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<   2013年 02月 ( 17 )   > この月の画像一覧

三角/南南協力の罠3~モザンビーク住民に暴動されるブラジル企業進出と日本援助(ナカラ回廊PJ)の関わり

続きです。こういうテーマ、日本ではなかなか卒論や修論で選ばないですね・・・。

先に以下を読んでから~。
■三角/南南協力の罠~BRICSが自らを「南」に位置づけ行動の自由を確保するメリットに関するJICA関係者の指摘から学ぶ
http://afriqclass.exblog.jp/17265850
■三角/南南協力の罠2~世界の議論(没政治性問題について)
http://afriqclass.exblog.jp/17274194/

日本では「ブラジル」がどのようなことを世界でして、どう見られているのか知られておらず、安易に「南南協力」、つまり「かつて貧しかった南の国であるブラジルが、今も貧しいアフリカの南の国を先輩として水平的に協力するんだ~」という「牧歌的」な理解が流布しています

これこそ、日伯連携を軸とするプロサバンナ事業の根っこの部分にある問題です。そもそも、日本が援助パートナーとしてブラジルと関わるのであれば、あるいはブラジルを日本の不可欠なパートナーとして位置づけ、一緒にアフリカに乗り込んでいくのであれば、こういうことも調べて知っておく必要があるのですが、「日本が手伝ったブラジルの成功」というストーリーでしか理解せず、進められないために、権力闘争である世界の地政学的現実から遠く・遠くなっていく一方

勿論アフリカ、モザンビークでも、中国企業の進出によって問題などが沢山生じています。そのことは、また別の機会で触れられればと思います。でも、現地では、中国企業への注目とともに、ブラジル企業の進出が大きく注目されています。モザンビークの研究所から、去年中国のモザンビーク進出の本が企画され出版されましたが、今年はブラジルのモザンビーク進出の本が出版さえることに、現地の注目度は象徴されています。

肝心なのは、日本の税金で中国企業のモザンビーク進出を応援しているわけではない・・・という点です。他方、日本は、プロサバンナ事業で、ブラジル・アグリビジネス企業のモザンビーク進出を税金で応援の予定です

なので、「日本との関わり」という点で、モザンビークにおいてブラジル企業がどのように振る舞っているのか、その結果住民にどのように見られているのか・・・は非常に重要な論点です。私は援助が外交のツールであるべきとは思っていませんが、百歩譲ってそう考えている人にとっても、日本の援助の枠組みでブラジル企業のモザンビーク進出を応援することは、外交上も変な話だと思います

なお、ブラジル企業のモザンビーク進出と関係しているのはプロサバンナ事業だけではありません。ナカラ回廊関連の他の日本の援助でも、ブラジルの企業の進出は関連づけて考えられており、関係者の話によると、逆にブラジル企業の進出とブラジル政府の援助との「相乗効果」を狙って、相互乗り入れが予定されています。皆さん、このことを知っていたでしょうか?

自分たちの思い通りにならない、ブラジルという第三国を入れた形で行われる援助。現地社会を十分知らないで行われる援助と共に、なんとも危ういものですね・・・。両方を知っている私からすると、まったくもって論外なスキームです。

1. テテ州でブラジル企業が鉱山開発と住民暴動
2. 日本の援助:ナカラ回廊プロジェクトとブラジル鉱山・企業・援助の関係

1. テテ州でブラジル企業が鉱山開発と住民暴動
2009年11月から2010年4月にかけて、モザンビークの最大級の炭鉱(テテ州)開発のために、ブラジルの鉱山会社Valeは、モアティズ郡の23,780ヘクタールの土地をモザンビーク政府から貸与され、これは1313世帯(5千人)の立ち退き・移転を招く結果となった。 移転後農民たちは沢山の問題に直面し、当初Vale社がしていた約束の大半は実現していないことが明らかに。

ここら辺の話は、以下の論文に詳しい。
Mosca, João & Selemane, Tomás. 2011. El dorado Tete: os mega projectos de mineração. Centro de Integridade Pública, Maputo, November 2011.
→http://www.cip.org.mz/cipdoc%5C106_EL%20DORADO%20TETE_Mosca%20e%20Selemane_CIP_2011.pdf

その結果、住民らが起こした冒頭についての報道は以下。
Hanlon, Joseph. (ed.). 2012. Protests against Vale coal mine relocations. MOZAMBIQUE 193 - News  reports & clippings. 31 January.
http://www.open.ac.uk/technology/mozambique/pics/d135466.pdf

Valeに対する暴動~鉱山のための住民移転問題
「(2012年)1月10日、テテ州の道路と鉄道を500を超える家族が封鎖した。それは、Vale社がモアティズの新しい炭鉱開発のために住民を移転した後に行うと約束していたことをしなかったからだ。これは1日にわたって続き、機動隊が招集され、14名が逮捕され、内9名が2日間拘留された。

当初政府は、住民の抗議に批判的に、警察のアクションを支持したが、23日になると、テテ州知事Alberto Vaquinaは、デモストレーターらの抗議は有効であると述べた。750の住宅のうち400までがきちんと建てられておらず、修繕が不可欠で、水や農業の支援も供給されていないと述べた。

そして1月18日Vale社の社員はようやく問題を認め、解決に動き出した。この問題はもう2年にわたって蓄積されたものであり、2010年4月には、小さな抗議が既に起こっていた。Vaquina知事は委員会を設置した。住民らの運動者は、2011年10月に政府や国会議員とマプートであっていた。12月20日には、移転先のカテメ村からVale社と政府に手紙が送られ、1月10日までに返事が要求された。しかし、何の回答もなく、したがって、道路と鉄道が封鎖された。

Vale社は、1月27日、ダボスの世界経済フォーラムにおいて、NGOらより、「最も悪い企業としてPublic Eye」賞を受賞した。その理由は、「繰り返しの人権侵害、非人間的な労働環境、自然の躊躇なき破壊」であった。

現在、「Vale社に影響を受ける民衆の国際ネットワーク・ International Network of People Affected by Vale (Articulação Internacional dos Atingidos pela Vale)」が立ち上がり、モザンビーク、ブラジル、カナダの労働組合や運動家らを統合している。

2. 日本の援助:ナカラ回廊プロジェクトとブラジル鉱山・企業・援助の関係
そして、このようなブラジル企業の進出と住民暴動、そして援助と日本は無関係ではありません。

■ナカラ回廊経済開発戦略策定プロジェクト
http://www.jica.go.jp/project/mozambique/002/index.html
期間:2012年3月2日から2013年12月20日
サイト:ナンプラ州、ニアサ州、カーボデルガド州、ザンベジア州北部7郡、テテ州 (面積約44万平方キロメートル)
「近年、ナカラ回廊地域を構成する北部のナンプラ州、ニアサ州、カーボデルガド州、ザンベジア州、テテ州のうち、テテ州における石炭等の天然資源開発、ナンプラ州、ニアサ州およびザンベジア州での広大な土地および豊富な水資源を活用した農業開発、さらに、天然の良港であるナカラ港が有する国際ゲートウェイとしての可能性など、これらのポテンシャルを基軸として、ナカラ回廊地域は、今後の経済開発・産業振興が強く期待される地域であると考えられています。(略)ナカラ回廊地域全体の開発規範(計画)がないまま、鉱業を中心とする民間レベルの投資が局所的に開発を牽引する形となっています。その結果、民間レベルの産業と自国およびドナー支援により整備されるインフラ施設の相互連関が確立されないまま開発が進められているほか、法的規制もなく虫食い状態の開発が進められています。この状況から、外国資本によるモザンビークの資源、労働力、土地の収奪、環境破壊といった様々な事態が懸念されています。こうした状況から、対象地域において実施されている民間投資活動、ドナー支援協力などの広大な地域において実施されている多様なプロジェクトの現状、プロジェクトの相互連関とその影響の有無、更なる開発ポテンシャルやリスクの潜在性、制約要因等を把握し、ナカラ回廊地域における適切な開発・投資の促進と持続的な経済発展のための全体像となる開発計画の策定が求められています。」

素晴らしい説明なのですが、現実問題、関係してらっしゃる方々に数か月前お会いした際、住民暴動のことはまったくご存知ではおありではありませんでした。ナカラ回廊の先っぽにある、ナカラ国際空港立地場所(これもブラジルの援助)で住民移転をめぐって抗議運動があったことも、指摘するまでご存知ではありませんでした。むしろ、テテのブラジル鉱山企業が自前で鉄道を敷くので、ナカラ鉄道を接続するのに協力するという話を熱心にされていました。

ナカラ回廊は、内陸部で鉱山開発をするブラジル企業にとって重要なルートなだけでなく、その回廊沿いにブラジルのアグリビジネスが農業投資を行ない、インフラもブラジル企業と援助の「官民連携」で整備していくことで「ブラジル産業の大動脈とする」ことを狙っているのですが、そこに日本も援助で、インフラ整備と農業投資の側面支援する・・・ということが当たり前に話されています。

勿論、ナカラ回廊沿いの鉄道や道路の改善も必要です。しかし、今モザンビーク北部で起きている現象は、まさに以上のナカラ回廊調査プロジェクトでしっかり「負の遺産」も含めて検証されなければならない点が沢山含まれています。

①鉱山開発であれ農業投資であれの土地奪取、
②住民移転をめぐる住民との協議の不足と移転後の問題、
③それによる住民暴動や不審、
④他国の一企業が鉄道といった公共インフラを輸出のために自力で用意し使うことへの国民の反発…等々です。

企業利益を優先するのか、住民の権利を優先するのか?という問いが、抜き差しならぬ状態で発生しており、「win-win」などという表面的な表現では表されない問題が「経済成長至上主義」の掛け声の中起こっています。

そのことを調査するのでなければ、そしてその上で「誰の何のため、誰とどう組んでこの地域の支援を行うのか?」を検討するのでなければ、この調査案件もまたどのような意味があるんでしょうねえ。

まあ、皆さんにヒントや資料を沢山提供していますので、どうぞ報告書等にしっかり入れ込んでくださればと思っています。私こそ、コンサルタント料もらうべきですよねえ・・・。な~んて。

「知は社会に帰属すべき」という理解のもと、今日もせっせと自分の得にまったくならないことばかり(逆に本当のことを書いているので、利益という点では非常に損?覚悟の上ですが)を書き散らしている私です。皆さんの何らかの役に立っていれば幸いです。
by africa_class | 2013-02-06 19:08 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

三角/南南協力の罠2~世界の議論(没政治性問題について)

毎日話題がコロコロ・・・変わっているのですが、私の一日はいつもこんな感じで進行ちゅう。昨夜は、上場企業の取締役さんとIT企業の社長さんと「耕作者」のおじさまと何故かバカラBaccaratにいた・・・のです。しかし凄いワインだった。あれは。まあ、それはいいとして。それは311以降止まってしまっている「社会的起業」を応援するプロジェクトとの関連で(何をしていたかは→http://afriqclass.exblog.jp/i21)。

さて本題。以下の投稿の続きです。
■三角/南南協力の罠~BRICSが自らを「南」に位置づけ行動の自由を確保するメリットの指摘から学ぶ
http://afriqclass.exblog.jp/17265850/

この三角協力・南南協力関係の研究は未だ始まったばかりで、第一人者である以下の二人が指摘するように、「実証研究」が不十分な状態にあります。なので、これも日本の研究者の皆さんの研究を促進するために、舞台裏をお見せしてしまいますので、是非どんどん研究・調査・分析に活用していってください。
<=取り組みたい人たちは世界ネットワークを紹介するので連絡を。なお、ここに書いていることは自由に使って頂いて構いませんが、論文等の中で利用する際は連絡ください。

なお、難しいのは、日本語で「三角協力」として推進されているコンセプトは、英語で、Tri-angularかTri-lateralか・・・という点です。以下の著者らは後者の立場をとていますが、私としては、あえてTri-partiesにしています。ここはもう少し熟考が必要かもしれません。

私のプロサバンナ事業に関する論考(三角協力についても言及しています)
→http://farmlandgrab.org/post/view/21574

1.Trilateral Development Cooperation: Power and Politics in Emerging Aid Relationships
by Cheryl McEwan and Emma Mawdsley Development and Change 00(0): 1–25.

2.The changing geographies of foreign aid and development cooperation:contributions from gift theory by Emma Mawdsley

特に、1.の論文はタイトルにあるように、「三角開発協力:新興諸国援助における権力と政治」に関するものであり、非常に的確な分析がされています。特に次の3ページの指摘は、私が自分のペーパーで述べたものと同様です。以下、1.だけ紹介しておきます。

"We suggest that the South–South dimension of the relationship is frequently constructed in depoliticized and essentialist terms, presenting a‘natural’ congruity between very different southern states. Policy-oriented analyses of TDC are generally reluctant to confront explicitly the inherently political nature of ‘development’ and the uneven power relations between different actors enrolled within it.

つまり、南南協力は構造として「非政治化」され、かなり異なる南の国々の特徴を「自然に(南の国だから)似通っているもの」という前提が提示されがちであるという点はその通りでしょう。非対称的な権力関係の軽視も指摘されています。面白いのは次のパラです。

The depoliticization of development, and assertion of supposedly universal norms and values, has long been identified by critics in relation to much mainstream North–South development. We extend these insights to TDC, and argue that critical theorists of foreign aid now confront power relations that are working through a more diverse set of actors within an increasingly complex ‘development’ arena."

開発の非/没政治化・・・が長年主流の南北開発に対する批判として行われてきたが、同じことを三角協力においても活用することできる。という点です。

で、三角協力の問題点
●OECD/DAC加盟国間にはるガイドラインが適応できない問題(パリ宣言との関係)(10ページ)
●複雑な関係や沢山の登場人物によるトランスアクションコスト(11ページ)
●貧困への没政治的アプローチの奨励(12ページ)*そもそも民主化・多元化促進へのパリ宣言の弱いベースよりもさらに後退させてしまう。
<=援助は外交のツールであることが多く、各国が別々の目標を抱いていることが多く、少なくともDACの中で議論され調整されてきた点(不十分ながら)すらも、尊重されない可能性が高く、それぞれの国の歴史や機構の在り方、政治文化に影響されがち。

「三角協力が、「水平的な協力」だという楽観的な見方には、注意が必要(13ページ)。」

そしてブラジルについて詳しく17ページから検討されています。
●ブラジルは国内に大きな貧困層を抱えている。しかし、国外にリソースを振り分ける事を、「利他的なリージョナル、グローバルパワー」と称して正当化している。BRICSの一員としての見せ方。
●特に、ポルトガル語圏諸国への協力によってそれを強調する傾向がある。
●しかし、そのリターンとして、貿易に関する合意、技術移転や外交得点を稼いでいる。
●左翼的思考によって特徴づけられた「南の一員として国際連帯のイメージ」を傷つけることなく、先進諸国と手を組むツールになっている。

その他、読めていないものの三角協力の関連研究でチェックしておかねばならないもの。
Abdenur (2007); AECID (2010); Altenburg and Weikert (2007); Chahoud (2008);Fordelone (2009); Kumar (2008); Mehta and Nanda (2005).
この三角協力の受け手の側でどのような影響があるのかについては、もっと実証的な調査分析が必要という指摘はその通りだと思います(Cabral and Weinstock, 2010)。

南南協力という言葉で、「権力関係」を抜きに考えることの危険は本当にその通りですね。
そして、その帰結の危なさを次の投稿に書き始めました。

■三角/南南協力の罠3~モザンビーク住民に暴動されるブラジル企業進出と日本援助(ナカラ回廊PJ)の関わり
http://afriqclass.exblog.jp/17274648/
by africa_class | 2013-02-06 17:14 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

三角/南南協力の罠1~BRICSが自らを「南」に位置づけ行動の自由を確保するメリットの指摘から学ぶ

さて、私の英語論文に対する世界からの反響(http://afriqclass.exblog.jp/17265600)の中に、「三角協力」「南南協力」に関するものが少なからずあったのでこれについて私の考えを述べておきます。また、JICA関係者自身が、「三角協力・南南協力」と呼ぶ問題について鋭く指摘しているので、それも紹介しておきます。
 詳細は、先程紹介した英語論文に根拠も含め示しているので是非全文を読んで頂きたいのですがhttp://farmlandgrab.org/post/view/21574、関連する部分だけ日本語論文(4月出版予定)の該当部分を抜粋しておきます。

 プロサバンナ事業は、現在の正式名称に「日本・ブラジル・モザンビーク」が入っており、現在は「三角協力」として宣伝されていますが、初発の狙いは「日伯連携」にあった点は既に述べた通りです。なので、今日はその論点ではなく、「三角協力」「南南協力」に焦点を当てます。なお、この案件は次のように宣伝されています。

<=「2011年末に韓国の釜山で開催された国際会議「第4 回援助効果向上のためのハイレベル・フォーラム(HLF4)」で米国クリントン国務長官に「有効な南南協力の事例」と言及(JICA,2012b:19)。」

 「三角協力」を理解する上では、「南南協力」と呼ばれる論理を理解する必要があります。何故なら、「日本がヨーロッパやアメリカ(北北)と協力してアフリカの国(南)を支援する」と言う場合は、「援助協調」と呼ばれてきたためです。なので、日本政府が「三角協力」という際は、「南南協力を日本が第三者的に促進する」ということが想定されてきました。

 南南協力促進の背景としては、色々なことが挙げられるのですが、論文であえて書いていない点だけ述べておくと、それは、日本の援助産業関係者(JICA内部、開発コンサルタント)等で、長年にわたりアジア・南米で活躍してきた人たちの「再活躍の場の確保」という点です。今回のプロサバンナ事業に如実に出ている点ですし、それ以前にも出てき始めていた点ですが、もはや援助を「卒業」してしまった国々での経験が豊富な人たちをどうするのか?という問題は、産業としての援助「業界」にとっては切実なものがあります。MDGsや緒方理事長の就任、TICADIV以降増えた対アフリカ援助の担い手が不足する中、アジア・南米との南南協力は、単にこれらの「援助卒業国」の活躍を後押しするというだけでなく、日本援助のアジア・南米関係者の活躍の場を確保し続けるという点でも重要性を持っていたのです。
 
 しかし、アフリカはあまりに多様で、アジアや南米との違いも大きいです。アフリカ畑を歩んできた専門家らには、やはり違和感も大きい点も多い。なので、いきなり「アフリカを知らない人たちがアフリカ専門家」になる道を目指すというよりは、「アジア・南米の成功をアフリカへ!」というスローガンのもとに専門家として関わる方がスムーズとなります。援助もまたこのように内的なメカニズムや論理で左右される部分が非常に大きいのが日本の特徴です。この点は、関係者へのインタビューで明確になった点ですが、誰にインタビューしたか書けないために論文には入れませんでした。

 さて、「南南協力」ですが、興味深いことに、JICA関係者自身が次のように書いています。凄く重要な指摘が沢山されているので丁寧に紹介します。(普通に考えて、ここまで指摘するなら最後の結論は??ですが)

■「農業分野における南南協力の可能性」窪田博之『国際農林業協力』 Vol.33 № 3 2010

【窪田2010】「4.伝統的ドナーの手を離れつつある南南協力の側面 一方で近年、南南協力の用語は徐々に広く利用されるようになっている。BRICS を筆頭として、少なからぬ「開発途上国」が経済力をつけ、技術面のギャップを縮め、興隆を契機に他の開発途上国への貢献、そして経済的利益追求の動きが政治的意図と合致して顕在化したことが背景にある。自らを「南」に位置づけることで行動の自由度を確保するメリットが存在するからである。」

<=BRICSは、ブラジル・インド・中国・南アフリカのことです。ブラジルが自らを『南』に位置づけることで行動の自由度を確保するメリットが存在することを、看破されています。

【窪田2010】「未だ自国内に貧しい農村地域を抱える少なからぬ先進「南」諸国が外交手段としての対外援助を国内で正当化するため、また、開発途上国グループのチャンピオンとしての位置づけを強調するために、南南協力というフレーズは利用価値がある。また、この数年顕在化してきた「南」とされている国によるアフリカ、南米などにおける土地と水を確保するアグレッシブな動きについては、伝統的ドナーの間で開発へのネガティブな影響を懸念する警戒感が広がっているが、援助と投資の合わさった資金の流れの一環として生まれる農業投資は、少なからぬケースでは南南協力の看板も掲げている。 」

<=すごい!!「南とされている国によるアフリカなどにおける土地と水を確保するアグレッシブな動きは、援助と投資のあわさってなされる農業投資は、少なくないケースで南南協力の看板を掲げている」と書かれています。これ2010年の出版で、プロサバンナが始まったばかりの時期に、セラードとプロサバンナの宣伝が載っている投稿と同じ巻号に掲載されているところが興味をそそられます。
<=そして、まさにブラジルの政治家やアグリビジネスが、プロサバンナ事業で現地訪問して、アグレッシブな動きを想起するような言動をしていることは、既に外紙などで報道されている通りです。これがつまり、2010年の時点で、JICA関係者に予見されていたのですが、内部で議論なかったのでしょうか?

【窪田2010】「恐らく、もはや伝統的ドナーが南南協力かくあるべし、と枠を設けようとしても、提供しようとする「南」側のロジックと勢いがそれを容易に上回る実態が既に生まれている。単なる調達行為の結果でも、後押しする側の開発支援のツールの一つでもなく、参入側自身が明確に外交的、経済的意味を持たせた行為として参入する意図が明確になってきているのだ。」

<=さらに凄いのは、「伝統的ドナー」(日本はそれにあたる)が南南協力はこうあるべき・・・としても南(ブラジルに該当)自身が明確に外交的、経済的意味を持たせた行為として参入」と書いています。つまり、日本が南南協力を自分の考えの枠内に収めて利用しようとしても、それを飛び出す野心と戦略をブラジルのような南の国が持っているという指摘です。
<=これは、JICA関係者が私に相談しに来た際に私の方から質問した点でもあります。どうやってブラジルを制御するのか?という点です。

【窪田2010】「こうした動きに対して、アクラ・アジェンダのように、行き場のなくなった開発コミュニティの議論で規範を課そうとすること自体、海流に抗って泳ぐようなものでしかないのであろう。」

<=「規範を課しても無駄」・・・まさにそう。

【窪田2010】「1)独自の方針に沿って動き始めた国々 独自の方針に沿って、自力で開発途上国支援を行う国々の代表格は中国であり、また世界最大級の農業研究開発機関を擁するブラジルであろう。こうした国が行なう南南協力との関係は、むしろ既存のドナーとの連携・協調の議論と類似のものになる。」

<=つまり、「南南協力=水平協力」ではないと窪田氏はいっているのです。「南北協力」と同様の議論が必要という。しかし、ここまで書いておきながら、プロサバンナ事業にはクリティカルではありません。

さて、先日来紹介したように、ブラジルの対モザンビーク協力については、現地研究者や市民社会から「帝国主義的」「従来の援助(南北協力)と変わらない」「南南という言葉に隠された欺瞞」が指摘されています(第三回IESE大会(2012年9月4日~5日)。

そして、その点で最も批判にさらされているのが、鉱山問題でしょう。
この先はまた明日。

やはり、「国際協力」と「国際連帯」の違いを明確に意識する必要がありそうです。

であれば、ますます、何故日本の税金で、ブラジルの外交・経済的野心を支援しなければならないのか、疑問が湧いてきますがこれは私だけ?

続編をいかに書きました。三角協力の没政治性に関する他の論文を紹介しています。
■三角/南南協力の罠2~世界の議論(没政治性問題について)
http://afriqclass.exblog.jp/17274194/
■三角/南南協力の罠3モザンビーク住民に暴動されるブラジル企業進出と日本援助(ナカラ回廊PJ)の関わり
http://afriqclass.exblog.jp/17274648
by africa_class | 2013-02-05 00:39 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

プロサバンナに関する英語論文への世界からの反響

昨日は福島の子どもたちの問題。前日はカフェモサンビコ、そしてプロサバンナ・・・目まぐるしい皆さん、申し訳ないです。根っこはすべて同じ問題。そこに暮らす人びとの「主権」「尊厳」の問題です。
 さて、英語論文がウェブサイトに掲載されてから、世界中から反響が凄くて驚いています。
(3つ追加しました。2月13日現在 *どんどん増えてるのですがたす暇がなく・・・)

■英語論文掲載場所
"Analysis of the discourse and background of the ProSAVANA programme in Mozambique – focusing on Japan’s role"
→http://farmlandgrab.org/post/view/21574

 以前から知っている研究者やNGOの方々の反応はよく知っていたのですが、知らない人たちからのメッセージには驚いています。みんなわざわざペーパーの著者に連絡取って来るものなんですね。

■掲載後すぐに寄せられたのは、ブラジルの農業・食料問題の専門家からのメッセージでした。
"Today, I received your article and I found it extremely interesting. I was wondering, would you be interested in a free translation of your article into Portuguese? Many other people could profit from this knowledge in Mozambique and Brazil if a Portuguese version is available. I would be glad to contribute to it, although it may take a bit of time."
 ということで、翌日に直ちに半休を取って下さり、さっそく39ページ中10ページまでをポルトガル語に訳して下さいました。なんという献身・・・。
<=そして2週間で完全訳!凄い・・・涙涙。

■そして、昨夜はスペインの国際協力の専門家よりメッセージが届きました。
"I have just read your paper and did not want to wait more time for congratulating you. It is a fantastic contribution. ...It is helping a lot for understanding the current situation and as you pointed out, I hope, it will contribute to make the right and urgent needed changes for not repeating past errors done by the Japanese Assistance in Mozambique in the agricultural sector."
 あんな長いペーパー最後まで読んでくれたことに感謝。
 彼女が書いてくれているように、最後は関係者への希望のメッセージです。日本の関係者も、嫌がらず最後まで読んでくれるといいのですが・・・。

■そして、このブログでも、論文内でも紹介したブラジルの地理学者で最初にセラード開発の問題について調査し発表したVera Lucia Salazar Pessoa教授からご連絡を頂きました。なんという光栄!その後先生は、大学での教育拡充に奔走され、このテーマになかなか戻ることができなかったそうですが、教え子の多くがセラード開発問題について調査研究を行って、作品を発表しているということでいくつかの論文を送って下さいました。また手が空いたらご紹介いたします。

「あなたの論文とても気に入りました。論文を読んで、あなたがモザンビークで長年にわたって調査研究をしてきたのだということが良く分かりました。そして、何より、私の博士論文があなたの理解を深め、論文に役立ったことにとても満足しています。」

そして、先生がセラード開発に関する博論を書かれていた時のことを教えて下さいました。軍事独裁から民主化に移行していった当時(1985-88年)は問題が表出し始めていたけれど、事業としても盛上りがあり、かつ誰も学術的に取り組んだこともなく、とても勇気が必要だったこと。しかし、あえて挑戦し、この論文を仕上げたということ。でも、調査の結果セラード開発に批判的にならざるを得なかったものの、当時の時代状況として、それを書くことは限りなく難しく、止められたけれど書いたそうです。やっぱり、そうだったのですね。文章の端々に決意のようなものが見え隠れしていたのでした。

時は巡り巡って2013年2月。あれから20年以上が経過して、先生もまたセラード開発を再考する仕事をしようと決意され、以下の論文をもうすぐ発表されます。セラード地域における大豆とコーヒーとサトウキビの導入に関するものです。近々送ってくださるとのことで楽しみです。

"O Cerrado, antes dos "inhambus, das juritis, das siriemas", agora do agronegócio: as transformações no pós 1970"

先生からまたメールが。ブラジルはカーニバル突入だそうです。そして彼女と一緒に本を書いている人が、もう私の論文を読んでくれていて、先生の博論引用されていると伝えるため連絡されたそうな。世界は狭い!そのスピードが凄すぎですね。

■さらにドイツ人のコミュニティ開発(開発援助と自然資源管理)の研究者で大学の先生からメールが。
I am very impressed by the paper and I very much appreciate your critical analysis. It is rare to read a paper from a Japanese scholar that is so critical...
はい。我々日本人は批判的精神をおおっぴらにすることはタブーですから。研究界ですらそんなこと多々。でも、これまでをなぞるだけであれば何故研究する必要があるのか?人生の時間がもったいない・・・というのが私の持論であり、唯批判のために批判をするのもまた時間と労力の無駄。

要は見えないものを見ようとするのが研究の役割で、それは丹念な一次資料との格闘がなければならない・・・というのが私の持論です。で、この先生も援助と土地の問題について取り組まれているそうなので(対象はアジアらしいですが)、何かコラボすることになりました。

■そうこうしてると、ウガンダの元同僚から連絡が。南東部アフリカの農民組織の連合の事務局長を長らくやっていた彼です。以心伝心。論文でウガンダのこと引用したので、フォローアップしようと思っていたところ連絡が。彼が新しく始めたやはり地域資源を大切にしながら試みるコミュニティ開発の組織にインターンを送ってほしいという話でした。で、論文について。
「 Land gabbing is a huge challenge in my own country at the moment and it is fueled by both internal and external factors but is worsened by a corrupt public service management system that is insensitive to the rights of poor often illiterate citizens. Many poor people who have lived on their land for many years suddenly find themselves landless when their land is sold to reach corporations or even rich externally funded land dealers. companies. A few kilo meters form the village where my old parents live, a Russian company just got concession to mine iron ore and another rock that no one can tell which! In all cases many poor people who have hither to sur vived on this land. A whole region in our small country has been found to have viable oil deposits. the dynamics around land have suddenly turned to grossly disfavor poor people especially women who are the major dependents on land! 」

土地争奪があの狭いウガンダでも頻発していて、彼のご両親の村の近くでロシア企業が現れているという話でした。ウガンダの農業投資と土地争奪問題は、FOEIのレポートを。また、彼のメールにある通り、石油や鉱山などが見つかったことによる土地奪取の問題は、まさにその通り。人びとが騙されてしまう、知らされていない・・・本当にモザンビークと同じですね。

■そして、日本企業等による土地争奪問題に取り組んでいる教授からもメッセージが。
I am very excited to see it. I have found very little written in English on Japan's role in the "land grab", so it is fantastic that your research is available in English now. ...it looks terrific.
 
それにしても、英語の世界で発信することの意味をシミジミ感じてます。英語発信してこなかった自分の怠慢を感じる毎日です。
by africa_class | 2013-02-04 23:42 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

「原発事故から2年、私たちは今何をすべきか?」報告・討論会(2月3日)終了・記事番組一覧

昨日、「福島乳幼児妊産婦ニーズ対応プロジェクト&支援プロジェクト」の合同報告・討論会「原発事故から2年、私たちは今、これから何をすべきか?」が終わりました。本当に沢山の方に来ていただき、ありがとうございました。事後報告は現在事務局で作成中ですが、以下の通り多くのメディアに報道していただきましたので、ご報告いたします。(まだ読売新聞等その他新聞は入れられていませんが)
 原発事故が発生してから2年が経過しようとしている現在、避難ご家族や福島に残るご家族の抱える苦悩は深刻化・複雑化する一方です。事態の長期化が個々のご家族に大きな負担を強いている現状を、私たちは、「福島の問題」「子育て世代の問題」に矮小化せず、国策(原発)による結果ということを自分の問題として引き受けていかねばならない・・・と強く思った一日でした。
 子どもたちの健やかな未来のため、立場は異なれど、力を合わせていきましょう。
 そんな報告会になったとしたら、この上ない喜びです。
 また、今回2年目の1か月前にこの報告・討論会を開催したのは、これから2周年を迎える1か月の間に、沢山のメディアにこの事態を知ってもらい、多く報道してもらうことで、支援法の具現化が少しでも進み、ご家族の権利回復が一歩でも進むことを願っての事でした。その一助になったとすれば、これも幸いです。

■報告・討論会概要
http://fukushimaneeds.blog50.fc2.com/blog-entry-504.html

◇IWJ中継(5チャンネル)録画放送
http://www.ustream.tv/channel/iwakamiyasumi5

◇UPLANさんの録画放送
http://www.youtube.com/watch?v=JFNBMTQxyzs&feature=youtu.be

◆2/3東京新聞 朝刊(1面)
被災者支援法 政府対応遅れ 地域指定ジレンマ

◆2/3NHKニュース7(動画)
原発事故避難者への支援を考える
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130203/k10015265061000.html

◆2/3TBSニュース(動画)
原発避難長期化で家族離散が増加
http://news.tbs.co.jp/20130203/newseye/tbs_newseye5247858.html

◆2/4毎日新聞(茨城)
東日本大震災:福島第1原発事故 拠点5カ所、都内で合同報告会--福島乳幼児妊産婦ニーズ対応プロジェクト
「全国で団結必要」 避難者要望や活動発表
http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20130204ddlk08040050000c.html
by africa_class | 2013-02-04 19:04 | 【311】子ども・福島乳幼児妊産

【プロサバンナ】朝日新聞朝刊「私の視点」読んで興味を持った方のために

今朝の朝刊で読んでくださって関心を持ってくださった方へ。
明日も一日長いので、一先ず以下を紹介しておきます。

■朝日新聞私の視点  舩田クラーセンさやか
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201302010544.html
<=会員しか読めないようなので末尾に貼り付けておきます。が、これは最終的に掲載されたものではなく、文字数等の関係で削られる前の原稿なので、著作権上の問題からも、同じものではない点前もってお伝えしておきます。

■プロサバンナ事業に関してはこの引き出しに入れておきました。
http://afriqclass.exblog.jp/i38/

■モザンビークから農民組織や環境団体が来日します。後18万円足りません!是非ご協力を~
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/
2月28日(木)18時~20時@東京大学(駒場)でセミナーが開催されます。来日する市民社会代表だけでなく、研究者、政府関係者も参加することになりました。詳細は下記。
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

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【ご参考】2013年2月2日付の朝日新聞「私の視点」に掲載された記事の原文(掲載されたものとは同じではありません。編集された部分、最後部分など書き直した点もありますが、広く読んでいただきたいのでとりあえずそのまま流します)。

また、それぞれのポイントについての根拠を示すスペースがなかったこと、新聞の形式的に断定調ですが、それぞれの根拠等については以上紹介のブログ→http://afriqclass.exblog.jp/i38/ 、そして英語論文→http://farmlandgrab.org/post/view/21574 に入れています。そちらをご覧ください。

舩田クラーセンさやか(東京外国語大学大学院教員)

 日本の国際協力機構(JICA)は現在、アフリカ農業を支援しようとモザンビークで「プロサバンナ計画」を進めている。南米ブラジルの広大な森林帯を切り拓いた「セラード開発」をモデルとし、ブラジル政府とも手を組んだ大規模事業だ。来年、横浜で開催される第5回アフリカ開発会議(TICAD)の目玉として繰り返し宣伝されている。
 しかし昨年10月、モザンビーク最大の農民組織・全国農民連盟(UNAC)がこの事業に抗議の声をあげた。声明では、「ブラジル企業による土地収用の可能性」「全プロセスにおける農民の主権無視」の2点を強く懸念している。JICA側は「情報伝達不足による誤解」としているが、そもそも情報伝達の問題だろうか。外務省にも確認したが、ブラジル企業による土地収用の可能性は現時点では否定されていない。
 プロサバンナが「お手本」とするセラード開発は、日本の融資とJICAの技術協力によって行われた。JICAによると、「不毛の無人の地」を高い生産性を誇る世界最大規模の農地に変え、ブラジル農業の躍進に寄与したという。しかし、軍政下のブラジルで行われたこの開発は、地元の先住民からは異なった評価がなされてきた。森林が破壊され、先住民らは抵抗空しく土地を奪われ、生活手段を失った。一方で、豊かな南部から中規模以上のヨーロッパや日系農家が入植。先住民らは安価な農場労働力としての転出を余儀なくされた。そこで先住民はNGOを結成しJICAに面談を申し入れたが、門前払いにされたという。モザンビークの農民は、同じ事が繰り返されることを恐れているのである。
 実際、モザンビーク北部を訪れたブラジル企業家は肥沃で安価な土地の価格に熱狂(ロイター2011年8月15日)。去年4月の官民合同訪問に同行した日系ブラジル人の連邦議員は「ブラジル人の入植を応援する」と表明した(ニッケイ新聞2012年5月1日)。これに、地元農民のみならずモザンビーク市民社会も不安を増幅させている。
 アフリカでは、世界的に食料価格が高騰した07年以来、外資による激しい土地争奪戦が繰り広げられている。とりわけ土地と水が豊富なモザンビークは主要ターゲット国になっており、取引される土地の面積 ・件数とも世界二位とされる(LandMatrix2012 *取引面積は報告ベースのため実際はもう少し少ないと推測されている)。その只中で始動したのがプロサバンナ計画なのだ。
 このような事態を受け、日本がなすべきことは何だろう。今ならまだ間に合う。まずは、これまでのやり方を猛省し、そこに暮らす住民や農民組織の声に真摯に耳を傾け、彼らに意思決定プロセスに参加してもらう。そして、彼らが最も不安に感じている土地収用がこの事業で行われないと約束し、そこに長年暮らし農業を営んできた彼らこそを事業の中心に据えるべきと考える。
 住民の権利を無視して推し進めてきた開発の行き詰まりは開発援助だけでない。国内公共事業の多くがそうだった。311後の今こそ立ち止まり、変える勇気と決断を求めたい。
by africa_class | 2013-02-02 23:52 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

【明日ネット中継】「原発事故から2年、私たちは何をすべきか」報告討論会。絆でなく共感ベースの繋がり

国立大学教員にとって最も忙しいこの時期、、、何故か物事が集中豪雨的に発生し、今日はカフェ・モサンビコ・プロジェクトのキックオフ・パーティ(http://cafemozambico.blog.fc2.com/blog-entry-14.html)、明後日は福島の子どもたちに関する大きなシンポ、そしてプロサバンナ・・・と、さすがの私も目まぐるしいですが、皆さんのお蔭でなんとか生き延びています!

何故モザンビークの村でカフェ・モサンビコを始め、福島の子どもや子どもを守りたいママたちを応援し、モザンビーク市民社会を日本に招へいするのか?しなければならないのか?・・・と既に私の分裂症を疑う人もいるでしょう?!しかし、私の中では全てが一貫しているのです。

「人」の権利・尊厳とは、どんな時代のどんな世の中でも、簡単に踏み躙られ奪われてきた。でも、人類は少しずつ前進もしてきたはずでした。しかし、私たちは今岐路に立っていると思う。特に、この日本では、人の権利も尊厳の理解も、それを護ろうとする力も後退し、むしろそれを踏みにじる側あるいはそれをされで良いと思う考え方が強まりつつあると思います。

自分が「勝ち組」と思っている間はめでたい。でも、人生の歯車がちょっと狂っていったとき、この社会でどのような事態になるか考えれば見えてくることも多い。そもそも、私は、原発事故後の子どもたちが置かれている状況を見るとき、表面的には「少子化対策」なるものに大臣まで置いているというのに、口では「子どもは宝」というのに、子どもたちの権利を守るために国家・政府として何一つやっていない現実を目の当たりにする。そしてモザンビーク北部では、「これらの小農の食料安全保障のため、貧困のため」と称し、何故かブラジル・アグリビジネスの進出を日本は援助しようとしています。

「人」のためといいながら、権利が踏みにじられている現場に身を置きながら、私は思うのです。私たちは、簡単に踏みにじられる立場にあり、かつ踏みにじる立場にあるということを。そして、そのように踏みにじる構造を、何もしないことによって支え続けている現実を、胸の奥に刻み込むべきと思っています。

その上で、やはりただ権利迫害に怒ってるだけでも、内省してるだけでも始まらず、私は、一歩でも半歩でも前に進みたいと思う。現実の理解の上で、「じゃあどうすればいいか?」を追求していきたい。

だから当事者のそれぞれが自分の主権に目覚めること、そしてそれを回復し、発揮することを応援したいと思うのです。それは高見に立ってのことではありません。私もまた「人」であり、簡単に権利を奪われる側でもありながら、同時に踏みつける側でもあるからです。皆もそうではないのでしょうか?

自分の無力感に苛まれることもあります。

でも、結局のところ、私は自分を含む人間存在に絶望しながら、やはり夢見てるんだと思う。人の力に。人と人とが繋がった時の力に。ふり返ってみると、その感動ゆえに今まで生きてきたんだと思います。でも「繋がり」は「絆」となった途端人を縛付けます。だから「一人一人の気づきと力」が基本でなくてはいけない、と思う。そして繋がりは絆と違って「境界線」を超えること。

大学に入って、自由を手に入れたと思ったとき、私はこれから先は自分のためではない人生を生きてみようと考えました。いや、結局それが自分のための人生なのですが、やれることは何でもやってみようと心に決めたのです。独りよがりで終わらない、慣習や伝統の力に頼った既存権力構造を下支えする「絆」ではない、水平的な人間関係の可能性を追求したいと思ったのです。以来、いくつもの市民活動をしてきました。そして、この20年間、沢山の出会いと失敗と学びと輪の広がりを経験してきました。

2011年3月11日、大震災が起こって原発事故が発生した時、私は何もできませんでした。自分の小さな家族と学生を守ることしか。20日に関西疎開プロジェクトを立ち上げたものの疎開される方はおらず、アウトリーチのために作ったのが明日報告会を開く二つの団体(FSPとFnnnP)でした。その時、すぐに支えてくれたのは、アフリカに関する市民活動の仲間たちでした。その人たちの一部は、その前の2000年にモザンビークで大洪水が起こった時に支えてくれた仲間たちでした。さらに、その人たちの一部は、さらに前の阪神淡路大震災の時のボランティア仲間たちでした。そして、その人たちの一部は、大学生時代、国際ボランティア活動を推進する団体を作ったときの仲間たちでした。今、モザンビークから当事者の声を日本に届けようと、また団体をつくって募金活動をしていますが、これを支えてくれているのもこれらの活動で知り合った人たちです。

こんな色々な、テーマが違って、年齢もばらばらの、人たちが、繋がり合って、何かを実現している。無償ボランティアどころか、持ち出す一方だというのに。その事実に、私は未来をみるのです。支え、支えられる。踏みにじられる側だから。踏みにじる側にもいるから。そんな一人一人の二面性に、正面から取り組む仲間たち。

で、何を書きたかったのか・・・・いつもながら前置きでほぼ終わってしまいました。授業や講演じゃなく、だらだら書けるブログでよかった。2月3日の報告・討論会がネット中継されるということをお伝えしたかったんです!

福島の活動で感じていること、試みていることは、「絆」ではなく「繋がり」の重要性と可能性です。これほど「絆」というものに翻弄されているお母さんたちを目の当たりにして、「共感をベースにした繋がり」の重要性を実感しています。これは明日語りたいと思います。

なんとか原発事故を風化させないためにも、福島内外のご家族の苦悩や努力を知ってもらうためにも、それを支える市民の横のつながりの重要性に より 多くの人に気づいてもらうためにも、この機会をしっかり生かしたいと考えています。

一般参加については、本日午後で事前申し込みは締め切りました。
当日受付は継続していますが、万一お席がない場合はご容赦ください。

会場から、IWJが同時中継をしてくださる予定です。インターネットの状況次第では、後日録画配信となりますが、遠方にいらっしゃる方にはそちらを是非観て頂ければと思いますので、拡散にご協力 くだ さい。
よろしくお願いします。

(転載・転送歓迎)
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【IWJ中継・録画放送のお知らせ】
~東日本大震災・原発事故発 生からもうすぐ2年、 私たちは何をすべきか?~
福島乳幼児妊産婦ニーズ対応プロジェクト・福島乳幼児妊産婦支援プロジェクト合同報告・討論会

2013年2月3日12:30-16:30@東京ウィメンズプラザ(渋谷)

現在会場が残席わずかになっております。
当日は、下記のインターネット中継でもご覧いただけますのでよろしくご視聴ください。
特に、日本全国・世界で避難中のご家族に観て頂き、ご意見・感想をお寄せいただけると幸いです。

インターネット中継@Independent Web Journal(IWJ) 日本語
(URL)  http://www.ustream.tv/channel/iwakamiyasumi5
*電波の状況次第で後日録画放送になる場合があります。そ の際はご了承ください。
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<趣旨>
震災後一カ月で立ち上げられた福島乳幼児妊産婦ニーズ対応プロジェクト(FnnnP)ならびに福島乳幼児妊産 婦支 援プロジェクト(FSP)の活動も、もうすぐ2年を迎えます。こ れま で両団体の各拠点(栃木・新潟・茨城・群馬)と福島県内にてご家族の聞き取りやアンケート調査(合計延べ1599世帯)を実施し、830世帯を超える様々なニーズに対応致して参りました。

来る2月3日、 当団体は合同報告会を開催し、これまでの福島県とその周辺4県、首都圏ないでの活動を振り返るとともに、乳幼児・妊産婦ご家族の現状とニーズを紹介するとともに、当事者や福島県の職員さま、支援者の皆さんなど多様な参加者を 交え 今後に向けて「私たちがすべきことは何か」を話し合いたいと考えています。

原発事故から2年。公的な補償や賠償、支援が進まない中、どうすれば子どもたちの安全と健康を守り、福 島の 人びとの権利が回復できるのか、多様な立場の「私たち」が共に集い話し合う機会としたいと考えます。

<プログラム>
司会:清水奈名子 (宇都宮大 学国 際学部准教授/FSPメンバー)
●12:30~13:30 3大学アンケート 結果 報告
・群馬大学社会情報学部 (西村淑子准教授/FnnnP群馬拠点長)
・宇都宮大学国際学部附属多文化公共圏センター(阪本公美子 准教 授/FSP事務局長/FnnnP副 代表他)
・茨城大学地域総合研究所(原口弥生准教授/FnnnP茨城拠点長)

●13:30~15:00 福島乳幼児妊産婦 ニー ズ対応プロジェクト活動報告会
・FnnnP設 立背景と2年間を振り返る
(FnnnP代 表・舩田クラ―センさやか 東京外国語大学准教授)
・各拠点における避難者ご家族との歩み 
(以上の拠点長並びに小池由佳 准教授 新潟県立大学)
・当事者団体支援・市民連携の重要性

●15:20~16:20 討論会 「原発事 故か ら2年が過ぎ、私たちは今、これから、何をすべきか?」
・ファシリテーター:舩田クラーセンさやか(FnnnP代表/東京外国語大学准 教 授)
・パネリスト
河崎健一郎 (弁護士/福島の子ども たちを守る法律家 ネットワーク(SAFLAN)共同代表)
西崎伸子 (福島大学行政政策学類准教授/福 島の子ども 保養プロジェクトアドバイザー)
茨城県、群馬県、東京都への避難者4団 体 (FnnnPママ・スタートアップ助成先団体)
佐藤伸司 (福島県保健福祉部子育て支援課副主査)
樋口葉子 (ふくしま子育て支援ネットワーク代 表世 話人)

●16:20~16:30 閉会の挨拶 
重田康博 (宇都宮大学国際学部教授/福 島乳幼児・妊産 婦支援プロジェクト(FSP)代表) 

<本件に関する詳しいお問い合わせ)>
福島乳幼児妊産婦ニーズ対応プロジェクト(FnnnP)事務局
〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1
東京外国語大学 舩田クラーセン研究室内     
携帯:090-1710-2067(事務局コーデイネーター黒川)
メール:fukushimaneeds<@>gmail.com 
by africa_class | 2013-02-02 09:58 | 【311】子ども・福島乳幼児妊産