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【続報】国連「小農の権利宣言」議論で、日本政府代表が「たねの権利」を認めないと発言。国連議場で繰り広げられた国際バトルと対米追従。

今日は国際小農の日です。その日にこれを書いていることの意味をシミジミ感じます。

さらに随分時間が経過してしまいました…。
前の投稿で春と思っていたら、あれから極寒が戻ってきて、結局日本に行って戻ってきたらようやく春がきたという感じです。霜が降りないと思われる季節になったので、畑の仕事は大忙しです。朝から晩までやってるけれど、終らない・・・。猫の手も借りたい。モグラの手は借りているのですが(丁度よい場所を掘り返してくれてる)

さて、先週4月10日から13日までジュネーブの国連人権理事会で、国連「小農と農村で働く人びとの権利に関する宣言」のドラフト文の最終的な議論が行われていました。

この宣言文については、下記をご覧下さい。
https://afriqclass.exblog.jp/i43/

第1回から8回までの議論の様子は下記サイトで視聴可能です。

国連「小農と農村で働く人びとの権利に関する宣言ドラフト」に関する交渉
第5回セッション

http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/RuralAreas/Pages/5thSession.aspx

私は畑仕事をしながら少しずつ聴いているのですが、十分追えていなかったところ、ジュネーブの国連会議場にいる市民社会の皆さんが「日本政府はどうなんてんの?」とのご一報を下さり、何かと思ったら「日本はEU(ヨーロッパ連合)に加盟でもしたの?」と。どうやら日本政府代表は「EUと同じ立場をとる」と言っているそうで、最初は「米国と同じ立場じゃないのね、よかった」と思っていたのですが、どうやらそういうことではない。

最後にどんでん返しがあるので(残念ながら)、最後まで読んでね。

EU自身が後ろ向きの立場になりつつあると知って、これは大事と思って、日本政府代表の発言を確認しなきゃーと思ったものの、こちらは農繁期かつ携帯の電池がもたない。。。

でも、どうせ、こういう会議の日本政府代表の発言というのは、大国や自分がその後ろにくっつきたい政府代表の発言のあとに、しれーーーっと出してくるので、最終日だろうと狙いをつけて待っていたところ、はやり最終も最終・・・・13日金曜日の午後の最後のセッションにご登場(前にも出ていたようですが)。

http://webtv.un.org/meetings-events/human-rights-council/watch/8th-meeting-5th-session-working-group-on-rights-of-peasants/5769486881001/?term=&sort=date?lanarabic?lanarabic?lanrussian
基本、英語とスペイン語とフランス語なので、右上のEnglishを選択して再生すると英語の同時通訳に切り替わります。

食料主権の条文の削除の件は別途書きますが、最終セッションのテーマは「collective rights」に関するものでした。この小農の権利が、小農個々人に限らず、その集合体・コミュニティの権利を謳っていることについて、異議が挟まれる形となったのです。これは国際法を学んだ者には大変面白い議論なので、改めて紹介したいと思います。

問題はcollective rightsは認められないという立場をEUが表明したという点です。
これをnew rightsとして、これを新しく創設することには反対と述べ、なんとか全員に受け入れられる解決を求めたいと提案していますが、わざわざルーマニア政府代表に話をさせている点が、後々面白い展開になっていきます。そこで、議長が、反対とい意思は分かったが、具体的にどの部分が問題なのかなどを明確にしてほしいと提案したのですが、そこで出てきた英国政府代表の説明がなんとも・・・妥当性を欠いている。

英国が出てきたので、どっかで米国が出てくるな・・・と思っていたら、やっぱり出てきました。いつものパターンなんですが、分かりやすすぎな感じで、その直後というのが「お決まり」な手順で、思わず笑っちゃいました。

で、米国政府代表・・・会議に全然参加してこなかったし、先週まったくこないのに、最後のセッションに出てきて、ちゃぶ台ひっくり返すの巻。そもそも、この権利宣言に賛同していない、と。

いつもの感じなので、それはそれでおいておいて、なぜ反対なのかに一応耳を傾けておきましょう。

米国政府代表発言要旨:
・ここでカバーされているイシューが国連人権理事会で議論するには相応しくない。
・collective rightsは賛同できない。個人のrghtsが優先されるべき。国際人権法上も。
・この権利宣言に書かれているいくつかの概念に反対。
<ー例)種子の権利、伝統的な農法を続ける権利、食料主権、生物多様性の権利。

<ー目標であって人権といわれる権利の概念ではない。
・技術移転に賛成しない。知的財産権を侵害しうるものに賛成しない。すべてのアクターを平等に扱うべき。経済利益を侵害するから。


以上の提案を反映しないのであれば宣言に賛成しない。

しゃべり方自体が、なんというかジャイアンというか、ぜひ皆さんの耳で直に聴いてほしいなあと思ったところです。
これに対して、すごく静かにビア・カンペシーナの代表(インドネシア)の方が静かに語り始める。しかもファクトに基づいて。なんとも対照的で、これを見るだけでも価値があると思います。ちなみに、先月ハーグであった国際学会でキーノートを話されていた方で、なんともさすがな感じ。

次に、国際NGO・FIANの専門家が、超ドイツ語訛で(笑)、これでもかというぐらい反証を出していくので、これも是非みてほしいです。要は、collective rightsが新しいrightsなんかではなくて、国際法上にしっかり存在してきたことを、一個ずつ紹介していっています。で、ヨーロッパ連合には、これらを反証できるのなら反証して、知らないだけかもしれないけど・・・その上で具体的に問題を明らかにしてほしいと述べて、議長に「よい質問だね」とtake noteされる。

<ーなおこれらの根拠資料は議場に配られていたみたいなので、後で確認してリンクをつけますね。

CETIM、ボリビア政府代表が、とっても静かに、「collective rightsは新しい権利なんかじゃないよ。知らないの?」それに、国内法でも中南米の集まりでも、collective rightsは明確に定義されて書き込まれてるよ、あれこもれも・・・とファクトを積み上げられ続け、そもそも小農や農村で生きる人びとのリアリティに基づいて考えてドラフトされているんであって、本当に権利を守りたいと考えているのかと詰め寄られる。

次にビア・カンペシーナ欧州のフランス農民が、フランス農村の水利権はccollective rightとして保証されていて、そのコミュニティから退出するとその権利は消えるために個人の権利ではない・・・つまり小農の生きる現実に基づいた宣言をつくる上で、当然の前提なんだが、そういう前提知らないの?・・・的なカウンターパンチが入れられていました。EUのしかも小農代表が語るリアリティ。フランスの政府代表が無言なのに注目。エンクロージャー後の英国政府代表が矢面にあえて立ったのが分かりやすい。

しかし・・・まさかのこのタイミングで、日本政府代表が登場。
あまりにないタイミングで・・・。

米国のすぐ後に手をあげるとグルだと思われるから、ちょっと置いてから・・・と思っていたのでしょうが、その戦略があだとなって、すでにEUや米国の主張は、ファクトに次ぐファクト、法律上も前例上も現実面でも・・・積み上がった後に、出てくるという最悪のタイミングとなりました。

が、日本政府代表は、本省が米国と打合せで決まった文言しか読み上げることができないので、あまりに発言のタイミングが妥当性を欠こうが、用意してきたものを読み上げるということになります。で、何を読み上げたのか?

公式テキストは後日あがってくるので、以下仮訳。

1時間8分
日本政府代表(2018年4月13日午後、第五セッション、第8会合)
1)議長、collective rightsの時間を設けてくれてありがとう。
2)このワーキンググループに建設的な参加をしてきた。小農と農村で働く人びとが暮らす厳しい現状を理解している。
3)すでに各国政府代表が述べたように、人権はすべての人に享受されるべき。
4)世銀の興味深い統計を紹介する。農村人口は国によって違いがある。
5)日本では、94%が都市住民である(2016年)。
6)地球上の54%が都市部に暮らす。
7)このセッションで既に述べたように、この宣言ドラフトは権利として広くは認られていないものが含まれている。
8)これには、種子の権利が含まれます。


思わずスルーしたいほどの稚拙な中身のない、しかし「種子の権利反対」の一点で驚くべきスピーチ。

このドラフトの最後の最後の交渉で、唯一言及したのがまさかの「種子の権利」が人権として認められないということですかいな。。。この最終セッションは、collective rightsのセッションで、EUですらその観点からのみ問題提起しているのに、米国の色々認められないと主張する権利の数々のなかから、日本政府代表があえて一つ選んだのが、「種子の権利」!!!

しかも、つい今年の4月1日まで、世界に誇れるすばらしい種子法をもっていた日本が・・・日本の農民のためにもならず、世界の農民のためにもならず、彼らの農業を守ろうとするどころか、多国籍企業(遺伝子組み換え企業)の片棒を、政府の立場として担ぐという現実。

みなさん、知ってました?
日本政府代表は、国連の国際交渉の場にいって、「種子の権利」を条文から無くせといっていますよ〜!



さらには、このどうでもいい世銀の統計…なんなんでしょう。日本政府は自国の農村・都市人口を語る際に、わざわざ世銀を引用しなければならないのでしょうか?そして、このデータをなぜ引用しているのかの説明もなし。聴いている人に慮れということであれば、国際場裏においてそんな話法は通用しません。ファクト→分析→結論。あるいはその逆が示されない発言には、価値も意味もありません。

とはいえ、あえて日本政府代表の云いたかったことを想像してみると、さらにこのスピーチの酷さがあぶり出されます。つまり、小農の数が日本では圧倒的に少ないから、ついでにいうと世界においては5%だけ都市人口に負けているから、小農の権利を重視すると割をくうそれ以外の多数者が出るって論理でしょうかね?

なんのためにこのワーキンググループに参加してるんでしょうか?ただ米国やその他の同盟国の太鼓持ちのためだけ?きちんと参加してれば、そして真摯にこの宣言をつくろうとなった背景を学んでいれば、この最後の最後のセッションで、こんな稚拙なデータを出してはこなかったと思います。

つまり、このあと何度も国連専門家にも各国代表にも(市民社会だけでなく)、念押しされた点を紹介して終ります。

世界の小農と農村で働く人びとという枠組みで権利宣言を作らなければならない現在世界的に切迫している現実、そして歴史的にこれらの人びとがマイノリティ(数だけでなく権利面で)として迫害を受けたり権利剥奪を受けてきた現実がある・・・そのために皆集まってるんじゃないですか、何をいまさら・・・

ということで、最後は説得力のある、時に涙なしには聴けない、専門家や各国代表のスピーチが数珠つなぎで連なっていって、もはやEUも誰も反論できない・・・まま閉会に至ったことを、皆さんにもお伝えしておきたいです。

とはいえ、パワフルな国々と日本の横やりによって、何がどうなったのかについてはフォローする必要があります。
では・・・畑に戻ります。

でも、畑の作業のなかで聴いたのが、本当によかったです。

そして、最後の最後に議長が、明日サイドイベントで「母なる地球 Mother Earth」のイベントをボリビア政府とエクアドル政府で主催するので、ぜひ皆さんにも起こしください、、、と呼び掛けていたのを耳にして、なんともいえない感慨を覚えた次第です。

この話を単に経済・農業でしか捉えられない、あるいは米国追従の国際舞台としてしかみられない皆さんにも、ぜひ自分たちが日々食べているものが、どこからどのようにやってきているのか、これは自然が破壊されたときにどうなるのか、皆さんも自然の一部だという現実をどう捉えるのか、考えてほしいと思っています。





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by africa_class | 2018-04-18 01:20 | 【国連】小農の権利宣言