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タグ:ビア・カンペシーナ ( 5 ) タグの人気記事

【参加者募集】5/24院内集会「世界を変える小農と共に考える~これからの日本と食と農のあり方を問う」

イベント続きですが、こちらはとっても大切なイベントです!
募集期間がとっても短いので、拡散にご協力くださいませ。
質問などは主催者に御送り下さい。

会場が、参議院議員会館ではなく、衆議院第二会館に変更になったそうです。
ご注意下さい。

また必ず事前申し込みをお願いします(詳細は以下)。

(転送・転載歓迎!)
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5/24 院内集会「世界を変える小農と共に考える~これからの日本と食と農のあり方を問う」
詳細→http://unpesantsrights.blog.fc2.com/blog-entry-8.html
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昨年末に国連総会で「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」が採択されました。また、今年から「国連 家族農業の10年」が始まります。

このたび、こうした世界的な流れに重要な役割を果たしてきた世界最大の小農運動「ビア・カンペシーナ」のリーダーをお招きし、世界の動向や国連宣言等の意義を紹介いただきます。

また、日本の農家から現在直面している課題を問題提起してもらいます。日本政府(農林水産省・外務省(調整中))も参加し、コメントをいただくなどしながら意見交換をします。

これらを受けて、今後の日本の食と農の未来を参加者とともに話し合えればと思います。農民や農民団体、政府だけではなく、市民、研究者、学生など、あらゆる分野、世代の方々にお集まりいただき、議論することから始めたいと思います。ぜひご参加ください。

■日時:2018年5月24日(金)17時ー19時半
*議員会館ロビーでの集合時間:16時半ー16時45分 
*入館証が必要です。直接会場に行けませんのでご注意下さい。

■場所:衆議院第二議員会館 第一会議室(東京都千代田区永田町2-1-2 )
■アクセス1.永田町[1](4分) 2.国会議事堂前[3](7分)http://bb-building.net/tokyo/deta/457.html
■言語:日本語・英語(逐語通訳付き)
■参加費(資料代):500円

■お申込み:5月23日(木)18時までに下記のサイトにご記入の上、直接会場にお越し下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/b31da8a4620264
■主催:国連小農宣言・家族農業10年連絡会 http://unpesantsrights.blog.fc2.com/

■式次第:
司会:渡辺直子(日本国際ボランティアセンター)

1)国連等での小農・家族農業への注目の意義ー国連小農権利宣言の採択を受けて
・ヘンリー・トーマス・シマルマタ(ビア・カンペシーナ/インドネシア農民組合、小農宣言チームメンバー)
・キム・ジョンヨル(ビア・カンペシーナ国際調整委員 韓国女性農民会)

2)日本政府からのコメント・農林水産省・外務省(調整中)

3)日本の小農・家族農業の現状と課題の紹介・日本の農家
・松平尚也(耕し歌ふぁーむ/小農学会/京都大学大学院)、他調整中

4)オープン・ディスカッション&質疑など

■お問い合わせ・連絡先:
国連小農宣言・家族農業10年連絡会メールアドレス:peasantsrightsj<@>gmail.com
*取材などのお問い合わせは、日本国際ボランティアセンター(http://www.ngo-jvc.net)渡辺(TEL:03-3834-2388)までお願いいたします。

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by africa_class | 2019-05-15 22:25 | 【国連】小農の権利宣言

新刊『国境を越える農民運動』(シリーズ「グローバル時代の食と農」第2巻)の訳者解説に書いたこと。

このご時世に9巻のシリーズ刊行に賛同してくれる日本の出版社を見つけるのはほとんど不可能に近いことだった。しかも訳本とあって、どの出版社も売れそうな巻だけの出版しか賛成してくれなかった。やっと同意してくれたのが、明石書店さんだった。

■シリーズ本については以下の投稿を!

明石書店さんとは、『アフリカ学入門』を2010年に出版させていただき、4刷まで行ったこともあって、話はもって行きやすくはあった。

舩田クラーセンさやか(編)
『アフリカ学入門〜ポップカルチャーから政治経済まで』
明石書店、2010年
http://www.akashi.co.jp/book/b67746.html

*見てわかる通り、私は本の表紙・装丁にスゴくこだわりがある。持ち歩いて目立ち、「え?なにその本?素敵だね!」と言ってもらえるような本の装丁を目指している。

各種シリーズものも出しているし。でも、最後は社長との直談判、そして販促計画をたて、これを具体的に実行するという条件で合意してもらった。当然、私たちには一銭も入らない条件(*日本の出版業界の現実はこうなのです…)。

でも、社長との約束以上に、とにかく危機迫る世界と日本の食と農の問題について、一人でも多くの日本の皆さんに知ってもらうには、この本を届けたい。そんな想いでこれを書いている。

さて。
国連総会で「小農の権利に関する国連宣言」が採択されたことは、この本の重要性を高める結果となっている。この宣言採択のプロセスは、6章に詳しいので、ぜひ読んでほしい。でも、この本の意義は他の点にもある。

ここら辺のことは、訳者解説にかなり詳しく書いたので、一部を抜粋するので、残りはぜひ本を手に取って読んでもらえれば。

マーク・エデルマン&サトゥルニーノ・ボラスJr.
監訳:舩田クラーセンさやか、訳:岡田ロマンアルカラ佳奈
『国境を越える農民運動〜世界を変える草の根のダイナミズム』
明石書店、2018年
http://www.akashi.co.jp/book/b420388.html

*こちらの表紙は小林舞さん(総合地球研究所)のスケッチ。素敵でしょ?シリーズの色は日本の古色で揃えていて、この巻は「柿色」。

===
 2018年9月28日、素晴らしいニュースが飛び込んできた。

 本書の第6章でも取り上げる「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」が、国連人権理事会で採択されたというのである。あとは、今年中の国連総会決議を待つだけとなったが、これも圧倒的多数の賛成が予想されている。

 この国連宣言の草稿となった諮問委員会の第一ドラフトは、2008年に世界最大の小農運動といわれるビア・カンペシーナが発表した「小農権利宣言」を土台としていた。さらに、この「小農権利宣言」は、本書でも紹介されているように、1990年代末からインドネシアのビア・カンペシーナに加盟する小農が協議に協議を重ねてつくりあげ、2008年のビア・カンペシーナの国際会議で採択された宣言文をもとに準備したものであった。また、ビア・カンペシーナとその協力者らは、「小農権利宣言」だけでなく、2014年の「国際家族農業年」、そして来年から十年間の「国際家族農業の10年」の国連総会での採択も実現させている。

 「国境を超える農民運動」をテーマとした本書は、この世界80カ国の2億人の小農が加盟するビア・カンペシーナの誕生と国際舞台での活躍抜きには成立しなかったであろう。逆にいえば、このような現象こそが、本書が世界に必要とされた背景ともいえる。

 かつて国連を研究対象とし、国際関係学に身を置きながら、アフリカの小農の歴史を学び、アフリカや南米の小農運動と一緒に活動してきた筆者にとってすら、これは驚くべき出来事である。「南の小農」が、国際政治の最前線にあたる国連に対して、アジェンダ設定を提案し、国連文書のたたき台を提供し、国家間協議に参加して意見を述べ、「ソフトロー」とはいえ現実に新しい国際法の成立を導いた事実は、2008年の「先住民族の権利に関する国連宣言」と並び、世界史に残る出来事といっても過言ではないだろう。

本書の特徴

 しかし、本書は単にビア・カンペシーナをはじめとする「国境を超える農民運動」を讃える本ではない。その挑戦に理解を示しながらも、厳しくも冷静なまなざしで、農民運動の課題と可能性を、歴史的背景と政治的ダイナミズム(力学・動態)にもとづき、明らかにしようと試みる。

 本書は、戦前(1920年代)に北米で結成され広がりをみせた世界農村女性協会を最初に取り上げ、農村女性が女性同士の連帯にもとづいて「国境を超える農民運動」を形成したことを紹介する。そのうえで、政党(農民党、共産党、後に社会民主党)、植民地解放運動あるいは反独裁運動、宗教(たとえば、カトリック教会)、農村を手伝う都市住民のボランティア活動が、小農運動の越境性(跨境性)にどのように影響を与えたのか(国際条件がどのような影響を各国・各地の小農や小農運動に影響を与えたのか)を、明らかにする。特に、「なぜ、どのように関係が構築されたのか」に注目している点が本書の特徴といえる。そのため、多様な農民運動の歴史的な展開を重視しつつも、国際的な政策の潮流の変化を縦軸に、社会の様々な層と小農の関係を横軸に、多角的な分析を試みている。

 前者(縦軸)については、戦後の福祉国家に向かう動きが紹介された後、その観点からは「異端なもの」として冷笑の対象となっていた新自由主義的な政策が世界に広がっていき現在に至るプロセスが示される。後者については、各農民運動の加盟農民の階級分析を土台として、運動の目的や戦略、アライアンスの形成先の違いを明らかにしている。

(中略)

 このように本書は、社会運動や農民・農民組織、国際関係学に関心がある人だけでなく、開発援助や外交政策に関わる実務者、国際法の研究者にも役に立つ本となっている。1980年以降の日本では、歴史は忘れられ、所謂「途上国の小農」は「助けてあげなければならない対象」のイメージが根強い。

 しかし、特に南の小農が世界史的に果たしてきた役割の大きさはとてつもなく大きかった。現在では、国際常識(規範)上は絶対悪とされる「植民地支配」や「傀儡政権による支配」も、南の小農の抵抗や闘い抜きには、規範の転換も現実の消滅(後者は道半ばとはいえ)もあり得なかった。その意味で、世界の民主主義の発展において、南の小農が身を挺して果たした役割は大きかったといえる。

 しかし、その多くは国家レベルから国際レベルまでの失政あるいは圧力によるものだったとはいえ、世界とりわけ南の小農が直面した1980年代や90年代から現在まで続く厳しい状況の中で、小農は「貧しく、代替案を持たない、援助を待つ存在」として認識されるようになった。これは北の援助者にとどまらず、南のエリートも同様である。

 このような認識は、新自由主義的な政策の導入プロセスのなかで、ますます強化され、「粗放農業しか知らない現地農民は農業ポテンシャルのある広大な土地を余らせている」との言説が世界的に広められていった。その典型事例が、2009年に日本がブラジルと組んでモザンビークに導入しようとしたプロサバンナ事業であった[i]。

 21世紀に入ってからの凄まじい農地・水源・森林収奪は、「ランドグラブ」として世界の注目を集めるようにはなった。しかし、農村地帯を「空白地」として眺め、そこに暮らし耕し命をつないできた小農の存在は無視あるいは軽視し、国家計画や経済効率のために空間を明け渡すべき存在として「客体化」する傾向は依然として強いままである。世界的に生じたこの現象に、歴史的にも現代においてもその尊厳と主権を踏みにじられてきた小農が、尊厳ある「主権者」として立ち上がり、あらゆるレベルの人びとや運動とつながりあいながら、世界にその存在を認めさせるようになりつつある。大きな限界に直面しながらも、危機を転換する力を小農が内包していたこと、それを可能とする条件や協力者がいたこと、この点について本書は詳しく紹介している。

 本書は、第5章で「私たちなしで、私たちのことを語るな」という当事者らの強烈なメッセージを紹介しているが、「小農のために」と語りがちな都市あるいは北の私たちに鋭い課題を突きつける。これは表象や政治的な正しさ(political correctness)の問題にとどまらない。小農に多大な影響を及ぼす政策や計画・事業が、小農以外の人びとの頭の中で考え・決定されることへの異議申し立てである。「小農権利宣言」のドラフトには、これらの外から持ち込まれる政策などを小農が拒否できる権利が書き込まれていた。このことの意味を、日本をはじめとする世界の都市住民はしっかり認識すべきであろう。

 その意味で、本書が農民運動や農家内のジェンダーや世代問題を取り上げている点は、注目に値する。日本のジェンダーギャップ指数が2017年に114位と低かったことに示されるように、この問題が日本で真正面から語られることは依然として少ない。ただし、これはアジアや中南米、そしてアフリカでも同じである。ここでも国境を超える運動が果たす役割の大きさが、本書で明らかにされる。

 年功序列・男性優位の農村社会や農民運動が、まずは国境を超えた女性同士の出逢いによる課題の共有から始まり、女性たちが一致団結して国際レベルでのリーダーシップの参加を要求し、それが実現した後、国際レベルから各国の運動、そしてローカルな運動に持ち込まれていったことも記されている。現在、世界で最も活発で動員力のある運動とされるのが「女性運動」である。女性運動を介して、都市の女性と農村の女性の運動が出逢い、政治を動かしつつあることまでは本書は触れていないが、いつかの機会にこれを紹介することができればと思う。

 (中略)

 最後に、国際機関と小農運動がどのように関係を結んできたのか。その背後にあった多様な小農運動のさまざまな戦略、そしてそれを支えるNGOや非政府系のドナー、政府系の援助機関の動きについても本書は丁寧に取り上げており、国際関係学や開発援助の研究者にも大きな示唆を与えるだろう。

 (後略)
============


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以上は、2018年11月21日の3カ国民衆会議の国際シンポジウムの際、原書を紹介してくれた元ビア・カンペシーナ国際局スタッフのボアさんのプレゼン。ボアさんはジュンの教え子でもある。
http://triangular2018.blog.fc2.com/blog-entry-32.html

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2018年11月24日、国際開発学会(筑波大学)で発表するボアさん。



by africa_class | 2018-12-22 06:52 | 【国連】小農の権利宣言

【国連総会にて最終採択!】「小農権利 国連宣言」が国際法に!121カ国の賛成(日本棄権)で採択されました。

いましがたNYの国連総会にて、「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」が最終採択されました!121カ国の賛成票を集め、反対票8カ国、棄権票54カ国。これで、「小農の権利」は、「先住民族の権利に関する国連宣言」と同様、国際法の一部としてしっかり位置づけられることになりました。

長いながい旅でした。
感慨深すぎて、いま呆然としています。

本当は、以下の続きを書くつもりでしたが、先にこの話題を集中的に書いていきたいと思います。私の中では連動していることなのですが、ちょっと今は上手く総括できそうにないので、「小農の権利国連宣言」に集中します。

研究界への介入・暴力(3)〜2013年からプロサバンナをめぐって起ったこと
https://afriqclass.exblog.jp/238907964/

さて。
本当はこのタイミングで農文協さんから解説と訳文が出版させるはずだったのですが、2月になるとのことなので(涙)、少し頭だしする形で、このブログでこの宣言の意義を皆さんにお伝えしていきたいと思います。

がしかし、細切れになる点ご了承下さい。

まず「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」について初めて知ったという方は、このブログの関係投稿を先にみて下さい。

【国連】小農の権利宣言

https://afriqclass.exblog.jp/i43/
全訳(ドラフト宣言のですが)と国連でのこれまでのやり取りの詳細まで掲載しています。

さて。

世界最大の小農運動であるビア・カンペシーナがこの宣言を構想してから16年。国連人権理事会で6年にわたる議論を経て、今年の秋の国連総会に送られてきたこの「小農権利宣言」。11月19日の国連総会第三委員会(社会、人道、文化委員会 *全加盟国が参加)でまず採択されました。

賛成票:119カ国
反対票:7カ国
棄権票:49カ国

そして、この棄権49カ国の中に日本が入っていたことについては、先月11/20-22に東京で開催された日本・モザンビーク・ブラジルの農家や市民が集って開催した3カ国民衆会議で繰り返し問題とされていたので、ご存知の人も多いかも?
http://triangular2018.blog.fc2.com/

そして、ついに本日、国連総会本会議にて、最終的な採択が行われました。結果、全加盟国193カ国による、以下の投票結果により採択されました。

賛成票:121カ国
反対票:8カ国
棄権用:54カ国

反対票を投じた国は、英米の他、オーストラリア、ニュージーランド、イスラエル、ハンガリー、スウェーデン、グアテマラの8カ国。この段階でグアテマラが入っているのは注目ですが、まあ現政権への米国の介入は広く知られている通り。

そして注目の日本は再び「棄権」。。。
11月19日の棄権については、3カ国民衆会議時(11月22日)に外務省国際協力局告別開発協力第三課の井関至康氏が説明してくれています。UPLANさんが、日本の関係者のみのやり取りを抜粋してくれた動画がネットで公開されているそうなので、そちらをご覧頂ければ。

20181122 UPLAN
【緊急報告会】日本とODA/投資:モザンビーク北部で何が起きているのか(抜粋)
*13分30分あたりからそのやり取りがあります。
*それ以外もモザンビーク小農の権利をめぐる白熱議論なのでぜひ観てくださいね!

実は、外務省とのやり取りの前にブラジルの小農運動(MPA *ビア・カンペシーナ加盟団体)のジルベルトさんから次のような指摘がありました。

つまり、日本は小農支援というが、これまでのブラジルやモザンビークの小農に対する態度をみても、また小農権利宣言の採択において棄権をしており、本当のところは小農の権利に関心が薄いのではないかという趣旨の発言。これは、モザンビークの市民社会も指摘していたことでもありました。プロサバンナのような問題が起きるのは、援助する側(つまり日本の政府やJICA)に小農が主権者であることの理解が欠落しているからではないか、というのです。

と投げてもなかなか回答しづらいだろうと思い、司会の私の方から、外務省になぜ賛成票を投じなかったのかについて質問しました。

井関課長は、交渉の担当課から話を聞いてきてくれた上で、大体以下のような説明をしてくれました。(正確には各自で動画を確認下さい)

日本政府は棄権したが、当然小農の権利、小農の皆さんが人権を有していることは、日本国憲法上も明らか。否定する意図はない。分かりづらいが、小農の人権という概念が国際法上の概念として成熟しているのか、そこまで言えるのかという点について、これまでの議論の中で日本政府としては自信をもてなかった。交渉担当課に確認したところ、率直にいって、もう少しこの辺について議論をしたかった。

とのことです。

実は、このような指摘(国際法上の成熟如何)は、6年にわたってずっと議論されてきました。6年間の議論を追っていけば分かることなんですが、国際法の専門家らにことごとくその指摘はあたらないと反論されてきた点でもあります。なので、「もう少し議論したい」ということだけでは不十分。井関課長は聞いてきただけだから仕方ないにせよ、このブログでも紹介しているように、日本政府はわざわざ「食の主権」や「種子の権利」に反対してきた事実があります。そのことを考えると、「国際法上の成熟如何」の話より踏み込んで、日本政府としてなぜ、わざわざこれらの権利に反対するか、説得力のある説明をする必要があります。しかし、これまで、日本政府代表は「新しい権利だから(反対)」程度の説明しかしてきませんでした。

でも、このような「未成熟」「新しい権利」との主張は国際討議の場では説得力をもってきませんでした。結果、121カ国(その大半がかつての被植民地国)が賛成票を投じたのです。

なぜ説得力がなかったのか?

実は、国際法を勉強した人なら最初の方で教わることなので、あえて私が書くのもなんですが・・・国際法、特に人権関係の法律は、現状追認型ではなくって理念から現実をひっぱるように構想されています。常により前向きに、人びとの権利を拡充していく方向で変化し続けるものという前提で、国際法は前進してきたのです。

「国際法」とか「人権」とかいうと、日本ではどうしても遠いものに思われてしまいます。日本の私たちにとってどれぐらい重要なことなのかは、また議論が長くなりそうなのでまた今度にします。分かりやすい例でいうと、第二次世界大戦直後の世界の大半の地域や人びとが植民地支配下にあり、女性の参政権もないところが多く、人種によって差別を受けていたことを考えれば、いかに国際法が重要だったか少し理解できるかもしれません。2018年現在、わたしたちが世界の当たり前と受け止めることの大半は、まずは国連憲章、そして世界人権宣言(1948年)が採択されてから、その理想に現実をあわせていこうとする非差別・抑圧者とそれを支える人びとの不断の努力によって、一つずつ実現してきたものでした。

国連で植民地支配下の人びと地域に独立付与が宣言されたのは、世界人権宣言から20年近く後の1961年のこと。でも、現実に、南部アフリカの人種・植民地支配からの解放は、1975年のアンゴラ・モザンビークの独立、1980年のジンバブエの独立、1991年のナミビア独立、1994年の南アフリカでの全人種選挙の実現までかかりました。

国連で独立付与宣言が採択されたのに、これらの国々の人びとは武器をとってまで独立を勝ち取らなければならなかった。数十年かかったけれど、最終的に勝ち取った。それは被抑圧者の死と隣り合わせの闘いの結果ともいえるのだが、他方で、人類史の歩みの中で、先に国際法のレールが敷かれていたことを無視することはできないと、思います。

このことを実は、新刊の『解放と暴力ーアフリカにおける植民地支配と現在』東京大学出版会(小倉充夫先生との共著)の1部2章と3章で議論しています。
http://www.utp.or.jp/book/b372472.html

現在からみると、植民地からの独立付与宣言は当然のことに見えます。でもこの宣言すら、当時、ヨーロッパの植民地保有国だけでなく、米国も棄権票を投じるほど議論のあるものでした(英米の他、フランス、ベルギー、ポルトガル、スペイン、南アフリカ、オーストラリアなど)。

このように国際法は、「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準」とされる世界人権宣言を土台にしつつ、これらの基準を満たすことを構造的に難しくされている特定グループ(被差別、脆弱な…と言われる)を、一つずつ注目し、その構造的な人権侵害を乗り越えるための国際法の改善を行ってきたのです。

1945年以来、「女性」→「被植民地」→「人種」→「子ども」→「先住民族」と進んできた特定グループの人権を擁護するための宣言や法制度の整備は、21世紀から18年を経て、ついに「小農と農村で働く人びと」におよんだことになります。

繰り返しになりますが、「人権概念として成熟していない」ということは、国際法の発展の歴史、とりわけ第二次世界大戦後の世界の変化をきちんとおさえているのであれば、言い訳として正当性を欠いています。人権概念として成熟するのを待てというという主張自体が、現状の被抑圧・差別状況を放置してよいということになるからです。

ここに、日本特有の誤った認識ーー人権が「親方ヒノマル的に守ってあげる、恵んで(支援して)あげるよ」の概念だとの認識ーーが見え隠れしてしまっています。そして、これこそが、モザンビークやブラジルの農民たちが日本に来てまで拒絶していることなのです。あなたたちの施しは要らない。決めるのは自分たちだ、と。

これを機会に、人権は、それが国内におけるものであれ、国際レベルにおけるものであれ、「政治的な力によって権利を剥奪されている人びとの置かれている垂直状態をどうするのか?」という問いを含んだものであることを、より多くの人に理解してほしいと思います。人権が鋭く問われる瞬間には、抜き差し鳴らない政治経済社会文化の状況があります。そのような状況に、いま世界的に直面しているグループがあるとすれば誰なのか?

21世紀にはいり、特に2008年以降の「食料危機」のなかで顕著になったのが、世界の小農でした。これは、南の小農に最も如実に問題が現れているとはいえ、北の小農も様々な形で小農としての暮らしが営めないほどの危機に追い込まれていることを考えれば、「小農」という括りがいかに現実的な意味をもっているか明らかでしょう。

なお、日本では、「食料危機」を「食料が足りない」話に矮小化する傾向が根強いですが、今回の「小農権利宣言」が採択されていくプロセスの議論をしっかり追えば、問題はそこではないことは明らかでしょう。ここでいわれいてる「食料危機」とは、世界大で展開しつつ地域社会に家庭に影響を及ぼす「複合かつ構造的な危機」のことであり、その根っこに冷戦後に進められてきたグローバル経済と南の「辺境地」への浸透のあり方、国際ガバナンスの失敗があります。これについては、農文協の原稿をみていただければ・・・。

書きたいことは山ほどありますが、今夜はここら辺で。

国際法にしっかり書き込まれた「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」。これが実現した背景には、これらの人びとを取り巻く環境がそれだけ厳しいという現実があることは明らか。でも、だからこそ、人類の歴史が後退と破壊を繰り返す中で、少しでも前進する瞬間をみた日には、お祝いしたいと思います。

そして、何百回でも強調したいのは、この「小農権利国連宣言」は、南の小農運動自身の発案で、国連に持ち込まれ、その宣言文案のかなりの部分が採択されたという事実。当事者の発案・起草文が、国際法になったのは、後にも先にもこれが初めてのはず(違ってたらごめんなさい)。

少なくとも、2008年の先住民族権利国連宣言の時点では実現していない。その意味で、国際法はもはや国際法を学んだエリートらが冷暖房が完備された先進国の会議室で起草して採択するものではなくなってきていることを象徴する出来事といえます。

どうやってここまでこぎ着けたの?
という人に朗報。
出来立てホヤホヤの訳書をぜひお手に取っていただければ。

シリーズ「グローバル時代の食と農」
『国境を超える農民運動〜世界を変える草の根のダイナミクス』
マーク・エデルマン&サトゥルニーノ・ボラスJr.
(舩田クラーセンさやか 監訳・訳者解題)
(岡田ロマンアルカラ佳奈 訳)
http://www.akashi.co.jp/book/b420388.html

日本、モザンビーク、ブラジル、世界の小農と農村で働く皆さん、おめでとうございます。まさにここからが正念場です。A luta continua!

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by africa_class | 2018-12-18 05:18 | 【国連】小農の権利宣言

【来週、国連採決!】「小農権利国連宣言」の国連採決日11/20に3カ国民衆会議in東京が開催

いよいよ3カ国民衆会議が来週11/20から東京で開催されます。
その同じ日に、ニューヨークの国連総会で「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」が採択される見込みとなりました。

実は、この3カ国民衆会議の日程は、この「小農権利国連宣言」の採決前後のタイミングを狙って準備しました。しかし、国連総会での採決タイミングというのは、高度な国際交渉で決まるものなので、こんなにバッチリ日にちまで合致するとは思いもせず・・・。

インドネシアの仲間からのメールを見た瞬間に鳥肌がたちました・・・。そして、涙が。

世界2億人ともいわれる小農、農村に暮らす人びと。
今を生きる、これからを生きる人びとだけでなく、過去に命を落としてきた人びと。

希望と絶望と。喜びと苦しみと。連帯と分断を、、、自分たちの手を離れた遠くのところで決められる多くの事柄に翻弄されながらも、生き抜いてきた人びと。そして、傷つき、命を落とした人びと。

自分の足で大地を踏みしめ、両手で土とたねと作物という命の根源に触れ、寒い日も暑い日も雨の日も晴天の日も、田畑に出続ける人びと。

直接には言葉を紡がないとしても、暮らしそのものが紡ぐそれを、食と農村環境を守り、もたらしてくれることで、わたしたちに伝え続けてくれる人びと。

この母なる地球、最後の自然を守る人びと。

11月21日(時差があるので)の国際シンポジウム&マルシェはお祭りになると思います!1日目はすでに満席となったそうなので、このシンポ&マルシェと3日目のみ。これもいつ締め切るか分からない状態だそうなので、ぜひお急ぎお申込下さい。

とくに、この「小農権利国連宣言」については、2日目18時〜の2部「食・農・くらしと地域の自立へー「犠牲の経済開発モデル」の限界を乗り越える」で紹介します。

●3カ国民衆会議11/20-22のポータルサイト
http://www.ngo-jvc.net/jp/notice/2018/10/2018triangular.html
●2日目 国際シンポ&マルシェ
http://triangular2018.blog.fc2.com/blog-entry-22.html
●3日目「日本の投資/ODA:モザンビーク北部で何が起きているのか~プロサバンナ事業とナカラ回廊開発に抗う農民たち」
http://triangular2018.blog.fc2.com/blog-entry-24.html

====
(ここから下は、多くの人には重要ではないことだと思うので、一応切り離して書きます)

この宣言が11/20に採決と聞いた瞬間に押し寄せてきた想いを伝えたくて。

自分で出来ることがあるのならば・・・そう願いながら、下手なりに隅っこでこつこつと森と畑と机と本と大学と会議室を行き来する日々が、映画のエンドロールのように流れては消えていった先に・・・浮かんだ一人のひとのはにかんだ笑顔を目にして。涙が止まらなくなってしまいました。

「モザンビーク小農の父、アウグスト・マフィゴ代表」

わたしをはじめとする日本の仲間たちに、「小農主権」「食の主権(食料主権)」「小農が地球の守護神であること」を教えてくれた偉大な人。14歳で植民地支配下にあったモザンビークを離れて、仲間たちとともに独立を目指して闘った。独立後は、小農として生き抜いてきた。

そして、長い戦争後の和平と自由な空気の下で、畑を耕し、仲間と運動をつくり、そしてUNACをモザンビーク最大の小農運動に導いた。小農運動が国境を超えていく時期にリーダーとなり、UNACを世界と繋げていく役割を果たした。

しかし、徐々にグローバル資本がモザンビークを蝕み、農民たちの土地、水、森が奪われるようになるなか、政府に脅しを受けながらも、農民の権利のために身を粉にして働き続けた。

モザンビークの解放闘士として、彼だけが可能な独自の立場で、政府と掛け合ってきた。多くは微笑とともに。決して声を荒げたり、他人を罵倒したりする人ではなかった。常に、「あなたはどう思うか?」と。

彼が2013年2月に初めて東京にきたときに、皆にきいたことが、それだった。
「みなさんは、どう思いますか?」
「わたしたちは、自分の足で歩くスピードでの発展を目指したいだけなんです。自分たちの手におえる範囲の発展を。でなければ、奪われるから。私たちの存在そのものの土台が。それではだめですか?」

彼の言葉を訳しながら、いつも深く感動していた。とても簡単な言葉なのにあまりに深くて、果たして彼の畑や歴史や活動の中での経験から紡ぎ出される想いを、きちんと伝えられているのだろうかと、不安になるぐらいに。。。

しかし、57歳で命を奪われた。

2015年8月、日本とモザンビーク政府がモザンビークの農民運動の分断を計っているのをなんとかしようと700キロも離れた別の州と行き来している間に病に倒れて。

いまもまた、3カ国民衆会議を少しでも傷つけようと、同じようなことをやろうとしていると、現地から情報が届いたという。
https://www.facebook.com/%E3%83%A2%E3%82%B6%E3%83%B3%E3%83%93%E3%83%BC%E3%82%AF%E5%B0%8F%E8%BE%B2%E5%BF%9C%E6%8F%B4%E5%9B%A3-1060343997409346/?hc_ref=PAGES_TIMELINE

このブログでも紹介したとおり、日本政府はこの宣言に米国とともに反対してきた。
https://afriqclass.exblog.jp/i43/

一方では「小農【支援】」に注ぎ込んだ金額に胸をはりながら、「小農の【権利】宣言」は気にくわない。

自分たちが思い描いて、自分たちがコントロールする「支援」なら何十億円でも注ぎ込むことを厭わず(プロサバンナに既に32億円)、、、、一銭もかからない「小農が主張する権利を認める」ためには努力もしない。

むしろそれを弱めようと「種子への権利」にわざわざ反対してみたりする。遺伝子組み換え企業やそのロビーに突き動かされる米国に媚を売るために。

それで国連の議場で、「小農【支援】大国」を主張するのは、どうにも私には理解できないのだが。援助関係者には、いまでもこのロジックが通じるらしい。この21世紀に。小農が国連宣言文を起草し、ついにそれを世界に認めさせ、国際法に新たな一頁を拓くところまできてるというのに。

いまでも、日本の開発援助関係者は、それが実務者であろうと研究者であろうと、若いフレッシュな感覚をもっているはずの若い人ですら、このロジックの問題が、本当の意味では理解できない人が多いのに驚いている。

権利>支援

なぜか?

当事者>支援者

だからだ。

【支援】を中心におけば、支援者が当事者を選び、その支援の仕方をコントロールする。どうやっても。「支援する」が動詞になったら、「支援者」が主語になるからだ。日本語は、この主語と動詞の関係が曖昧だから、この簡単な原則を皆がしっかり認識することが難しい。

=>つまり、支援者に当事者が従属することになる=>当事者に内在する力を弱める可能性を前提とする外部者の主体的行為。

【権利】を中心におけば、当事者がどれほど貧しかろうと、教育がなかろうと、支援者がどれだけお金と努力と善意を注ぎ込もうと、それにNOを言う権利を含め、その人が決定権を持つ。主体は当事者にある。

=>支援者は当事者に従属する。
その逆ではない。どうやっても、逆にはならない。

ということは、当然、「小農支援」をしたい人達の真の目的がそれなのであれば、「小農の権利」が認められる社会の創造、彼女ら彼らの運動(それがいくら足りないものであっても)を応援することこそが、「支援者」にとって最大にして最重要なアクションとなるはずだが、そうはなっていないどころか宣言に反対そして分断介入…逆噴射しているのが日本の「海外小農政策」ともいえる現実であった。


2018年11月20日・・・
何の偶然かわからないが、日本の東京で、この「小農の支援」と「小農の権利」が、ついに直接ぶつかりあう機会が訪れる。

その瞬間に、ひとりでも多くの皆さんに立ち会っていただきたいと思う。

しかし、そこにはマフィゴさんの姿はない。
でも、彼の遺した仲間たちの姿がある。
そして、そのこと自体が、わたしたちが、決して今日まであきらめなかった理由だとも思う。

彼がいつも実態と実感とともに呟いたこの一言。
A luta continua....
独立をともに闘った政府関係者らが次々に腐敗していくなかで、この言葉をまさに生き続けた人。

マフィゴさんのあの笑顔をもう一度だけ見たかった。


これは代表になったかなるかの時にブラジルに行ったマフィゴさんの姿。印鑰 智哉さんの提供。


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マフィゴさん、ありがとうございます。
あと少し。
どうぞ安らかに、安らかにお眠りくだだい。

by africa_class | 2018-11-16 06:18 | 【国連】小農の権利宣言

今日の参議院農林水産委員会で農水官僚が知らなかった「小農の権利に関する国連宣言」の残りの仮訳

印鑰智哉さんのご連絡で、本日の参議院農林水産委員会で、現在ドラフト中の「小農と農村労働者の権利に関する国連宣言」の話題が出たが、農水省の官僚は誰一人、この宣言について知らなかった・・・との驚愕の事実が発覚しました。

詳細は、
印鑰さんのフェイスブックをご覧下さい。
https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/2294271450599672

「川田議員は国連で進められている小農民および農村住民の権利宣言について農水省は知っているかを尋ねると、一人も手を上げない。さらに今年5月に外務省が宣言の反対の答弁を行ったことの問題を指摘した。日本の国会で議論もないまま、外務省が暴走して宣言成立に反対していたことを農水省は知っていたのかと川田議員が質問すると、農水省側はフリーズ、速記が止められる事態に。最終的に農水大臣が今後精査して対応すると述べたに留まった。」

速記が止まる!・・・ほどに知られていないというこの国連宣言。日本の農家の大半が「小規模農家」であることを考えれば、あり得んといいたいことですが、より驚きは、国連人権理事会の日本代表が、日本国を代表して話したことすら、農水省が知らないという現実。

良く考えてみてください。
「小農と農村で働く人びとの権利」は、何も日本以外の国、とりわけ南の国々を対象としているわけではありません。世界中の国連加盟国の小農と人びとを対象としているのです。

その意味で、所管は外務省だけでなく、農水省。なのに知らないという・・・・。
農水省の皆さんも、もう少し勉強しましょう・・・ということ以上に、外務省、どうしてこんな重要なことを農水省に相談せずに批判的な言動や棄権票を投じるんでしょうか。

これについては、過去投稿を。

国連人権理事会での日本政府スピーチを読み解く:「小農の権利に関する国連宣言」

http://afriqclass.exblog.jp/237966234/

こんな状態なので、私の試訳ものんびりやっている場合じゃないんですが、今、本の原稿と校正が2つ佳境を迎えており、かつあらゆる申請書に負われており、ちょっと終らせられない感じです。とりあえず、前文の訳はこちら。

試訳:「小農と農村で働く人々の権利に関する国連宣言」のドラフト(前文)

http://afriqclass.exblog.jp/237968762/

仮訳をしてくださった方の訳をとりあえずご紹介しておきます。
Fatalな間違いはなかったので、残りの作業としては、訳語を統一し、訳されていない部分を訳して完成させることかと思います。
何度も申し上げますが、匿名でこの作業をしてくださった方に心からの賞賛とお礼を。


============

第一条 小農と農村で働く人々の定義

1. 本宣言において、小農とは、自給のためもしくは販売のため、またはその両方のため、一人もしくは他の人々とともに、またはコミュニティとして、小規模農業生産を行なっているか、行うことを目指している人で、家族及び世帯内の労働力並びに貨幣で支払を受けない他の労働力に対して、それだけにというわけではないが、大幅に依拠し、土地に対して特別な依拠、結びつきを持った人を指す。

2. 本宣言は、伝統的または小規模な農業、畜産、牧畜、漁業、林業、狩猟、採取、農業とかかわる工芸品作り、農村地域の関連職業につくあらゆる人物に適用される。

3. 本宣言は、農地及び、移動放牧及び遊牧社会で働く先住民、土地のない人々にも適用される。

4. 本宣言は、その法的地位にかかわりなく、養殖産業の養殖場や農業関連企業のプランテーションで働く労働者、移住労働者、季節労働者にも適用される。


第二条 締約国の一般的義務

1. 締約国は、小農と農村で働く他の人々の権利を、その領域および領域外において、尊重、保護、実現しなければならない。直ちには保障できない本宣言の権利の完全実現を漸進的に達成するため、締約国は、法的、行政的および他の適切な措置を迅速に取らなければならない。

2. 高齢者や女性、青年、子ども、障害者を含め、小農と農村で働く他の人々の権利および特別な必要に関する本宣言の実施に関して、特別な注意を払わなければならない。

3. 小農と農村で働く他の人々の権利に影響を及ぼす可能性がある法律、政策、国際条約、他の意思決定の採用、実施の前に、先住民に関する特別な法律を無視することがないよう、締約国は、小農と農村で働く他の人々の自由意志に基づく、事前のインフォームド・コンセントを得るため、自らを代表する機関を通じて、誠意を持って、小農と農村で働く他の人々と協議、協力しなければならない。

4. 締約国は、人権義務に一致するやり方で、貿易、投資、金融、税制、環境保護、開発協力、安全保障分野も含め、国際協定および基準を具体化、解釈、適用しなければならない。

5. 締約国は、関連する国際協定と基準を、人権上の義務と一致するように、具体化、解釈、適用しなければならない。

6. 締約国は、本宣言の目的および目標の実現のための各国の努力を支援する国際協力の重要性を認識しつつ、この点に関して、適切な場合には、当該の国際、地域機関、市民社会、とりわけ、小農と農村ではたらく他の人々の組織と協力して、適切かつ効果的な措置をとらなければならない。そのような措置には以下のものが含まれうる。

a) 当該の国際協力は、国際開発プログラムを含め、小農と農村で働く他の人々を包摂し、利用可能で、かつこうした人々にとって役立つものにする。

b) 情報、経験、訓練プログラム、最良の実践についての情報交換と共有を含め、能力構築の促進と支援

c) 研究および、科学・技術知識へのアクセスにおいて協力を促進

d) 適切な場合には、技術・経済支援の提供、利用可能な技術へのアクセスとその共有を促進、(特に途上国に対して)技術移転を通じて

e) 極端な食料価格の変動と投機を抑制するため、世界規模で市場の運営の改善および、食料備蓄に関するものを含め、市場情報への時宜にかなったアクセスの促進

第三条 平等および差別の禁止

第四条 小農女性と農村で働く女性の権利

1. 締約国は、男女平等に基づき、小農女性と農村で働く女性が、あらゆる人権と基本的自由を十分かつ平等に享受し、農村の経済、社会、文化的開発を自由に追求し、それに参加し、そこから利益を得るように、これらの女性に対する差別を撤廃する適切な措置をすべてとらなければならない。

2. 締約国は、小農女性と農村で働く他の女性が差別を受けることなく、本宣言と、他の国際人権条約に定められた全ての人権、基本的自由を保障しなければならない。その中には以下の権利が含まれる。

a) 開発計画の作成と実施について、あらゆるレベルで意味ある参加をする権利

b) 家族計画についての情報、カウンセリング、サービスを含め、適切な医療施設にアクセスする権利

c) 社会保障制度から直接利益を得る権利

d) 機能的識字力に関する訓練、教育を含め、公式、非公式を問わず、あらゆる種類の訓練、教育を受ける権利、技術的熟練度を引き上げるため、あらゆるコミュニティサービスや農事相談事業から利益を得る権利

e) 雇用と自営活動を通じて経済機会への平等なアクセスを得るため、自助グループと協同組合を組織する権利

f) あらゆるコミュニティサービスに参加する権利

g) 農業信用取引、融資、販売施設、適切な技術にアクセスする権利、土地と天然資源にかかわる平等な権利

h) 既婚あるいは未婚であるかどうか、土地保有制度の違いにかかわらず、土地と天然資源への平等なアクセス、利用、管理を行う権利、土地と農地改革、土地再定住計画において平等または優先的に扱われる権利

i) ディーセントな雇用と、平等な報酬、手当を受け取る権利、収入創出のための活動に参加する権利

j) 暴力を受けない権利

k) 婚姻、家族関係に関して、法的にも実質的にも、平等かつ公正に扱われる権利

第五条 天然資源に対する権利と開発の権利

1. 小農と農村で働く他の人々は、適切な生活条件を享受するのに求められる、自らの居住地域に存在する天然資源にアクセスし、利用する権利を有する。小農と農村で働く他の人々は、これらの天然資源の管理に参加し、開発の利益を享受し、居住地域の保全の権利を持つ。

2. 小農と農村で働く他の人々は、開発の権利を執行する上で優先事項と方針を決定および作成する権利を有する。

3. 締約国は、小農と農村で働く人々が伝統的に保有、利用する天然資源のいかなる開発についても、以下事柄に基づいて認可されるように措置をとらなければならない。

a) 小農と農村で働く人々が個人および集団として関与し、技術的な能力を持つ独立機関が正当に行う社会環境影響評価

b) 小農と農村で働く他の人々の自由な、事前のインフォームドコンセントを得るための誠実な話し合い

c) 天然資源を開発する人々と、小農と農村で働く他の人々の間の、相互に合意した条件に基づき打ち立てられた、そのような開発の利益を共有するための手順

第六条 生命、自由、安全の権利

1. 小農と農村で働く他の人々は、生命、身体的および精神的インテグリティ〔不可侵性〕、自由、安全の権利を持つ。

2. 小農と農村で働く他の人々は、恣意的な逮捕、拘束、拷問、他の残酷かつ、非人間的または下劣な待遇や処罰にさらされてはならないし、奴隷にされたり、隷属状態に置かれてはならない。

第七条 移動の権利

第八条 思想、言論、表現の自由

第九条 結社の自由

第十条 参加の権利

第十一条 生産、販売、流通に関わる情報の権利

1. 小農と農村で働く他の人々は、自らの生産物の生産、加工、販売、流通に影響を及ぼす恐れのある要素に関する情報を含め、情報を要求し、受け取り、整備し、開示、知らせる権利がある。

2. 締約国は、小農と農村で働く他の人々が、自らの生命、土地、生計に影響を及ぼす恐れのある事柄において、意思決定への効果的参加を保証する文化的方法に合った言語、形式、手段を用い、透明かつ時宜にかなった、適切な情報にアクセスできるようにするため、適切な措置をとらなければならない。

3. 小農と農村で働く他の人々は、地元、全国、国際レベルにおいて、自らの生産物の質を評価・認証する公平かつ公正な制度を持つとともに、多国籍企業が制定する認証制度を拒否する権利がある。

第十二条 司法へのアクセス

第十三条 働く権利

1. 小農と農村で働く他の人々は、自らの生計をたてる方法を自由に選択する権利を含め、働く権利を有する。

2. 締約国は、小農と農村で働く他の人々とその家族の生計のため適切な水準の報酬を提供する、働く機会をもつ環境を構築しなければならない。農村において高い水準の貧困に直面する国において、他の部門において雇用機会がない場合、締約国は、雇用創出に寄与できるよう十分に労働集約的な食料制度を構築・促進するため、適切な措置をとらなければならない。

3. 締約国は、小農の農業と小規模漁業の特別な性格を考慮し、農村地域で労働監督官の効果的な活動を保証するため、適切な資源を配置することによって、労働法の順守を監視しなければならない。

4. いかなる人に対しても、強制、奴隷労働を求めてはならない。締約国は、小農と農村で働く他の人々、これらの人々を代表する組織と協議、協力して、女性、男性、子供の借金による束縛、漁民と漁業労働者の強制労働(季節労働者と出稼ぎ労働者を含む)、経済的搾取からのこうした人々を保護するため、適切な措置を取らなければならない。

第十四条 職場での安全および健康の権利

第十五条 食料への権利と食料主権

1. 小農と農村で働く人々は、適切な食料の権利と、飢餓を逃れる基本的な権利を有する。この中には、食料を生産する権利、最高の身体的・感情的・知的発育を享受する可能性を保証する適切な栄養を受け取る権利がある。

2. 小農と農村で働く人々は、食料主権を有する。食料主権は、社会的に公正かつ生態に配慮した方法で生産された健康によい、文化的に適切な食料に対する人々の権利である。その中には、決定参加の権利、自らの食料と農業システムを決める権利が含まれる。

3. 締約国は、小農と農村で働く人々と連携し、地元、全国、地域、国際レベルで、食料主権を促進、保護する公共政策および、他の農業、経済、社会、文化、開発政策との整合性を確保するメカニズムを作成しなければならない。

4. 締約国は、小農と農村で働く人々が、持続可能かつ公正な方法で生産・消費され、文化的に受容できる十分かつ適切な食料に対して、物理的・経済的アクセスをする権利を常に享受できるようにするとともに、将来の世代による食料へのアクセスを保障し、個人としても集団としても、彼らが物理的にも、精神的にも充実した、尊厳ある生活をおくれるようにしなければならない。

5. 締約国は、プライマリ・ヘルス・ケアの枠組みも含め、とりわけ、すぐに利用できる技術の適用、適切な栄養のある食料の提供を通じ、女性が、妊娠および授乳期間に適切な栄養を確保できるようにすることによって、農村の子供たちの栄養不良とたたかうため適切な措置をとらなければならない。また、親や子供たちをはじめ、社会の全ての構成員が十分な情報を提供され、栄養教育を受けることができ、子供の栄養と母乳育児の長所に関する基本的知識の利用において支援を受けることができるようにしなければならない。

第十六条 ディーセントな所得と暮らし、生産手段の権利

1. 小農と農村で働く人々は、自らと自らの家族のため、ディーセントな所得と暮らしを得る権利、生産用具、技術支援、融資、保険や他の金融サービスを含め、それらを実現するのに必要な生産手段を得る権利を有する。また、個人としても集団としても、農業、漁業、畜産を伝統的な方式で行い、地域社会を基盤とした市場を形成する権利を持つ。

2. 小農と農村で働く人々は、ディーセントな所得と暮らしを保証する価格で、地元、全国、地域の市場で生産物を販売するのに必要な運輸、加工、乾燥の手段や貯蔵施設を用いる権利を持つ。

3. 締約国は、小農と農村で働く他の人々とその家族が適切な生活水準を達成できる価格で自らの生産物を販売するため、十分かつ公平な市場へのアクセスと参加を促進・保障する方法で、地元、全国、地域市場を強化・支援する適切な措置をとらなければならない。価格は、小農と農村で働く他の人々、その組織が参加する公平かつ透明な手続きを通じて設定されなければならない。

4. 締約国は、自らの農村開発、農業、環境、貿易、投資政策とプログラムが、地元で生計をたてる選択肢の増加、環境持続可能な農業生産様式への移行に効果的に寄与できるようにするためあらゆる措置をとらなければならない。締約国は、可能な場合は常に、アグロエコロジー生産、有機生産、持続可能な生産および、農家から消費者への産直販売を促進しなければならない。

5. 締約国は、自然災害や、市場破綻など他の重大な混乱に対する小農の復元力を強化するため適切な措置をとらなければならない。

第十七条 土地と他の天然資源に対する権利

1. 小農と農村に住む他の人々は、個人としても、集団としても、適切な生活水準を実現し、安全、平和かつ尊厳を持って暮らす場所を確保し、自らの文化を育成するのに必要な土地、水域、沿岸海域、漁場、牧草地、森林を保有する権利がある。

2. 締約国は、婚姻関係の変更、法的能力の欠如、経済的資源へのアクセスの欠如がもたらすものを含め、土地所有権に関するあらゆる差別を撤廃・禁止しなければならない。特に、これらの権利を相続または遺贈する権利を含め、男女に対して平等に土地保有権を保障しなければならない。

3. 締約国は、現在法律で保護されていない、慣習的土地保有権を含め、土地保有権を法的に認知しなければならない。借地権を含め、あらゆる形の保有権はすべての人に対して、強制立ち退きに対する法的保護を保証するものでなければならない。自然の共有地及び、それと結びついた共同利用・管理制度を認知、保護しなければならない。

4. 小農と農村地帯で働く他の人々は、土地や常居所からの恣意的な立ち退きに対して保護される権利、または、活動に使用し、適切な生活水準を享受するのに必要な天然資源を恣意的に剥奪されない権利がある。締約国は、国際人権・人道法の基準に従って、立ち退きや剥奪に対する保護を、国際人権、人道法に則った国内法に盛り込まなければならない。締約国は、罰則措置や戦争の手段としてのものも含め、強制退去、住宅の解体、農地の破壊、土地と天然資源の恣意的没収と収用を禁止しなければならない。

5. 小農と農村で働く他の人々は、個人としても集団としても、恣意的または違法に奪われた土地に帰還する権利、自らの活動で用いられ、適切な生活水準の享受に必要な天然資源へのアクセスを回復する権利、帰還が不可能な場合には、公正・公平な補償を受ける権利を持つ。締約国は、自然災害または武力紛争、あるいはその両方によって土地を追われた人々に対して、土地やその他の天然資源へのアクセスを回復しなければならない。

6. 締約国は、(特に、青年と土地のない人々に対して)活動で用いるとともに適切な生活水準の享受に必要な土地と他の天然資源への広範かつ公平なアクセスと、包摂的な農村開発を促進するため、再分配のための農地改革を実施しなければならない。再分配改革は、土地、漁場、森林への男女の平等なアクセスを保証し、土地の過剰な集中と支配の社会的機能を考慮し、それを制限しなければならない。公有の土地、漁場、森林の分配の際には、小農、小規模漁民、他の農村労働者を優先しなければならない。

7. 締約国は、アグロエコロジーを含め、生産に用いられ、適切な生活水準の享受に必要な土地および他の天然資源の保全と持続可能な利用のための措置をとるとともに、バイオキャパシティ〔環境収容力〕や他の自然の収容力およびサイクルの再生のための条件を保障しなければならない。

第十八条 安全かつ汚染されていない健康に良い環境への権利

1. 小農と農村で働く他の人々は、安全かつ汚染されていない、健康によい環境への権利を有する。

2. 小農と農村で働く他の人々は、環境および土地または領域、資源の生産力を保全、保護の権利を有する。締約国は、この権利を保護し、差別することなく、小農と農村で働く他の人々のため、その権利の完全な実現のため適切な措置をとらなければならない。

3. 締約国は、気候変動とたたかう国際的義務を順守しなければならない。小農と農村で働く他の人々は、実践や伝統的知識を用いることなども含め、国および地元の気候変動適用・緩和政策の作成と実施に加わる権利を有する。

4. 締約国は、自由意志に基づく、事前のインフォームドコンセントなしで、小農と農村で働く他の人々の土地または領域に、有害物質を貯蔵または廃棄されることがないよう効果的な措置をとるとともに、国境を超える環境破壊がもたらす、権利享受への脅威に対して協力して対処しなければならない。

5. 締約国は、小農と農村で働く他の人々の権利の保護に直接、間接に寄与する環境法を実施することなどによって、非国家主体による有害な措置〔abuses〕からこれらの人々を保護しなければならない。


第十九条 種子の権利

1. 小農と農村で働く他の人々は種子に対する権利を持ち、その中には以下の内容が含まれる。

a) 食料と農業のための植物遺伝資源にかかわる伝統的知識を保護する権利

b) 食料と農業のための植物遺伝資源の利用から生じる利益の受け取りに公平に参加する権利

c) 食料と農業のための植物遺伝資源の保護と持続可能な利用にかかわる事柄について、決定に参加する権利

d) 自家採種の種苗を保存、利用、交換、販売する権利

2. 小農と農村で働く他の人々は、自らの種子と伝統的知識を維持、管理、保護、育成する権利を持つ。

3. 締約国は、種子の権利を尊重、保護、実施し、国内法において認めなければならない。

4. 締約国は、十分な質と量の種子が、播種を行う上で最も適切な時期に、手頃な価格で小農が利用できるようにしなければならない。

5. 締約国は、小農が自らの種子、または、自らが選択した地元で入手できる他の種子を利用するとともに、栽培を望む作物と種について決定する権利を認めなければならない。

6. 締約国は、小農の種子制度を支持し、小農の種子と農業生物多様性を促進しなければならない。

7. 締約国は、農業研究開発が、小農と農村で働く他の人々の必要に対して向けられるようにしなければならない。締約国は、小農と農村で働く他の人々が、研究開発の優先事項やその開始の決定に積極的に参加し、彼らの経験が考慮され、彼らの必要に応じ孤児作物や種子の研究開発への投資を増やすようにしなければならない。

8. 締約国は、種子政策、植物品種保護、他の知的財産法、認証制度、種子販売法が、小農の権利、特に、種子の権利を尊重し、小農の必要と現実を考慮するようにしなければならない。

第二十条 生物多様性の権利

1. 小農と農村で働く他の人々は、個人および集団として、生物多様性と、農業、漁業、畜産を含む関連知識を保全、維持、持続可能な方法で利用、発展させる権利を持つ。また、小農と農村で働く他の人々の生存と農業生物多様性の更新が依拠する伝統的農業、遊牧、アグロエコロジー制度を維持する権利を持つ。

2. 小農と農村で働く他の人々は、生物多様性の保全と持続可能な利用にかかわる自らと結びついた知識、イノベーション、慣行を保護する権利を持つ。

3. 締約国は、生物多様性と遺伝資源の枯渇を防ぎ、それらの保全と持続可能な利用を保障し、小農と農村で働く他の人々の関連する伝統的知識の保護と促進、これらの資源の利用から生じる利益の受け取りへの公平な参加のため、当該の国際協定の義務に則った適切な措置をとらなければならない。

4. 締約国は、遺伝子組み換え生物の開発、取引、輸送、利用、移動、リリースから生じる小農と農村で働く他の人々の権利侵害のリスクを制御、防止、削減しなければならない。

第二十一条 水と衛生の権利

1. 小農と農村で働く他の人々は、生命の権利とすべての人権の完全な享受のために不可欠な、安全で清潔な飲み水と衛生の権利を持つ。また、良質で、手頃な価格で、物理的にアクセス可能で、非差別的で、文化的およびジェンダー条件上も受け入れ可能な水供給制度と処理施設の権利を持つ。

2. 小農と農村で働く他の人々は、農業、漁業、畜産に求められる水の権利および他の水にかかわる生活を確保する権利がある。小農と農村で働く他の人々は、水と水管理制度に公平にアクセスする権利を持ち、水供給を恣意的に絶たれたり、汚染されたりしない権利を有している。

3. 締約国は、慣習的な地元社会に基づく水管理制度におけるものも含め、公平な条件で、水へのアクセスを尊重、保護、確保するとともに、特に遊牧民、プランテーション労働者、季節労働者(法的地位にかかわりなく)、非正規、非公式に移住し暮らしている人々など経済的に不利な立場に置かれたり、脇に追いやられた人々に対してなど、個人、国内、生産的利用のため手頃な価格の水と、処理施設の改善を保障しなければならない。

4. 締約国は、湿地帯、池、湖、川、小川などの天然水資源、流域、帯水層、地表水源を、過度の使用や、すぐにあるいは時間をかけて汚染をもたらす工場排水やミネラルおよび化学物質の集積など、有害物質による汚染から保護し、それらの再生を保障しなければならない。

5. 締約国は、第三国が、小農と農村で働く他の人々が水の権利を享受することを損なうのを防止しなければならない。締約国は、人間の必要、小規模食料生産、生態系の必要、文化的使用を水利用の優先事項としなければならない。


第二十二条 社会保障の権利

1. 小農と農村で働く他の人々は、社会保険を含む、社会保障の権利を持つ。また、当該の国際および国内労働法に基づき制定された全ての社会保障権を十分に享受する権利を有する。

2. 農村の出稼ぎ労働者は、法的地位にかかわりなく、社会保障に関して平等な待遇を受けなければならない。

3. 締約国は、社会保険を含め、小農と農村で働く他の人々の社会保障の権利を認め、国内の状況に則って、基本的社会保障制度の保証からなる社会的保護の土台を構築・維持しなければならない。この基本的社会保障制度を通じて、生涯にわたって、必要なすべての人が、基本的な医療、所得保障(これらは合わさって、国内において必要と定められる物品とサービスを効果的に利用できるようにする)を受けることを最低限保証しなければならない。

4. 基本的社会保障制度の保証は、法律で定めなければならない。公平、透明、効果的かつ金銭的に利用可能な苦情処理および不服申し立て手続きが明記されなければならない。国内の法的枠組みにより適合したものにするための制度を導入しなければならない。

第二十三条 健康の権利

第二十四条 適切な住宅の権利

第二十五条 教育と訓練の権利

第二十六条 文化的権利と伝統的知識

第二十七条 国際連合と他の国際機関の責任

1. 国際連合、国際および地域金融機関を含む、他の政府間組織の専門機関、基金、プログラムが、とりわけ開発支援および協力の実施を通じて、本宣言条項の完全な実施に寄与しなければならない。小農と農村で働く他の人々が、自らに影響を及ぼす事柄について参加を保証する財源を確保しなければならない。

2. 国際連合、専門機関、基金、プログラム、国際および地域金融機関を含む他の政府間組織は、本宣言の条項の尊重と、その完全な適用を促さなければならない。



by africa_class | 2017-12-06 03:32 | 【国連】小農の権利宣言