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試訳:「小農と農村で働く人々の権利に関する国連宣言」のドラフト(前文)

 今日はあまりに寒く、畑仕事をする気持ちが盛り上がらなかったため、関心のある人とない人といるでしょうが、趣味と実益を兼ねて、昨日紹介した「小農の権利に関する国連宣言」のドラフト文の前文だけ仮訳しておきました。

 つかったドラフトは、201736日に、国連総会に提出されたドラフトで、総会文書(A/HRC/WG.15/4/2)となります。https://documents-dds-ny.un.org/doc/UNDOC/GEN/G17/051/60/PDF/G1705160.pdf?OpenElement

 が、国連関連の宣言文で一番面倒なのが、「前文」なので、ここを避けて通りたい気持ちは山々だったものの、ここを飛ばすと意味がなくなるので、耐えに耐えて訳しました。

 途中までは、あるお方が下訳をして下さっていたので(感謝!)早かったのですが、その後は辛かった。一般向けには分かりやすく訳し直す必要がありますが、まずはそのままに近いバージョンでシェアしたいと思います。また、日本語の校正をかけていないので、最後まで訳せたら見直しします。誤訳など気づいた人は教えてね。

 また、「小農と農村で働くその他の人々」が正確な訳ですが、下訳者が「小農民と農村で働く他の人々」とされていたので、「小農民」を「小農」にして訳してあります。でも、「小農と農村で働く人々」でもいいかなと思っています。

(*なお、下訳者の方は農民団体の方なのですが(知る人ぞ知る)、お名前の掲載は遠慮したいとのことなので、残念ながら私のみの名前となっています。格調高い素晴らしい訳で、私の稚拙な訳が恥ずかしいほど・・・)

 ちなみに、読み始めてぞっとして、最後まで読んでぎゃーーというと思いますが、前文は「ピリオド(。)」が、最後の最後までなく、ずーーーと「コンマ(,)」と改行で文章が連なっていきます。なので、この宣言文の前文は、2.5頁全部が一つの文章…という悲惨なものとなっています。

 で、recalling,reaffirming, recognizing, convinced, concerned, alarmed, noting, という始まりが延々と続いて、recallingなんて4連発なわけですが、これらのどれを使うかで、国際的な意志の強さが変わってくるので訳もあまり弄れません。

 国際的な抗議文書であれば、condemnを使うかどうかが焦点になってきます。 そこを、notingとかに弱められることがままあります。このcondemnnotingかのたたかい・・・を延々と水面下あるいは議場で行うのが、国連外交だったりするわけで、なんともまあ・・・。

*****

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作業部会の議長兼報告者による提案

小農と農村で働くその他の人々の権利に関する国連宣言(案)

(試訳:舩田クラーセンさやか[2017年11月10日版])

<前文>

国連人権理事会は、

 国際連合憲章、世界人権宣言、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する条約、市民的及び政治的権利に関する国際規約、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約〔女性差別撤廃条約〕、発展の権利に関する宣言、全ての移住労働者及びその家族の構成員の権利の保護に関する国際条約、児童の権利に関する条約〔子どもの権利条約〕および、普遍的または地域レベルで採択された他の関係する国際条約に明記される原則の実現の促進を希望しつつ、

 すべての人権は、普遍的かつ不可分、関連し合い、依拠し合い、相互に補完し合い、同じ土台の上で、等しく重視されつつ、公平かつ公正に扱わなければならないことを確認し、一範疇の権利の促進と保護によって、他の権利の促進と保護を締約国が免れてはならないことを想起し、

 小農と農村で働く他の人々と、これらの人々に属し、彼らが生計のために依拠する土地、水、自然資源、領域との間の特別な関係および関わり合いを認識し、

 世界のあらゆる地域の小農と農村で働く他の人々による、世界の食料と農業生産の基盤を構成する過去、現在、未来の開発/発展と生物多様性の保全・改善に対する貢献、そして持続可能な開発のための2030アジェンダを含む国際的に合意された開発目標を達成するのに不可欠である食料主権の確保における貢献を認識し、

 小農と農村で働く他の人々が貧困と栄養不足に著しく陥っていることを懸念し、

 また、小農と農村で働く他の人々が環境破壊と気候変動がもたらす被害を受けていることを懸念し、

 農村生活におけるインセンティブの欠如や重労働を理由に、世界で小農の高齢化が進み、ますます多くの若者が農業に背を向けていることを懸念し、とりわけ農村の若者に対して、農村における経済の多様化と、農場労働以外の機会の創出の必要を認識しつつ、

 ますます多くの小農と農村で働く他の人々が毎年、強制的に退去、立ち退きを強いられていることに危機感を感じつつ、

 小農女性と他の農村女性が、経済の非貨幣部門における労働を通じてのものを含め、彼女らが家族の経済的なサバイバル(生存)における重要な役割を果たしていながら、借地権や土地の所有権、土地、生産資源、金融サービス、情報、雇用、社会的保護への平等なアクセスをしばしば拒まれ、さらには、頻繁に様々な形式や表現の暴力の犠牲となっていることを強調し、

 いくつかの要因により、小農および農村で働く他の人々、小規模漁民、漁業労働者、牧畜民、林業従事者、その他の地元コミュニティの声が反映され、人権および土地保有権が擁護され、それが依拠する自然資源の持続可能な利用が確保されることが困難になっていることを強調し、

 土地、水、種子、その他の自然資源へのアクセスが、農村の人々にとってますます困難になっていることを認識し、生産資源へのアクセスの改善と適切な農村開発への投資の重要性を強調しつつ、

 小農や農村でく他の人々が、生系が自然のプロセスとサイクルを通じて適応し再生するエコシステムの生物学的かつ自然的な能力を含む母なる地球と調和するとともに、それを支援する農業の持可能な践を促し担うという努力が支援されるべきであることを確信し、

 農業漁業およびその他の活労働者の多くに与えられる、生活金および社会的保をしばしば欠く、有害で取的な条件を考し、

 土地や自然源の問題に取りむ人々の人を促し擁護する人、体、機関が、さまざまな形迫や身体的一体性への侵害(暴力)を受けるリスクが高いことを念し、

 小農や村でくその他の人々が、暴力、虐待、取から直ちに救や保を求めることができないほど裁判所、警察官、察官、弁士へのアクセスが困難となっていることに注目し

 食料品に関する投機を懸念し、人の享受をなうフードシステムの寡占や不均衡な流通が増していることを受けて

 人々の食料主権へ利を保するためには、この宣言でめられている諸利を尊重し、擁護し、促することが不可欠であることを認識し、

 先住民族の利にする国連宣言を踏まえ、先住民族の小農や村部でく先住民族を含む先住民族が、自らの内的事項ならびに地元事柄にする自己を有することを確認する一方、 当該宣言のいずれの記述も、国家、人々、体、または個人に対して、国連憲章に反するいかなる行を行う利を暗示するものではなく、また主国家および独立国家の土保全または政治的一を全面あるいは部分的に解体またはなうことを許可するものでも促すものでもないことを強調し、

 開発/発展利が、すべての個人とすべての人々にとって、譲渡不可能な人権の一部を成し、これらの人々が、人権に関わるすべての権利と基本的自由が完全に具現化される経済的、社会的、文化的、政治的な展(のプロセス)に参加し、貢献し、それを享受することができる権利を有することを再確認し、

 これらの人々が、人する国際規約方に関連する条項の対象者であり、自然が自身にもたらすウエルネスと源のすべてにする十分かつ完全な主を行使する権利を有していることを想起し、

 また、労働切な労働する国際労働機関ILO)の規約告の広範なる体制(body)を想起し、

 食べ物への権利、土地の権利、自然源へのアクセス、その他の小農利に関する国連食糧農業機構(FAO)による広範なる取り組み、特に「食料と農業する植物遺伝資源にする国約」、ならびにナショナルな食料安全保障の文脈における「土地森林漁場利の任あるガバナンスにするボランタリガイドライン」、食料安全保障と貧困撲滅の文脈における「可能な小漁業保するためのボランタリーガイドライン」、食料および農業のための植物遺伝資源にする国際条約」、ナショナルな食料安全保障の文脈における「適切な食料への権利の漸進的な実現を支援するためのボランタリーガイドライン」を想起し、

 農地改革と開発する世界会議」とそれによって採択された「小農憲章」の果を踏まえ、農地改革と開発のための切な国家略の策定の必要性と国家開発戦略全体への合が強調されたことを想起し、

 小農と村でくその他の人々の人をより一層保し、この問題する既存の国権規範と基の一した解用を行う必要性を信し、

 小農村でくその他の人々の利について、次の宣言を厳粛採択する。


***

最後まで読もうとしてくださった皆さん、ありがとうございます。

27条まであるので、続きがどこまで訳せるか分かりませんが、とりあえずこの宣言文の傾向については朧げながら理解できるかと思います。

当初のドラフトからの変化について、色々気づいた点を書きたいところですが、これはまた今度・・・。


試訳:「小農と農村で働く人々の権利に関する国連宣言」のドラフト(前文)_a0133563_00341789.jpg



by africa_class | 2017-11-10 00:36 | 【国連】小農の権利宣言
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