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「小農権利宣言」国連採決目前、3カ国(日本・モザンビーク・ブラジル)の農家と民衆会議を日本で初開催することになりました

みなさんは、来年から「国連家族農業の10年」が始まるのを知っていましたか?そして、もうすぐ「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」が国連総会で採択されることも?

一昨日(2018年11月25日)にニューヨークの国連総会で、ついに「小農権利国連宣言」のドラフトが提出され、これを準備した政府間作業グループの議長が紹介しました!(第73回国連総会34回会合第3セッション)2012年に国連人権理事会でこの議論が開始されて6年、世界最大の小農運動が夢見てから15年以上が経過しましたが、ついに後一歩となりました!

この国連宣言の画期的な点は、2008年の「国連先住民族権利宣言」に続くとともに、さらに大きな意味をもっています。国際法上も沢山のチャレンジがあり、大いに議論がなされ、ついにこの日がきました。とくに、「食の主権(食料主権)」「土地への権利」「種子への権利」「生物多様性保全への権利」などの「新しい権利」について、「小農」を国際人権の保護対象の特定グループとして認定する点についてなどです。

これらのことはすでにこのブログで紹介しましたし、12月に農山漁村文化協会から出される「国連家族農業10年」を祝う本に書きましたので、そちらでご確認いただければと思います。重要なことは、米国やEUや日本の反対があったけれども、世界の圧倒的多数の国々がこの宣言とドラフトに賛成しているという点です。

国連総会では、ボリビア、キューバ、南アフリカのアツいサポートの演説の合間に、インドネシアの「土地への権利」への懸念、EUのどうしようもないスピーチがあったものの(相変わらず、集合的な権利を認めない、「食の主権」と「種子への権利」が権利として不明瞭・・・とぶつぶつ言い続けてる)、とにかく前に進むことと思います。

2019年の「家族農業10年」が始まる前に、必ず採決される見込みです。

世界1億人を超える小農と農村で働く人びとの権利を守ることは、都市の生活者の権利を守ることにつながるという冒頭の議長の指摘はそのとおりです。なぜなら、農薬づけの生産方式は、生態系の破壊につながるだけでなく、また生産者だけでなく消費者の身体も蝕みます。また、遺伝子組み換え技術や種子の採取禁止は農家の自由に生産する可能性をどんどん狭め、また当然ながら生態系や私たちの身体に大きな影響を及ぼします。

今回の「小農権利宣言」が守ろうとしてくれているのは、農民の暮らし・身体だけでなく、都会に暮らす私たちの暮らし・身体をも含んでいるのです。そして、これを実現するにあたって、最前線にたち、宣言文のドラフトをつくったのが、世界の小農運動(ビア・カンペシーナ)であるという点に、注目いただければと思います。とくに、ドラフトのもとになる「小農男女の権利宣言」をつくったのは、インドネシアの農民たちでした。

日本でも世界でもお金をもっている消費者が強く、生産者は下にみられがちです。そして、その消費者をコントロールすることができるようになった巨大スーパーなどのグループ、そのグループに食料を調達する商社、それに大量の生産物を提供するアグリビジネス、さらにはそのための資材(たね、農薬、化学肥料)・・・などの重層的な権力構造ができあがりつつあります。

わたしたちの命や健康や未来が「儲け主義」に支配されつつあるなかで、最も弱い立場におかれてきた南の国々の農民たちが立ち上がり、最前列で「健康な食と農」を守ろうとしてくれていることに、私たちは感謝しなければなりません。

そのことを知っていただく機会にしていけたら・・・ということで、なんと日本とモザンビークとブラジルの農家・女性・若者・市民団体・市民が集まって、3カ国民衆会議を11月20日から22日まで東京で開催します!来日する農家はすべて以上のビア・カンペシーナに加盟する農家さんで、「アグロエコロジー」と「食の主権」を目指していらっしゃいます。(これらについてはまた別途説明します)

もちろん、日本の農業にも沢山の個別の課題があります、
でも、だからこそ、いま世界で起こっていること、南から出てきた様々な新しい試みやオルタナティブを知ってもらいたいと思います。全体テーマは3カ国民衆会議〜危機の21世紀を超えて、つながりあい、食の幸せを未来に手渡すために〜

3カ国民衆会議については追って具体的に紹介していきますが、以下のサイトに一括情報が掲載されています。
http://triangular2018.blog.fc2.com/
ユースチームも立上がりました!
https://peraichi.com/landing_pages/view/triangular-web
が、お金が足りていませーーーん!
https://congrant.com/project/triangularfr/551

なにせブラジル・モザンビークから20名近くの農家さんや市民団体の皆さんがくるのです…が、バスでの移動費、日本の有機農家さんが全国から東京の会議にこられる移動宿泊費、3カ国の農家さんが大いに語り合うための同時通訳費(逐語では間に合わないので・・プロに依頼)などなど、あと160万円ぐらい不足しているのです。開催まで1ヶ月を切ったので、ぜひみなさまに仲間になっていただき、ご協力いただければ本当にありがたいです。

わたしは今迄世界の食と農の状況や議論、各種のアクターを日本の皆さんに紹介してきましたが、この会議はいろいろな面で、日本の食と農の未来にとって「あっちいくの?こっちいくの?どっちいくの?」の迷いの中で、大きなヒントをもたらしてくれると思います。

会議は3日間のイベントの他、プレイベントもあります。
詳しくは一括掲載のチラシをご覧下さい。
https://drive.google.com/file/d/15MKHDrSHXKe_yrc9EcGnkJcBE5WXRSzp/view


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写真は今年ブラジルで行われた「アグロエコロジー全国大会」の様子


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by africa_class | 2018-10-27 20:53 | 【国連】小農の権利宣言

デンマークで大学無料&学生に月10万円が支給されていることについて

先週、デンマークのオーフス大学に呼ばれてレクチャーに行ってきた。
講演タイトルは「日本のグローバル・アグロフードシステムへの援助・外交・投資を通じた関与:1890年から現在まで」。久しぶりだったのでやや緊張したが(見えなかったと思うが…)、伝えたいメッセージは伝わったと思う。つまり、(1)どうやら我々は負の歴史を21世紀になっても繰り返していること、(2)構造が戦前に似通ってきていること、(3)他方で下からの動きが国連などの場を通じて国際規範を変えつつあること。で、(2)については、マネーと結びつく為政者らのパワー、そこに中間層がポピュリズムを通じてくっついていくこと、底辺に位置づけられる人びとの搾取が再生産・拡大されていくこと、これが日本や南の国々だけでなく、世界的に展開しつつあること。だから人類が長い歴史のなかで闘い勝ち取ってきた民主主義を、どう鍛えていくのか・・・そいう狙いまで伝わったかは分からないけど。

「食」をいまこの世界で考えることは、私たちの日々の暮らしと世界に繋がる沢山の課題に気づかせてくれる。なので、最初に、全員に昨日何を食べたのか、求める社会や世界像がどんなものか話してもらって、最後はそこに戻ってみた。

この世界には「どうせ何を期待しても、希望しても、無理。構造を変えることなんて不可能。どうせ自分はチッポケな存在」という諦めモードが蔓延している。なので、無理かもしれないけど、夢をみないのであれば、もっと状況が酷くなることについて、ちょっと皆で考えられたらいいなーと思った。これは大学で教えてたときに、最初の方の授業で全員とやってたこと。「変えられない感=無力感」は、社会に最もパワフルでネガティブな影響を及ぼすものだから。歴史がそれを証明している。そんなところに、ヘイト意識とか、資源戦争とか侵略とかのガソリンを投入すると、ばっとやる気満々になる人が急増したのも、歴史が示すところ。日本だけの話ではない。ここドイツもまたそうであった。その結果もたらされたのは、ホロコーストと呼ばれる人間によるある特定の背景をもつ(とされる)人間の「消滅」を目的としたジェノサイドだった。まだ、あれから70年程度しか経っていない。

さて、いつも前置きと書きたかった中身がマッチしないのがこのブログの特徴。だけど、実は私の中ではすべて繋がってはいる。

ドイツの公立大学の多くが無償であることについては広く知られていると思う。ただし、ドイツの大学に入るには、アビトゥアというとんでもなく難しい大学検定に通らないといけないので、そんな簡単なことではない。アビトゥアのレベルは日本の大学の教養ぐらいなので、高校を出ただけでは検定で良い点は取れないので、卒業後に独学で2,3年勉強する人も少なくはない。だから、ドイツの大学生は歳を取っている人も多い。もちろん、卒業後いろいろやってから大学に入ろうと決意する人が多いことも影響がないわけではない。

ドイツの話はまた今度。
さて、デンマークの大学の話はあまりに衝撃だったので(私にとってすら)、根掘りは掘りきいてきたことを書いておきたい。本当はリサーチしてから書きたいのだけど、オーフス大学の先生に聞いた話なので、とりあえずその前提で読んでいただき、あとは各自でリサーチを。

なお、デンマーク大使館サイトには大学無料(EU市民等。それ以外は有料)という点は書いてありました。
http://japan.um.dk/ja/infor-about-denmark/denmark/welfare-and-education/

【デンマーク大学事情】
(1)国立大学は無償
(2)入学後、各学科の規定の在籍期間は月10万円程度の生活支援費が政府から全員に払われる。(税金はかからない)
(3)留学中も受けとれる。
(4)半年休学して世界を放浪などのときは、その期間を受けとらず、戻ってきてから再開できる。
(5)成績が悪い、大学に来ないなどの場合は支給を止められる。

Woow!そんなんなら、私ももう一度大学行きたいわ・・・とつい言ってしまうほどの好条件。先生いわく、それぐらいしないと、若者がなかなか大学に行ってくれない、とのこと。「大学に行ってくれない」とは凄い台詞だと思う。ちなみに、先生は50前後なのだけど、先生が大学生時代からあった制度ということで、もう30年近くこれをやっていて、デンマークは財政破綻をしていないという事実に皆さん注目を。

【デンマーク博士課程事情】
(1)在籍者は月30万円相当が「給料」として支払われる。(税金は支払わないといけない)
(2)仕事はティーチングアシスタントと「博士論文を書くこと」
(3)この期間に産休を取って、子どもを何人か産む人も多い
<=博士号をとっても就職先が少ないため。

こちらも就職先の問題がるために、候補者が沢山いるわけではないとのことでした。ただ、大学生も院生も英語は極めて堪能で、デンマーク外に仕事を求めて行く人も多い。実際、デンマークから出る人も、デンマークに働きにくる人もいて、国際的。私が会った大学の先生の多くはデンマーク人以外の人、ドイツ人2名、エルサルバドル人1名でした。授業も英語。(デンマーク語でとれる授業もあるらしい)

で、みなが気になる「社会保障が充実=税金負担が重い」という点は?
確かに、物価は安いとはいえない。
でも、スーパーで買い物をしても、外食しても、日本より「食べる」ということに限ればむちゃくちゃ高いとは感じなかった。

例えば…
ワインカフェでワイン一杯370円
野菜のスムージー(大サイズ)で350円
超もりもりのサバの薫製のサンドイッチを素敵なお店で買って400円
豆乳ヨーグルト、ブルーベリー1パック、プラム1キロを買って850円
(すべて税込み価格)

先生にも聞いてみたが、所得税は確かに高いといっていた。そのうえで、「給料も高いから」とさらりと一言。
「給料・・・高いのね・・・」

先生はコロンビア大学でも教えてたことがあるし、日本にも留学していたので、いろいろ大学の先生の懐事情もよく知ってる。日本の国立大学で教えていた私の給料は、実はドイツの親が経営するシュタイナー学校のフルタイムの先生の給料より安かった・・・。この事実はしっかり胸に刻んでほしい。

で高い給料が実現できるのはなぜなのか?
人口が少ないとか、色々いえるかもしれないけど、ちょっと待って。
そもそも、2000年以降まで、ひとり当たりのGDPは日本とデンマークではほとんど変わらなかった。
http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDPDPC&c1=DK&c2=JP

そして、日本の税金や社会福祉の負担額は高給取りには安いのだけど、中間層から下には決して安くはない上に、ヨーロッパにあるような低所得家庭へのフルのサポートがないので、貧困の再生産が繰り替えされ、悲惨なことになる。

その意味で、結局は「税金負担額が多いか少ないかで福祉制度の充実が決まる」のではなく、国家予算や政策の優先順位こそが重要なことが分かる。

そして、その優先順位を誰が決めるのか?というと、ヨーロッパでも有権者が選挙で選ぶ政党や政治家を通じてという部分が確かにあるのだけれど、それを支える市民社会のコンセンサス(自分たちの権利として社会福祉を国家に保障させる)がある点についても注目しておきたい。

政府や税金は自分たちの求める社会像を実現に近づけるためにあるのであって、自分たちを規制したり、自分たちからただ奪うためにあるわけではない・・・この「民主主義(主権在民国)の当たり前」は、とにかく何度でも日本の皆さんに伝えたい。

ドイツでも、デンマークでも、30年前に、人びとが勝ち取った制度であって、それを人びとが一生懸命守り育ててきているのだということも知ってほしい。(つまり、天からふってきたわけでも、ヨーロッパだから普通というわけでもない。日本でもできるということ)また、油断するとあっという間に、「企業の競争力ために」とかいって取り上げられかねない労働者の権利や市民の権利が多くあり、ヨーロッパ各国でも常に市民が声を挙げ続ける必要がある。

ただ・・・日本はそれ以前の状態にあるのも事実。
住民・国民のために使われるべき国家予算を、アメリカの大統領に言われたから高額の武器を買わされました、住民が反対しているのに基地を米軍のために作ってあげます、なんだか低レベルの大学だけど首相のお友達だから100億円ぐらい土地代を含めて融通しましたとか、クールジャパンのお店をマレーシアにつくって億単位でお金流してますとか、そうことを許して、さらに10%に消費税をあげたとしても、デンマークやドイツが実現している社会福祉は決して日本の私たちの手に届くことはないでしょう。

つまり、予算を何に使うべきなのか・・・を真剣に考えないと、もうすでに大変な状態の社会がさらに大変なことになって、若者・子どもたちに申し訳が限りなくたたないわけです。

また、さっきのデータ(ひとりあたりGDP)をみてもらえれば分かるように、1990年代前半は日本の方が勝っている。しかし、2000年代に入ってからどんどん差がついてきていることがこのグラフでも一目瞭然。

つまり、21世紀的な新しい時代・世界についていけているのか、いけてないのかという点が見逃せない部分。やはり、世界で活躍できる、EU地域、世界とつながれる、イノベーションをうめる人材を育てているか否かは決定的に大きいと思われる。

大学にくるまでのデンマークの教育は実に斬新だという。
自主性、主体性に徹底的に委ねる点で、シュタイナー教育とかなり似ている。
成績もつけない。評価をしない。
それぞれの尊厳を認め、それぞれがそれぞれの意見を持つこと、それを伸ばすことに重点がおかれているという。

しかし、大学に入るための準備段階から評価が出て来て、大学に入るとやはり評価システム(試験やレポート)があるので、学生たちはストレスで大学に来なくなることもあるという。また、中間テストをやろうにも、「なぜそれが必要なのか」を学生と相談・協議して、コンセンサスをつくらないといけないので、とっても大変とドイツの上から目線大学教育を受けたドイツ人の先生たちはこぼしていた。

先生と学生が一緒に授業をふりかえるという時間ももたないといけないらしい。これは教師にとってはチャレンジングだけど、とっても良い方法だと思った。結局、大学教育がなんなのか?・・・と考えれば、一人の人間としてどうやって知的に社会的に立てるひとを育てるのかが問われている以上、学生からみたときの授業のあり方というのは大学が重視しなければならない点でもある。

そうやって自由に育ち、批判的に考え、自己を確立していった若者は、たしかにこの混沌とした、そしてAI時代には強いだろうなと思った。実はドイツよりデンマークの方が気に入ってしまったのだけど(若者感じも含め)、デンマーク語をとてもマスターできる気がしないので、とりあえず隣国から時々お邪魔してみようと思う。

とりあえず、以上見聞きしてきたことをとりとめもなく書きました。
(原稿の締切問題が継続中なので、これにて失礼)
またフォローアップしますね。
介護の話も衝撃的だったので、これは絶対お伝えしたい。

写真はオーフス大学考古学部のキャンパス。
どこかの隠れ家ホテルにしか見えない!

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考古学キャンパスの森

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現在の考古学部の建物。茅葺き!以前はここが博物館だった。



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by africa_class | 2018-10-22 21:01 | 【紹介】ヨーロッパのあれやこれや