人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

Lifestyle&平和&アフリカ&教育&Others

afriqclass.exblog.jp

もう終った講演会ですが記録のためにアップさせて下さい(SDGs時代における食と農の最前線ー環境・開発・人々の権利)

自分がどこで何を話したかリストにしないといけないのですが、その余裕がないので、本来事前に告知をかねてこのブログで紹介するはずだったんですが、なかなかそれも叶わない1年間だったので、過去の講演やパネルなどもここにアップさせて下さいませ。

つまり、以下のイベントはもう終りましたので、よろしくお願いします!

このイベントは、私を含むICAS日本語シリーズ監修チームで明石書店から出版しているシリーズ『グローバル時代の食と農』https://www.akashi.co.jp/author/a182359.html の第一巻『持続可能な暮らしと農村開発〜アプローチの展開と新たな挑戦』(西川芳昭監訳、西川早百合訳)の著者であるイアン・スクーンズを招いて行われたものです。

本の表紙は末尾に紹介しておきます。
https://www.akashi.co.jp/book/b420384.html
とくに、Livelihoods(ライブリフッド)アプローチに関するものでした。

イアンは、英国サセックス大学の国際開発研究所(IDS)、STEPセンターの所長を務めており、最近Ester Boserup開発調査賞を受賞しました。詳細は以下の記事をご覧下さい。

STEPS co-director Ian Scoones awarded Ester Boserup prize for research on development

https://steps-centre.org/news/steps-co-director-ian-scoones-awarded-ester-boserup-prize-for-research-on-development/


******
以下、アジア経済研究所のサイトからの転載
https://www.ide.go.jp/Japanese/Event/Seminar/181126.html

特別講演会

「SDGs時代における食と農の最前線――環境・開発・人々の権利――」

募集は締め切りました


21世紀に入り、人口増加・「途上国」の爆発的消費・気候変動による異常気象などによって「資源の枯渇」への危機感が高まり、これをめぐる国家間・多国籍企業間の競争も激しくなりつつあります。このなかで「食料」もまた「資源」として位置づけられ、「食と農」の分野への投資も増加しています。この流れは、2007年から2008年にかけての国際穀物価格の急騰を生み出す一因ともなりましたが、先進国・新興国を中心に自国優先主義的な資源確保戦略、自国企業の生き残り戦略としての海外進出支援の流れは強まっています。


他方世界各地(とくに「途上国」の周辺地域)で、多国籍企業のサプライチェーン上の環境破壊・人権侵害、「農地収奪/ランドグラブ」とも呼ばれる現象に対する批判の眼も厳しくなっており、「開発と環境」「ビジネスと人権」などをテーマに様々なステークホルダー(先住民族や小規模農民を含む)が見解を表明し、国連、国際機関、市民団体を巻き込んだグローバルなガバナンスの在り方を模索しています。


我が国においても『食と農』をめぐる安全保障の議論は高まっていますが、本邦企業の海外展開、海外農業投資にあたっては、上記のような世界の趨勢を的確に把握しておくことが不可欠であり、こうした認識を欠いた進出は食料安全保障の効果を達成できないばかりではなく、環境並びに社会の持続可能性を損ない、結果としてSDGs達成に向けた我が国の貢献を阻害する可能性もあります。そこで、食と農の動向に関する世界的な第一人者を招聘し、その見解を学ぶ機会とします。

皆様のご参加をお待ちしています。


開催日時

2018年11月26日(月曜)13時30分~17時00分(開場:13時00分)

会場

ジェトロ本部5階展示場
(東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル5階)
最寄り駅:東京メトロ 南北線六本木一丁目駅・銀座線溜池山王駅・日比谷線神谷町駅

プログラム

13:30~13:35 開会挨拶
平野 克己(ジェトロ・アジア経済研究所理事)

基調講演

13:35~14:35

1.「持続可能性と開発の政治学~グローバルな時代の食と農の未来を見据えて」

イアン・スクーンズ 氏 (サセックス大学 国際開発学研究所)

14:35~15:00 2.「事業マネジメントおよびサプライチェーンマネジメントにおける品質評価:環境品質と倫理品質」
池上 甲一 氏(近畿大学名誉教授)

ディスカッサント

15:00~15:15

荒神 衣美(ジェトロ・アジア経済研究所地域研究センター東南アジアⅡ研究グループ)

15:15~15:30

児玉 由佳(ジェトロ・アジア経済研究所新領域研究センタージェンダー・社会開発研究グループ)

15:30~15:45

休憩

話題提供

15:45~16:00

「JICAの農業開発アプローチ(SHEP)」
伊藤 圭介 氏(JICA農村開発部農業・農村開発第二グループ課長)

パネルディスカッション

16:00~17:00 モデレーター

佐藤 寛(ジェトロ・アジア経済研究所新領域研究センター上席主任調査研究員)


パネリスト

イアン・スクーンズ 氏
池上 甲一 氏
舩田 クラーセン さやか 氏(明治学院大学 国際平和研究所研究員)
伊藤 圭介 氏
児玉 由佳

使用言語

日本語、英語(日英同時通訳あり)

主催

ジェトロ・アジア経済研究所

定員

200名(締め切り日を過ぎたため、お申し込みを締め切りました)



もう終った講演会ですが記録のためにアップさせて下さい(SDGs時代における食と農の最前線ー環境・開発・人々の権利)_a0133563_15222333.jpeg

# by africa_class | 2019-05-12 15:31 | 【記録】講演・研究会・原稿

5/17(金)「「小農の権利宣言」について学ぶセミナー」@龍谷大学にて、お話をします。

引き続き、こちらはもう少し研究に引き付けたお話(セミナー)のご紹介(一般の方も参加可能*ただし2部の教室キャパが限られているので、事前申し込みが必要となりました。詳細は以下をご確認下さい)。

大好きな京都(@龍谷大学深草キャンパス)で、「日本における食と農」を、過去150年ぐらいの世界史的展開と国連を舞台とする国際政治のせめぎ合いの中に、位置づけて論じてみようという野心的な試みです。去年11月から今年までの間に出版された3冊の本を手がかりに話をします。

でも、せっかく大学生と触れ合える機会なので、第1部は経済学部の大学生の日々の暮らしや未来への不安と期待を基点に、話を展開していけたらな〜と思っています。

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
「小農の権利宣言」について学ぶセミナーご案内
2019年5月17日(金)午後 @龍谷大学
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

「小農宣言・家族農業10年連絡会」の創設メンバーであり、国際開発学会と連携した「グローバル時代の食と農」翻訳プロジェクトのメンバーとしてマーク・エデルマンの『国境を越える農民運動』の監訳された舩田クラーセンさやか氏を招き、龍谷大学経済学会と、科研費プロジェクト「家畜飼養と食肉習慣の変容から見るブータンにおける「食の主権」の構築」共催のセミナーを下記のとおり開催します。

2018年12月に国連と農民運動の協働の成果として採択された「小農および農村地域に住む人々の権利宣言」に関して多面的な学びを企画しました。なお、舩田氏はアフリカ政治経済の研究者でもあり、下記の共著書『解放と暴力』で、150年のアフリカ現代史の中にこの小農の権利宣言を位置づけて論じています。世界大の歴史的な観点からの議論も期待したいと思います。


■日時:2019年5月17日 金曜日 
■プログラム(1部、2部だけの参加も可能です):

□第一部: 13時15分から14時30分
講演会「国連「小農の権利宣言」から読み解く日本の食と農に関する国際協力」

□第二部:15時から16時30分
講演会+討論「国連「小農の権利宣言」採択の経緯と日本へのインプリケーション」

■場所:龍谷大学深草学舎
21号館508教室(第一部)和顔館304教室(第二部)
□アクセス:
https://www.ryukoku.ac.jp/about/campus_traffic/traffic/t_fukakusa.html
JR奈良線「稲荷」駅下車、南西へ徒歩約8分
京阪本線「深草」駅下車、西へ徒歩約3分
京都市営地下鉄烏丸線「くいな橋」駅下車、東へ徒歩約7分

■申込み(第一部不要、第二部必要)・いずれも無料

*ご注意:第一部は申し込み不要ですが、第二部に参加ご希望の方は、5月16日までに必ず以下の問い合わせ・申し込み先にお名前、ご所属(あれば)、連絡先の3点をお知らせください。会場の都合で、事前申し込みのない方は入場できない場合があります。

■演者: 
舩田クラーセン さやか氏(Dr. Sayaka FUNADA-CLASSEN) 
明治学院大学平和学研究所研究員 博士(国際関係学)
前東京外国語大学外国語学部 准教授

□著書:
『解放と暴力: 植民地支配とアフリカの現在』(小倉充夫と共著、東京大学出版会)
『国境を越える農民運動 ―世界を変える草の根のダイナミクス (グローバル時代の食と農2)』(監訳、明石書店)
『モザンビーク解放闘争史―「統一」と「分裂」の起源を求めて』(御茶の水書房)
The Japanese in Latin America (Daniel Mastersonと共著、Illinois University Pressなど多数

■主催:
龍谷大学経済学会
科研費研究「家畜飼養と食肉習慣の変容から見るブータンにおける「食の主権」(代表小林舞)」(19K20559)

□参考:
国連は2014年を「国際家族農業年」とし、2019年からの10年間を「家族農業の10年」と取り決め、2018年12月18日の国連総会で「小農と農村で働く人びとの権利に関する宣言」(小農の権利宣言)を可決。

宣言は27条からなり、小農民、漁民、遊牧民、先住民、牧畜民、農業労働者の権利確立が示され、その権利には食料、土地、水などの自然資源が含まれ、文化的アイデンティティや伝統的知識の尊重、種子や生物多様性に関わる権利保護まで幅広い分野にわたる。(「誰も取り残さない! 小農民の権利宣言が国連で採択~SDGs時代の持続可能な農と食~」古沢広祐 2019より抜粋)

■問い合わせ・申し込み:龍谷大学経済学部 西川芳昭(nishikawa[at]econ.ryukoku.ac.jp) 
5/17(金)「「小農の権利宣言」について学ぶセミナー」@龍谷大学にて、お話をします。_a0133563_22555776.jpg

お話の土台とするのは次の3冊。
5/17(金)「「小農の権利宣言」について学ぶセミナー」@龍谷大学にて、お話をします。_a0133563_23042029.jpeg
5/17(金)「「小農の権利宣言」について学ぶセミナー」@龍谷大学にて、お話をします。_a0133563_23032857.jpeg

5/17(金)「「小農の権利宣言」について学ぶセミナー」@龍谷大学にて、お話をします。_a0133563_23012539.jpeg
ちょっとだけ使う予定の最初の出版物。
5/17(金)「「小農の権利宣言」について学ぶセミナー」@龍谷大学にて、お話をします。_a0133563_23050690.jpeg
もちろん、読まずに来ていただいて大丈夫です。
たぶん、私がこれまで話してきたこと、書いてきたことを土台としつつも、それらを超えたところの話を展開したいなーとおもっています。この3年ほど温めてきた最後の研究テーマの一端を少しお話できれば。
(なぜ最後なのかはまた今度)



# by africa_class | 2019-05-10 23:07 | 【記録】講演・研究会・原稿

【5月11日18時半〜】カフェモサンビコ6周年イベントで「たね」と「気候変動」「世界の若者の今」のお話をします。

農繁期で後ろ髪をひかれながら、昨夜、日本に戻ってきました。チェックインの1時間前までキュウリの苗を移植してて、最後はバタバタ、土だらけのまま空港へ。「立つ鳥跡を濁さず」をモットーにしているわたしですが、家の中を十分に掃除できないまま出てきたのが心残りです。男子チームの奮闘を期待しつつ…。

さて、明日(5/11土曜日)はカフェモサンビコ6周年イベントです。
大阪の素敵なカフェtipo8で18時半〜20時半まで。
私のお話は以下の内容で。
「モザンビークのサイクロン被害とヨーロッパの中高生の気候変動、そして日本の私たち」
詳細は以下をご覧下さい。

「カフェ」の皆さん、ギリギリになってすみませーーーん!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

カフェモサンビコ6周年イベント
〜ママが育てた「初ビコ」を味わいながら、世界と日本の繋がりを考える


モザンビーク北部マウアのママたちと苗から一緒に育てた在来種のコーヒー(「ビコ」)の樹に実が成り、初めて皆さまにママ・ビコをお届けすることができます!といっても少量のため、何度も味わっていただくことはできませんので、ぜひこの機会をお見逃しなく!

ビコの故郷アフリカ・モザンビークでは、先月サイクロンが直撃し、100万人を超える被災者が出るなどの大規模な被害が出ています。国連は、歴史にないほどの強度のサイクロンであり、この背景に地球温暖化による気候変動の影響があると発表しました。温暖化は今後加速度的に被害を拡大していくとされています。

日本でも昨年、度重なる大型台風の来襲と水害が多発しました。待ったなしの温暖化対策ですが、日本でも世界でもリーダーたちの動きは鈍いです。これに対して、ヨーロッパの中高生がFriday's
for Future(将来のための金曜日)という運動を立ち上げ、世界の若者がこれに参加し、政治家や政策を変える動きが出てきています。


世界でも現地以外はここでしか飲めない「ビコ」を味わいながら、日本・アフリカ・世界の繋がりについて一緒に考えてみませんか?


カフェモザンビコ6周年イベント概要

■開催日:2019年 5月 11 日(土)18:30-20:30
■開催地:TIPO8 〒531-0071 大阪府大阪市北区中津5丁目2−9
https://www.cafetipo8.jp/
(梅田駅・大阪駅から徒歩7分。梅田スカイビル前)
access


■参加費:大人2000円、小中高生1000円(パスタ、ビコ付き)
*お子さん連れ大歓迎。
■要予約:下記のサイトにて5月11日(土曜)正午までにご登録下さい。
https://forms.gle/dz6ouMpFXJzGYHkg9

■プログラム:
(1)「ビコ」について(by カフェモサンビコ・プロジェクト)
(2)モザンビークのサイクロン被害とヨーロッパの中高生の気候変動、そして日本の私たち
(by 舩田クラーセンさやか [明治学院大学国際平和研究所])
(3)「ビコ」を味わう&食べながらの歓談
(4)お楽しみ

■主催:カフェモサンビコ・プロジェクト
http://cafemozambico.blog.fc2.com/
■お問い合わせ先:カフェモサンビコ・プロジェクト事務局
cafemozambico<@>gmail.com

【5月11日18時半〜】カフェモサンビコ6周年イベントで「たね」と「気候変動」「世界の若者の今」のお話をします。_a0133563_22470950.jpg
              ママたちが作ったアフリカ布のお弁当箱包みなど、販売します!



# by africa_class | 2019-05-10 22:50 | 【記録】講演・研究会・原稿

共著本(『解放と暴力ー植民地支配とアフリカの現在』)の書評会@慶応大学(5/23夜)で発表します。

あっという間に桜の季節が終わり、新緑の季節に。森も畑も庭もビオトープも池も、生命溢れるとっても賑やかな季節となりました。さて、そんな最中ではありますが、日本に戻ります。いろいろな人がいろいろなイベントを準備してくださっているので、紹介しなきゃと思ってたんですが、もう目前となってしまいました。ごめんなさい。

まずは去年11月に恩師の小倉充夫先生と出した『解放と暴力ー植民地支配とアフリカの現在』の書評会のお知らせ。慶応大学で開催してくださいます。

書評会なので読んでから参加していただくのが一番なのですが、ボリュームもそこそこあるし、値段も高め(すみません・・・)なので、読んでからは無理!という方が大半と思います。なので、読まずに来てもらってもだいじょうぶです。

まず今回のイベントで、本の狙いや想いと魅力(自画自賛ですみませんが、小倉先生担当パーツはぜひみなに読んでいただきたく)を語るので、それで面白そうだなと思ったら手に取ってください。見本も回しますし、後日著者割で御分けすることも可能かも。

まずは、アフリカの過去と未来が、日本やアジアや世界の過去と未来と地続きで展開してきたこと、そして6章で私が書いたモザンビークの今が日本と関わっていることについて、思考をめぐらせながら、一緒に考える機会となればいいな〜と思っています。もう少し詳細は後日このブログで書きます。

この会を準備くださった慶応大学の杉木明子先生、関東支部例会の皆さまに感謝いたします。

 *   *   *

【日本アフリカ学会関東支部第1回例会】

日時:2019年5月23日(木)・18時10分〜20時30分
場所:慶應義塾大学三田キャンパス・436番教室(南校舎3階)
アクセス:https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html
*正門のすぐそばのガラス張りの校舎です

内容:書評研究会『解放と暴力ー植民地支配とアフリカの現在』(東京大学出版会、2018年)
報告者:小倉充夫氏(津田塾大学名誉教授)・舩田クラーセンさやか氏(元東京外国語大学准教授)
コメンテーター:鄭栄桓氏(明治学院大学教授)
使用言語:日本語
参加費:無料事前申込:不要(どなたでもご参加いただけます)
主催:日本アフリカ学会関東支部 

  *   *   *

共著本(『解放と暴力ー植民地支配とアフリカの現在』)の書評会@慶応大学(5/23夜)で発表します。_a0133563_21261801.jpeg

本のカバーの写真は、小川忠博さんが1973年にタンザニア国境からモザンビークに解放軍とともに入った時のもの。本の中にはもう一枚、すばらしい写真があります。



# by africa_class | 2019-04-30 21:29 | 【記録】講演・研究会・原稿

ナチスによるホロコーストの歴史を熱心に外国人に教えるドイツ国・社会の「新しい価値」について。

去年7月から難民や移民、外国人配偶者などと共に、地域の市民学校で、ドイツ語のコース(社会包摂コースの一貫。ただ誰でも受講が可能)を受けてきた。クラスメートは、シリア、イラク、アフガニスタン、イラン、パレスチナ、トルコ、モロッコ、ソマリア、ガーナ、フィリピン、中国、ポーランド、ルーマニア、ロシア、エストニア、カザフスタンなど、私を入れて17カ国25人。

毎朝8:20から12:20まで4時間、月曜日から金曜日まで、ドイツ語を叩き込まれ(たはずが、脳がまったく受け付けず、消えていった・・・)たが、昨日最終試験があり、ドイツ語は終った(と思いたい。試験に落ちていれば再度チャレンジ・・・・)。

去年6月に手術をしたばかりで、かつ民衆会議もあり、あまりに怒濤の日々で、免疫が落ちている中、次々にクラスメートの子どもたちが学校でもらってくる風邪を親からうつされ、とにかく学校に行っては病気になるの繰り返し・・・。正直いって、本当に辛かった。

でも、すごく面白い経験だった。大学で語学を11年も教えていた自分が、毎朝教わる側に座るのは新鮮で、学びが沢山あった。何よりも、自分より格段に若いクラスメートたちに支えられ、休んだ日のノートや宿題などを携帯で送ってもらい、昨日の試験でも全員で励まし合いながら望んだのが、この年齢で学校に行ったことのご褒美だったな、と。世界各地の色々な年齢の性別のクラスメート。それぞれ、色々な経緯を経て、辛い想いもありながら、教室に集った。なにせ初級から中級までの8ヶ月近くを、「異国の地」で毎日一緒にすごしたので、もうすぐお別れだと思うと寂しいものがある。いつか、難民・移民らと過ごしたこれらの教室の様子を皆に紹介できればと思う。

人間、国籍じゃない。
確かに、文化的背景・影響は強くある。
しかし、やっぱり「人を人として見ることの大切さ」・・・を改めて実感した8ヶ月だった。
しかも、3人の先生は全員ドイツ人というわけではなく、1人はロシア人だった。そして、地域の外国人担当者は外国人。彼女らがいっていたのは、ドイツ語がきちんとできれば、ドイツでは外国人にも同等の機会が拓かれているという点。

2016年に百万人レベルの「難民」(自称を含む)が押し寄せたドイツ。
普通に考えてとんでもないレベルの社会プレッシャーだが、3年経過して、勿論政治的課題は出てきているが、それでもドイツ社会はよく持ちこたえていると思った。その土台に、わたしが去年から参加してきた「社会包摂コース&オリエンテーションコース」のシステムの御蔭だと思う。2005年ぐらいから整備してきたというので、もう13年のベースがある。子どもには学校システムを使った特別のサポートがある。

日本はこのような制度が皆無のままに、現政権下で世界第四位の外国人流入国になった。ドイツ、米国、英国に次いでで50万人近く、知ってた?さらにこの政権は大幅に外国人「労働者」を増やそうしている。これが「労働者」に限らず、移民国への転換点だということは、世界中の先進国や歴史が証明しているが、まったく無策。

私はかつて移民研究、また世界の戦争と平和を研究してきた経験から、大量の外国人・難民の流入を政策として促進するのは反対の立場。だけれど、すでに外国人の子どもたちが地域で生まれ、成長する。労働者として日本社会で役割を果たしてくれた人々の人権が守られないばかりか、それらの人々が日本社会を知る機会をもらえず、交わらずに、パラレル(並行して)に暮らし、苦しむ、あるいは問題を起していることを考えれば、抜本的な制度設計が不可欠なことは間違いない。

なので、私の経験が、少しでも参考になればと思う。

ドイツ語のコースは、社会包摂コースの一貫だったので、教科書が純粋にドイツ語だけをターゲットにしているわけではなく、外国人には気づきにくいドイツ社会のありようをベースにした会話や話が絶妙な形で織り込まれているのが、本当に面白かった。日本で外国語のスキットを準備すると、日本的なやり取りの中に落とし込まれる傾向があるので、違いが如実に感じられた。私がポルトガル語を学習したとき、日本語の教材がまったくない時代だったので、アメリカのジョージタウン大学の教科書を使っていた。なので、英語経由でポルトガル語を学び、英語の単語が分からなければポルトガル語も分からない・・・という二重ぐらいの苦労をしたことを覚えている。その後、外国語学習は、日本語を経由せずに、外国語を使って最初から外国語で学ぶ方向にシフトする先生が多かったが、1年生にはそれは遠回りだな・・・と今でも思っている。世界中の難民と学ぶ場合は仕方ないにせよ。

さて、本題。
ドイツ語コースが終わり、今度は3週間のオリエンテーションコースに突入。教科書の構成からして面白い。

1. 民主主義の中の政治
(1) ドイツにおける政治と民主主義
(2) 国家のシンボル
(3) 国家の構成(州などの紹介)
(4) 政党と連邦選挙
(5) 政党と州選挙
(6) リベラル民主主義的秩序(憲法、法治国家の基礎)
(7) 政治的影響(国家秩序における民主主義の基本原則、コミュニティレベルにおける政治的参加の手法、ボランティア活動への関与)
(8) ドイツにおける法治主義、市民の権利、市民の義務(基本的人権、裁判制度、犯罪)
(9) ドイツにおける行政ストラクチャー(連邦、州、コミューン)
(10) ドイツにおける社会的市場経済(司法、国家による福祉の義務、社会福祉システムと財源、民間のサービスの必要性、職業局[ハローワーク])

2. 歴史
(1) 歴史と責任(ドイツの歴史への紹介)
(2) 国家社会主義(ナチスドイツ)と第二次世界大戦
(3) 戦後のドイツ
(4) 分断から再統合まで
(5) ドイツへの移民の歴史
(6) EU(ヨーロッパ連合)

3. 人々と社会
(1) ドイツのすべて(地域、宗教的多様性の紹介、教育と学び、文化間の勾留)
(2) 各地域の多様性(ドイツ語の方言)
(3) ドイツにおける人々(暮らし、家族構成、家族の機能、女性の解放、世代間関係)
(4) 国民の課題としての学び(政治学習、学校システム、教育の価値、生涯学習)
(5) 宗教上の多様性
(6) 典型的なドイツ人(知的な競争力、文化間の潜在的な紛争)
(7)文化的なオリエンテーション


もう一度確認したいが、これは「外国人向け」の教科書の構成。
当然ながら、ドイツの子どもたちはこれと同様、そしてより深い内容のことを学校で必ず学ぶ。多くの点で注目したいことが沢山あるのだけれど、日本だったら地理とか文化とか縄文時代・弥生とか・・・・没政治的な解説に終始するのだけど、「民主主義のシステムと価値」を最初に教えている点。その中での、国家の義務と市民の権利・義務が明確に示されている点。社会福祉システムと税の関係も教えられている。

その上で、歴史が「責任」という形で紹介されている。
そして、学ぶべき歴史の最初が、ナチスドイツ時代の功罪というのが、何よりも注目すべき点。それをわざわざ外国人に教えている。

ページ数もハンパない数が割かれており、どのような手法でナチスドイツが権力を奪取したのか、そのプロセスで民主選挙がどのように使われたのか、野党やメディアがどのようにコントロールされ(逮捕、収容所送り、虐殺)、本がどのように燃やされ、ユダヤ人が虐殺対象になるプロセス、ホロコーストの実態、周辺国への侵略に使われたイデオロギー、その結果民衆はどのようなふたんを強いられたのか、若者が学校を通じてどのようにナチスに取り込まれたのか、その一方でどのような抵抗があったのか(軍人高官のヒトラー暗殺未遂、ミュンヘン大学の学生グループ「白バラ」のゾフィー・ショルの紹介)・・・。

先生は、最新の新聞記事から、今でも歴史を掘り起こそうとする動きが熱心に続けられていること、新しい事実を紹介してくれた。その上で、ドイツの街に必ずある「歴史を忘れないモニュメント」を散策するために、街に出た。ユダヤ人のためのシナゴーグがあった場所、シナゴーグがナチスの支援者によって焼かれたこと、野党関係者が次々に逮捕・監禁された場所、誰が強制収容所に送られて死んだか、襲撃されたユダヤ人の店、収容所に送られたユダヤ人が住んでいた建物の前に埋め込まれた石(名前と送られた収容所名、その後{見た人は全員死])、主筆が強制収容所に送られ死んだローカル新聞の本社、「ヒトラー広場」と名づけられ若者たちが娯楽に使った広場跡、ユダヤ人のお墓、ヨーロッパ中から強制労働のため連れてこられた人達のお墓・・・など。

今日はじめて参加したイラク人はナチスドイツの歴史を学ぶ前にあった「歴史と責任」の授業を受けてないこともあり、不思議そうに全部を回って、先生に聞いた。

「ドイツ人はヒトラーを今嫌って否定しているのに、どうして彼のことやナチスを学び、『忘れない』ことを重視してるのか?忘れた方がよいのではないか?」

先生は本当に驚いた顔をして、「二度と同じことが起らないために、繰り返し、繰り返し、どのように過ちが生じたのかを教え、学び続ける必要がある。しかも、未だすべては明らかになっていない。もっとヒドいことが行われていたことが次々に分かっている。これらを掘り起こし、二度と起きないようにするのは、我々の責務であり、国家の責務」と説明した。

そして教室に戻ると、ホロコーストのページの下にドイツ連邦憲法が貼ってあり、先生はそれを皆で読み上げるように言った。

******
ドイツ連邦憲法第3条
1 すべての人は法の前に平等である。
2 男女は、平等の権利を有する。国会は、男女の平等が実際に実現するように促進し、現在ある不平等の除去に向けて努力する。
3 何人も、その性別、門地、人種、言語、出身血および血統、信仰または宗教的もしくは政治的意見のために、差別され、または優遇されてはならない。何人も、障害を理由として差別されてはならない。
*******

まさに、過去の負の遺産を学ぶことは、現在の皆の権利を守るために不可欠な、on-going(継続的な)営みの土台と延長上にあるのだということが、教科書においても、先生の意識の中でも、はっきり示されていたのだった。

そして、先生は「憲法雑誌」を片手に、基本的人権の重要性、とくに「自由権」の重要性を紹介した。その上で、雑誌に書いてあるように、これは「闘って手にし続けるもの(闘い取られなければならないもの)」として紹介した。

もう少し深く紹介したかったけど、時間切れ。
続きはまた書きます。



ナチスによるホロコーストの歴史を熱心に外国人に教えるドイツ国・社会の「新しい価値」について。_a0133563_18380893.jpg

大学生たちのナチス抵抗運動の紹介。ゾフィーとハンス・ショル姉弟の写真。歴史の本から先生が持って来てくれた。独裁や戦争から逃れてきた難民や移民の皆さんは熱心に聞いている。
ナチスによるホロコーストの歴史を熱心に外国人に教えるドイツ国・社会の「新しい価値」について。_a0133563_18431552.jpg
どのようにヒトラーやナチスが権力を握ったのかのプロセスを選挙結果を示しながら説明。プロパガンダが多用され、野党が禁止されたり弾圧されたとはいえ、有権者が選んでこのような野蛮かつ独裁の政府が出来てしまったことを、批判的に検証。だから、歴史を繰り返さないための歴史教育が必要と。
ナチスによるホロコーストの歴史を熱心に外国人に教えるドイツ国・社会の「新しい価値」について。_a0133563_18383821.jpg

焼き討ちにあったシナゴーグの跡地で、先生の説明を聞くクラスメートたち。いまは学校の敷地になっている。
ナチスによるホロコーストの歴史を熱心に外国人に教えるドイツ国・社会の「新しい価値」について。_a0133563_18435019.jpg
この道の前の建物にかつて暮らし、強制収容所に連れて行かれ殺されたユダヤ人ひとりひとりの名前が刻まれた黄金の石。ドイツ中の街の道にこのような石が埋め込まれている。5分歩いて20名ほどの石に出あった。

ナチスによるホロコーストの歴史を熱心に外国人に教えるドイツ国・社会の「新しい価値」について。_a0133563_18441416.jpg
憲法


# by africa_class | 2019-03-23 18:50 | 【徒然】ドイツでの暮らし