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【6月6日19時〜@京都】緊急企画「〜普通の市民が国境を越えてつながるために〜」でお話をさせていただきます(IWJ 大阪Ch1中継あり)

ブログでの告知が本日になってしまってすみません。

ツイッターでは紹介しましたが、ブログしか見てない人がいるのを忘れていました。

以下、主催者の京都ファーマーズマーケットさんのFBの告知文です。
https://www.facebook.com/events/404267120165627/

当日は、IWJ大阪Ch1で中継配信があるようですが、一部だけなので、是非会場にお越し下さい。
境町画廊は、駅から近くとっても素敵な場所で、かつ主催者の井崎さんをはじめ、素敵な人達が準備してくださった企画です。新しい素敵な出逢いのためにも〜。


********

2019年6月6日(木)19時〜21時@境町画廊(京都)


緊急企画

〜普通の市民が国境を越えてつながるために・舩田クラーセンさやかさんのお話〜


********


昨年の秋の京都ファーマーズマーケット2周年企画。
総合地球環境研究所のFEASTプロジェクトの研究者・小林舞さんと、耕し歌ファームの松平さんご夫妻のご協力のもと、ブラジルとモザンビークから農家さんにお越しいただいて、現地で推し進められようとしている大規模農業(日本政府も協力しています)をなんとか食い止めようと奮闘されている現状を直接お聞きしました。
これは、東京はじめ地方でも何度も開催されたシンポジウムの一環として京都にもお立ち寄りくださったのですが、直接、お話を伺えたことはとても大きかったのでした。
その後、大規模なサイクロンに襲われたモザンビークはどうなっているだろう、そして1日で愛知県規模の面積の森林伐採がされているというアマゾンは一体どうなっただろう、、、ずっと気がかりでした。
この度ようやく、FEASTプロジェクトの小林舞さんのおかげで舩田クラーセンさやかさんにお会いできました。
アフリカ研究者であるさやかさんは何十年も前から社会問題に積極的に関わるアクティビストとして、人権問題や環境問題に取り組んでこられました。昨秋のシンポジウムの中心メンバーでもいらっしゃいます。
アフリカや南米でグローバルな無茶苦茶な開発が進められている現実は私たちの暮らしに直接影響しています。
でも、どうやったら流れを変えられるだろう?
心配するばかりで祈るしかない現実ではありませんか?
私はずっとそうでした。
ジャーナリストでも研究者でもない、ごく普通の市民は一体どうやったら世界の同じ思いの人たちと連携できるのだろう?
舩田さんに市民が連携して政府や大企業の計画をストップしてきたお話を伺うことは大きなヒントになると思っています。
普段は海外で暮らしてらっしゃる舩田さんのお話、この機会にぜひお聞きください。
舩田さんのご経歴と、「世界」に連載されたレポートを添付しておきます。
https://websekai.iwanami.co.jp/categories/79
当日はFEASTプロジェクト研究員の小林舞さんもお越しくださいます。

日時:6月6日(木)19:00〜21:00
場所:堺町画廊
主催:京都ファーマーズマーケット
参加費500円
ご予約・お問い合わせは京都ファーマーズマーケットのFBページからお願いいたします。


写真は、去年の3カ国民衆会議@聖心女子大学での様子。3カ国の小農、女性、市民社会の皆さんが結集。
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by africa_class | 2019-06-06 00:04 | 【記録】講演・研究会・原稿

Thanksgivingに新書のスケルトンを終えて:「欲望という名の列車」から降りることについて

年内に原稿を提出しなければならない新書のスケルトンが終った。
奇しくも、Thanksgivingday(ドイツ語風に全部くっつけてみた)。欺瞞に満ちた「勝者」の歴史の語りが、今年も繰り返されようとしている最中に。

「歴史」は、後にしてきたものだと思いがちだ。
しかし、実際は違っている。
「失敗/過ちの歴史」はあっという間に忘れられるというのに、「栄光の歴史」は繰り返し、繰り返し蘇り続ける。だから、歴史家の仕事には終わりがない。

歴史は今の写し鏡であり、今歴史をどう見るかによって将来をも規定する。
2017年末の日本と米国を見ながらそんなことを思う。
とりわけ、Thanksgivingの今日、日本の政治家たちがおかしな伝統や歴史認識を持ち出してきたことを眺めながら。

私たちはあっさりと歴史を忘れるというのに、自分たちのご都合主義に彩られた歴史解釈は手放そうとはしない。
だから、「歴史」は繰り返す。

今日は、北米の先住民族の辿った歴史を、征服した側の白人が語り直す日だ。
被征服側となった先住民族の側の物語は、メインストリームの語りには決してならない。少しばかり「良識派」のメディアがこの白人の創り出した物語を批評する記事を出したとしても。歴史が全体としてどのようなものとして動いたのか、征服者と被征服者の間で本当のところは何が繰り広げられたのかの話はされない。あれから何世紀経とうとも。

今書いている本は、途中からなんだかおかしくなっていった。

最初は今風に書いた。
テキストとして。
教科書的な。

でも、ブラジルの先住民族のお母さんの叫ぶような声が、テキスト的な出来事や解説の行間や文字間から、ぬるっぬるっと顔を出し始めてしまい、もはや止めようとしたところで勝手に話し始めてしまった。だから、そのまま自由に語ってもらった。

時に、長いものを書いているとき、そういうことがある。
博論のときはそうだった。

寒い兵庫の山奥で確かに聴いたアフリカの森を急ぐ住民の声。
ざわめき。
悲鳴。
押し殺したため息。
凍らした心。

最後の一文を書き終えた後、どうしたのだろう?
無限の多様なうめき声を、耳にしながらも、ただ呆然と眺めるしかできなかった。
いや、そこから遠く離れなければと必死だったかもしれない。

弾けなかったピアノは今でも弾けない。
でも、少しずつこうやって書けるようになっているとしたら、それでよいのだと思う。

職業としてテキストを書かなければならなくなって、耳にしていたはずの「ざわめき」を封印してしまう技術を身につけなければと必死だったように思う。普通の人は違うのかもしれない。器用な人は行き来できるのかもしれない。でも、私は大方の想定と違って、とても不器用な人間なのだ。そして、おそらく必要以上に真面目すぎる。だから、その融合も、行き来も、折衷も難しかった。

もう自分のための論文は書かない。
つまり、「業績」にもう一本を加えるのための論文も本も書かない。

要らないからだ。
そのつもりで入った研究や大学の世界。
分かっていたことなのに、いつの間に絡めとられてしまっていた。

ベルトコンベアーのようにあれもこれも書いて、書いてといわれて。
書きたいと思わないことを、
私が書くのではなくてもよかったことを、
ただ書き散らしてしまった。

最初は練習だった。
必要不可欠な。
そして、今も必要ではあるのだろう。
本当は。能力不足だから。
でも、最後は苦痛で仕方がなかった。
魂がそこにないままだったから。
いただいたお題、そのストーリーに魂を見出せなかったから。

いちいち論文に魂なんて込めなくていいよ。
私も他人にはそういっていたかもしれない。
でないと終らないから。
終らないと皆困るから。

でも、やはり人生は一度きりだと思う。
魂を込めるものと向き合える時間が、あとどれぐらいあるのか分からない。

小さな声がつぶやく。
モウ ナニモイラナイ。

大きな声でいってみる。
モウ ナニモイラナイ。


その途端に、書きたいことが山のように溢れるのだから、自分のあまのじゃくぶりに驚いてしまう。

大学2年生のとき、北東部ブラジルの干ばつに翻弄される家族の過酷な物語を読んだ。
Vidas Secas(干ばつ暮らし/乾いた生活/グラシリアーノ・ラモス、1938年)
ポルトガル語の購読の授業の教材だったので、かなりイヤイヤ読んだ記憶がある。まさか十数年後に自分が同じようなことを若者に押し付ける側になるとは・・・思っても見なかった20歳のときのこと。

まだ辞書片手に(しかもポルトガル語・英語辞書しかなかった時代)、遅々として進まない翻訳(というか想像の何か)。でも、小説から漂う過酷な自然との闘いを繰り広げる人間のチッポケさ、なんといっても喉の乾き、皮膚の乾き、暑さ・・・そういったものが言語の違いを超えて迫ってきたのを昨日のことのように思い出せるのは不思議だ。使われていた単語、表現、文章は一切思い出さないというのに。

今日、新書のスケルトンを書きながら、私の脳裏にあった情景はそれだった。
ブラジル北東部、セラード地域の広大なる大豆畑のただ中を、ひたすら車を走らせたときに触れたあの乾いた空気。灼熱の太陽。

と同時に、目をつぶると、次の瞬間、赤茶けた道から離れて、奇妙な形をした木々の間をいくと、湿った空気が鼻の中をくすぐるのが感じられる。あの乾燥した空気から一瞬にして隔離されたかの。砂漠を歩いて歩いてオアシスに到着した瞬間の、あの感じ。砂漠をそこまで歩いたことないのに。セラードの森だ。

森の中を歩きながら、子どもたちがどの果物がどう美味しいのか一生懸命話してくれる。
突然、森の中にバレーボールのポールとネット。
なぜか恥ずかしそうに年長の子がいう。
「神父さんの提案で」
「あ、そうなんだ。確かに横にチャペルがあるね」
手作りの、柱が8本にヤシの葉っぱで編んだ屋根の簡易チャペル。その前には十字架がある。
もぞもぞ年長さんがする。

同行していた若い男性が口を開く。
「土地を奪いにいきたビジネスの奴らからコミュニティを守る為にです」
「え?」
「ここをコミュニティが大切に使って活用しているということを見せることで、一方的にブルトーザーで壊しにくくしています」

こののどかに見える森の中にも危険が迫っていた。
「若い男達がいないのに気づきましたか?」
「確かに」
「ビジネスの奴らが雇ったギャングに脅されてみな出て行かざるを得なかったんです」
「あなたは?」
「コミュニティを守るために残っています」
「だいじょうぶ?」
「毎晩寝るところは変えてます。雇われているギャングは隣町の若者たちです。カネが皆の心を狂わせてるんです」

Vida Secaとは180度異なる豊かな緑の木陰で、彼はささやくように話す。
川沿いの森の民に見送られて向かった先は、隣州の先住民族の会議であった。

果てしなく続く赤茶けた大地。
延々と続くむき出しの。
喉の乾きが辛い。
バスが止まるたびに水を買う。

先住民族会議には200人を超える周辺地域の先住民族が集っていた。
4日間毎日会議だ。
大学キャンパスに野営をし、野外テントで議論をする。
キャンパスの庭でたき火をしながら調理をしている様は「さすがブラジル」としかいいようがない。
主催者いわく。
「なんで?公共の場だから公共の目的のために使えばいいだけ」

朝から晩まで、先住民族の老若男女がマイクをもって、時にもたないまま話を続ける。

汚染された水を飲み、自分より若い人達が癌で次々亡くなっていくと訴えるおばあちゃんたち。

清廉なる水は命の源だった。
それが今人びとの命を奪う汚れたものになっていると。
森と暮らしを守らんと立ち上がった男たちが、
手足を切り取られた姿で川に投げ捨てられていると。

小さな小さなしなびたおばあちゃんが、杖で地面をつつきながら叫ぶ。
「ついに白人たちは植民地支配を完成させようとしているのだ」
足踏みをしながら。
「森を殺すことで、私たちを殺そうとしている」
ドンドン。
「水を汚すことで、私たちを殺そうとしている」
地鳴りがする。
「私たちの勇敢なる息子たちを八つ裂きにして、先住民族を根こそぎ終らせようとしている」
低いうねりのような声がする。
「おのおばあが命をかけて、あんたらから森と水と息子を守る。弓矢に毒を盛って」
足踏みが止まらない。地響きのような。

このおばあちゃん独りではなかった。
女性たちが語る悲劇と決意は、議事進行役の年配の男性たちを困らせるほどの勢いだった。

女性たちの前に無言で並ぶ政府の役人や学者たちは、皆色が白い。
南部やサンパウロの訛で話している。

先住民族担当官に女性が詰め寄る。
「あんたたちを信頼した私たちが間違いだった」
「あんたたちがやったのはなんだったのか?」
「就任してから、一度だって私たちのコミュニティにきやしない。私たちのリアリティを知ろうともしない。」
「忙しい、忙しいって、何をやってるかと思ったら・・・
あの業者とご飯を食べることじゃないか!私たちを殺しにくるあいつらと」

会場となった野外のテントには風がびゅうびゅう吹き荒れる。
森を失ったこの地では、どんな風も容赦なく打ち付けるのだ。
おばあちゃんによると「自然の叫び」なのだそうだ。
自然の叫びは止まる事を知らない。
もう誰も自然の叫びを止められないところまできてしまった。

「欲望という名の止まらぬ列車」に、私たちは乗り合わせている。
ただし、その「欲望」は1%の人びとのものである。
それ以外は今日・明日の命をかけてその列車に振り回されんとしている。

この列車に乗りたくないといっても、列車は道行く先々のすべてのものを根こそぎ網にかけて引きずり続ける。

私たちはどうやったらこの列車を止めることができるのだろうか?
もう止められないのだろうか?
止めることで、別の何かが引き起こされるのだろうか?

だとしても。
たった一個のカタマリにすぎない私が応答する。
まずは降りてみること。
たった一人にすぎないとしても。

木々のところにいく。
迷ったときはいつもそうするように。


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by africa_class | 2017-11-24 08:10 | 【徒然】ドイツでの暮らし

【続報】ブラジル・セラードの日系農場とコミュニティ紛争:大規模集会

土曜日の住民大規模集会をお伝えするはずが、少し時間が空いてしまいました。

下記の記事の続報です。


ブラジル・セラードの日系農場とコミュニティ紛争:水問題でついに住民占拠へ

http://afriqclass.exblog.jp/237974421/


といっても現地から届いた写真を紹介するだけになります。

すみません・・・。


でも、間違いなく、皆さん驚きます。

というか、この私でも、自分の目を疑ったほどの、、、凄い人の群れでした。

特に、バイーア州西部といえば、本当に奥地。

そこにこんな数の群衆が連帯のために結集するとは。


このマーチは、膨大なる水の「収奪」をしているという「イガラシ農場」を占拠し、灌漑設備を破壊したコレンチーナのコミュニティの住民への連帯を示すために、街の人達だけでなく、周辺地域や全国から集まった民衆の様子だそうです。

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すでにFBなどで掲載済みの写真だそうですが(なので絵文字が)、とにかく凄い人です。道の奥の奥まで群衆。。。おそるべしブラジルの民衆パワー。皆さん、思い思いのプラカードを掲げていたり、手にもって歩いているのが、さすが民衆行動の本場ならではの雰囲気です。


この女性は、「私たちのセラードを大豆かジャガイモのために引き渡すのはもう沢山!」と掲げてらっしゃいます。表情の厳しさに、本気度がひしひしと伝わってきます。「もう沢山!」は赤字…。


皆さんが思う「ぶらじ〜る、ブラジル!私のぶらじる〜」というあの脱力感溢れる音楽の雰囲気とは異なるブラジルの姿がここにあります。といっても、皆普通に歩いたりせず、スローガンをリズムにのって、サンバのステップで歩いたりすることもあるので、そこはブラジル風味。でも、「やるときゃやるのよ!」が、やっぱり私のブラジル社会運動の印象。


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しかし、この農場が日本人移民が設立した企業によって運営されている日系農場であることを考えると、とても複雑な気持ちになります。


例えば、このお兄ちゃんたちのプラカード…。「そのジャガイモ、日本で植えろ!」のスローガンが、日の丸とともに描かれている。現在の会社のオーナーは2世。ブラジル人なのだけれど、やはり日本の背景が付きまとうのかと残念な気も。でも、一方的に水を奪われる側にしてみれば、どうしてもこのような感情をもってしまうのでしょうか。

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こちらのお姉さんたちもまた沢山のプラカードを掲げてらっしゃる。


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でも、最後の女性のイメージが一番パワフル。

手作りの水がめを頭に乗せた女性の、この決意溢れる表情も、胸に迫ります。

なんて書いてあるか分かります?


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「喉が乾いたまま死ぬより、銃弾で死んだ方がましだ」


それぐらいの危機的状況の中でコミュニティの人びとは暮らしており、やむにやまれずの行動だったことが、ここにもはっきり示されています。


その頭上を警察のヘリコプターが威嚇しながら旋回。


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この矛盾と対立は、ここだけの話ではありません。
スケールが大きくなり、目立っただけで、セラード地域で日常的に起きていることです。

それをもたらしたセラード農業開発に私たちの国・援助機関が関わっていたこと、そして現在も関わっていることについて、決して忘れてはならず、皆さんにぜひもっと関心をもってもらいたいと思っています。

この詳細は以下の記事を。

アマゾン周辺地域まで伸びるアグリビジネス:日本が関わるMATOPIBAを知っていますか?

http://afriqclass.exblog.jp/237969424/



by africa_class | 2017-11-16 07:17 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

ブラジル・セラードの日系農場とコミュニティ紛争:水問題でついに住民占拠へ

 今日は土曜日。のんびりした空気がここドイツの田舎では漂っているのに、ブラジルとアフリカから矢継ぎ早に寄せられる情報に翻弄されているところ。
 さて。ブラジルからの緊急情報のリサーチをしている間に、さらにSOSの情報がブラジル経由で寄せられて、ややてんやわんやですが、現時点で寄せられた情報、調べたことを共有しておきます。

これはその前の投稿で紹介したMATOPIBA地域で起きていることです。
詳細は以下をまずご覧下さい。

アマゾン周辺地域まで伸びるアグリビジネス:日本が関わるMATOPIBAを知っていますか?

http://afriqclass.exblog.jp/237969424/

1. この1週間で起きたこと&その背景
末尾のソース(記事)によると、次のようなことが11月2日から現在まで起きているそうです。

【概要】
1)地理:ブラジル北東部バイーア州バレイラス地域のロザリオ郡コレンチーナ市
2)現場:「イガラシ(五十嵐)社(Lavoura e Pecuária Igrashi)」が所有するリオ・クラーロ農場(地元住民は「イガラシ農園」として言及)
3)日付:11月2日に発生
4)リオ・クラーロ農場を500-1000人の住民らが占拠し、農場の灌漑設備を破壊

【背景】
1)この地域はバイーア州最西部地域で、日本・JICAのPRODECERを経て、大規模開墾大豆を含む輸出向け穀物生産が拡大し続けてきた
2)水の大量利用により住民が生活に頼る水が不足
3)これについては、裁判や請願を含む様々なアクションがとられてきたが、行政はアグリビジネス側に立った
4)このたび、「イガラシ農場」での新たな灌漑設備の完成によって、さらに水が枯渇した
5)関与しているのは日本企業である

*コミュニティの弁護士によると、企業が1日に使う水量は1億リットルで、3万人が暮らすコレンチーマ市の300万リットルの何十倍にも上る。

【何が起きたのか?起きているのか?】
1)ついに周辺コミュニティの住民が立ち上がり、農場を占拠し、灌漑設備を破壊

*女性たちは、「私たちは誰も傷つけたくない。ただ生きていくために不可欠な水を取り戻したいのだ」と語る。

2)警察が出動
3)コミュニティと住民の権利を支援する運動が拡大
4)捜査開始に対して、全国から非難
5)今日全国から集まった人びとが集会を予定

2. 問題となっている「日系企業」(イガラシ社)とは?
報道と現地からの情報で、この企業が「イガラシ(五十嵐)社(Lavoura e Pecuária Igrashi)」であることが分かります。そして、現地の皆さんからは、日本のマネーが関わっているとの情報がくるのですが、明確ではありません。また、背景はあまり明確ではありません。そこで、日本語・ポルトガル語でのサーチをした結果、次のことが分かりました。

なお、「イガラシ社」のサイトは「現在メンテ中」と出ます。
http://www.igarashi.com.br/

【戦後日本人移民によるイガラシ社の設立と北進】
1)戦後、日本からサンパウロ州イビウにやってきた五十嵐氏
2)その後、サンタカタリーナ州に拠点を移す
3)1970年に会社を創業し(本社クリチバ)、種芋の栽培に取り組む
4)日本のセラード農業開発協力(PRODECER)の北進に伴い、
5)1992年にゴイアス州に農場(Fazenda Rinção de Alice)を開設
6)1995年にバイーア州にRio Claro農場を開設
*そのほか、Chapada Diamantinaにも農場を有する。

【イガラシ社の土地保有面積】
1)バイーア州に35,000ha
2)ブラジル全土、全体で50,000ha
*ちなみに、東京都面積は200,000haなので、その4分の1の広さ
3)今回問題になっている農場は、2500haぐらいのもののようです
(NGO情報による)

【何を生産しているのか?】
NGOの情報やメディアの情報、FB情報を踏まえると、
1)種芋やジャガイモを重視しつつ、
2)豆類、トウモロコシ(メイズ)、小麦など
3)これをセンターピボット方式で生産

【現在の所有者】
1)五十嵐氏と日系二世のお母さんの子どもであるNelson Yoshio Igarashi氏
2)北東部の農場、サンパウロ、クリチバを自家用ヘリコプターで飛び回っている、そうです。

【日本との関わり】
1)日本政府・政府系機関と日系移民の関係の強さを考えると無関係ということはないと思います。
2)農水省の助成をもらってブラジル・セラードのアグリビジネスの現状を日本との関係で調査をした筑波大学他の調査結果をみると、極僅かに選ばれた企業の一つが五十嵐農場となっています。ですので、一定の関係があると思われますが、詳細は不明です。
3)また、五十嵐ファミリーが、農場を北部に広げていくプロセスと日本のPRODECERへの関与(時期・場所)がある程度重なっているので、なんらかの関係はあったものと思われます。
4)特に、PRODECER II(1983年ー1993年)に対象となったのが、ゴイアス州とバイーア州のこの地域であったことも注目したいところです。が、直接関係があったかは不明です。

*しかし、いずれも現段階で推測にすぎず、この関係については、今後のリサーチが必要です。(私も忙しいので、誰かやってほしい・・・)

3. コミュニティ・住民はどのような被害を受けているのか?
なかなかメディアにはのらない情報なので、ここが一番重要かもしれません。
現地から詳細なるレポートとパワーポイントが届きました。
が、今それを全部紹介する余裕がないので一部だけ。

【イガラシ(サンタクラーロ)農場と灌漑】
1)水利用権を2015年1月27日に獲得
2)2,539haの自社農場のため大規模な灌漑設備を完成させた
3)「イガラシ農場」は、1日14時間182,203m2/一日の水を
4)サンフランシスコ川からくみ上げている。
5)周辺地域のコミュニティは水へのアクセスが困難な状況に陥っている

【住民・NGO等から提供のあった写真】
1)センターピボット方式の農業生産とは?
現在、この地域一体では次のようなパッチワーク状態にあるそうです。
真ん中あたりに丸が沢山並んでいますが、これがセンターピボット方式の生産様式です
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2)「イガラシ農場」で工事中の灌漑設備の写真

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3)結果として、水位が劇的に下がった川べりでは、このような状態が生まれているそうです。周辺は、伝統的に「川べりに暮らす人びと」のコミュニティが形成されており、暮らしが続けられないほどの打撃を受けているといいます。

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4. Water grabbing(水収奪)はLand grabbing(土地収奪)

日本でも少し「ランドグラブ」が注目されるようになった(かな?)のですが、ランドグラブ=土地の収奪だけを含むものではなく、特にアグリビジネスによる土地占領は、水の収奪と一体になって進みます。

理由は簡単。
農業には水が不可欠だからです。

日本では、ブラジルのセラードを「不毛の大地」だなどとよんで、まるで重要ではない扱いをしてきましたが、実際はアマゾンよりも生物多様性に富み、かつ南米中の大規模河川の源流がセラードに集中し、まさに「南米の水がめ、水のゆりかご」となっています。

そのセラードで水をぐんぐんアグリビジネスが使い、農薬で汚染したために、多種多様な問題が生じています。それは、地元社会に最も強烈な影響を及ぼすのですが、遠く離れたサンパウロで水がアクセスできなくなるほどに深刻となっています。

実は、米国でも、オーストラリアでも、水不足で農業生産ができないほどになってきているのですが、この背景には、気候変動・異常気象による深刻な干ばつだけでなく、地下水をくみ上げすぎたこと、さらに塩害が起きていることが影響しています。

つまり、今世界では、水と土地の収奪は同時展開していると考えるべきでしょう。
これについては、また紹介します。

最後に、この問題となっている地域で、アグリビジネスの地下水汲み上げにより、地面の陥没も各地で起きているとの写真を紹介しておきます。これらは、現在の工業的な大規模農業生産が、いかにコミュニティだけでなく地球を蝕んでいるのかを如実に示しています。

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今日の続報を待ちましょう。

【参考サイト】
破壊中の動画が地元新聞のサイトに掲載されています。
http://www.correio24horas.com.br/noticia/nid/destruicao-em-fazenda-causa-prejuizo-multimilionario-veja-video/

すでにこの「イガラシ農園」に対して住民が、以前から訴えをおこしていたようです。
https://www.jusbrasil.com.br/topicos/83367407/fazenda-igarashi

声明
http://cptba.org.br/cptba_v2/nota-cansado-do-descaso-das-autoridades-o-povo-de-correntina-reage-em-defesa-das-aguas/

支援の運動
https://www.noticiasagricolas.com.br/noticias/meio-ambiente/202211-cientistas-de-esquerda-fazem-mocao-a-invasao-da-fazenda-igarashi-em-correntinaba.html#.WgSpOUdpFsM

警察が捜査開始
http://g1.globo.com/jornal-nacional/noticia/2017/11/policia-investiga-invasao-de-fazenda-e-vandalismo-no-oeste-da-bahia.html



by africa_class | 2017-11-11 18:12 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

アマゾン周辺地域まで伸びるアグリビジネス:日本が関わるMATOPIBAを知っていますか?

 やっぱり畑に出て作業をしていたら、ブラジルから緊急連絡…。時差があるので、なるほどな、というところなのですが。

 日本が深く関わるブラジル・セラードの皆さんから緊急情報が寄せられています。今週の土曜日に何が起こるか分からない…ということで、日本も関係している可能性があるので拡散してとのことです。

 でも現地の情報をただ貼付けても、おそらく基本情報が日本語でよめる形になっていないので、よく分からない…と思うので、まずはこの地域で、日本との関係で今起きていることについて、背景を歴史と日本の関与に焦点を絞って紹介しておきます。


 なお、緊急連絡があった事件については、直接関係があるか不明なので、別個の記事にしておきます。


【歴史的背景:大豆を求める日本との関わり PRODECER→ProSAVANA/MATOPIBA】

 JICA(日本国際協力機構)の前身の国際協力事業団が、ブラジル・セラードを「不毛の無人の大地だ」と主張して農業開発協力(PRODECER)を行ったこと、その結果については、すでに詳しく紹介してきました。PRODECERには第一期、第二期、第三期まであり、大豆のプランテーション栽培の対象地は、どんんどん北上し、アマゾン周辺地域までいったことについても紹介したかと思います。

 その後、「PRODECERの成功をアフリカに」と称し、「緯度が同じで農学的環境が類似する」との想定でモザンビーク北部にProSAVANA事業が持ち込まれたことについても、このブログで紹介しました。しかし、モザンビークでの粘り強い反対運動に直面する中で、元々計画されていた「大豆フロンティア」をブラジルのアマゾン周辺地域に伸ばしていく政策が、より強固に推し進められるようになったことについては、未だ紹介していなかったかもしれません。この計画を、関係者らはMATOPIBA(マトピバ)とよんでいます。

 ジルマ政権の末期に、農場主協会のトップでもあったカーチャ・アブレウが農務大臣になり、MATOPIBAを国家政策として正式に採用し、日本の農水省大臣との間で、これを推し進める二国間合意文に署名しています。2016年2月のことでした。この前段に、安倍首相のブラジル訪問時(2014年7-8月)の声明があります。


その際に、PRODECER、ProSAVANAを賞賛し、このMATOPIBA実現のためのインフラ整備を約束しています。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/la_c/sa/br/page3_000872.html


 MATOPIBAは、セラード地域の中でも、PRODECERが「十分」には包含できなかったマラニャオン、トカチンス、ピアウイー、バイーア州をターゲットにした計画で、この地域はより深い森林に覆われ、アマゾンへの移行地帯であるとともに、数多くの先住民族やアフリカ解放奴隷の逃亡コミュニティ、伝統的なコミュニティが自然に頼って暮らす地域です。

 MATOPIBAは、ナカラ回廊におけるProSAVANA事業と同様に、内陸から港迄の一次産品輸出網を確保するというインフラ整備と農業開発が連動した計画で、アマゾンを横切る河川を使った運搬ルートなども念頭におかれています。この北部穀物輸送ルートの調査研究を行ったのがJICAです。


【セラードを守るための住民の運動】

 MATOPIBAについては、ブラジル内でかなり大きな反対運動が起こっています。ブラジルの主要な社会運動組織や当事者団体(先住民族、解放奴隷コミュニティ、女性運動、小農運動、土地なし農業労働者運動、教会)や市民社会組織(環境団体、人権団体)、そして大学・研究者・研究所が加わる形で、活発に活動を繰り広げています。


<セラードを守る全国キャンペーン・サイト>

http://semcerrado.org.br/

この中に、MATOPIBAに関するリーフレットが2つ掲載されています。

http://semcerrado.org.br/wp-content/uploads/2017/01/Folder-Matopiba-Cr%C3%A9dito-CIMI.pdf

http://semcerrado.org.br/wp-content/uploads/2017/01/Infogr%C3%A1fico-sobre-MATOPIBA-Cr%C3%A9dito-CPT.pdf

*必ずしも正確ではない点が部分的にあるのですが、現地からの視点ということで。末尾に表紙の写真を貼付けますが、見るだけで哀しくなります。


【MATOPIBAのその後】

 日本政府・JICAは、輸出型・官民連携の大豆生産・輸出を目指したProSAVANA初期計画の失敗を受けて、農業開発そのものには政府としては関わってはいません。といっても、分かっている範囲ですが。また日本の企業も当初は農場買収などでこれに参画しようとしていたものの、事業失敗の中で巨額の債務を抱え、現在はvalue chainのコントロールに焦点を移しつつあります。

 そして、ジルマ政権の崩壊と、アブレウ農務大臣の失脚を受けて、前政権の計画であるMATOPIBAは政治・外交の舞台から消えているように見えますが、実際のところはこの地域での土地収奪は、より内陸奥深くに伸張しつつある鉄道・道路などの交通網の整備に伴って、激しさを増しています。ここにきて、大豆などのだけでなく、ユーカリ植林も増えてきています。

 なにより、ジルマ前大統領の弾劾後に政権を奪取したテメル大統領は、農務大臣にブラジルの「大豆王」でありアグリビジネスの帝王と呼ばれるブライロ・マッジ氏を選ぶ一方、小農の農業を支援するためにルーラ政権時に創設された農業開発省を潰し、アグリビジネス優先の農業政策を強く打ち出しています。

 これらの結果、2014年頃から、ブラジル各地で、土地や水をめぐる紛争が激化しています。中でも、MATOPIBA地域を含むセラードやアマゾン周辺地域は、最も激しい紛争が起こっており、土地と森を守ろうとする先住民族のリーダーや市民社会組織のリーダーらが、次々に暗殺されています。ブラジルは、土地と森を守るために殺された人が世界で最も多い国となっています。


国際NGO・グローバルウィットネスの報告書

https://www.globalwitness.org/en/campaigns/environmental-activists/how-many-more/


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by africa_class | 2017-11-10 04:41 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

プロサバンナ事業形成の背景(国内要因)の加筆(国際開発学会企画セッション発表要旨)

プロサバンナ事業の形成の背景における国内要因の分析が甘かったので、いくつか新たな資料を踏まえて分析し、5月末から6月にかけての各種学会での発表に活用した議論を掲載しておきます。そのうちまたPPTを掲載しますが、今英語論文で手一杯なので、それまではこちらをご覧ください。

過去のPPTはこちら
■PPTofプロサバンナ事業に関する分析・報告一挙掲載
http://afriqclass.exblog.jp/17362546

なお本企画セッションは大変盛況のうちに終了しました。
大会参加者230名のところ、一般も含め220名が参加して資料が足りなくなるほどでした。翌日の継続ディスカッションの方も30名近くの皆さんに駆けつけていただき、活発な議論ができました。心から感謝します。

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企画セッション
原発事故から2年、第5回アフリカ開発会議(TICAD V)年に問い直す開発と発展
「アフリカにおける経済成長と内発的発展~グローバル農業投資と農民主権」

●報告者 (座長:大林稔)
1.「311以後の東北農業~農民を根なし草にしようとする政策と抵抗する農民」(谷口吉光、秋田県立大学生物資源科学部)
2.“Legal and Ethical Implications of Land Grabbing"(アンドレアス・ニーフ、京都大学)
3.「農業投資と農民主権~種から考える」(西川芳昭、龍谷大学)
4.「農業開発援助と農民主権~モザンビークを中心に」(舩田クラーセンさやか、東京外国語大学)
●コメンテイター 熊代輝義(JICA農業農村開発部長)/ 西川潤(前国際開発学会会長)

【主催】TICAD市民社会フォーラム(TCSF)有志・大会実行委員会【共催】宇都宮大学国際学部附属多文化公共圏センター 【協力】JASID「原発震災から開発・発展を考える」研究部会

【要旨】「農業開発援助と農民主権~モザンビークを中心に」
東京外国語大学 舩田クラーセンさやか
キーワード:プロサバンナ事業、セラード開発、責任ある国際農業投資、熱帯サバンナ、土地収用

1. はじめに
「日本・ブラジル・モザンビーク三角協力による熱帯サバンナ農業開発プログラム(プロサバンナ)」を事例に、グローバリゼーション下アフリカにおける農民主権の課題と日本との関係を浮彫りにする。

2. プロサバンナ事業に至るまでの背景
(1)外務省による「食料安定供給」と国際プレゼンス向上の試み
日本政府は、1973年のオイルショックと米国の大豆禁輸を受けた食料供給不安への対応として翌年に合意され、1979年来本格的に実施されたブラジル・セラード農業開発(PRODECER)から30年近く経った2008年、食料価格の高騰と穀物生産国輸出規制に直面し、自民党内に「食料戦略本部」を立ち上げる一方、外務省経済協力局内に担当をおき、「確実な食料確保」の対応策を検討し始めた(NHK 2010)。当初模索されたのが、「海外での土地収用・リースを含む農業開発」であった(外務省2009a)。外務省は農水省と共に、「食料安全保障のための海外投資促進に関する会議(海外農業投資促進会議)」を発足させ、2009年8月には、「国民への食料安定供給のため、国内農業生産増大を基本としつつ、国土条件の制約から必要な輸入はその安定化・多角化を図る」と述べ、「世界全体の農業生産の増大、農業投資の拡大が急務」で、「海外農業投資(生産、集荷、輸送、輸出)」促進に官民が一体となって取り組む必要があると表明する(外務省2009b)。

同会議で先駆事例とされたのがセラード開発であった。ただし当時と異なり、政府や日系入植者ではなく企業が前に出て、政府は後方支援をする手法が重視された。しかし、企業が消極的だっただけではなく、「土地争奪」「新植民地主義」との国際的な批判を避けるため、外務省は、①「良い投資」と「悪い投資」を分ける国際合意を作り、②「良い投資」増大を促進するとともにその手本を先陣切って示し、食料確保だけでなく国際的プレゼンス向上に努めようとした(NHK 2010; 麻生2009)。

以上を踏まえ、2009年7月G8ラクイラサミットに向けた麻生太郎総理寄稿文で、「規制的なアプローチは良い投資を抑制する可能性があり望ましくない」、「持続可能な未来の唯一可能な解決策は投資」と表明した(麻生2009)。さらに外務省は、同サミット首脳声明に、①国際農業投資の原則、②ベスト・プラクティスに関する共同提案の策定を入れ込んだ(NHK 2010; G8首脳宣言2009)。そして同年9月23日、国連総会時期のニューヨークで「責任ある国際農業投資の促進に関する高級実務者会議」を主催し、世銀提案の「責任ある国際農業投資(RAI)七原則」について31か国(主として穀物の大規模生産・輸出国)の承認を取り付けた。中身は麻生(2009)とほぼ同様で、規制を排除し、「受入国政府、現地の人々、投資家の3者の利益を調和し最大化を目指す」とした(外務省2009c)。

(2)「熱帯サバンナ」への注目とブラジル・セラード開発を「先駆事例」とする動き
一方、②の「良い投資の見本」として日本政府が提示したのが先述セラード開発事業であった(麻生2009)。その背景には、「先祖返り」という側面以外に、2つの潮流があった。まず、2005年に本格的に「国連改革」を目指した外務省のブラジルへの接近である。同省はインド・ドイツとも連携していたが、強力なパートナーとしてブラジルに注目し、移民100年を祝う2008年の「日本・ブラジル交流年」に向けて「戦略的パートナーシップ再活性化」を企図していた。2007年には、JICA理事長と伯外務大臣との間で「日伯パートナーシッププログラム」推進が合意され、麻生外務大臣の同国問時には同「再活性化」が確認された。2009年サミットにおける麻生総理とルーラ伯大統領の「アフリカ熱帯サバンナ農業開発」合意は、これを受けたものであった(舩田クラーセン2013)。

もう一つの潮流は、世銀を中心とするものであった。同行はサミット直前(6月)、商業的農業の必然性を説く一方、「ギニア・サバンナ」6億haの内4億haが農適地であるが10%しか耕作されず投資と開発が可能と発表する(WB 2009)。同じくJICAは、「アフリカには熱帯サバンナの5割が集中し広大な未利用農業適地が存在。世界は新たな食料生産・輸出基地を求める(JICA, 2009年6月30日)」との認識を示した。両者の手本とされたのが、「熱帯サバンナ農業開発の成功例・セラード開発」であった(*セラード開発は、ブラジル学術界・市民社会・農民運動によって強く批判されてきた。これも取り上げる)。  

この考え方は、「日伯協働によるアフリカ熱帯サバンナ農業開発事業(JICA 2009年5月25日)」にも示されるが、NYでの「実務者会合」に向けてアフリカ側対象国の確定と合意が急がれた。そして、「良い投資の見本」「日本の協力」「アフリカ熱帯サバンナの農地転用」等の言葉の先にターゲットとされたのが、ブラジルと同じ葡語国モザンビークであった。同会合5日前という日程で、プロサバンナ事業は三政府により調印されるが、この急がれたプロセスの中で繰り返しされたのが、ブラジル・セラードとモザンビーク北部の「農学的な多くの共通点(JICA, 2009年6月30日)」「類似性」であった。

しかし、「熱帯サバンナ」とは、その一般的イメージ「草原サバンナ」ではなく、乾季雨季が明確に分かれた気候帯のことを指し、一定の雨量があるため農業に適しているが、多くの場合セラードと同様「森林サバンナ」地帯であった(Distributed Active Archive Center for Biogeochemical Dynamics)。また、事業対象地のモザンビーク北部地域は、土壌の酸性が強く人口が少ないセラードの特徴と異なり、最も肥沃で水資源に恵まれ、農業生産が盛んで人口が最多(全人口の4割)であった(舩田クラーセン2013)。モザンビークに在外公館・JICA事務所が設置されて10年も満たない2009年、地域社会や農業の十分な知見も経験も蓄積がないまま、合意後半年間準備調査を行っただけで、「モザンビーク北部1400万ヘクタール(日本耕地面積の3倍)を対象に、中小農民40万人に直接、360万人に間接の裨益」と喧伝される巨大事業が、食料価格高騰・G8サミット・国連総会を経て、始動したのである。

3.モザンビーク農民組織、市民社会からの異議申し立て
合意から数年が経過した2012年4月、日伯の官民連携ミッションのモザンビーク北部訪問前後から、現地社会や国際社会で同事業への疑義が表面化し始める。この頃、ブラジルのアフリカへの積極的な進出が顕著になり、鉱物開発企業を筆頭にアグリビジネス界も活発な動きを展開する。このゲートウェイとされたのがモザンビークであった(Schlesinger 2012)。前年に同地を訪問し、安価で環境規制の緩いモザンビーク北部の肥沃な土地に熱狂したブラジル綿花業界関係者だけでなく(Reuters 15 Aug. 2111)、前述ミッションのブラジル側団長ニシモリ議員の「プロサバンナ事業は土地不足の伯国の若者が近代農を大規模展開するための事業」との説明が(議会TV 27June2012)、モザンビークの農民組織や市民社会、国際NGO等に危機感を抱かせるようになる。これらの組織は、3か国の関係者に聞きとり調査を行い、JICAなどに説明を求めたが懸念を一層深め、2012年10月には、同国最大の農民組織UNACが、「不透明で、農民組織を排除するトップダウン事業」「農民の土地収用イニシアティブ」と、プロサバンナ事業を批判する声明を国内外に表明した(UNAC 11Oct.2012)。

UNACは、同国に経済自由化の波が押し寄せた1987年に、農民が自らの権利を代表・擁護し闘うため結成され、現在全国8.6万の農民と2200農民組織が加盟する。同連盟は、農民の土地占有権(DUATs)と慣習法的権利の両方を重視する1997年土地法の制定に多大な役割を果たした(Negrão 2003)。UNACはJICA報告書でも主要農民組織として紹介されるが(JICA 2000)、JICA担当者らは同連盟への理解がないばかりか、「一団体/一部に過ぎない」と繰り返してきた(NGO・外務省意見交換会)。

本年4月には、モザンビーク4団体を含む世界23団体・1国際ネットワークが、マスタープラン中間報告を入手し分析した結果、次を警告した。①真の目的は大規模土地収用に道を開くこと、②地元移動農法「撲滅」が喫緊課題と断定、③「定着農・近代農」に転じた農民にDUATs付与、④どこで誰が何を作るか指定するゾーニング案を有す(JA et al.29Apr.2013)。投資のため、地元農民の主権と営みを著しく侵害する計画と指摘されている。確かに同報告は、権利侵害の抑制効果がないRAIを重視し、企業の土地収用を確実にする抜け道を多数用意している(ProSAVANA Report 2)。前節で示した「農業投資が唯一の処方箋」「投資家は現地の人々と対等」「規制排除」が顕著に表れた計画といえる。

4. おわりに
2008年以降の日本政府の認識や動きが、どのような国際潮流や外交、援助事業に結びつき、ODAとして展開する中で、農民主権を阻害する可能性を広げていったかを明らかにした。討論では、これが日本社会・市民の「食」「農」「農的営み」に対する無関心さに基因している点についても論じたい。

【参考文献】●麻生太郎(2009)「食料安全保障の永続的な解決」、●NHK取材班(2010)『ランドラッシュ』新潮社、●外務省(2009a)「海外投資促進に関する指針」、●外務省(2009b)「官民連携モデルのイメージ」、●外務省(2009c)「責任ある国際農業投資の促進に関する高級実務者会合」、●JICA (2008)『南部アフリカ地域援助研究会報告書』、●G8首脳宣言(2009)、●舩田クラーセン「 変動する世界における経済成長至上主義の席巻と内発的発展」近刊、Negrão, José (2003) “A Propósito das Relações entre as ONGs do Norte e a Sociedade Civil Moçambicana”、●Schlesinger, Sérgio (2012) “Cooperação e investmentos internacionais do Brasil”. ●WB (2009) “Notes: Africa’s Sleeping giant: prospects for commercial Agriculture in the guinea Savannah Zone and Beyond”.(詳細配布)
by africa_class | 2013-06-21 23:53 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

【保存】 ProSAVANAの資料・情報・論文・サイト一覧、学会報告一覧

既に、「モザンビーク開発を考える市民の会」のサイトに公開されていますが、こちらにも転載しておきます。
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-18.html

また、五月雨に掲載した学会報告の一覧もこちらに。
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-19.html

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モザンビーク北部で行われているプロサバンナ事業(「日本・ブラジル・モザンビーク三角協力による熱帯サバンナ農業開発プログラム」)については、国内外で、大論争を巻き起こしていますが、同事業に関する情報一覧集です。内容は抜粋なので、必ず元のデータにあたって全文を検討いただければと思います。

■JICA資料
1.事業概要
http://www.jica.go.jp/project/mozambique/001/activities/index.html

2.『モザンビーク国 日伯モザンビー三角協力による熱帯サバンナ農業開発協力プログラム準備調査最終報告書』http://libopac.jica.go.jp/search/detail.do?rowIndex=1&method=detail&bibId=0000252732

*その他の一次史料は、下記英語論文の巻末資料集に当たって下さい。

■NGOによるプロサバンナについての抗議声明
1. UNAC(全国農民連盟)モザンビーク最大の農民組織による声明1987年に設立された小農を代表し、その権利を守るための農民組織(http://www.unac.org.mz/)。86,000名以上の個人会員、2,200の協会および共同組合、83つの郡レベルの連盟、州レベルでは7つの連盟と4つの支部を擁す。2012年10月11日に、上記プロサバンナ事業に対する声明を発表。 
【原文】http://www.unac.org.mz/index.php/7-blog/39-pronunciamento-da-unac-sobre-o-programa-prosavana
【日本語】http://farmlandgrab.org/post/view/21204
「我々農民は、透明性が低く、プロセスのすべてにおいて市民社会組織、特に農民組織を排除することに特徴づけられるモザンビークでのプロサバンナの立案と実施の手法を非難する。プロサバンナに関する包括的な分析に基づき、我々農民は以下の結論に至った。
•プロサバンナは、ナカラ回廊の農民自身のニーズ、展望、基本的な懸念を考慮しないトップ・ダウン式の政策の結果である。
•我々は、モノカルチャー(大豆、サトウキビ、綿など)の大規模農業プロジェクトのためにコミュニティの移転や農民の土地を収用しようとするイニシアチブを強く非難する。
•我々は、アグリビジネスを目的とし、モザンビーク人農民を被雇用者や農業労働者に変えるブラジル人農家の入植を非難する。
•我々は特にプロサバンナがナカラ回廊地域の広大な土地を必要としていることを懸念している。地域の実態として、そのような広大な使用可能な土地はなく、土地は地元農民が移動耕作を実践して現在使われているのである。」

2. モザンビーク環境団体 Justica Ambiental(JA)およびFriends of the Earth (FoE Mozambique)による声明モザンビーク人自身による主体的な環境保護団体として、同国内の様々な環境問題に取り組み、世界的に高く評価されてきた。特に、「ダム問題」「違法伐採問題」では、身の危険を顧みず重要な役割を果たす。違法伐採問題については、日本のテレビ番組にも協力。JICAの招聘で2007年に来日し、TICAD IVに向けた提言を行う。同団体によるプロサバンナ事業に関する声明。
【原文・ポルトガル語】http://farmlandgrab.org/post/view/21566
【日本語版】http://landgrab-japan.blogspot.jp/2013/01/justica-ambientalfoe.html
「(略)6500万人のブラジル人が食料危機に直面し、数百万人の人々が生存手段を保証す食料生産のために土地へのアクセスを求めるブラジルにおいて失敗した農業開発モデルを、ブラジルはプロサバナを通じてモザンビークに輸出しようとしている。この経験は、農民の生活森林、そして同国の生態系に及ぼしたインパクトと比較するとき、ブラジルのモデルにおける利益が無意味であることを示している。
 プロサバナ計画は、「緑」という洗練された言葉によって巧みに装飾され、モザンビーク人および国際社会に「持続可能な農業開発」計画として提示されたが、同時にもたらされるであろう社会的かつ環境的インパクトの可能性は完全に除外された。しかしながら、この規模の開発計画は、共同体の再移転が必要となることが予測されるが、当事者である共同体がその事態について僅かにあるいは何も知らないことが懸念される。本件は、農民や現地の共同体を包摂することなく極めて高い次元で立案・決定されたものである。 (略)」

3. モザンビーク&国際NGO共同声明、23団体+1ネットワーク署名、97団体賛同
Joint Statement (29 April 2013)
Leaked ProSAVANA Master Plan confirms worst fears
Civil society groups warn secretive plan paves the way for a massive land grab
「モザンビーク北部のProSAVANA事業マスタープランは、想定されうる最悪のシナリオを露呈した~市民社会組織は大規模土地収奪に道を 拓秘密計画に警告を発する」

【原文・全文】http://www.grain.org/e/4703
       http://farmlandgrab.org/post/view/21996
【和文全訳】http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-21.html

「市民社会組織は、リークされた最新バージョンのプロサバンナ事業のマスタープラン案(2013年3月版)をついに見ることができた。それにより、日本・ブラジル・モザンビーク政府が、モザンビーク北部で大規模な土地収奪を可能とする道を拓こうと秘密裡に企てていることが判明した。モザンビークのいくつかの団体とその国際パートナーは、考察とともにこのマスタープランを公にする。(略)プロサバンナは、開発援助事業として提示されてきたが、入手したマスタープラン案を見ると、モザンビークの農業を企業が乗っ取るビジネス計画であることが明らかである。(略)1.伝統的移動輪作農法や土地管理の実践を潰し、農民を、商業作物、化学肥料・農薬の投入、私的土地占有権に基づく集約農業に追いやる。マスタープラン案では、伝統的農業の有効性について何も分析していないにもかかわらず、「移動農法から定着農業(settled farming)への移行が緊急に必要」で、「マスタープランの鍵となる戦略」としている。さらに、「移動農法の実践の撲滅」アクションまでも求めている。(略)これらの集約農業を促進する方策の真の目的は、土地を私有化し、外部からの投資が土地を得やすくすることにある。農民を(DUATsにより)定められた土地の境界線内に追い込むことで、投資企業が取得可能な土地を明確にし、州政府が企業向けの土地銀行(land bank)を設立することを可能にするという。また、マスタープラン案は、投資企業が土地を取得するにあたって、コミュニティとの交渉無しで済ませることを認めている。」


■これまでの報道資料
1.朝日新聞:2013年2月2日朝刊「私の視点」「モザンビーク開発 住民軽視の進め方、見直せ」
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201302010544.html
【原文・全文】http://afriqclass.exblog.jp/17253760/
「昨年10月、モザンビーク最大の農民組織・全国農民連盟(UNAC)がこの事業に抗議の声をあげた。声明では、「ブラジル企業による土地収用の可能性」「全プロセスにおける農民の主権無視」の2点を強く懸念している。JICA側は「情報伝達不足による誤解」としているが、そもそも情報伝達の問題だろうか。外務省にも確認したが、ブラジル企業による土地収用の可能性は現時点では否定されていない。
 プロサバンナが「お手本」とするセラード開発は、日本の融資とJICAの技術協力によって行われた。JICAによると、「不毛の無人の地」を高い生産性を誇る世界最大規模の農地に変え、ブラジル農業の躍進に寄与したという。しかし、軍政下のブラジルで行われたこの開発は、地元の先住民からは異なった評価がなされてきた。森林が破壊され、先住民らは抵抗空しく土地を奪われ、生活手段を失った。一方で、豊かな南部から中規模以上のヨーロッパや日系農家が入植。先住民らは安価な農場労働力としての転出を余儀なくされた。そこで先住民はNGOを結成しJICAに面談を申し入れたが、門前払いにされたという。モザンビークの農民は、同じ事が繰り返されることを恐れているのである。(略)」

2.ブラジル大手雑誌de Fato誌2012年11月29日記事「ブラジルのアグリビジネスがアフリカを侵略」
【原文・ポ語】http://www.brasildefato.com.br/node/11330
【日本語訳】http://landgrab-japan.blogspot.jp/2012/12/blog-post.html

3. ブラジル議会TV番組 2012年6月27日 日系ブラジル議員
「プロサバンナはブラジルの土地が高くて入手できない失業営農者のための土地取得と開拓が目的」 
【原文・ポ語】http://farmlandgrab.org/post/view/21652 
【全訳・日本語】http://afriqclass.exblog.jp/17331007/
「この合意はなによりもブラジルのセラードの経験をアフリカのサバンナに移植するために形成されたのです(略)この地域では(ブラジルの総合資源開発企業)ヴァーレ・ド・リオ・ドーセ(Vale do Rio Doce)なども石炭や鉄鋼といった鉱物資源の採掘を行っています。そこに今度は我々のブラジル人農業労働者を連れていくわけです。ブラジルにおいて農業を行いたくとも土地が不足している若い人たちです。(略)特にブラジル南部の土地の不足した地域で4ヘクタール、5ヘクタールといった規模で農業を営みながらも、近代的で大規模な農業を行いたいと思っている若い営農家にとっては多くの機会を提供することになるでしょう。」

3. モザンビーク情報誌MOZAMBIQUE News reports & clippings 209/210 December 2012
【英語】http://www.open.ac.uk/technology/mozambique/pics/d137382.pdf
http://www.open.ac.uk/technology/mozambique/pics/d137380.pdf
【日本語解説】 http://afriqclass.exblog.jp/17017188/

4. 国際NGO・GRAINによるラジオインタビュー“Interview with GRAIN on the ProSavana project”, 14 December 2012
【英語】http://www.grain.org/article/entries/4633-interview-with-grain-on-the-prosavana-project
【日本語全訳】http://afriqclass.exblog.jp/17062266/
「(略)我々が2012年春、5-6月頃、このプロジェクトを調査し始めた時に、私はブラジル側でこのプロジェクトを推進し、とりわけ資金調達や民間セクターの参入に関わる半公的機関であるGVアグロの担当者と話しました。
 彼らが率直に語ったところでは、土地は豊富にあり、このプロジェクトの事業地は誰も農業をしていない土地でやるし、モザンビークにはたくさんの土地があるのだから、このような農業地域の規模では全く社会的な負のインパクトなどないだろうということでした。モザンビーク政府でさえ、この国には3500万ヘクタールの開発可能な土地があると言っているのです。世界銀行などの開発金融機関はこの国は使われていない農業用の土地があり余るほどあると言っています(略)。」

5. 東京新聞 2013年3月3日朝刊「プロサバンナの見直しを」目黒でUNAC講演
「UNACによると、ナカラ回廊では、小規模な農民が、トウモロコシやキャッサバなどを生産している。開発によって土地の争奪や森林伐採が始まると、国民の生活やコミュニティが崩壊し、生存権や食料主権が脅かされると指摘している」

6. しんぶん赤旗 2013年2月28日「現地の人に役立つアフリカ支援を訴え」来日のモザンビーク農民組織
「日本政府は地元農民の声を聞いてください」(略)全国農民連盟UNAC代表のアウグスト・マフィゴさんは、「この事業はトップダウン式に決められた。(略)人口の半分以上が貧困にあえぐもとで小農の土地を取り上げ、輸出のための大規模農業を進めることを強く非難する」と述べました。26日に行われた外務省内での表敬訪問では、同省は、「住民移転はある」「補償がある」と土地の収用を否定しませんでした。

7. 2013年4月10日 Do Canal de Moçambique
"Moçambicanos denunciam a saga do agronegócio em usurpar suas terras"
「モザンビーク人らは、土地を奪うアグリビジネスのサガを非難」
Por Aunício da Silva
【ポルトガル語】http://www.mst.org.br/Camponeses-mocambicanos-denunciam-a-saga-do-agronegocio-em-usurpar-suas-terras

8.2013年4月3日 Instituto Humanistas Unisinos インタビュー
"ProSavana: interesses múltiplos e contraditórios. Entrevista especial com Fátima Mello" 「プロサバンナ:複数の矛盾する利益 ファティマ・メロとの特別インタビュー」http://www.ih【ポルトガル語】u.unisinos.br/entrevistas/518948-prosavana-interesses-multiplos-e-contraditorios-entrevista-especial-com-fatima-mello


■NGOによる分析
1. 開発と権利のための行動センター・青西靖夫氏の記事「モザンビークにおける国際協力事業が引き起こす土地争奪~」
【日本語】http://landgrab-japan.blogspot.jp/2013/01/blog-post_29.html
(財団法人地球・人間環境フォーラム 『グローバルネット』265号2012年12月)
「(略)■プロジェクトのさまざまな問題点 ①透明性の欠如
 このプロジェクトの不透明性は単に農民に情報が発信されないことに起因するだけではなく、プロジェクトの立案・実施プロセスに不透明な部分が内在されていることによると考えられる。 (略)準備調査報告書[2]によると、「『準備調査』は、国道13 号線沿いに、ナンプーラ州並びにニアサ州およびザンベジア州の一部を調査対象地域とした」とされている。しかしながら、この調査に参加したブラジルの農業研究機関であるEMBRAPAは、「商業規模の農業生産投資をも可能にすべく」、調査の最終段階で調査対象地域外のナカラ回廊の北西部の640万ヘクタールの土地をプロジェクト対象地に組み込んだのである。現在のモザンビーク全体の耕作面積よりも大きく、日本の農地面積より広大な土地を、誰がどのように利用しているのかも把握もしないままに、「機械化農業に適している」と記載された外交文書に国際協力機構(JICA)は調印したのである!
 このように、このプロジェクトにはブラジル政府の意向が大きな意味を持っており、日本政府やJICAの意図を超えて動く可能性を秘めていることを理解しておく必要がある。それだからこそ、モザンビーク農民だけではなく、私たち日本国民も、納税者としてこのプロジェクトに対する監視を怠ってはならないのである。(略)」

2. FASE 21/03/2013
"A Equipe da FASE Visita Moçambique
http://fase.org.br/v2/pagina.php?id=3835
①"O que quer o Brasil com o ProSAVANA?"
Por Fátima Mello, do Núcleo de Justiça Ambiental e direitos da FASE
(2013年3月21日)
【原文・ポルトガル語】http://www.fase.org.br/v2/pagina.php?id=3837
【日本語全訳】:http://afriqclass.exblog.jp/17534960/
「(略)小農コミュニティは、まさにプロサバンナ事業による投資が来るとされる地域に、集中的に存在している。ブラジル国際協力庁(ABC)は、現在この事業への批判はコミュニケーションの失敗によるものだと強調するが、モザンビークの市民団体や社会運動との対話から明らかになったのは、問題はもっと根深いところにあるということである。ブラジルは、モザンビークのサバンナに、我々自身が経験してきた歴史的紛争を輸出しようとしている。この紛争とは、輸出のためのアグリビジネスによる大規模なモノカルチャーのモデルと、小農民や家族経営農民による食料生産システムの間に起こったものである。マプートで発表されたプロサバンナ事業に関する最新の情報では、このプログラムの責任者らは、ナカラ回廊に「高価値作物」栽培に向けた民間投資を奨励するため、地域を「農業クラスター」に分けた地図を示している。(略)つまり、大規模アグリビジネスと家族経営/小規模農民といった二つのシステム間の共存とハーモニーが可能という古い仮説に基づいているのである。しかし、ブラジルではこれ(大規模アグリビジネスと小農が共存するという前提)こそが、深刻な紛争の源泉となっている。(略)」

②"Visita à Moçambique: país de lideranças fabulosas"
Por Vilmon Alves Ferreira, Educador Popular Técnico da FASE Mato Grosso
(2013年4月12日)


■「プロサバンナ事業に関するNGO・外務省意見交換会」資料
1. 第一回(2013年1月25日)NGOによる議案説明書(AJF食料安全保障研究会 吉田昌夫)
→http://afriqclass.exblog.jp/17211715/

■ 講演会記録
1. 「農業大国ブラジルの光と影:遺伝子組み換え大豆を例に」(2012年11月8日、明治学院大学)http://afriqclass.exblog.jp/16942534/
●当日パワーポイント→http://www.slideshare.net/tomonada/ss-15085242
●当日紹介ブラジル公共放送TV Brasil番組(ポルトガル語25分)→https://www.youtube.com/watch?v=1WG-VT_Je40
●以上番組の短縮バージョン&印鑰さんの日本語字幕→https://vimeo.com/53087502
「社会的影響:元々小農がたくさんいた。軍事政権下で小農の権利を守る法律などなかった。政府に逆らえなかった。飛行機で農薬を巻き、コンバインで刈り取る。広大な農地があっても職を生み出さなかった。そこで雇われるのはごく僅か。(略)セラード観のあまりに大きな違い:日本では大成功とされるセラード=「不毛の大地を大穀倉地へ/奇跡」とされる。日本でセラードについて語られるすべてのもので、「不毛の大地」という枕詞がついてくる。ブラジルではセラードは、「世界でもっとも生物多様性な豊かなサバンナ」と呼ばれている。(略)ブラジル農業モデルの輸出が成功といえるのか?:大いに疑問視した方がよい。50年後このモデルが成立しているのはあり得ない。セラードの土地は脆弱で、水がなくなっているかもしれない。今これを再考しなければならない時代に入っている。ところが今年、日本政府は大成功であるというセミナーをリオデジャネイロで開催し、さらにこれをアフリカに輸出しようとしている。アフリカには広大なサバンナ地域がある。ブラジルの「ノウハウ」が輸出できるという。本家のブラジルが止めようといっている最中に、アフリカに「日本」が輸出しようとしている。」

2. 「モザンビークでのJICA熱帯サバンナ農業開発プログラム市民社会との勉強会」(2012年11月16日)明治学院大学国際平和研究所(PRIME) 「平和学を考える」AJF・JVC・HFW・明治学院大学国際平和研究所(PRIME)共催連続公開セミナー「食べものの危機を考える」2012年度 第5回
講師:JICAアフリカ部アフリカ第三課 坂口幸太 
コメント:舩田クラーセンさやか(東京外国語大学大学院教員)
http://afriqclass.exblog.jp/16942666/
http://afriqclass.exblog.jp/16942699/

3. 「プロサバンナ事業とその問題」2013年2月23日(松山市ODA勉強会、えひめグローバルネットワーク主催)講師:舩田クラーセンさやか(東京外国語大学准教授)
http://afriqclass.exblog.jp/17362546/
*資料したパワーポイントを全部公開しています。

■学術論文
1."Land Grabbing,Agribusiness and the Peasantry in Brazil and Mozambique"
By: Elizabeth Alice Clements and Bernardo Mancano Fernandes
http://www.cornell-landproject.org/download/landgrab2012papers/Clements_Fernandes.pdf
2012年秋に開催されたコーネル大学での土地争奪国際会議での研究報告ペーパー。ブラジルのセラード開発で生じた各種の問題(小農や住民の視点から)が、モザンビーク北部で展開するプロサバンナ事業によって再現される可能性について警鐘を鳴らしている。

2. "Analysis of the discourse and background of the ProSAVANA programme in Mozambique – focusing on Japan’s role" (2013 Jan.)
Dr.Sayaka FUNADA CLASSEN
【英語版】http://farmlandgrab.org/post/view/21574
【ポルトガル語版】http://farmlandgrab.org/post/view/21802
日本の一次資料に基づき、プロサバンナ事業にかかわるディスコース(言説)の変遷を明らかにするとともに、「市民社会」「農民主権」「先行事例との比較(ブラジル、アフリカ)」の3点から内発的発展を視座としつつ、問題点を浮き彫りにした。JICA等の一次資料の一覧もついていますので、ご活用を。

3. China and Brazil in African Agriculture (CBAA) Project work stream
ESRC (UK Economic and Social Research Council)の研究プロジェクトの成果
http://www.future-agricultures.org/
①"Chinese and Brazilian Cooperation with African Agriculture: The Case of Mozambique"
by Sergio Chichava, Jimena Duran, Lidia Cabral, Alex Shankland, Lila Buckley, Tang Lixia and Zhang Yue (March 2013)
http://www.future-agricultures.org/publications/research-and-analysis/cat_view/237-nnnresearch-and-analysis/184-working-papers#.UXujP6KpVSQ

②"Narratives of Brazil-Africa Cooperation for Agricultural Development: New Paradigms?"
by Lídia Cabral and Alex Shankland
http://www.future-agricultures.org/publications/research-and-analysis/cat_view/237-nnnresearch-and-analysis/184-working-papers#.UXujP6KpVSQ
pp.15-16で、プロサバンナについて取り上げている。インタビューの結果として、ブラジルの目的が不透明であること、ブラジル・アグリビジネスの関与が強く示唆されている。また、ブラジル国内の農業政策(アグリビジネスをはじめとする大規模農業の推進か、土地なし農民を含む小農支援の重視か)の矛盾や問題が、解決していないままの「国際協力」であることが指摘されている。


■関連サイト
1. 土地争奪に関する国際ウェブサイト
【英語・各種言語】http://farmlandgrab.org
【日本語】http://landgrab-japan.blogspot.jp/
No!to Land Grab, japan

2. 舩田クラーセンさやか個人ブログの「土地収奪・プロサバンナ問題」ページ
http://afriqclass.exblog.jp/i38

3. モザンビーク関連資料立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点
http://www.arsvi.com/i/2mzm2012.htm

4. 土地問題に危惧する国際NGO・研究者が設定したデータベースThe Land Matrix
http://landportal.info/landmatrix

5.Stop Africa Land Grab (キャンペーン)
http://www.stopafricalandgrab.com/

6. Friends of the Earth (FoE)(国際環境NGO)
http://www.foejapan.org/aid/land/index.html (日本語)
http://www.foe.co.uk/news/land_grab_protest_36293.html (英語)

7. 印鑰 智哉(いんやく ともや)さんのブログ
http://blog.rederio.jp/archives/tag/prosavana
http://blog.rederio.jp/archives/tag/prodecer
http://blog.rederio.jp/archives/tag/cerrado
by africa_class | 2013-04-29 17:17 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

アフリカ学会@東大(5/26)「グローバル下アフリカにおける農業投資とODA~セラード開発とプロサバンナ」

続けて、日本アフリカ学会での発表要旨を掲載しておきます。
日本アフリカ学会は、2013年5月25日ー26日まで、東京大学駒場キャンパスで開催。
詳細→http://www.jaas50.com/
参加費はかかりますが(学生3000円)、沢山の発表があって本当に面白いです。

私の発表は、26日(日)午後です。
プログラム→http://www.jaas50.com/zantei.pdf

本報告は、近刊の本の一章に基づきますが、最近のブラジル・セラード開発に関する学術論文も追加で参考にします。なお、同章の中身については、英語・ポルトガル語版がダウンロード可能です。
"Analysis of the discourse and background of the ProSAVANA programme in Mozambique – focusing on Japan’s role" (2013 Jan.)
by Dr.Sayaka FUNADA CLASSEN
【英語版】http://farmlandgrab.org/post/view/21574
【ポルトガル語版】http://farmlandgrab.org/post/view/21802

=================================
グローバル下アフリカにおける農業投資と政府開発援助の一考察
~セラード開発とプロサバンナ事業の比較から

=================================
舩田クラーセンさやか(東京外国語大学 准教授)

Analysis of Agricultural Investment and ODA in Africa under Globalization
-focusing on the Cerrado development and ProSAVANA-
Sayaka, FUNADA-CLASSEN (Tokyo University of Foreign Studies)

「長い16世紀」に開始したグローバリゼーションは、冷戦終結から二十数年を経た現在、世界中の人びとの日々の生活レベルにその影響を及している。その影響の濃淡やあり方は、国や地域、集団や人びとによって大きく異なるとはいえ、「影響が及んでいる」という点についてはおおよそ同意が得られるであろう。
植民地支配や資本主義経済の流入後も、その「周縁性」によりある程度は自律的な生活を営むことが可能であったモザンビーク北部農村地域であるが、近年の加速化する外国からの投資(鉱山・農業開発)によってこの地域も大きな影響を受け、地域住民、とりわけ小農らは、様々な課題に直面している。なかでも、外国企業等による土地の争奪(land grabbing)が急速に進行し、各地で地元農民から土地が奪われる事態が発生している。

同様の事態は、世界中とりわけアフリカで急速に進んでおり、各地で農村住民の異議申し立てが観察されている。中でもモザンビークは、世界第二位の土地取引件数と面積が報告されており(LandMatrix2012)、土壌が良く水もある北部がターゲットとなっている。

そんな中、日本政府とブラジル政府は、「熱帯アフリカ農業開発の促進」を掲げ、モザンビーク北部で大規模な農業開発を行う「プロサバンナ事業」を、モザンビーク政府とともに開始した。これに対し、2012年10月11日、モザンビーク最大の農民組織・UNAC(全国農民連盟)は、プロサバンナ事業への抗議声明を発表した。

以上を踏まえ、本報告では、モザンビーク小農の異議申し立ての根底にある現在の「農業投資」がアフリカで引き起こしつつあるいくつかの課題について、同事業がモデルとするブラジルで行われた大規模農業投資事業(セラード開発)との比較によって考察する。本報告は、次の手順で行われる。

1.世界的な農業投資の加速化とアフリカにおける土地収奪問題の概要
2.モザンビークにおけるプロサバンナ事業への農民組織の異議申し立ての概要
3.ブラジル・セラード開発による先住民への影響の考察
4.以上に基づくモザンビーク北部小農へのインプリケーション

本報告がベースにするのは、1.については統計資料や国際機関の報告書、2.農民組織の声明や筆者によるインタビュー結果、3.セラード開発に関するブラジルの先行研究(特に、先住民や小規模あるいは土地なし農民への影響に関するもの)である。

結論は次のようなものである。
現在、「アフリカの食料問題の解決策」と称して大規模な農業投資や農業開発援助が必要と叫ばれている。G8サミットの”New Alliance for Food Security and Nutrition”等がその例である。そこで念頭におかれているのは、ブラジル・セラード開発に象徴される大規模開拓と機械化を前提とする農業投資である。

日本ではその「成功」ばかりが事業推進者らによって主張されてきたが、ブラジルの学術的な先行研究の知見に基づき、同事業が小規模あるいは土地なし農民にもたらした「負の遺産」を十分議論し、その教訓に基づいて現在のアフリカへの「適応」について再考されるべきと考える。
by africa_class | 2013-04-27 20:52 | 【記録】講演・研究会・原稿

ブラジル市民社会代表的組織FASEによる #プロサバンナ事業 批判記事~「ブラジルにもたらした災厄の再現」

このブログでも何度か紹介したブラジルの代表的な市民社会組織のFASEの皆さんが、2013年3月にモザンビークを訪問し、プロサバンナ事業に関する調査を行った結果を、いくつか紹介されています。

JICAが繰り返し、「成功!」と宣伝するブラジル・セラード開発を、ブラジル市民社会がどのように考えているか、そしてその「成功したセラード開発」の「レプリカ(日本政府が賛同するモザンビーク農業大臣談話)」である「プロサバンナ事業」についてブラジル市民社会は調査の結果どのように考えるに至ったのか、知るよい機会だと思います。

なお、モザンビークでは最近「ブラジル=新たな帝国主義」という声も聞かれ、このブログでも紹介している鉱物資源開発会社のVale社の地域社会に対する態度はまさにそのような点がみられますが、このようにモザンビークの人びとの権利のために共に闘う市民社会もあり、その確固たる連帯の姿勢にモザンビークの市民社会も心打たれていると聞いています。

象徴的には、Fatimaさんの1.の記事に書かれています。
結局、ブラジルでもモザンビークでも、小農らは、民衆の食料安全保障や主権、土地の権利を保証するためには、アグリビジネスのモデルによる権利の侵害や社会・環境的な不正義との闘いを強化しなければならないのである。モザンビークにおけるブラジルの存在が小農の権利を強める一方、世界の正義と格差を縮小することを目的としてブラジルがグローバルなアクターとして成長する能力を示すかどうかが問われている。

「ブラジル=悪」というわけでは勿論ないので(言うまでもないですが)、その点は念頭に置いていただければ。現在の日本の状況をみれば、「子どもの権利」を侵害している沢山の大人たちがいます。何もしない大人も含めて。これは世界的に非常に厳しい目で見られています。

私の中では、福島やその周辺の子どもたちの権利侵害を強要・許容する日本政府・政治家・企業・社会と、アフリカの小農の権利を侵害する政策を援助で応援する日本の援助関係者の闇と罪は、同根だと思っています。

なぜそうなるのか?
日本の子どもたちも、モザンビークの小農も、
その声はあまりに小さく、
自分の権利を侵害するものは巨大で何が起こっているか容易に掴めす、
そして、あまりに日本の権力の中心から遠いから、
利権を前に、容易に踏みじれるからです。

気づいた人、組織の中にいるあなたも、がんばりましょう。
あなたが開発援助について学び、その分野で働こうと思ったのには「理由」があったはず。

追悼:農村の貧しい人の側に立ち闘い続けた開発経済学者にして活動家José Negrão教授から学ぶ
http://afriqclass.exblog.jp/17641224

日本の子どもたちを守ることも、
モザンビークの小農の権利が奪われないよう一緒に闘うことも、
正義のためだけでなく、実は自分の権利を守ることなのです。

そしてそのさらに先に、子どもよりも小農よりもさらに声が出せない「生きとし生けるすべてのもの」、かげがえのない環境や、生命の未来がかかっているのだ・・・ということを、今一度思い出してほしいなあ、と思います。
がんばりましょう。

1.のみ訳したものを掲載しておきます。
と書いたら、すでに掲載していました・・・こちらをご覧ください。
全訳:http://afriqclass.exblog.jp/17534960/
他の記事はぼちぼち・・・・がんばります。

また、ブラジルの他の機関のウェブも紹介しておきます。

■「FASEの チームがモザンビークを訪問」
"A Equipe da FASE Visita Moçambique” 21/03/2013 
http://fase.org.br/v2/pagina.php?id=3835

1. "O que quer o Brasil com o ProSAVANA?"
Por Fátima Mello, do Núcleo de Justiça Ambiental e direitos da FASE
(2013年3月21日)
【ポルトガル語】http://www.fase.org.br/v2/pagina.php?id=3837
【日本語全訳】全訳:http://afriqclass.exblog.jp/17534960/

2. "Visita à Moçambique: país de lideranças fabulosas"
Por Vilmon Alves Ferreira, Educador Popular Técnico da FASE Mato Grosso
(2013年4月12日)

あとは、以下の記事を書いたFatima Melloさんのインタビュー記事が以下に掲載されています。
3. 「プロサバンナ:複数の矛盾する利益 ファティマ・メロとの特別インタビュー」
Instituto Humanistas Unisinos インタビュー2013年4月3日 
"ProSavana: interesses múltiplos e contraditórios. Entrevista especial com Fátima Mello"
http://www.ihu.unisinos.br/entrevistas/518948-prosavana-interesses-multiplos-e-contraditorios-entrevista-especial-com-fatima-mello

さらに、この記事がブラジルの「土地なし農民運動(Movimento dos Trabalhadores Rurais sem Terra」のサイトに掲載されていることも象徴的ですね。

4.「モザンビーク人らは、土地を奪うアグリビジネスのサガを非難」
2013年4月10日 Do Canal de Moçambique
"Moçambicanos denunciam a saga do agronegócio em usurpar suas terras"
Por Aunício da Silva
【ポルトガル語】http://www.mst.org.br/Camponeses-mocambicanos-denunciam-a-saga-do-agronegocio-em-usurpar-suas-terras
by africa_class | 2013-04-26 20:25 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

七変化するプロサバンナ事業:「ブラジル・アグリビジネス」の切り離し&農民間分断工作の現在

昨日土地問題と一緒に書いたのですが、重要な問題なので再掲載しつつ、根拠を示しておきます。

目まぐるしく展開しているので、まず簡単にこの間の動きと変化をまとめておきます。

●プロサバンナ事業の七変化
①国際力学の変化、国連改革のため、また移民100周年を受け、日本とブラジルは戦略的パートナーシップを象徴するプロジェクトをやろうよ。
②援助卒業国が続出の南米やアジアへの日本の援助関係者を活かせる道はアフリカのみ。
③じゃあ、「JICAがやったブラジル・セラード開発万歳!これをアフリカ中に持ってくるぞ~」という教訓から学べない安易な発想と威勢のいい掛け声が、
④そこで強調されるのが「ブラジル・セラードとモザンビーク北部の農学的類似性」(しかし調べてみたらあまりに違っていた。ほとんど人が住んでないと思っていたら、人口密集地であった。ので緯度と雨季乾季サイクルぐらいしか言えなくなったが、いぜん類似性がさりげなく強調される)、
⑤ビジネスチャンスに群がるブラジル人たち(そして援助関係者)、
⑥不安を掻きたてられたモザンビークの住民や市民組織の抵抗を受け、
⑦日本でもNGOによってついに問題化され、
⑧当初は「ブラジル・セラード開発万歳!」を死守しようとしたものの、
⑨否定できない証拠を突きつけられて、
⑩「セラード開発はモデルでない」といってみたり、
⑪モザンビーク大臣に「土地は奪われない」といわせてみたり(しかし同じ談話で⑩を覆してしまった・・)、
⑫ブラジル・アグリビジネスを切り離そうと別ミッションにしてもらったり、
⑬本当のことを話し過ぎたブラジルの人達には口止めをしてみたり、
⑭もっとひどいことに、現地の農民を分断するために、「農民融資」「クイック・インパクト・プロジェクト」なる「ニンジン」をぶら下げて、「賛成している農民もいる」を急いで演出中。

本当に、情けない。
それにとどまらず、自らのズサンな開発計画事業の汚点を埋めるために、現地社会に分断を生み出して、挽回を図るなどという・・・のは、本当に罪です。

「モザンビーク北部農民の支援」が一番の目的と今更いうのであれば、最初からそこから立ち上げれば良かったのです。ブラジル・セラード開発などを言わなくても、彼らを尊敬し、愚直に彼らの声を聴き、愚直に寄り添えばいい。今回、「いまだにこういう手法やってるんですが」と皆が驚いています。

さて、では現在JICAと外務省が慌てて強調する、プロサバンナ事業は、
(1)貧困と飢えに苦しむモザンビーク政府の要請である
(2)セラード開発をモデルとはいっていない
(3)ブラジル側の野心は日本の関与マターではない
(4)ブラジル側の関与は技術支援に留まる
という点について反論してみましょう。

1.ブラジル・セラード開発を出発点とする
プロサバンナ事業は、ブラジルのセラード開発を成功と位置付け、「日伯連携による熱帯サバンナアフリカ農業開発」としてスタートされ、モザンビークを対象国として第一段階を迎え、アフリカの色々な国に持ち込むことを想定され打ち上げられた開発援助計画です。以下、JICA自身の説明です。

「かつて「モ」国と同様に広大な未開墾の熱帯サバンナ地帯を有していたブラジルは、1970年代から我が国と農業開発協力(セラード開発)に取り組み、いまやセラードは大農業生産地帯へと発展した。その知見や農業技術を日本と連携して熱帯サバンナが分布するアフリカ諸国に移転し、そして日本とブラジルは農業開発支援を行うことを検討してきた。今般「モ」国は比較的安定した政治状況にあること、また前述の「モ」国北部熱帯サバンナに高い農業ポテンシャルがあることなどから、日本・ブラジルの三角協力による農業開発の支援対象国として「モ」国が選定された。 http://www.jica.go.jp/project/mozambique/001/outline/index.html (2011年2月ナカラ回廊プロジェクト)」

2.プロサバンナ事業の参照事例としての「セラードの成功」
(1)プロサバンナは必ず「セラードの成功」物語から
話されます。これまでのJICA資料の全てがそうです。その他にも例えば…。

●農業の三角協力でアフリカに参入(JETRO中米課2012年08月21日 )「アフリカで日本、ブラジル、モザンビーク3カ国による農業開発事業が始動。かつて日伯協力で実現したブラジルの農地改革の経験をモザンビークに応用しようというもの」。
●褐色のサバンナを世界の食料倉庫に(JICA2012年08月24日)「日本とブラジルには、1970年代から約20年にわたる農業開発協力事業により、不毛の大地とされたブラジルのセラードを、世界の食料倉庫へと発展させた実績があるが、この実績・経験をアフリカの熱帯サバンナ地域の農業開発に生かしているのが、プロサバンナだ。」

(2)日本政府が公式見解とするモザンビーク農業大臣の談話
には、次のようなコメントがあります。

プロサバンナは30年前にブラジルでなされた二国間(日伯)協力のレプリカ(複製)である」(2012年12月26日AIMモザンビーク情報局)

<=しかし、「ブラジル・セラード」との類似性が主張されても、ブラジル・セラードとモザンビーク北部は全く異なる特徴が。北部はモザンビーク国最大の穀倉地帯で肥沃な大地と水、人口密集地。「農学的条件」はまさに異なっているのです。それを知らないままに、緯度や気候の共通性程度で立ち上げられた事業。しかし、宣伝文句はいつもセラードから始まるため、
<=セラードでみられた森林の大規模破壊、住民からの土地接取、大規模な近代農業・・・がモザンビーク北部に持ってこられると想起されるわけです。

3.セラード開発への批判が高まってきたための「セラード開発をモデルにしていない」との主張
JICAは「セラード開発=成功」の一辺倒で押せ押せムードだったものの、このブログで紹介するように、当該地域の地元の先住民族やそこに暮らしてきた人びとは、この開発により土地を奪われ、それを取り戻すために激しい土地紛争を繰り広げ、裁判をやったものの、生活手段を奪われ、都市に流れていき貧困層を形成した・・・というブラジル内ではよく知られ問題化されていることが、日本でも知られるようになってきました。
<=この知見は、ブラジル学術界では1988年来周知の事実。
<=現地市民社会も、セラード開発問題についての知見を蓄えています。

ブラジルでセラード開発批判があることを、JICAは当初、全面否定していましたが、具体的な資料が次から次へと出てくることに直面し、ここ最近は、「セラード開発はモデルではない」と繰り返し主張するに至っています。(苦しいですね・・・)

一方、ブラジルもモザンビークサイドも、「セラード開発を持ってくるんだ=大規模農地開発」との理解を現在でも隠していません。以上の農業大臣の「レプリカ」発言について、外務省は先日の意見交換会で「技術のこと」と言い張りますが、普通に聴いてそうは聞こえないのでは?実際、JICAが繰り返しセミナー等で使う写真は、広大な農地に延々と単一作物が栽培され、大型機械が行ったり来たりしているものばかり。先日のJICAが協力(というが全面的に関わった)テレビ東京の番組でも、同様の映像や写真が。そこまで宣伝しておきながら、「セラード開発の違った部分を・・・・」というのは、苦しい言い逃れ・・・。

4.ブラジルの狙いはモザンビーク北部の肥沃な土地
そして、ブラジルサイドのプロサバンナへの関与の目的は、ずばり「土地」。大規模農業で儲けを拡大してきたアグリビジネスにとって、もはやブラジル内には安価な土地はない。アマゾンを切り拓いていくのには国際監視もある。ということで、国外に農地を増やすというのは、彼らの「儲け拡大システム構築」のために不可欠。なぜなら、農業で儲けるには「土地」「水」は不可欠だから。単位当たり収量をこれ以上は伸ばせないこともあり、外に求めていくしかない。それは、アメリカのアグリビジネスとて同じ。
 かくして、土地争奪戦が繰り広げられているのですが、それを象徴する言葉を日系ブラジル議員のルイス・ニシモリ氏が議会TVで嬉しそうに語っています。自分の目で確かめましょう。

TV CAMARA Palavraberta 2012年6月27日放送 
http://farmlandgrab.org/post/view/21652
この合意はなによりもブラジルのセラードの経験をアフリカのサバンナに移植するために形成されたのです。この地域ではヴァーレ社(*筆者注:現地農民と土地問題で衝突中)なども石炭や鉄鋼といった鉱物資源の採掘を行っています。そこに今度は我々のブラジル人農業労働者を連れていくわけです。ブラジルにおいて農業を行いたくとも土地が不足している若い人たちです。多くの農業専門家が育成されていますが、無職の状態にあります。そういった人々が挑戦できるでしょう。特にブラジル南部の土地の不足した地域で4ヘクタール、5ヘクタールといった規模で農業を営みながらも、近代的で大規模な農業を行いたいと思っている若い営農家にとっては多くの機会を提供するでしょう。」
全訳は→http://afriqclass.exblog.jp/17331007

そして、ロイターの記事などにもセラード地域の綿花企業が以下のように語っています。
2011 年8 月15 日 “INTERVIEW-Mozambique offers Brazilian farmers land to
plant”http://af.reuters.com/article/commoditiesNews/idAFN1E77E05H20110815
ブラジルでは価格が高く環境に関する規制が多いことから農地取得のリスクが高く、『モザンビークの土地の価格は無視できない』とも述べている。モザンビークでは許可を得た生産者は1 ヘクタール当たりたった21reais(1 エーカー当たり$5.30)の税金の支払いの他、農業機械の輸入において関税の免除を受ける。ブラジルでは、最も生産能力が高い土地で生産するには35,000reais/ha が必要であり、インフラ整備が整っていない北部のサバンナでも5,000reais/ha のコストが発生する。」

5. ニシモリ議員はただの1議員・・・盟友を切り離しにかかる
ブラジル人の多くは話すのが好き。ということで、JICAや日本政府に都合の悪いことばかり、都合の悪いタイミングで、本音で話してしまう。議会テレビでまでも。

これを「誤解」「意志疎通の不足」というのは、外交上あまりに苦しい。何故なら「日伯連携」が軸の事業。三角協力だし。ということで、「ただの1議員」「ブラジル政府を代表しているわけではない」と、UNACの外務省での表敬訪問の際にJICA本郷氏は慌てて付け加えた。なお、その際このビデオの存在は、彼以外のJICA出席者は知らなかった。(出席者一覧は→http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-10.html)

つまり、本郷氏は知っていて同僚たちに伝えなかった・・・ということですね。
しかし、ニシモリ議員は「個人として」「ただの議員」で「政府を代表しない」わけではないことは、JICA自身が知っている通り。以下、JICA広報記事です。

JICAトピックス(2012年5月14日)
http://www.jica.go.jp/topics/news/2012/20120514_02.html
「日本、ブラジル、モザンビークで官民合同ミッション-ナカラ回廊への農業投資促進を目指す」
「官民合同ミッションに参加したのは、日本からJICAアフリカ部の乾英二部長を団長に、企業8社と農林水産省、経済産業省、外務省の19人、ブラジルからはルイス・ニシモリ連邦下院議員を団長に農業生産者や農業機械メーカーなどの17人、モザンビークからは農業省など複数の省庁・機関の18人。モザンビークの首都マプト、ナンプラ州、ニアッサ州を訪問(後略)
 今回のミッションへの参加を通じ、日本、ブラジル、モザンビークの関係者が同じ意識を持って役割分担をしながら開発に参加していくビジョンが共有された。」

お読みになると分かる通り、この合同ミッションのブラジル側の団長はニシモリ議員です。そしてプロサバンナ事業の一環で実施されたミッションであり、ご丁寧に「同じ意識を持って役割分担」と結論づけてらっしゃるのは、当のJICAではないでしょうか。

そして、このミッションからの帰国直後に、現地の日本語新聞に、ブラジル側の役割についてこう語っています。「我々は農業者の入植をしっかりバックアップしていきたい。」(ブラジル・ニッケイ新聞2012 年5 月1 日)
http://www.nikkeyshimbun.com.br/nikkey/html/show/120501-71colonia.html

その上で翌6月に、議会テレビであのように語っているわけです。
先週の第二回プロサバンナ事業についてのNGO・外務省意見交換会では、JICAからニシモリ議員とこの件で懇談したとの話が披露されましたが、これは「口封じ」。

プロサバンナ事業のブラジル側のキーパーソンが、公の場で語っていることは「嘘」でも「誤解」でもなく、「本当のこと」ではないのでしょうか?むしろ、彼を注意するのではなく、口を封じるのではなく、「ブラジルにとっての本当のこと」という現実について、事業立案者として、三角協力のパートナーとしてどう考えるのですか?ということが、一番知りたい事なのですが

大体、さんざん「セラード開発の成功をアフリカへ!」という宣伝をして、セラード開発の話ばかりやって、ブラジル側がこう受け取らないわけないですよね?下心あってそう解釈したとしても、それを誘発したのは、日本側の安易なる打ち上げ花火のせいではないか・・・それは外務省も否定していませんでしたが。

6.プロサバンナからブラジル・アグリビジネス切り離し工作
次から次へと、JICAがいっていることとは異なる現実が立ち現れるのことに直面し、JICAや日本政府は、今度はモザンビークの肥沃で安価な土地を狙うブラジルのアグリビジネス企業らを、プロサバンナ事業から切り離そうと躍起。日本の税金でブラジルの新植民地主義的な進出を助けるのか・・・という批判に対処するためです。

しかし、2009年プロサバンナ事業をぶち上げることで、一度火が点いたブラジル・アグリビジネスが止まるわけもなく、何せブラジルと比べ土地の値段は3000分の1、かつ北部のこの地域は肥沃です。そのため、三角協力のパートナーである日本が観て見ぬふりをする中、当初はプロサバンナ事業の枠内でオペレートするつもりだったブラジルの企業たちは、「プロジェクトの枠外」で土地収用を含むビジネスを開始させようとしています。

現地新聞によると、先月末も、プロサバンナ事業のブラジル側パートナーであるニシモリ議員の出身州で、同議員がモザンビーク進出の主体としてターゲットに置くと表明していれうパラナ州(ブラジル南部)から、20名のアグリビジネス企業関係者が、プロサバンナ事業対象地(ナンプーラ、ニアサ州)をわざわざ訪問しています(2013年2月22日Correio da Manhã )。

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この10か月前には、プロサバンナ事業のための合同ミッションと称して、ブラジルからニシモリ議員を団長としてやはり20名近くのアグリビジネス企業関係者が、日本の官民主体とともに現地を訪問したことについては先に述べた通り。

しかもタイミングがJICA理事長の訪問と同じだった。
モザンビークでは、「当然ながら両者(プロサバンナや日本とこれらのブラジル・アグリビジネス)は無関係ではないのに、無関係に装われているのがより不信感を招いている」と言われています。

ここら辺の問題は、モザンビーク農民組織UNACのプレゼンをご覧ください。
→http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-11.html

「日本の援助スキームから切り離したから良い」ではなく、このようなブラジルのアグリビジネス進出を安易に誘因してしまった2009年の「日伯連携による熱帯アフリカ農業開発(プロサバンナ事業の原型)」合意の罪は、本当に大きいと思います

この点については、先日の「第二回プロサバンナ事業についてのNGO・外務省との意見交換会」でも、外務省も認めている通りです。

ブラジル側の野心は、ブラジル側に取材した人達からも、しっかり書き記されています。ここにも土地の入手と遺伝子組み換えの導入が肝となっていることが分かります。
27 February 2013 "Lessons from Brazil in Mozambique's Nacala Corridor"
By ELEANOR WHITEHEAD "Brazil is helping develop Mozambican agriculture by promoting large-scale farming and supporting smallholders. Can it do both at once?"
→http://www.thisisafricaonline.com/Business/Lessons-from-Brazil-in-Mozambique-s-Nacala-Corridor?ct=true
途中にプロサバンナが出てきて、其のあとにブラジルサイドの目的が「土地」「遺伝子組み換え種」の導入を切望していることが分かります。

7.原発事故後の政府対応と同じ構図
それにしても、こういう隠蔽に次ぐ隠蔽に現地の皆さん、他のドナーも、呆れています。リスクも検討せずに、安易にぶち上げておきながら、問題化したら、「画策し、隠す・ズラす・『大丈夫』と何度も宣伝する、なかったことにする、工作して賛成派を創り出す」・・・。

反対する人がいるのに、それに丁寧に対応するのではなく、賛成派を増やす工作(バラマキ)によって切り崩しと封じ込みを図り、「地元のため」と称して持ち込まれる公共事業。

日本における「迷惑施設」導入時の公共事業におけるポリティックスの常套手段です。ダムしかり、原発しかり。そういうことを、「自分たちの面子と利権・援助事業を守る」ため、国外の16年の戦争を戦ったモザンビーク北部の農村で、展開しているのです。

自分たちは上手くやっているつもりかもしれません。あれやこれやの手を打って、乗り切れればと考えているかもしれません。しかし、そういう一挙一動が、現地の人達に大きな不信感と嫌悪感を招いていることについて、どれぐらい自覚してらっしゃるのでしょうか?現地の人びとに、すべは御見通しだなんて、思ってもみないことなんでしょうね。。。

JICA関係者以外の皆さんは知らないでしょうが、UNAC来日まで、JICA内でまことしやかに囁かれていたことにそれは象徴されます。プロサバンナ事業に反対を表明したUNACについて、「反政府勢力だ(含意:だから無視していい)」、「あんな立派なポルトガル語書けるはずがない(含意:何も分かってない、ブラジル人に教えさせなければ)」、「ブラジル人が書いたのだ(含意:だから後ろに操っている奴がいる)」。そこには、明らかに人種差別と当事者軽視の視点がはっきり映し出されています。

実の所、このような「アフリカ人<ブラジル人<日本人」という見方の構図こそが、プロサバンナ事業の立案の根底に脈打つ問題なのです。


8.援助業界の皆さまへ
議員会館で、タンザニアとザンビアで7年農業指導をしたというコンサルの杉本さん(杉崎さん?あれだけ繰り返し発言の機会を要求するにも拘わらず、ご所属もフルネームもおっしゃらず匿名状態。後で、あの話方は「JICAの彼」に似てるよね・・・と評判になったほど)という方の発言やその発言の仕方にそれは如実に表れていました。是非、録画が公開されているので、各自で見てほしいのですが、モザンビークの当事者の、しかも農民2200組織の代表に選ばれ自身も農業を営んでらっしゃるマフィゴさんに対して、指を指し、大声で繰り返し批判し続ける・・・・その姿に、日本の農業コンサルの人達のアフリカ農民への姿勢の一端みたいなものを観てしまった想いで、皆心底恥ずかしい気持ちになりました。
●議員会館での学習会動画→http://youtu.be/Ywdyqa6SqmQ
●この点についての私の考え→http://afriqclass.exblog.jp/17398434

「アフリカ農民は何も知らない、教えてやる対象である」

この間みられた、当事者を前にした、JICAの方やこの農業コンサルの対応にみられる傲慢さが、このような援助スキームを生み出し、問題化した根っこにあると、モザンビークの皆さんは来日して確信してしまったのです。「ああ、だからセラード開発は地元農民を駆逐し、プロサバンナみたいなものが出てくるんだね」と。

口でいくら「農民支援」を繰り返しても、次から次へと出てくる「農民蔑視」。人種差別や偏見を伴った根深い問題なのだと、改めて感じました。

モザンビーク北部農民の暮らしに寄り添って19年。彼らの畑での生活での創意工夫が、彼らが日本の専門家などいなくてもここまで生きてきたことへの敬意が、どこにも見当たらない。そんなリスペクトのない人達が担う、日本の皆さんの税金が支える援助機関に、一体どのような存在意義があるのだろうか・・・とまで考えずにはいられなかった1週間でした。

そもそも、モザンビークが独立してから40年近く。日本はモザンビーク北部の農業生産にさしたる貢献はしてこなかったのです。何度も書きますが、JICAや日本大使館が同国に拠点を置いて十数年しか経っていないのです。日本がいなくても、ブラジルがいなくても、この地域は同国の穀倉地で国民の食料を支え、復興に重要な役割を果たしてきた。勿論、足りないところは多々あります。でも、まずは以上の事実を踏まえるべきではないのでしょうか。

勿論、JICA関係者や開発コンサルの全員が以上のよううだといいうことではありません。そうでない人を沢山知っています。尊敬されるべき現場主義の皆さんもいらっしゃいます。しかし、そうであればこそ、何故これほどまでに当事者の尊厳と主権を踏みにじる人が前面に出続けるのでしょうか?

それはJICAや開発コンサル業界全体としての問題であり、内部で改革されるべき点だと思います。皆さんがこれらの人達と一緒にされたくない、と思うのであれば、我々やモザンビークの人びとに反論しても仕方なく(勿論反論ウェルカムですが)、まずは自分たちの内部で話し合ってみてはいかがでしょうか?それこそが、健全だと思うのです。皆さんは、PCMとか改善とか、そういうことを自分が共同で運命を担わない人達に対して「先生」としてやっています。そういうことを、内部の様々な方々と「援助コミュニティ」としてされたことはあるのでしょうか?

今、わが身をふり返るチャンスでは?自分たちの業界に対してやってみてはいかがでしょうか?でなければ、今まで以上に援助の理解者を減らしていくことでしょう。(ちなみに、皆さんご存知の通り、私はTICAD IV時にアフリカ向けODAが倍増になるように尽力しました。そしてそれを実現しました。しかし、今それが如何に愚かなことだったか・・・と猛省しています。)

このような当事者不在の公共事業は、援助だけではありません。とても身近で発生しています。「復興」「復興」といって、当事者やコミュニティを置き去りにして、進められる現在の復興政策と同様です。一番寄り添うべき当事者ではなく、ビジネスチャンスを狙う企業とばかり話を進めている。プロサバンナが、官民合同ミッションなるものを、現地の農民組織と相談するずっと前に繰り返していることにこれは表れています。

援助は日本社会の鏡。
私たちの中の当事者主権への意識の薄さ、差別・偏見が、善意の裏の利権や驕りが、今問われるべき時だと思います。

勿論、私も例外ではありません。日々のモザンビークの仲間との実践の中で、反省し学び一歩ずつ前を歩いている状態です。

過ちは誰でも冒します。
変えることは可能です。
過ちを認められれば。
そして、変えるという決意があれば。

変えましょう。
自分から。
仲間から。
遅くありません。
by africa_class | 2013-03-10 11:39 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ