人気ブログランキング |
ブログトップ

Lifestyle&平和&アフリカ&教育&Others

afriqclass.exblog.jp

タグ:食の主権 ( 8 ) タグの人気記事

5/17(金)「「小農の権利宣言」について学ぶセミナー」@龍谷大学にて、お話をします。

引き続き、こちらはもう少し研究に引き付けたお話(セミナー)のご紹介(一般の方も参加可能*ただし2部の教室キャパが限られているので、事前申し込みが必要となりました。詳細は以下をご確認下さい)。

大好きな京都(@龍谷大学深草キャンパス)で、「日本における食と農」を、過去150年ぐらいの世界史的展開と国連を舞台とする国際政治のせめぎ合いの中に、位置づけて論じてみようという野心的な試みです。去年11月から今年までの間に出版された3冊の本を手がかりに話をします。

でも、せっかく大学生と触れ合える機会なので、第1部は経済学部の大学生の日々の暮らしや未来への不安と期待を基点に、話を展開していけたらな〜と思っています。

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
「小農の権利宣言」について学ぶセミナーご案内
2019年5月17日(金)午後 @龍谷大学
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

「小農宣言・家族農業10年連絡会」の創設メンバーであり、国際開発学会と連携した「グローバル時代の食と農」翻訳プロジェクトのメンバーとしてマーク・エデルマンの『国境を越える農民運動』の監訳された舩田クラーセンさやか氏を招き、龍谷大学経済学会と、科研費プロジェクト「家畜飼養と食肉習慣の変容から見るブータンにおける「食の主権」の構築」共催のセミナーを下記のとおり開催します。

2018年12月に国連と農民運動の協働の成果として採択された「小農および農村地域に住む人々の権利宣言」に関して多面的な学びを企画しました。なお、舩田氏はアフリカ政治経済の研究者でもあり、下記の共著書『解放と暴力』で、150年のアフリカ現代史の中にこの小農の権利宣言を位置づけて論じています。世界大の歴史的な観点からの議論も期待したいと思います。


■日時:2019年5月17日 金曜日 
■プログラム(1部、2部だけの参加も可能です):

□第一部: 13時15分から14時30分
講演会「国連「小農の権利宣言」から読み解く日本の食と農に関する国際協力」

□第二部:15時から16時30分
講演会+討論「国連「小農の権利宣言」採択の経緯と日本へのインプリケーション」

■場所:龍谷大学深草学舎
21号館508教室(第一部)和顔館304教室(第二部)
□アクセス:
https://www.ryukoku.ac.jp/about/campus_traffic/traffic/t_fukakusa.html
JR奈良線「稲荷」駅下車、南西へ徒歩約8分
京阪本線「深草」駅下車、西へ徒歩約3分
京都市営地下鉄烏丸線「くいな橋」駅下車、東へ徒歩約7分

■申込み(第一部不要、第二部必要)・いずれも無料

*ご注意:第一部は申し込み不要ですが、第二部に参加ご希望の方は、5月16日までに必ず以下の問い合わせ・申し込み先にお名前、ご所属(あれば)、連絡先の3点をお知らせください。会場の都合で、事前申し込みのない方は入場できない場合があります。

■演者: 
舩田クラーセン さやか氏(Dr. Sayaka FUNADA-CLASSEN) 
明治学院大学平和学研究所研究員 博士(国際関係学)
前東京外国語大学外国語学部 准教授

□著書:
『解放と暴力: 植民地支配とアフリカの現在』(小倉充夫と共著、東京大学出版会)
『国境を越える農民運動 ―世界を変える草の根のダイナミクス (グローバル時代の食と農2)』(監訳、明石書店)
『モザンビーク解放闘争史―「統一」と「分裂」の起源を求めて』(御茶の水書房)
The Japanese in Latin America (Daniel Mastersonと共著、Illinois University Pressなど多数

■主催:
龍谷大学経済学会
科研費研究「家畜飼養と食肉習慣の変容から見るブータンにおける「食の主権」(代表小林舞)」(19K20559)

□参考:
国連は2014年を「国際家族農業年」とし、2019年からの10年間を「家族農業の10年」と取り決め、2018年12月18日の国連総会で「小農と農村で働く人びとの権利に関する宣言」(小農の権利宣言)を可決。

宣言は27条からなり、小農民、漁民、遊牧民、先住民、牧畜民、農業労働者の権利確立が示され、その権利には食料、土地、水などの自然資源が含まれ、文化的アイデンティティや伝統的知識の尊重、種子や生物多様性に関わる権利保護まで幅広い分野にわたる。(「誰も取り残さない! 小農民の権利宣言が国連で採択~SDGs時代の持続可能な農と食~」古沢広祐 2019より抜粋)

■問い合わせ・申し込み:龍谷大学経済学部 西川芳昭(nishikawa[at]econ.ryukoku.ac.jp) 
a0133563_22555776.jpg

お話の土台とするのは次の3冊。
a0133563_23042029.jpeg
a0133563_23032857.jpeg

a0133563_23012539.jpeg
ちょっとだけ使う予定の最初の出版物。
a0133563_23050690.jpeg
もちろん、読まずに来ていただいて大丈夫です。
たぶん、私がこれまで話してきたこと、書いてきたことを土台としつつも、それらを超えたところの話を展開したいなーとおもっています。この3年ほど温めてきた最後の研究テーマの一端を少しお話できれば。
(なぜ最後なのかはまた今度)



by africa_class | 2019-05-10 23:07 | 【記録】講演・研究会・原稿

【本日開催!IWJ中継あり】「国連小農宣言・家族農業の10年 院内集会」が議員会館にて開催!「国連小農宣言」日本語版のダウンロード先も紹介

本日(2/18)、東京で「国連小農宣言・家族農業の10年 院内集会」が開催される。
http://unpesantsrights.blog.fc2.com/blog-entry-2.html

すでに100名の定員はオーバーしたとのことで、本当に嬉しい。
また、農水省や外務省からも担当官が4名・2名出席するとのこと。
出席者一覧→http://unpesantsrights.blog.fc2.com/blog-entry-5.html

これからの参加は満員御礼のため不可能だけれど、IWJがネット中継をしてくれることになったので、是非ネット中継をご覧下さい(IWJの会員になれば後日視聴が可能です)。

【IWJ Ch5】14:00-17:30
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

この院内集会の重要な点は、発表者は日本の小農の皆さんとその組織のみという点。つまり、国連宣言の当事者が発表し、政府に質問をするという点です。まさに権利宣言の精神を体現する院内集会となったことに、連絡会の一メンバーとして大変嬉しく思います。

未だ解決していないこのプロサバンナ問題に直面しながらも思うのは、2012年9月、もし彼ら・彼女らに「プロサバンナをなんとかして」と呼び出されなかったら、わたしがこの国連小農宣言を訳すことも、日本に紹介することも、この院内集会を日本の農家さんと準備することもなかったという点に、人生とは不思議なものだと思う。もし、この訳文公開に、わずかなりとも感謝していただくのであれば、それは私たち訳者にではなく、モザンビーク北部小農の奮闘に感謝していただければと切に思う。

彼女ら・彼らから教えられ続けた25年間を振り返り、いまはただ、彼女・彼らの苦しみを一刻も早く解消したいと願うのみ。そのためには、プロサバンナを終らせなければなりません。このことはまた今度。

はじめてプロサバンナを知る人は岩波の連載を
→https://websekai.iwanami.co.jp/posts/461

お待たせしました!
以下、最終版の訳文の掲載場所です。

******
小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言
最終採択決議文・宣言文
日本語訳

あるいは、以下のサイトに掲載します。
******

ドイツは、急に春めいた満月の夜。
猫たちもソワソワ。私もソワソワ。

さて、院内集会!
チラシの裏面を紹介しておきます〜。

a0133563_05233113.jpg

by africa_class | 2019-02-18 05:44 | 【国連】小農の権利宣言

【完訳2】国連採択された「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」、最終決議・宣言を監訳終えました。次に第1条から第13条

若干校正したものを貼り直します。


===
小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言

(前文→https://afriqclass.exblog.jp/239092212/)

第一条 (小農と農村で働く人びとの定義)

1. 本宣言において、小農とは、自給のためもしくは販売のため、またはその両方のため、一人もしくはその他の人びとと共同で、またはコミュニティとして、小さい規模の農的生産を行なっているか、行うことを目指している人、そして、例外もあるとはいえ、家族および世帯内の労働力ならびに貨幣を介さないその他の労働力に大幅に依拠し、土地(大地)に対して特別な依存状態や結びつきを持つ人を指す。

2. 本宣言は、伝統的または小規模な農業、栽培、畜産、牧畜、漁業、林業、狩猟、採取、または農業と関わる工芸品づくり、農村地域におけるその他の関連する職業につくあらゆる人に適用される。さらに、小農の扶養家族にも適用される。

3. 本宣言は、土地に依拠しながら生きる先住民族およびコミュニティ、移動放牧、遊牧および半遊牧的なコミュニティ、さらに、土地は持たないが上述の営みに従事する人びとにも適用される。

4. さらに本宣言は、移住に関する法的地位の如何にかかわらず、すべての移動労働者および季節労働者を含む、プランテーション、農場、森林、養殖産業の養殖場や農業関連企業で働く、被雇用労働者にも適用される。


第二条 (加盟国の一般的義務)

1. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの権利を尊重、擁護、実現する。本宣言の権利の完全なる具現化を直ちに保障できなくとも、漸進的な達成を実現するため、加盟国は、法的、行政上、その他の適切な措置を迅速にとる。

2. 本宣言の実施に関し、(加盟国は)様々な形態の差別に対処する必要性を考慮に入れ、高齢者や女性、若者、子ども、障害者を含めた小農と農村で働く人びとの権利および特別なニーズに特別な注意を払う。

3. 加盟国は、先住民族に関する特別な法律を無視することがないよう留意しつつ、小農と農村で働く人びとの権利に影響を及ぼす可能性がある法律、政策、国際条約、その他の意思決定プロセスの適用と実施の前に、小農と農村で働く人びとを代表する機関を通じて、誠実に、彼らと協議・協力し、意思決定がなされる前に、それに影響を受ける可能性のある小農と農村で働く人びとの関与を実現し、彼らの賛同を求め、彼らの貢献に応え、異なる関係者間に存在する非対称な力関係を考慮しつつ、意思決定のプロセスにおいて、個人および集団にとって、主体的かつ自由な、実効性を有し意味のある、十分な情報の提供を伴った参加を保障する。

4. 加盟国は、小農と農村で働く人びとに適用されるべき人権法と矛盾がない(一貫性のある)手法で、貿易、投資、金融、税制、環境保護、開発協力、安全保障分野を含む、関連する国際条約および基準を策定、解釈、適用する。

5. 加盟国は、民間の個人および組織ならびに多国籍企業やその他の営利企業体などの非国家主体に対し、規制をする立場から、小農と農村で働く人びとの人権の尊重と強化を確実なものとするため、すべての必要な措置をとる。

6. 加盟国は、本宣言の目的および目標を実現するための各国の努力に対し、これを支援する国際協力の重要性を認識しつつ、この点に関し、それが望ましい場合、関連する国際機関、地域機関、市民社会、とりわけ、小農と農村で働く人びとの組織と協力して、二国間および多国間で適切かつ効果的な措置をとる。そのような措置には以下のものが含まれる。

a) 小農と農村で働く人びとが参加でき、これらにとって利用可能で適切な国際開発プログラムを含む国際協力の確保

b) 情報、経験交流、研修プログラム、ベストプラクティス(最善と考えられる実践例)についての交換や共有を含む能力向上の促進と支援

c) 調査研究および、科学・技術知識へのアクセスにおける協力の促進

d) それが適当とされる場合における、相互に合意した条件下での、技術・経済支援の提供。これらは、利用可能な技術へのアクセスと共有の促進、技術移転を通じて、特に途上国に対して行われる。

e) 極端な食料価格の高騰と投機的な誘惑を抑制するため、世界規模での市場の機能改善、および、食料備蓄を含む市場情報への時宜にかなったアクセスの促進


第三条 (不平等および差別の禁止)

1. 小農と農村で働く人びとは、国連憲章、世界人権宣言、ならびにその他のあらゆる国際人権条約で定められた、すべての人権と基本的自由を余すことなく享受する権利を保持し、その権利の行使は、出自、国籍、人種、肌の色、血統(家柄)、性別、言語、文化、婚姻歴、財産、障害、年齢、政治または他の事柄に関する言論、宗教、出生、経済、社会、その他に関する地位/身分等に基づく、いかなる差別も受けない。

2. 小農と農村で働く人びとは、発展/開発の権利を行使する上で、優先事項および戦略を決定、構築する権利を有する。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びとに対する、複合的で様々な形態のものを含む差別を引き起こす、あるいは永続させる諸条件を除去するため、適切な措置をとる。


第四条 (小農女性と農村で働く女性の権利)

1. 加盟国は、男女平等に基づき、小農女性と農村で働く女性が、あらゆる人権と基本的自由を十分かつ平等に享受し、農村の経済、社会、政治、文化的発展を自由に追求でき、それへの参加が可能で、そこから利益を得られることを保障すべく、これらの女性に対するあらゆる形態の差別を撤廃し、エンパワーメントの促進に資するすべての適切な措置をとる。

2. 加盟国は、小農女性と農村で働く女性が差別を受けることなく、本宣言、ならびに、その他の国際人権条約に定められたすべての人権ならびに基本的自由を享受できるよう保障する。その中には以下の権利が含まれる。

a) あらゆるレベルの開発計画の策定と実施において、平等に、かつ実効性を伴った参加ができる権利

b) 適切な保健医療施設、 家族計画についての情報、カウンセリング、サービスを含む、心身のために、到達可能な最高水準の医療に平等にアクセスする権利

c) 社会保障制度から直接利益を得る権利

d) 機能的識字力に関する研修、教育を含む、公式、非公式を問わず、あらゆる種類の研修、教育を受ける権利、技術的な面での習熟度を引き上げるためのコミュニティ内に存在する、また農業普及に関するすべてのサービスから利益を得る権利

e) 雇用と自営活動を通じて経済機会への平等なアクセスを得るため、自助組織、アソシエーションおよび協同組合を組織する権利

f) あらゆるコミュニティ活動に参加する権利

g) 金融サービス、農業融資やローン、販売施設、適切な技術に平等にアクセスする権利

h) 土地と自然資源への平等なアクセス、利用、管理を行う権利、土地と農地改革、土地再定住計画において、平等または優先的に扱われる権利

i) 働きがいのある人間らしい(ディーセントな)雇用、そして、平等な報酬と社会保障給付に対する権利、収入創出のための活動に参加する権利

j) あらゆる形態の暴力を受けない権利


第五条 (自然資源に対する権利と発展/開発の権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、本宣言第28条に則り、適切な生活条件を享受するために必要とする自らの居住地域に存在する自然資源にアクセスし、それらを持続可能な手法で利用する権利を有する。また、小農と農村で働く人びとは、これらの自然資源の管理に参加する権利を有する。

2. 加盟国は、小農と農村で働く人びとが伝統的に保有あるいは利用する自然資源に影響を及ぼすあらゆる資源開発(計画)の認可について、確実に以下の事項——ただしこれらの事項に限定されるものではない——に基づいた措置をとる。

a) 適切に実施された社会環境影響評価

b) 本宣言第2条第3項に準拠した誠実な協議

c) 資源開発者ならびに小農と農村で働く人びとの両者が合意する条件に基づいて行われる開発がもたらす利益を公平かつ平等に分け合うための手順(モダリティ)


第六条 (生命、自由、安全に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、(法の下における)人として、生命に対する権利(生存権)、肉体および精神の不可侵性への(尊重に対する)権利、自由と安全に対する権利を有する。

2. 小農と農村で働く人びとは、恣意的な逮捕、拘束、拷問、その他の残酷かつ、非人間的または屈辱的な扱いや処罰にさらされてはならず、奴隷または隷属状態におかれてはならない


第七条 (移動の権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、いかなる場所においても、法の下における人として認められる権利(人格権)を有する。

2. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの移動の自由を促進する適切な措置をとる。

3. 加盟国は、本宣言第28条に基づき、それが必要とされる場合には、国境上の農村で働く小農と人びとに影響を及ぼす、国境を超えた土地所有・利用権の課題について、協力して適切な措置をとる。


第八条 (思想、言論、表現の自由)

1. 小農と農村で働く人びとは、思想、信条、良心、宗教、言論、表現、および平和的集会の自由の権利を有する。これらの人びとは、口頭、記述、印刷物、芸術、または自らが選ぶあらゆる媒体を通して、自治体、地域、全国、国際レベルで意見を表明する権利を有する。

2. 小農と農村で働く人びとは、人権および基本的自由の侵害に対する平和的な活動に、他者との共同を通じ、あるいは一つのコミュニティとして、個人ならびに/あるいは集団として、参加する権利を有する。

3. 本条に明記された権利の行使には、特別な義務と責任が伴う。したがって、それらは一定の規制の対象となり得るが、それは法が定めるところにより、かつ必要不可欠な場合に限られる。

a) 適切に実施された社会環境影響評価
b) 他者の人権また信用の尊重のため、国家安全保障、公的秩序、公衆衛生、あるいは、社会倫理を護るため

4. 加盟国は、本宣言に記された権利を彼または彼女が正当に行使・擁護した結果として生じる、いかなる暴力、脅し、報復、法律上または事実上の差別、圧力、その他の専横的な行為から、個人であろうとも他者との集合体の形をとろうとも、すべての人が確実に保護されるため、管轄当局に必要な措置をとらせる。

第九条 (結社の自由)

1. 小農と農村で働く人びとは、自らの利益を護るために自ら選択した組織、労働組合、協同組合、その他の組織や結社をつくる権利および参加する権利、団体交渉の権利を有する。これらの組織は、独立し、自発性に根ざし、あらゆる干渉、強制、あるいは抑圧からの自由を保持する。

2. この権利の行使にあたっては、いかなる制限も受けない。ただし、民主主義社会下で、国家の安全保障や治安、公的秩序、公衆衛生の保全、倫理、あるいは他者の人権と自由の擁護に必要不可欠かつ法で規制される場合を除く。

3. 加盟国は、労働組合や協同組合、またはその他の組織を含む、小農と農村で働く人びとの組織の創設を奨励するための適切な措置をとる。特に、人びとが正当なる(法に適った)活動を創造し、発展させ、追求する上での障壁を除去する。これには、これらの組織とそのメンバーに対する立法上あるいは行政上のすべての差別の撤廃が含まれる。また、契約交渉における条件と金額が公正で安定したものとなるよう、さらには、これらの人びとの尊厳や充足した生活に対する権利が侵されないことを保障するため、人びとの地位の向上を支援する。


第十条 (参加の権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、自らの生命、土地、暮らしに影響を及ぼしうる政策、計画、および事業の準備と実施に対し、主体的かつ自由な、直接かつ/あるいは自らを代表する組織を通した参加の権利を有する。

2. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの生命、土地、暮らしに影響を及ぼす可能性のある意思決定のプロセスへの、直接的および/あるいは彼らを代表する組織を通じた参加を促進する。これには、強力かつ独立した小農と農村で働く人びとの組織の設立、ならびに、その発展への敬意、そして彼らに影響しうる食の安全、および労働と環境基準の策定と実施への参加の促進も含まれる。


第十一条 (生産、販売、流通に関わる情報に対する権利)

1. 小農と農村で働く人びとは、情報を求め、受け取り、それを進化させ、他に知らせる権利がある。これには、自らの生産物の生産、加工、販売、流通に影響を及ぼす恐れのある事柄に関する情報が含まれる。

2. 加盟国は、小農と農村で働く人びとの生命、土地、暮らしに影響を及ぼしうる事柄の意思決定(プロセス)において、これらの人びとの実効性を伴った参加の実現を保障するとともに、これらに関する透明かつ時宜にかなった、適切な情報へのアクセスを確実にするための適切な措置をとる。その際には、それぞれの文化にふさわしい言語、形式、手段を用い、人びとのエンパワーメントの促進を可能とする。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びとが、自治体、全国、国際レベルにおいて、自らの生産物の質を評価・認証する公平で公正かつ適切なシステムにアクセスできるよう促すとともに、そのようなシステムの構築への参加を促すべく、適切な措置をとる。


第十二条 (司法へのアクセス)

1. 小農と農村で働く人びとは、実効性を伴った、差別のない司法へのアクセスの権利を有する。これには、紛争解決のための公正なる手続きへのアクセス、そして、これらの人びとの人権へのあらゆる侵害に対する実効力を伴った救済措置へのアクセスの権利を含む。決定(判決など)にあたっては、小農と農村で働く人びとの慣習、伝統、規則、法制度を十二分に考慮に入れ、国際人権法の下にある関連法に準拠する。

2. 加盟国は、公正かつ適格な司法および行政機関を介して、時宜にかない、無理なく支払え、実効性を伴った、当該関係者の言語の利用が可能な紛争解決手法への差別なきアクセスを整備する。さらに、控訴、返還、弁償、補償および賠償への権利を含む、実効力のある迅速な救済を提供する。

3. 小農と農村で働く人びとは、法的支援を受ける権利を有する。加盟国は、そのような支援がなければ行政および司法サービスを利用することができない小農と農村で働く人びとのために、法的支援を含む追加措置を考慮する。

4. 加盟国は、本宣言に明記された権利を含む、すべての人権の促進と擁護のため、関連する国の機関/制度の強化措置を考慮する。

5. 加盟国は、小農と農村で働く人びとが、人権を侵害され、専横的に土地と自然資源を奪われ、生計の手段と不可侵性を剥奪され、あらゆる形態の強制的な立ち退きや定住を強要されることを意図する、もしくはそれらの結果を導くすべての行為の防止とそれからの救済を実現するため、小農と農村で働く人びとに実効力を伴った手段を提供しなければならない。

第十三条 (働く権利)
1. 小農と農村で働く人びとは、自らの生計をたてる方法を自由に選択する権利を含めた働く権利を有する。

2. 小農と農村で働く人びとの子どもたちは、危険を伴いかねない、子どもの教育を妨げる、あるいは、子どもの健康や身体的、精神的、心理的、道徳的、または社会的発達にとって有害な、いかなる労働からも保護される権利を有する。

3. 加盟国は、小農と農村で働く人びととその家族に対して、適切な生活水準が実現できる報酬を提供する、働く機会が可能となる環境を構築する。

4. 農村で高い水準の貧困に直面する国において、他の部門で雇用機会がない場合、加盟国は、適切な雇用の創出に寄与できるよう、十分に労働集約的で持続可能なフードシステムを構築・促進するため、適切な措置をとる。

5. 加盟国は、小農による農業と小規模な漁業の特別な性質を考慮した上での労働法の順守をモニターするため、必要に応じて、適切な資源を配置することによって、農村地域における労働監督官の実効力のある活動を保障する。

6. いかなる人も、強制、奴隷、義務的労働を求められてはならず、人身取引の被害に遭うリスク、またその他いかなる形態の現代的奴隷の対象にされてはいけない。加盟国は、小農と農村で働く人びと、これらの人びとを代表する組織と協議、協力し、経済的搾取、児童労働、債務による女性、男性、子どもの束縛といった、あらゆる形態の現代的奴隷制から、漁撈者と漁業労働者、林業労働者、季節・移住労働者を含む、小農と農村で働く人びとを護るための適切な措置をとる。

続き→https://afriqclass.exblog.jp/239092231/

監訳:舩田クラーセンさやか
訳者:根岸朋子


a0133563_02570533.jpg
国連総会第三委員会でこの「小農宣言」が採択された翌日(2018年11月21日)、3カ国民衆会議が東京の聖心女子大学で開催された。そのことを受けて壇上にあがったブラジル、モザンビーク、日本の小農の皆さん。この宣言への日本政府の棄権が、会議では大きな話題となった。

3カ国民衆会議の詳細→http://triangular2018.blog.fc2.com/


by africa_class | 2019-02-04 07:58 | 【国連】小農の権利宣言

【完訳1】国連採択された「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」、最終決議・宣言を監訳終えました。まず前文

最後は思った以上の難産となりましたが、なんとか「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言(略称:国連小農宣言)」の最終バージョンの監訳を終えました。もう深夜なので、とりあえずできるところまで貼っておきます。


=====

小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言

(国連総会決議版、日本語訳ver.1)



2018年10月30日

https://documents-dds-ny.un.org/doc/UNDOC/GEN/G17/051/60/PDF/G1705160.pdf?OpenElement

A//c.3/73/L.30(国連総会決議)



〔宣言の構成 *最終宣言文からは各条のタイトルは削除され、数字だけになっている〕





前文

第一条 小農と農村で働く人びとの定義

第二条 加盟国の一般的義務

第三条 不平等および差別の禁止

第四条 小農女性と農村で働く女性の権利

第五条 自然資源に対する権利と発展/開発の権利

第六条 生命、自由、安全に対する権利

第七条 移動の自由

第八条 思想、言論、表現の自由

第九条 結社の自由

第十条 参加の権利

第十一条 生産、販売、流通に関わる情報に対する権利

第十二条 司法へのアクセス

第十三条 働く権利(勤労の権利/労働権)

第十四条 仕事場での安全と健康に対する権利

第十五条 食への権利と食の主権

第十六条 十分な所得と人間らしい暮らし、生産手段に対する権利

第十七条 土地とその他の自然資源に対する権利

第十八条 安全かつ汚染されていない健康に良い環境に対する権利

第十九条 種子への権利

第二十条 生物多様性に対する権利

第二十一条 水と衛生に対する権利

第二十二条 社会保障に対する権利

第二十三条 健康に対する権利

第二十四条 適切な住居に対する権利

第二十五条 教育と研修の権利

第二十六条 文化的権利と伝統的知識

第二十七条 国際連合と他の国際機関の責務

第二十八条 (追加の項目)


「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」に関する国連総会決議




国連総会は、
2018年9月28日の決議39/12、小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言を人権理事会が採択したことを歓迎し、

1. 小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言について、本決議の附属書通りの内容で採択し、
2. 各国政府、国連機関・組織、ならびに、政府間・非政府組織が本宣言を普及し、これについての敬意と理解を全世界に促すことを求め、
3. 本宣言文をHuman Rights: A Compilation of International Instruments(「人権-国際法文集」)の次版に含めることを国連事務総長に要請する。


【付属書】

    小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言

国連総会は、
すべての人びとが生まれながらにして持つ尊厳、価値、平等かつ不可譲の人権を承認した、国連憲章に明記される原則が、世界における自由、正義、平和の基礎となることを想起し、

世界人権宣言、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約、経済的・社会的および文化的権利に関する国際規約、市民的および政治的権利に関する国際規約、女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約〔女性差別撤廃条約〕、児童の権利に関する条約〔子どもの権利条約〕、すべての移住労働者およびその家族の構成員の権利の保護に関する国際条約、これに関連する国際労働機関(ILO)の条約、および、全世界的または地域レベルで採択された他の関連する国際条約に明記される原則を考慮し、

発展/開発の権利に関する宣言を再確認するとともに、発展/開発の権利が、すべての個人とすべての人びと(人民)にとって、不可譲の人権の一部を成し、これらの人びとが、人権に関わるすべての権利と基本的自由が完全に具現化される経済的、社会的、文化的、政治的な発展(のプロセス)に参加し、貢献し、それを享受することができる権利を有することを再確認し、

また、先住民族の権利に関する国連宣言を再確認し、

すべての人権は、普遍的かつ不可分、関連し合い、依拠し合い、相互に補完し合い、同じ土台の上で、等しく重視され、公平かつ公正に扱わなければならないことを確認し、一範疇の権利の促進と擁護によって、他の権利の促進と擁護を加盟国が免れてはならないこと改めて強く明言し、

小農と農村で働く人びととが結びつき、彼らが暮らしていくために依存する土地、水、自然との間の特別な関係および関わり合いを認識し、

世界のあらゆる地域の小農と農村で働く人びとによる、世界の食と農業生産の基盤を構成する過去、現在、未来の発展/開発と生物多様性の保全と向上に対する貢献、そして持続可能な開発のための2030アジェンダを含む国際的に合意された開発目標の達成のため不可欠である、適切な食と食料保障への権利の確保における貢献を認識し、

小農と農村で働く人びとが、貧困と飢え、栄養不足に著しく陥っていることを懸念し、

また、小農と農村で働く人びとが、環境破壊と気候変動がもたらす被害を受けていることを懸念し、

世界で小農の高齢化が進み、農村生活におけるインセンティブの欠如や重労働を理由に、若者がますます都市部へと移住し農業に背を向けていることを懸念し、とりわけ農村の若者に対して、農村における経済の多様化と、農場労働以外の機会の創出の必要をさらに認識しつつ、

ますます多くの小農と農村で働く人びとが、毎年強制的な追い出しあるいは立ち退きを強いられていることに警鐘を鳴らし、

さらに、いくつかの国で小農の自殺が多発していることに危機感を募らせ、

小農女性と農村女性が、家族が経済的に生きのびることができるよう、さらには農村と国の経済に対して、貨幣経済外の労働を含む重要な役割を果たしていながら、土地の所有・利用権、または、土地、生産資源、金融サービス、情報、雇用、社会的保護への平等なアクセスをしばしば拒まれ、さらには、頻繁に様々な形態や表現による暴力と差別の犠牲となっていることを強調し、

加えて、関連する人権法に従って、貧困、飢え、栄養失調の根絶、質の高い教育と健康の促進、化学物質と廃棄物汚染からの保護、児童労働の廃絶を通して、農村の子どもたちの権利を促進し擁護することの重要性を強調し、 

とりわけ、いくつかの要因により、小農および農村で働く人びと、小規模漁撈者、漁業労働者、牧畜民、林業従事者、コミュニティの声の反映、人権および土地の所有・利用権の擁護、これらの人びとが依存する自然資源の持続可能な利用の保障といった点が困難になっていることについて強調し、

土地、水、種子(たね)、その他の自然資源へのアクセスが、農村の人びとにとってますます困難になっていることを改めて認識し、生産を可能とする資源へのアクセスの改善と農村の適切な発展/開発のための投資の重要性を強調しつつ、

小農と農村で働く人びとの持続可能な農業生産の実践と促進の努力、これには多くの国と地域で「母なる地球(マザーアース)」と呼ばれる自然を護り、それと調和し、そのプロセスとサイクルを通じて適応・再生する生態系の生物学上かつ自然に備わる能力への尊重を含むが、これらの人びとによるこの努力こそが支援されるべきであることを確信し、

世界のいたるところで、小農と農村で働く人びとの多くが、仕事場で基本的人権を享受する機会を否定され、生活賃金および社会的保護に十分ではない有害で搾取的な(労働)条件をたびたび与えられていることを考慮し、

土地や自然資源の問題に取り組む人びとの人権を促進し擁護する個人、集団、機関が、様々な形態の脅しや身体的一体性への侵害(暴力)を受けるリスクが高いことを懸念し、

小農と農村で働く人びとが、暴力、虐待、搾取からの救済や保護を即座に求めることができないほど裁判所、警察官、検察官、弁護士へのアクセスが困難となっていることに注目し、 

人権の享受を損なう、食品に対する投機、フードシステムにおける寡占の進行とバランスを欠いた分配の増加、ヴァリューチェーン内の不平等な力関係を懸念し、

すべての個人とすべての人びと(人民)にとって、発展/開発の権利が不可譲の人権の一部を成すこと、そして、これらの人びとが、人権上のすべての権利と基本的自由が完全に具現化される経済的、社会的、文化的、政治的な発展(のプロセス)に参加・貢献し、それを享受する権利を有することを、いま一度確認し、

これらの人びとが、人権に関する二つの国際規約における関連条項の対象者であり、自然の恵みとそれがもたらす資源のすべてについて、十分かつ完全なる主権を行使する権利を有していることを想起し、

食の主権の概念が、多くの国と地域で、人びとが自らの食と農のシステムを決定する権利として、さらに、人権を尊重し、環境配慮の上で持続可能な方法で生産される健康かつ文化面において適切な食への権利として、定義され活用されていることを認識し、

個々人が、他者のため、また自身が帰属するコミュニティのために責任を担い、本宣言と国内法に明記された権利の促進と順守の努力義務を果たすことを理解し、

文化的多様性を尊重し、寛容、対話および協力を促進することの重要性を再確認し、

労働者の保護と適切な労働に関する国際労働機関の規約と勧告の広範なる体系の存在を想起し、

また、生物多様性に関する条約、名古屋議定書(生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会およびその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書)を想起し、

食への権利、土地に対する権利、自然資源へのアクセス、その他の小農の権利に関する国連食糧農業機構(FAO)および世界食料安全保障委員会(CFS)による広範なる取り組み、特に食料および農業のための植物遺伝資源に関する国際条約、ならびに、ナショナルな食料保障の文脈における土地、森林、漁場の権利のための責任あるガバナンスに関する任意ガイドライン、食料保障と貧困撲滅の文脈における持続可能な小規模漁業を保障するための任意ガイドライン、ナショナルな食料保障の文脈における適切な食への権利の漸進的な実現を支援するための任意ガイドラインを想起し、

農地改革と農村開発に関する世界会議、またそれによって採択された小農憲章の結果を踏まえ、農地改革と農村開発のための適切な国家戦略の策定の必要性とその国家開発戦略全体への統合が強調されたことを想起し、

本宣言および関連する国際条約は、人権擁護を強化する視点を備えた、相互に支え合うものであるべきことをいま一度確認し、

国際協調と連帯における不断の努力の向上を通じて、人権のための取り組みの着実な進展を実現するという視点を備えた国際社会が、この新たな歩みへの尽力を決意したことを受け、

小農と農村で働く人びとの人権をより一層擁護し、この問題に関する既存の国際人権規範ならび基準の一貫した解釈と適用を行う必要性を確信し、

以下を宣言する。


続きは→https://afriqclass.exblog.jp/239092220/

監訳:舩田クラーセンさやか
訳者:根岸朋子

a0133563_07472650.jpg
3カ国民衆会議(2018年11/20@聖心女子大学)でこの宣言についてプレゼンをしてくれたモザンビーク出身のボアヴェントゥーラ・モンジャーネさんのプレゼン資料(日本語版)です。
全スライドは、近々以下のサイトに掲載します。お楽しみに!
http://triangular2018.blog.fc2.com/



by africa_class | 2019-02-04 07:54 | 【国連】小農の権利宣言

【2/18】「国連小農宣言・家族農業の10年」院内集会が参議院議員会館で開催。日本の食と農の近未来・将来にとって凄く重要なモーメントです。

ドイツは雪が積もったままです。
といっても南部の緊急事態ほどにはヒドくないので文句は言えません。

さて。
生産者や食べる人達の主権(自由・選択肢の確保)という意味では、危機的な状況を迎えつつある日本の食と農の政策。これを転換するためのチャンスが、ついに国連の議場から、世界にいま広がっています。

前置きが長いので、ソレ何?!知りたい!という方は以下のサイトをクリック下さい。

*************

【院内集会】2・18「国連小農宣言・家族農業の10年」院内集会

http://unpesantsrights.blog.fc2.com/blog-entry-2.html
日時: 2019年2月18日(月) 14時〜17時30分(休憩あり)
場所: 参議院議員会館
***************

「国連から」といっても、これも上からふってきたものではなく、世界(とくに南)の小農と小農運動、それを支える人びとや機関の粘り強い努力によって、ついに国連が動かされたというのが、その真相であることについては、このブログの読者ならご存知のとおり。

いや知らないから・・・という方は以下を
https://afriqclass.exblog.jp/i43/
あるいは去年出版したばかりの訳書をご覧下さい。
『国境を越える農民運動〜世界を変える草の根のダイナミクス』(明石書店)
http://www.akashi.co.jp/book/b420388.html

日本の農家さんでも、「国連」がついた途端に、ニューヨークやアメリカ、国連官僚を想像して、「上からふってきた迷惑なもの」と受け止めてしまうかもしれません。でも、宣言文を読んでいただければ、この宣言が世界の小農が直面する様々な課題を明確にし、それらを団結して乗り越えるために、各国と国際機関に義務を果たさせようとするものであることが分かると思います。

そして、その問題の解決において、小農と小農団体が議論の段階から参加し、意思決定においても参加することが(事前に十分な情報や支援を行った上で)、侵されてはならない「権利」として明記され、加盟国の守るべき義務として設定されています。

つまり、この宣言は、世界の小農が、自分たちの権利、暮らし、生産を守るために、多いに活用することが想定されて、制定されているのです。小農の権利の実現のために、小農やそれを応援する人びとが、各国の政策を転換し、その政策の実施を実現し、その後の監視を行うツールとして、この宣言は作られています。

小農が小農のために小農によって提案した宣言を、少々手直ししたとはいえ、世界の「ほぼ」全部の国(国連加盟国196カ国)が守ることが国際合意(ルール)となりました。例え、一部の加盟国が、この宣言のある部分、あるいは宣言の採決に反対し、棄権しようと、宣言が国連総会で採択された以上は、国際法となったのです。

もう一度書きます。
「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」
は、国際法の一部となりました。

そして、国連加盟国は、国連憲章に則り、この宣言に書かれた約束を守る義務があります。


ですので、たとえ日本政府が、この宣言の中身に疑問をもち、採決を何度も棄権し、最終採決も棄権したからといって、この宣言を守らなくていいということにはなりません。いまさら、中身がどうのこうの文句を言ってスルーしてたらいけないのです。

国連加盟国である以上は、国連憲章に則り、新たな国際法となったこの宣言を守るために知恵を絞り、努力しなければなりません。

ここに院内集会を開催する意義があります。

*といっても、以上も以下も私の個人的な見解であり、主催者の総意ではありませんので、その点はよろしくお願いいたします。

つまり、この宣言の採択を受けて、政府と小農、市民は、早急に以下のことを大いに語り合う必要があると思います。(前提に、日本の小農や小農団体、農村の人びとがこの宣言の動きをまず知る、内容を理解する、使えるものがあるか吟味する・・・という作業も不可欠です)

1)まず日本政府は小農宣言や家族農業の10年をどう理解しているのか?
2)国際合意となった以上、加盟国として、どのように取り組んでいくつもりなのか?
3)以上の1)と2)は日本の小農や小農団体にとって、どのような意義・課題があるのか?
4)国際法となった小農の諸権利の実現のために、政府や小農や市民が一緒に、あるいは、それぞれ、やるべきことは何か?

しかし、とくに、現政権下の日本の政府関係者にとって「権利」という言葉は煙たがられるでしょう。しかし、この宣言が「権利」として位置づけられていることには理由があるのです。(また詳しく解説します)

もし日本の政府が今年始まる「家族農業の10年」ばかり重視し、この「小農権利宣言」を祖末に扱うとすれば、それこそまさに国連憲章に反し、国連小農宣言に背を向け、「小農の権利」を蔑ろにしたことになります。

国際法が定める義務の観点から、この二つの動き(宣言と10年)の関係は次のようなものとなります。
「小農の権利に関する国連宣言」>キャンペーンとしての「家族農業の10年」の決議

なぜなら前者には、加盟国が守らなければいけない国際義務が条文として策定されており、後者は加盟国として一緒にアクションしようねの決意文だからです。(この違いは、院内集会までに詳しく紹介したいと思います)いずれも国連総会で議決されているので、その意味では拘束力はあります。

もちろん、政府は「must(しなければならない)ではなくshall(やります)だ」と言い張るでしょう。でも、「やります」は国際的な約束であり、約束した以上はその履行が義務となります。もちろん、ソフトローなので、義務違反への処罰はありません(ハードローとの違い)。しかし、この宣言文に書かれたことすべてが加盟国の義務であることは動かし難い事実です。それを「内容に賛同できないからやらない」といってしまうことは、国連憲章違反となります。

なので、そのような説明を外務省や農水省がすることはできません。
万一したら、国連総会あるいは人権理事会への重要な報告事項となるので記録しておくようにお願いします。ありえる発言が、「理解できないのでやりようがない」ですが、そういってきたらこの宣言を起草したり主導した加盟国・諮問委員会・専門家グループ・小農運動を、日本政府の資金で、日本に招待して、大いに説明してもらい、学びましょうといえばいいのです。

この間の日本政府関係者の説明では(@国連人権理事会での議論)、「小農の権利」について議論しているのに、「日本は小農支援しているから大丈夫」みたいな話がずっと展開されてきました。このような話法は、今回採択された「小農宣言」の中身に照らし合わせると、明確なる権利侵害です。ここもまた重要ポイントです。

おそらく、親方日の丸的な国家運営や援助をしてきた日本の役人・役所、その他の機関、あるいはコンサルタントや専門家にとって、ここが一番分かりづらいところだと思います。「あ、なるほど!」と、ストーンと落ちないのだと思います。

その前提に「自分たちの方が小農よりも知っている!」という思い込みがあります。そして、この点こそが、「小農権利宣言」が「差別」あるいは「権利侵害」として断罪している点なのです。

この国連宣言が加盟国に義務づけたのは、小農の権利としての政策策定・決定段階への参加でした。旧来型の手法、つまり、小農を支援する方法を政府や専門家が考えてあげて、それを小農側に押し付けるやり方は、小農の参加を軽視し、かつ妨害する行為にあたり、「宣言」に照らし合わせると、明確な権利侵害となります。

(*このブログでおなじみの「プロサバンナ事業」は、もはや新たに国際法となった「小農宣言」を踏まえれば、違法となります。単純に、地域の小農と小農組織が強く反対していること、現行のマスタープランは日本のコンサルが策定してから意見を求め、策定段階から関わるのでなければ意味がないと小農が主張してきたことなどが挙げられます。この点は別途書きます。)

なぜ、小農宣言がソフトローとはいえ、2018年時点で切実なる国際合意・「国際義務」として策定されたのか?まさ、繰り返し唱えられた「non-discrimatory(非差別)」という言葉にその精神が示されています。

いま、食と農をめぐっては、世界大・日本でも、投資家・企業支配が強まっています。小農による生産は非効率で規模が小さく、駆逐されても仕方のないものとして扱われ、その結果として、南の国々では小農の手から土地や水や森林が奪われ、北の国々では政策的な支援メニューが奪われています。

(しかし、小農こそが地域社会において、家族の、人びとの食を提供しており、してきた最も重要なアクターである、そうこの宣言は前文で唱えております。)

一方で、大企業や投資家には土地や水などを小農から奪うための規制緩和、手厚い補助金、税の免除などの支援が与えられています。

つまり、小農はとても太刀打ちできない非対称的(差別)状況を押し付けられているのです。なので、「差別」というのは、文化的社会的なものだけでなく、政治経済や政策面での差別を含んでいます。

この結果は、わたしたち食べる人にも悪い影響を及ぼしています。
食べる人は、ごく少数の多国籍企業が扱う種子やそれにあわせた化学肥料や農薬を使って大量生産された画一化された背景をもつ食に依存させられつつあります。このまま小農が直面する苦境が改善されず、小農による食の提供の可能性がなくなると、食べる人の側の選択肢はなくなります。

その結果は、「食」に留まらず、古代から現在まで生き残ってきた品種、生物多様性、世界の小農が農村部で守ってきた自然環境・生態系が、破壊され、消失することになります。つまり、小農の消滅は、「食と農」に留まらない、地球全体の危機を決定的にすることになるのです。

これをなんとかせねばと去年末に世界は立上がりました。
2012年から延々と国連理事会を舞台に続けられてきた国際交渉を経て、2018年12月に121カ国の賛同により、この宣言は国際法となったのです。

世界を動かしたのは小農たちでした。
(過去投稿をご覧下さい)

一方で、日本ではそのことも知られないばかりか、すでに世界中で行われて問題視されてきた手法(外資導入、土地集積、企業支配)が推し進められています。

もちろん、日本の農村は高齢化が深刻です。しかし、それを乗り越えるための本来あるべき小農がほしいと思っている支援ではなく、都市や東京の政策立案者や企業や投資家が「押し付けたいあるべき解決」にこそお金がついている状態にあります。このままでは、農村や田畑でがんばっている小農のみなさんを本当に応援するどころか、それらの人びとを押しつぶす事になってしまいます。

ということで、前置きが、お約束通り長くなりましたが、これらのことを多くの人に知ってもらい、かつどうしていくべきなのか考えていくために、ぜひこの院内集会に多くの人が参加くださることを願っています。

詳細は下記サイトをご覧下さい。

******
http://unpesantsrights.blog.fc2.com/blog-entry-2.html

2・18「国連小農宣言・家族農業の10年」院内集会

■日時: 2019年2月18日(月) 14時〜17時30分(休憩あり)
*集合時間:13時30分〜13時45分 会館入口ホール

■ プログラム:
【第1部】(14時〜15時30分): 農民と農民団体からの提起と取り組みの紹介

司会:渡辺直子(日本国際ボランティアセンター)

1. 岡崎衆史(農民運動全国連合会)
「世界の農政を小農が動かした! 国連小農権利宣言の背景と意義」
2. 萬田正治(小農学会共同代表、鹿児島大学名誉教授)
「いま、なぜ小農なのか」
3. 松平尚也(耕し歌ふぁーむ/小農学会/京都大学大学院)
「世界的な小農の再評価と日本の農業の課題」
4. 斎藤博嗣(一反百姓「じねん道」/小規模・家族農業ネットワーク・ジャパンSFFNJ)
「温故“地”新」による魅力ある日本農業を、国際家族農業の10年と共に」

【第2部】(16時〜17時30分): 政府関係者との対話

■場所:
参議院議員会館101号室(東京都千代田区永田町2-1-1 )

■アクセス:http://bb-building.net/tokyo/deta/457.html
地下鉄永田町[1](4分)、国会議事堂前[3](7分)、溜池山王[8](12分)

■定員/参加費:100名 / 500円(学生無料)

■申込み先:
2月17日(日)午後6時までに、下記サイトにてお申込下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/7c51e143606306
(*集合時間に間に合わない方は具体的な到着時間を備考欄にお書き添え下さい)

■当日ボランティア募集:
詳細は以下サイトをご覧頂き、ご登録頂ければ幸いです。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/35323682607007

■主催:国連小農宣言・家族農業10年連絡会 
http://unpesantsrights.blog.fc2.com/
********************



a0133563_21133661.jpg



by africa_class | 2019-02-02 21:30 | 【国連】小農の権利宣言

「小農権利宣言」国連採決目前、3カ国(日本・モザンビーク・ブラジル)の農家と民衆会議を日本で初開催することになりました

みなさんは、来年から「国連家族農業の10年」が始まるのを知っていましたか?そして、もうすぐ「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」が国連総会で採択されることも?

一昨日(2018年11月25日)にニューヨークの国連総会で、ついに「小農権利国連宣言」のドラフトが提出され、これを準備した政府間作業グループの議長が紹介しました!(第73回国連総会34回会合第3セッション)2012年に国連人権理事会でこの議論が開始されて6年、世界最大の小農運動が夢見てから15年以上が経過しましたが、ついに後一歩となりました!

この国連宣言の画期的な点は、2008年の「国連先住民族権利宣言」に続くとともに、さらに大きな意味をもっています。国際法上も沢山のチャレンジがあり、大いに議論がなされ、ついにこの日がきました。とくに、「食の主権(食料主権)」「土地への権利」「種子への権利」「生物多様性保全への権利」などの「新しい権利」について、「小農」を国際人権の保護対象の特定グループとして認定する点についてなどです。

これらのことはすでにこのブログで紹介しましたし、12月に農山漁村文化協会から出される「国連家族農業10年」を祝う本に書きましたので、そちらでご確認いただければと思います。重要なことは、米国やEUや日本の反対があったけれども、世界の圧倒的多数の国々がこの宣言とドラフトに賛成しているという点です。

国連総会では、ボリビア、キューバ、南アフリカのアツいサポートの演説の合間に、インドネシアの「土地への権利」への懸念、EUのどうしようもないスピーチがあったものの(相変わらず、集合的な権利を認めない、「食の主権」と「種子への権利」が権利として不明瞭・・・とぶつぶつ言い続けてる)、とにかく前に進むことと思います。

2019年の「家族農業10年」が始まる前に、必ず採決される見込みです。

世界1億人を超える小農と農村で働く人びとの権利を守ることは、都市の生活者の権利を守ることにつながるという冒頭の議長の指摘はそのとおりです。なぜなら、農薬づけの生産方式は、生態系の破壊につながるだけでなく、また生産者だけでなく消費者の身体も蝕みます。また、遺伝子組み換え技術や種子の採取禁止は農家の自由に生産する可能性をどんどん狭め、また当然ながら生態系や私たちの身体に大きな影響を及ぼします。

今回の「小農権利宣言」が守ろうとしてくれているのは、農民の暮らし・身体だけでなく、都会に暮らす私たちの暮らし・身体をも含んでいるのです。そして、これを実現するにあたって、最前線にたち、宣言文のドラフトをつくったのが、世界の小農運動(ビア・カンペシーナ)であるという点に、注目いただければと思います。とくに、ドラフトのもとになる「小農男女の権利宣言」をつくったのは、インドネシアの農民たちでした。

日本でも世界でもお金をもっている消費者が強く、生産者は下にみられがちです。そして、その消費者をコントロールすることができるようになった巨大スーパーなどのグループ、そのグループに食料を調達する商社、それに大量の生産物を提供するアグリビジネス、さらにはそのための資材(たね、農薬、化学肥料)・・・などの重層的な権力構造ができあがりつつあります。

わたしたちの命や健康や未来が「儲け主義」に支配されつつあるなかで、最も弱い立場におかれてきた南の国々の農民たちが立ち上がり、最前列で「健康な食と農」を守ろうとしてくれていることに、私たちは感謝しなければなりません。

そのことを知っていただく機会にしていけたら・・・ということで、なんと日本とモザンビークとブラジルの農家・女性・若者・市民団体・市民が集まって、3カ国民衆会議を11月20日から22日まで東京で開催します!来日する農家はすべて以上のビア・カンペシーナに加盟する農家さんで、「アグロエコロジー」と「食の主権」を目指していらっしゃいます。(これらについてはまた別途説明します)

もちろん、日本の農業にも沢山の個別の課題があります、
でも、だからこそ、いま世界で起こっていること、南から出てきた様々な新しい試みやオルタナティブを知ってもらいたいと思います。全体テーマは3カ国民衆会議〜危機の21世紀を超えて、つながりあい、食の幸せを未来に手渡すために〜

3カ国民衆会議については追って具体的に紹介していきますが、以下のサイトに一括情報が掲載されています。
http://triangular2018.blog.fc2.com/
ユースチームも立上がりました!
https://peraichi.com/landing_pages/view/triangular-web
が、お金が足りていませーーーん!
https://congrant.com/project/triangularfr/551

なにせブラジル・モザンビークから20名近くの農家さんや市民団体の皆さんがくるのです…が、バスでの移動費、日本の有機農家さんが全国から東京の会議にこられる移動宿泊費、3カ国の農家さんが大いに語り合うための同時通訳費(逐語では間に合わないので・・プロに依頼)などなど、あと160万円ぐらい不足しているのです。開催まで1ヶ月を切ったので、ぜひみなさまに仲間になっていただき、ご協力いただければ本当にありがたいです。

わたしは今迄世界の食と農の状況や議論、各種のアクターを日本の皆さんに紹介してきましたが、この会議はいろいろな面で、日本の食と農の未来にとって「あっちいくの?こっちいくの?どっちいくの?」の迷いの中で、大きなヒントをもたらしてくれると思います。

会議は3日間のイベントの他、プレイベントもあります。
詳しくは一括掲載のチラシをご覧下さい。
https://drive.google.com/file/d/15MKHDrSHXKe_yrc9EcGnkJcBE5WXRSzp/view


a0133563_20061263.jpg
写真は今年ブラジルで行われた「アグロエコロジー全国大会」の様子


by africa_class | 2018-10-27 20:53 | 【国連】小農の権利宣言

【祝!】国連人権理事会で「小農権利国連宣言」が採択!来月の国連総会へ。

とっても嬉しいお報せです!

本日、国連人権理事会で「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」が採択されました。残すは国連総会での採択だけになりました!(これでヒックリがえることはあり得ないので、もう採択はほぼ確実です)

しかし、以下の理事会での採択結果は目に焼き付けておきましょう。
賛成33、反対3(オーストラリア、ハンガリー、英国)、棄権11(日本、ドイツ、クロアチア、ジョージア、スペイン、スロベニア、スロバキア、ブラジル、ベルギー、アイスランド、韓国)

日本は案の定「棄権」でした。まあ反対するよりマシとはいえ、日本がこれに反対する理由は本来ないはずなのに。この権利宣言そのものに大反対の米国、そして英国に追従し、「種子の権利」にも反対を唱えていたぐらいなので。
https://afriqclass.exblog.jp/238467300/

でも、賛成した33カ国を見ると、とっても元気が出ます。
アフガニスタン、アンゴラ、ブルンジ、チリ、中国、コートジボワール、キューバ、コンゴ民、エクアドル、エジプト、エチオピア、イラク、ケニア、カザフスタン、メキシコ、モンゴル、ネパール、ナイジェリア、パキスタン、パナマ、ペルー、フィリピン、カタール、ルワンダ、サウジアラビア、セネガル、南アフリカ、スイス、トーゴ、チュニジア、ウクライナ、アラブ首長国連邦、ベネズエラ

中南米諸国の中には、会議中にかなり批判的な意見を言う国があったのですが、採決となれば一致団結してこれを推してくれました。ただし、ブラジル以外!!!ジルマ政権の弾劾後はアグリビジネス偏重のテメル政権だったので嫌な予感はあったとはいえ、春のセッションまではとても良い発言をしていたのに…。

あとは、アフリカ大陸はすべての理事国が賛成!!!
南アジアと東南アジアも!!
が、北東アジアは、中国のみが賛成で、日本と韓国が棄権と残念では済ませられない結果となりました。

この宣言文ですが、農民連の岡崎さん、国際NGO/GRAINのサポートを得てモザンビーク開発を考える市民の会の元スタッフの根岸朋子さんとわたしで訳したものを以下のサイトで公開しています。
https://www.farmlandgrab.org/post/view/27954-un-declaration-draft-on-the-rights-of-peasants
(*ただし今回のバージョンが採択されたわけではないので訳を修正しないといけません)

また、この「小農権利国連宣言」に至るまでのプロセスについては、12月に出版予定の農文協の本に詳しく書いておきました。(といってもいつもの如く沢山書きすぎて、未だ削らないといけないのですが…)

実は、この「小農権利国連宣言」の草案は、世界最大の小農運動ビア・カンペシーナが2008年に発表した「小農男女の権利宣言」をベースとしています。どうやって一小農運動の「権利宣言」が国連宣言に化けたのかについては、上記の本をお待ち下さいね。(書きたくてむずむずするが・・・)

で、このビア・カンペシーナ。世界80カ国に2億人のメンバーを有するというマンモス運動。一体これはどんな運動なのか…どこからきたのか…の疑問に応える本(訳書)も11月に発売の予定です。まだ邦題は確定していませんが『国境を越える農民運動』みたいなものになると思います。Marc Edelman & Jun Borras著 The Political Dynamics of Transnational Agrarian Movementという本です。お楽しみに。

国連総会での採決は10月予定。

この素晴らしいタイミングで、ブラジルとモザンビークのビア・カンペシーナ加盟団体が、3カ国民衆会議のために11月に来日します!日本・モザンビーク・ブラジルの農民や市民・NGOが3日にわたって語り合い、グローバルなフードシステムが私たちの暮らしにもたらす影響や政策を学び合い、これをどう転換できるか(どう転換してきたのか)話し合っていきます。

3カ国民衆会議は11月20日〜22日、東京です。
この栄えある日に、メインのイベント(11月21日@聖心女子大学4号館ブリットホール)である国際シンポジウムとマルシェ(ファーマーズマーケット)の案内が開始となりました。

詳細を確認の上、どしどしお申込み下さい。

3カ国民衆会議のブログ
http://triangular2018.blog.fc2.com/

a0133563_23331905.jpg
写真はブラジル・セラードの日本企業の農場のすぐ横の土地。一人の元「土地なし農民」のフィゲイロさんが、企業による大豆の大規模栽培によって「緑の砂漠」となってしまった土地を、他の人達と占領。その後、政府から土地配分を受けて、せっせとタネをまき続け、苗木を植え、数年でここまでの「食べられる森(エディブルフォレスト)」をつくりました。地元の教会の「土地司牧委員会(CPT)」の神父さんから学んだアグロフォレストリーの技術を取り入れています。

当初の「小農の権利宣言」には、アグロフォレストリーとともに食の主権も書き込まれていました。


by africa_class | 2018-09-28 23:55 | 【国連】小農の権利宣言

完訳!国連「小農と農村で働く人びとの権利に関する宣言」(案)。日本と世界の「食と農の危機と希望」。

ビオトープではついにカエルが大合唱。待ちに待った春です!
つい先週まで毎日零下だったのでウソのようですが、春は突然やってくる。
そして待ってくれない・・・ので、すごく忙しいです。
剪定が間に合わないままに、また春がきてしまったので。

それはさておき、長きにわたった国連「小農と農村で働く人びとの権利に関する宣言」の全27条の訳が完成しました。あまりに忙しくなり私が完訳できなかったので、国際NGO・GRAINの協力を得て、翻訳家の方と二人三脚で終らせました。

全部はあまりに長いので(14頁!)、PDFを以下のサイトからダウンロード下さい。
https://www.farmlandgrab.org/post/view/27954-un-declaration-draft-on-the-rights-of-peasants

ただし、現在は以下の国連総会提出の原文に基づいていますので、その後修正がされていっています。修正され次第訳も改変していきますが、とりあえずはこのようなものが国連人権理事会で議論され、総会に提出されたということで。

原文 A/HRC/WG.15/4/2(国連総会提出):
https://documents-dds-ny.un.org/doc/UNDOC/GEN/G17/051/60/PDF/G1705160.pdf?OpenElement

なお、日本ではまだ十分に理解されていない「食の主権」「アグロエコロジー」「種子の権利」などの概念がしっかりと条項に反映されています。国連人権理事会、次に国連総会で採択されると、日本にも大きな影響がある条約となります。日本の農家の圧倒的多数が「小農」です。

日本でこの宣言文がまったく話題になっていないことを前回ご紹介しましたが、種子法が廃案になるなど、日本の食と農も危機に直面。この食と農のプライベチゼーション(私有化・民営化)は90年代以来、とくに2000年から加速的に強度を増しながら、南の国々(アジア、アフリカ、ラテンアメリカ)を襲ってきましたが、現政権下でついに日本にも「黒船到来」です。

この権利宣言は、そのような私物化によって自らの土地・たね・声が奪われた小農や土地なしの人びとが力を結集して、国連での議論に持ち込んだものです。

ぜひ多くの方に関心をもってもらえれば。

*****

〔宣言の構成〕

前文

第一条 小農と農村で働く人びとの定義

第二条 締約国の一般的義務

第三条 平等および差別の禁止

第四条 小農女性と農村で働く女性の権利

第五条 天然資源に対する権利と開発の権利

第六条 生命、自由、安全の権利

第七条 移動の自由

第八条 思想、言論、表現の自由

第九条 結社の自由

第十条 参加の権利

第十一条 生産、販売、流通に関わる情報の権利

第十二条 司法へのアクセス

第十三条 働く権利

第十四条 職場での安全および健康の権利

第十五条 食への権利と食の主権

第十六条 ディーセントな(十分な・まともな)所得と暮らし、生産手段の権利

第十七条 土地と他の天然資源に対する権利

第十八条 安全かつ汚染されていない健康に良い環境への権利

第十九条 種子の権利

第二十条 生物多様性の権利

第二十一条 水と衛生の権利

第二十二条 社会保障の権利

第二十三条 健康の権利

第二十四条 適切な住居の権利

第二十五条 教育と研修の権利

第二十六条 文化的権利と伝統的知識

第二十七条 国連と他の国際機関の責任


a0133563_22423830.jpeg

by africa_class | 2018-03-12 22:43 | 【国連】小農の権利宣言