週末は入試面接の後、駆け足で神戸の日本国際政治学会へ。
今話題の神戸空港からすぐのところにある国際会議場での開催。
あれほどまでの震災を経験し、その一部は「人災」であったとい
うのに、神戸空港建設を強行した神戸市の姿勢に抗っている私は、
神戸空港非使用を宣言している。おかげで、えらい遠回りをして、
伊丹空港からえっちらおっちらポートピア・アイランドへ。聞こえは
いいが、「ゴミの島」。20年以上兵庫県民であった私の出したゴミ
もこの島の地中に埋まっている。

途中、震災直後から半年にわたって通った(途中3ヶ月は寝泊り
もした)中央区役所の建物を懐かしく眺める。その周辺は、震災の
痕などこれっぽっちも感じさせないほどの賑やかさとお洒落さであ
る。復興が進んでいることに安堵しながらも、ポートアイランドや
神戸空港に象徴される、「表面上の豊かさと内実の乏しさ」を特徴
とする神戸に、不安がよぎる。果たして、住民の復興はいかに?と。
と同時に、震災ボランティアで燃え尽き症候群になってしまって、
神戸からどこか逃げてきた自分である。そんなこと言う権利など、
私にはないのだとも思う。若さゆえの、未熟さが思い出されてどこ
か恥ずかしさがつきまとう・・・のが、私にとっての「神戸」である。
どこかまとまらない想いを抱えつつ学会到着。アフリカ分科会で
は、EUの対アフリカ政策が議論されていた。終わる段になって、最
後の最後に院生が手を挙げた。「今日の発表や議論はEU側の話
ばかりですが、アフリカの政府、人々はどう思っているのでしょうか
?」と。若さゆえのストレートな批判に、胸のすく想いでいた。

続けて、共通論題は冷戦後20年がテーマである。冷戦とは一体
なんだったのか、と。パネリストは、ヨーロッパ、アメリカ、中東、中国
の専門家たちである。なかなか勉強になるシンポジウムの休憩中、
後輩が駆け寄ってきて呟く。「アフリカは世界の中にないって、こと
ですよね!!!!」いつの間にか、「分別」という言葉に毒されてい
た私は、そんなことすら思いつかないほどになっていた。若さという
のは、その意味で、なんともいえずフレッシュだ・・・歳を取ることで
失うものは大きい・・・ますますそう思う今日この頃であった。
批判的精神を失うのは簡単だ。かといって、これを振りかざすのも
簡単だ。だから、難しい。歳を取るということは、心に批判的精神を
保ちつつ、それを的確なやり方で伝え、現状をいい方向で変える術
を学ぶということなのかもしれない。まだまだ修行が足りないけど・・。