性を卒論では最大限重んじます。特に内容面は)。
 昨日のメッセージを書いたミサキ、そしてゼミのアツい女子たち。
彼も書いている「アフリカには海外投資が必要で、海外投資には
~が必要だ!」という主張に、真っ向から勝負を挑んだのです。
「何のタメ~?」
「誰のタメ~?」
「そしたらどうなるの~?」
「それで本当にいいの?」
「ビジョンと違うじゃん!!!!」
 「デキル男ヤマ」一本で行けば、彼の学生生活最後の半年は
おそらくとっても楽しいお気楽なものだったでしょう。そして、その
まま「デキル社会人ヤマ」に横滑りし、疑問を持ちづらい大人に
なっていたでしょう。「世界はカンタン!なんで皆デキないの?
俺にはデキるのに!」と。
 しかし、なぜかヤマ男は立ち止まった。彼の中のアツさが彼を
引き留めてしまったから。そこからが、しかし、地獄だったのです。
彼の七転八倒ぶりは、おそらく同じゼミ生でもよくは分からなかっ
たと思います。彼基本はクールにみえるんで。しかも理論武装は
お手の物!がしかし、本当に苦しそうだった。
 そんな七転八倒を、私はあえて見守るだけに徹しました。冷た
い先生・・に写ったかもしれません。でも、ヤマ男なら自分の力
でなんとかするだろう・・・。いや、自分で試行錯誤し、自分で答え
を見つけていくことが、論文の完成度よりも、社会人になる前の
彼にとって何より重要。そこで私が影響を与えてしまうことは、逆
効果!(そうしてたら彼は「デキル男ヤマ」路線に行ったでしょう。
基本あまのじゃくだから、ねヤマ?)
 「ここは彼の人生にとって関ヶ原の合戦!」・・・そう思ったのでし
た。今だからいうけど。
 どんなに外大の学生としては「極めて優秀」とされても、4月か
らは大企業の新入社員にすぎません。きっと圧倒されて、会社が
求める通りの人材になろうと、まい進してしまうでしょう。そして、
器用なヤマはきっとそれが出来るでしょう。そうやって5年、10年、
20年、30年・・・過ごしていくだけでいいのか。それを会社に入っ
てから考える時間も環境も心理的余裕もきっとないでしょう。だか
らこそ、自由のきく、あるいは考えることだけが本当の仕事の学生
時代に、徹底的に立ち止まって自分と対話し、社会の構造を学び、
自分なりに答えを持ってほしい・・・そう思いました。
 が、そこはヤマ。迷走ぶりもハンパではなく、私も正直とっても
しんどかった・・・・が、最後は納得いくところまでいきましたね。も
う一度最初から書くのであれば、違った、もっとすっきりしたもの
になるでしょうが、これは大学時代の最後を飾る作品として、ヤマ
らしい作品であることは間違いない。
 こんな風に七転八倒したのはヤマ男だけでは実はありません。
ふり返ってみたら全員が全員、苦しみもがいたね。年末にみんな
を見た先輩がいってたよ。「あまりに苦しそうで声かけられなかっ
た」って。「母」のはしくれである私としては胸が痛いコメント。
 それでも、心を鬼にしました。私の中で卒論に込めた想い。それ
は、こういうことです。
 皆さんの世代は、技術・メディアの発達からインターネットがあり、
情報はなんでも手に入り、やらなくてもやった気になる傾向にあり
ます。器用さを身につけさえすれば、どんどん前に進んでもいけ
ます。企業もそのような人材を求めています。でも・・・・それでいい
のだろうか。そんなにすべて答えははっきりしているのだろうか?
 だからアフリカがあり、アフリカにどんどん行くようにサポートし
ています。でも、それだけでもダメ。「逃げ」続けるだけでもいけ
ないのです。自分の社会で試行錯誤せずに、人の社会で何がで
きるのか?そう自分をふり返っても思うからです。なので、皆には、
①その経験を自分の中に深く位置づける、②それを他者に伝える
だけの説得力を持つ、③それを自分の納得いく形で文章にする・
・・という一連の作業として卒業論文を重視するように指導してい
ます。
 「これまではどういわれてきたのか」「その認識は正しいのか」
「世界/社会は本当はどうあるべきなのか」「我々の役割は何か」
・・・終わりのない「答え」を探して、とことん七転八倒する。リアル
な社会とリアルな闘いを、リアルな言葉を使って、リアルに論じる
ことこそ、皆さんに学生最後の課題として取り組んでほしかった
のです。
 と同時に、ヤマが気づいたように、書くというのは恐ろしいこと
です。書き手の作為次第でどうにでもなる。これこそ、卒論の隠
された目的の一つでした。
 受験、学術、メディア的に「読む側」の立場だけを経験してきた
皆に、「書く側」の論理や都合、恐ろしさを徹底して知ってほしか
ったからです(ブログやSNSやツイッター程度ではこれは分か
らない)。ヤマ男も気づいたようですが、情報操作は簡単です。
そのことに常に恐怖を抱き続けてください。そして人の情報を見
破るだけでなく、自分自身にも恐れを抱き続けてくれればと思
います。いつか社会で皆が中心になる時代がやってくるからで
す。今は信じられないと思いますが。
 これらは、今だから書けること。3年生にはちんぷんかんぷん
かもしれません。トコトンやった人にだけ分かることかもしれま
せんが、以上、長い人生でどこか頭の片隅にでもおいておいて
もらえると嬉しいです。
 「10年後もアオい自分でありたい」という君の言葉、胸に響きま
した。最初は決してアオさを見せようとしなかった君だからこその
大きな成長だよね。もう大丈夫。どんな道でもきっと本当の自分
に戻ることができるでしょう。安心して広い世界に羽ばたいていっ
てください。(*ただし、やっぱり天狗になりそうなんで、ゼミ女子
にイジメられに定期的に帰ってくるように。一生の仲間をみつけ
たね。あっ。団子四兄弟の長男として男子たちもよろしく。)

【文末注】
ヤマが二人いて、一人が「山ガール」になってしまったので、
「ヤマ(男)」になってしまったヤマワキくんでした
by africa_class | 2012-02-12 11:35 | 【大学】アフリカゼミ(3・4年)
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