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【完訳2】国連採択された「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」、最終決議・宣言を監訳終えました。次に第1条から第13条

若干校正したものを貼り直します。


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小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言

(前文→https://afriqclass.exblog.jp/239092212/)

第一条 (小農と農村で働く人びとの定義)

1. 本宣言において、小農とは、自給のためもしくは販売のため、またはその両方のため、一人もしくはその他の人びとと共同で、またはコミュニティとして、小さい規模の農的生産を行なっているか、行うことを目指している人、そして、例外もあるとはいえ、家族および世帯内の労働力ならびに貨幣を介さないその他の労働力に大幅に依拠し、土地(大地)に対して特別な依存状態や結びつきを持つ人を指す。

2. 本宣言は、伝統的または小規模な農業、栽培、畜産、牧畜、漁業、林業、狩猟、採取、または農業と関わる工芸品づくり、農村地域におけるその他の関連する職業につくあらゆる人に適用される。さらに、小農の扶養家族にも適用される。

3. 本宣言は、土地に依拠しながら生きる先住民族およびコミュニティ、移動放牧、遊牧および半遊牧的なコミュニティ、さらに、土地は持たないが上述の営みに従事する人びとにも適用される。

4. さらに本宣言は、移住に関する法的地位の如何にかかわらず、すべての移動労働者および季節労働者を含む、プランテーション、農場、森林、養殖産業の養殖場や農業関連企業で働く、被雇用労働者にも適用される。


第二条 (加盟国の一般的義務)

1. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの権利を尊重、擁護、実現する。本宣言の権利の完全なる具現化を直ちに保障できなくとも、漸進的な達成を実現するため、加盟国は、法的、行政上、その他の適切な措置を迅速にとる。

2. 本宣言の実施に関し、(加盟国は)様々な形態の差別に対処する必要性を考慮に入れ、高齢者や女性、若者、子ども、障害者を含めた小農と農村で働く人びとの権利および特別なニーズに特別な注意を払う。

3. 加盟国は、先住民族に関する特別な法律を無視することがないよう留意しつつ、小農と農村で働く人びとの権利に影響を及ぼす可能性がある法律、政策、国際条約、その他の意思決定プロセスの適用と実施の前に、小農と農村で働く人びとを代表する機関を通じて、誠実に、彼らと協議・協力し、意思決定がなされる前に、それに影響を受ける可能性のある小農と農村で働く人びとの関与を実現し、彼らの賛同を求め、彼らの貢献に応え、異なる関係者間に存在する非対称な力関係を考慮しつつ、意思決定のプロセスにおいて、個人および集団にとって、主体的かつ自由な、実効性を有し意味のある、十分な情報の提供を伴った参加を保障する。

4. 加盟国は、小農と農村で働く人びとに適用されるべき人権法と矛盾がない(一貫性のある)手法で、貿易、投資、金融、税制、環境保護、開発協力、安全保障分野を含む、関連する国際条約および基準を策定、解釈、適用する。

5. 加盟国は、民間の個人および組織ならびに多国籍企業やその他の営利企業体などの非国家主体に対し、規制をする立場から、小農と農村で働く人びとの人権の尊重と強化を確実なものとするため、すべての必要な措置をとる。

6. 加盟国は、本宣言の目的および目標を実現するための各国の努力に対し、これを支援する国際協力の重要性を認識しつつ、この点に関し、それが望ましい場合、関連する国際機関、地域機関、市民社会、とりわけ、小農と農村で働く人びとの組織と協力して、二国間および多国間で適切かつ効果的な措置をとる。そのような措置には以下のものが含まれる。

a) 小農と農村で働く人びとが参加でき、これらにとって利用可能で適切な国際開発プログラムを含む国際協力の確保

b) 情報、経験交流、研修プログラム、ベストプラクティス(最善と考えられる実践例)についての交換や共有を含む能力向上の促進と支援

c) 調査研究および、科学・技術知識へのアクセスにおける協力の促進

d) それが適当とされる場合における、相互に合意した条件下での、技術・経済支援の提供。これらは、利用可能な技術へのアクセスと共有の促進、技術移転を通じて、特に途上国に対して行われる。

e) 極端な食料価格の高騰と投機的な誘惑を抑制するため、世界規模での市場の機能改善、および、食料備蓄を含む市場情報への時宜にかなったアクセスの促進


第三条 (不平等および差別の禁止)

1. 小農と農村で働く人びとは、国連憲章、世界人権宣言、ならびにその他のあらゆる国際人権条約で定められた、すべての人権と基本的自由を余すことなく享受する権利を保持し、その権利の行使は、出自、国籍、人種、肌の色、血統(家柄)、性別、言語、文化、婚姻歴、財産、障害、年齢、政治または他の事柄に関する言論、宗教、出生、経済、社会、その他に関する地位/身分等に基づく、いかなる差別も受けない。

2. 小農と農村で働く人びとは、発展/開発の権利を行使する上で、優先事項および戦略を決定、構築する権利を有する。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びとに対する、複合的で様々な形態のものを含む差別を引き起こす、あるいは永続させる諸条件を除去するため、適切な措置をとる。


第四条 (小農女性と農村で働く女性の権利)

1. 加盟国は、男女平等に基づき、小農女性と農村で働く女性が、あらゆる人権と基本的自由を十分かつ平等に享受し、農村の経済、社会、政治、文化的発展を自由に追求でき、それへの参加が可能で、そこから利益を得られることを保障すべく、これらの女性に対するあらゆる形態の差別を撤廃し、エンパワーメントの促進に資するすべての適切な措置をとる。

2. 加盟国は、小農女性と農村で働く女性が差別を受けることなく、本宣言、ならびに、その他の国際人権条約に定められたすべての人権ならびに基本的自由を享受できるよう保障する。その中には以下の権利が含まれる。

a) あらゆるレベルの開発計画の策定と実施において、平等に、かつ実効性を伴った参加ができる権利

b) 適切な保健医療施設、 家族計画についての情報、カウンセリング、サービスを含む、心身のために、到達可能な最高水準の医療に平等にアクセスする権利

c) 社会保障制度から直接利益を得る権利

d) 機能的識字力に関する研修、教育を含む、公式、非公式を問わず、あらゆる種類の研修、教育を受ける権利、技術的な面での習熟度を引き上げるためのコミュニティ内に存在する、また農業普及に関するすべてのサービスから利益を得る権利

e) 雇用と自営活動を通じて経済機会への平等なアクセスを得るため、自助組織、アソシエーションおよび協同組合を組織する権利

f) あらゆるコミュニティ活動に参加する権利

g) 金融サービス、農業融資やローン、販売施設、適切な技術に平等にアクセスする権利

h) 土地と自然資源への平等なアクセス、利用、管理を行う権利、土地と農地改革、土地再定住計画において、平等または優先的に扱われる権利

i) 働きがいのある人間らしい(ディーセントな)雇用、そして、平等な報酬と社会保障給付に対する権利、収入創出のための活動に参加する権利

j) あらゆる形態の暴力を受けない権利


第五条 (自然資源に対する権利と発展/開発の権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、本宣言第28条に則り、適切な生活条件を享受するために必要とする自らの居住地域に存在する自然資源にアクセスし、それらを持続可能な手法で利用する権利を有する。また、小農と農村で働く人びとは、これらの自然資源の管理に参加する権利を有する。

2. 加盟国は、小農と農村で働く人びとが伝統的に保有あるいは利用する自然資源に影響を及ぼすあらゆる資源開発(計画)の認可について、確実に以下の事項——ただしこれらの事項に限定されるものではない——に基づいた措置をとる。

a) 適切に実施された社会環境影響評価

b) 本宣言第2条第3項に準拠した誠実な協議

c) 資源開発者ならびに小農と農村で働く人びとの両者が合意する条件に基づいて行われる開発がもたらす利益を公平かつ平等に分け合うための手順(モダリティ)


第六条 (生命、自由、安全に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、(法の下における)人として、生命に対する権利(生存権)、肉体および精神の不可侵性への(尊重に対する)権利、自由と安全に対する権利を有する。

2. 小農と農村で働く人びとは、恣意的な逮捕、拘束、拷問、その他の残酷かつ、非人間的または屈辱的な扱いや処罰にさらされてはならず、奴隷または隷属状態におかれてはならない


第七条 (移動の権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、いかなる場所においても、法の下における人として認められる権利(人格権)を有する。

2. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの移動の自由を促進する適切な措置をとる。

3. 加盟国は、本宣言第28条に基づき、それが必要とされる場合には、国境上の農村で働く小農と人びとに影響を及ぼす、国境を超えた土地所有・利用権の課題について、協力して適切な措置をとる。


第八条 (思想、言論、表現の自由)

1. 小農と農村で働く人びとは、思想、信条、良心、宗教、言論、表現、および平和的集会の自由の権利を有する。これらの人びとは、口頭、記述、印刷物、芸術、または自らが選ぶあらゆる媒体を通して、自治体、地域、全国、国際レベルで意見を表明する権利を有する。

2. 小農と農村で働く人びとは、人権および基本的自由の侵害に対する平和的な活動に、他者との共同を通じ、あるいは一つのコミュニティとして、個人ならびに/あるいは集団として、参加する権利を有する。

3. 本条に明記された権利の行使には、特別な義務と責任が伴う。したがって、それらは一定の規制の対象となり得るが、それは法が定めるところにより、かつ必要不可欠な場合に限られる。

a) 適切に実施された社会環境影響評価
b) 他者の人権また信用の尊重のため、国家安全保障、公的秩序、公衆衛生、あるいは、社会倫理を護るため

4. 加盟国は、本宣言に記された権利を彼または彼女が正当に行使・擁護した結果として生じる、いかなる暴力、脅し、報復、法律上または事実上の差別、圧力、その他の専横的な行為から、個人であろうとも他者との集合体の形をとろうとも、すべての人が確実に保護されるため、管轄当局に必要な措置をとらせる。

第九条 (結社の自由)

1. 小農と農村で働く人びとは、自らの利益を護るために自ら選択した組織、労働組合、協同組合、その他の組織や結社をつくる権利および参加する権利、団体交渉の権利を有する。これらの組織は、独立し、自発性に根ざし、あらゆる干渉、強制、あるいは抑圧からの自由を保持する。

2. この権利の行使にあたっては、いかなる制限も受けない。ただし、民主主義社会下で、国家の安全保障や治安、公的秩序、公衆衛生の保全、倫理、あるいは他者の人権と自由の擁護に必要不可欠かつ法で規制される場合を除く。

3. 加盟国は、労働組合や協同組合、またはその他の組織を含む、小農と農村で働く人びとの組織の創設を奨励するための適切な措置をとる。特に、人びとが正当なる(法に適った)活動を創造し、発展させ、追求する上での障壁を除去する。これには、これらの組織とそのメンバーに対する立法上あるいは行政上のすべての差別の撤廃が含まれる。また、契約交渉における条件と金額が公正で安定したものとなるよう、さらには、これらの人びとの尊厳や充足した生活に対する権利が侵されないことを保障するため、人びとの地位の向上を支援する。


第十条 (参加の権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、自らの生命、土地、暮らしに影響を及ぼしうる政策、計画、および事業の準備と実施に対し、主体的かつ自由な、直接かつ/あるいは自らを代表する組織を通した参加の権利を有する。

2. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの生命、土地、暮らしに影響を及ぼす可能性のある意思決定のプロセスへの、直接的および/あるいは彼らを代表する組織を通じた参加を促進する。これには、強力かつ独立した小農と農村で働く人びとの組織の設立、ならびに、その発展への敬意、そして彼らに影響しうる食の安全、および労働と環境基準の策定と実施への参加の促進も含まれる。


第十一条 (生産、販売、流通に関わる情報に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、情報を求め、受け取り、それを進化させ、他に知らせる権利がある。これには、自らの生産物の生産、加工、販売、流通に影響を及ぼす恐れのある事柄に関する情報が含まれる。

2. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの生命、土地、暮らしに影響を及ぼしうる事柄の意思決定(プロセス)において、これらの人びとの実効性を伴った参加の実現を保障するとともに、これらに関する透明かつ時宜にかなった、適切な情報へのアクセスを確実にするための適切な措置をとる。その際には、それぞれの文化にふさわしい言語、形式、手段を用い、人びとのエンパワーメントの促進を可能とする。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びとが、自治体、全国、国際レベルにおいて、自らの生産物の質を評価・認証する公平で公正かつ適切なシステムにアクセスできるよう促すとともに、そのようなシステムの構築への参加を促すべく、適切な措置をとる。


第十二条 (司法へのアクセス)

1. 小農と農村で働く人びとは、実効性を伴った、差別のない司法へのアクセスの権利を有する。これには、紛争解決のための公正なる手続きへのアクセス、そして、これらの人びとの人権へのあらゆる侵害に対する実効力を伴った救済措置へのアクセスの権利を含む。決定(判決など)にあたっては、小農と農村で働く人びとの慣習、伝統、規則、法制度を十二分に考慮に入れ、国際人権法の下にある関連法に準拠する。

2. 加盟国は、公正かつ適格な司法および行政機関を介して、時宜にかない、無理なく支払え、実効性を伴った、当該関係者の言語の利用が可能な紛争解決手法への差別なきアクセスを整備する。さらに、控訴、返還、弁償、補償および賠償への権利を含む、実効力のある迅速な救済を提供する。

3. 小農と農村で働く人びとは、法的支援を受ける権利を有する。加盟国は、そのような支援がなければ行政および司法サービスを利用することができない小農と農村で働く人びとのために、法的支援を含む追加措置を考慮する。

4. 加盟国は、本宣言に明記された権利を含む、すべての人権の促進と擁護のため、関連する国の機関/制度の強化措置を考慮する。

5. 加盟国は、小農と農村で働く人びとが、人権を侵害され、専横的に土地と自然資源を奪われ、生計の手段と不可侵性を剥奪され、あらゆる形態の強制的な立ち退きや定住を強要されることを意図する、もしくはそれらの結果を導くすべての行為の防止とそれからの救済を実現するため、小農と農村で働く人びとに実効力を伴った手段を提供しなければならない。

第十三条 (働く権利)
1. 小農と農村で働く人びとは、自らの生計をたてる方法を自由に選択する権利を含めた働く権利を有する。

2. 小農と農村で働く人びとの子どもたちは、危険を伴いかねない、子どもの教育を妨げる、あるいは、子どもの健康や身体的、精神的、心理的、道徳的、または社会的発達にとって有害な、いかなる労働からも保護される権利を有する。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びととその家族に対して、適切な生活水準が実現できる報酬を提供する、働く機会が可能となる環境を構築する。

4. 農村で高い水準の貧困に直面する国において、他の部門で雇用機会がない場合、加盟国は、適切な雇用の創出に寄与できるよう、十分に労働集約的で持続可能なフードシステムを構築・促進するため、適切な措置をとる。

5. 加盟国は、小農による農業と小規模な漁業の特別な性質を考慮した上での労働法の順守をモニターするため、必要に応じて、適切な資源を配置することによって、農村地域における労働監督官の実効力のある活動を保障する。

6. いかなる人も、強制、奴隷、義務的労働を求められてはならず、人身取引の被害に遭うリスク、またその他いかなる形態の現代的奴隷の対象にされてはいけない。加盟国は、小農と農村で働く人びと、これらの人びとを代表する組織と協議、協力し、経済的搾取、児童労働、債務による女性、男性、子どもの束縛といった、あらゆる形態の現代的奴隷制から、漁撈者と漁業労働者、林業労働者、季節・移住労働者を含む、小農と農村で働く人びとを護るための適切な措置をとる。

続き→https://afriqclass.exblog.jp/239092231/

監訳:舩田クラーセンさやか
訳者:根岸朋子


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国連総会第三委員会でこの「小農宣言」が採択された翌日(2018年11月21日)、3カ国民衆会議が東京の聖心女子大学で開催された。そのことを受けて壇上にあがったブラジル、モザンビーク、日本の小農の皆さん。この宣言への日本政府の棄権が、会議では大きな話題となった。

3カ国民衆会議の詳細→http://triangular2018.blog.fc2.com/


by africa_class | 2019-02-04 07:58 | 【国連】小農の権利宣言
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