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【参考までに】「家族農業の10年」の国連決議文の日本語「仮訳」を貼付けます。

連投すみません…。
さて、院内集会までに、もう少し「小農権利宣言」についての分析を進めて紹介するはずだったのが、途中海外出張が入ったり、またしても風邪を引き続けたりで、どうにも時間が取れませんでした。でも、「小農権利宣言」とともにテーマとなっている「家族農業の10年」の決議文も重要なので、根岸さんとともに翻訳をしておきました。

残念ながら印刷に間に合うように納得のいく訳文を準備できなかったので、本日は配布できませんが(関係者を除き)、一応こんな決議文だよということを広く伝えておいた方が良いと思うので、以下「仮訳」状態のものを貼付けておきます。

数日以内に差し替えると思いますが、今の時点のものということでご覧下さい。

仮訳(2019年2月17日)
未だ最終確認中なので、数日以内の訳文の最終化をお待ち下さい。

***********
国連 家族農業の10年(2019年~2028年)

2017年12月20日
A/RES/72/239 (国連総会決議)


国連総会は、

食料保障と栄養改善の実現に向けた家族農業、牧畜業、小規模農業の貢献を浮き彫りにするとともに、2011年12月22日の(国連総会)決議66/222で宣言され、2014年に制定された国際家族農業年(IYFF2014)の成功を確認し、

多くの(加盟)国が、家族農業のための全国委員会の形成、小規模融資などの小規模農家が利用できる金融政策の構築を含めた、家族農業を重視する公共政策の発展を目覚ましく進展させた事実を歓迎し、栄養の改善とグローバルな食料保障、貧困の撲滅、飢餓の終焉、生物多様性の保全、環境持続可能性の実現、ならびに人の移動問題への対応を支える点において、家族農業が果たしている役割を認識し、

「家族農業に関する知識プラットフォーム」(国連食糧農業機関[FAO])の設置を踏まえ、また家族農場特有のニーズに対応するための政策の協議・立案において、知識とデータの共有が役立つことを再確認し、

牧畜業、家族農業、とりわけ農村の女性と若者を含む小規模農民を支えるための科学、技術、イノベーション(革新)、起業の重要な役割を認識し、この点において特に、イノベーション志向の発展(開発)と数多くの起業およびイノベーションを支援する重要性を強調しつつ、小規模農民による自給的な農業からイノベーティブで商業的な生産への移行に寄与する持続可能な農業の新技術を歓迎し、彼女・彼らが自らの食料保障と栄養を向上させ、販売可能な余剰を生み出し、生産物に付加価値を加えることを助け、

また、家族農業が有する、歴史・文化・自然遺産、伝統的慣習文化の促進と保護、生物多様性の喪失防止、さらに農村に暮らす人びとの生活状況改善との密接な関係性を認識し、

寒帯、温帯、熱帯を含む、異なる形態の森林がそれぞれ家族農業を支えている役割を強調し、

また食料保障と栄養のための持続可能な漁業と養殖の重要性を再確認し、

農業、食料保障、および栄養に関する課題とそれらの気候変動との関係に焦点をあてた第31回FAOヨーロッパ地域会議が、2018年5月、ロシア連邦ヴォロネジで開催されたことに留意し、

1989年5月24日の国連経済社会理事会決議1989/84で明示された、経済および社会分野における国際10年に向けたガイドラインを意識し、

包括的で民衆(人びと)を中心に据え、人びとに届く、普遍的かつイノベーティブな一連の(国連)持続可能な発展(開発)目標およびターゲットを採択した、2015年9月25日の決議70/1「私たちの世界を変革する:持続可能な発展(開発)のための2030アジェンダ」を再確認し、2030年までのアジェンダの完全なる実現に向けた不断の努力、そして(このアジェンダが)極度の貧困を含むすべての形態とレベルの貧困の撲滅を掲げていることを改めて確認するとともに、これが持続可能な発展(開発)にとって最大の全世界的挑戦であり看過できない必須条件であること、また公平かつ平等な方法により経済・社会・環境の3つの側面において持続可能な発展(開発)を実現する義務、さらにはミレニアム発展(開発)目標の達成を積み上げるとともに未達成事項の対処への努力義務を再確認し、

持続可能な発展(開発)のための2030アジェンダの根幹にあたり、同アジェンダを支援・補完し、具体的な政策や行動とともに実行目標のための手段に土台を提供する役割を果し、加えて、持続可能な発展(開発)のために、グローバルなパートナーシップと連帯の精神に則って、資金的手当と実現可能な環境をすべてのレベルで創造する困難に向けた強い政治的義務を再確認した、2015年7月27日、第3回開発資金国際会議(FfD)におけるディスアベバ行動目標についての決議69/313を再確認し、

パリ協定ならびにその早期の発効を歓迎するとともに、すべての締約国がこの協定を完全履行することを推進し、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国で批准書の寄託、受諾、承認あるいは未加入の国が、可能な限り早期に、しかるべき場でその手続きを行うことを促し、

栄養に関するローマ宣言と行動のための枠組みを基盤にした、国連栄養のための行動の10年(2016-2025)の宣言を想起し、

また、極度の貧困人口の80%近くが農村地域に暮らしながら農業に従事し、農村地域の発展(開発)、持続可能な農業、とりわけ女性農民を中心とする小規模農民の支援への資源投入を行うことが、あらゆる形態と側面における貧困の終結の手がかりとなること、そしてこのような措置が農民に対する福祉の改善を向上させることを改めて認識し、

全世界で8億1千500万人の人びとが未だ飢えに苦しみ、いくつかの地域でその他の形態の栄養失調の蔓延が依然として懸念されることを認識し、金額ベースによる世界の食料の80パーセント以上を生産する家族農業の重要な役割を強調し、

普遍的で、ルールに基づき、開かれた、差別のない、かつ平等な多国間貿易システムが、途上国において農業、家族農業、農村の発展を促進し、世界の食料保障と栄養に寄与するであろうことを強調しつつ、コミュニティ・全国・地域・国際市場への、特に小規模および家族農を営む女性を含む農民のインクルーシブな参加を促進する、国内・地域・国際的な戦略の採択を強く要望し、

ジェンダー平等および女性と少女のエンパワーメントの実現が 、持続可能な発展(開発)目標とそのすべてのターゲットの前進に、極めて重要な寄与をもたらすであろうことを認識し、加えて、小規模農民および女性農民、先住民族の女性および地元コミュニティの女性を含む農村女性の重要な役割と貢献を再確認するとともに、同様に農業と農村の発展、食料保障の改善、農村における貧困撲滅に寄与する彼女らの伝統的な知識(知恵)の重要な役割と貢献を改めて認識し、このことを踏まえてさらに、食料保障と栄養に対する女性の重要な役割が確実に認知され、(この女性の重要な役割が)途上国における食料不安、栄養失調、極端な価格高騰の可能性、食料危機に対する、短期的および長期的な対応に不可欠なものとして扱われるべく、農業政策および戦略を振り返ることの重要性を強調し、

若者と障害者を含むすべての女性と男性が、完全で生産的な雇用、ならびに人間らしい働きがいのある(ディーセントな)仕事を実現する必要性を強調するとともに、農村地域において追加雇用またはその他の職業への雇用機会、ならびに収入の機会を提供すべく、家族農業のイノベーションを促進する政策とプログラムが、全体的な農村発展(開発)を促進する政策と一致して進められるべきことを確認し、

持続可能な開発目標の達成に向けて、適切で、費用対効果の高い、伝統的、イノベーティブな解決を拡大するため、経験交流と知識共有に向けた支援を実行できる環境の創造において、農民同士の協力を通じた家族農民間協働の肯定的な影響が不可欠であることを認識し、

気候変動が、人間社会と地球にとって、潜在的に不可逆性を伴った火急の脅威となっていること、また世界中で農業に深刻な影響を及ぼしていることを意識するとともに、家族農業を支えることが、負の影響への適応能力の向上、気候に対するレジリエンス(耐性力)の増進、低温室効果ガス排出型の開発といった気候変動とのたたかいを、食料生産を脅かさない手法で実現することに貢献しうるものであることを意識し、

食料保障と栄養を向上させ、小規模および女性の農民、ならびに農業協同組合と農民ネットワークを重視するための私たちの努力を強化するとともに、各国がグローバルなパートナーシップを活性化するよう後押しする必要性を自覚し、

家族農業の促進、そして知識、経験、グッドプラクティス(よいと考えられる実践例)、イノベーティブな政策、ノウハウ、リソース(資金など)のやり取りを通じた食料不安の課題への取組みにおける南南協力および三角協力の重要性を認識し、

国連家族農業の10年(2019年-2028年)を、既存の枠組みと利用可能な資金の範囲内で、宣言することを決意し、

すべての加盟国が、家族農業に関する公共政策を立案、改善、実施し、家族農業に関する経験とベストプラクティス(最善と考えられる実践例)をその他の加盟国と共有することを促し、

FAOならびに国際農業開発基金(IFAD)に対し、そのマンデート(任務)および既にある資金の範囲内で、また必要に応じた自発的な貢献(資金などの提供)を通じて、その他のしかるべき国連機関との協働により、可能な活動とプログラムを見極め構築することを含む家族農業の10年の実施を牽引することを要請し、

各国政府に加え、国際および地域機構、市民社会、民間セクター、学術界を含む関係するステークホルダー(利害関係者)が、家族農業の10年の実施について、場合によって自発的な貢献を通じて、積極的な支援を行うことを求め、

国連事務総長に対し、FAOとIFADが共同でまとめる隔年の報告書をもとに、家族農業の10年の実施について、国連総会へ報告することを求める。


第74回国連本会議

2017年12月20日



監訳:舩田クラーセンさやか
訳者:根岸朋子


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by africa_class | 2019-02-18 05:48 | 【国連】小農の権利宣言

【本日開催!IWJ中継あり】「国連小農宣言・家族農業の10年 院内集会」が議員会館にて開催!「国連小農宣言」日本語版のダウンロード先も紹介

本日(2/18)、東京で「国連小農宣言・家族農業の10年 院内集会」が開催される。
http://unpesantsrights.blog.fc2.com/blog-entry-2.html

すでに100名の定員はオーバーしたとのことで、本当に嬉しい。
また、農水省や外務省からも担当官が4名・2名出席するとのこと。
出席者一覧→http://unpesantsrights.blog.fc2.com/blog-entry-5.html

これからの参加は満員御礼のため不可能だけれど、IWJがネット中継をしてくれることになったので、是非ネット中継をご覧下さい(IWJの会員になれば後日視聴が可能です)。

【IWJ Ch5】14:00-17:30
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

この院内集会の重要な点は、発表者は日本の小農の皆さんとその組織のみという点。つまり、国連宣言の当事者が発表し、政府に質問をするという点です。まさに権利宣言の精神を体現する院内集会となったことに、連絡会の一メンバーとして大変嬉しく思います。

未だ解決していないこのプロサバンナ問題に直面しながらも思うのは、2012年9月、もし彼ら・彼女らに「プロサバンナをなんとかして」と呼び出されなかったら、わたしがこの国連小農宣言を訳すことも、日本に紹介することも、この院内集会を日本の農家さんと準備することもなかったという点に、人生とは不思議なものだと思う。もし、この訳文公開に、わずかなりとも感謝していただくのであれば、それは私たち訳者にではなく、モザンビーク北部小農の奮闘に感謝していただければと切に思う。

彼女ら・彼らから教えられ続けた25年間を振り返り、いまはただ、彼女・彼らの苦しみを一刻も早く解消したいと願うのみ。そのためには、プロサバンナを終らせなければなりません。このことはまた今度。

はじめてプロサバンナを知る人は岩波の連載を
→https://websekai.iwanami.co.jp/posts/461

お待たせしました!
以下、最終版の訳文の掲載場所です。

******
小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言
最終採択決議文・宣言文
日本語訳

あるいは、以下のサイトに掲載します。
******

ドイツは、急に春めいた満月の夜。
猫たちもソワソワ。私もソワソワ。

さて、院内集会!
チラシの裏面を紹介しておきます〜。

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by africa_class | 2019-02-18 05:44 | 【国連】小農の権利宣言

【完訳3】国連採択された「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」、最終決議・宣言を監訳終えました。最後、14条から28条。

小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言
(国連総会採択版、最終版の日本語)

*前文→https://afriqclass.exblog.jp/239092212/
*第1条から第13条→https://afriqclass.exblog.jp/239092220/

第十四条 (仕事場での安全と健康に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、一時労働、季節労働、移住労働の如何にかかわらず、安全で衛生的な環境で働く権利、安全衛生の措置の適用と評価に参加する権利、安全衛生責任者を選ぶ権利および安全衛生委員会の委員を選ぶ権利、十分かつ適切な防護服と機材および仕事場における安全衛生に関する適切な情報と研修へのアクセスの権利、暴力とセクシュアル・ハラスメントを含む嫌がらせを受けない権利、危険で不健全な労働状況を報告する権利、安全衛生に関する差し迫った深刻なリスクがあると合理的に判断できる際に、労働により起こる危険を回避する権利を有する。これらの権利の行使によって、労働に関連したいかなる報復の対象にもなってはならない。

2. 小農と農村で働く人びとは、農薬や化学肥料(農業用化学物質)あるいは農業や産業由来の汚染物質を含む危険物および有害化学物質を使用しない権利、これらにさらされない権利を有する。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びとに、効果的で安全かつ健全な労働条件を保障するため、適切な措置をとる。特に、適切で適格な管轄機関を設置し、政策の実行と、農業、農工業、漁業における職業上の安全と健康に関する国内法と条例の施行のため、各省庁を横断的にとりまとめる方策を構築し、是正措置と適切な罰則を規定し、農村における労働現場の十分かつ適切な検査システムの構築と支援する。

4. 加盟国は、以下を保障するため、あらゆる必要措置をとる。

(a)技術、化学物質、および農業行為からもたらされる健康と安全に対するリスクを防止すること。このための方策には、これらの禁止および規制が含まれる。

(b)農業で使用する化学物質の輸入、分類、梱包、流通、ラベリング、使用に関する特定の基準、および、それらの禁止あるいは規制に関する一定の基準を管轄機関が定めることを通じて、適切な国の制度またはその他の制度を承認すること。

(c)農業で使用する化学物質の製造、輸入、調達、販売、移動、貯蔵、廃棄に関わる者は、国またはその他(の機関)による安全衛生基準に従い、公用語または国内の諸言語などの相応しい言語を用いて、十分かつ適切な情報を使用者に提供すること。また、要請に応じて、管轄機関に対しても情報を提供すること。

(d)化学廃棄物、古くなった化学物質、化学物質の容器の安全な回収、再利用、廃棄に関する適切な制度を構築し、これらの目的外使用を阻み、安全衛生および環境へのリスクの解消と最小化を図ること。

(e)農村で一般的に使用される化学物質がもたらす健康ならびに環境上の影響に関して、また、化学物質の利用に代わるその他の方法に関して、教育と公衆啓発プログラムを開発し実施すること。


第十五条 (食への権利と食の主権)

1. 小農と農村で働く人びとは、適切な食への権利と、飢えからの自由という基本的な権利を有する。この権利には、肉体、精神、知性の面で最高レベルの発展の実現を保障する、食を生産する権利、および、適切な栄養を摂取する権利が含まれる。

2. 加盟国は、文化の尊重を土台とし、将来世代の食へのアクセスを保全する持続可能かつ公正なる手法で生産・消費され、個人および/あるいは集合体としてのニーズに応え、物理的にも精神的にも充実した尊厳ある暮らしを保障する、十分かつ適切な食に、小農と農村で働く人びとが物理的にも経済的にも常にアクセスできるよう保障する。

3. 加盟国は、農村の子どもたちの栄養不良とたたかうため、適切な措置をとる。これには、プライマリー・ヘルスケアの枠組みを通じたもの、とりわけ、すぐに利用できる技術の適用、十分に栄養のある食べ物の提供、また、女性が妊娠および授乳期間に適切な栄養を確保できるようにすることが含まれる。さらに、親や子どもをはじめ、社会のすべての構成員が、十分な情報を提供され、栄養教育を受けることができ、子どもの栄養と母乳育児の利点に関する基本的知識の利用に関して支援を受けることを保障する。

4. 小農と農村で働く人びとは、自らの食と農のシステムを決定する権利を有する。この権利は、多くの国と地域で、食の主権として認められている。この権利には、食や農業に関する政策の意思決定プロセスへの参加の権利、さらに、文化の尊重を土台とし、環境に配慮しつつ持続可能な方法によって生産された、健康によい適切な食への権利が含まれる。

5. 加盟国は、小農と農村で働く人びとと連携し、自治体、全国、地域、国際レベルにおいて、適切な食への権利、食料保障、食の主権、そして本宣言に含まれる権利を促進し擁護する持続可能で公正なる食のシステムを促進し保護するための公共政策を構築する。加盟国は、自国の農業、経済、社会、文化、開発に関わる政策が、本宣言に含まれる権利の実現に合致したものになるよう仕組みを構築する。

第十六条 (十分な所得と人間らしい暮らし、生産手段に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、自身とその家族が適切な水準の生活を送る権利、その実現に必要な生産手段への容易なるアクセスの権利を有する。なお、この生産手段には、生産のための機材、技術的支援、融資、保険やその他の金融サービスが含まれる。また、これらの人びとは、自由に、個々人および/あるいは集合体としても、集団あるいはコミュニティとしても、伝統的な手法で農業、漁業、畜産、林業に携わる権利を有し、地域社会を基盤とした商いのシステムを発展させる権利を有する。

2. 加盟国は、小農と農村で働く人びとが、自治体、全国、地域の市場において、十分な所得と人間らしい暮らしが保障される価格で生産物を販売するために必要な輸送、加工、乾燥の手段や貯蔵施設に優先的にアクセスできるよう適当な措置をとる。

3. 加盟国は、自国の農村開発、農業、環境、貿易、投資に関する政策とプログラムが、(小農と農村で働く人びとの)地域社会で暮らしをたてる選択肢を守り、これを強化すること、そして持続可能な農的生産の様式への移行に対し、実効性を伴った貢献を行うため、あらゆる適切な措置をとる。加盟国は、可能な場合は常に、アグロエコロジーと有機栽培を含む、持続可能な生産を活性化し、農家から消費者への産直販売を推進する。

4. 加盟国は、自然災害や市場の失敗などの重大な混乱に対する小農と農村で働く人びとのレジリエンス(耐性・回復力)を強化するため、適切な措置をとる。

5. 加盟国は、同一価値の労働に対して、いかなる区別をすることなく、公正な賃金と平等な報酬を保障するため、適切な措置をとる。


第十七条 (土地ならびにその他の自然資源に対する権利)

1. 小農と農村に住む人びとは、本宣言第28条に則り、個人として、かつ/あるいは、集合的に、土地に対する権利を有する。この権利には、適切な生活水準を実現し、安全かつ平和に、尊厳のある暮らしを営む場を確保し、自らの文化を育むための土地へのアクセス、土地と水域、沿岸海域、漁場、牧草地、森林の持続可能な利用と管理に対する権利が含まれる。

2. 加盟国は、婚姻関係の変更、法的能力の欠如、経済的資源へのアクセスの欠如がもたらすものを含む、土地に対する権利に関連するあらゆる形態の差別を撤廃し禁止するため、適切な措置をとる。

3. 加盟国は、土地の所有・利用権を法的に認知するため、現在法律で保護されていない慣習的土地所有・利用権を含めた異なる様式や制度が存在することを認め、適切な措置をとる。加盟国は、正当なる土地所有・利用権を擁護するとともに、小農と農村で働く人びとが専横的または不正に強制退去させられること、そして権利が抹消・侵害されることがないよう、これらを保障する。加盟国は、自然の共有地および、それと結びついた共同利用や管理の制度を認め、それを保護する。

4. 小農と農村で働く人びとは、土地や常居所からの専横的および不正な立ち退きに対して保護される権利、または、日々の活動に使用し、適切な生活水準を享受するために必要な自然資源を専横的および不正に剥奪されない権利を有する。加盟国は、国際人権・人道法に従って、立ち退きからの保護を国内法に盛り込まなければならない。加盟国は専横的および不正な強制退去、農地の破壊、土地とその他の自然資源の没収と収用について、罰則措置や戦争の手段によるものも含め、禁止しなければならない。

5. 専横的または不正に土地を奪われた小農と農村で働く人びとは、個人的および/あるいは集合的に、集団あるいはコミュニティとしても、自然災害および/あるいは武力紛争による場合を含め、専横的または不正に奪われた土地に帰還する権利を有する。さらに、可能な場合は常に、自らの活動で用い、適切な生活水準の享受に必要な自然資源へのアクセスを回復する権利を有し、帰還が不可能な場合には、公正、公平かつ正当なる補償を受ける権利を有する。

6. 加盟国は、それが望ましい場合には、小農と農村で働く人びとが適切な生活条件を享受することを保障すべく、必要な土地とその他の自然資源への広範かつ公平なアクセスを促進するため、また、土地が有する社会的機能を踏まえ、土地の過剰な集積と支配を制限し、農地改革を実施すべく適切な措置をとる。公有地、漁場、森林の配分の際には、土地なし小農、若者、小規模漁撈者、他の農村労働者を優先しなければならない。

7. 加盟国は、(これらの人びとが)生産に用いる土地およびその他の自然資源について、その保全と持続可能な利用を目指した措置をとる。これには、アグロエコロジーを通じた措置が含まれ、加盟国は、生物やその他の自然が内包する能力やサイクルの回復のための条件を保障する。


第十八条 (安全かつ汚染されていない健康に良い環境に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、環境および各々の土地の生産力、ならびに、自ら利用し管理する資源を保全し護る権利を有する。

2. 加盟国は、小農と農村で働く人びとが、差別のない、安全で清潔かつ健やかな環境を享受することを保障するため、適切な措置をとる。

3. 加盟国は、気候変動とたたかうための各国際条約を順守する。小農と農村で働く人びとは、各国および自治体における気候変動の適応・緩和政策の策定と実施(プロセス)に、伝統的な実践や知識/知恵を用いることなどを含めた手法を通じて、加わる権利を有する。

4. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの土地に、有害物、有害物質あるいは廃棄物が、貯蔵または廃棄されることがないように、実効性のある措置をとる。また、国境を越える環境破壊の結果として生じる、これらの人びとの権利への脅威に対し、加盟国は協力して対処する。

5. 加盟国は、非国家主体による、小農と農村で働く人びとへの横暴から、これらの人びとを護る。小農と農村で働く人びとの権利の擁護にあたっては、これに直接的あるいは間接的に寄与する環境法の執行が含まれる。

第十九条 (種子[たね]への権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、本宣言第28条に従って、種子への権利を有する。その中には以下が含まれる。

a) 食や農のための植物遺伝資源に関わる伝統的な知識/知恵を保護する権利

b) 食や農のための植物遺伝資源の利用から生じる、利益の分配に公平に参加する権利

c) 食や農のための植物遺伝資源の保護と持続可能な利用に関わる事柄について、意思決定に参加する権利

d) 自家農場採種の種苗を保存、利用、交換、販売する権利

2. 小農と農村で働く人びとは、自らの種子と伝統的な知識/知恵を維持、管理、保護し、発展させる権利を有する。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの種子の権利を尊重、保護、具現化するための措置をとる。

4. 加盟国は、小農が、播種を行う上で最も適切な時期に、十分な質と量の種子を手頃な価格で利用できるようにする。

5. 加盟国は、小農が自らの種子、または、地元で入手できる自らが選択した種子に依存する権利に加え、小農が栽培を望む作物と品種を決定する権利を認める。

6. 加盟国は、(多様な)小農(による)種子システムを支持し、小農種子の利用、ならびに、農における生物多様性を促進するため、適切な措置をとる。

7. 加盟国は、農業研究や開発が、小農と農村で働く人びとのニーズを統合したものになること、さらに、これらの経験を踏まえ、これらの人びとが研究や開発の優先事項の決定および着手に主体的に参加することを保障するため、適切な措置をとる。加えて、加盟国は、小農と農村で働く人びとのニーズに応えるため、孤児作物やその種子の研究開発への投資増を確実なものとするため、適切な措置をとる。

8. 加盟国は、種子政策、植物品種保護、その他の知的財産法、認証制度、種子販売法を、小農と農村で働く人びとの権利、ニーズ、現実を尊重し、それらを踏まえたものにする。

第二十条 (生物多様性に対する権利)

1. 加盟国は、関連する国際法に従い、小農と農村で働く人びとの権利の完全なる享受の促進と擁護のため、生物多様性の消滅を防ぎ、その保全および持続可能な利用を保障すべく、適切な措置をとる。

2. 加盟国は、生物多様性の保全とその持続可能な利用に関係する、伝統的な農耕、牧畜、林業、漁業、畜産、アグロエコロジーのシステムを含む、小農と農村で働く人びとの伝統的な知識/知恵、イノベーション、実践を振興し保護すべく、適切な措置をとる。

3. 加盟国は、あらゆる遺伝子組み換え生物の開発、取引取扱い、輸送、利用、移転、流出がもたらす、小農と農村で働く人びとの権利に対する侵害のリスクを防止する。

第二十一条 (水と衛生に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、生命の権利とすべての人権、および、(法の下における)人としての尊厳の完全な享受のために不可欠な安全で清潔な飲み水と衛生に対する権利を有する。これには、良質かつ手頃な価格で、物理的にアクセス可能で、差別のない、文化的およびジェンダー上の要件からも許容できる水供給制度と処理設備に対する権利が含まれる。

2. 小農と農村で働く人びとは、個人および家庭の利用、農耕、漁業、畜産のための水への権利を有するとともに、その他の水に関わる暮らしを護り、水の保全、復元、持続可能な利用を保障する権利を有する。小農と農村で働く人びとは、水と水管理制度に公平にアクセスする権利を有し、水供給を恣意的に絶たれ、汚染されない権利を有する。

3. 加盟国は、差別なき水へのアクセスを尊重、保護、保障する。加えて、特に農村の女性と少女、そして遊牧民、プランテーション労働者、法的地位の如何を問わず、すべての移住者、非正規あるいは非公式の占拠地に暮らす人びとなどの不利な立場にある、あるいは周辺化された集団に対して、個人、家庭、生産のための利用を可能とする手頃な価格の水ならびに処理設備の改善を確保する措置をとる。これには、慣習上またコミュニティに根ざした水管理制度も含まれる。加盟国は、灌漑技術、処理済み廃水の再利用技術、集水および貯水技術を含む、適切で入手可能な技術を促進する。

4. 加盟国は、山、森林、湿地帯、河川、帯水層、湖を含む水関連の生態系を、過度の水利用、そして工場排水や無機化合物および化学物質の集積などの漸進的あるいは急速な汚染をもたらす有害物質による水質汚染から護り、回復する。

5. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの水に対する権利の享受を、第三者が侵害することを防止しなければならない。加盟国は、水の保全、再生、持続可能な利用を促進しつつ、人びとのニーズのための水を、その他の目的の利用よりも優先する。

第二十二条 (社会保障に対する権利)
1. 小農と農村で働く人びとは、社会保険を含む、社会保障に対する権利を有する。

2. 加盟国は、各国の状況に沿って、農村におけるすべての移住労働者の社会保障に対する権利の享受を促進する、適切な対策を講ずる。

3. 加盟国は、社会保険を含め、小農と農村で働く人びとの社会保障の権利を認め、国内の状況に従って、基本的社会保障制度の実現からなる社会的保護の土台を構築し維持する。この基本的社会保障制度は、それを必要とするすべての人びとが、基本的な保健医療ならびに基本的な所得保障へのアクセスを最低限、生涯にわたって保証するものであり、これらが一体となって、各国が必要と定める物品とサービスへの実効性を伴ったアクセスが可能となる。

4. 基本的社会保障制度の実現は、法律で定めなければならない。また、公平で透明かつ実効性を伴い、金銭的に利用可能な苦情処理および不服申し立て手続きも定められなければならない。これらの制度は、国内の法的枠組みに合致しなければならない。

第二十三条 (健康に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、達成可能な最高水準の肉体および精神面での健康を享受する権利を有する。また、一切の差別を受けることなく、すべての社会福祉ならびに保健医療サービスへのアクセスの権利を有する。

2. 小農と農村で働く人びとは、治療に必要とする植物、動物、鉱物へのアクセスと保全を含む、伝統的な医療を利用し保護する権利、ならびに、健康に関わる実践を維持する権利を有する。

3. 加盟国は、非差別の基本に立ち、特に、不安定な状況にある人びとに対して、農村における保健施設・物品・サービスへのアクセス、ならびに、必須医薬品、主な感染症の予防接種、リプロダクティブヘルス(性と生殖に関する健康)、コミュニティに影響を及ぼす重大な健康と保健衛生上の問題に関する予防・管理対策を含む情報、母子ヘルスケア、および健康の権利と人権に関する教育を含む保健員研修へのアクセスを保障する。

第二十四条 (適切な住居に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、適切な住居に対する権利を有する。これらの人びとは、平和に尊厳のある暮らしを営むための住居とコミュニティを維持する権利を有し、この点について差別を受けない権利を有する。

2. 小農と農村で働く人びとは、住居からの強制退去、ハラスメント、その他の脅威から保護される権利を有する。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの意に反して、専横的あるいは不正なる手法によって、一時的にも恒久的にも、適切な法的またはその他の保護措置への身近なアクセスを提供または実現せずに、人びとが利用・占有する住居および土地から引き離してはならない。退去が避けられない場合は、加盟国はすべての物品およびその他の損失に対して、公平かつ公正な補償を提供または保証する。

第二十五条 (教育と研修の権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、自らが基盤とする特定のアグロエコロジカルな環境と、社会文化的かつ経済環境に叶った適切な研修に対する権利を有する。当該研修プログラムでは、生産性の向上、マーケティング、虫や病気、(市場などの)システム破綻、化学物質の影響、気候変動および気象によってもたらされる現象に善処する能力を含む、他方これらに限定しない課題を取り上げる。

2. 小農と農村で働く人びとのすべての子どもたちは、自らの文化を踏まえ、かつ人権に関わる諸条約に明記されたすべての権利に則り、教育の権利を有する。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びとが直面する火急の課題に対してより適切に対応するため、平等かつ参加型の農民と科学者間のパートナーシップを促進する。例えば、農民フィールド学校(FFS)、参加型の植物育種、植物および動物病院などである。

4. 加盟国は、農場レベルでの研修、市場情報、助言サービスを提供すべく、これに投資する。

第二十六条 (文化的権利と伝統的知識/知恵に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、干渉やいかなる形態の差別も受けず、自身の文化を享有し、自由に文化の発展を追求する権利を有する。加えて、これらの人びとは、生き方、生産の手段や技術、慣習や伝統など、自らの伝統的な知識/知恵と地域社会で育まれた知識を維持、表現、運用、保護、発展させる権利を有する。何人も、文化に対する権利の行使により、国際法で保障された人権を侵害してはならず、人権の範囲を制限してはならない。

2. 小農と農村で働く人びとは、個人および/あるいは集合的にも、集団あるいはコミュニティとしても、国際的な人権基準に従って、地元の慣習、言語、文化、宗教、文学、芸術を表現する権利を有する。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの伝統的な知識/知恵に対する権利を尊重し、この権利を認め保護するための措置をとり、小農と農村で働く人びとの伝統的な知識、実践、技術に対する差別を撤廃する。

第二十七条 (国際連合とその他の国際機関の責務)

1. 国連の専門機関・基金・計画、国際および地域金融機関を含むその他の政府間組織は、本宣言の完全な履行に寄与する。これには、特に、開発援助および協力を通じたものが含まれる。小農と農村で働く人びとに影響を及ぼす問題について、これらの人びとの参加を保障する手段ならびに財源について配慮する。

2. 国際連合、国連専門機関・基金・計画、国際および地域金融機関を含むその他の政府間組織は、本宣言への敬意とその完全なる適用を促進し、その効果を確認し続ける。

第二十八条 (追加)

1. 本宣言に記されるいずれの条文も、小農と農村で働く人びとと先住民族が、現在保持する、あるいは、将来獲得する可能性のある諸権利を弱め、侵害し、無効化するものと解釈してはならない。

2. 本宣言が明言する権利の行使にあたっては、いかなる種類の差別なしに、すべての人権と基本的自由が尊重される。本宣言に示された権利の行使の制限は、法に定められ、かつ、国際人権法に準拠したものに限られる。これらのいかなる制限も、非差別的なものであり、他者の人権と自由への正当なる認識と尊重を保障する目的、ならびに、民主主義社会において公正かつ最も切実な要求を満たすために必要とされる場合に限る。

以上


監訳:舩田クラーセンさやか訳者:根岸朋子

*この「小農権利国連宣言」が成立するまでのプロセスは以下の訳書をご参照下さい。『国境を越える農民運動〜世界を変える草の根のダイナミズム』(明石書店)
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by africa_class | 2019-02-04 08:05 | 【国連】小農の権利宣言

【完訳2】国連採択された「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」、最終決議・宣言を監訳終えました。次に第1条から第13条

若干校正したものを貼り直します。


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小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言

(前文→https://afriqclass.exblog.jp/239092212/)

第一条 (小農と農村で働く人びとの定義)

1. 本宣言において、小農とは、自給のためもしくは販売のため、またはその両方のため、一人もしくはその他の人びとと共同で、またはコミュニティとして、小さい規模の農的生産を行なっているか、行うことを目指している人、そして、例外もあるとはいえ、家族および世帯内の労働力ならびに貨幣を介さないその他の労働力に大幅に依拠し、土地(大地)に対して特別な依存状態や結びつきを持つ人を指す。

2. 本宣言は、伝統的または小規模な農業、栽培、畜産、牧畜、漁業、林業、狩猟、採取、または農業と関わる工芸品づくり、農村地域におけるその他の関連する職業につくあらゆる人に適用される。さらに、小農の扶養家族にも適用される。

3. 本宣言は、土地に依拠しながら生きる先住民族およびコミュニティ、移動放牧、遊牧および半遊牧的なコミュニティ、さらに、土地は持たないが上述の営みに従事する人びとにも適用される。

4. さらに本宣言は、移住に関する法的地位の如何にかかわらず、すべての移動労働者および季節労働者を含む、プランテーション、農場、森林、養殖産業の養殖場や農業関連企業で働く、被雇用労働者にも適用される。


第二条 (加盟国の一般的義務)

1. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの権利を尊重、擁護、実現する。本宣言の権利の完全なる具現化を直ちに保障できなくとも、漸進的な達成を実現するため、加盟国は、法的、行政上、その他の適切な措置を迅速にとる。

2. 本宣言の実施に関し、(加盟国は)様々な形態の差別に対処する必要性を考慮に入れ、高齢者や女性、若者、子ども、障害者を含めた小農と農村で働く人びとの権利および特別なニーズに特別な注意を払う。

3. 加盟国は、先住民族に関する特別な法律を無視することがないよう留意しつつ、小農と農村で働く人びとの権利に影響を及ぼす可能性がある法律、政策、国際条約、その他の意思決定プロセスの適用と実施の前に、小農と農村で働く人びとを代表する機関を通じて、誠実に、彼らと協議・協力し、意思決定がなされる前に、それに影響を受ける可能性のある小農と農村で働く人びとの関与を実現し、彼らの賛同を求め、彼らの貢献に応え、異なる関係者間に存在する非対称な力関係を考慮しつつ、意思決定のプロセスにおいて、個人および集団にとって、主体的かつ自由な、実効性を有し意味のある、十分な情報の提供を伴った参加を保障する。

4. 加盟国は、小農と農村で働く人びとに適用されるべき人権法と矛盾がない(一貫性のある)手法で、貿易、投資、金融、税制、環境保護、開発協力、安全保障分野を含む、関連する国際条約および基準を策定、解釈、適用する。

5. 加盟国は、民間の個人および組織ならびに多国籍企業やその他の営利企業体などの非国家主体に対し、規制をする立場から、小農と農村で働く人びとの人権の尊重と強化を確実なものとするため、すべての必要な措置をとる。

6. 加盟国は、本宣言の目的および目標を実現するための各国の努力に対し、これを支援する国際協力の重要性を認識しつつ、この点に関し、それが望ましい場合、関連する国際機関、地域機関、市民社会、とりわけ、小農と農村で働く人びとの組織と協力して、二国間および多国間で適切かつ効果的な措置をとる。そのような措置には以下のものが含まれる。

a) 小農と農村で働く人びとが参加でき、これらにとって利用可能で適切な国際開発プログラムを含む国際協力の確保

b) 情報、経験交流、研修プログラム、ベストプラクティス(最善と考えられる実践例)についての交換や共有を含む能力向上の促進と支援

c) 調査研究および、科学・技術知識へのアクセスにおける協力の促進

d) それが適当とされる場合における、相互に合意した条件下での、技術・経済支援の提供。これらは、利用可能な技術へのアクセスと共有の促進、技術移転を通じて、特に途上国に対して行われる。

e) 極端な食料価格の高騰と投機的な誘惑を抑制するため、世界規模での市場の機能改善、および、食料備蓄を含む市場情報への時宜にかなったアクセスの促進


第三条 (不平等および差別の禁止)

1. 小農と農村で働く人びとは、国連憲章、世界人権宣言、ならびにその他のあらゆる国際人権条約で定められた、すべての人権と基本的自由を余すことなく享受する権利を保持し、その権利の行使は、出自、国籍、人種、肌の色、血統(家柄)、性別、言語、文化、婚姻歴、財産、障害、年齢、政治または他の事柄に関する言論、宗教、出生、経済、社会、その他に関する地位/身分等に基づく、いかなる差別も受けない。

2. 小農と農村で働く人びとは、発展/開発の権利を行使する上で、優先事項および戦略を決定、構築する権利を有する。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びとに対する、複合的で様々な形態のものを含む差別を引き起こす、あるいは永続させる諸条件を除去するため、適切な措置をとる。


第四条 (小農女性と農村で働く女性の権利)

1. 加盟国は、男女平等に基づき、小農女性と農村で働く女性が、あらゆる人権と基本的自由を十分かつ平等に享受し、農村の経済、社会、政治、文化的発展を自由に追求でき、それへの参加が可能で、そこから利益を得られることを保障すべく、これらの女性に対するあらゆる形態の差別を撤廃し、エンパワーメントの促進に資するすべての適切な措置をとる。

2. 加盟国は、小農女性と農村で働く女性が差別を受けることなく、本宣言、ならびに、その他の国際人権条約に定められたすべての人権ならびに基本的自由を享受できるよう保障する。その中には以下の権利が含まれる。

a) あらゆるレベルの開発計画の策定と実施において、平等に、かつ実効性を伴った参加ができる権利

b) 適切な保健医療施設、 家族計画についての情報、カウンセリング、サービスを含む、心身のために、到達可能な最高水準の医療に平等にアクセスする権利

c) 社会保障制度から直接利益を得る権利

d) 機能的識字力に関する研修、教育を含む、公式、非公式を問わず、あらゆる種類の研修、教育を受ける権利、技術的な面での習熟度を引き上げるためのコミュニティ内に存在する、また農業普及に関するすべてのサービスから利益を得る権利

e) 雇用と自営活動を通じて経済機会への平等なアクセスを得るため、自助組織、アソシエーションおよび協同組合を組織する権利

f) あらゆるコミュニティ活動に参加する権利

g) 金融サービス、農業融資やローン、販売施設、適切な技術に平等にアクセスする権利

h) 土地と自然資源への平等なアクセス、利用、管理を行う権利、土地と農地改革、土地再定住計画において、平等または優先的に扱われる権利

i) 働きがいのある人間らしい(ディーセントな)雇用、そして、平等な報酬と社会保障給付に対する権利、収入創出のための活動に参加する権利

j) あらゆる形態の暴力を受けない権利


第五条 (自然資源に対する権利と発展/開発の権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、本宣言第28条に則り、適切な生活条件を享受するために必要とする自らの居住地域に存在する自然資源にアクセスし、それらを持続可能な手法で利用する権利を有する。また、小農と農村で働く人びとは、これらの自然資源の管理に参加する権利を有する。

2. 加盟国は、小農と農村で働く人びとが伝統的に保有あるいは利用する自然資源に影響を及ぼすあらゆる資源開発(計画)の認可について、確実に以下の事項——ただしこれらの事項に限定されるものではない——に基づいた措置をとる。

a) 適切に実施された社会環境影響評価

b) 本宣言第2条第3項に準拠した誠実な協議

c) 資源開発者ならびに小農と農村で働く人びとの両者が合意する条件に基づいて行われる開発がもたらす利益を公平かつ平等に分け合うための手順(モダリティ)


第六条 (生命、自由、安全に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、(法の下における)人として、生命に対する権利(生存権)、肉体および精神の不可侵性への(尊重に対する)権利、自由と安全に対する権利を有する。

2. 小農と農村で働く人びとは、恣意的な逮捕、拘束、拷問、その他の残酷かつ、非人間的または屈辱的な扱いや処罰にさらされてはならず、奴隷または隷属状態におかれてはならない


第七条 (移動の権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、いかなる場所においても、法の下における人として認められる権利(人格権)を有する。

2. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの移動の自由を促進する適切な措置をとる。

3. 加盟国は、本宣言第28条に基づき、それが必要とされる場合には、国境上の農村で働く小農と人びとに影響を及ぼす、国境を超えた土地所有・利用権の課題について、協力して適切な措置をとる。


第八条 (思想、言論、表現の自由)

1. 小農と農村で働く人びとは、思想、信条、良心、宗教、言論、表現、および平和的集会の自由の権利を有する。これらの人びとは、口頭、記述、印刷物、芸術、または自らが選ぶあらゆる媒体を通して、自治体、地域、全国、国際レベルで意見を表明する権利を有する。

2. 小農と農村で働く人びとは、人権および基本的自由の侵害に対する平和的な活動に、他者との共同を通じ、あるいは一つのコミュニティとして、個人ならびに/あるいは集団として、参加する権利を有する。

3. 本条に明記された権利の行使には、特別な義務と責任が伴う。したがって、それらは一定の規制の対象となり得るが、それは法が定めるところにより、かつ必要不可欠な場合に限られる。

a) 適切に実施された社会環境影響評価
b) 他者の人権また信用の尊重のため、国家安全保障、公的秩序、公衆衛生、あるいは、社会倫理を護るため

4. 加盟国は、本宣言に記された権利を彼または彼女が正当に行使・擁護した結果として生じる、いかなる暴力、脅し、報復、法律上または事実上の差別、圧力、その他の専横的な行為から、個人であろうとも他者との集合体の形をとろうとも、すべての人が確実に保護されるため、管轄当局に必要な措置をとらせる。

第九条 (結社の自由)

1. 小農と農村で働く人びとは、自らの利益を護るために自ら選択した組織、労働組合、協同組合、その他の組織や結社をつくる権利および参加する権利、団体交渉の権利を有する。これらの組織は、独立し、自発性に根ざし、あらゆる干渉、強制、あるいは抑圧からの自由を保持する。

2. この権利の行使にあたっては、いかなる制限も受けない。ただし、民主主義社会下で、国家の安全保障や治安、公的秩序、公衆衛生の保全、倫理、あるいは他者の人権と自由の擁護に必要不可欠かつ法で規制される場合を除く。

3. 加盟国は、労働組合や協同組合、またはその他の組織を含む、小農と農村で働く人びとの組織の創設を奨励するための適切な措置をとる。特に、人びとが正当なる(法に適った)活動を創造し、発展させ、追求する上での障壁を除去する。これには、これらの組織とそのメンバーに対する立法上あるいは行政上のすべての差別の撤廃が含まれる。また、契約交渉における条件と金額が公正で安定したものとなるよう、さらには、これらの人びとの尊厳や充足した生活に対する権利が侵されないことを保障するため、人びとの地位の向上を支援する。


第十条 (参加の権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、自らの生命、土地、暮らしに影響を及ぼしうる政策、計画、および事業の準備と実施に対し、主体的かつ自由な、直接かつ/あるいは自らを代表する組織を通した参加の権利を有する。

2. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの生命、土地、暮らしに影響を及ぼす可能性のある意思決定のプロセスへの、直接的および/あるいは彼らを代表する組織を通じた参加を促進する。これには、強力かつ独立した小農と農村で働く人びとの組織の設立、ならびに、その発展への敬意、そして彼らに影響しうる食の安全、および労働と環境基準の策定と実施への参加の促進も含まれる。


第十一条 (生産、販売、流通に関わる情報に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、情報を求め、受け取り、それを進化させ、他に知らせる権利がある。これには、自らの生産物の生産、加工、販売、流通に影響を及ぼす恐れのある事柄に関する情報が含まれる。

2. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの生命、土地、暮らしに影響を及ぼしうる事柄の意思決定(プロセス)において、これらの人びとの実効性を伴った参加の実現を保障するとともに、これらに関する透明かつ時宜にかなった、適切な情報へのアクセスを確実にするための適切な措置をとる。その際には、それぞれの文化にふさわしい言語、形式、手段を用い、人びとのエンパワーメントの促進を可能とする。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びとが、自治体、全国、国際レベルにおいて、自らの生産物の質を評価・認証する公平で公正かつ適切なシステムにアクセスできるよう促すとともに、そのようなシステムの構築への参加を促すべく、適切な措置をとる。


第十二条 (司法へのアクセス)

1. 小農と農村で働く人びとは、実効性を伴った、差別のない司法へのアクセスの権利を有する。これには、紛争解決のための公正なる手続きへのアクセス、そして、これらの人びとの人権へのあらゆる侵害に対する実効力を伴った救済措置へのアクセスの権利を含む。決定(判決など)にあたっては、小農と農村で働く人びとの慣習、伝統、規則、法制度を十二分に考慮に入れ、国際人権法の下にある関連法に準拠する。

2. 加盟国は、公正かつ適格な司法および行政機関を介して、時宜にかない、無理なく支払え、実効性を伴った、当該関係者の言語の利用が可能な紛争解決手法への差別なきアクセスを整備する。さらに、控訴、返還、弁償、補償および賠償への権利を含む、実効力のある迅速な救済を提供する。

3. 小農と農村で働く人びとは、法的支援を受ける権利を有する。加盟国は、そのような支援がなければ行政および司法サービスを利用することができない小農と農村で働く人びとのために、法的支援を含む追加措置を考慮する。

4. 加盟国は、本宣言に明記された権利を含む、すべての人権の促進と擁護のため、関連する国の機関/制度の強化措置を考慮する。

5. 加盟国は、小農と農村で働く人びとが、人権を侵害され、専横的に土地と自然資源を奪われ、生計の手段と不可侵性を剥奪され、あらゆる形態の強制的な立ち退きや定住を強要されることを意図する、もしくはそれらの結果を導くすべての行為の防止とそれからの救済を実現するため、小農と農村で働く人びとに実効力を伴った手段を提供しなければならない。

第十三条 (働く権利)
1. 小農と農村で働く人びとは、自らの生計をたてる方法を自由に選択する権利を含めた働く権利を有する。

2. 小農と農村で働く人びとの子どもたちは、危険を伴いかねない、子どもの教育を妨げる、あるいは、子どもの健康や身体的、精神的、心理的、道徳的、または社会的発達にとって有害な、いかなる労働からも保護される権利を有する。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びととその家族に対して、適切な生活水準が実現できる報酬を提供する、働く機会が可能となる環境を構築する。

4. 農村で高い水準の貧困に直面する国において、他の部門で雇用機会がない場合、加盟国は、適切な雇用の創出に寄与できるよう、十分に労働集約的で持続可能なフードシステムを構築・促進するため、適切な措置をとる。

5. 加盟国は、小農による農業と小規模な漁業の特別な性質を考慮した上での労働法の順守をモニターするため、必要に応じて、適切な資源を配置することによって、農村地域における労働監督官の実効力のある活動を保障する。

6. いかなる人も、強制、奴隷、義務的労働を求められてはならず、人身取引の被害に遭うリスク、またその他いかなる形態の現代的奴隷の対象にされてはいけない。加盟国は、小農と農村で働く人びと、これらの人びとを代表する組織と協議、協力し、経済的搾取、児童労働、債務による女性、男性、子どもの束縛といった、あらゆる形態の現代的奴隷制から、漁撈者と漁業労働者、林業労働者、季節・移住労働者を含む、小農と農村で働く人びとを護るための適切な措置をとる。

続き→https://afriqclass.exblog.jp/239092231/

監訳:舩田クラーセンさやか
訳者:根岸朋子


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国連総会第三委員会でこの「小農宣言」が採択された翌日(2018年11月21日)、3カ国民衆会議が東京の聖心女子大学で開催された。そのことを受けて壇上にあがったブラジル、モザンビーク、日本の小農の皆さん。この宣言への日本政府の棄権が、会議では大きな話題となった。

3カ国民衆会議の詳細→http://triangular2018.blog.fc2.com/


by africa_class | 2019-02-04 07:58 | 【国連】小農の権利宣言

【完訳1】国連採択された「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」、最終決議・宣言を監訳終えました。まず前文

最後は思った以上の難産となりましたが、なんとか「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言(略称:国連小農宣言)」の最終バージョンの監訳を終えました。もう深夜なので、とりあえずできるところまで貼っておきます。


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小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言

(国連総会決議版、日本語訳ver.1)



2018年10月30日

https://documents-dds-ny.un.org/doc/UNDOC/GEN/G17/051/60/PDF/G1705160.pdf?OpenElement

A//c.3/73/L.30(国連総会決議)



〔宣言の構成 *最終宣言文からは各条のタイトルは削除され、数字だけになっている〕





前文

第一条 小農と農村で働く人びとの定義

第二条 加盟国の一般的義務

第三条 不平等および差別の禁止

第四条 小農女性と農村で働く女性の権利

第五条 自然資源に対する権利と発展/開発の権利

第六条 生命、自由、安全に対する権利

第七条 移動の自由

第八条 思想、言論、表現の自由

第九条 結社の自由

第十条 参加の権利

第十一条 生産、販売、流通に関わる情報に対する権利

第十二条 司法へのアクセス

第十三条 働く権利(勤労の権利/労働権)

第十四条 仕事場での安全と健康に対する権利

第十五条 食への権利と食の主権

第十六条 十分な所得と人間らしい暮らし、生産手段に対する権利

第十七条 土地とその他の自然資源に対する権利

第十八条 安全かつ汚染されていない健康に良い環境に対する権利

第十九条 種子への権利

第二十条 生物多様性に対する権利

第二十一条 水と衛生に対する権利

第二十二条 社会保障に対する権利

第二十三条 健康に対する権利

第二十四条 適切な住居に対する権利

第二十五条 教育と研修の権利

第二十六条 文化的権利と伝統的知識

第二十七条 国際連合と他の国際機関の責務

第二十八条 (追加の項目)


「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」に関する国連総会決議




国連総会は、
2018年9月28日の決議39/12、小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言を人権理事会が採択したことを歓迎し、

1. 小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言について、本決議の附属書通りの内容で採択し、
2. 各国政府、国連機関・組織、ならびに、政府間・非政府組織が本宣言を普及し、これについての敬意と理解を全世界に促すことを求め、
3. 本宣言文をHuman Rights: A Compilation of International Instruments(「人権-国際法文集」)の次版に含めることを国連事務総長に要請する。


【付属書】

    小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言

国連総会は、
すべての人びとが生まれながらにして持つ尊厳、価値、平等かつ不可譲の人権を承認した、国連憲章に明記される原則が、世界における自由、正義、平和の基礎となることを想起し、

世界人権宣言、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約、経済的・社会的および文化的権利に関する国際規約、市民的および政治的権利に関する国際規約、女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約〔女性差別撤廃条約〕、児童の権利に関する条約〔子どもの権利条約〕、すべての移住労働者およびその家族の構成員の権利の保護に関する国際条約、これに関連する国際労働機関(ILO)の条約、および、全世界的または地域レベルで採択された他の関連する国際条約に明記される原則を考慮し、

発展/開発の権利に関する宣言を再確認するとともに、発展/開発の権利が、すべての個人とすべての人びと(人民)にとって、不可譲の人権の一部を成し、これらの人びとが、人権に関わるすべての権利と基本的自由が完全に具現化される経済的、社会的、文化的、政治的な発展(のプロセス)に参加し、貢献し、それを享受することができる権利を有することを再確認し、

また、先住民族の権利に関する国連宣言を再確認し、

すべての人権は、普遍的かつ不可分、関連し合い、依拠し合い、相互に補完し合い、同じ土台の上で、等しく重視され、公平かつ公正に扱わなければならないことを確認し、一範疇の権利の促進と擁護によって、他の権利の促進と擁護を加盟国が免れてはならないこと改めて強く明言し、

小農と農村で働く人びととが結びつき、彼らが暮らしていくために依存する土地、水、自然との間の特別な関係および関わり合いを認識し、

世界のあらゆる地域の小農と農村で働く人びとによる、世界の食と農業生産の基盤を構成する過去、現在、未来の発展/開発と生物多様性の保全と向上に対する貢献、そして持続可能な開発のための2030アジェンダを含む国際的に合意された開発目標の達成のため不可欠である、適切な食と食料保障への権利の確保における貢献を認識し、

小農と農村で働く人びとが、貧困と飢え、栄養不足に著しく陥っていることを懸念し、

また、小農と農村で働く人びとが、環境破壊と気候変動がもたらす被害を受けていることを懸念し、

世界で小農の高齢化が進み、農村生活におけるインセンティブの欠如や重労働を理由に、若者がますます都市部へと移住し農業に背を向けていることを懸念し、とりわけ農村の若者に対して、農村における経済の多様化と、農場労働以外の機会の創出の必要をさらに認識しつつ、

ますます多くの小農と農村で働く人びとが、毎年強制的な追い出しあるいは立ち退きを強いられていることに警鐘を鳴らし、

さらに、いくつかの国で小農の自殺が多発していることに危機感を募らせ、

小農女性と農村女性が、家族が経済的に生きのびることができるよう、さらには農村と国の経済に対して、貨幣経済外の労働を含む重要な役割を果たしていながら、土地の所有・利用権、または、土地、生産資源、金融サービス、情報、雇用、社会的保護への平等なアクセスをしばしば拒まれ、さらには、頻繁に様々な形態や表現による暴力と差別の犠牲となっていることを強調し、

加えて、関連する人権法に従って、貧困、飢え、栄養失調の根絶、質の高い教育と健康の促進、化学物質と廃棄物汚染からの保護、児童労働の廃絶を通して、農村の子どもたちの権利を促進し擁護することの重要性を強調し、 

とりわけ、いくつかの要因により、小農および農村で働く人びと、小規模漁撈者、漁業労働者、牧畜民、林業従事者、コミュニティの声の反映、人権および土地の所有・利用権の擁護、これらの人びとが依存する自然資源の持続可能な利用の保障といった点が困難になっていることについて強調し、

土地、水、種子(たね)、その他の自然資源へのアクセスが、農村の人びとにとってますます困難になっていることを改めて認識し、生産を可能とする資源へのアクセスの改善と農村の適切な発展/開発のための投資の重要性を強調しつつ、

小農と農村で働く人びとの持続可能な農業生産の実践と促進の努力、これには多くの国と地域で「母なる地球(マザーアース)」と呼ばれる自然を護り、それと調和し、そのプロセスとサイクルを通じて適応・再生する生態系の生物学上かつ自然に備わる能力への尊重を含むが、これらの人びとによるこの努力こそが支援されるべきであることを確信し、

世界のいたるところで、小農と農村で働く人びとの多くが、仕事場で基本的人権を享受する機会を否定され、生活賃金および社会的保護に十分ではない有害で搾取的な(労働)条件をたびたび与えられていることを考慮し、

土地や自然資源の問題に取り組む人びとの人権を促進し擁護する個人、集団、機関が、様々な形態の脅しや身体的一体性への侵害(暴力)を受けるリスクが高いことを懸念し、

小農と農村で働く人びとが、暴力、虐待、搾取からの救済や保護を即座に求めることができないほど裁判所、警察官、検察官、弁護士へのアクセスが困難となっていることに注目し、 

人権の享受を損なう、食品に対する投機、フードシステムにおける寡占の進行とバランスを欠いた分配の増加、ヴァリューチェーン内の不平等な力関係を懸念し、

すべての個人とすべての人びと(人民)にとって、発展/開発の権利が不可譲の人権の一部を成すこと、そして、これらの人びとが、人権上のすべての権利と基本的自由が完全に具現化される経済的、社会的、文化的、政治的な発展(のプロセス)に参加・貢献し、それを享受する権利を有することを、いま一度確認し、

これらの人びとが、人権に関する二つの国際規約における関連条項の対象者であり、自然の恵みとそれがもたらす資源のすべてについて、十分かつ完全なる主権を行使する権利を有していることを想起し、

食の主権の概念が、多くの国と地域で、人びとが自らの食と農のシステムを決定する権利として、さらに、人権を尊重し、環境配慮の上で持続可能な方法で生産される健康かつ文化面において適切な食への権利として、定義され活用されていることを認識し、

個々人が、他者のため、また自身が帰属するコミュニティのために責任を担い、本宣言と国内法に明記された権利の促進と順守の努力義務を果たすことを理解し、

文化的多様性を尊重し、寛容、対話および協力を促進することの重要性を再確認し、

労働者の保護と適切な労働に関する国際労働機関の規約と勧告の広範なる体系の存在を想起し、

また、生物多様性に関する条約、名古屋議定書(生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会およびその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書)を想起し、

食への権利、土地に対する権利、自然資源へのアクセス、その他の小農の権利に関する国連食糧農業機構(FAO)および世界食料安全保障委員会(CFS)による広範なる取り組み、特に食料および農業のための植物遺伝資源に関する国際条約、ならびに、ナショナルな食料保障の文脈における土地、森林、漁場の権利のための責任あるガバナンスに関する任意ガイドライン、食料保障と貧困撲滅の文脈における持続可能な小規模漁業を保障するための任意ガイドライン、ナショナルな食料保障の文脈における適切な食への権利の漸進的な実現を支援するための任意ガイドラインを想起し、

農地改革と農村開発に関する世界会議、またそれによって採択された小農憲章の結果を踏まえ、農地改革と農村開発のための適切な国家戦略の策定の必要性とその国家開発戦略全体への統合が強調されたことを想起し、

本宣言および関連する国際条約は、人権擁護を強化する視点を備えた、相互に支え合うものであるべきことをいま一度確認し、

国際協調と連帯における不断の努力の向上を通じて、人権のための取り組みの着実な進展を実現するという視点を備えた国際社会が、この新たな歩みへの尽力を決意したことを受け、

小農と農村で働く人びとの人権をより一層擁護し、この問題に関する既存の国際人権規範ならび基準の一貫した解釈と適用を行う必要性を確信し、

以下を宣言する。


続きは→https://afriqclass.exblog.jp/239092220/

監訳:舩田クラーセンさやか
訳者:根岸朋子

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3カ国民衆会議(2018年11/20@聖心女子大学)でこの宣言についてプレゼンをしてくれたモザンビーク出身のボアヴェントゥーラ・モンジャーネさんのプレゼン資料(日本語版)です。
全スライドは、近々以下のサイトに掲載します。お楽しみに!
http://triangular2018.blog.fc2.com/



by africa_class | 2019-02-04 07:54 | 【国連】小農の権利宣言

【2/18】「国連小農宣言・家族農業の10年」院内集会が参議院議員会館で開催。日本の食と農の近未来・将来にとって凄く重要なモーメントです。

ドイツは雪が積もったままです。
といっても南部の緊急事態ほどにはヒドくないので文句は言えません。

さて。
生産者や食べる人達の主権(自由・選択肢の確保)という意味では、危機的な状況を迎えつつある日本の食と農の政策。これを転換するためのチャンスが、ついに国連の議場から、世界にいま広がっています。

前置きが長いので、ソレ何?!知りたい!という方は以下のサイトをクリック下さい。

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【院内集会】2・18「国連小農宣言・家族農業の10年」院内集会

http://unpesantsrights.blog.fc2.com/blog-entry-2.html
日時: 2019年2月18日(月) 14時〜17時30分(休憩あり)
場所: 参議院議員会館
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「国連から」といっても、これも上からふってきたものではなく、世界(とくに南)の小農と小農運動、それを支える人びとや機関の粘り強い努力によって、ついに国連が動かされたというのが、その真相であることについては、このブログの読者ならご存知のとおり。

いや知らないから・・・という方は以下を
https://afriqclass.exblog.jp/i43/
あるいは去年出版したばかりの訳書をご覧下さい。
『国境を越える農民運動〜世界を変える草の根のダイナミクス』(明石書店)
http://www.akashi.co.jp/book/b420388.html

日本の農家さんでも、「国連」がついた途端に、ニューヨークやアメリカ、国連官僚を想像して、「上からふってきた迷惑なもの」と受け止めてしまうかもしれません。でも、宣言文を読んでいただければ、この宣言が世界の小農が直面する様々な課題を明確にし、それらを団結して乗り越えるために、各国と国際機関に義務を果たさせようとするものであることが分かると思います。

そして、その問題の解決において、小農と小農団体が議論の段階から参加し、意思決定においても参加することが(事前に十分な情報や支援を行った上で)、侵されてはならない「権利」として明記され、加盟国の守るべき義務として設定されています。

つまり、この宣言は、世界の小農が、自分たちの権利、暮らし、生産を守るために、多いに活用することが想定されて、制定されているのです。小農の権利の実現のために、小農やそれを応援する人びとが、各国の政策を転換し、その政策の実施を実現し、その後の監視を行うツールとして、この宣言は作られています。

小農が小農のために小農によって提案した宣言を、少々手直ししたとはいえ、世界の「ほぼ」全部の国(国連加盟国196カ国)が守ることが国際合意(ルール)となりました。例え、一部の加盟国が、この宣言のある部分、あるいは宣言の採決に反対し、棄権しようと、宣言が国連総会で採択された以上は、国際法となったのです。

もう一度書きます。
「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」
は、国際法の一部となりました。

そして、国連加盟国は、国連憲章に則り、この宣言に書かれた約束を守る義務があります。


ですので、たとえ日本政府が、この宣言の中身に疑問をもち、採決を何度も棄権し、最終採決も棄権したからといって、この宣言を守らなくていいということにはなりません。いまさら、中身がどうのこうの文句を言ってスルーしてたらいけないのです。

国連加盟国である以上は、国連憲章に則り、新たな国際法となったこの宣言を守るために知恵を絞り、努力しなければなりません。

ここに院内集会を開催する意義があります。

*といっても、以上も以下も私の個人的な見解であり、主催者の総意ではありませんので、その点はよろしくお願いいたします。

つまり、この宣言の採択を受けて、政府と小農、市民は、早急に以下のことを大いに語り合う必要があると思います。(前提に、日本の小農や小農団体、農村の人びとがこの宣言の動きをまず知る、内容を理解する、使えるものがあるか吟味する・・・という作業も不可欠です)

1)まず日本政府は小農宣言や家族農業の10年をどう理解しているのか?
2)国際合意となった以上、加盟国として、どのように取り組んでいくつもりなのか?
3)以上の1)と2)は日本の小農や小農団体にとって、どのような意義・課題があるのか?
4)国際法となった小農の諸権利の実現のために、政府や小農や市民が一緒に、あるいは、それぞれ、やるべきことは何か?

しかし、とくに、現政権下の日本の政府関係者にとって「権利」という言葉は煙たがられるでしょう。しかし、この宣言が「権利」として位置づけられていることには理由があるのです。(また詳しく解説します)

もし日本の政府が今年始まる「家族農業の10年」ばかり重視し、この「小農権利宣言」を祖末に扱うとすれば、それこそまさに国連憲章に反し、国連小農宣言に背を向け、「小農の権利」を蔑ろにしたことになります。

国際法が定める義務の観点から、この二つの動き(宣言と10年)の関係は次のようなものとなります。
「小農の権利に関する国連宣言」>キャンペーンとしての「家族農業の10年」の決議

なぜなら前者には、加盟国が守らなければいけない国際義務が条文として策定されており、後者は加盟国として一緒にアクションしようねの決意文だからです。(この違いは、院内集会までに詳しく紹介したいと思います)いずれも国連総会で議決されているので、その意味では拘束力はあります。

もちろん、政府は「must(しなければならない)ではなくshall(やります)だ」と言い張るでしょう。でも、「やります」は国際的な約束であり、約束した以上はその履行が義務となります。もちろん、ソフトローなので、義務違反への処罰はありません(ハードローとの違い)。しかし、この宣言文に書かれたことすべてが加盟国の義務であることは動かし難い事実です。それを「内容に賛同できないからやらない」といってしまうことは、国連憲章違反となります。

なので、そのような説明を外務省や農水省がすることはできません。
万一したら、国連総会あるいは人権理事会への重要な報告事項となるので記録しておくようにお願いします。ありえる発言が、「理解できないのでやりようがない」ですが、そういってきたらこの宣言を起草したり主導した加盟国・諮問委員会・専門家グループ・小農運動を、日本政府の資金で、日本に招待して、大いに説明してもらい、学びましょうといえばいいのです。

この間の日本政府関係者の説明では(@国連人権理事会での議論)、「小農の権利」について議論しているのに、「日本は小農支援しているから大丈夫」みたいな話がずっと展開されてきました。このような話法は、今回採択された「小農宣言」の中身に照らし合わせると、明確なる権利侵害です。ここもまた重要ポイントです。

おそらく、親方日の丸的な国家運営や援助をしてきた日本の役人・役所、その他の機関、あるいはコンサルタントや専門家にとって、ここが一番分かりづらいところだと思います。「あ、なるほど!」と、ストーンと落ちないのだと思います。

その前提に「自分たちの方が小農よりも知っている!」という思い込みがあります。そして、この点こそが、「小農権利宣言」が「差別」あるいは「権利侵害」として断罪している点なのです。

この国連宣言が加盟国に義務づけたのは、小農の権利としての政策策定・決定段階への参加でした。旧来型の手法、つまり、小農を支援する方法を政府や専門家が考えてあげて、それを小農側に押し付けるやり方は、小農の参加を軽視し、かつ妨害する行為にあたり、「宣言」に照らし合わせると、明確な権利侵害となります。

(*このブログでおなじみの「プロサバンナ事業」は、もはや新たに国際法となった「小農宣言」を踏まえれば、違法となります。単純に、地域の小農と小農組織が強く反対していること、現行のマスタープランは日本のコンサルが策定してから意見を求め、策定段階から関わるのでなければ意味がないと小農が主張してきたことなどが挙げられます。この点は別途書きます。)

なぜ、小農宣言がソフトローとはいえ、2018年時点で切実なる国際合意・「国際義務」として策定されたのか?まさ、繰り返し唱えられた「non-discrimatory(非差別)」という言葉にその精神が示されています。

いま、食と農をめぐっては、世界大・日本でも、投資家・企業支配が強まっています。小農による生産は非効率で規模が小さく、駆逐されても仕方のないものとして扱われ、その結果として、南の国々では小農の手から土地や水や森林が奪われ、北の国々では政策的な支援メニューが奪われています。

(しかし、小農こそが地域社会において、家族の、人びとの食を提供しており、してきた最も重要なアクターである、そうこの宣言は前文で唱えております。)

一方で、大企業や投資家には土地や水などを小農から奪うための規制緩和、手厚い補助金、税の免除などの支援が与えられています。

つまり、小農はとても太刀打ちできない非対称的(差別)状況を押し付けられているのです。なので、「差別」というのは、文化的社会的なものだけでなく、政治経済や政策面での差別を含んでいます。

この結果は、わたしたち食べる人にも悪い影響を及ぼしています。
食べる人は、ごく少数の多国籍企業が扱う種子やそれにあわせた化学肥料や農薬を使って大量生産された画一化された背景をもつ食に依存させられつつあります。このまま小農が直面する苦境が改善されず、小農による食の提供の可能性がなくなると、食べる人の側の選択肢はなくなります。

その結果は、「食」に留まらず、古代から現在まで生き残ってきた品種、生物多様性、世界の小農が農村部で守ってきた自然環境・生態系が、破壊され、消失することになります。つまり、小農の消滅は、「食と農」に留まらない、地球全体の危機を決定的にすることになるのです。

これをなんとかせねばと去年末に世界は立上がりました。
2012年から延々と国連理事会を舞台に続けられてきた国際交渉を経て、2018年12月に121カ国の賛同により、この宣言は国際法となったのです。

世界を動かしたのは小農たちでした。
(過去投稿をご覧下さい)

一方で、日本ではそのことも知られないばかりか、すでに世界中で行われて問題視されてきた手法(外資導入、土地集積、企業支配)が推し進められています。

もちろん、日本の農村は高齢化が深刻です。しかし、それを乗り越えるための本来あるべき小農がほしいと思っている支援ではなく、都市や東京の政策立案者や企業や投資家が「押し付けたいあるべき解決」にこそお金がついている状態にあります。このままでは、農村や田畑でがんばっている小農のみなさんを本当に応援するどころか、それらの人びとを押しつぶす事になってしまいます。

ということで、前置きが、お約束通り長くなりましたが、これらのことを多くの人に知ってもらい、かつどうしていくべきなのか考えていくために、ぜひこの院内集会に多くの人が参加くださることを願っています。

詳細は下記サイトをご覧下さい。

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http://unpesantsrights.blog.fc2.com/blog-entry-2.html

2・18「国連小農宣言・家族農業の10年」院内集会

■日時: 2019年2月18日(月) 14時〜17時30分(休憩あり)
*集合時間:13時30分〜13時45分 会館入口ホール

■ プログラム:
【第1部】(14時〜15時30分): 農民と農民団体からの提起と取り組みの紹介

司会:渡辺直子(日本国際ボランティアセンター)

1. 岡崎衆史(農民運動全国連合会)
「世界の農政を小農が動かした! 国連小農権利宣言の背景と意義」
2. 萬田正治(小農学会共同代表、鹿児島大学名誉教授)
「いま、なぜ小農なのか」
3. 松平尚也(耕し歌ふぁーむ/小農学会/京都大学大学院)
「世界的な小農の再評価と日本の農業の課題」
4. 斎藤博嗣(一反百姓「じねん道」/小規模・家族農業ネットワーク・ジャパンSFFNJ)
「温故“地”新」による魅力ある日本農業を、国際家族農業の10年と共に」

【第2部】(16時〜17時30分): 政府関係者との対話

■場所:
参議院議員会館101号室(東京都千代田区永田町2-1-1 )

■アクセス:http://bb-building.net/tokyo/deta/457.html
地下鉄永田町[1](4分)、国会議事堂前[3](7分)、溜池山王[8](12分)

■定員/参加費:100名 / 500円(学生無料)

■申込み先:
2月17日(日)午後6時までに、下記サイトにてお申込下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/7c51e143606306
(*集合時間に間に合わない方は具体的な到着時間を備考欄にお書き添え下さい)

■当日ボランティア募集:
詳細は以下サイトをご覧頂き、ご登録頂ければ幸いです。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/35323682607007

■主催:国連小農宣言・家族農業10年連絡会 
http://unpesantsrights.blog.fc2.com/
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by africa_class | 2019-02-02 21:30 | 【国連】小農の権利宣言