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完訳!国連「小農と農村で働く人びとの権利に関する宣言」(案)。日本と世界の「食と農の危機と希望」。

ビオトープではついにカエルが大合唱。待ちに待った春です!
つい先週まで毎日零下だったのでウソのようですが、春は突然やってくる。
そして待ってくれない・・・ので、すごく忙しいです。
剪定が間に合わないままに、また春がきてしまったので。

それはさておき、長きにわたった国連「小農と農村で働く人びとの権利に関する宣言」の全27条の訳が完成しました。あまりに忙しくなり私が完訳できなかったので、国際NGO・GRAINの協力を得て、翻訳家の方と二人三脚で終らせました。

全部はあまりに長いので(14頁!)、PDFを以下のサイトからダウンロード下さい。
https://www.farmlandgrab.org/post/view/27954-un-declaration-draft-on-the-rights-of-peasants

ただし、現在は以下の国連総会提出の原文に基づいていますので、その後修正がされていっています。修正され次第訳も改変していきますが、とりあえずはこのようなものが国連人権理事会で議論され、総会に提出されたということで。

原文 A/HRC/WG.15/4/2(国連総会提出):
https://documents-dds-ny.un.org/doc/UNDOC/GEN/G17/051/60/PDF/G1705160.pdf?OpenElement

なお、日本ではまだ十分に理解されていない「食の主権」「アグロエコロジー」「種子の権利」などの概念がしっかりと条項に反映されています。国連人権理事会、次に国連総会で採択されると、日本にも大きな影響がある条約となります。日本の農家の圧倒的多数が「小農」です。

日本でこの宣言文がまったく話題になっていないことを前回ご紹介しましたが、種子法が廃案になるなど、日本の食と農も危機に直面。この食と農のプライベチゼーション(私有化・民営化)は90年代以来、とくに2000年から加速的に強度を増しながら、南の国々(アジア、アフリカ、ラテンアメリカ)を襲ってきましたが、現政権下でついに日本にも「黒船到来」です。

この権利宣言は、そのような私物化によって自らの土地・たね・声が奪われた小農や土地なしの人びとが力を結集して、国連での議論に持ち込んだものです。

ぜひ多くの方に関心をもってもらえれば。

*****

〔宣言の構成〕

前文

第一条 小農と農村で働く人びとの定義

第二条 締約国の一般的義務

第三条 平等および差別の禁止

第四条 小農女性と農村で働く女性の権利

第五条 天然資源に対する権利と開発の権利

第六条 生命、自由、安全の権利

第七条 移動の自由

第八条 思想、言論、表現の自由

第九条 結社の自由

第十条 参加の権利

第十一条 生産、販売、流通に関わる情報の権利

第十二条 司法へのアクセス

第十三条 働く権利

第十四条 職場での安全および健康の権利

第十五条 食への権利と食の主権

第十六条 ディーセントな(十分な・まともな)所得と暮らし、生産手段の権利

第十七条 土地と他の天然資源に対する権利

第十八条 安全かつ汚染されていない健康に良い環境への権利

第十九条 種子の権利

第二十条 生物多様性の権利

第二十一条 水と衛生の権利

第二十二条 社会保障の権利

第二十三条 健康の権利

第二十四条 適切な住居の権利

第二十五条 教育と研修の権利

第二十六条 文化的権利と伝統的知識

第二十七条 国連と他の国際機関の責任


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by africa_class | 2018-03-12 22:43 | 【国連】小農の権利宣言

今日の参議院農林水産委員会で農水官僚が知らなかった「小農の権利に関する国連宣言」の残りの仮訳

印鑰智哉さんのご連絡で、本日の参議院農林水産委員会で、現在ドラフト中の「小農と農村労働者の権利に関する国連宣言」の話題が出たが、農水省の官僚は誰一人、この宣言について知らなかった・・・との驚愕の事実が発覚しました。

詳細は、
印鑰さんのフェイスブックをご覧下さい。
https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/2294271450599672

「川田議員は国連で進められている小農民および農村住民の権利宣言について農水省は知っているかを尋ねると、一人も手を上げない。さらに今年5月に外務省が宣言の反対の答弁を行ったことの問題を指摘した。日本の国会で議論もないまま、外務省が暴走して宣言成立に反対していたことを農水省は知っていたのかと川田議員が質問すると、農水省側はフリーズ、速記が止められる事態に。最終的に農水大臣が今後精査して対応すると述べたに留まった。」

速記が止まる!・・・ほどに知られていないというこの国連宣言。日本の農家の大半が「小規模農家」であることを考えれば、あり得んといいたいことですが、より驚きは、国連人権理事会の日本代表が、日本国を代表して話したことすら、農水省が知らないという現実。

良く考えてみてください。
「小農と農村で働く人びとの権利」は、何も日本以外の国、とりわけ南の国々を対象としているわけではありません。世界中の国連加盟国の小農と人びとを対象としているのです。

その意味で、所管は外務省だけでなく、農水省。なのに知らないという・・・・。
農水省の皆さんも、もう少し勉強しましょう・・・ということ以上に、外務省、どうしてこんな重要なことを農水省に相談せずに批判的な言動や棄権票を投じるんでしょうか。

これについては、過去投稿を。

国連人権理事会での日本政府スピーチを読み解く:「小農の権利に関する国連宣言」

http://afriqclass.exblog.jp/237966234/

こんな状態なので、私の試訳ものんびりやっている場合じゃないんですが、今、本の原稿と校正が2つ佳境を迎えており、かつあらゆる申請書に負われており、ちょっと終らせられない感じです。とりあえず、前文の訳はこちら。

試訳:「小農と農村で働く人々の権利に関する国連宣言」のドラフト(前文)

http://afriqclass.exblog.jp/237968762/

仮訳をしてくださった方の訳をとりあえずご紹介しておきます。
Fatalな間違いはなかったので、残りの作業としては、訳語を統一し、訳されていない部分を訳して完成させることかと思います。
何度も申し上げますが、匿名でこの作業をしてくださった方に心からの賞賛とお礼を。


============

第一条 小農と農村で働く人々の定義

1. 本宣言において、小農とは、自給のためもしくは販売のため、またはその両方のため、一人もしくは他の人々とともに、またはコミュニティとして、小規模農業生産を行なっているか、行うことを目指している人で、家族及び世帯内の労働力並びに貨幣で支払を受けない他の労働力に対して、それだけにというわけではないが、大幅に依拠し、土地に対して特別な依拠、結びつきを持った人を指す。

2. 本宣言は、伝統的または小規模な農業、畜産、牧畜、漁業、林業、狩猟、採取、農業とかかわる工芸品作り、農村地域の関連職業につくあらゆる人物に適用される。

3. 本宣言は、農地及び、移動放牧及び遊牧社会で働く先住民、土地のない人々にも適用される。

4. 本宣言は、その法的地位にかかわりなく、養殖産業の養殖場や農業関連企業のプランテーションで働く労働者、移住労働者、季節労働者にも適用される。


第二条 締約国の一般的義務

1. 締約国は、小農と農村で働く他の人々の権利を、その領域および領域外において、尊重、保護、実現しなければならない。直ちには保障できない本宣言の権利の完全実現を漸進的に達成するため、締約国は、法的、行政的および他の適切な措置を迅速に取らなければならない。

2. 高齢者や女性、青年、子ども、障害者を含め、小農と農村で働く他の人々の権利および特別な必要に関する本宣言の実施に関して、特別な注意を払わなければならない。

3. 小農と農村で働く他の人々の権利に影響を及ぼす可能性がある法律、政策、国際条約、他の意思決定の採用、実施の前に、先住民に関する特別な法律を無視することがないよう、締約国は、小農と農村で働く他の人々の自由意志に基づく、事前のインフォームド・コンセントを得るため、自らを代表する機関を通じて、誠意を持って、小農と農村で働く他の人々と協議、協力しなければならない。

4. 締約国は、人権義務に一致するやり方で、貿易、投資、金融、税制、環境保護、開発協力、安全保障分野も含め、国際協定および基準を具体化、解釈、適用しなければならない。

5. 締約国は、関連する国際協定と基準を、人権上の義務と一致するように、具体化、解釈、適用しなければならない。

6. 締約国は、本宣言の目的および目標の実現のための各国の努力を支援する国際協力の重要性を認識しつつ、この点に関して、適切な場合には、当該の国際、地域機関、市民社会、とりわけ、小農と農村ではたらく他の人々の組織と協力して、適切かつ効果的な措置をとらなければならない。そのような措置には以下のものが含まれうる。

a) 当該の国際協力は、国際開発プログラムを含め、小農と農村で働く他の人々を包摂し、利用可能で、かつこうした人々にとって役立つものにする。

b) 情報、経験、訓練プログラム、最良の実践についての情報交換と共有を含め、能力構築の促進と支援

c) 研究および、科学・技術知識へのアクセスにおいて協力を促進

d) 適切な場合には、技術・経済支援の提供、利用可能な技術へのアクセスとその共有を促進、(特に途上国に対して)技術移転を通じて

e) 極端な食料価格の変動と投機を抑制するため、世界規模で市場の運営の改善および、食料備蓄に関するものを含め、市場情報への時宜にかなったアクセスの促進

第三条 平等および差別の禁止

第四条 小農女性と農村で働く女性の権利

1. 締約国は、男女平等に基づき、小農女性と農村で働く女性が、あらゆる人権と基本的自由を十分かつ平等に享受し、農村の経済、社会、文化的開発を自由に追求し、それに参加し、そこから利益を得るように、これらの女性に対する差別を撤廃する適切な措置をすべてとらなければならない。

2. 締約国は、小農女性と農村で働く他の女性が差別を受けることなく、本宣言と、他の国際人権条約に定められた全ての人権、基本的自由を保障しなければならない。その中には以下の権利が含まれる。

a) 開発計画の作成と実施について、あらゆるレベルで意味ある参加をする権利

b) 家族計画についての情報、カウンセリング、サービスを含め、適切な医療施設にアクセスする権利

c) 社会保障制度から直接利益を得る権利

d) 機能的識字力に関する訓練、教育を含め、公式、非公式を問わず、あらゆる種類の訓練、教育を受ける権利、技術的熟練度を引き上げるため、あらゆるコミュニティサービスや農事相談事業から利益を得る権利

e) 雇用と自営活動を通じて経済機会への平等なアクセスを得るため、自助グループと協同組合を組織する権利

f) あらゆるコミュニティサービスに参加する権利

g) 農業信用取引、融資、販売施設、適切な技術にアクセスする権利、土地と天然資源にかかわる平等な権利

h) 既婚あるいは未婚であるかどうか、土地保有制度の違いにかかわらず、土地と天然資源への平等なアクセス、利用、管理を行う権利、土地と農地改革、土地再定住計画において平等または優先的に扱われる権利

i) ディーセントな雇用と、平等な報酬、手当を受け取る権利、収入創出のための活動に参加する権利

j) 暴力を受けない権利

k) 婚姻、家族関係に関して、法的にも実質的にも、平等かつ公正に扱われる権利

第五条 天然資源に対する権利と開発の権利

1. 小農と農村で働く他の人々は、適切な生活条件を享受するのに求められる、自らの居住地域に存在する天然資源にアクセスし、利用する権利を有する。小農と農村で働く他の人々は、これらの天然資源の管理に参加し、開発の利益を享受し、居住地域の保全の権利を持つ。

2. 小農と農村で働く他の人々は、開発の権利を執行する上で優先事項と方針を決定および作成する権利を有する。

3. 締約国は、小農と農村で働く人々が伝統的に保有、利用する天然資源のいかなる開発についても、以下事柄に基づいて認可されるように措置をとらなければならない。

a) 小農と農村で働く人々が個人および集団として関与し、技術的な能力を持つ独立機関が正当に行う社会環境影響評価

b) 小農と農村で働く他の人々の自由な、事前のインフォームドコンセントを得るための誠実な話し合い

c) 天然資源を開発する人々と、小農と農村で働く他の人々の間の、相互に合意した条件に基づき打ち立てられた、そのような開発の利益を共有するための手順

第六条 生命、自由、安全の権利

1. 小農と農村で働く他の人々は、生命、身体的および精神的インテグリティ〔不可侵性〕、自由、安全の権利を持つ。

2. 小農と農村で働く他の人々は、恣意的な逮捕、拘束、拷問、他の残酷かつ、非人間的または下劣な待遇や処罰にさらされてはならないし、奴隷にされたり、隷属状態に置かれてはならない。

第七条 移動の権利

第八条 思想、言論、表現の自由

第九条 結社の自由

第十条 参加の権利

第十一条 生産、販売、流通に関わる情報の権利

1. 小農と農村で働く他の人々は、自らの生産物の生産、加工、販売、流通に影響を及ぼす恐れのある要素に関する情報を含め、情報を要求し、受け取り、整備し、開示、知らせる権利がある。

2. 締約国は、小農と農村で働く他の人々が、自らの生命、土地、生計に影響を及ぼす恐れのある事柄において、意思決定への効果的参加を保証する文化的方法に合った言語、形式、手段を用い、透明かつ時宜にかなった、適切な情報にアクセスできるようにするため、適切な措置をとらなければならない。

3. 小農と農村で働く他の人々は、地元、全国、国際レベルにおいて、自らの生産物の質を評価・認証する公平かつ公正な制度を持つとともに、多国籍企業が制定する認証制度を拒否する権利がある。

第十二条 司法へのアクセス

第十三条 働く権利

1. 小農と農村で働く他の人々は、自らの生計をたてる方法を自由に選択する権利を含め、働く権利を有する。

2. 締約国は、小農と農村で働く他の人々とその家族の生計のため適切な水準の報酬を提供する、働く機会をもつ環境を構築しなければならない。農村において高い水準の貧困に直面する国において、他の部門において雇用機会がない場合、締約国は、雇用創出に寄与できるよう十分に労働集約的な食料制度を構築・促進するため、適切な措置をとらなければならない。

3. 締約国は、小農の農業と小規模漁業の特別な性格を考慮し、農村地域で労働監督官の効果的な活動を保証するため、適切な資源を配置することによって、労働法の順守を監視しなければならない。

4. いかなる人に対しても、強制、奴隷労働を求めてはならない。締約国は、小農と農村で働く他の人々、これらの人々を代表する組織と協議、協力して、女性、男性、子供の借金による束縛、漁民と漁業労働者の強制労働(季節労働者と出稼ぎ労働者を含む)、経済的搾取からのこうした人々を保護するため、適切な措置を取らなければならない。

第十四条 職場での安全および健康の権利

第十五条 食料への権利と食料主権

1. 小農と農村で働く人々は、適切な食料の権利と、飢餓を逃れる基本的な権利を有する。この中には、食料を生産する権利、最高の身体的・感情的・知的発育を享受する可能性を保証する適切な栄養を受け取る権利がある。

2. 小農と農村で働く人々は、食料主権を有する。食料主権は、社会的に公正かつ生態に配慮した方法で生産された健康によい、文化的に適切な食料に対する人々の権利である。その中には、決定参加の権利、自らの食料と農業システムを決める権利が含まれる。

3. 締約国は、小農と農村で働く人々と連携し、地元、全国、地域、国際レベルで、食料主権を促進、保護する公共政策および、他の農業、経済、社会、文化、開発政策との整合性を確保するメカニズムを作成しなければならない。

4. 締約国は、小農と農村で働く人々が、持続可能かつ公正な方法で生産・消費され、文化的に受容できる十分かつ適切な食料に対して、物理的・経済的アクセスをする権利を常に享受できるようにするとともに、将来の世代による食料へのアクセスを保障し、個人としても集団としても、彼らが物理的にも、精神的にも充実した、尊厳ある生活をおくれるようにしなければならない。

5. 締約国は、プライマリ・ヘルス・ケアの枠組みも含め、とりわけ、すぐに利用できる技術の適用、適切な栄養のある食料の提供を通じ、女性が、妊娠および授乳期間に適切な栄養を確保できるようにすることによって、農村の子供たちの栄養不良とたたかうため適切な措置をとらなければならない。また、親や子供たちをはじめ、社会の全ての構成員が十分な情報を提供され、栄養教育を受けることができ、子供の栄養と母乳育児の長所に関する基本的知識の利用において支援を受けることができるようにしなければならない。

第十六条 ディーセントな所得と暮らし、生産手段の権利

1. 小農と農村で働く人々は、自らと自らの家族のため、ディーセントな所得と暮らしを得る権利、生産用具、技術支援、融資、保険や他の金融サービスを含め、それらを実現するのに必要な生産手段を得る権利を有する。また、個人としても集団としても、農業、漁業、畜産を伝統的な方式で行い、地域社会を基盤とした市場を形成する権利を持つ。

2. 小農と農村で働く人々は、ディーセントな所得と暮らしを保証する価格で、地元、全国、地域の市場で生産物を販売するのに必要な運輸、加工、乾燥の手段や貯蔵施設を用いる権利を持つ。

3. 締約国は、小農と農村で働く他の人々とその家族が適切な生活水準を達成できる価格で自らの生産物を販売するため、十分かつ公平な市場へのアクセスと参加を促進・保障する方法で、地元、全国、地域市場を強化・支援する適切な措置をとらなければならない。価格は、小農と農村で働く他の人々、その組織が参加する公平かつ透明な手続きを通じて設定されなければならない。

4. 締約国は、自らの農村開発、農業、環境、貿易、投資政策とプログラムが、地元で生計をたてる選択肢の増加、環境持続可能な農業生産様式への移行に効果的に寄与できるようにするためあらゆる措置をとらなければならない。締約国は、可能な場合は常に、アグロエコロジー生産、有機生産、持続可能な生産および、農家から消費者への産直販売を促進しなければならない。

5. 締約国は、自然災害や、市場破綻など他の重大な混乱に対する小農の復元力を強化するため適切な措置をとらなければならない。

第十七条 土地と他の天然資源に対する権利

1. 小農と農村に住む他の人々は、個人としても、集団としても、適切な生活水準を実現し、安全、平和かつ尊厳を持って暮らす場所を確保し、自らの文化を育成するのに必要な土地、水域、沿岸海域、漁場、牧草地、森林を保有する権利がある。

2. 締約国は、婚姻関係の変更、法的能力の欠如、経済的資源へのアクセスの欠如がもたらすものを含め、土地所有権に関するあらゆる差別を撤廃・禁止しなければならない。特に、これらの権利を相続または遺贈する権利を含め、男女に対して平等に土地保有権を保障しなければならない。

3. 締約国は、現在法律で保護されていない、慣習的土地保有権を含め、土地保有権を法的に認知しなければならない。借地権を含め、あらゆる形の保有権はすべての人に対して、強制立ち退きに対する法的保護を保証するものでなければならない。自然の共有地及び、それと結びついた共同利用・管理制度を認知、保護しなければならない。

4. 小農と農村地帯で働く他の人々は、土地や常居所からの恣意的な立ち退きに対して保護される権利、または、活動に使用し、適切な生活水準を享受するのに必要な天然資源を恣意的に剥奪されない権利がある。締約国は、国際人権・人道法の基準に従って、立ち退きや剥奪に対する保護を、国際人権、人道法に則った国内法に盛り込まなければならない。締約国は、罰則措置や戦争の手段としてのものも含め、強制退去、住宅の解体、農地の破壊、土地と天然資源の恣意的没収と収用を禁止しなければならない。

5. 小農と農村で働く他の人々は、個人としても集団としても、恣意的または違法に奪われた土地に帰還する権利、自らの活動で用いられ、適切な生活水準の享受に必要な天然資源へのアクセスを回復する権利、帰還が不可能な場合には、公正・公平な補償を受ける権利を持つ。締約国は、自然災害または武力紛争、あるいはその両方によって土地を追われた人々に対して、土地やその他の天然資源へのアクセスを回復しなければならない。

6. 締約国は、(特に、青年と土地のない人々に対して)活動で用いるとともに適切な生活水準の享受に必要な土地と他の天然資源への広範かつ公平なアクセスと、包摂的な農村開発を促進するため、再分配のための農地改革を実施しなければならない。再分配改革は、土地、漁場、森林への男女の平等なアクセスを保証し、土地の過剰な集中と支配の社会的機能を考慮し、それを制限しなければならない。公有の土地、漁場、森林の分配の際には、小農、小規模漁民、他の農村労働者を優先しなければならない。

7. 締約国は、アグロエコロジーを含め、生産に用いられ、適切な生活水準の享受に必要な土地および他の天然資源の保全と持続可能な利用のための措置をとるとともに、バイオキャパシティ〔環境収容力〕や他の自然の収容力およびサイクルの再生のための条件を保障しなければならない。

第十八条 安全かつ汚染されていない健康に良い環境への権利

1. 小農と農村で働く他の人々は、安全かつ汚染されていない、健康によい環境への権利を有する。

2. 小農と農村で働く他の人々は、環境および土地または領域、資源の生産力を保全、保護の権利を有する。締約国は、この権利を保護し、差別することなく、小農と農村で働く他の人々のため、その権利の完全な実現のため適切な措置をとらなければならない。

3. 締約国は、気候変動とたたかう国際的義務を順守しなければならない。小農と農村で働く他の人々は、実践や伝統的知識を用いることなども含め、国および地元の気候変動適用・緩和政策の作成と実施に加わる権利を有する。

4. 締約国は、自由意志に基づく、事前のインフォームドコンセントなしで、小農と農村で働く他の人々の土地または領域に、有害物質を貯蔵または廃棄されることがないよう効果的な措置をとるとともに、国境を超える環境破壊がもたらす、権利享受への脅威に対して協力して対処しなければならない。

5. 締約国は、小農と農村で働く他の人々の権利の保護に直接、間接に寄与する環境法を実施することなどによって、非国家主体による有害な措置〔abuses〕からこれらの人々を保護しなければならない。


第十九条 種子の権利

1. 小農と農村で働く他の人々は種子に対する権利を持ち、その中には以下の内容が含まれる。

a) 食料と農業のための植物遺伝資源にかかわる伝統的知識を保護する権利

b) 食料と農業のための植物遺伝資源の利用から生じる利益の受け取りに公平に参加する権利

c) 食料と農業のための植物遺伝資源の保護と持続可能な利用にかかわる事柄について、決定に参加する権利

d) 自家採種の種苗を保存、利用、交換、販売する権利

2. 小農と農村で働く他の人々は、自らの種子と伝統的知識を維持、管理、保護、育成する権利を持つ。

3. 締約国は、種子の権利を尊重、保護、実施し、国内法において認めなければならない。

4. 締約国は、十分な質と量の種子が、播種を行う上で最も適切な時期に、手頃な価格で小農が利用できるようにしなければならない。

5. 締約国は、小農が自らの種子、または、自らが選択した地元で入手できる他の種子を利用するとともに、栽培を望む作物と種について決定する権利を認めなければならない。

6. 締約国は、小農の種子制度を支持し、小農の種子と農業生物多様性を促進しなければならない。

7. 締約国は、農業研究開発が、小農と農村で働く他の人々の必要に対して向けられるようにしなければならない。締約国は、小農と農村で働く他の人々が、研究開発の優先事項やその開始の決定に積極的に参加し、彼らの経験が考慮され、彼らの必要に応じ孤児作物や種子の研究開発への投資を増やすようにしなければならない。

8. 締約国は、種子政策、植物品種保護、他の知的財産法、認証制度、種子販売法が、小農の権利、特に、種子の権利を尊重し、小農の必要と現実を考慮するようにしなければならない。

第二十条 生物多様性の権利

1. 小農と農村で働く他の人々は、個人および集団として、生物多様性と、農業、漁業、畜産を含む関連知識を保全、維持、持続可能な方法で利用、発展させる権利を持つ。また、小農と農村で働く他の人々の生存と農業生物多様性の更新が依拠する伝統的農業、遊牧、アグロエコロジー制度を維持する権利を持つ。

2. 小農と農村で働く他の人々は、生物多様性の保全と持続可能な利用にかかわる自らと結びついた知識、イノベーション、慣行を保護する権利を持つ。

3. 締約国は、生物多様性と遺伝資源の枯渇を防ぎ、それらの保全と持続可能な利用を保障し、小農と農村で働く他の人々の関連する伝統的知識の保護と促進、これらの資源の利用から生じる利益の受け取りへの公平な参加のため、当該の国際協定の義務に則った適切な措置をとらなければならない。

4. 締約国は、遺伝子組み換え生物の開発、取引、輸送、利用、移動、リリースから生じる小農と農村で働く他の人々の権利侵害のリスクを制御、防止、削減しなければならない。

第二十一条 水と衛生の権利

1. 小農と農村で働く他の人々は、生命の権利とすべての人権の完全な享受のために不可欠な、安全で清潔な飲み水と衛生の権利を持つ。また、良質で、手頃な価格で、物理的にアクセス可能で、非差別的で、文化的およびジェンダー条件上も受け入れ可能な水供給制度と処理施設の権利を持つ。

2. 小農と農村で働く他の人々は、農業、漁業、畜産に求められる水の権利および他の水にかかわる生活を確保する権利がある。小農と農村で働く他の人々は、水と水管理制度に公平にアクセスする権利を持ち、水供給を恣意的に絶たれたり、汚染されたりしない権利を有している。

3. 締約国は、慣習的な地元社会に基づく水管理制度におけるものも含め、公平な条件で、水へのアクセスを尊重、保護、確保するとともに、特に遊牧民、プランテーション労働者、季節労働者(法的地位にかかわりなく)、非正規、非公式に移住し暮らしている人々など経済的に不利な立場に置かれたり、脇に追いやられた人々に対してなど、個人、国内、生産的利用のため手頃な価格の水と、処理施設の改善を保障しなければならない。

4. 締約国は、湿地帯、池、湖、川、小川などの天然水資源、流域、帯水層、地表水源を、過度の使用や、すぐにあるいは時間をかけて汚染をもたらす工場排水やミネラルおよび化学物質の集積など、有害物質による汚染から保護し、それらの再生を保障しなければならない。

5. 締約国は、第三国が、小農と農村で働く他の人々が水の権利を享受することを損なうのを防止しなければならない。締約国は、人間の必要、小規模食料生産、生態系の必要、文化的使用を水利用の優先事項としなければならない。


第二十二条 社会保障の権利

1. 小農と農村で働く他の人々は、社会保険を含む、社会保障の権利を持つ。また、当該の国際および国内労働法に基づき制定された全ての社会保障権を十分に享受する権利を有する。

2. 農村の出稼ぎ労働者は、法的地位にかかわりなく、社会保障に関して平等な待遇を受けなければならない。

3. 締約国は、社会保険を含め、小農と農村で働く他の人々の社会保障の権利を認め、国内の状況に則って、基本的社会保障制度の保証からなる社会的保護の土台を構築・維持しなければならない。この基本的社会保障制度を通じて、生涯にわたって、必要なすべての人が、基本的な医療、所得保障(これらは合わさって、国内において必要と定められる物品とサービスを効果的に利用できるようにする)を受けることを最低限保証しなければならない。

4. 基本的社会保障制度の保証は、法律で定めなければならない。公平、透明、効果的かつ金銭的に利用可能な苦情処理および不服申し立て手続きが明記されなければならない。国内の法的枠組みにより適合したものにするための制度を導入しなければならない。

第二十三条 健康の権利

第二十四条 適切な住宅の権利

第二十五条 教育と訓練の権利

第二十六条 文化的権利と伝統的知識

第二十七条 国際連合と他の国際機関の責任

1. 国際連合、国際および地域金融機関を含む、他の政府間組織の専門機関、基金、プログラムが、とりわけ開発支援および協力の実施を通じて、本宣言条項の完全な実施に寄与しなければならない。小農と農村で働く他の人々が、自らに影響を及ぼす事柄について参加を保証する財源を確保しなければならない。

2. 国際連合、専門機関、基金、プログラム、国際および地域金融機関を含む他の政府間組織は、本宣言の条項の尊重と、その完全な適用を促さなければならない。



by africa_class | 2017-12-06 03:32 | 【国連】小農の権利宣言