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afriqclass.exblog.jp

カテゴリ:【記録】講演・研究会・原稿( 68 )

緊急勉強会:モザンビークで今起こっていること~私たちの投資と援助(12月6日)

あっという間にもう今週!
現地事情は毎日変わっているので追うのが大変ですが、「私たちとモザンビーク」あるいは「私たちとアフリカ、世界」との関係を考えるとても重要なことなので頑張ります。30席しか一般向けに用意していないようなので、急ぎお申込みを。なお、同時中継もあります。

(転載歓迎)
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アフリカ・モザンビーク情勢の緊急勉強会
安倍総理が訪問するモザンビークで今起きていること
和平合意破棄後の援助、投資のこれからを考える

2013年12月6日(金)13時~15時 
参議院議員会館 1階 102号室
http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/activities/moz20131206.html
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1977年から16 年間にわたったモザンビークの戦争は、百万人の死者を出し、史上最悪の戦争の一つとして歴史に記され、1992年に終結しました。しかし、本年10月21日、モザンビーク政府軍が、最大野党RENAMOの拠点を急襲し、国会議員1名が死亡、党首は山中に逃れたままとなり、翌22日にRENAMOは92年の和平合意破棄を宣言しました。中部・北部の十か所以上で軍事衝突が起こり、死傷者がでています。

すでに、国連、EU連合、米国など20カ国の援助国政府、カトリック教会は、声明や談話を発表し、両者に対し武力を使わず政治的緊張を対話で解決するよう求めています。主要援助国で声明・談話を出していないのは日本政府だけです。影響は経済にも及び始め、リオ・ティント社等は、外国人スタッフの家族を国外に避難させています。

こうしたモザンビーク情勢急転の中、11月4日、安倍首相は来年1月9日~15日にモザンビー ク・ 南アフリカ・コートジボワールを訪問すると発表しました。

今年6月のTICAD V(第5回 アフリカ開発会議)の際、日本は同国と二国間投資協定を結び、日本企業が炭田開発、世界最大規模の天然ガス開発に着手する一方、北部ナカラ回廊ではODA「プロサバンナ」事業による大規模農業開発やインフラ整備が進められています。

しかし、現地では資源開発や大規模援助事業が住民合意のないまま進められることに批判が高まっており、さらに政治軍事衝突の最中に首相訪問が発表されたことに疑問の声が上がっています。平和を求める市民、数千から数万人が参加する平和マーチが5主要都市で行われ、独裁化する現政権には与党内からも退陣を
求める声が高まっています。11月20日に全国都市選挙が実施され、来年10月には大統領選挙の予定です。
 もはや日本から「遠い国」とは呼べないモザンビーク。

今何が起き、今後どうなっていくのかを共に考えます。どうぞご参加下さい。

◆報告
1. モザンビークでの石炭開発及びエチオピアでの援助によるHRWの人権影響調査の実例報告
土井香苗:国際NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」日本代表、弁護士
2. モザンビークにおける政治暴力の現在と投資・援助
舩田クラーセンさやか:東京外国語大学教員、モザンビーク開発を考える市民の会代表

◆日時:2013年12月6日(金)13時~15時 
  ※ 12時45分より議員会館 ロ ビーで入館票を配布
◆会場:参議院議員会館 1F 102号室

◆報告者プロフィール
土井香苗:
国際NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」日本代表。弁護士。
1998年東京大学法学部卒業。学生時、アフリカ・エリトリアで法制定ボランティア。2000年弁護士登録。国際法修士。2008年9月から現職。世界 中の人権侵害を止め、日本を人権大国にするため活動。著書に『"ようこそ"と言える日本へー弁護士として外国人とともに歩む』(岩波書店)、『巻き込む力』(小学館)

舩田クラーセンさやか:
東京外国語大学大学院教員、モザンビーク開発を考える市民の会代表。
1994年PKO国連モザン ビーク活動(ONUMOZ)後、アフリカの平和構築・政治経済・開発援助に関する研究・教育・市民活動に従事。国際関係学博士。主著に『モザンビーク解放闘争史』(御茶の水書房)、"Origins of the War in Mozambique"(African Minds)、「モザンビークにおける民主化の後退と平和構築の課題」
『国際政治』。編著に『アフリカ学入門』(明石書店)。

◆共催:
(特活)アフリカ日本協議会、(特活)オックスファ ム・ジャパン
(特活)日本国際ボランティアセンター、Attac Japan、No! to land Grab
(特活)ピースビルダーズ、モザンビーク開発を考える市民の会

◆連絡先・申し込み:
(特活)アフリカ日本協議会 担当・斉藤
 メール:info<@>ajf.gr.jp  電話:03-3834-6902 FAX:03-3834-6903

 ※ 以下を12月4日(水)正午までに知らせてください
  1)名前 2)当日の緊急連絡先 3) 所 属 4)質問(あれば)

会場の関係で一般の皆さんは先着30名となっております。
ご希望の方は早めにお申し込み下さい。
また、当日はIWJで同時中継が行われます。あわせてご覧ください。
http://iwj.co.jp/
by africa_class | 2013-12-02 10:09 | 【記録】講演・研究会・原稿

国際赤十字委員会TICADサイドイベント「人道危機への挑戦 ~紛争と災害に翻弄されるアフリカ」出ます

以下、パネリストとして出ます。よければお申込み下さい。

TICAD V公式サイドイベント
人道危機への挑戦
~紛争と災害に翻弄されるアフリカの取り組みを助ける~

http://www.jrc.or.jp/ICRC/japan/event/515.html

6月1日(土) -3日(月)、第5回アフリカ開発会議(TICAD V)が開催されます。同会議の公式サイドイベントとして、ICRCはパネリストを招き、「人道危機への挑戦~紛争と災害に翻弄されるアフリカの取り組みを助ける~」をテーマに、以下の通りシンポジウムを実施します。現在アフリカが直面している紛争及び災害による人道危機に焦点を当てつつ、「平和と安定」に寄与した事例や、アフリカにおける平和の定着が持続可能な開発に付与すること、また、アフリカ諸国が自らのイニシアティブにより紛争や災害に対応していこうとする取り組みを紹介します。国際社会及び人道支援機関は、アフリカの自立をどう支援できるのか。有識者やメディア関係者とともに考えます。みなさまのご来場をお待ちしております。

TICAD V 公式サイドイベント:
「人道危機への挑戦~紛争と災害に翻弄されるアフリカの取り組みを助ける~」

日時: 6月2日(日) 15:00-16:30
会場: パシフィコ横浜・アネックスホール B会場(F201)
言語: 英語/日本語(同時通訳あり)

登壇者:
・オラビシ・ダレ アフリカ連合委員会(AUC)人道問題担当課長
・舩田クラーセンさやか 東京外国語大学准教授
・オリヴィエ・ヴォド ICRC副総裁 兼 昭憲皇太后基金合同管理委員会委員長
・ヴィンセント・ニコ ICRC駐日代表
ファシリテーター: 脇阪紀行 朝日新聞論説委員


お申込方法: 
参加申込書にご記入の上5月30日(木)まで、以下宛先までご送付ください。
icrc.symposium@gmail.com 
by africa_class | 2013-05-25 23:39 | 【記録】講演・研究会・原稿

国際コモンズ学会(@富士吉田6月3日~)"Law and Land Grabbing - Mozambique"

これが最後の・・・はずです。
平和学会の報告申し込まなくてよかったです・・・。

それにしても、この分野、ドイツの研究者の注目が凄いです。
ドイツでの研究も、結局この分野での成果発表を求められた結果です。
去年9月にこのテーマで論文を書き始めた時には想像だにしていなかった・・・ことです。
このブログでも何度も研究したい学生さんを呼びかけましたが、誰もいないので自分でやるしかない・・・状態が、良かったのか悪かったのか。しかし、世界的には、こんなにニーズがあったのですね。

でも、2月の福島の報告・討論会で、水俣の先生が、「専門家がいない・・・と嘆かず、自分で専門家になるのだ。出来るから」とおしゃっていたことに背中を押されています。がんばりましょう。

話の内容は国際土地問題学会と同じですが、議論する仲間と場が違うので、かなり議論は深くなると思うので、内容はコモンズ(共有資源)のことに引き付けて検討しなければなりません・・・・が、準備が。。。

なお、この学会世界中から研究者や実務家が結集します。ブラジルの研究者からも既に連絡もらっており、是非フィールドトリップなどもあるのでご参加ください。

しかし、未だに発表の日時が分かりませんが・・・。多分、4日か5日になります。
http://iasc2013.org/en/program.html

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14th global conference of the International Association for the Study of the Commons
http://iasc2013.org/jp/
国際コモンズ学会第14回世界大会(富士吉田)

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 コモンズとは、もともとイギリスの共有地のこと。ただ今日では、広くさまざまな「共有資源」をさすようになっています。国際コモンズ学会は、共有資源の適切な利用・管理のありかたを理論的・実践的に探る学会です。
 共有する資源を適切に管理する方法には、これまで二つの異なる考えがありました。国家権力による解決と市場原理による解決です。誰にとっても大切な資源だから、公的機関が中央集権的に管理すべきという考えと、逆に民営化し、市場で適切な価格をつけることにより、無駄な利用をやめるようにすべきという考えです。
しかしながら、公的な管理と私的な管理はいずれも万能ではありませんでした。資源をめぐる利害の対決や不公平は、自然の荒廃と、人々の間の経済的格差、先行き不確実な社会を生んでしまいました。
 国際コモンズ学会では、国家でも市場でもない第三の解決方法があると考えています。それが、地域の人々による共的な管理です。ある特定の資源に関わる当事者が、自ら自主的にルールを定め、資源を利用してゆく方法です。国際コモンズ学会の初代会長であるエリノア・オストロム教授は、地域の人々が自主的に資源を利用・保全してきた世界中の事例にもとづく研究により、この第三の解決方法の可能性を示し、2009年にノーベル経済学賞を受賞しました。受賞論文では世界のさまざまな事例とともに、日本の北富士地域の入会制度のことが大きく取り上げられています。
 資源を大切に長く利用しようとした先祖から伝わる精神。ともすれば忘れがちなこの精神について、ノーベル賞の端緒となったここ北富士の土地で開かれる大会を通じて、より多くの人々とわかちあいたいと私たちは考えます。

■参加するパネル
"Law and Land Grabbing: Law for Commerce or Commoners?"
(Large-scale land acquisitions, resource grabbing, legal and regulatory frameworks)

●ORGANIZER and Co-CHAIR
Dr. NEEF Andreas (Kyoto University)
Dr. ALDEN WILLY Liz (Consultant, Kenya)

●Presentation
Dr. BRÜNTRUP Michael (German Development Institute:DIE)
Dr. FUNADA CLASSEN Sayaka (Tokyo University of Foreign Studies)

This panel will report from a pre-IASC-conference meeting on “Legal and Development Implications of International Land Acquisitions” to be held from 30-31 May 2013 in Kyoto. The meeting will be jointly organized by the Graduate School of Global Environmental Studies, Kyoto University, and the Law and Development Institute, University of Manchester. We will look at resource grabbing by investors in alliance with national governments and its impact on commoners and the commons from a law and development perspective. It will be argued that whilst large-scale acquisitions for industrial agriculture and extractive purposes impact upon smallholder farming and food supplies, they will over time most dramatically impact upon the lands and resources which poor rural communities around the world hold and use on a communal basis, but usually without the benefit of protective law. The medium and longer-term impacts upon the future of commons and commoner rights will be carefully considered. Another focus of the panel will be upon the reawakening of the stressed relationship between community-derived customary land law and national land legislation as a mirror of long-unresolved contradictions in modes of social transformation and growth. Another will examine the way in which the international donor community becomes entangled in processes of expropriation and resettlement as midway actor in contested growth strategies. Questions around the role of international law and guidelines will be scrutinized. More broadly, the aim of the panel is to locate the current grab as integral to expanding capitalist transformation and unlikely to recede. Focus therefore will be upon practical measures of mitigation. To examine these matters the panel will deliberately bring to bear trends in selected African and Asian countries to demonstrate the commonality of the plight of the commons and commoner rights, and the need for equally global approaches to meet the challenges.
by africa_class | 2013-04-27 22:19 | 【記録】講演・研究会・原稿

土地問題国際学会@京大(5月30日)"Land Acquisition by Foreign Agribusiness in Mozambique-ProSAVANA"

自分でも理解しておくために・・・掲載しておきます。
が、大丈夫なんでしょうか・・・私。
頼まれたからとはいえ・・・あと一個あります。

国際学会(2013年5月30日ー31日)@京都大学
"Legal and Development Implications of International Land Acquisitions"
http://www.lawanddevelopment2013.org/
京大Graduate School of Global Environmental Studies
http://www.ges.kyoto-u.ac.jp/cyp/index.php?ml_lang=en
マンチェスター大学Law and Development Instituteとの共催です。
http://www.lawanddevelopment.net/

■プログラム
http://www.lawanddevelopment2013.org/index.php/program
アフリカにおける土地争奪問題の専門家が基調講演するほか、世界中の土地争奪問題が議論されます。

■基調講演
"The Law and Land Grabbing - Friend or Foe?"
by Liz Alden Wily, Independent Land Tenure Specialist, Nairobi, Kenya

■全体セッションⅡでプロサバンナを取り上げます。
“Competing Frameworks and Perspectives on Land Property and Land Markets”

1. "Indigenous People in Latin America and the Right to Non-Renewable Natural Resources: The Bolivian Case"
by Lorena Ossio Bustillos, Max-Planck-Institute for Social Law and Social Policy, Germany

2. "Land Acquisition by Foreign Agribusiness in Northern Mozambique through Triangular Cooperation with Japan and Brazil: An Analysis of Shifting Discourses"
by Sayaka Funada-Classen, Tokyo University of Foreign Studies, Japan

3. "Large-Scale Land Acquisition in Sub-Saharan Africa: Evaluating the Policy-Practice Divide"
by Laura German, University of Georgia, USA

■自分の要旨だけ掲載しておきます。
"Land Acquisition by Foreign Agribusiness in Northern Mozambique through Triangular Cooperation with Japan and Brazil: An Analysis of Shifting Discourses"
by Sayaka FUNADA CLASSEN

This presentation will examine the much debated characteristics and background of the “Triangular Cooperation for Agricultural Development of the Tropical Savannah in Mozambique”, the so-called “ProSAVANA” program, signed jointly by the governments of Japan, Brazil, and Mozambique in 2009. This programme has been criticized by local farmers’ and civil society organizations due to its possibility of land-grabbing by foreign investment and for the top-down process of project planning and implementation. This presentation seeks: (1) to analyse the discourse and the arguments observed in public documents and discussions of Japanese planners and promoters of the programme; (2) to examine – based on the voices of the local civil society – the social and cultural characteristics of Northern Mozambique and preceding cases of land grabbing observed in Brazil and other African countries; (3) to highlight the characteristics and the challenges concerning the present predominant discourse of development and assistance.
by africa_class | 2013-04-27 21:15 | 【記録】講演・研究会・原稿

アフリカ学会@東大(5/26)「グローバル下アフリカにおける農業投資とODA~セラード開発とプロサバンナ」

続けて、日本アフリカ学会での発表要旨を掲載しておきます。
日本アフリカ学会は、2013年5月25日ー26日まで、東京大学駒場キャンパスで開催。
詳細→http://www.jaas50.com/
参加費はかかりますが(学生3000円)、沢山の発表があって本当に面白いです。

私の発表は、26日(日)午後です。
プログラム→http://www.jaas50.com/zantei.pdf

本報告は、近刊の本の一章に基づきますが、最近のブラジル・セラード開発に関する学術論文も追加で参考にします。なお、同章の中身については、英語・ポルトガル語版がダウンロード可能です。
"Analysis of the discourse and background of the ProSAVANA programme in Mozambique – focusing on Japan’s role" (2013 Jan.)
by Dr.Sayaka FUNADA CLASSEN
【英語版】http://farmlandgrab.org/post/view/21574
【ポルトガル語版】http://farmlandgrab.org/post/view/21802

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グローバル下アフリカにおける農業投資と政府開発援助の一考察
~セラード開発とプロサバンナ事業の比較から

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舩田クラーセンさやか(東京外国語大学 准教授)

Analysis of Agricultural Investment and ODA in Africa under Globalization
-focusing on the Cerrado development and ProSAVANA-
Sayaka, FUNADA-CLASSEN (Tokyo University of Foreign Studies)

「長い16世紀」に開始したグローバリゼーションは、冷戦終結から二十数年を経た現在、世界中の人びとの日々の生活レベルにその影響を及している。その影響の濃淡やあり方は、国や地域、集団や人びとによって大きく異なるとはいえ、「影響が及んでいる」という点についてはおおよそ同意が得られるであろう。
植民地支配や資本主義経済の流入後も、その「周縁性」によりある程度は自律的な生活を営むことが可能であったモザンビーク北部農村地域であるが、近年の加速化する外国からの投資(鉱山・農業開発)によってこの地域も大きな影響を受け、地域住民、とりわけ小農らは、様々な課題に直面している。なかでも、外国企業等による土地の争奪(land grabbing)が急速に進行し、各地で地元農民から土地が奪われる事態が発生している。

同様の事態は、世界中とりわけアフリカで急速に進んでおり、各地で農村住民の異議申し立てが観察されている。中でもモザンビークは、世界第二位の土地取引件数と面積が報告されており(LandMatrix2012)、土壌が良く水もある北部がターゲットとなっている。

そんな中、日本政府とブラジル政府は、「熱帯アフリカ農業開発の促進」を掲げ、モザンビーク北部で大規模な農業開発を行う「プロサバンナ事業」を、モザンビーク政府とともに開始した。これに対し、2012年10月11日、モザンビーク最大の農民組織・UNAC(全国農民連盟)は、プロサバンナ事業への抗議声明を発表した。

以上を踏まえ、本報告では、モザンビーク小農の異議申し立ての根底にある現在の「農業投資」がアフリカで引き起こしつつあるいくつかの課題について、同事業がモデルとするブラジルで行われた大規模農業投資事業(セラード開発)との比較によって考察する。本報告は、次の手順で行われる。

1.世界的な農業投資の加速化とアフリカにおける土地収奪問題の概要
2.モザンビークにおけるプロサバンナ事業への農民組織の異議申し立ての概要
3.ブラジル・セラード開発による先住民への影響の考察
4.以上に基づくモザンビーク北部小農へのインプリケーション

本報告がベースにするのは、1.については統計資料や国際機関の報告書、2.農民組織の声明や筆者によるインタビュー結果、3.セラード開発に関するブラジルの先行研究(特に、先住民や小規模あるいは土地なし農民への影響に関するもの)である。

結論は次のようなものである。
現在、「アフリカの食料問題の解決策」と称して大規模な農業投資や農業開発援助が必要と叫ばれている。G8サミットの”New Alliance for Food Security and Nutrition”等がその例である。そこで念頭におかれているのは、ブラジル・セラード開発に象徴される大規模開拓と機械化を前提とする農業投資である。

日本ではその「成功」ばかりが事業推進者らによって主張されてきたが、ブラジルの学術的な先行研究の知見に基づき、同事業が小規模あるいは土地なし農民にもたらした「負の遺産」を十分議論し、その教訓に基づいて現在のアフリカへの「適応」について再考されるべきと考える。
by africa_class | 2013-04-27 20:52 | 【記録】講演・研究会・原稿

国際開発学会(6月8日@宇大)「原発事故から2年、TICAD Vの年に問直す開発と発展~投資/援助と農民主権」

何故こういうことになったのか未だに不明なのですが、5月24日~3週間の間に、何故か4つの学会で研究報告をしなければならず(誘われたのを受けていったらそういうことに)、、、。一個ずつ紹介する余裕がある時に紹介していきます。ネタは全部似たもので・・・すみません。

まずは、国際開発学会第14回春季大会の企画セッション。
コーディネイターは、龍谷大学に移られた西川芳昭教授です。
http://kokutvkaigi.mine.utsunomiya-u.ac.jp/jasid14/schedule.html

本企画セッションは公開企画で、一般の方も無料で参加が可能です。
ただ2時間枠で4人発表なので議論の時間が十分取れないため、「続編」を翌日同じ会場にて、10時~正午まで「続編」を開催します(詳細は末尾)。ふるってご参加ください。

311後の日本で考える「開発」と「発展」・・・・是非ご一緒に。

********************
■原発事故から2年、第5回アフリカ開発会議(TICAD V)年に問い直す開発と発展
「アフリカにおける経済成長と内発的発展~グローバル農業投資と農民主権」


【主催】TICAD市民社会フォーラム(TCSF)有志・大会実行委員会
【共催】宇都宮大学国際学部附属多文化公共圏センター 
【協力】JASID「原発震災から開発・発展を考える」研究部会

●報告者 (座長:大林稔)
1.「311以後の東北農業~農民を根なし草にしようとする政策と抵抗する農民」(谷口吉光、秋田県立大学地域連携研究推進センター)
2.“Legal and Ethical Implications of Land Grabbing"(アンドレアス・ニーフ、京都大学)
3.「農業投資と農民主権~種から考える」(西川芳昭、龍谷大学)
4.「農業開発援助と農民主権~モザンビークを中心に」(舩田クラーセンさやか、東京外国語大学)
■コメンテイター 
・熊代輝義(JICA農業農村開発部長)
・西川潤(前国際開発学会会長)

■企画セッションの趣旨と意義
未曾有の被害と苦悩をもたらした東日本大地震、そして原発事故発生から2年が経過した。日本に暮らす我々の間でも、従来の経済成長を目指す「開発」への疑問が深まりつつある中、本国際開発学会においても「原発震災から再考する開発・発展のあり方」部会が設置されるなど、「開発と発展」の見直しが行われつつある。

さらに、本学会の学会誌『国際開発研究』最新号(Vol.21 No.1/2 2012年11月)では、「開発/発展をめぐる社会学の位相」が特集され、佐藤寛・現学会長によっても「開発と発展」をめぐる議論に立ち戻る重要性が喚起される一方、小倉充夫による巻頭論文では援助研究に留まらない世界的政治経済構造と主体のせめぎ合いから「開発と発展」を考えるべきとの提言がなされている 。また、学会企画として出版された『開発を問い直す』においては、西川潤・前学会長が「開発=成長パラダイムの問い直し」を提起するとともに 、現佐藤会長が、近代化経験を「内発的発展」の視点から振り返ることが日本のみならず途上国にとって重要であることを示唆してきた 。

本年は、1993年から5年に一度開催されてきたアフリカ開発会議(TICAD)の第5回目が横浜市で開催される年にあたる。また、開発援助の風景を大きく変えたミレニアム開発目標MDGsのターゲット年が2015年に迫り、ポストMDGsの議論も平行して行われており、同目標の主要対象地域がアフリカとなっていることからも、TICAD VでもポストMDGsの議論が取り上げられる見込みである。

2000年代より、日本の開発援助は、アジア・南米地域から急速にアフリカ地域へとシフトしているが、アフリカは経済成長が目覚ましい一方、経済格差が広がり貧困者の割合は成長に見合った変化には至っていない現状にある。今、アフリカで何が起こっているのか、それは世界的政治経済構造とどのように関係するのか、地域に暮らす人びとは何を願いどのように生きているのか、構造と主体のせめぎあいの結果社会はどう変化しているのか、このような構造と当事者の変化を受け、開発援助はどのように関わるべきか。

以上の問いは、『国際開発研究』での議論を受けて提起されているだけでなく、冒頭にあげた東日本大震災に伴う原発事故後を生きる日本の我々にとって、アフリカを主要テーマにしつつも「開発と発展」を問い直す上で重要な問いだと考える。

そこで、TICAD Vの翌週に企画される本大会では、原発事故後の日本における開発への問い直しの地平に立ち、経済成長が目覚ましいアフリカの開発と発展を、参加者と共に根底から考える機会としたい。

時間が限られていることもあり、本企画において中心的に取り上げるのは、2007-2008年の食料価格高騰以来アフリカ地域に集中的になされているグローバルな農業投資の問題である。サハラ以南アフリカの圧倒的多数の住民が小規模な農業に従事する中で、このような投資の影響は、地域社会にあらゆる変化を及ぼしつつある。この変化について、世界的政治経済構造を踏まえた上で、内発的発展、とりわけそこに暮らし生きる農民主権の視点から、土地、種、食料について焦点を当て、問題提起・考察する。

なお、冒頭に日本で内発的発展の視点から農民の声を聞いてきた研究者の発表を置くことで、議論を「遠い他者としてのアフリカ」あるいは「我々日本の援助」の問題にとどめず、同時代の世界に生き、形は違うとしても世界的政治経済構造の変化と主体のせめぎあいの中で生きる我々自身の問題として、「開発と発展」の議論をひらいていく試みとしたい。


■「【続編】原発事故か ら2年、第5回ア フリカ開発会議(TICAD V)年に問い直す開発と発展」

*学会時間枠では議論の時間が限られているため、翌朝同じ会場にて「開発」と「発展」について議論を深める機会を設けたいと思います。詳細は 次の通りです。前日したい議論が出来なかった皆さん、別のセッションで参加できなかった皆さんも、是非ご参加ください。

○日時:6月2日(日)午前10時~正午
○場所:宇都宮大学 大学会館(前日と同会場)
○モデレーター:大林稔+西川芳昭
○前日報告・コメンテイター:西川潤、谷口 吉光、舩田クラーセンさやか
○参加自由・申込み不要。直接会場にお越しください。

【主催】TICAD市 民社会フォーラム(TCSF)有志・大会実行委員会
【共催】宇都宮大学 国際学部附属多文化公共圏センター
【協力】JASID「原 発震災から開発・発展を考える」研究部会

(注)
 小倉充夫「開発社会学の軌跡と地平」(7-9頁)「(前略)開発研究という分野は今日の途上国の、しかも「開発する」という問題に限定される傾向が深まっていったと思われる。挙句の果てに、開発に関する議論の多くが開発援助がらみになっていったのではなかろうか。このことには積極的な面もあろうが、他方で、近代以前の資本主義発展の文脈と関係なく、時に表層的に考察されることが多くなったという印象が強い。(略)いうまでもなく今日の途上国の開発も世界的な社会経済の構造や展開と不可分な関係にある。ところが、Developmentに対応する日本語には開発と発展という二語があるため、かえて開発と発展を切り離して考える傾向が生じたのではないだろうか。」
西川潤「イントロダクション 開発の問い直しはなぜ必要か?」西川潤・下村恭民・高橋基樹・野田真里編著『開発を問い直す―転換する世界と日本の国際協力』(日本評論社、2002年、1-27頁)
佐藤寛「日本の開発経験と内発的発展論」西川潤・下村恭民・高橋基樹・野田真里編著『開発を問い直す―転換する世界と日本の国際協力』(日本評論社、2002年、253-268頁)

事前に、これも是非ご覧いただければ。
■援助・開発関係者が読むべき論考:「開発社会学の軌跡と地平」(小倉充夫)「開発/発展」をめぐって
http://afriqclass.exblog.jp/17202555/
by africa_class | 2013-04-27 02:10 | 【記録】講演・研究会・原稿

3月30日14時「日本の援助はいまアフリカで何をしているのか?プロサバンナ事業から考えるODA」@関学梅田

関西の方々にお招きいただきました。若者との討論を用意してもらいました。権利ベースアプローチの専門家である川村先生もご一緒です。是非。

==============================
      日本の援助はいま、アフリカで何をしているのか?
モザンビーク・プロサバンナ事業から考える、ODAの過去・現在・未来
            【3/30・大阪梅田】
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【日時】2013年3月30日(土)14:00~16:30 ※13:30受付開始
【会場】関西学院大学 大阪梅田キャンパス 1407教室
   (大阪市北区茶屋町19-19 アプローズタワー14階)
    http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/   
【会費】無 料(モザンビーク現地農民への活動支援カンパ歓迎します)
【発題】舩田クラーセンさやか(東京外国語大学教員)
【討論】川村 暁雄(関西学院大学教員、関西NGO協議会提言専門委員)
    今泉 奏(大阪大学外国語学部生、TICAD V学生プロジェクト)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【ごあんない】
 今年6月横浜市で「第5回アフリカ開発会議(TICAD V)」が開かれます。この会議は、1993年の第一回開催以来、日本の対アフリカ関係の大方針を決める上で重要な役割を果たしてきました。一方、昨今は中国、韓国、インドなど、アジアの新興ドナーも「アフリカ・サミット」を開催するようになり、TICADは新たな存在意義の模索を迫られています。

 近年、アフリカ開発において最も大きな注目を集める課題の一つに、「農業投資」と「土地争奪」の問題があります。2007~08年の世界的な食料価格高騰をきっかけに再び課題に転じたアフリカの食料問題。この対応策として、アフリカ農業への国際的な投資・支援の必要性が叫ばれていますが、対アフリカ「農業投資」の中には、外国への食料調達を目的に、現地農民から土地を収用するものが含まれており、生計手段を奪われた農民による大きな抗議行動が各地で発生、政情不安の引き金になっています。

 日本政府もブラジルとの協力のもと、2009年より政府開発援助(ODA)でモザンビークに対する大規模な農業開発支援(プロサバンナ事業(※))を進めていますが、現地の農民組織やNGOが、当事者への十分な説明がないまま計画が進められていることに強い懸念を表明し、先日はその代表者が来日して各地で問題を訴えました。

※発題者によるプロサバンナ事業の詳細
 http://afriqclass.exblog.jp/i38/

 急激なグローバル化と、大規模ODAプロジェクトに直面するアフリカ小規模農民の現状を共有し、今アフリカで何が起きているのか、小農はどのように暮らし何を求めているのか、日本の我々はどのように関わるべきなのかについて、みなさんと一緒に考えたいと思います。
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【発題者紹介】
舩田クラーセンさやか(ふなだ・くらーせん・さやか)
 http://www.tufs.ac.jp/ts/society/africa/

 東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授。専門は、国際関係学とアフリカ地域研究。研究と社会活動の両面からアフリカに関わり、モザンビークをはじめアフリカ市民社会とのネットワーキング、アフリカに関する政策提言を行ってきた。
 東日本大震災後は、東京電力原発事故を受けて「福島乳幼児妊産婦ニーズ対応プロジェクト」を立ち上げ、600世帯を超える福島内外の乳幼児・妊産婦家庭のサポート活動に携わる。

※発題者より一言
「311後の現在と今後、私たちの世界との関係、私たちの社会自身を問い直し、共に語り合う場に出来ればと思います。」
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【主催・お問い合わせ】
「日本の援助はいま、アフリカで何をしているのか?」実行委員会
 〔メール〕oishii_mirai(@)icloud.com

【共催】モザンビーク開発を考える市民の会
【後援】(特活)関西NGO協議会
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by africa_class | 2013-03-19 14:01 | 【記録】講演・研究会・原稿

書評会『現代アフリカと国際関係ー国際社会学の地平から』(3月28日)を開催します

やっと重要校務終了。連日缶詰です。
以下、ご案内を失念しておりました。是非お越しください。
何度かご紹介させていただいている小倉充夫先生にもお会いできる!
◆援助・開発関係者が読むべき論考:「開発社会学の軌跡と地平」(小倉充夫)「開発/発展」をめぐって
http://afriqclass.exblog.jp/17202555/

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新刊本書評会『現代アフリカと国際関係ー国際社会学の地平から』
「日本アフリカ学会関東支部例会」「アフリカ史研究会」
東京外国語大学アジアアフリカ言語研究所・共同研究
「アフリカ史叙述にかんする研究」
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■日時:2013年3月28日 14時30分~17時30分
■場所:東京外国語大学本郷サテ ライト 5階セミナー
(文京区本郷2-14-10)
■アクセス(場所が大変分かりづらいので必ずご確認の上お越しください):
東京メトロ丸ノ内線:本郷三丁目駅(M21) 2番出口下車徒歩3分
http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html
■参加:無料・申込み不要
■内容:
『現代アフリカと国際関係ー国際社会学の地平から』
(小倉充夫編:有信堂2012年)
目次:http://www.yushindo.co.jp/isbn/ISBN978-4-8420-6583-0.html
●発表者:
 小倉充夫、舩田クラーセンさやか、眞城百華、網中昭世
●コメンテーター:
・永原陽子(東京外国語大学 アジアアフリカ言語文化研究所)
・武内進一(アジア経済研究所)
■主催者:
日本アフリカ学 会関東支部 
■共催者:
アフリカ史研究会
東京外国語大学アジアアフリカ言語研究所・共同研究「ア フリカ史記述にかん
する研究」
■問合せ先:
*
(東京外大 舩田研究室)

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by africa_class | 2013-03-13 18:34 | 【記録】講演・研究会・原稿

講演会:3・11後の国際協力人材育成とは~アジア・南米・アフリカでの過去の教訓から(1月10日@立教大)

11月の明治学院大学での連続報告会に触発されて、立教大学での講演会でも「セラード開発(ブラジル)」と「プロサバンナ(モザンビーク)」について取り上げられることになりました。講師でまいりますので、もう少し詳しく話が聞きたいという方は是非どうぞ。
 それにしても、とてもタイムリーでいい企画だと思います。「過去の教訓」から学ぶことこそ、311後の日本の社会全般が、市民社会も含め求められていることですので。21世紀も12年が経過し、どのような国際協力を日本としてやっていくのか、「どこの誰とどうつながっていくべきなのか」真剣に考え、議論して行けたらよいですね。特に、学生の皆さんに参加してほしいと思います。
 しかし、いずれの事業主体でもあるJICAさんが出ないのは非常に残念ですねえ。どうしてでしょうねえ。まさか公開討論が嫌・・・とか?こういう機会こそ、持論を公に展開する絶好の機会なのに・・・本当に勿体ないです。

【立教大学当該イベントのHP】
http://www.rikkyo.ac.jp/events/2013/01/12004/
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グ ローバル人材育成センター開設準 備室主催公開講演会
「3・11後の国際協力人材育成とは~アジア・南米・アフリカでの過去の教訓から考える~」
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1954年にビルマ (ミャンマー)で始まった日本の政府開発援助(ODA)は、これまで世界100カ 国以上で展開されてきました。 しかし、2011年の東日本大震災を受け、これまで援助する側にいた日本は大規模な援助を受ける側となり、国際協力の新しい時代を迎え、これまでの国際協 力について、課題や在り方があらためて問い直され始めています。21世紀の現在、国際協力を通して平和 な世界づくりに貢献してい くために、日本の大学はどのような人材育成に取り組んでいくべきでしょうか。過去の経験から学ばず理想論を追い求めるのではな く、これまでの日本の援助を多様な立場の方々と共に振り返りながら、皆さんと一緒に考えていきましょ う。スピーカーに開発援助機 関、現地と日本の市民社会、学生の方を迎え、来場者の皆さんと共に考えながら「3・11後の国際協力の人材育成」に関する提言を まとめていきます。
■日時 :2013年1月10日 (木)18:20~20:30
■場所 :池袋キャンパス 太刀川記念館3階 多目的ホール
■講師 :
秋元 由紀 氏 (特定非営利活動法人メコン・ウォッチ/ビルマ情報ネットワーク)
印鑰 智哉 氏(株式会社オルター・トレード・ジャパン)
舩田クラーセンさやか 氏(東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授) 
※その他、国際協力機関職員(調整中)、立教大学生2名も登壇する予定です。
【ファシリテーター】
米川 正子(本学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授)
対象者 本学学生、教職員、校友、 一般
※申込不要、入場無料
問合せ先 グローバル人材育成セン ター開設準備室 
by africa_class | 2012-12-31 19:33 | 【記録】講演・研究会・原稿

出版報告『現代アフリカと国際関係ー国際社会学の地平』、後書きを掲載しておきます。

紹介する間がありませんでしたが、今日出版のお祝いを編者の小倉充夫先生と後輩たちとしてきたので、忘れないうちにと思い、アップしておきます。
 そして、私が書いた後書きを末尾に貼り付けておきます。これ校正前のバージョンなので、よりよい日本語は原文をご覧ください。本に込めた著者らの思いや狙いが伝わるとよいな、と思います。
 (私は自分の論文を授業で絶対使わないのですが、後輩たちに説得され使ってみました。そしたら、見事に伝わってなかったようなので、後書きを読んでもらったら、だいぶ伝わりやすかったようなので、掲載してみました。本だけ読んで伝わる・・・ことを目指して書いたつもりですが、まだまだ修行不足のようです!)

小倉充夫編
『現代アフリカ社会と国際関係ー国際社会学の地平』(2012年有信堂)
眞城百華、舩田クラーセンさやか、網中昭世、セハス・モニカ

主要目次
序章 現代アフリカと国際関係――課題と方法
第1章 民族の分断と地域再編――ティグライから見たエチオピアとエリトリアの100年
第2章 「解放の時代」におけるナショナリズムと国民国家の課題――ルワンダを事例として
第3章 植民地支配と現代の暴力
第4章 国家・社会と移民労働者――南アフリカ鉱山における労働者の協調と分断
第5章 南アフリカにおける女性と市民権
第6章 変化する都市住民の特性と青年層
第7章 多民族国家における言語・民族集団と国家形成

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あとがき

 アフリカと世界の19世紀末から現在まで、120年間にもわたる旅も後少しで終わりとなりました。本書を最後まで読んでくださった読者の皆さんは、北東アフリカのエリトリア・エチオピアで幕を開け、中央アフリカのルワンダを通って、南部アフリカのジンバブウエ、南アフリカ、モザンビークを回って、ザンビアで終わりを迎えた本書の旅を、どのように感じているところでしょうか。
 もちろん、アフリカは広く、多様で、そこに暮らす人びとも、その抱える困難や希望も、生きてきた歴史も様々です。本書がその多様性をすべてカバーするだけの地域や国、主体について記せたとは到底思いません。そもそもそれは本書の狙いではありませんでした。
 むしろ、本書でわたしたち著者が試みたのは、アフリカの多様性や現実の一端を示しつつも、現代アフリカと世界が相互に結んできた関係性をとらえることでした。これは、序章に示された次の二つの論点に集約されています。

「アフリカにはそもそも近現代世界の矛盾が集約してあらわれる。」
「アフリカと国際関係という場合、アフリカはほとんどの場合、外部からの影響を受ける客体として捉えられてきた。(略)大国の客体となりがちであったアフリカが国際社会に影響を及ぼす主体として登場してきた。」

 アフリカやそこに暮らす人びとを、近現代世界が与えた過酷な条件にただ翻弄されてきた人びととしてではなく、それを乗り越えるための試みを繰り返してきた主体としてとらえること。そして、これらのアフリカの主体が、世界の構造を問い直す力をもち、現在もそのような機会を世界に与え続けていること。このように、アフリカを通して見えてくる世界や国際関係を描こうとしたのが本書でした。

 「アフリカの年」から60年以上が過ぎました。内外の諸条件とのせめぎあい、限界と可能性のはざまで、アフリカ各地の多様な人びとが示し続けてきた姿に、わたしたち自身、多くのことを学んできました。そうした人びとのなかには、このように歴史を通して「出会った」人びともおれば、実際にアフリカで出会った人びともいます。各地の研究者や研究機関の職員、協力してくれた政府関係者、そしてなにより調査の過程で受け入れてくれた町や村の人びとなど、実に多くの人たちの助けを借り、それぞれの章の執筆は可能となりました。また、かつて、わたしたちが集った大学での出会いにも感謝したいと思います。刻々と変わる現地事情のスピーディな把握と発信が期待される昨今の時流に、ともすれば反するようなわたしたちのアプローチが可能だったのは、同じ大学での密度の濃い時間と空間のお蔭でした。
 今起きている現象が、どのような歴史的土壌の中で育まれてきたのか、主体と世界の構造の両方から迫るこのアプローチは、同じ大学で同じ時空間を共有した研究仲間たちとのやり取りの中から生まれてきたものでした。その多くが、アフリカあるいは国際社会学以外を専門とする方々であり、(アフリカ以外の地域を専門としされながらも国際関係学という共通のディシプリン項に基づいて議論を交えた)これらの皆さんからの鋭い指摘や温かい助言がなければ、本書はもっと違ったものになっていたでしょう。「現代アフリカと国際関係」という二つの大きなテーマを併記したタイトルを掲げるという大胆な挑戦に至ったのも、以上の皆さんとの交流の結果でした。本書が、同じ大学の仲間たちだけでなく、広い層の皆さんからの忌憚のないフィードバックが得られることを、著者一同心から楽しみにしています。
 最後に、様々な要望を聞き入れ、かつ細かいところまで目配りしてくださった編集者(小野七重氏)に大変お世話になりました。この場を借りて心よりお礼申し上げます。

2012年7月吉日
著者一同
by africa_class | 2012-12-20 00:12 | 【記録】講演・研究会・原稿