年末に紹介したいと思って、2月に突入・・・。
15年来の友人ヤン・フィリップ・センカーさんの小説の日本語
訳が発売されました!世界中で50万部売れたこのラブストーリー。
数年前にドイツ語版を渡されたものの、ドイツ語は話されれば分かる
ものの、文盲な私には「・・・・」だった上に、せっかくのポルトガル語版
の表紙がひどくて、どうしても読む気になれないまま年月が過ぎてし
まっていたのですが、日本からドイツに持ってきてと頼まれて購入し
てドイツに向かう飛行機で読んで、しみじみと泣いてしまいました。
3・11後はすぐウルウルしてしまう私ですが(鬼の目にも涙)、まった
く違った種類の涙。ただただ、涙がつつっつつーーーと止まらない感
じ。泣き終わった後には、なんともいえない晴れ間が心の中に広がり
ます。
来年にはハリウッド映画になるこの小説。映画にしやすい小説では
あるけれど、小説のよさを味わってほしい。ちなみに、冒頭の日本語
訳が読みづらいのでちょっとひいてしまうかもしれませんが、ガマンす
れば、すばらしい世界に惹きこまれます。
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ヤン・フィリップ・センドカー(我々はセンカーとつづるのですが・・)
『鼓動を聴いて』 (ビレッジブック)
ドイツで感動の嵐を巻き起こし一大ベストセラーとなった本作。失踪した父を追い、NYからビルマ(ミャンマー)へやって来た主人公。読者は彼女と共に、ビルマ人の語り手によって徐々に明かされる奇跡の愛を知ることとなります。ラスト30ページは涙なくして読めないものの、その涙には一点の濁りもないような・・・まさに“心洗われる”1冊です。
http://www.villagebooks.co.jp/books-list/detail/978-4-86332-260-8.html
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そして、ヤンフィリップは元々ドイツのメジャーな雑誌Sternのアジ
ア特派員をしていて、阪神淡路大震災の取材でクラーセンが知り合
い、その後、私も時々通訳でお手伝いなどしていたのですが、なにせ
書かれたものはドイツ語。どういうものを書く人か想像がつかず、いつ
か小説を書きたい・・・といってたのを聞き流していました。
でも、世界中の誰よりも、彼ほど穏やかで思慮深い人は会ったこ
とがなく、彼と話していると、ついつい本音を語ってしまったり、思い
がけず泣いてしまうことがままありました。ジャーナリストなのに、不
思議な人だなあと思っていたのですが、この小説を読んで納得。
ヤンフィリップは主人公そのものなんです。(主人公はビルマ人で
すが!)一去年彼の家に遊びに行っている時は、中国を
舞台にした次作の執筆まっただ中。数時間かかって数行しか書けな
い・・・といっていた彼のスピードを笑っていたのですが、笑うべきこと
ではなかったと、この本を読んで納得。
学生の皆さんにもいつもスピード、スピードといっていますが、真逆
のことも大切なんだと、彼の人となりと彼の作品に触れて、しみじみ
感じます。
寒い冬に、キャンドルをつけて、あるいはストーブのそばで、急いで
読まず、毎晩少しずつ読み進めることをおすすめします。
(速読な私は、何度も何度も自分に「ゆっくり」を言い聞かせたのです
が、調布から成田までの空港バスでほとんど読み終えてしまい・・・
自分で自分に腹を立て、成田から二度読みをしましたが、これはも
ったいない読み方だったと、心から後悔)
どうぞスローにご堪能ください。
外大生なら、是非原語(ドイツ語)でお楽しみあれ。