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タグ:アグロエコロジー ( 7 ) タグの人気記事

5/17(金)「「小農の権利宣言」について学ぶセミナー」@龍谷大学にて、お話をします。

引き続き、こちらはもう少し研究に引き付けたお話(セミナー)のご紹介(一般の方も参加可能*ただし2部の教室キャパが限られているので、事前申し込みが必要となりました。詳細は以下をご確認下さい)。

大好きな京都(@龍谷大学深草キャンパス)で、「日本における食と農」を、過去150年ぐらいの世界史的展開と国連を舞台とする国際政治のせめぎ合いの中に、位置づけて論じてみようという野心的な試みです。去年11月から今年までの間に出版された3冊の本を手がかりに話をします。

でも、せっかく大学生と触れ合える機会なので、第1部は経済学部の大学生の日々の暮らしや未来への不安と期待を基点に、話を展開していけたらな〜と思っています。

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「小農の権利宣言」について学ぶセミナーご案内
2019年5月17日(金)午後 @龍谷大学
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「小農宣言・家族農業10年連絡会」の創設メンバーであり、国際開発学会と連携した「グローバル時代の食と農」翻訳プロジェクトのメンバーとしてマーク・エデルマンの『国境を越える農民運動』の監訳された舩田クラーセンさやか氏を招き、龍谷大学経済学会と、科研費プロジェクト「家畜飼養と食肉習慣の変容から見るブータンにおける「食の主権」の構築」共催のセミナーを下記のとおり開催します。

2018年12月に国連と農民運動の協働の成果として採択された「小農および農村地域に住む人々の権利宣言」に関して多面的な学びを企画しました。なお、舩田氏はアフリカ政治経済の研究者でもあり、下記の共著書『解放と暴力』で、150年のアフリカ現代史の中にこの小農の権利宣言を位置づけて論じています。世界大の歴史的な観点からの議論も期待したいと思います。


■日時:2019年5月17日 金曜日 
■プログラム(1部、2部だけの参加も可能です):

□第一部: 13時15分から14時30分
講演会「国連「小農の権利宣言」から読み解く日本の食と農に関する国際協力」

□第二部:15時から16時30分
講演会+討論「国連「小農の権利宣言」採択の経緯と日本へのインプリケーション」

■場所:龍谷大学深草学舎
21号館508教室(第一部)和顔館304教室(第二部)
□アクセス:
https://www.ryukoku.ac.jp/about/campus_traffic/traffic/t_fukakusa.html
JR奈良線「稲荷」駅下車、南西へ徒歩約8分
京阪本線「深草」駅下車、西へ徒歩約3分
京都市営地下鉄烏丸線「くいな橋」駅下車、東へ徒歩約7分

■申込み(第一部不要、第二部必要)・いずれも無料

*ご注意:第一部は申し込み不要ですが、第二部に参加ご希望の方は、5月16日までに必ず以下の問い合わせ・申し込み先にお名前、ご所属(あれば)、連絡先の3点をお知らせください。会場の都合で、事前申し込みのない方は入場できない場合があります。

■演者: 
舩田クラーセン さやか氏(Dr. Sayaka FUNADA-CLASSEN) 
明治学院大学平和学研究所研究員 博士(国際関係学)
前東京外国語大学外国語学部 准教授

□著書:
『解放と暴力: 植民地支配とアフリカの現在』(小倉充夫と共著、東京大学出版会)
『国境を越える農民運動 ―世界を変える草の根のダイナミクス (グローバル時代の食と農2)』(監訳、明石書店)
『モザンビーク解放闘争史―「統一」と「分裂」の起源を求めて』(御茶の水書房)
The Japanese in Latin America (Daniel Mastersonと共著、Illinois University Pressなど多数

■主催:
龍谷大学経済学会
科研費研究「家畜飼養と食肉習慣の変容から見るブータンにおける「食の主権」(代表小林舞)」(19K20559)

□参考:
国連は2014年を「国際家族農業年」とし、2019年からの10年間を「家族農業の10年」と取り決め、2018年12月18日の国連総会で「小農と農村で働く人びとの権利に関する宣言」(小農の権利宣言)を可決。

宣言は27条からなり、小農民、漁民、遊牧民、先住民、牧畜民、農業労働者の権利確立が示され、その権利には食料、土地、水などの自然資源が含まれ、文化的アイデンティティや伝統的知識の尊重、種子や生物多様性に関わる権利保護まで幅広い分野にわたる。(「誰も取り残さない! 小農民の権利宣言が国連で採択~SDGs時代の持続可能な農と食~」古沢広祐 2019より抜粋)

■問い合わせ・申し込み:龍谷大学経済学部 西川芳昭(nishikawa[at]econ.ryukoku.ac.jp) 
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お話の土台とするのは次の3冊。
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ちょっとだけ使う予定の最初の出版物。
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もちろん、読まずに来ていただいて大丈夫です。
たぶん、私がこれまで話してきたこと、書いてきたことを土台としつつも、それらを超えたところの話を展開したいなーとおもっています。この3年ほど温めてきた最後の研究テーマの一端を少しお話できれば。
(なぜ最後なのかはまた今度)



by africa_class | 2019-05-10 23:07 | 【記録】講演・研究会・原稿

【本日開催!IWJ中継あり】「国連小農宣言・家族農業の10年 院内集会」が議員会館にて開催!「国連小農宣言」日本語版のダウンロード先も紹介

本日(2/18)、東京で「国連小農宣言・家族農業の10年 院内集会」が開催される。
http://unpesantsrights.blog.fc2.com/blog-entry-2.html

すでに100名の定員はオーバーしたとのことで、本当に嬉しい。
また、農水省や外務省からも担当官が4名・2名出席するとのこと。
出席者一覧→http://unpesantsrights.blog.fc2.com/blog-entry-5.html

これからの参加は満員御礼のため不可能だけれど、IWJがネット中継をしてくれることになったので、是非ネット中継をご覧下さい(IWJの会員になれば後日視聴が可能です)。

【IWJ Ch5】14:00-17:30
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

この院内集会の重要な点は、発表者は日本の小農の皆さんとその組織のみという点。つまり、国連宣言の当事者が発表し、政府に質問をするという点です。まさに権利宣言の精神を体現する院内集会となったことに、連絡会の一メンバーとして大変嬉しく思います。

未だ解決していないこのプロサバンナ問題に直面しながらも思うのは、2012年9月、もし彼ら・彼女らに「プロサバンナをなんとかして」と呼び出されなかったら、わたしがこの国連小農宣言を訳すことも、日本に紹介することも、この院内集会を日本の農家さんと準備することもなかったという点に、人生とは不思議なものだと思う。もし、この訳文公開に、わずかなりとも感謝していただくのであれば、それは私たち訳者にではなく、モザンビーク北部小農の奮闘に感謝していただければと切に思う。

彼女ら・彼らから教えられ続けた25年間を振り返り、いまはただ、彼女・彼らの苦しみを一刻も早く解消したいと願うのみ。そのためには、プロサバンナを終らせなければなりません。このことはまた今度。

はじめてプロサバンナを知る人は岩波の連載を
→https://websekai.iwanami.co.jp/posts/461

お待たせしました!
以下、最終版の訳文の掲載場所です。

******
小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言
最終採択決議文・宣言文
日本語訳

あるいは、以下のサイトに掲載します。
******

ドイツは、急に春めいた満月の夜。
猫たちもソワソワ。私もソワソワ。

さて、院内集会!
チラシの裏面を紹介しておきます〜。

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by africa_class | 2019-02-18 05:44 | 【国連】小農の権利宣言

【完訳3】国連採択された「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」、最終決議・宣言を監訳終えました。最後、14条から28条。

小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言
(国連総会採択版、最終版の日本語)

*前文→https://afriqclass.exblog.jp/239092212/
*第1条から第13条→https://afriqclass.exblog.jp/239092220/

第十四条 (仕事場での安全と健康に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、一時労働、季節労働、移住労働の如何にかかわらず、安全で衛生的な環境で働く権利、安全衛生の措置の適用と評価に参加する権利、安全衛生責任者を選ぶ権利および安全衛生委員会の委員を選ぶ権利、十分かつ適切な防護服と機材および仕事場における安全衛生に関する適切な情報と研修へのアクセスの権利、暴力とセクシュアル・ハラスメントを含む嫌がらせを受けない権利、危険で不健全な労働状況を報告する権利、安全衛生に関する差し迫った深刻なリスクがあると合理的に判断できる際に、労働により起こる危険を回避する権利を有する。これらの権利の行使によって、労働に関連したいかなる報復の対象にもなってはならない。

2. 小農と農村で働く人びとは、農薬や化学肥料(農業用化学物質)あるいは農業や産業由来の汚染物質を含む危険物および有害化学物質を使用しない権利、これらにさらされない権利を有する。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びとに、効果的で安全かつ健全な労働条件を保障するため、適切な措置をとる。特に、適切で適格な管轄機関を設置し、政策の実行と、農業、農工業、漁業における職業上の安全と健康に関する国内法と条例の施行のため、各省庁を横断的にとりまとめる方策を構築し、是正措置と適切な罰則を規定し、農村における労働現場の十分かつ適切な検査システムの構築と支援する。

4. 加盟国は、以下を保障するため、あらゆる必要措置をとる。

(a)技術、化学物質、および農業行為からもたらされる健康と安全に対するリスクを防止すること。このための方策には、これらの禁止および規制が含まれる。

(b)農業で使用する化学物質の輸入、分類、梱包、流通、ラベリング、使用に関する特定の基準、および、それらの禁止あるいは規制に関する一定の基準を管轄機関が定めることを通じて、適切な国の制度またはその他の制度を承認すること。

(c)農業で使用する化学物質の製造、輸入、調達、販売、移動、貯蔵、廃棄に関わる者は、国またはその他(の機関)による安全衛生基準に従い、公用語または国内の諸言語などの相応しい言語を用いて、十分かつ適切な情報を使用者に提供すること。また、要請に応じて、管轄機関に対しても情報を提供すること。

(d)化学廃棄物、古くなった化学物質、化学物質の容器の安全な回収、再利用、廃棄に関する適切な制度を構築し、これらの目的外使用を阻み、安全衛生および環境へのリスクの解消と最小化を図ること。

(e)農村で一般的に使用される化学物質がもたらす健康ならびに環境上の影響に関して、また、化学物質の利用に代わるその他の方法に関して、教育と公衆啓発プログラムを開発し実施すること。


第十五条 (食への権利と食の主権)

1. 小農と農村で働く人びとは、適切な食への権利と、飢えからの自由という基本的な権利を有する。この権利には、肉体、精神、知性の面で最高レベルの発展の実現を保障する、食を生産する権利、および、適切な栄養を摂取する権利が含まれる。

2. 加盟国は、文化の尊重を土台とし、将来世代の食へのアクセスを保全する持続可能かつ公正なる手法で生産・消費され、個人および/あるいは集合体としてのニーズに応え、物理的にも精神的にも充実した尊厳ある暮らしを保障する、十分かつ適切な食に、小農と農村で働く人びとが物理的にも経済的にも常にアクセスできるよう保障する。

3. 加盟国は、農村の子どもたちの栄養不良とたたかうため、適切な措置をとる。これには、プライマリー・ヘルスケアの枠組みを通じたもの、とりわけ、すぐに利用できる技術の適用、十分に栄養のある食べ物の提供、また、女性が妊娠および授乳期間に適切な栄養を確保できるようにすることが含まれる。さらに、親や子どもをはじめ、社会のすべての構成員が、十分な情報を提供され、栄養教育を受けることができ、子どもの栄養と母乳育児の利点に関する基本的知識の利用に関して支援を受けることを保障する。

4. 小農と農村で働く人びとは、自らの食と農のシステムを決定する権利を有する。この権利は、多くの国と地域で、食の主権として認められている。この権利には、食や農業に関する政策の意思決定プロセスへの参加の権利、さらに、文化の尊重を土台とし、環境に配慮しつつ持続可能な方法によって生産された、健康によい適切な食への権利が含まれる。

5. 加盟国は、小農と農村で働く人びとと連携し、自治体、全国、地域、国際レベルにおいて、適切な食への権利、食料保障、食の主権、そして本宣言に含まれる権利を促進し擁護する持続可能で公正なる食のシステムを促進し保護するための公共政策を構築する。加盟国は、自国の農業、経済、社会、文化、開発に関わる政策が、本宣言に含まれる権利の実現に合致したものになるよう仕組みを構築する。

第十六条 (十分な所得と人間らしい暮らし、生産手段に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、自身とその家族が適切な水準の生活を送る権利、その実現に必要な生産手段への容易なるアクセスの権利を有する。なお、この生産手段には、生産のための機材、技術的支援、融資、保険やその他の金融サービスが含まれる。また、これらの人びとは、自由に、個々人および/あるいは集合体としても、集団あるいはコミュニティとしても、伝統的な手法で農業、漁業、畜産、林業に携わる権利を有し、地域社会を基盤とした商いのシステムを発展させる権利を有する。

2. 加盟国は、小農と農村で働く人びとが、自治体、全国、地域の市場において、十分な所得と人間らしい暮らしが保障される価格で生産物を販売するために必要な輸送、加工、乾燥の手段や貯蔵施設に優先的にアクセスできるよう適当な措置をとる。

3. 加盟国は、自国の農村開発、農業、環境、貿易、投資に関する政策とプログラムが、(小農と農村で働く人びとの)地域社会で暮らしをたてる選択肢を守り、これを強化すること、そして持続可能な農的生産の様式への移行に対し、実効性を伴った貢献を行うため、あらゆる適切な措置をとる。加盟国は、可能な場合は常に、アグロエコロジーと有機栽培を含む、持続可能な生産を活性化し、農家から消費者への産直販売を推進する。

4. 加盟国は、自然災害や市場の失敗などの重大な混乱に対する小農と農村で働く人びとのレジリエンス(耐性・回復力)を強化するため、適切な措置をとる。

5. 加盟国は、同一価値の労働に対して、いかなる区別をすることなく、公正な賃金と平等な報酬を保障するため、適切な措置をとる。


第十七条 (土地ならびにその他の自然資源に対する権利)

1. 小農と農村に住む人びとは、本宣言第28条に則り、個人として、かつ/あるいは、集合的に、土地に対する権利を有する。この権利には、適切な生活水準を実現し、安全かつ平和に、尊厳のある暮らしを営む場を確保し、自らの文化を育むための土地へのアクセス、土地と水域、沿岸海域、漁場、牧草地、森林の持続可能な利用と管理に対する権利が含まれる。

2. 加盟国は、婚姻関係の変更、法的能力の欠如、経済的資源へのアクセスの欠如がもたらすものを含む、土地に対する権利に関連するあらゆる形態の差別を撤廃し禁止するため、適切な措置をとる。

3. 加盟国は、土地の所有・利用権を法的に認知するため、現在法律で保護されていない慣習的土地所有・利用権を含めた異なる様式や制度が存在することを認め、適切な措置をとる。加盟国は、正当なる土地所有・利用権を擁護するとともに、小農と農村で働く人びとが専横的または不正に強制退去させられること、そして権利が抹消・侵害されることがないよう、これらを保障する。加盟国は、自然の共有地および、それと結びついた共同利用や管理の制度を認め、それを保護する。

4. 小農と農村で働く人びとは、土地や常居所からの専横的および不正な立ち退きに対して保護される権利、または、日々の活動に使用し、適切な生活水準を享受するために必要な自然資源を専横的および不正に剥奪されない権利を有する。加盟国は、国際人権・人道法に従って、立ち退きからの保護を国内法に盛り込まなければならない。加盟国は専横的および不正な強制退去、農地の破壊、土地とその他の自然資源の没収と収用について、罰則措置や戦争の手段によるものも含め、禁止しなければならない。

5. 専横的または不正に土地を奪われた小農と農村で働く人びとは、個人的および/あるいは集合的に、集団あるいはコミュニティとしても、自然災害および/あるいは武力紛争による場合を含め、専横的または不正に奪われた土地に帰還する権利を有する。さらに、可能な場合は常に、自らの活動で用い、適切な生活水準の享受に必要な自然資源へのアクセスを回復する権利を有し、帰還が不可能な場合には、公正、公平かつ正当なる補償を受ける権利を有する。

6. 加盟国は、それが望ましい場合には、小農と農村で働く人びとが適切な生活条件を享受することを保障すべく、必要な土地とその他の自然資源への広範かつ公平なアクセスを促進するため、また、土地が有する社会的機能を踏まえ、土地の過剰な集積と支配を制限し、農地改革を実施すべく適切な措置をとる。公有地、漁場、森林の配分の際には、土地なし小農、若者、小規模漁撈者、他の農村労働者を優先しなければならない。

7. 加盟国は、(これらの人びとが)生産に用いる土地およびその他の自然資源について、その保全と持続可能な利用を目指した措置をとる。これには、アグロエコロジーを通じた措置が含まれ、加盟国は、生物やその他の自然が内包する能力やサイクルの回復のための条件を保障する。


第十八条 (安全かつ汚染されていない健康に良い環境に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、環境および各々の土地の生産力、ならびに、自ら利用し管理する資源を保全し護る権利を有する。

2. 加盟国は、小農と農村で働く人びとが、差別のない、安全で清潔かつ健やかな環境を享受することを保障するため、適切な措置をとる。

3. 加盟国は、気候変動とたたかうための各国際条約を順守する。小農と農村で働く人びとは、各国および自治体における気候変動の適応・緩和政策の策定と実施(プロセス)に、伝統的な実践や知識/知恵を用いることなどを含めた手法を通じて、加わる権利を有する。

4. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの土地に、有害物、有害物質あるいは廃棄物が、貯蔵または廃棄されることがないように、実効性のある措置をとる。また、国境を越える環境破壊の結果として生じる、これらの人びとの権利への脅威に対し、加盟国は協力して対処する。

5. 加盟国は、非国家主体による、小農と農村で働く人びとへの横暴から、これらの人びとを護る。小農と農村で働く人びとの権利の擁護にあたっては、これに直接的あるいは間接的に寄与する環境法の執行が含まれる。

第十九条 (種子[たね]への権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、本宣言第28条に従って、種子への権利を有する。その中には以下が含まれる。

a) 食や農のための植物遺伝資源に関わる伝統的な知識/知恵を保護する権利

b) 食や農のための植物遺伝資源の利用から生じる、利益の分配に公平に参加する権利

c) 食や農のための植物遺伝資源の保護と持続可能な利用に関わる事柄について、意思決定に参加する権利

d) 自家農場採種の種苗を保存、利用、交換、販売する権利

2. 小農と農村で働く人びとは、自らの種子と伝統的な知識/知恵を維持、管理、保護し、発展させる権利を有する。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの種子の権利を尊重、保護、具現化するための措置をとる。

4. 加盟国は、小農が、播種を行う上で最も適切な時期に、十分な質と量の種子を手頃な価格で利用できるようにする。

5. 加盟国は、小農が自らの種子、または、地元で入手できる自らが選択した種子に依存する権利に加え、小農が栽培を望む作物と品種を決定する権利を認める。

6. 加盟国は、(多様な)小農(による)種子システムを支持し、小農種子の利用、ならびに、農における生物多様性を促進するため、適切な措置をとる。

7. 加盟国は、農業研究や開発が、小農と農村で働く人びとのニーズを統合したものになること、さらに、これらの経験を踏まえ、これらの人びとが研究や開発の優先事項の決定および着手に主体的に参加することを保障するため、適切な措置をとる。加えて、加盟国は、小農と農村で働く人びとのニーズに応えるため、孤児作物やその種子の研究開発への投資増を確実なものとするため、適切な措置をとる。

8. 加盟国は、種子政策、植物品種保護、その他の知的財産法、認証制度、種子販売法を、小農と農村で働く人びとの権利、ニーズ、現実を尊重し、それらを踏まえたものにする。

第二十条 (生物多様性に対する権利)

1. 加盟国は、関連する国際法に従い、小農と農村で働く人びとの権利の完全なる享受の促進と擁護のため、生物多様性の消滅を防ぎ、その保全および持続可能な利用を保障すべく、適切な措置をとる。

2. 加盟国は、生物多様性の保全とその持続可能な利用に関係する、伝統的な農耕、牧畜、林業、漁業、畜産、アグロエコロジーのシステムを含む、小農と農村で働く人びとの伝統的な知識/知恵、イノベーション、実践を振興し保護すべく、適切な措置をとる。

3. 加盟国は、あらゆる遺伝子組み換え生物の開発、取引取扱い、輸送、利用、移転、流出がもたらす、小農と農村で働く人びとの権利に対する侵害のリスクを防止する。

第二十一条 (水と衛生に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、生命の権利とすべての人権、および、(法の下における)人としての尊厳の完全な享受のために不可欠な安全で清潔な飲み水と衛生に対する権利を有する。これには、良質かつ手頃な価格で、物理的にアクセス可能で、差別のない、文化的およびジェンダー上の要件からも許容できる水供給制度と処理設備に対する権利が含まれる。

2. 小農と農村で働く人びとは、個人および家庭の利用、農耕、漁業、畜産のための水への権利を有するとともに、その他の水に関わる暮らしを護り、水の保全、復元、持続可能な利用を保障する権利を有する。小農と農村で働く人びとは、水と水管理制度に公平にアクセスする権利を有し、水供給を恣意的に絶たれ、汚染されない権利を有する。

3. 加盟国は、差別なき水へのアクセスを尊重、保護、保障する。加えて、特に農村の女性と少女、そして遊牧民、プランテーション労働者、法的地位の如何を問わず、すべての移住者、非正規あるいは非公式の占拠地に暮らす人びとなどの不利な立場にある、あるいは周辺化された集団に対して、個人、家庭、生産のための利用を可能とする手頃な価格の水ならびに処理設備の改善を確保する措置をとる。これには、慣習上またコミュニティに根ざした水管理制度も含まれる。加盟国は、灌漑技術、処理済み廃水の再利用技術、集水および貯水技術を含む、適切で入手可能な技術を促進する。

4. 加盟国は、山、森林、湿地帯、河川、帯水層、湖を含む水関連の生態系を、過度の水利用、そして工場排水や無機化合物および化学物質の集積などの漸進的あるいは急速な汚染をもたらす有害物質による水質汚染から護り、回復する。

5. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの水に対する権利の享受を、第三者が侵害することを防止しなければならない。加盟国は、水の保全、再生、持続可能な利用を促進しつつ、人びとのニーズのための水を、その他の目的の利用よりも優先する。

第二十二条 (社会保障に対する権利)
1. 小農と農村で働く人びとは、社会保険を含む、社会保障に対する権利を有する。

2. 加盟国は、各国の状況に沿って、農村におけるすべての移住労働者の社会保障に対する権利の享受を促進する、適切な対策を講ずる。

3. 加盟国は、社会保険を含め、小農と農村で働く人びとの社会保障の権利を認め、国内の状況に従って、基本的社会保障制度の実現からなる社会的保護の土台を構築し維持する。この基本的社会保障制度は、それを必要とするすべての人びとが、基本的な保健医療ならびに基本的な所得保障へのアクセスを最低限、生涯にわたって保証するものであり、これらが一体となって、各国が必要と定める物品とサービスへの実効性を伴ったアクセスが可能となる。

4. 基本的社会保障制度の実現は、法律で定めなければならない。また、公平で透明かつ実効性を伴い、金銭的に利用可能な苦情処理および不服申し立て手続きも定められなければならない。これらの制度は、国内の法的枠組みに合致しなければならない。

第二十三条 (健康に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、達成可能な最高水準の肉体および精神面での健康を享受する権利を有する。また、一切の差別を受けることなく、すべての社会福祉ならびに保健医療サービスへのアクセスの権利を有する。

2. 小農と農村で働く人びとは、治療に必要とする植物、動物、鉱物へのアクセスと保全を含む、伝統的な医療を利用し保護する権利、ならびに、健康に関わる実践を維持する権利を有する。

3. 加盟国は、非差別の基本に立ち、特に、不安定な状況にある人びとに対して、農村における保健施設・物品・サービスへのアクセス、ならびに、必須医薬品、主な感染症の予防接種、リプロダクティブヘルス(性と生殖に関する健康)、コミュニティに影響を及ぼす重大な健康と保健衛生上の問題に関する予防・管理対策を含む情報、母子ヘルスケア、および健康の権利と人権に関する教育を含む保健員研修へのアクセスを保障する。

第二十四条 (適切な住居に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、適切な住居に対する権利を有する。これらの人びとは、平和に尊厳のある暮らしを営むための住居とコミュニティを維持する権利を有し、この点について差別を受けない権利を有する。

2. 小農と農村で働く人びとは、住居からの強制退去、ハラスメント、その他の脅威から保護される権利を有する。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの意に反して、専横的あるいは不正なる手法によって、一時的にも恒久的にも、適切な法的またはその他の保護措置への身近なアクセスを提供または実現せずに、人びとが利用・占有する住居および土地から引き離してはならない。退去が避けられない場合は、加盟国はすべての物品およびその他の損失に対して、公平かつ公正な補償を提供または保証する。

第二十五条 (教育と研修の権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、自らが基盤とする特定のアグロエコロジカルな環境と、社会文化的かつ経済環境に叶った適切な研修に対する権利を有する。当該研修プログラムでは、生産性の向上、マーケティング、虫や病気、(市場などの)システム破綻、化学物質の影響、気候変動および気象によってもたらされる現象に善処する能力を含む、他方これらに限定しない課題を取り上げる。

2. 小農と農村で働く人びとのすべての子どもたちは、自らの文化を踏まえ、かつ人権に関わる諸条約に明記されたすべての権利に則り、教育の権利を有する。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びとが直面する火急の課題に対してより適切に対応するため、平等かつ参加型の農民と科学者間のパートナーシップを促進する。例えば、農民フィールド学校(FFS)、参加型の植物育種、植物および動物病院などである。

4. 加盟国は、農場レベルでの研修、市場情報、助言サービスを提供すべく、これに投資する。

第二十六条 (文化的権利と伝統的知識/知恵に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、干渉やいかなる形態の差別も受けず、自身の文化を享有し、自由に文化の発展を追求する権利を有する。加えて、これらの人びとは、生き方、生産の手段や技術、慣習や伝統など、自らの伝統的な知識/知恵と地域社会で育まれた知識を維持、表現、運用、保護、発展させる権利を有する。何人も、文化に対する権利の行使により、国際法で保障された人権を侵害してはならず、人権の範囲を制限してはならない。

2. 小農と農村で働く人びとは、個人および/あるいは集合的にも、集団あるいはコミュニティとしても、国際的な人権基準に従って、地元の慣習、言語、文化、宗教、文学、芸術を表現する権利を有する。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの伝統的な知識/知恵に対する権利を尊重し、この権利を認め保護するための措置をとり、小農と農村で働く人びとの伝統的な知識、実践、技術に対する差別を撤廃する。

第二十七条 (国際連合とその他の国際機関の責務)

1. 国連の専門機関・基金・計画、国際および地域金融機関を含むその他の政府間組織は、本宣言の完全な履行に寄与する。これには、特に、開発援助および協力を通じたものが含まれる。小農と農村で働く人びとに影響を及ぼす問題について、これらの人びとの参加を保障する手段ならびに財源について配慮する。

2. 国際連合、国連専門機関・基金・計画、国際および地域金融機関を含むその他の政府間組織は、本宣言への敬意とその完全なる適用を促進し、その効果を確認し続ける。

第二十八条 (追加)

1. 本宣言に記されるいずれの条文も、小農と農村で働く人びとと先住民族が、現在保持する、あるいは、将来獲得する可能性のある諸権利を弱め、侵害し、無効化するものと解釈してはならない。

2. 本宣言が明言する権利の行使にあたっては、いかなる種類の差別なしに、すべての人権と基本的自由が尊重される。本宣言に示された権利の行使の制限は、法に定められ、かつ、国際人権法に準拠したものに限られる。これらのいかなる制限も、非差別的なものであり、他者の人権と自由への正当なる認識と尊重を保障する目的、ならびに、民主主義社会において公正かつ最も切実な要求を満たすために必要とされる場合に限る。

以上


監訳:舩田クラーセンさやか訳者:根岸朋子

*この「小農権利国連宣言」が成立するまでのプロセスは以下の訳書をご参照下さい。『国境を越える農民運動〜世界を変える草の根のダイナミズム』(明石書店)
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by africa_class | 2019-02-04 08:05 | 【国連】小農の権利宣言

「小農権利宣言」国連採決目前、3カ国(日本・モザンビーク・ブラジル)の農家と民衆会議を日本で初開催することになりました

みなさんは、来年から「国連家族農業の10年」が始まるのを知っていましたか?そして、もうすぐ「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」が国連総会で採択されることも?

一昨日(2018年11月25日)にニューヨークの国連総会で、ついに「小農権利国連宣言」のドラフトが提出され、これを準備した政府間作業グループの議長が紹介しました!(第73回国連総会34回会合第3セッション)2012年に国連人権理事会でこの議論が開始されて6年、世界最大の小農運動が夢見てから15年以上が経過しましたが、ついに後一歩となりました!

この国連宣言の画期的な点は、2008年の「国連先住民族権利宣言」に続くとともに、さらに大きな意味をもっています。国際法上も沢山のチャレンジがあり、大いに議論がなされ、ついにこの日がきました。とくに、「食の主権(食料主権)」「土地への権利」「種子への権利」「生物多様性保全への権利」などの「新しい権利」について、「小農」を国際人権の保護対象の特定グループとして認定する点についてなどです。

これらのことはすでにこのブログで紹介しましたし、12月に農山漁村文化協会から出される「国連家族農業10年」を祝う本に書きましたので、そちらでご確認いただければと思います。重要なことは、米国やEUや日本の反対があったけれども、世界の圧倒的多数の国々がこの宣言とドラフトに賛成しているという点です。

国連総会では、ボリビア、キューバ、南アフリカのアツいサポートの演説の合間に、インドネシアの「土地への権利」への懸念、EUのどうしようもないスピーチがあったものの(相変わらず、集合的な権利を認めない、「食の主権」と「種子への権利」が権利として不明瞭・・・とぶつぶつ言い続けてる)、とにかく前に進むことと思います。

2019年の「家族農業10年」が始まる前に、必ず採決される見込みです。

世界1億人を超える小農と農村で働く人びとの権利を守ることは、都市の生活者の権利を守ることにつながるという冒頭の議長の指摘はそのとおりです。なぜなら、農薬づけの生産方式は、生態系の破壊につながるだけでなく、また生産者だけでなく消費者の身体も蝕みます。また、遺伝子組み換え技術や種子の採取禁止は農家の自由に生産する可能性をどんどん狭め、また当然ながら生態系や私たちの身体に大きな影響を及ぼします。

今回の「小農権利宣言」が守ろうとしてくれているのは、農民の暮らし・身体だけでなく、都会に暮らす私たちの暮らし・身体をも含んでいるのです。そして、これを実現するにあたって、最前線にたち、宣言文のドラフトをつくったのが、世界の小農運動(ビア・カンペシーナ)であるという点に、注目いただければと思います。とくに、ドラフトのもとになる「小農男女の権利宣言」をつくったのは、インドネシアの農民たちでした。

日本でも世界でもお金をもっている消費者が強く、生産者は下にみられがちです。そして、その消費者をコントロールすることができるようになった巨大スーパーなどのグループ、そのグループに食料を調達する商社、それに大量の生産物を提供するアグリビジネス、さらにはそのための資材(たね、農薬、化学肥料)・・・などの重層的な権力構造ができあがりつつあります。

わたしたちの命や健康や未来が「儲け主義」に支配されつつあるなかで、最も弱い立場におかれてきた南の国々の農民たちが立ち上がり、最前列で「健康な食と農」を守ろうとしてくれていることに、私たちは感謝しなければなりません。

そのことを知っていただく機会にしていけたら・・・ということで、なんと日本とモザンビークとブラジルの農家・女性・若者・市民団体・市民が集まって、3カ国民衆会議を11月20日から22日まで東京で開催します!来日する農家はすべて以上のビア・カンペシーナに加盟する農家さんで、「アグロエコロジー」と「食の主権」を目指していらっしゃいます。(これらについてはまた別途説明します)

もちろん、日本の農業にも沢山の個別の課題があります、
でも、だからこそ、いま世界で起こっていること、南から出てきた様々な新しい試みやオルタナティブを知ってもらいたいと思います。全体テーマは3カ国民衆会議〜危機の21世紀を超えて、つながりあい、食の幸せを未来に手渡すために〜

3カ国民衆会議については追って具体的に紹介していきますが、以下のサイトに一括情報が掲載されています。
http://triangular2018.blog.fc2.com/
ユースチームも立上がりました!
https://peraichi.com/landing_pages/view/triangular-web
が、お金が足りていませーーーん!
https://congrant.com/project/triangularfr/551

なにせブラジル・モザンビークから20名近くの農家さんや市民団体の皆さんがくるのです…が、バスでの移動費、日本の有機農家さんが全国から東京の会議にこられる移動宿泊費、3カ国の農家さんが大いに語り合うための同時通訳費(逐語では間に合わないので・・プロに依頼)などなど、あと160万円ぐらい不足しているのです。開催まで1ヶ月を切ったので、ぜひみなさまに仲間になっていただき、ご協力いただければ本当にありがたいです。

わたしは今迄世界の食と農の状況や議論、各種のアクターを日本の皆さんに紹介してきましたが、この会議はいろいろな面で、日本の食と農の未来にとって「あっちいくの?こっちいくの?どっちいくの?」の迷いの中で、大きなヒントをもたらしてくれると思います。

会議は3日間のイベントの他、プレイベントもあります。
詳しくは一括掲載のチラシをご覧下さい。
https://drive.google.com/file/d/15MKHDrSHXKe_yrc9EcGnkJcBE5WXRSzp/view


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写真は今年ブラジルで行われた「アグロエコロジー全国大会」の様子


by africa_class | 2018-10-27 20:53 | 【国連】小農の権利宣言

完訳!国連「小農と農村で働く人びとの権利に関する宣言」(案)。日本と世界の「食と農の危機と希望」。

ビオトープではついにカエルが大合唱。待ちに待った春です!
つい先週まで毎日零下だったのでウソのようですが、春は突然やってくる。
そして待ってくれない・・・ので、すごく忙しいです。
剪定が間に合わないままに、また春がきてしまったので。

それはさておき、長きにわたった国連「小農と農村で働く人びとの権利に関する宣言」の全27条の訳が完成しました。あまりに忙しくなり私が完訳できなかったので、国際NGO・GRAINの協力を得て、翻訳家の方と二人三脚で終らせました。

全部はあまりに長いので(14頁!)、PDFを以下のサイトからダウンロード下さい。
https://www.farmlandgrab.org/post/view/27954-un-declaration-draft-on-the-rights-of-peasants

ただし、現在は以下の国連総会提出の原文に基づいていますので、その後修正がされていっています。修正され次第訳も改変していきますが、とりあえずはこのようなものが国連人権理事会で議論され、総会に提出されたということで。

原文 A/HRC/WG.15/4/2(国連総会提出):
https://documents-dds-ny.un.org/doc/UNDOC/GEN/G17/051/60/PDF/G1705160.pdf?OpenElement

なお、日本ではまだ十分に理解されていない「食の主権」「アグロエコロジー」「種子の権利」などの概念がしっかりと条項に反映されています。国連人権理事会、次に国連総会で採択されると、日本にも大きな影響がある条約となります。日本の農家の圧倒的多数が「小農」です。

日本でこの宣言文がまったく話題になっていないことを前回ご紹介しましたが、種子法が廃案になるなど、日本の食と農も危機に直面。この食と農のプライベチゼーション(私有化・民営化)は90年代以来、とくに2000年から加速的に強度を増しながら、南の国々(アジア、アフリカ、ラテンアメリカ)を襲ってきましたが、現政権下でついに日本にも「黒船到来」です。

この権利宣言は、そのような私物化によって自らの土地・たね・声が奪われた小農や土地なしの人びとが力を結集して、国連での議論に持ち込んだものです。

ぜひ多くの方に関心をもってもらえれば。

*****

〔宣言の構成〕

前文

第一条 小農と農村で働く人びとの定義

第二条 締約国の一般的義務

第三条 平等および差別の禁止

第四条 小農女性と農村で働く女性の権利

第五条 天然資源に対する権利と開発の権利

第六条 生命、自由、安全の権利

第七条 移動の自由

第八条 思想、言論、表現の自由

第九条 結社の自由

第十条 参加の権利

第十一条 生産、販売、流通に関わる情報の権利

第十二条 司法へのアクセス

第十三条 働く権利

第十四条 職場での安全および健康の権利

第十五条 食への権利と食の主権

第十六条 ディーセントな(十分な・まともな)所得と暮らし、生産手段の権利

第十七条 土地と他の天然資源に対する権利

第十八条 安全かつ汚染されていない健康に良い環境への権利

第十九条 種子の権利

第二十条 生物多様性の権利

第二十一条 水と衛生の権利

第二十二条 社会保障の権利

第二十三条 健康の権利

第二十四条 適切な住居の権利

第二十五条 教育と研修の権利

第二十六条 文化的権利と伝統的知識

第二十七条 国連と他の国際機関の責任


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by africa_class | 2018-03-12 22:43 | 【国連】小農の権利宣言

見たことある?「セラード」の森:「川べりに暮らす人びとのコミュニティ」を守るには

12月に入ると俄然クリスマスのムードが盛り上がってくる。
とともに、寒さも増し、普通に毎日零下が続く。

だけど今日は熱帯(トロピカル)の話をしようと思う。
今、原稿用の写真ファイルを見てて、未だ紹介してなかった「セラードの森」の写真を紹介したいな、と思ったので。原稿に疲れたのでひと休憩も兼ねて。

なぜって、依然として日本の皆さんのイメージは「セラード=不毛の大地」ですよね?
でも、違うんです。
今日のお話と写真はそのことについて。

去年6月、ブラジルの市民社会から「すぐ来い」と言われたので行ってみた・・・報告です。1年半もかかってすみません。

なぜ呼ばれたのかというと、またしても「日本が・・・」だったのですが、これは過去の投稿をご覧下さい。要は、アマゾン周辺のセラード地帯から港に向かうインフラを整備して内陸部でガンガンに農業開発をする・・・MATOPIBA計画です・・・。詳細は以下の投稿を。

アマゾン周辺地域まで伸びるアグリビジネス:日本が関わるMATOPIBAを知っていますか?

http://afriqclass.exblog.jp/237969424/

未だ病気が完治していないので、とっても迷った。
ブラジルなんといっても二十数年ぶりだし…・。
そもそも、私、アフリカでも手一杯。
なんでラテンアメリカまで…。

でも、自分の目で見て、耳で聞いて、感じなきゃ・・・というのもあった。

「セラードの森」
なんとも神秘的な響きだ。

ということで、この投稿ではセラードの森を紹介。

まず基礎知識。

「セラード」の言葉の語源を考えれば、「不毛」などという言葉がいかに間違っているか明らかなのに、日本の援助関係者の流布するイメージのせいで、「セラード」を「森」に連動させてイメージする日本の人はほとんどいないでしょう。

JICAが使う写真が、きまって草ぼうぼう(何故かいつも枯れている…)の向こうにちらりとまばらな木々が見えるものだったりするので、このイメージが付きまとう。

自分の目で確認して下さい。
https://www.jica.go.jp/story/interview/interview_75.html
https://www.jica.go.jp/topics/2009/20090525_01.html
http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/ProSAVANA/oda/2012121405.pdf

でも、セラード=Cerradoは、Cerrar「閉じる」という動詞の受動態。なので「閉ざされた」。つまり、「濃い森によって閉ざされた地帯」の意味なのです。

エーーー?!

日本のアグリビジネスや援助関係者には是非驚いてほしいところ。

じゃあ、なんで殊更「不毛の大地」と呼称し続けるのか?
しかも、最初にそう呼んだ1938年フランス人探検隊の呼称を使い続ける「目線」が、本当に失礼千万かつコロニアルですが、その話は前にもしたし、また今度。

一点どうしてもいいたいのは、セラード農業開発の関係者が繰り返し使う「原野」という表現。これは「雑草や低木の生えている荒れ地や草原。未開拓で人の手の入っていない野原」の意味ですが、非常に恣意的な表現。Cerradoの語源を考えるだけでも、この地域が「野原」であるとは言えない。ましてや「荒れ地」…。

閉ざされた森林地帯のセラードは、アマゾンに次ぐ重要な森林地帯であるばかりか、生物多様性の宝庫。植物だけで1万種以上が確認され、セラード固有の植物がその45%を占める。動物たちも含め絶滅危惧種のホットスポットとなっているほど、自然豊かな地帯であったのが、アグリビジネスの進出で地球上で最も激しく森林伐採と土地収奪が行われているところの一つになっています。

Landmatrixのデータでも、世界4位の土地取引先がブラジルで、300万ヘクタールを超える(これは日本の総耕地面積に近い広さ)。すでに多くの土地が開墾されてしまっているので、新たな取引は森林や先住民族らが暮らす地域をターゲットにしていると考えられます。<=ここは詳細なる調査が不可欠。
http://www.landmatrix.org/en/get-the-idea/web-transnational-deals/

さて、その急速に奪われつつある森と水と土地の話はすでにしたので、今回紹介したいのは、「セラードの森」とそこで暮らす人びとの闘いについて。

まずは、セラードの森を。

といっても、アグリビジネスの恐ろしいまでの展開スピードで、現在残されている森は人びとが守ってきたものだけ。ですので、人びとが共に暮らしながら守る「里森」のようなものであって、手つかずの自然というわけではないことを念頭においていただければ。

また訪問先は、MATOPIBA計画の対象地であるマラニャオン州、トカチンス州、ピアウイー州の森。
まずは、先のブログ記事で少し紹介した(下記)、「川べりに暮らす人びと(リベイラオン)のコミュニティ」の話を最初に取り上げます。とくに、どうやってこの森が生き延び、今危機の中で守られているのかについて。

Thanksgivingに新書のスケルトンを終えて:「欲望という名の列車」から降りることについて

http://afriqclass.exblog.jp/238014098/

なお、川べりの植生なので「濃い森」ではありません。あしからず。

では、ピアウイー州とマラニャオン州の境の「川べりに暮らす人びと」のコミュニティの森と木々、果物、人びとの話を聞いてみてください。

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どの木も食べられる実がなる果樹で、人びとの大切な栄養の源になっている。とくに、子どもたち。

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そして、アフリカでもブラジルでも、人が集まるところには必ずある木。
もちろん、マンゴーの木もありました。マンゴーの木の下は、川のそばの、皆が捕れたての魚をさばいたり、グリルで食べるための憩いのスペースとして活用されています。

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まだ熟していないマンゴー。
ブラジルのマンゴーはモザンビークのものと違って鮮やかなオレンジ色で小さい。
モザンビーク北部のは白くて大きくて桃のような味。
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このコミュニティが守られてきたのは、川経由で船がないと近寄れないほど、濃い森に覆われていていたため。でも、最近は土地を狙った動きに「水源」を奪おうとする動きが加わって、このコミュニテイも頻繁に収奪の危険に曝されている。
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行政が勝手にこの土地をアグリビジネスに引き渡したのでした。
ブラジルでは土地収奪において行政の偽文書の役割は大きく、さらにこれを実力行使するために使われる常套手段が、ビジネス主が雇った武装集団による追い出し作戦。その中には地元警察官が含まれていること多々。このコミュニテイも、そのような武装集団に何度も襲撃されています。

コミュニティが助けを求めたのがカトリック教会。
隔離されたコミュニティにとって、NGOや弁護士は遠い存在。
警察も行政もアグリビジネスやギャングとグル。
教会しか駆け込む先がないのです。

その話の詳細は前の投稿を。
ただ、写真をここにも貼っておきます。
ブラジルの教会は「不正義に闘う教会」です。
クリスマスが近づくこの季節に是非その事を知ってほしいと思います。

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カトリック教会の「土地司牧委員会CPT」は、このコミュニティで会議をすることにしました。コミュニティや教会だけでなく、NGOや弁護士やその他の皆が「ウォッチしているよ」というメッセージも、隔離されたコミュニティには非常に重要だということです。
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ブラジルの憲法には、「伝統的コミュニティ」というカテゴリーがあり、その領域は本来権利が守られることになっています。これは、国連のファミリー組織であるILO(国際労働機関)の条約でもそうです。

これを日本の人が理解するのが難しいのですが、「先住民族コミュニティ」「アフリカ系コミュ二ティ」の総称ではなく、色々なところから来た人びとが何十年(何百年)にもわたって作り上げてきたコミュニティのことです。このコミュニティも、先住民族、アフリカ系、ヨーロッパ系など様々な先祖を持つ皆さんが暮らすコミュニティです。顕著な文化・暮らしを営んでいることがその条件で、このコミュニティもそれに当たります。

ルーラ政権の誕生で、これらの人びとは大学入学の優先枠(アファーマティブアクション)を与えられ、このコミュニティの何人かの若者も近くの大学で勉強しています。そこで、ある若者が州立大学の農学部で学んだ知識で菜園を始めたそうです。でも、その後、土地問題を一緒に取り組んだ教会の皆さんに学んだアグロエコロジー講座の方が役に立つと気づき、今菜園を変えようとしているそうですが、未だその途中ということで、恥ずかしがりながら菜園を見せてくれました。

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この「伝統コミュニティ」で農業が盛んでなかった理由は簡単です。
森が果物を与え、川が魚を与えていたからです。

北東部の人びとに「セラードに特徴的なことは?」と聞くと何人かは必ず「フルーツ!」といいます。それぐらいセラードのフルーツは住民に愛されている食べ物であり、飲み物でもあります。道路脇のスタンドには、大抵セラードのフルーツのジュースが売られています。

「食料」の話では、とかく農業がフォーカスされがちですが、「漁業」「酪農」もまた重要な生業です。そして、特に何もしなくても恵みを与えてくれる森の果物について、世界はあまりに軽視してきすぎました。

いずれこのブログで取りあげる「食料主権」において、漁業も狩猟も牧畜も非常に重要な役割を占めています。私たちはいつの間にか「食料」を「食糧」と置き換えてきました。このことの問題について、また改めて考えたいと思います。

さて、ブラジルにいる間にセラードのフルーツの名称を教えてもらったのですが、20は下らず、またアルファベットでどう書くのか不明なものも多く、ここで紹介することができません。。。が、北東部ではあちこちのアイスクリーム屋さんに、これらのフルーツのアイスがあります!

幸いセラードのフルーツの栄養価の高さや美味しさに目を付けた企業がありました。
「セラードからの美味しいもの」
http://www.deliciasdocerrado.com.br/
12種類のセラードの果物の味のアイスを販売しています。

実は、2011年からWorld Watch研究所が、野生の果実がいかに地球と人びとを救う可能性を秘めているかの調査と啓発活動を行っています。
http://blogs.worldwatch.org/nourishingtheplanet/about-us-2/project/

日本ではほぼ知られていないのが残念すぎるのですが、『ProSAVANA市民社会報告2013』の4章で紹介しているので是非ご一読下さい。(900円しますが売り上げはNGOに寄付される仕組みです)
http://www.dlmarket.jp/products/detail/263029

戦後、人類は自然が与えてくれる恵みを否定し、自分たちが人工的に創り出す食べ物こそに価値を見出し続けてきました。そうやって私たちの身体が蝕まれてきただけでなく、地球もコミュニティも蝕まれている現実を前に、「健康に食べる、命を繋ぐ、将来の世代に環境を手渡す」という観点から考えていかなければならないと思います。

さて、次はこのコミュニティの人達が、教会のアグロエコロジーの研修で出会った農民の森・畑をみて学びが沢山あったというので、その方の家にいったときの写真を紹介します。



by africa_class | 2017-12-03 02:22 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

食に目覚めた17歳の息子とシリーズ(食と農)9巻本の刊行

ずいぶんご無沙汰してしまいました・・・。
今年は畑面積を大幅に広げ、ちょっと頑張りすぎた春から夏を経て、世界のあちこちに出没しつつ、なんとか落ち着きを取り戻しつつあると思ったところで、もう年末・・・。

17歳の息子が日本に行っている間にブログでもと思ってたのだけれど、もう帰国!
しかし、子が成長するスピードの凄まじさの一方で、親の自分が一進一退を繰り広げているのは、なんとも・・・ですが、逆に日々教えられる感じで、私もいつまでもグズグズしてられないな〜と思っている今日この頃です。

それにしても、この3年ぐらいの雑誌遍歴が凄まじい。
最初は、建築雑誌だった。
次に、インテリアデザインの雑誌だった。
そして、写真の雑誌になった。
と思ったら、女性服のファッション雑誌になった。
でも、つい最近はコレにになった。

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親が親なら、子も子で、とにかく「食」に目覚めたわけです。
で、彼のセオリーでは、「狩猟採取が人間と自然、地球に最も適している暮らしのあり方だ」ということで、森と畑に出没しては採取を愉しんでいたわけですが、さすがに池のコイやフナ100匹にも、ビオトープのカエルさんたちにも、蜂の子さんにも興味はないらしい。

でも、とにかく食べ物にこだわり始めた。
そのこだわりは尋常な感じではなく、亜熱帯ですらないドイツで、亜熱帯か熱帯のものを食べたがった・・・。温暖化はまだそこまでいっていないというのに。

エンゲル係数が急カーブというか直線を描いたところで、父親のまったがかかった。

ある時、当時16歳は哀しそうにつぶやいた。

「自然が豊かなところに暮らす野生動物はいいな・・・」
「目指してるのは、パプアニューギニアとかの暮らしなんだ」
「へ?」
「人類は貧乏になった」
「はあ・・・」
「自然に委ねられなくなった」
「そうね・・・」
「でも、考えてみたら動物園のゾウはいいな」
「へ?!」
「いっぱいタダで果物がもらえるから」
「・・・・さっきまでの話と違うやん!」
「あの果物には農薬ついてんのかな・・・」
「えっと、それは・・・」
「安いもん喰わせてないかな・・・」
「えええーーーーと」
「人間はズルい。ゾウが分からないとも思って!」
「はあ・・・」

翌朝、当時16歳はスコップと鍬をもって自分のためのサツマイモ畑のためにざくざくがんばった。
ここはどこ?というほど、素晴らしいブリティッシュガーデンだった庭は、飢える楽園の野生動物になりたい若いヒト科のオスによって、やや暴力的に「サツマイモ畑」に変貌を遂げさせられていた。

買うカネがなく、納得のいく食べ物がないいなら自給だ。
それは正しい。
ハハが、そんなことは、もう13年もがんばってるやん。

で、結局、サツマイモから蔓を出させて移植したのは、この私。。。
一個やったら、全部やったつもりになるのが、この年齢の特徴でして。
後まで想定して行動してよ、、、、まあ無理か・・・。

しかし、My Foodへのクエストは続く。
学校の給食が耐えられないと言い始めたのだ。
この文句は数年前からずっとだったが、ついに給食を辞め、毎日弁当を持参すると宣言した。

「おべんとう」・・・。
日本の、しかし私のように「スボラ母」にとって、これがどれほどのプレッシャーか!
わざわざドイツくんだりにきて、もう高校も終りかけてる息子にこれを宣言されるとは想いもよらず、身構えた。

「あ、ママちなみに、オレが作るから」
「あ、、、、、そ、そう?」
「だいじょうぶ!(ニコリ)自分で食べたいもの作りたいし」
「そうよね。そうよね」

とりあえず、こういう自主性が出たときは無限に褒めるに限る。
「じゃあ、ママはお弁当箱買おうかな!」
「うん。お願いする。でも特大のものね」

との会話をした後、奴はアフリカに旅立ち、その後日本、そして私が日本に出たので、そのことをすっかり忘れていた。
で、日本からこちらに戻ってくると、本当だった。
17歳1ヶ月の息子は、毎日お弁当のために夕食まで作っていたのだった!!!!

こういうときは、やはり褒めるに限る。
もう褒めて、褒めて、そして頼るに限る。
というか、実際のところ感動して、褒める以外なかったのだ。
だって、世の親は、毎日夜ご飯に何を食べさせるかで、かなり翻弄される。
もちろん、夜に温かいものを食べない伝統的ドイツ家庭以外は・・・。

でも、うちはサッカー・写真少年が作る。
だから、彼がサッカーを終ったり、写真の作業が終らないと、食べられない。

そして、私の翌日のお昼ご飯まで作ってくれるようになった時点で、「これは本気」と理解した。

なんだ。そういうことなんだったら、早くいってよ。
とにかく二人で「食と農」の分野でがんばることを誓った。

なので(展開についていけない方すみません)、今息子は秋休みの2週間を東京で過ごしている。
毎日違うレストラン、バー、カフェ、パブ、フードトラックで、焼き鳥やらケバブやらムール貝やら、パエーリャを売っているらしい。高校2年生17歳。来年は卒業だが、卒業制作がコレだそうだ。
つまり、来年の6月の卒業制作発表会までに、「フードビジネスを興す!」プロセスが卒業制作だと。。。

息子は嫌っているが、シュタイナー学校は、その意味でよかったと思ってる。
本人も内心はそう思っているが、学校がいかんせん狭すぎた。
同じ先生とクラスメートと11歳からずーーーっと一緒というのは、さすがにキツい。

で、フードビジネスのその先は?
というのは、私は聞かない。
だって、その先の人生を生きるのも、責任を負うのも、本人だからだ。

ドイツで大学に入るのは日本どころではない難しさだ。
日本にはあらゆる大学がある。
自分の能力にあわせて行けばいい。
が、ドイツでは、大学受験資格をとるのが至難の業なのだ。
いわゆるアビトウア、バカロレアというやつだ。

で、食に目覚めた野性動物になりたい17歳は、大学はもういいといっている。
いつか行きたくなったら勉強して自分の力で行くよ、と。

なるほど。
大学で教えた私と、今大学で教えている彼の父親は、それ以上は言わなかった。
「I see.」
わかったでもなく、いいねでもなく、それはダメでもなく。
なるほど。

実際のところは複雑だ。
「大学ぐらい出てないと・・・」
の言葉が過らないわけではない。

でも、彼を見つめる。
小屋も解体して立て直せるし、家具も作れるし、器も作れる。
畑も耕せるし、料理もできるし、服も縫える。
写真も撮れるし、編集もでき、ホームページも作れる。
世界のどこでも生き延びられるだけの機転もある。
確かに、「勉強」という意味では適切な学校ではなかったかもしれない。
でも、「生きる力」という意味では、もう準備万端だ。
17歳になったばかりの若者に、そう言えるとすれば、それは素晴らしいことなのだと思う。
自分の17歳時と比べても。

彼の人生だ。
彼に任せよう。
任せられるだけの若者になれるように、そこに全力をあげたはずだったから。
彼が彼の人生を彼の手で切り拓けるように。
2歳で包丁をプレゼンとしたのは、そういう理由だった。
0歳児の彼をアフリカに連れていったのも、それが理由だった。
どんな難しい話でも、彼を子ども扱いしなかったのも、そのためだった。
彼のどんな一言も、彼のものとして、否定しないできたのも、それが理由だった。

そして、食べものが命と社会、自然に関わる重要なものだと言い続けたのは・・・
自分でその場で採った新鮮なものほど美味しいものはないと言ったのも・・・
おそらく私だ。
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(エビは池からではないが・・。)

彼は彼の世界に羽ばたく。
私達は後ろ姿を眺めながら、無事で健康であってくれれば、ただそれでいい。

人生に苦労はつきものだ。
それが当たり前。
闇雲にいわゆる「幸せ」を追い求めたり、「他人がどう思うか」を基準に考えるのではなく、自分の考えに基づいて失敗しながら送っていけばいいのだ。

なんの話だったか・・・。

そうだ。食と農だ。
で、グローバル化と食農問題。
でも、やっぱりこの話は、My Food, Our Foodから始めないといけないと思ってる。
その理由をいずれは書こうと思うのだけど、今日はこれにて失礼。

玄関のぶどうでワインを仕込まないといけない。
毎年やっているうちに、仕込んで1週間目が最高だと知ってからは、熟成ができないのだけど。
もちろん、熟成ワインは美味しい。
でも、あえて自家製ワインを作るのであれば、ボトルや店で味わえないものをと思う。
これぞヴァン・ナトゥールの極み。
世界でどこにもない、My Wine, Our Wine。

で、伝えたかったことに辿り着く迄に、またしてもこんな長旅をしてしまった。
いいたかったことは一つ。

2018年11月から、食と農に関するシリーズ本を9巻出していきます。
世界最高峰の研究者たちが執筆した一般向けのブックレット。
近畿大学の池上先生と京都大学の久野先生との企画。
明石書店からのシリーズ刊行となります。

お楽しみに!



by africa_class | 2017-11-03 05:13 | 【食・農・エネルギー】