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【続報】国連「小農の権利宣言」議論で、日本政府代表が「たねの権利」を認めないと発言。国連議場で繰り広げられた国際バトルと対米追従。

今日は国際小農の日です。その日にこれを書いていることの意味をシミジミ感じます。

さらに随分時間が経過してしまいました…。
前の投稿で春と思っていたら、あれから極寒が戻ってきて、結局日本に行って戻ってきたらようやく春がきたという感じです。霜が降りないと思われる季節になったので、畑の仕事は大忙しです。朝から晩までやってるけれど、終らない・・・。猫の手も借りたい。モグラの手は借りているのですが(丁度よい場所を掘り返してくれてる)

さて、先週4月10日から13日までジュネーブの国連人権理事会で、国連「小農と農村で働く人びとの権利に関する宣言」のドラフト文の最終的な議論が行われていました。

この宣言文については、下記をご覧下さい。
https://afriqclass.exblog.jp/i43/

第1回から8回までの議論の様子は下記サイトで視聴可能です。

国連「小農と農村で働く人びとの権利に関する宣言ドラフト」に関する交渉
第5回セッション

http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/RuralAreas/Pages/5thSession.aspx

私は畑仕事をしながら少しずつ聴いているのですが、十分追えていなかったところ、ジュネーブの国連会議場にいる市民社会の皆さんが「日本政府はどうなんてんの?」とのご一報を下さり、何かと思ったら「日本はEU(ヨーロッパ連合)に加盟でもしたの?」と。どうやら日本政府代表は「EUと同じ立場をとる」と言っているそうで、最初は「米国と同じ立場じゃないのね、よかった」と思っていたのですが、どうやらそういうことではない。

最後にどんでん返しがあるので(残念ながら)、最後まで読んでね。

EU自身が後ろ向きの立場になりつつあると知って、これは大事と思って、日本政府代表の発言を確認しなきゃーと思ったものの、こちらは農繁期かつ携帯の電池がもたない。。。

でも、どうせ、こういう会議の日本政府代表の発言というのは、大国や自分がその後ろにくっつきたい政府代表の発言のあとに、しれーーーっと出してくるので、最終日だろうと狙いをつけて待っていたところ、はやり最終も最終・・・・13日金曜日の午後の最後のセッションにご登場(前にも出ていたようですが)。

http://webtv.un.org/meetings-events/human-rights-council/watch/8th-meeting-5th-session-working-group-on-rights-of-peasants/5769486881001/?term=&sort=date?lanarabic?lanarabic?lanrussian
基本、英語とスペイン語とフランス語なので、右上のEnglishを選択して再生すると英語の同時通訳に切り替わります。

食料主権の条文の削除の件は別途書きますが、最終セッションのテーマは「collective rights」に関するものでした。この小農の権利が、小農個々人に限らず、その集合体・コミュニティの権利を謳っていることについて、異議が挟まれる形となったのです。これは国際法を学んだ者には大変面白い議論なので、改めて紹介したいと思います。

問題はcollective rightsは認められないという立場をEUが表明したという点です。
これをnew rightsとして、これを新しく創設することには反対と述べ、なんとか全員に受け入れられる解決を求めたいと提案していますが、わざわざルーマニア政府代表に話をさせている点が、後々面白い展開になっていきます。そこで、議長が、反対とい意思は分かったが、具体的にどの部分が問題なのかなどを明確にしてほしいと提案したのですが、そこで出てきた英国政府代表の説明がなんとも・・・妥当性を欠いている。

英国が出てきたので、どっかで米国が出てくるな・・・と思っていたら、やっぱり出てきました。いつものパターンなんですが、分かりやすすぎな感じで、その直後というのが「お決まり」な手順で、思わず笑っちゃいました。

で、米国政府代表・・・会議に全然参加してこなかったし、先週まったくこないのに、最後のセッションに出てきて、ちゃぶ台ひっくり返すの巻。そもそも、この権利宣言に賛同していない、と。

いつもの感じなので、それはそれでおいておいて、なぜ反対なのかに一応耳を傾けておきましょう。

米国政府代表発言要旨:
・ここでカバーされているイシューが国連人権理事会で議論するには相応しくない。
・collective rightsは賛同できない。個人のrghtsが優先されるべき。国際人権法上も。
・この権利宣言に書かれているいくつかの概念に反対。
<ー例)種子の権利、伝統的な農法を続ける権利、食料主権、生物多様性の権利。

<ー目標であって人権といわれる権利の概念ではない。
・技術移転に賛成しない。知的財産権を侵害しうるものに賛成しない。すべてのアクターを平等に扱うべき。経済利益を侵害するから。


以上の提案を反映しないのであれば宣言に賛成しない。

しゃべり方自体が、なんというかジャイアンというか、ぜひ皆さんの耳で直に聴いてほしいなあと思ったところです。
これに対して、すごく静かにビア・カンペシーナの代表(インドネシア)の方が静かに語り始める。しかもファクトに基づいて。なんとも対照的で、これを見るだけでも価値があると思います。ちなみに、先月ハーグであった国際学会でキーノートを話されていた方で、なんともさすがな感じ。

次に、国際NGO・FIANの専門家が、超ドイツ語訛で(笑)、これでもかというぐらい反証を出していくので、これも是非みてほしいです。要は、collective rightsが新しいrightsなんかではなくて、国際法上にしっかり存在してきたことを、一個ずつ紹介していっています。で、ヨーロッパ連合には、これらを反証できるのなら反証して、知らないだけかもしれないけど・・・その上で具体的に問題を明らかにしてほしいと述べて、議長に「よい質問だね」とtake noteされる。

<ーなおこれらの根拠資料は議場に配られていたみたいなので、後で確認してリンクをつけますね。

CETIM、ボリビア政府代表が、とっても静かに、「collective rightsは新しい権利なんかじゃないよ。知らないの?」それに、国内法でも中南米の集まりでも、collective rightsは明確に定義されて書き込まれてるよ、あれこもれも・・・とファクトを積み上げられ続け、そもそも小農や農村で生きる人びとのリアリティに基づいて考えてドラフトされているんであって、本当に権利を守りたいと考えているのかと詰め寄られる。

次にビア・カンペシーナ欧州のフランス農民が、フランス農村の水利権はccollective rightとして保証されていて、そのコミュニティから退出するとその権利は消えるために個人の権利ではない・・・つまり小農の生きる現実に基づいた宣言をつくる上で、当然の前提なんだが、そういう前提知らないの?・・・的なカウンターパンチが入れられていました。EUのしかも小農代表が語るリアリティ。フランスの政府代表が無言なのに注目。エンクロージャー後の英国政府代表が矢面にあえて立ったのが分かりやすい。

しかし・・・まさかのこのタイミングで、日本政府代表が登場。
あまりにないタイミングで・・・。

米国のすぐ後に手をあげるとグルだと思われるから、ちょっと置いてから・・・と思っていたのでしょうが、その戦略があだとなって、すでにEUや米国の主張は、ファクトに次ぐファクト、法律上も前例上も現実面でも・・・積み上がった後に、出てくるという最悪のタイミングとなりました。

が、日本政府代表は、本省が米国と打合せで決まった文言しか読み上げることができないので、あまりに発言のタイミングが妥当性を欠こうが、用意してきたものを読み上げるということになります。で、何を読み上げたのか?

公式テキストは後日あがってくるので、以下仮訳。

1時間8分
日本政府代表(2018年4月13日午後、第五セッション、第8会合)
1)議長、collective rightsの時間を設けてくれてありがとう。
2)このワーキンググループに建設的な参加をしてきた。小農と農村で働く人びとが暮らす厳しい現状を理解している。
3)すでに各国政府代表が述べたように、人権はすべての人に享受されるべき。
4)世銀の興味深い統計を紹介する。農村人口は国によって違いがある。
5)日本では、94%が都市住民である(2016年)。
6)地球上の54%が都市部に暮らす。
7)このセッションで既に述べたように、この宣言ドラフトは権利として広くは認られていないものが含まれている。
8)これには、種子の権利が含まれます。


思わずスルーしたいほどの稚拙な中身のない、しかし「種子の権利反対」の一点で驚くべきスピーチ。

このドラフトの最後の最後の交渉で、唯一言及したのがまさかの「種子の権利」が人権として認められないということですかいな。。。この最終セッションは、collective rightsのセッションで、EUですらその観点からのみ問題提起しているのに、米国の色々認められないと主張する権利の数々のなかから、日本政府代表があえて一つ選んだのが、「種子の権利」!!!

しかも、つい今年の4月1日まで、世界に誇れるすばらしい種子法をもっていた日本が・・・日本の農民のためにもならず、世界の農民のためにもならず、彼らの農業を守ろうとするどころか、多国籍企業(遺伝子組み換え企業)の片棒を、政府の立場として担ぐという現実。

みなさん、知ってました?
日本政府代表は、国連の国際交渉の場にいって、「種子の権利」を条文から無くせといっていますよ〜!



さらには、このどうでもいい世銀の統計…なんなんでしょう。日本政府は自国の農村・都市人口を語る際に、わざわざ世銀を引用しなければならないのでしょうか?そして、このデータをなぜ引用しているのかの説明もなし。聴いている人に慮れということであれば、国際場裏においてそんな話法は通用しません。ファクト→分析→結論。あるいはその逆が示されない発言には、価値も意味もありません。

とはいえ、あえて日本政府代表の云いたかったことを想像してみると、さらにこのスピーチの酷さがあぶり出されます。つまり、小農の数が日本では圧倒的に少ないから、ついでにいうと世界においては5%だけ都市人口に負けているから、小農の権利を重視すると割をくうそれ以外の多数者が出るって論理でしょうかね?

なんのためにこのワーキンググループに参加してるんでしょうか?ただ米国やその他の同盟国の太鼓持ちのためだけ?きちんと参加してれば、そして真摯にこの宣言をつくろうとなった背景を学んでいれば、この最後の最後のセッションで、こんな稚拙なデータを出してはこなかったと思います。

つまり、このあと何度も国連専門家にも各国代表にも(市民社会だけでなく)、念押しされた点を紹介して終ります。

世界の小農と農村で働く人びとという枠組みで権利宣言を作らなければならない現在世界的に切迫している現実、そして歴史的にこれらの人びとがマイノリティ(数だけでなく権利面で)として迫害を受けたり権利剥奪を受けてきた現実がある・・・そのために皆集まってるんじゃないですか、何をいまさら・・・

ということで、最後は説得力のある、時に涙なしには聴けない、専門家や各国代表のスピーチが数珠つなぎで連なっていって、もはやEUも誰も反論できない・・・まま閉会に至ったことを、皆さんにもお伝えしておきたいです。

とはいえ、パワフルな国々と日本の横やりによって、何がどうなったのかについてはフォローする必要があります。
では・・・畑に戻ります。

でも、畑の作業のなかで聴いたのが、本当によかったです。

そして、最後の最後に議長が、明日サイドイベントで「母なる地球 Mother Earth」のイベントをボリビア政府とエクアドル政府で主催するので、ぜひ皆さんにも起こしください、、、と呼び掛けていたのを耳にして、なんともいえない感慨を覚えた次第です。

この話を単に経済・農業でしか捉えられない、あるいは米国追従の国際舞台としてしかみられない皆さんにも、ぜひ自分たちが日々食べているものが、どこからどのようにやってきているのか、これは自然が破壊されたときにどうなるのか、皆さんも自然の一部だという現実をどう捉えるのか、考えてほしいと思っています。





by africa_class | 2018-04-18 01:20 | 【国連】小農の権利宣言

見たことある?「セラード」の森:「川べりに暮らす人びとのコミュニティ」を守るには

12月に入ると俄然クリスマスのムードが盛り上がってくる。
とともに、寒さも増し、普通に毎日零下が続く。

だけど今日は熱帯(トロピカル)の話をしようと思う。
今、原稿用の写真ファイルを見てて、未だ紹介してなかった「セラードの森」の写真を紹介したいな、と思ったので。原稿に疲れたのでひと休憩も兼ねて。

なぜって、依然として日本の皆さんのイメージは「セラード=不毛の大地」ですよね?
でも、違うんです。
今日のお話と写真はそのことについて。

去年6月、ブラジルの市民社会から「すぐ来い」と言われたので行ってみた・・・報告です。1年半もかかってすみません。

なぜ呼ばれたのかというと、またしても「日本が・・・」だったのですが、これは過去の投稿をご覧下さい。要は、アマゾン周辺のセラード地帯から港に向かうインフラを整備して内陸部でガンガンに農業開発をする・・・MATOPIBA計画です・・・。詳細は以下の投稿を。

アマゾン周辺地域まで伸びるアグリビジネス:日本が関わるMATOPIBAを知っていますか?

http://afriqclass.exblog.jp/237969424/

未だ病気が完治していないので、とっても迷った。
ブラジルなんといっても二十数年ぶりだし…・。
そもそも、私、アフリカでも手一杯。
なんでラテンアメリカまで…。

でも、自分の目で見て、耳で聞いて、感じなきゃ・・・というのもあった。

「セラードの森」
なんとも神秘的な響きだ。

ということで、この投稿ではセラードの森を紹介。

まず基礎知識。

「セラード」の言葉の語源を考えれば、「不毛」などという言葉がいかに間違っているか明らかなのに、日本の援助関係者の流布するイメージのせいで、「セラード」を「森」に連動させてイメージする日本の人はほとんどいないでしょう。

JICAが使う写真が、きまって草ぼうぼう(何故かいつも枯れている…)の向こうにちらりとまばらな木々が見えるものだったりするので、このイメージが付きまとう。

自分の目で確認して下さい。
https://www.jica.go.jp/story/interview/interview_75.html
https://www.jica.go.jp/topics/2009/20090525_01.html
http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/ProSAVANA/oda/2012121405.pdf

でも、セラード=Cerradoは、Cerrar「閉じる」という動詞の受動態。なので「閉ざされた」。つまり、「濃い森によって閉ざされた地帯」の意味なのです。

エーーー?!

日本のアグリビジネスや援助関係者には是非驚いてほしいところ。

じゃあ、なんで殊更「不毛の大地」と呼称し続けるのか?
しかも、最初にそう呼んだ1938年フランス人探検隊の呼称を使い続ける「目線」が、本当に失礼千万かつコロニアルですが、その話は前にもしたし、また今度。

一点どうしてもいいたいのは、セラード農業開発の関係者が繰り返し使う「原野」という表現。これは「雑草や低木の生えている荒れ地や草原。未開拓で人の手の入っていない野原」の意味ですが、非常に恣意的な表現。Cerradoの語源を考えるだけでも、この地域が「野原」であるとは言えない。ましてや「荒れ地」…。

閉ざされた森林地帯のセラードは、アマゾンに次ぐ重要な森林地帯であるばかりか、生物多様性の宝庫。植物だけで1万種以上が確認され、セラード固有の植物がその45%を占める。動物たちも含め絶滅危惧種のホットスポットとなっているほど、自然豊かな地帯であったのが、アグリビジネスの進出で地球上で最も激しく森林伐採と土地収奪が行われているところの一つになっています。

Landmatrixのデータでも、世界4位の土地取引先がブラジルで、300万ヘクタールを超える(これは日本の総耕地面積に近い広さ)。すでに多くの土地が開墾されてしまっているので、新たな取引は森林や先住民族らが暮らす地域をターゲットにしていると考えられます。<=ここは詳細なる調査が不可欠。
http://www.landmatrix.org/en/get-the-idea/web-transnational-deals/

さて、その急速に奪われつつある森と水と土地の話はすでにしたので、今回紹介したいのは、「セラードの森」とそこで暮らす人びとの闘いについて。

まずは、セラードの森を。

といっても、アグリビジネスの恐ろしいまでの展開スピードで、現在残されている森は人びとが守ってきたものだけ。ですので、人びとが共に暮らしながら守る「里森」のようなものであって、手つかずの自然というわけではないことを念頭においていただければ。

また訪問先は、MATOPIBA計画の対象地であるマラニャオン州、トカチンス州、ピアウイー州の森。
まずは、先のブログ記事で少し紹介した(下記)、「川べりに暮らす人びと(リベイラオン)のコミュニティ」の話を最初に取り上げます。とくに、どうやってこの森が生き延び、今危機の中で守られているのかについて。

Thanksgivingに新書のスケルトンを終えて:「欲望という名の列車」から降りることについて

http://afriqclass.exblog.jp/238014098/

なお、川べりの植生なので「濃い森」ではありません。あしからず。

では、ピアウイー州とマラニャオン州の境の「川べりに暮らす人びと」のコミュニティの森と木々、果物、人びとの話を聞いてみてください。

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どの木も食べられる実がなる果樹で、人びとの大切な栄養の源になっている。とくに、子どもたち。

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そして、アフリカでもブラジルでも、人が集まるところには必ずある木。
もちろん、マンゴーの木もありました。マンゴーの木の下は、川のそばの、皆が捕れたての魚をさばいたり、グリルで食べるための憩いのスペースとして活用されています。

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まだ熟していないマンゴー。
ブラジルのマンゴーはモザンビークのものと違って鮮やかなオレンジ色で小さい。
モザンビーク北部のは白くて大きくて桃のような味。
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このコミュニティが守られてきたのは、川経由で船がないと近寄れないほど、濃い森に覆われていていたため。でも、最近は土地を狙った動きに「水源」を奪おうとする動きが加わって、このコミュニテイも頻繁に収奪の危険に曝されている。
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行政が勝手にこの土地をアグリビジネスに引き渡したのでした。
ブラジルでは土地収奪において行政の偽文書の役割は大きく、さらにこれを実力行使するために使われる常套手段が、ビジネス主が雇った武装集団による追い出し作戦。その中には地元警察官が含まれていること多々。このコミュニテイも、そのような武装集団に何度も襲撃されています。

コミュニティが助けを求めたのがカトリック教会。
隔離されたコミュニティにとって、NGOや弁護士は遠い存在。
警察も行政もアグリビジネスやギャングとグル。
教会しか駆け込む先がないのです。

その話の詳細は前の投稿を。
ただ、写真をここにも貼っておきます。
ブラジルの教会は「不正義に闘う教会」です。
クリスマスが近づくこの季節に是非その事を知ってほしいと思います。

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カトリック教会の「土地司牧委員会CPT」は、このコミュニティで会議をすることにしました。コミュニティや教会だけでなく、NGOや弁護士やその他の皆が「ウォッチしているよ」というメッセージも、隔離されたコミュニティには非常に重要だということです。
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ブラジルの憲法には、「伝統的コミュニティ」というカテゴリーがあり、その領域は本来権利が守られることになっています。これは、国連のファミリー組織であるILO(国際労働機関)の条約でもそうです。

これを日本の人が理解するのが難しいのですが、「先住民族コミュニティ」「アフリカ系コミュ二ティ」の総称ではなく、色々なところから来た人びとが何十年(何百年)にもわたって作り上げてきたコミュニティのことです。このコミュニティも、先住民族、アフリカ系、ヨーロッパ系など様々な先祖を持つ皆さんが暮らすコミュニティです。顕著な文化・暮らしを営んでいることがその条件で、このコミュニティもそれに当たります。

ルーラ政権の誕生で、これらの人びとは大学入学の優先枠(アファーマティブアクション)を与えられ、このコミュニティの何人かの若者も近くの大学で勉強しています。そこで、ある若者が州立大学の農学部で学んだ知識で菜園を始めたそうです。でも、その後、土地問題を一緒に取り組んだ教会の皆さんに学んだアグロエコロジー講座の方が役に立つと気づき、今菜園を変えようとしているそうですが、未だその途中ということで、恥ずかしがりながら菜園を見せてくれました。

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この「伝統コミュニティ」で農業が盛んでなかった理由は簡単です。
森が果物を与え、川が魚を与えていたからです。

北東部の人びとに「セラードに特徴的なことは?」と聞くと何人かは必ず「フルーツ!」といいます。それぐらいセラードのフルーツは住民に愛されている食べ物であり、飲み物でもあります。道路脇のスタンドには、大抵セラードのフルーツのジュースが売られています。

「食料」の話では、とかく農業がフォーカスされがちですが、「漁業」「酪農」もまた重要な生業です。そして、特に何もしなくても恵みを与えてくれる森の果物について、世界はあまりに軽視してきすぎました。

いずれこのブログで取りあげる「食料主権」において、漁業も狩猟も牧畜も非常に重要な役割を占めています。私たちはいつの間にか「食料」を「食糧」と置き換えてきました。このことの問題について、また改めて考えたいと思います。

さて、ブラジルにいる間にセラードのフルーツの名称を教えてもらったのですが、20は下らず、またアルファベットでどう書くのか不明なものも多く、ここで紹介することができません。。。が、北東部ではあちこちのアイスクリーム屋さんに、これらのフルーツのアイスがあります!

幸いセラードのフルーツの栄養価の高さや美味しさに目を付けた企業がありました。
「セラードからの美味しいもの」
http://www.deliciasdocerrado.com.br/
12種類のセラードの果物の味のアイスを販売しています。

実は、2011年からWorld Watch研究所が、野生の果実がいかに地球と人びとを救う可能性を秘めているかの調査と啓発活動を行っています。
http://blogs.worldwatch.org/nourishingtheplanet/about-us-2/project/

日本ではほぼ知られていないのが残念すぎるのですが、『ProSAVANA市民社会報告2013』の4章で紹介しているので是非ご一読下さい。(900円しますが売り上げはNGOに寄付される仕組みです)
http://www.dlmarket.jp/products/detail/263029

戦後、人類は自然が与えてくれる恵みを否定し、自分たちが人工的に創り出す食べ物こそに価値を見出し続けてきました。そうやって私たちの身体が蝕まれてきただけでなく、地球もコミュニティも蝕まれている現実を前に、「健康に食べる、命を繋ぐ、将来の世代に環境を手渡す」という観点から考えていかなければならないと思います。

さて、次はこのコミュニティの人達が、教会のアグロエコロジーの研修で出会った農民の森・畑をみて学びが沢山あったというので、その方の家にいったときの写真を紹介します。



by africa_class | 2017-12-03 02:22 | 【考】土地争奪・プロサバンナ/マトピバ

食に目覚めた17歳の息子とシリーズ(食と農)9巻本の刊行

ずいぶんご無沙汰してしまいました・・・。
今年は畑面積を大幅に広げ、ちょっと頑張りすぎた春から夏を経て、世界のあちこちに出没しつつ、なんとか落ち着きを取り戻しつつあると思ったところで、もう年末・・・。

17歳の息子が日本に行っている間にブログでもと思ってたのだけれど、もう帰国!
しかし、子が成長するスピードの凄まじさの一方で、親の自分が一進一退を繰り広げているのは、なんとも・・・ですが、逆に日々教えられる感じで、私もいつまでもグズグズしてられないな〜と思っている今日この頃です。

それにしても、この3年ぐらいの雑誌遍歴が凄まじい。
最初は、建築雑誌だった。
次に、インテリアデザインの雑誌だった。
そして、写真の雑誌になった。
と思ったら、女性服のファッション雑誌になった。
でも、つい最近はコレにになった。

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親が親なら、子も子で、とにかく「食」に目覚めたわけです。
で、彼のセオリーでは、「狩猟採取が人間と自然、地球に最も適している暮らしのあり方だ」ということで、森と畑に出没しては採取を愉しんでいたわけですが、さすがに池のコイやフナ100匹にも、ビオトープのカエルさんたちにも、蜂の子さんにも興味はないらしい。

でも、とにかく食べ物にこだわり始めた。
そのこだわりは尋常な感じではなく、亜熱帯ですらないドイツで、亜熱帯か熱帯のものを食べたがった・・・。温暖化はまだそこまでいっていないというのに。

エンゲル係数が急カーブというか直線を描いたところで、父親のまったがかかった。

ある時、当時16歳は哀しそうにつぶやいた。

「自然が豊かなところに暮らす野生動物はいいな・・・」
「目指してるのは、パプアニューギニアとかの暮らしなんだ」
「へ?」
「人類は貧乏になった」
「はあ・・・」
「自然に委ねられなくなった」
「そうね・・・」
「でも、考えてみたら動物園のゾウはいいな」
「へ?!」
「いっぱいタダで果物がもらえるから」
「・・・・さっきまでの話と違うやん!」
「あの果物には農薬ついてんのかな・・・」
「えっと、それは・・・」
「安いもん喰わせてないかな・・・」
「えええーーーーと」
「人間はズルい。ゾウが分からないとも思って!」
「はあ・・・」

翌朝、当時16歳はスコップと鍬をもって自分のためのサツマイモ畑のためにざくざくがんばった。
ここはどこ?というほど、素晴らしいブリティッシュガーデンだった庭は、飢える楽園の野生動物になりたい若いヒト科のオスによって、やや暴力的に「サツマイモ畑」に変貌を遂げさせられていた。

買うカネがなく、納得のいく食べ物がないいなら自給だ。
それは正しい。
ハハが、そんなことは、もう13年もがんばってるやん。

で、結局、サツマイモから蔓を出させて移植したのは、この私。。。
一個やったら、全部やったつもりになるのが、この年齢の特徴でして。
後まで想定して行動してよ、、、、まあ無理か・・・。

しかし、My Foodへのクエストは続く。
学校の給食が耐えられないと言い始めたのだ。
この文句は数年前からずっとだったが、ついに給食を辞め、毎日弁当を持参すると宣言した。

「おべんとう」・・・。
日本の、しかし私のように「スボラ母」にとって、これがどれほどのプレッシャーか!
わざわざドイツくんだりにきて、もう高校も終りかけてる息子にこれを宣言されるとは想いもよらず、身構えた。

「あ、ママちなみに、オレが作るから」
「あ、、、、、そ、そう?」
「だいじょうぶ!(ニコリ)自分で食べたいもの作りたいし」
「そうよね。そうよね」

とりあえず、こういう自主性が出たときは無限に褒めるに限る。
「じゃあ、ママはお弁当箱買おうかな!」
「うん。お願いする。でも特大のものね」

との会話をした後、奴はアフリカに旅立ち、その後日本、そして私が日本に出たので、そのことをすっかり忘れていた。
で、日本からこちらに戻ってくると、本当だった。
17歳1ヶ月の息子は、毎日お弁当のために夕食まで作っていたのだった!!!!

こういうときは、やはり褒めるに限る。
もう褒めて、褒めて、そして頼るに限る。
というか、実際のところ感動して、褒める以外なかったのだ。
だって、世の親は、毎日夜ご飯に何を食べさせるかで、かなり翻弄される。
もちろん、夜に温かいものを食べない伝統的ドイツ家庭以外は・・・。

でも、うちはサッカー・写真少年が作る。
だから、彼がサッカーを終ったり、写真の作業が終らないと、食べられない。

そして、私の翌日のお昼ご飯まで作ってくれるようになった時点で、「これは本気」と理解した。

なんだ。そういうことなんだったら、早くいってよ。
とにかく二人で「食と農」の分野でがんばることを誓った。

なので(展開についていけない方すみません)、今息子は秋休みの2週間を東京で過ごしている。
毎日違うレストラン、バー、カフェ、パブ、フードトラックで、焼き鳥やらケバブやらムール貝やら、パエーリャを売っているらしい。高校2年生17歳。来年は卒業だが、卒業制作がコレだそうだ。
つまり、来年の6月の卒業制作発表会までに、「フードビジネスを興す!」プロセスが卒業制作だと。。。

息子は嫌っているが、シュタイナー学校は、その意味でよかったと思ってる。
本人も内心はそう思っているが、学校がいかんせん狭すぎた。
同じ先生とクラスメートと11歳からずーーーっと一緒というのは、さすがにキツい。

で、フードビジネスのその先は?
というのは、私は聞かない。
だって、その先の人生を生きるのも、責任を負うのも、本人だからだ。

ドイツで大学に入るのは日本どころではない難しさだ。
日本にはあらゆる大学がある。
自分の能力にあわせて行けばいい。
が、ドイツでは、大学受験資格をとるのが至難の業なのだ。
いわゆるアビトウア、バカロレアというやつだ。

で、食に目覚めた野性動物になりたい17歳は、大学はもういいといっている。
いつか行きたくなったら勉強して自分の力で行くよ、と。

なるほど。
大学で教えた私と、今大学で教えている彼の父親は、それ以上は言わなかった。
「I see.」
わかったでもなく、いいねでもなく、それはダメでもなく。
なるほど。

実際のところは複雑だ。
「大学ぐらい出てないと・・・」
の言葉が過らないわけではない。

でも、彼を見つめる。
小屋も解体して立て直せるし、家具も作れるし、器も作れる。
畑も耕せるし、料理もできるし、服も縫える。
写真も撮れるし、編集もでき、ホームページも作れる。
世界のどこでも生き延びられるだけの機転もある。
確かに、「勉強」という意味では適切な学校ではなかったかもしれない。
でも、「生きる力」という意味では、もう準備万端だ。
17歳になったばかりの若者に、そう言えるとすれば、それは素晴らしいことなのだと思う。
自分の17歳時と比べても。

彼の人生だ。
彼に任せよう。
任せられるだけの若者になれるように、そこに全力をあげたはずだったから。
彼が彼の人生を彼の手で切り拓けるように。
2歳で包丁をプレゼンとしたのは、そういう理由だった。
0歳児の彼をアフリカに連れていったのも、それが理由だった。
どんな難しい話でも、彼を子ども扱いしなかったのも、そのためだった。
彼のどんな一言も、彼のものとして、否定しないできたのも、それが理由だった。

そして、食べものが命と社会、自然に関わる重要なものだと言い続けたのは・・・
自分でその場で採った新鮮なものほど美味しいものはないと言ったのも・・・
おそらく私だ。
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(エビは池からではないが・・。)

彼は彼の世界に羽ばたく。
私達は後ろ姿を眺めながら、無事で健康であってくれれば、ただそれでいい。

人生に苦労はつきものだ。
それが当たり前。
闇雲にいわゆる「幸せ」を追い求めたり、「他人がどう思うか」を基準に考えるのではなく、自分の考えに基づいて失敗しながら送っていけばいいのだ。

なんの話だったか・・・。

そうだ。食と農だ。
で、グローバル化と食農問題。
でも、やっぱりこの話は、My Food, Our Foodから始めないといけないと思ってる。
その理由をいずれは書こうと思うのだけど、今日はこれにて失礼。

玄関のぶどうでワインを仕込まないといけない。
毎年やっているうちに、仕込んで1週間目が最高だと知ってからは、熟成ができないのだけど。
もちろん、熟成ワインは美味しい。
でも、あえて自家製ワインを作るのであれば、ボトルや店で味わえないものをと思う。
これぞヴァン・ナトゥールの極み。
世界でどこにもない、My Wine, Our Wine。

で、伝えたかったことに辿り着く迄に、またしてもこんな長旅をしてしまった。
いいたかったことは一つ。

2018年11月から、食と農に関するシリーズ本を9巻出していきます。
世界最高峰の研究者たちが執筆した一般向けのブックレット。
近畿大学の池上先生と京都大学の久野先生との企画。
明石書店からのシリーズ刊行となります。

お楽しみに!



by africa_class | 2017-11-03 05:13 | 【食・農・エネルギー】