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双葉町長「私共は棄民」に改めて思う:「権力は人びとを容易に裏切る」、だから私たちはどうすべきかを。

20年以上前、スラムの住民のエンパワーメントを学ぶためにブラジル
に留学した私でしたが、色々な出会いや出来事があり、結局、第二次
世界大戦期のブラジルの日本人・日系移民の研究をし、それを卒論
に書き、アメリカの大学の先生と本にまとめました。
The Japanese in Latin America(Illinois University Press)
(しかし、本当に未熟な部分が多々で・・・)
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 広島原爆投下の日に生まれた私は、幼い頃から戦争と政府、一般の
人びとの関係を考えて生きてきました。予期せぬことで、当時はあまり
興味がなかった日系移民の歴史を学ぶことになったわけですが、ブラ
ジルでの人びとへのインタビュー、国会図書館での史料と向き合う日
々の中で、国家・政府というものが、人びとの命(安全・安心)を、「全
体のため」「政策のため」といって踏みにじることがいかに容易であり、
しかしその失敗や犠牲を引き受けるのは人びとである・・・ことに、そう
は思っていたものの、改めて強い憤りを覚えたものでした。
 おそらく、「権力(特に国家権力)は人びとを裏切る」という命題を、そ
の時に強く感じて、現在に至ったのだと思います。それでも、民主主義
的制度が確立(?)されているという戦後の日本で暮らし、ある程度、
「平和ボケ」状況の中にいると、その切迫感は、むしろアフリカにこそあ
ると思い、ブラジルを後にしてから以来はアフリカにずっと関わってき
ました。アフリカの場合、国家権力だけでなく、国家を超えた権力もま
た、人びとを裏切り続けてきたわけですから(貧困や飢餓、戦争の真
因を考えると)。もちろん、日本も米国との関係についていうならば、日
本国家・政府だけで観ていてはまずいわけですが。
 しかし、21世紀に入り、政権交代も実現し、日本も民主主義らしい
国になりつつあるのかな・・・などと早合点した矢先がこの震災・原発
事故でした。
 皆さんは、私のようなアフリカ研究者がこの問題にこれほどコミット
するのを不思議に思われているかもしれません。しかし、20歳でブ
ラジルに行って以来、私の中に芽生えた「権力は人びとを踏みにじ
る」、「だから人びとはどうすべきか?」という問い、そしてそれに対応
するための三つの実践(研究と教育、市民活動)を踏まえて考えるに、
(1)2011年3月11日までに我々の知らなかったこと、
(2)同日以来起こっていること、
は、第二次世界大戦時に国家権力者とその周辺が日本と世界の人
びとに対してやっていたこと・・・と構造・メカニズムの点で、そして何
より人びとの権利を守らないどころか踏みにじり続けている点で非常
に似ていると感じるのです。
 先日、90才の瀬戸内寂聴さんがハンスト参加され次のようにおっ
しゃています。戦中世代のこの言葉は胸に沁みました。
■怒りあらわ「何を考えているのか」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120502-00000095-spnannex-ent 
「90年生きてきて今ほど悪い日本はありません。このままの日本を若者に渡せない」

 福島乳幼児妊産婦ニーズ対応プロジェクトFnnnPという団体を
去年4月に立ち上げて、新潟・栃木・群馬・茨城・首都圏に拠点を置
き、福島・千葉・山形に協力者を置いて、福島内外の300世帯近くの
ニーズ対応を行ってきました。
http://fukushimaneeds.blog50.fc2.com/
 これは、国家が自分たちに都合の悪いこれらの人びとの権利を
認めるのではなく、むしろ「安全」を繰り返すことで逆に踏みにじり
子どもたちを危険に晒し続けている中、国家を批判するだけでは
子どもの命は救えない、手弁当でもやれることをやろうという決意
でやってきたことです。緊急事態は継続しているものの、私達だけ
でなく、多くの市民が立ち上がり、当事者(福島や周辺地域のご家
族)も立ち上がりつつあるので、国家・政府に権利を認めるように
活動をシフトさせていっているところです。
 この活動の中で、そして日々の分析から、「国家によって人びと
が裏切られる」ということを実感し、再確認するようになりました。安
全神話が崩れ、あれほどまでの犠牲を出してなお、誰も責任を取
らず、以前の構造を変えることなく、元の通りの道を行こうとしてい
る・・つまり、以前よりもっとたちが悪いのです。そんな状態のまま
放置すると、私たちはもっとずっと悪い国、社会の中で生きること
になり、それを転換することはより難しい事態に追い込まれるで
しょう。
 東電・福島第一原発の立地自治体でもあった双葉郡双葉町の
井戸川町長の「棄民」という言葉は、20年前に私が移民の皆さん
をインタビューした際に繰り返し耳にした言葉でした。そして、日本
が戦争に向かっていくプロセスの中で、世界に散らばる移民をど
うしよう・・・という点について、彼らは国策で送り出されたにもかか
わらず、まったく考慮がなかったことを分析結果として手にしたあ
の失望感と怒りを、思い出したのでした。
 人間は、私も含め、愚かです。私たちが唯一やれるのは、過去
から、特に失敗から学ぶことです。でも、今回はっきりしたのは、
それすらできない人たちに、それを否定する人たちに、この国・
社会は牛耳られているということです。
 今、脱原発を口にする人たちは、「自分たちの責任」を口にしま
す。原発立地自治体が作る「全国原子力発電所所在地市町村協
議会(全元協)の総会で、東海村長(同協議会副会長)が、辞任を
表明し、次のように語っています。
 「全元協が福島第一事故を防げなかったことに責任を感じる」と。
 多くのデモに参加する人たちが、スピーチで、これまでこの問題
を考えてこなかった責任、行動してこなかった責任、故に事故を防
げなかった責任、子ばくを被曝させてしまった責任を口にしていま
す。しかし、この事故を起こしてしまった政策・構造・利権者らは、
その責任を口にしない、しても取らない状態のまま1年が経過して
います。それが、恐ろしいのです。目の前で被害が生じていて、な
お反省がないということですから。
 私は、社会で起きていること、その背景にある構造の矛盾が集
積し、それがはっきりする場が、人びとの側にあると考えてきまし
た。つまり、権力や従来社会が語ってきた「大きなストーリー」の
問題は、「人びとの声」に現れてくると考え、その両方を検証対象
として研究を行ってきました。だから、うるさくなるのを承知で、皆
さんに「人びとの声」を連続でツイートしています。
 勿論、「人びとの声」は多様です。その多様性を重視しつつも、
「今権力にやられている人」、「その声が権力に聴こえない、聴こ
えてても無視される人」、「声自体を発せない人」の声にこそ力点
を置いています。つまり、福島や周辺地域の皆さん、お母さんた
ち、子どもたちです。
 私たちは、今岐路に立っています。
 私たちの社会、国、世界、未来を、どのようなものにしたいのか、
(「どのようなものにしたくないのか」を含みつつ)、その問いこそ、
重要なことだと思います。
 以下、双葉町井戸川町長の声を掲載します。テレ朝のノーカット
スピーチを元に速記して、ツイッターに掲載したものです。一部、
ツイッターの文字制限のためはしょっている部分がありますので
是非、各自でテレ朝HPにいって生の声を聴いてください。
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前半:http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220511044.html
後半:http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220511045.html
原発がある全国の市町村長と担当大臣が顔を合わせる年に一度の総会で、枝野経産大臣や細野原発担当大臣は冒頭のあいさつだけで早々に退席してしまいました。これに反発した福島県双葉町の井戸川町長は、大臣席側に背を向けて窮状を訴えました。抗議のスピーチ、ノーカットです。
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■以下、私の速記。大臣席に背を向けられて以降のスピーチです。
井戸川克隆・双葉町町長
 もう大臣は帰ってしまった。事故発生から今まで、「有難い。責任とってくれた」と感じたことは一度もない。我々は損した分の賠償を求めているが、これすら遅々として進まない。東電や政府は責任を取っていない。我々は「棄民」。野田総理は大事な国民といったが、そう思えない。
 未だ「災害救助法」の枠の中で避難生活を強いられている。除染作業は住民の責任でやれと文言は替えられた。出てきた汚染物質の責任者はいないことにされている。しかも除染の効果は出ておらず、また校庭の放射線量が高まっている。子どもたちがそんな中毎日被曝しながら通っている。
 法律には管理区域内で飲食をしてはいけない。十時間以上滞在してはいけない。1ミリシーベルトは限界。なのに多くの県民はその中で暮らしている。多くの子どもたちは納得する術も、避難する術もない。避難する権利は憲法の基本的人権からいってもあるはずが、これも無視されたまま。
 国に要求をしても口で何といっても実際は何の対応もない。その挙句私共の所に中間貯蔵施設を設けろといっている。新たな迷惑施設を置けと。放射能が濃くて住めない、完璧に元に戻してほしい。こんな中で原子力政策なんてあっていいのか。
 絶対安全だと表だけを見せられてきた。しかし私達は裏を見た。その対応は惨憺たるもの。(原発立地自治体に)ご理解いただきたい。本当に安全・安心を求めること、廃炉、燃料の行方(これも大きな問題)。今皆さん(原発立地自治体)を代表して我々が最悪の状態で生きていることを。
 私共が苦しい想いをして毎日を暮せばそれでいいのか?私たちに(立地の)責任があるから?今福島県内で双葉はあれほど良い想いをしたんだから、放射能持って帰れといわれる。原発立地(自治体)だけがいい想いしたからといわれるんです。皆さん、一日も早く元に戻れるよう、なにとぞご協力ください。
by africa_class | 2012-05-13 11:19 | 【311】原発事故と問題